説明

立体映像表示装置及びその制御方法

【課題】 左眼左眼用映像及び右眼用映像の撮影、制作時の方式を示す情報が映像コンテンツに付与されていない場合、立体映像コンテンツの適切な調整、表示ができない。
【解決手段】 撮影方式判定部70は、入力した複数フレームの左眼用映像及び右眼用映像に基づいて、各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであるか所定の時間差で交互に撮影されたものであるかを判定する。映像処理部40は、撮影方式判定部70により各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであると判定された場合、左眼用映像又は右眼用映像のいずれか一方について複数のフレームから合成した映像を順次生成するとともに、他方の映像と交互に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体映像コンテンツを表示する立体映像表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
両眼視差を利用した立体映像の表示方式には、時分割して2つの映像を交互に見せる時分割方式と、偏光等が異なる2つの映像を同時に見せる偏波分割方式がある。また、立体視可能な映像コンテンツの撮影、制作方式には2つの方式がある。第1の方式は、左右両眼用の映像を、同じタイミングで撮影、制作する方式(偏波分割に対応した生成方式)である。第2の方式は、時分割式で見ることを想定して交互のタイミングで撮影、制作する方式(時分割方式に対応した撮影、制作方式)である。
【0003】
立体映像コンテンツの撮影、制作方式と、その立体映像コンテンツを表示するときの表示方式とが対応していない場合、立体映像、特に動きのある映像が、滑らかに動いているように見えず、品位が低く感じる場合がある。
【0004】
図9は左眼用映像、右眼用映像を撮影時には同時に撮影し、表示時には交互に表示する場合の立体映像コンテンツの表示と時間の関係を表す図である。2台のカメラを同期させて記録する場合など右眼用映像、左眼用映像を同時に撮影する場合、時間軸に対して撮影時の左眼用映像は111、112、113、右眼用映像は121、122、123のようになる。一方、立体映像を左右交互に表示する方式の立体映像表示装置で表示する場合、時間軸に対して表示時の左眼用映像は131、132、133、右眼用映像は141、142、143のようになる。
【0005】
撮影時の左眼用映像111と同時に撮影した右眼用映像121を、表示時に141のタイミングでそのまま表示すると撮影時と表示時でタイミングが異なることになり、滑らかに動いているように見えず、品位が低く感じる場合がある。
【0006】
従来、映像コンテンツに付与された撮影、制作時の方式を示す情報に基づいて映像を補間、調整し表示するものがあった(例えば、特許文献1参照)。図10は左眼用映像、右眼用映像を撮影時には同時に撮影し、表示時には交互に表示する場合の従来技術における立体映像コンテンツの調整、表示と時間の関係を表す図である。図9と同様に、右眼用映像、左眼用映像を同時に撮影する場合、時間軸に対して撮影時の左眼用映像は211、212、213、右眼用映像は221、222、223のようになる。また、表示時の左眼用映像は231、232、233、右眼用映像は241、242、243のようになる。241のタイミングで表示する映像を221と222のタイミングで撮影した映像から補間、合成して生成する等の調整を行ってから表示することにより、撮影と表示のタイミングのずれが少なくなり、より高品位な表示を行うことができる。
【0007】
図11は左眼用映像、右眼用映像を撮影時には交互に切り換えて撮影し、表示時には同時に表示する場合の従来技術における立体映像コンテンツの調整、表示と時間の関係を表す図である。図10に示した場合と同様に、交互に撮影した映像を、同時に表示すると品位が低く感じる場合があるため、従来、前後の映像フレームから映像を補間、合成等の調整を行って表示していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−252731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、使用する機器や映像フォーマットによっては、左眼用映像及び右眼用映像の撮影、制作時の方式を示す情報が映像コンテンツに付与されていない場合がある。また、左眼用映像及び右眼用映像の撮影、制作時の方式を示す情報は、立体映像コンテンツの編集やネットワーク配信等の過程で不明になったり、異なった情報が付与される場合もある。左眼用映像及び右眼用映像の撮影、制作時の方式を示す情報が映像コンテンツに付与されていないと、立体映像コンテンツの適切な調整、表示ができない場合があった。
【0010】
そこで本発明は、立体映像コンテンツの映像から撮影、制作時の方式を判別し、これによって適切に立体映像コンテンツの調整、表示を行い高品位な立体映像を表示することができる立体映像表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によれば、両眼視差を有する左眼用映像と右眼用映像とを時分割で交互に表示することで立体映像を表示する立体映像表示装置であって、入力した複数フレームの左眼用映像及び右眼用映像に基づいて、各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであるか所定の時間差で交互に撮影されたものであるかを判定する判定手段と、前記判定手段により各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであると判定された場合、左眼用映像又は右眼用映像のいずれか一方について複数のフレームから合成した映像を順次生成するとともに、他方の映像と交互に表示する表示制御手段とを有することを特徴とする立体映像表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、立体映像コンテンツの映像から撮影、制作時の方式を判別し、これによって適切に立体映像コンテンツの調整、表示を行い高品位な立体映像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態における立体映像表示装置の構成を表すブロック図。
【図2】実施形態における撮影方式判定部による処理を示すフローチャート。
【図3】実施形態における判定用輝度の例を示す図。
【図4】実施形態における判定用映像の例を示す図。
【図5】実施形態における映像処理部による処理を示すフローチャート。
【図6】実施形態における映像処理部による表示する映像フレーム数を切り換える処理を示すフローチャート。
【図7】実施形態における映像処理部の表示映像フレーム数切り換えと時間の関係を表す図。
【図8】実施形態における撮影方式判定部による処理を示すフローチャート。
【図9】立体映像コンテンツの撮影タイミングと表示タイミングの関係を表す図。
【図10】従来技術における左右同時撮影した立体映像コンテンツの調整、表示と時間の関係を表す図。
【図11】従来技術における左右交互撮影した立体映像コンテンツの調整、表示と時間の関係を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施に有利な具体例を示すにすぎない。また、以下の実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の課題解決のために必須のものであるとは限らない。
【0015】
[実施形態1]
本発明の第1の実施形態では上下方向に移動する物体の位置を比較して撮影、制作時の方式を判別する立体映像表示装置について説明する。
【0016】
図1は本実施形態における立体映像表示装置の構成を表すブロック図である。立体映像表示装置1は映像データ2を再生、表示する。立体映像表示装置1は立体映像を視聴するために両眼視差を有する右眼用、左眼用の映像を時分割で交互に表示する。映像データ2は一対の左眼用映像及び右眼用映像を有する映像データである。映像データ2は例えば圧縮符号化されており、光ディスク装置やネットワークから所定のフレームレートを持つデータとして入力される。
【0017】
メガネ3は立体映像を視聴するためのものであり、映像切換指示部50からの信号を受信して、右眼及び左眼に届く映像を遮断する液晶シャッターを備える。映像データ入力部10は映像データ2に含まれる立体映像データを読み取り、右眼用、左眼用の映像データに分離し、それぞれ右眼用映像データデコード部20、左眼用映像データデコード部30に出力する。
【0018】
右眼用映像データデコード部20、左眼用映像データデコード部30は、処理する映像データが右眼用か左眼用かの違いだけで同じ機能を有し、映像データ入力部10から入力された映像データを復号し、右眼用映像及び左眼用映像を生成する。また映像データ復号時に使用する特定領域の映像の動きを表すデータである動きベクトル、及び特定領域の映像、輝度変化等を撮影方式判定部70に渡す。映像の動きを表す動きベクトルは映像データに含まれるものを使用するだけでなく、生成した映像の前後の映像フレームを画像比較して動きベクトルに相当する動きを表すデータを生成しても良い。
【0019】
表示制御手段としての映像処理部40は、特定の周期に従って右眼用映像、左眼用映像のどちらを表示するかを表す表示種別情報を決定し、表示する映像を映像表示部60に出力する。右眼用映像、左眼用映像の2つの映像を交互に表示するために、通常は右眼用映像、左眼用映像の2つの映像を撮影時の2倍の速度で表示する。
【0020】
映像処理部40はまた、撮影方式判定部70からの情報を基に右眼用映像又は左眼用映像のどちらかをそのまま表示する代わりに、右眼用映像もしくは左眼用映像について複数の映像フレームから合成した映像を生成して表示する。複数の映像フレームからの映像の合成には、例えば映像中の物体の動きの大きさ、方向を基に、その動きの途中の位置に物体がある映像を合成するといった処理を行う。
【0021】
映像処理部40はまた、撮影方式判定部70からの情報を基に右眼用映像及び左眼用映像を表示する周期を短くして表示速度を速めることにより、表示する映像フレーム数を増やして映像を表示する。
【0022】
映像切換指示部50は、映像処理部40で決定した表示種別情報を基に右眼用映像及び左眼用映像それぞれをメガネ3で遮断して見えなくするかどうかを表す信号を送信する。映像表示部60は映像処理部40から渡された映像を表示するものであり、液晶パネル等によって構成されている。
【0023】
撮影方式判定部70は、右眼用映像データデコード部20及び左眼用映像データデコード部30から複数フレームの左眼用映像及び右眼用映像を受け取る。撮影方式判定部70は、受け取った複数フレームの左眼用映像及び右眼用映像に基づいて、各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであるか所定の時間差で交互に撮影されたものであるかを判定する。なお、以下では、各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたもののことを、「左右同時」と略称する場合がある。また、各対の左眼用映像及び右眼用映像が所定の時間差で交互に撮影されたもののことを、「左右交互」と略称する場合がある。
【0024】
図2は本実施形態における撮影方式判定部70による処理を示すフローチャートである。撮影方式判定部70は、左眼用映像データデコード部30から、動きベクトルが上又は下方向の領域に関し、動きベクトルの値、領域の位置、及び当該領域を含む領域の左眼用映像を含む情報である左眼用判定映像情報を取得する(S210)。次に、撮影方式判定部70は、右眼用映像データデコード部20から、左眼用判定映像情報に対応する領域の情報として右眼用判定映像情報を取得する(S220)。
【0025】
本実施形態では、左眼用判定映像情報に対応する領域として、例えば以下の(1)〜(3)の条件を満たす領域を検出する。
(1)左眼用判定映像情報が表す領域の位置を基準として、右方向に表示画面上のサイズで65mm(一般的な人の両眼の間隔)までの範囲。
(2)左眼用判定映像情報が表す領域の位置を基準として、上下方向の範囲が動きベクトルの値以上の特定の範囲。
(3)左眼用判定映像情報に含まれる動きベクトルとほぼ同じ動きベクトルを持つ領域。
【0026】
S220では、上記(1)〜(3)の全ての条件を満たす領域を検出して、その領域に関する右眼用判定映像情報を取得する。なお、上記(2)では、人が無限遠にある物体として立体的に認識可能な視差の値である、一般的な人の両眼の間隔(65mm)を検出範囲の条件に含めているが、表示する映像の視差の最大値があらかじめ分かっている場合は、その値を使用しても良い。
【0027】
次に、撮影方式判定部70は、左眼用判定映像情報と右眼用判定映像情報の映像を比較する(S230)。この比較の結果、各々の映像中で同一の物体を指す領域の上下方向の位置がほぼ同じ場合には、処理はS250に進み、それ以外の場合はS260に進む。
【0028】
S250においては、撮影方式判定部70は、撮影時のタイミングが左右同時である撮影方式(偏波分割方式に対応した撮影方式)と判定し、その判定結果を映像処理部40に対して通知する。映像処理部40は撮影時のタイミングが左右同時(偏波分割方式に対応した撮影方式)の場合、右眼用映像もしくは左眼用映像のどちらかについて複数の映像フレームから合成した映像を生成して表示する。
【0029】
S260においては、撮影方式判定部70は、撮影時のタイミングが左右交互である撮影方式(時分割方式に対応した撮影方式)と判定し、その判定結果を映像処理部40に対して通知する。映像処理部40は撮影時のタイミングが左右交互(時分割方式に対応した撮影方式)の場合、映像の生成を行わず、右眼用映像及び左眼用映像をそのまま表示する。
【0030】
図4に判定用映像の例を示す。左眼用映像Lは時間的にL1,L2,L3の順に推移する映像である。左眼用映像Lに含まれる円形オブジェクト410は下方向に2単位ずつ移動しているものとする。範囲411は左眼用映像L内で円形オブジェクト410を基準として上記(1)〜(3)の条件を満たす領域の範囲である。範囲411は円形オブジェクト410を基準として右方向に画面上のサイズで65mmまで、左方向に画面上のサイズで120mmまで、上下方向に円形オブジェクト410の動きを表す動きベクトルの値である2単位までの範囲である。
【0031】
右眼用映像RPは左眼用映像Lと同期して同時に撮影した映像であり、時間的にRP1,RP2,RP3の順に推移する映像である。撮影方式判定部70は左眼用映像Lの円形オブジェクト410に対応する領域として、範囲411に対応する右眼用映像RP内の範囲421から動きベクトルが円形オブジェクト410と同じである円形オブジェクト420を含む領域を取得する。撮影方式判定部70は円形オブジェクト410と円形オブジェクト420を含む領域の画像からオブジェクトの上下方向の位置を比較する。このとき、下方向に移動する物体の上下方向の位置がほぼ同じため、左眼用映像Lと右眼用映像RPは左右同時に撮影したものと判定される。
なお、上記した例においては左眼用映像と右眼用映像との関係を逆にしても良い。
【0032】
右眼用映像RSは左眼用映像Lと交互に撮影した映像であり、時間的にRS1,RS2,RS3の順に推移する映像である。撮影方式判定部70は左眼用映像Lの円形オブジェクト410に対応する領域として、範囲411に対応する右眼用映像RS内の範囲431から動きベクトルが円形オブジェクト410と同じである円形オブジェクト430を含む領域を取得する。撮影方式判定部70は円形オブジェクト410と円形オブジェクト430を含む領域の画像からオブジェクトの上下方向の位置を比較する。このとき、上下方向の位置が異なるため、左眼用映像Lと右眼用映像RSは左右交互に撮影したものと判定される。
【0033】
図5は本実施形態における映像処理部40の処理を示すフローチャートである。映像処理部40はまず、撮影方式判定部70が通知する撮影方式を示す情報を取得する(S510)。次に、映像処理部40は撮影時のタイミングが左右同時(偏波分割方式に対応した撮影方式)か否かを判定する(S540)。ここで、左右同時の場合はS550に進み、それ以外の場合はS560に進む。
【0034】
S550において、映像処理部40は右眼用映像もしくは左眼用映像のいずれか一方について複数の映像フレームから合成した映像を順次生成するとともに、他方の映像と交互に表示する。S560においては、映像処理部40は映像の生成を行わず、右眼用映像、及び左眼用映像をそのまま表示する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、立体映像の撮影時のタイミングが左右同時(偏波分割方式に対応した撮影方式)か左右交互(時分割方式に対応した撮影方式)かを判定することができる。そしてその判定結果に応じた、立体映像の右眼用映像及び左眼用映像の表示を行うことができる。
【0036】
なお、立体映像表示装置が左右眼用の映像を同時に表示する装置の場合は、撮影方式判定部70の判定結果に基づいて行う動作が逆となる。即ち左右同時と判定した場合は、右眼用映像及び左眼用映像をそのまま表示し、左右交互と判定した場合は、右眼用映像もしくは左眼用映像のどちらかについて複数の映像フレームから合成した映像を生成して表示する。
【0037】
また、S550及びS560において、映像処理部40は撮影方式を示す情報に基づいて映像の生成を行うか否かの処理を行っているが、表示する映像フレーム数の切り換えを行っても良い。即ち、立体映像を時分割で左右交互に表示する立体映像表示装置において、撮影時のタイミングが左右交互(時分割方式に対応した撮影方式)の場合は、映像コンテンツの映像フレーム数を増やさず、左右で2つの映像フレームを撮影時の2倍の速度で表示する。
【0038】
撮影時のタイミングが左右同時(偏波分割方式に対応した撮影方式)と判定された場合、表示する映像フレーム数を増やして、左右映像で2つの映像フレームを4、6、・・・、2n倍の速度で表示する。
【0039】
図6は本実施形態における映像処理部40によって実行される表示する映像フレーム数を切り換える処理を示すフローチャートである。S610、S640、及びS660はそれぞれ、図5のS510、S540、及びステップS560と同じ処理を表す。S650において、映像処理部40は表示映像フレーム数を増やして表示を行う。即ち、映像処理部40は、各対の左眼用映像及び右眼用映像が同時に撮影されたものであると判定された場合、通常のフレームレートのN倍(Nは2以上の自然数)のフレームレートで、入力した各フレームの左眼用映像と右眼用映像とを交互に表示する。
【0040】
図7は立体映像を時分割で左右交互に表示する立体映像表示装置において、撮影時のタイミングが左右同時(偏波分割方式に対応した撮影方式)であると判定した場合の処理を示す図である。具体的には同図は、表示する映像フレーム数を3倍に増やして6倍速で表示する場合の映像と時間の関係を表している。右眼用映像、左眼用映像を同時に撮影する場合、時間軸に対して撮影時の左眼用映像は711、712、713、右眼用映像は721、722、723のようになる。
【0041】
撮影方式判定部70により左右同時に撮影したものと判定すると映像処理部40は表示する映像フレーム数を3倍にする。即ち撮影時の左眼用映像711を、表示用の左眼用映像として731,732,733のタイミングで表示する。また撮影時の右眼用映像721を、表示用の右眼用映像として741,742,743のタイミングで表示する。このように、左右交互に表示する立体映像表示装置において、表示する映像のフレームレートを増加させることにより、左右同時に近いタイミングで映像を表示することができる。
【0042】
[実施形態2]
本発明の第2の実施形態では、フェードイン等で輝度が変化する映像を使って撮影、制作時の方式を判別する立体映像表示装置について説明する。本実施形態における立体映像表示装置の構成は実施形態1(図1)と同じである。
【0043】
図8は本実施形態における撮影方式判定部70による処理を示すフローチャートである。まず、撮影方式判定部70は、左眼用映像データデコード部30から、輝度が変化している領域の位置、輝度変化量、及び輝度が変化している領域の平均輝度を含む情報である左眼用輝度変化情報を取得する(S810)。輝度変化の有無、及び輝度変化量には映像符号化技術H.264/AVC(Advanced Video Coding)における重み付き予測の重み係数を使用しても良い。また全画面に亘って輝度が変化している場合には左眼用輝度変化情報を単に全画面の平均輝度としてもよい。
【0044】
次に、撮影方式判定部70は右眼用映像データデコード部20から左眼用輝度変化情報に対応する領域の情報として右眼用輝度変化情報を取得する(S820)。左眼用輝度変化情報に対応する領域の条件は、例えば以下の通りである。
(1)左眼用輝度変化情報が表す領域の位置を基準として、右方向の表示画面上のサイズで65mm(一般的な人の両眼の間隔)までの範囲。
(2)左眼用輝度変化情報に含まれる輝度変化量とほぼ同じ輝度変化量を持つ領域。
【0045】
なお、左眼用輝度変化情報を全画面の平均輝度とした場合は、上記条件によらず右眼用輝度変化情報を右眼用映像の全画面の平均輝度としてもよい。
【0046】
次に、撮影方式判定部70は、左眼用輝度変化情報と右眼用輝度変化情報の平均輝度を比較する(S830)。S840において、左眼用輝度変化情報と右眼用輝度変化情報の平均輝度がほぼ同じ場合、処理はS850に進み、それ以外の場合はS860に進む。S850及びS860はそれぞれ、図2のS250及びS260と同じ処理を表す。
【0047】
図3に本実施形態における判定用輝度の例を示す。左眼用輝度BLは左眼用映像における全画面の平均輝度を表し、時間的にBL1,BL2,BL3の順に推移する。BL1,BL2,BL3での平均輝度の値は2,4,6であり、2単位ずつ明るくなっていく映像になっている。右眼用輝度BRPは左眼用映像と同期して撮影した映像の全画面の平均輝度を表し、時間的にBRP1,BRP2,BRP3の順に推移し、それぞれBL1,BL2,BL3に対応する。BRP1,BRP2,BRP3での平均輝度の値は2,4,6となり、左眼用輝度BLと同様に2単位ずつ明るくなっていく映像になっている。BL1とBRP1のように対応する2つの映像の平均輝度を比較し、両方の平均輝度が2でほぼ同じであるため左右同時に撮影した映像と判定する。
【0048】
右眼用輝度BRSは左眼用映像と交互に撮影した映像の全画面の平均輝度を表し、時間的にBRS1,BRS2,BRS3の順に推移し、それぞれBL1,BL2,BL3に対応する。BRS1,BRS2,BRS3での平均輝度の値は3,5,7となり、左眼用輝度BLと同様に2単位ずつ明るくなっていく映像になっている。BL1とBRS1のように対応する2つの映像の平均輝度を比較し、それぞれの平均輝度が2と3で異なっているため左右交互に撮影した映像と判定する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、フェードイン等を行う立体映像の平均輝度が同じかどうかにより、撮影時のタイミングが左右同時(偏波分割方式に対応した撮影方式)か左右交互(時分割方式に対応した撮影方式)かを判定することができる。そして、この判定結果に基づいて立体映像の右眼用映像及び左眼用映像を表示することができる。
【0050】
(他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両眼視差を有する左眼用映像と右眼用映像とを時分割で交互に表示することで立体映像を表示する立体映像表示装置であって、
入力した複数フレームの左眼用映像及び右眼用映像に基づいて、各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであるか所定の時間差で交互に撮影されたものであるかを判定する判定手段と、
前記判定手段により各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであると判定された場合、左眼用映像又は右眼用映像のいずれか一方について複数のフレームから合成した映像を順次生成するとともに、他方の映像と交互に表示する表示制御手段と、
を有することを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項2】
両眼視差を有する左眼用映像と右眼用映像とを同時に表示することで立体映像を表示する立体映像表示装置であって、
入力した複数フレームの左眼用映像及び右眼用映像に基づいて、各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであるか所定の時間差で交互に撮影されたものであるかを判定する判定手段と、
前記判定手段により各対の左眼用映像及び右眼用映像が交互に撮影されたものであると判定された場合、左眼用映像又は右眼用映像のいずれか一方について複数のフレームから合成した映像を順次生成するとともに、他方の映像と交互に表示する表示制御手段と、
を有することを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記複数フレームにおいて上下方向に移動するオブジェクトを含む領域を検出し、各フレームの左眼用映像と右眼用映像とで該オブジェクトの位置を比較することにより、各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであるか所定の時間差で交互に撮影されたものであるかを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記複数フレームに亘る左眼用映像及び右眼用映像それぞれの輝度変化を比較することにより、各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであるか所定の時間差で交互に撮影されたものであるかを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
両眼視差を有する左眼用映像と右眼用映像とを時分割で交互に表示することで立体映像を表示する立体映像表示装置の制御方法であって、
判定手段が、入力した複数フレームの左眼用映像及び右眼用映像に基づいて、各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであるか所定の時間差で交互に撮影されたものであるかを判定する判定ステップと、
表示制御手段が、前記判定ステップで各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであると判定された場合、左眼用映像又は右眼用映像のいずれか一方について複数のフレームから合成した映像を順次生成するとともに、他方の映像と交互に表示する表示制御ステップと、
を有することを特徴とする立体映像表示装置の制御方法。
【請求項6】
両眼視差を有する左眼用映像と右眼用映像とを同時に表示することで立体映像を表示する立体映像表示装置の制御方法であって、
判定手段が、入力した複数フレームの左眼用映像及び右眼用映像に基づいて、各対の左眼用映像及び右眼用映像がそれぞれ同時に撮影されたものであるか所定の時間差で交互に撮影されたものであるかを判定する判定ステップと、
表示制御手段が、前記判定ステップで各対の左眼用映像及び右眼用映像が交互に撮影されたものであると判定された場合、左眼用映像又は右眼用映像のいずれか一方について複数のフレームから合成した映像を順次生成するとともに、他方の映像と交互に表示する表示制御ステップと、
を有することを特徴とする立体映像表示装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の立体映像表示装置が有する各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−80469(P2012−80469A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226059(P2010−226059)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】