説明

立体映像表示制御装置、立体映像表示制御装置の制御方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】3次元映像表示非対応の表示装置の応答速度が遅い場合であっても、表示装置の映像をユーザーに適切に立体視させることが可能な立体映像表示制御装置を実現する。
【解決手段】立体映像表示制御装置100は、マーカーを表示装置300に出力する映像出力部150と、表示されたマーカーが発する光を感知する光センサ190からのパルス信号を検出するマーカー信号検出部140と、パルス信号の立ち上がり時間または立ち下がり時間が所定の閾値以上であるか否かを判定するシステム制御部170と、立体映像視聴用メガネ200の左右のシャッターの一方を閉じて他方を開くタイミングを、右目用映像または左目用映像が表示装置300に表示されるタイミングに同期させるシャッター制御信号生成部180と、を備えている。シャッター制御信号生成部180は、所定の閾値以上であると判定された場合には、他方のシャッターを開くタイミングを遅くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に表示される映像をユーザーに立体視させるための立体映像表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、3D映画が公開されたり、3次元映像対応コンテンツがテレビ放送されたりするなど、3次元映像表示分野に対する注目が集まっている。また、これに伴い、3次元映像表示対応のテレビが発売されたり、BD(Blu-ray Disk)の3次元映像コンテンツ対応の規格化が進められたりするなど、家庭でも3次元映像を楽しめる環境が整いつつある。
【0003】
3次元映像表示が特に注目されているのは最近のことであるが、従来から、3次元映像表示に関する様々な研究がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、左右画像のいずれか一方に付された同期信号用マークを1つのセンサが検出すると、1画面表示時間より長く2画面表示時間より短い時間継続して制御信号を発生させ、制御信号が消滅すると3Dグラスの左右のシャッターを切り替えるシャッター制御信号発生装置が開示されている。特許文献1のシャッター制御信号発生装置は、従来と異なり、1つのセンサのみで3Dグラスの左右のシャッターを切り替え、表示装置に表示された映像をユーザーに立体視させることができる。
【0005】
また、特許文献2には、目測で測定でき、一定の精度が得られる、クロストーク量の測定能力を有する立体表示クロストーク量測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−159895号公報(平成4年6月3日公開)
【特許文献2】特開2001−186549号公報(平成13年7月6日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、3次元映像コンテンツを家庭で楽しむためには、3次元映像コンテンツに対応した表示装置(以下、「3D対応表示装置」と呼ぶ)や再生装置(以下、「3D対応再生装置」と呼ぶ)が必要となり、3D対応表示装置を所有していないユーザーにとっては、表示装置を新たに入手しなければならないという問題がある。
【0008】
また、特許文献1の構成は、同期信号用マークがセンサにより検出され、生成される検出波形に、表示装置の応答速度の遅さによる劣化が生じていないことを前提としている。そのため、特許文献1の構成を実際の表示装置に適用した場合にクロストークが発生し、表示装置の映像をユーザーに適切に立体視させることができないという問題がある。
【0009】
また、特許文献2の構成も、上記各問題を解決するものではない。
【0010】
本発明は上記の問題についてなされたものであり、その主な目的は、映像を表示する表示装置が3次元映像表示非対応であり、かつ、表示装置の応答速度が遅い場合であっても、表示装置の映像をユーザーに適切に立体視させることができる立体映像表示制御装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る立体映像表示制御装置では、上記課題を解決するために、マーカーを表示装置に出力するマーカー出力手段と、上記マーカー出力手段により出力され、上記表示装置に表示された上記マーカーが発する光の明るさを感知する受光部からのパルス信号を検出するパルス信号検出手段と、上記パルス信号検出手段が検出した上記パルス信号の立ち上がりに要する立ち上がり時間または立ち下がりに要する立ち下がり時間が第1の閾値以上であるか否かを判定するパルス信号判定手段と、視差を持つ第1の映像および第2の映像を交互に上記表示装置に出力する映像出力手段と、3Dグラスの左右のシャッターの一方を閉じて他方を開くタイミングを、上記第1の映像または上記第2の映像が上記表示装置に表示されるタイミングに同期させるシャッター制御手段と、を備え、上記シャッター制御手段は、上記パルス信号判定手段が上記第1の閾値以上であると判定した場合には、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、立体映像表示制御装置は、3Dグラスの左右のシャッターの一方を閉じて他方を開くタイミングを、第1の映像または第2の映像が上記表示装置に表示されるタイミングに同期させるが、検出したパルス信号の立ち上がり時間または立ち上がり時間が第1の閾値以上ある場合に、3Dグラスの左右のシャッターの他方を開くタイミングのみを遅くする。ここで、パルス信号は、表示装置に表示されたマーカーが発する光の明るさを示している。そして、パルス信号の立ち上がり時間、立ち下がり時間は、それぞれ、マーカーが表示されてからマーカーが完全に表示されるまでの時間、マーカーが消え始めてからマーカーが完全に消えるまでの時間を示しており、これらは、表示装置の応答速度を示している。
【0013】
従って、立体映像表示制御装置は、第1の映像および第2の映像の一方が完全に消去され、他方が完全に表示される(応答速度が示す時間が経過する)までに発生する、第1の映像および第2の映像のクロストークをユーザーが視認する時間を減らすことができる。
【0014】
これにより、立体映像表示制御装置は、映像を表示する表示装置が3次元映像表示非対応であり、かつ、表示装置の応答速度が遅い場合であっても、表示装置の映像をユーザーに適切に立体視させることができる。
【0015】
本発明に係る制御方法は、上記課題を解決するために、視差を持つ第1の映像および第2の映像を交互に表示装置に出力する映像出力手段を備えた立体映像表示制御装置の制御方法であって、マーカーを上記表示装置に出力するマーカー出力工程と、上記マーカー出力工程にて出力され、上記表示装置に表示された上記マーカーが発する光の明るさを感知する受光部からのパルス信号を検出するパルス信号検出工程と、上記パルス信号検出工程にて検出された上記パルス信号の立ち上がりに要する立ち上がり時間または立ち下がりに要する立ち下がり時間が第1の閾値以上であるか否かを判定するパルス信号判定工程と、上記映像出力手段が、上記第1の映像または上記第2の映像を表示装置に出力する映像出力工程と、3Dグラスの左右のシャッターの一方を閉じて他方を開くタイミングを、上記映像出力工程にて出力された映像が上記表示装置に表示されるタイミングに同期させるシャッター制御工程と、を含み、上記パルス信号判定工程にて上記第1の閾値以上であると判定された場合には、上記シャッター制御工程にて、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、本発明に係る制御方法は、本発明に係る立体映像表示制御装置と同様の作用効果を奏する。
【0017】
本発明の立体映像表示制御装置は、上記映像出力手段が上記表示装置に出力する上記第1の映像を構成するいずれかの画像である第1の画像と、上記第1の画像を出力してから一定時間が経過した後に上記映像出力手段が出力する第2の画像であって、上記第1の映像または上記第2の映像を構成するいずれかの画像である第2の画像と、を記憶部に記録する画像記録手段と、上記画像記録手段により上記記憶部に記録された第1の画像に含まれる画素の画素値と、該画素に対応する、上記記憶部に記録された第2の画像に含まれる画素の画素値と、の差が第2の閾値以上であるような画素が一定数以上存在するか否かを判定する出力映像判定手段と、をさらに備え、当該画素が一定数以上存在すると上記出力映像判定手段が判定した場合に、上記シャッター制御手段は、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることが望ましい。
【0018】
上記の構成によれば、立体映像表示制御装置は、出力する映像に含まれる第2の画像が第1の画像から大きく変化した場合、すなわち、応答速度が遅いことによるクロストークの影響を受けやすい映像を出力する場合にのみ、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも他方のシャッターを開くタイミングを遅くする。
【0019】
これにより、立体映像表示制御装置は、クロストークの影響を受けにくい映像を表示するにも関わらず無駄に他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることによりかえってユーザーに違和感を与える、といったことを防ぐことができるというさらなる効果を奏する。
【0020】
本発明の立体映像表示制御装置は、上記パルス信号判定手段が、上記パルス信号検出手段が検出した上記パルス信号について、上記立ち上がり時間および上記立ち下がり時間のうち、他方に比べ時間が長い一方の値が第1の閾値以上であるか否かを判定し、上記一方が上記立ち上がり時間である場合に、上記出力映像判定手段は、上記第2の画像に含まれる画素の画素値が、該画素に対応する、上記第1の画像に含まれる画素の画素値よりも上記第2の閾値以上大きい画素が一定数以上存在するか否かを判定し、当該画素が一定数以上存在すると上記出力映像判定手段が判定した場合に、上記シャッター制御手段は、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることが望ましい。
【0021】
上記の構成によれば、立体映像表示制御装置は、輝度値を上昇させる際の応答速度が遅い表示装置であっても、表示装置の映像をユーザーに適切に立体視させることができる。
【0022】
また、本発明の立体映像表示制御装置は、上記パルス信号判定手段は、上記パルス信号検出手段が検出した上記パルス信号について、上記立ち上がり時間および上記立ち下がり時間のうち、他方に比べ時間が長い一方の値が第1の閾値以上であるか否かを判定し、上記一方が上記立ち下がり時間である場合に、上記出力映像判定手段は、上記第2の画像に含まれる画素の画素値が、該画素に対応する、上記第1の画像に含まれる画素の画素値よりも上記第2の閾値以上小さい画素が一定数以上存在するか否かを判定し、当該画素が一定数以上存在すると上記出力映像判定手段が判定した場合に、上記シャッター制御手段は、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることが望ましい。
【0023】
上記の構成によれば、立体映像表示制御装置は、輝度値を下降させる際の応答速度が遅い表示装置であっても、表示装置の映像をユーザーに適切に立体視させることができる。
【0024】
本発明の立体映像表示制御装置は、上記第1の映像および上記第2の映像からなる映像コンテンツの入力を外部の再生装置から受け付ける映像入力手段と、上記映像コンテンツに対して上記出力映像判定手段による判定が行われた否かを判定する判定手段と、上記判定手段により否と判定された場合に、上記出力映像判定手段による判定結果と、上記映像コンテンツ中の上記第2の画像に付与されている再生時刻と、上記映像コンテンツを示す情報と、を関連づけて記憶部に記録する判定結果記録手段と、を備え、上記シャッター制御手段は、上記出力映像判定手段による判定が行われたと上記判定手段により判定された場合には、上記記憶部に記録されている上記判定結果と上記再生時刻とに基づいて、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くするか否かを決定することが望ましい。
【0025】
上記の構成によれば、立体映像表示制御装置は、映像コンテンツに対して一度出力映像判定手段による判定を行えば、その映像コンテンツを再度表示装置に出力する場合であっても、再度判定を行うことなく、記憶部に記録されている判定結果と再生時刻とに基づいて、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも他方のシャッターを開くタイミングを遅くするか否かを決定することができる。
【0026】
本発明の立体映像表示制御装置は、上記シャッター制御手段が上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くする場合には、上記映像出力手段が、上記表示装置に表示されたときに明るくなるように、上記表示装置に供給する映像を調整することが望ましい。
【0027】
上記の構成によれば、立体映像表示制御装置は、一方のシャッターを閉じるタイミングよりも他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることにより生じる明るさ不足を、映像が表示装置に表示されたときに明るくなるように表示装置に供給する映像を調整することにより、より違和感のない立体映像をユーザーに見せることができる。
【0028】
本発明の立体映像表示制御装置は、上記シャッター制御手段が上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くする場合に、上記表示装置に表示される映像の輝度を上げさせるコマンドを上記表示装置に伝送するコマンド伝送手段をさらに備えていることが望ましい。
【0029】
また、本発明の立体映像表示制御装置は、上記映像出力手段が映像コンテンツを出力する上記表示装置は、設定されたジャンルに応じて表示する映像の輝度を調整するものであり、上記シャッター制御手段が上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くする場合であり、かつ、上記映像コンテンツのジャンルが上記表示装置に設定されたときに他のジャンルに比べ上記映像の輝度を低くするものである場合には、上記映像コンテンツのジャンル以外のジャンルを示すジャンル情報を上記表示装置に伝送するジャンル情報伝送手段をさらに備えていることが望ましい。
【0030】
さらに、本発明の立体映像表示制御装置は、上記映像出力手段が映像コンテンツを出力する上記表示装置は、周囲の明るさを感知する受光部を備えると共に、表示する映像の輝度を上記受光部が感知した明るさに応じて調整するものであり、上記シャッター制御手段が上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くする場合に、発光部を発光させる発光制御手段をさらに備えていることが望ましい。
【0031】
上記の各構成によれば、立体映像表示制御装置は、自身で輝度を上昇させる画像処理を行う必要がないので、違和感のない立体映像を少ない処理負荷でユーザーに見せることができるというさらなる効果を奏する。
【0032】
本発明の立体映像表示制御装置は、上記シャッター制御手段が上記一方のシャッターを閉じてから上記他方のシャッターを開くまでの時間が、上記立ち上がり時間または上記立ち下がり時間であることが望ましい。
【0033】
上記の構成によれば、第1の映像および第2の映像のクロストークをユーザーに視認させないようにすることができるというさらなる効果を奏する。
【0034】
また、本発明に係る立体映像表示制御装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させることを特徴とするプログラムおよびそれらのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、本発明に係る立体映像表示制御装置は、映像を表示する表示装置が3次元映像表示非対応であり、かつ、表示装置の応答速度が遅い場合であっても、表示装置の映像をユーザーに適切に立体視させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態に係る立体映像表示制御装置を備えた立体映像表示システムの要部構成を示すブロック図である。
【図2】検出されたマーカー信号に波形歪みが生じていない場合において立体映像視聴用メガネに供給されるシャッター開閉信号の波形を時間軸上で表わしたグラフである。
【図3】波形歪みが生じたマーカー信号の波形を時間軸上で表わしたグラフである。
【図4】検出されたマーカー信号に波形歪みが生じた場合に一定条件の下で立体映像視聴用メガネに供給されるシャッター開閉信号の波形を時間軸上で表わしたグラフである。
【図5】映像入力信号の振幅と映像出力信号の振幅との関係を示したグラフであり、(a)は振幅の調整を行わない場合のものであり、(b)は振幅の調整を行う場合のものである。
【図6】映像入力信号の振幅と映像出力信号の振幅との関係を示したグラフであり、(a)(b)は、ともに振幅の調整を行う場合のものである。
【図7】検出されたマーカー信号に波形歪みが生じた場合に、シャッター開閉信号を調整してシャッター開閉のタイミングを遅らせるか否かを判定する動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】検出されたマーカー信号に波形歪みが生じた場合に、シャッター開閉信号を調整してシャッター開閉のタイミングを遅らせるか否かを判定する動作の別の一例を示すフローチャートである。
【図9】検出されたマーカー信号に波形歪みが生じた場合に、シャッター開閉信号を調整してシャッター開閉のタイミングを遅らせるか否かを判定する動作のさらに別の一例を示すフローチャートである。
【図10】変形例に係る立体映像表示システムの要部構成を示すブロック図である。
【図11】実施形態に係る立体映像表示制御装置が、右目用映像および左目用映像を周期的に表示装置に出力するとともに、立体映像視聴用メガネの左右のシャッターを周期的に切り替える動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一実施形態に係る立体映像表示制御装置について図1〜図9を参照しつつ以下に説明する。図1は、立体映像表示制御装置、光センサ、立体映像視聴用メガネ、表示装置からなる立体映像表示システムの要部構成を示すブロック図である。
【0038】
図1に示すように、立体映像表示システムは、立体映像表示制御装置100、光センサ190、立体映像視聴用メガネ200、表示装置300からなるシステムである。
【0039】
以下、本発明の一実施形態に係る立体映像表示制御装置100の構成および動作、並びに、光センサ190、立体映像視聴用メガネ200、および表示装置300の動作について説明する。
【0040】
<立体映像表示制御装置100の構成>
本実施形態に係る立体映像表示制御装置100の構成について、図1を参照しつつ以下に説明する。
【0041】
図1に示すように、立体映像表示制御装置100は、映像入力部110、映像メモリ部120、信号処理部130、マーカー信号検出部140、映像出力部150、制御用メモリ部160、システム制御部170、シャッター制御信号生成部180を備えている。立体映像表示制御装置100が備える上記各部材について、以下に説明する。
【0042】
(映像入力部110)
映像入力部110は、図示しない3D対応再生装置から映像入力信号を受け付けるためのインターフェースである。
【0043】
(映像メモリ部120)
映像メモリ部120には、映像入力部110からの映像入力信号で表わされる映像データが記録される。
【0044】
(信号処理部130)
信号処理部130は、映像データを映像メモリ部120から読み出したり、映像メモリ部120に書き込んだりする。また、信号処理部130は、読み出した映像データに後述する振幅調整処理を施して映像出力部150に伝送する。
【0045】
(マーカー信号検出部140)
マーカー信号検出部140は、光センサ190からのマーカー信号(パルス信号)を検出し、マーカーデータとして制御用メモリ部160に記録する。
【0046】
(映像出力部150)
映像出力部150は、信号処理部130から伝送されてきた映像データを表わす映像出力信号を外部に供給するインターフェースである。
【0047】
(制御用メモリ部160)
制御用メモリ部160には、マーカー信号を表わすマーカーデータが記録される。
【0048】
(システム制御部170)
システム制御部170は、制御用メモリ部160からマーカーデータを読み出し、マーカー信号の検出波形に歪みが存在するか否かを判定する。そして、判定結果に応じたタイミングで、シャッター制御信号生成部180に対してシャッター開閉信号を生成するように指示する。また、システム制御部170は、右目用映像が表示装置300に入力されるたびに、シャッター制御信号生成部180に対してシャッター開閉信号を生成するように指示する。
【0049】
(シャッター制御信号生成部180)
シャッター制御信号生成部180は、システム制御部170からの指示に従い、立体映像視聴用メガネ200の左右のシャッターの開閉を切り替えるためのシャッター開閉信号を生成して、立体映像視聴用メガネ200に供給する。
【0050】
<表示装置300>
表示装置300は、3D表示非対応の映像ディスプレイである。表示装置300には、右目用映像と左目用映像とが交互に現れるように構成された表示映像の映像信号が外部から入力されるようになっている。そして、入力される表示映像のうちの左目用映像には、左目用映像を構成する左目用画像の一部にマーカーが付され、表示装置300の表示画面に左目用映像が表示されてから一定時間の間、マーカーが表示画面の斜線で表わされた領域に表示されるようになっている。
【0051】
<光センサ190>
光センサ190は、表示装置300の表示画面の斜線で表わされた領域(マーカーが表示される領域)に近接して配置され、該領域から発せられる光を検出するようになっている。
【0052】
<立体映像視聴用メガネ200>
立体映像視聴用メガネ200は、右目用レンズおよび左目用レンズにそれぞれシャッターが設けられ、外部からのシャッター切替信号を受け付けると、立体映像視聴用メガネ200の右目用シャッターおよび左目用シャッターの開閉を切り替えるようになっている。
【0053】
<立体映像表示制御装置100の動作>
次に、立体映像表示制御装置100の動作について、図11を参照して以下に説明する。図11は、外部の3D対応再生装置で再生される映像をユーザーに適切に立体視させるための動作を示したフローチャートである。より具体的には、図11は、立体映像表示制御装置100が、右目用映像および左目用映像を周期的に表示装置300に出力するとともに、立体映像視聴用メガネ200の左右のシャッターを周期的に切り替える動作を示すフローチャートである。
【0054】
最初に、映像入力部110は、3D対応再生装置から入力される映像入力信号を受け付ける(S41)。映像入力信号により表わされる映像は視差をもつ左目用画像および右目用画像で構成され、表示装置300に表示した場合に左目用映像と右目用映像とが交互に表示されるようになっている。また、表示装置300に表示される映像が右目用映像から左目用映像に切り替わったときにマーカーが表示されるように、入力される映像のうちの左目用映像を構成する少なくとも一部の画像にはマーカーが付された映像が立体映像表示制御装置100に入力される。
【0055】
次に、S42において、信号処理部130は、映像メモリ部120に映像入力信号で表わされる映像を映像メモリ部120に記録する。信号処理部130は、映像メモリ部120に記録された映像に対して各種処理を施して、映像出力部150に供給する(S43)。また、システム制御部170は、信号処理部130が映像出力部150に出力する映像が右目用映像に切り替わったか否かを判定し(S44)、右目用映像に切り替わったと判定した場合には(S44においてYES)、後述する遅延時間分だけ遅いタイミングで、シャッター制御信号生成部180にシャッター制御信号を生成するよう指示する(S45)。システム制御部170からの指示を受け付けると、シャッター制御信号生成部180は、立体映像視聴用メガネ200に左目用シャッターを閉じさせるシャッター制御信号、および、右目用シャッターを開けさせるシャッター制御信号を、立体映像視聴用メガネ200に供給して(S46)、S47に進む。
【0056】
S44において否であると判定された場合には、何もせずに、S47に進む。
【0057】
S47において、映像出力部150は信号処理部130から供給された映像を映像出力信号として表示装置300に出力する。
【0058】
その後、S48において、マーカー信号検出部140は、光センサ190からの照度を表わす信号を検出する。なお、前述したように、光センサ190は、表示装置300の表示画面のマーカーが表示される領域に近接して配置されており、マーカーが表示される場合とそうでない場合とで異なる照度を検知することになる。すなわち、マーカー信号検出部140が受け付ける照度を表わす信号は、マーカーが表示されているか否かを示すマーカー信号(パルス信号)としての役割を果たす。
【0059】
そして、S49において、マーカー信号検出部140は、検出したマーカー信号が、パルス部分を表わす(すなわち、マーカーが表示されていることを示す)マーカー信号であるか否かを判定する。否と判定された場合(S49においてNO)、S41に戻る。
【0060】
一方、パルス部分を表わすマーカー信号であると判定された場合(S49においてYES)、マーカー信号検出部140は、当該マーカー信号を表わすマーカーデータが制御用メモリ部160にすでに記録されているか否かを判定する(S50)。マーカーデータが記録されていないと判定された場合(S50においてNO)、S51において、マーカー信号検出部140は、検出したマーカー信号(パルス部分)の波形を表わすマーカーデータを制御用メモリ部160に記録する。さらに、マーカー信号検出部140は、S43において映像出力信号を表示装置300に出力してから、S49において検出したマーカー信号がパルス部分を表わすと判定したときまでの時間(以下、遅延時間と呼ぶ)を表わす遅延時間データを制御用メモリ部160に記録して(S52)、S41に戻る。
【0061】
一方、すでにマーカーデータが記録されている場合、S53に進む。
【0062】
S53において、システム制御部170は、制御用メモリ部160に記録されているマーカーデータを参照し、パルス部分の波形の立ち上がり部分に歪みがあるか否かを判定する。歪みがあると判定された場合(S53においてYES)、S54において、システム制御部170は、遅延時間データが表わす遅延時間分と、パルス部分の波形歪みを考慮して算出した時間分と、だけ遅いタイミングで、シャッター制御信号生成部180にシャッター制御信号を生成するよう指示する。そして、S55において、シャッター制御信号生成部180は、立体映像視聴用メガネ200に右目用シャッターを閉じさせるシャッター制御信号、および、左目用シャッターを開けさせるシャッター制御信号を、立体映像視聴用メガネ200に供給してS41の処理に戻る。
【0063】
一方、否と判定された場合(S53においてNO)にも、S56において、システム制御部170は、遅延時間データが表わす遅延時間分だけ遅いタイミングで、シャッター制御信号生成部180にシャッター制御信号を生成するよう指示する。そして、S57において、シャッター制御信号生成部180は、立体映像視聴用メガネ200に右目用シャッターを閉じさせるシャッター制御信号、および、左目用シャッターを開けさせるシャッター制御信号を、立体映像視聴用メガネ200に供給して、S41の処理に戻る。
【0064】
以上が、立体映像表示制御装置100の動作の概略について示したが、本発明は、パルス部分の波形に歪みがある場合(S53においてYESの場合)に、S55において、シャッター制御信号生成部180が、左目用シャッターを開けさせるシャッター制御信号を立体映像視聴用メガネ200に送信するタイミングを、右目用シャッターを閉じさせるシャッター制御信号を送信するタイミングよりも遅らせることを特徴としている。
【0065】
このことについて、図2〜図4を参照して、以下に詳細に説明するが、その前にパルス部分の検出波形と表示装置300の応答速度との関係について、述べておく。
【0066】
図2は、パルス部分の検出波形に歪みが生じていない場合における、立体映像視聴用メガネ200のシャッターの開閉のタイミングを示した図である。また、図3は、マーカー信号の検出波形の歪みを示したグラフである。
【0067】
表示装置300が画面に表示されている画像の次の画像を表示するために、次の画像の描画を開始してから、完全に次の画像が描画されるまでの時間を応答速度と呼ぶ。
【0068】
表示装置300の応答速度は、表示装置300の性能に依存するものであり、一般的に古い表示装置ほど応答速度が長くなる。
【0069】
応答速度が非常に短い場合には、マーカーも短い時間で完全に表示されるので、マーカーからの光を検知する光センサ190が出力する照度値も一瞬で上昇して定常値になる。すなわち、図2に示すように、照度値で表わされるマーカー信号の検出波形は、2値で表わされる理想的なパルス波形になる。
【0070】
一方、応答速度が長い場合には、マーカーが完全に表示されるまでに時間がかかるので、マーカーからの光を検知する光センサ190が出力する照度値は、徐々に大きくなり、応答速度が示す時間の経過後に、光センサ190が出力する照度値が定常値になる。すなわち、図3に示すように、照度値で表わされるマーカー信号の検出波形は、応答速度t1の分だけ、パルスの立ち上がりに時間がかかることになり、パルス部分の波形が歪むこととなる。
【0071】
つまり、パルス部分の検出波形の歪みを解析することにより、表示装置300の応答速度を求めることができることがわかる。
【0072】
(パルス部分の検出波形に歪みに応じて、シャッターを開けさせるタイミングを遅らせる処理)
本実施形態では、パルスの立ち上がり時間t1が所定の閾値T以上であるか否かにより、パルス部分の検出波形に歪みがあるか否かを判定する。
【0073】
すなわち、立ち上がり時間t1が閾値T(第1の閾値)未満であった場合には、パルス部分の検出波形に歪みがないと判定する。一方、立ち上がり時間t1が閾値T以上であった場合には、パルス部分の検出波形に歪みがあると判定する。
【0074】
そして、パルス部分の検出波形に歪みがないと判定された場合には、図2に示すように、シャッター制御信号生成部180は、右目用シャッターを開けさせるシャッター制御信号と、左目用シャッターを閉じさせるシャッター制御信号と、を同時に立体映像視聴用メガネ200に送信する。これにより、立体映像視聴用メガネ200は、左右のシャッターの開閉を同時に切り替えることになる。
【0075】
一方、パルス部分の検出波形に歪みがあると判定された場合について、図4を参照して説明する。図4は、パルス部分の検出波形に歪みが生じていない場合と生じている場合とで、立体映像視聴用メガネ200の左目用シャッターを開けるタイミングが異なることを示した図である。
【0076】
パルス部分の検出波形に歪みがあると判定された場合、パルス部分の検出波形に歪みがないと判定された場合と同様に、右目用シャッターを閉じるシャッター制御信号を送信するタイミングは、パルス部分の検出波形に歪みがない場合における左目用シャッターを閉じるシャッター制御信号を送信するタイミングと同じタイミングである。
【0077】
従って、図4からわかるように、シャッター制御信号生成部180は、右目用シャッターを閉じさせるシャッター制御信号を立体映像視聴用メガネ200に送信してから、立ち上がり時間t1だけ遅いタイミングで、左目用シャッターを開けさせるシャッター制御信号を立体映像視聴用メガネ200に送信することになる。これにより、立体映像視聴用メガネ200は、右目用シャッターを閉じてから立ち上がり時間t1が経過してから左目用シャッターを開くことになる。
【0078】
つまり、右目用シャッターを閉じてから立ち上がり時間t1が経過するまで、立体映像視聴用メガネ200の左右のシャッターが閉じていることになる。
【0079】
<表示装置300に出力する映像信号の振幅調整処理について>
S43において、信号処理部130が施す各種処理のうち、振幅調整処理について図5〜図9を参照しつつ、以下に説明する。
【0080】
図5の(a)(b)および図6の(a)(b)は、それぞれ、映像入力信号の振幅と、映像出力信号の振幅と、の関係を示したものである。
【0081】
前述したように、本実施形態では、右目用シャッターを閉じてから立ち上がり時間t1
が経過するまで、立体映像視聴用メガネ200の左右のシャッターが閉じていることになる。
【0082】
これにより、右目用画像および左目用画像のクロストークの影響を抑えることができるが、立ち上がり時間t1が経過するまで左目用シャッターが開かない分、左目用シャッターから見える左目用画像の明るさが落ちてしまうという問題がある。
【0083】
そのため、本実施形態では、S43において、信号処理部130は、映像入力信号に対して図5(b)のような振幅調整処理を行う。すなわち、図5(b)からわかるように、映像入力信号の振幅が一定値以下である場合には、映像入力信号に振幅をα(>1)倍し、一定値以上である場合には、α未満の値を映像入力信号に乗じて映像出力信号の振幅とする。シャッターの開いている時間と、単位時間あたりの光量と、が一定になるように、αの値は、例えば、T1/T2(T1:マーカー信号に歪みがない場合の左目用シャッターの開時間、T2:マーカー信号に歪みがある場合の左目用シャッターの開時間、すなわちT1−T2=t1である)とすることが望ましい。
【0084】
図5(b)のグラフで表わされる振幅調整処理は、映像入力信号に大振幅(輝度が大きい信号)が少なく、中振幅(輝度が中程度の信号)や小振幅(輝度が小さい信号)が多い場合に適している。他の場合には、異なるグラフの特性で表わされる振幅調整処理を施してもよい。
【0085】
例えば、映像入力信号に占める中振幅の割合が小振幅や大振幅よりも多い場合には、図6(a)に示すように、映像入力信号の中振幅の範囲をβ倍(β≒γ=T1/T2>1)し、小振幅ではγよりもずっと大きい値を乗じて、映像出力信号の振幅としてもよい。このようにすることにより、中振幅での線形性を確保しつつ、小振幅部の視認性を高めることができる。
【0086】
さらに、映像入力信号に小振幅、中振幅、大振幅が同程度に分布する場合、図6(b)に示すような特性で表わされる振幅調整処理を施してもよい。図6(b)のような特性にすることにより、映像出力信号の線形性は多少失われるものの、を他の特性のグラフで表わされる振幅調整処理と比べて、映像出力信号の輝度をより向上させることができる。
【0087】
なお、振幅調整処理の特性を表すグラフは、図5(b)、図6(a)(b)のグラフに限定されないことは言うまでもない。すなわち、振幅調整処理は、映像出力信号により表わされる映像の明るさ値と、振幅調整処理を行わない場合における映像出力信号により表わされる映像の明るさ値と、の差が一定の範囲内になり、かつ、映像入力信号がとり得る振幅の最大値を映像出力信号の振幅の最大値が超えないようなものであれば、いかなるものでもかまわない。
【0088】
(振幅調整処理の実行条件)
次に、信号処理部130が映像入力信号に対して振幅調整処理を行う条件について、図7〜図9を参照しつつ以下に説明する。図7および図8は、それぞれ、振幅調整処理を行うか否かを判定する動作の例を示したフローチャートである。
【0089】
図7に示すように、振幅調整処理を実行するか否かは、例えば、映像入力信号が表わす映像中にレベル時間変化量がレベル変化量規定値よりも大きい画素が存在するか否かに基づいて判定される。ここで、画素の「レベル時間変化量」とは、単位時間(例えば、1フレーム)あたりの当該画素の輝度値の変化量のことを指す。また、レベル変化量規定値とは、レベル時間変化量についての所定の閾値のことを指す。
【0090】
以下、図7を用いて、振幅調整処理を行うか否かを判定する動作について説明する。
【0091】
最初に、システム制御部170は、映像入力信号が表わす映像に含まれる任意の2フレーム(第1の画像、第2の画像)を選択し、映像を構成する各画素のレベル時間変化量を算出する(S1)。次に、システム制御部170は、着目する1つの画素を選定し(S2)、その画素のレベル時間変化量と、レベル変化量規定値と、の大小を比較する(S3)。レベル時間変化量がレベル変化量規定値よりも大きい場合には(S3においてYES)、システム制御部170は、映像入力信号の振幅調整処理を行うことを決定して(S7)、処理を終了する。一方、レベル時間変化量がレベル変化量規定値以下である場合には(S3においてNO)、システム制御部170は、S1においてレベル時間変化量の算出を行ったすべての画素について、S3の処理を行ったか否かを判定する(S4)。すべての画素について、S3の処理を行っていないと判定された場合(S4においてNO)、システム制御部170は、まだS2またはS5において選定されていない画素を1つ選定し(S5)、S3の処理に戻る。
【0092】
一方、すべての画素について、S3の処理を行ったと判定された場合(S4においてYES)、システム制御部170は、映像入力信号の振幅調整処理を行わないことを決定して(S6)、処理を終了する。
【0093】
以上のように、本実施形態では、立体映像表示制御装置100は、信号処理部130が映像入力信号の振幅調整処理を行うか否か決定するが、レベル時間変化量がレベル量規定値より大きい画素が複数存在する場合に限り、映像入力信号の振幅調整処理を行うと決定するようにしてもよい。
【0094】
この場合、図8に示すように、最初に、システム制御部170は、映像入力信号が表わす映像に含まれる任意の2フレームについて、各画素のレベル時間変化量を算出する(S11)。次に、システム制御部170は、着目する1つの画素を選定し(S12)、レベル時間変化量がレベル量規定値より大きい画素の数を格納するための変数Nの値を0に初期化する(S13)。
【0095】
そして、システム制御部170は、S12において選定した画素のレベル時間変化量と、レベル変化量規定値と、の大小を比較する(S14)。レベル時間変化量がレベル変化量規定値よりも大きい場合には(S14においてYES)、システム制御部170は、Nの値をインクリメントし(S15)、S16に進む。一方、レベル時間変化量がレベル変化量規定値よりも大きい場合には(S14においてYES)、Nの値は変えずに、S16に進む。
【0096】
S16において、システム制御部170は、S11においてレベル時間変化量の算出を行ったすべての画素について、S14の処理を行ったか否かを判定する(S16)。すべての画素について、S14の処理を行っていないと判定された場合(S16においてNO)、システム制御部170は、まだS12またはS17において選定されていない画素を1つ選定し(S17)、S14の処理に戻る。
【0097】
一方、すべての画素について、S14の処理を行ったと判定された場合(S16においてYES)、システム制御部170は、Nの値が所定の規定値より大きいか否かを判定する(S18)。所定の規定値より大きいと判定された場合(S18においてYES)、システム制御部170は、映像入力信号の振幅調整処理を行うことを決定して(S20)、処理を終了する。一方、所定の規定値以下であると判定された場合(S18においてYES)、システム制御部170は、映像入力信号の振幅調整処理を行わないことを決定して(S19)、処理を終了する。
【0098】
なお、上記振幅調整処理を行うか否かの判定処理は、映像入力信号を受け付けてリアルタイムに映像出力信号を出力する際に行われてもよいが、次にようにしてもよい。すなわち、システム制御部170は、映像コンテンツごとに、予め判定を行って、その結果を制御用メモリ部160に記録しておき、実際に、その映像コンテンツの映像出力信号を出力する際に振幅調整処理を行うか否かを、制御用メモリ部160に記録された判定結果に基づいて、決定してもよい。
【0099】
立体映像表示制御装置100が予め判定処理を行うタイミングは、映像コンテンツが記録されたディスクが再生装置に装填されたことを立体映像表示制御装置100が検知したタイミングであってもよいし、映像コンテンツが記録されたディスクが再生装置において再生され、その映像コンテンツの映像入力信号が初めて立体映像表示制御装置100に入力されたタイミングであってもよい。そして、このようにするためには、例えば、システム制御部170が、選定したフレームの再生時間を示す時間情報と、当該フレームの映像出力信号を表示装置300に出力する際に振幅調整処理を行うか否かを示す情報と、表示装置300を示す情報と、を映像コンテンツごとに関連付けて判定結果として制御用メモリ部160に記録するようにすればよい。
【0100】
ここで、表示装置300を示す情報を記録しておく意図は、判定結果のデータが制御用メモリ部160に記録された時点の表示装置300と、振幅調整処理を行うか否かを決定する時点の表示装置300と、が同一であることを確認することにある。同一であることを確認する理由は、振幅調整処理の判定処理を行う時点(すなわち、左目用シャッターを開けさせるシャッター制御信号を立体映像視聴用メガネ200に供給するタイミングを遅らせる時点)が、パルスの立ち上がり時間や立ち下がり時間に依存しており、これらは表示装置300の応答速度に依存するためである。すなわち、判定結果も表示装置300の応答速度に依存することになり、振幅調整処理を行うか否かを決定する時点の表示装置300が、制御用メモリ部160に判定結果が記録された時点の表示装置300と異なる場合、その判定結果に基づいて振幅調整処理を行うか否かを決定することができないことになる。
【0101】
なお、図7および図8のフローチャートで表わされる判定処理は、フレームに含まれるすべての画素を対象として、レベル時間変化量がレベル変化量規定値よりも大きい画素が存在するか否かを判定することを前提とするものであるが、判定処理はこれに限定されない。すなわち、レベル時間変化量がレベル変化量規定値よりも大きい画素が存在するか否かを判定するための対象となる画素を、フレームに含まれる一部の画素に限定するようにしてもよい。
【0102】
以下、レベル時間変化量とレベル変化量規定値との比較を行う画素を、フレームに含まれる一部の画素に限定した場合の判定処理について、図9を参照しつつ以下に説明する。
【0103】
図9は、2フレーム間で輝度が上昇する画素および下降する画素のいずれか一方の画素のみを対象として比較を行う場合の判定処理を示したフローチャートである。
【0104】
図9に示すように、システム制御部170は、最初に、制御用メモリ部160に記録されているマーカー信号を表わすマーカーデータを参照し、立ち上がり時間、および立ち下がり時間をそれぞれ算出する(S31)。
【0105】
次に、システム制御部170は、立ち上がり時間と立ち下がり時間との大小を判定する(S32)。立ち上がり時間が立ち下がり時間より短いと判定された場合(すなわち、立ち上がりの応答速度が立ち下がりの応答速度よりも速い場合、S32においてYES)、システム制御部170は、フレームに含まれる画素のうち、2フレーム間で輝度が下降する画素(立ち下がり部分)を、レベル時間変化量とレベル変化量規定値との比較を行う画素(評価箇所)として選定し(S33)、S35に進む。
【0106】
一方、立ち下がり時間が立ち上がり時間より短いと判定された場合(すなわち、立ち上がりの応答速度が立ち下がりの応答速度よりも遅い場合、S32においてNO)、システム制御部170は、フレームに含まれる画素のうち、2フレーム間で輝度が上昇する画素(立ち上がり部分)を、レベル時間変化量とレベル変化量規定値との比較を行う画素(評価箇所)として選定し(S34)、S35に進む。
【0107】
S35において、システム制御部170は、S33またはS34において選定された画素の各々について、レベル時間変化量とレベル変化量規定値との大小の比較を行い、レベル時間変化量がレベル変化量規定値より大きい画素が存在するか否か、または、そのような画素が規定値以上存在するか否かに基づいて、振幅調整処理を行うか否かを判定する。
【0108】
(立体映像表示制御装置100の利点)
以上のように、立体映像表示制御装置100では、映像出力部150が表示装置300にマーカーを出力する。そして、表示装置300に表示されたマーカーからの光を光センサ190が検出する。そして、立体映像表示制御装置100のマーカー信号検出部140は、光センサ190が出力するパルス信号を検出し、システム制御部170が、パルス信号の立ち上がり時間t1または立ち上がり時間t2が所定の閾値T以上であるか否であるかを判定する。
【0109】
そして、立体映像表示制御装置100のシャッター制御信号生成部180は、立体映像視聴用メガネ200の右目用シャッターを閉じて左目用シャッターを開くタイミングを、左目用映像が表示装置300に表示されるタイミングに同期させる。この際、シャッター制御信号生成部180は、システム制御部170により所定の閾値T以上であると判定されていた場合には、T未満であると判定されていた場合よりも、左目用シャッターを開くタイミングを遅くする。
【0110】
すなわち、立ち上がり時間t1が所定の閾値T以上である場合(すなわち、表示装置300の応答速度が遅く、左目用映像が表示され始めてから完全に表示されるまでの時間が長い場合)、完全に表示されるまで、立体映像視聴用メガネ200の左右のシャッターが閉じることになる。従って、立体映像表示制御装置100は、左目用映像が不完全に表示されているときに(すなわち、左目用映像および右目用映像のクロストークが発生している瞬間に)表示装置300の映像をユーザーが見ないようにすることができる。
【0111】
また、立体映像表示制御装置100は、左目用シャッターを開くタイミングを遅くすることにより生じる明るさ不足を、振幅調整処理を用いて単位時間あたりの光量を増やして補うことにより、より違和感のない立体映像をユーザーに見せることができる。
【0112】
(変形例1)
以上の実施形態では、左目用シャッターを開くタイミングを遅くすることにより生じる明るさ不足を補うために信号処理部130が振幅調整処理を行うことを説明した。
【0113】
しかしながら、本発明では、明るさ不足を補うために必ずしも信号処理部130が振幅調整処理を行う必要はなく、他の方法を用いて明るさ不足を補ってもよい。
【0114】
以下では、他の種々の方法を用いて明るさ不足を補う立体映像表示制御装置を、それぞれ、立体映像表示制御装置100の変形例として説明する。
【0115】
立体映像表示制御装置100の変形例である立体映像表示制御装置100’について、図10を参照しつつ、以下に説明する。
【0116】
図10は、立体映像表示制御装置100’、光センサ190、発光素子195、立体映像視聴用メガネ200、表示装置300’からなる立体映像表示システムの要部構成を示すブロック図である。
【0117】
以下、図10を参照しつつ、立体映像表示システムの構成について説明するが、立体映像表示制御装置100’は、信号処理部130’およびシステム制御部170’を除き、立体映像表示制御装置100と同様の動作を行う。従って、以下では信号処理部130’およびシステム制御部170’についてのみ説明を行い、他の部材についてはその説明を省略することにする。
【0118】
<立体映像表示制御装置100’の構成>
図10に示すように、立体映像表示制御装置100’は、映像入力部110〜シャッター制御信号生成部180を備えているが、信号処理部130’、システム制御部170’が行う動作の一部が、立体映像表示制御装置100の信号処理部130、システム制御部170が行う動作と異なっている。
【0119】
(信号処理部130’)
信号処理部130’は、信号処理部130と同様の動作を行うが、映像メモリ部120に書き込んだ映像データに対して振幅調整処理を行わない。代わりに、信号処理部130’が振幅調整処理を行う条件と同条件のもとで、発光素子195を光らせる発光制御信号を発光素子195に供給する。
【0120】
(システム制御部170’)
システム制御部170’は、信号処理部130’に発光制御信号を供給させるか否かを判定する判定処理を行う。この判定処理は、立体映像表示制御装置100においてシステム制御部170が行う振幅調整処理を行うか否かの判定処理と同様のものである。
【0121】
<表示装置300’>
表示装置300’は、周囲の明るさを検知する受光部310を備えており、受光部310が検知した明るさが大きいと表示装置300の表示画面の輝度を明るくし、明るさが小さいと表示画面の輝度を暗くする、自動輝度調整機能を備えている。
【0122】
<発光素子195>
発光素子195は表示装置300’の受光部310に近接して設定されており、発光素子195が発する光を受光部310が検知するようになっている。なお、発光素子195は、LEDなど発光機能をもつものであればいかなるものでも構わない。
【0123】
(立体映像表示制御装置100’の利点)
立体映像表示制御装置100’では、立ち上がり時間t1が所定の閾値T以上であると判定された場合に、システム制御部170’が、信号処理部130’に発光制御信号を供給させる。
【0124】
これにより、信号処理部130’からの発光制御信号を受信した発光素子195は発光し、表示装置300’は、受光部310が発光素子195からの光を感知すると、表示装置300’に表示される表示画面の輝度を上昇させる。
【0125】
従って、立体映像表示制御装置100’は、立体映像表示制御装置100と異なり、自身で輝度を上昇させる画像処理を行う必要がないので、違和感のない立体映像を少ない処理負荷でユーザーに見せることができる。
【0126】
(変形例2)
また、立体映像表示制御装置100’は、信号処理部130’が発光制御信号を発光素子195に供給する代わりに、映像出力部150が発光輝度調整用のコマンドを表示装置300に送信することにより、表示装置300に表示されている表示画面の輝度を上昇させるようにしてもよい。発光輝度調整用のコマンドを送信するか否かの判定条件は、変形例1における発光制御信号を送信するか否かの判定条件と同じであり、判定処理は、変形例1と同様にシステム制御部170’が行う。
【0127】
このようなコマンドとしては、例えば、機器間制御(CEC)のVendor Specific Commandsで規定されているコマンドが考えられる。なお、この場合、立体映像表示制御装置100’、および表示装置300がHDMI1.2a以降でサポートされるHDMI接続が可能である必要がある。
【0128】
変形例2の立体映像表示制御装置100’も、変形例1の立体映像表示制御装置100’と同様に、自身で輝度を上昇させる画像処理を行う必要がないので、違和感のない立体映像を少ない処理負荷でユーザーに見せることができる。
【0129】
(変形例3)
さらに、立体映像表示制御装置100’は、映像出力部150が発光輝度調整用のコマンドを表示装置300に送信する代わりに、映像出力部150がジャンル情報を指定するコマンドを表示装置300に送信することにより、表示装置300に表示されている表示画面の輝度を上昇させるようにしてもよい。
【0130】
具体的には、立体映像表示制御装置100’が、ジャンルが「映画」の映像コンテンツの映像出力信号を表示装置300に出力している場合に、「映画」以外のジャンル情報(ドラマ、音楽等)を指定するコマンドを表示装置300に送信することにより、表示装置300に表示されている表示画面の輝度を上昇させるようにしてもよい。ここで、「映画」以外のジャンル情報を示すコマンドを送信することにより表示画面の輝度が上昇する理由は、一般に「映画」のジャンルが指定された場合には、他のジャンルが指定された場合に比べて輝度を低くするように、表示装置300内で設定されているからである。
【0131】
従って、表示装置300がジャンルに応じた輝度調整を行う機能を備えており、かつ、輝度調整を最も低く設定するようなジャンルの映像コンテンツを表示装置300に出力している場合には、そのジャンルが「映画」でなくても、該ジャンル以外の他のジャンル情報を指定するコマンドを表示装置300に送信することにより、表示装置300に表示されている表示画面の輝度を上昇させることができる。
【0132】
なお、ジャンル情報を指定するコマンドとしては、変形例2と同様に、機器間制御(CEC)のVendor Specific Commandsで規定されているコマンドを用いてもよい。この場合、立体映像表示制御装置100’、および表示装置300がHDMI1.2a以降でサポートされるHDMI接続が可能である必要がある。
【0133】
そして、変形例3の立体映像表示制御装置100’も、変形例1、2の立体映像表示制御装置100’と同様に、自身で輝度を上昇させる画像処理を行う必要がないので、違和感のない立体映像を少ない処理負荷でユーザーに見せることができる。
【0134】
(付記事項)
実施形態では、映像コンテンツが記録されたディスクが再生装置において再生され、その映像コンテンツの映像入力信号が初めて立体映像表示制御装置100に入力されたタイミングで判定処理を行い、判定結果を制御用メモリ部160に記録することを説明した。映像コンテンツの映像入力信号が初めて立体映像表示制御装置100に入力されたか否か(新規のコンテンツであるか否か)は、映像コンテンツに含まれているメタ情報(タイトル情報を含むコンテンツ関連情報)に基づいて判定することが望ましいが、映像入力信号が入力される際に、新規の映像コンテンツか否かをユーザーに問い合わせ、ユーザーから新規の映像コンテンツであるとの入力を受け付けた場合に新規の映像コンテンツであると判定するようにしてもよい。また、映像コンテンツが放送番組を録画することにより得られた放送コンテンツである場合、電子番組表(EPG)から入手可能な放送コンテンツに関する映像コンテンツ関連情報であってもよいし、ネットワークを介して入手可能な映像コンテンツ関連情報であってもよい。
【0135】
また、新規の映像コンテンツの映像出力信号を出力したときと、当該映像コンテンツを2度目以降に出力するときとで、出力先の表示装置300が同一であるか否かの判定については、表示装置300と立体映像表示制御装置100とがHDMI接続をサポートする場合には、EDID(Extended Display Identification Data)を基に接続先の機器を識別することにより判定が可能である。すなわち、映像出力部150が新規の映像コンテンツの映像出力信号を出力する際に、システム制御部170が接続先の表示装置300を示す情報(映像ディスプレイ情報)としてEDIDを記録しておくことにより、同一の映像コンテンツを2度目以降に出力するときにシステム制御部170がEDIDを参照すれば、出力先が同一であるか否かを判定することができる。
【0136】
あるいは、EDIDを用いて出力先が同一であるか否かを判定するのではなく、映像出力部150が新規の映像コンテンツを表示装置300に出力する際に、システム制御部170が、ユーザーに表示装置300の機器情報を問い合わせ、ユーザーにより入力された機器情報を制御用メモリ部160に記録するようにしてもよい。そして、同一の映像コンテンツを2度目以降に出力するときにも、システム制御部170が、ユーザーに表示装置300の機器情報を問い合わせ、ユーザーにより入力された機器情報と制御用メモリ部160に記録されている機器情報とが同一であるか否かを判定することにより、出力先が同一であるか否かを判定してもよい。あるいは、映像コンテンツを出力するたびにユーザーに出力先の表示装置300を変更したか否かを問い合わせ、ユーザーから出力先を変更したとの入力を受け付けたときにその時刻等の変更履歴情報を制御用メモリ部160に記録しておき、変更履歴情報に基づいて出力先が同一であるか否かを判定してもよい。
【0137】
また、変形例2や変形例3の表示装置300の発光輝度調整は、入力された映像信号を調整することによって行ってもよいし、表示装置300が液晶ディスプレイなどバックライトを備えている場合には、バックライトの発光量を調整することによって行ってもよい。
【0138】
また、変形例3のジャンル情報は、映像コンテンツが放送波から取得された放送コンテンツである場合には、ARIB規格で規定されたSI(番組配列情報)のEIT(イベント情報テーブル)に含まれているジャンル情報(例えば、映画は0x6、ドラマは0x0、ニュース・報道は0x0となっている)であってもよいし、電子番組表やメタデータ情報などであってもよい。また、各種データから自動的にジャンル情報を取得するのではなく、ユーザーからジャンル情報の入力を受けてもよい。
【0139】
なお、図1や図10では、斜線のマーカーが表示される箇所が表示装置300、300’の表示画面の左上となっているが、マーカーが表示される箇所は表示画面中のどの位置であってもかまわない。例えば、表示画面の上部または下部の数ライン、左端や右端の数画素をマーカーが表示される箇所としてもよい。
【0140】
また、立体映像表示制御装置100、100’は、左目用映像や右目用映像を表示装置300、300’に出力する前にスキャン動作を予め行うようにしてもよい。このスキャン動作は、表示装置300、300’に表示するマーカーの位置を表示画面全体に渡って少しずつ移動させつつ、移動のたびに光センサ190が感知する明るさの値を検出し、検出した明るさの値が最大になるようなマーカーの位置をマーカーの表示位置として決定する動作である。これにより、立体映像表示制御装置100、100’は、光センサ190とマーカーの表示位置との位置関係を最適化でき、マーカーが発する光を光センサ190が感知できないといったことを防ぐことができる。
【0141】
さらに、立体映像表示制御装置100、100’は、マーカー信号検出部140が検出した明るさの値をシステム制御部170、170’が表示装置300、300’にリアルタイムに表示するようになっていてもよい。これにより、ユーザーは、光センサ190をどの位置に設置すれば、マーカーの位置と光センサ190の位置との位置関係が最適化されるかを容易に把握することができる。
【0142】
また、実施形態では、立体映像表示制御装置100は、表示装置300に出力する映像を右目用映像から左目用映像に切り替えたときに、マーカーを表示装置300に表示するものとして説明したが、左目用映像が表示されている間、継続してマーカーを表示装置300に表示してもよい。また、左目用映像から右目用映像に切り替えたときに、マーカーを表示装置300に表示するようにしてもよい。さらには、立体映像表示制御装置100は、左目用映像や右目用映像を表示する前の段階で、マーカーのみを表示装置300に表示するようにしてもよい。そして、立体映像表示制御装置100は、この段階で表示されたマーカーに基づいて生成されるパルス波形から、左目用シャッターを開かせるシャッター制御信号をシャッター制御信号生成部180が立体映像視聴用メガネ200に供給するタイミングをどのくらい遅らせるかを決定してもよい。
【0143】
また、変形例1において、光センサ190と発光素子195とは一体の構造物となっていても構わないし、光センサ190や発光素子195は、立体映像表示制御装置100、100’に含まれていても、立体映像表示制御装置100、100’とは別の外部のセンサや素子であってもよい。
【0144】
また、振幅調整処理を行うか否かを判定する動作において、レベル時間変化量を算出し、レベル時間変化量と、レベル変化量規定値と、の大小を比較する代わりに、2フレーム間の画素値を算出し、画素値の差と、所定の閾値(第2の閾値)と、の大小を比較するようにしてもよい。
【0145】
さらに、立体映像表示制御装置100、100’や光センサ190と発光素子195に加え、立体映像視聴用メガネ200や表示装置300、300‘を含めた立体映像表示制御システムを本発明の範疇に含まれる。
【0146】
(プログラムおよび記録媒体)
最後に、立体映像表示制御装置100、100’に含まれている各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成すればよい。また、立体映像表示制御装置100は、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0147】
すなわち、立体映像表示制御装置100、100’は、各機能を実現する制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録していればよい。立体映像表示制御装置100、100’(またはCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
【0148】
プログラムコードを立体映像表示制御装置100、100’に供給する記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0149】
また、立体映像表示制御装置100、100’は、通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して立体映像表示制御装置100、100’に供給する。この通信ネットワークは、立体映像表示制御装置100、100’にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
【0150】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえば、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線などの有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0151】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明に係る立体映像表示制御装置は、3D非対応の古いテレビで立体映像を楽しむことを所望するユーザーをターゲットとして販売を見込むことができる。
【符号の説明】
【0153】
100、100’ 立体映像表示制御装置
110 映像入力部(映像入力手段)
120 映像メモリ部(記憶部)
130 信号処理部(画像記録手段)
140 マーカー信号検出部(パルス信号検出手段)
150 映像出力部(マーカー出力手段、映像出力手段)
160 制御用メモリ部(記録媒体、記憶部)
170 システム制御部(判定手段、パルス信号判定手段、出力映像判定手段、発光制御手段)
180 シャッター制御信号生成部(シャッター制御手段)
190 光センサ(受光部)
195 発光素子(発光部)
200 立体映像視聴用メガネ(3Dグラス)
300、300’ 表示装置
310 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーカーを表示装置に出力するマーカー出力手段と、
上記マーカー出力手段により出力され、上記表示装置に表示された上記マーカーが発する光の明るさを感知する受光部からのパルス信号を検出するパルス信号検出手段と、
上記パルス信号検出手段が検出した上記パルス信号の立ち上がりに要する立ち上がり時間または立ち下がりに要する立ち下がり時間が第1の閾値以上であるか否かを判定するパルス信号判定手段と、
視差を持つ第1の映像および第2の映像を交互に上記表示装置に出力する映像出力手段と、
3Dグラスの左右のシャッターの一方を閉じて他方を開くタイミングを、上記第1の映像または上記第2の映像が上記表示装置に表示されるタイミングに同期させるシャッター制御手段と、を備え、
上記シャッター制御手段は、上記パルス信号判定手段が上記第1の閾値以上であると判定した場合には、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることを特徴とする立体映像表示制御装置。
【請求項2】
上記映像出力手段が上記表示装置に出力する上記第1の映像を構成するいずれかの画像である第1の画像と、上記第1の画像を出力してから一定時間が経過した後に上記映像出力手段が出力する第2の画像であって、上記第1の映像または上記第2の映像を構成するいずれかの画像である第2の画像と、を記憶部に記録する画像記録手段と、
上記画像記録手段により上記記憶部に記録された第1の画像に含まれる画素の画素値と、該画素に対応する、上記記憶部に記録された第2の画像に含まれる画素の画素値と、の差が第2の閾値以上であるような画素が一定数以上存在するか否かを判定する出力映像判定手段と、をさらに備え、
当該画素が一定数以上存在すると上記出力映像判定手段が判定した場合に、上記シャッター制御手段は、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることを特徴とする請求項1に記載の立体映像表示制御装置。
【請求項3】
上記パルス信号判定手段は、上記パルス信号検出手段が検出した上記パルス信号について、上記立ち上がり時間および上記立ち下がり時間のうち、他方に比べ時間が長い一方の値が第1の閾値以上であるか否かを判定し、
上記一方が上記立ち上がり時間である場合に、上記出力映像判定手段は、上記第2の画像に含まれる画素の画素値が、該画素に対応する、上記第1の画像に含まれる画素の画素値よりも上記第2の閾値以上大きい画素が一定数以上存在するか否かを判定し、
当該画素が一定数以上存在すると上記出力映像判定手段が判定した場合に、上記シャッター制御手段は、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることを特徴とする請求項2に記載の立体映像表示制御装置。
【請求項4】
上記パルス信号判定手段は、上記パルス信号検出手段が検出した上記パルス信号について、上記立ち上がり時間および上記立ち下がり時間のうち、他方に比べ時間が長い一方の値が第1の閾値以上であるか否かを判定し、
上記一方が上記立ち下がり時間である場合に、上記出力映像判定手段は、上記第2の画像に含まれる画素の画素値が、該画素に対応する、上記第1の画像に含まれる画素の画素値よりも上記第2の閾値以上小さい画素が一定数以上存在するか否かを判定し、
当該画素が一定数以上存在すると上記出力映像判定手段が判定した場合に、上記シャッター制御手段は、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることを特徴とする請求項2に記載の立体映像表示制御装置。
【請求項5】
上記第1の映像および上記第2の映像からなる映像コンテンツの入力を外部の再生装置から受け付ける映像入力手段と、
上記映像コンテンツに対して上記出力映像判定手段による判定が行われた否かを判定する判定手段と、
上記判定手段により否と判定された場合に、上記出力映像判定手段による判定結果と、上記映像コンテンツ中の上記第2の画像に付与されている再生時刻と、上記映像コンテンツを示す情報と、を関連づけて記憶部に記録する判定結果記録手段と、を備え、
上記シャッター制御手段は、上記出力映像判定手段による判定が行われたと上記判定手段により判定された場合には、上記記憶部に記録されている上記判定結果と上記再生時刻とに基づいて、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くするか否かを決定することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の立体映像表示制御装置。
【請求項6】
上記シャッター制御手段が上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くする場合には、上記映像出力手段は、上記表示装置に表示されたときに明るくなるように、上記表示装置に供給する映像を調整することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の立体映像表示制御装置。
【請求項7】
上記シャッター制御手段が上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くする場合に、上記表示装置に表示される映像の輝度を上げさせるコマンドを上記表示装置に伝送するコマンド伝送手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の立体映像表示制御装置。
【請求項8】
上記映像出力手段が映像コンテンツを出力する上記表示装置は、設定されたジャンルに応じて表示する映像の輝度を調整するものであり、
上記シャッター制御手段が上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くする場合であり、かつ、上記映像コンテンツのジャンルが上記表示装置に設定されたときに他のジャンルに比べ上記映像の輝度を低くするものである場合には、上記映像コンテンツのジャンル以外のジャンルを示すジャンル情報を上記表示装置に伝送するジャンル情報伝送手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の立体映像表示制御装置。
【請求項9】
上記映像出力手段が映像コンテンツを出力する上記表示装置は、周囲の明るさを感知する受光部を備えると共に、表示する映像の輝度を上記受光部が感知した明るさに応じて調整するものであり、
上記シャッター制御手段が上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くする場合に、発光部を発光させる発光制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の立体映像表示制御装置。
【請求項10】
上記シャッター制御手段が、上記一方のシャッターを閉じてから上記他方のシャッターを開くまでの時間は、上記立ち上がり時間または上記立ち下がり時間であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の立体映像表示制御装置。
【請求項11】
視差を持つ第1の映像および第2の映像を交互に表示装置に出力する映像出力手段を備えた立体映像表示制御装置の制御方法であって、
マーカーを上記表示装置に出力するマーカー出力工程と、
上記マーカー出力工程にて出力され、上記表示装置に表示された上記マーカーが発する光の明るさを感知する受光部からのパルス信号を検出するパルス信号検出工程と、
上記パルス信号検出工程にて検出された上記パルス信号の立ち上がりに要する立ち上がり時間または立ち下がりに要する立ち下がり時間が第1の閾値以上であるか否かを判定するパルス信号判定工程と、
上記映像出力手段が、上記第1の映像または上記第2の映像を表示装置に出力する映像出力工程と、
3Dグラスの左右のシャッターの一方を閉じて他方を開くタイミングを、上記映像出力工程にて出力された映像が上記表示装置に表示されるタイミングに同期させるシャッター制御工程と、を含み、
上記パルス信号判定工程にて上記第1の閾値以上であると判定された場合には、上記シャッター制御工程にて、上記一方のシャッターを閉じるタイミングよりも上記他方のシャッターを開くタイミングを遅くすることを特徴とする制御方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載の立体映像表示制御装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−250075(P2011−250075A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120416(P2010−120416)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】