説明

立体的に込み合った塩類からの新規な三量化触媒

【課題】立体的に込み合ったカルボン酸塩を有する三量化触媒組成物、およびそうした三量化触媒組成物を使用するポリイソシアヌレート/ポリウレタン発泡体を生成するための方法を提供する。
【解決手段】(a)少なくとも1種の活性水素含有化合物;(b)少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物;および(c)少なくとも1種の発泡剤(ただし、少なくとも1種の発泡剤はクロロフルオロカーボンでない)の接触生成物を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に触媒系、触媒系を含む組成物、ポリイソシアヌレート/ポリウレタン(PIR/PUR)発泡体の処方、およびPIR/PUR発泡体の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、ポリイソシアヌレート/ポリウレタン(PIR/PUR)発泡体(foam)は、触媒の存在下で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることによって作られる。追加の添加物が存在可能である。PIR/PUR発泡体生成物は、優れた熱安定性および耐炎性を有する。イソシアヌレートは、約160℃の温度まで強度を保ち、そして大部分の有機溶媒、酸、アルカリ、紫外線、および湿度に対して耐性がある。
【0003】
例えば、ある種のアルカリ金属カルボン酸塩等のある種のカルボン酸塩は、触媒PIR/PUR発泡体の生成における触媒として使用されてきた。しかし、市販されているアルカリ金属カルボン酸塩触媒を使用すると、多くの場合、連続的な発泡工程で、特に重大である望ましくない発泡工程の問題をもたらす。発泡体の上昇速度プロファイルを測定する場合に、通常は三量化工程の開始と関連して、または発泡体高さ対時間をプロットすることによって、独特な"ステップ"が観察される。この三量化"ステップ"は、発泡体の上昇速度で際立った変化を起こし;本質的に、発泡体は成形過程中に2つの異なる速度で拡大する。連続的なポリイソシアヌレート/ポリウレタン発泡体のラミネーション工程では、製造ユニットの速度を調整して、発泡体の上昇速度の変化に合わせることは困難である。その結果、発泡体過剰充填または発泡体の逆流となる可能性がある。高いイソシアネートインデックスでポリイソシアヌレート/ポリウレタン処方を処理する場合、発泡体高さのこの望ましくない急速な上昇は、特に厄介である。すなわち、発泡体の上昇速度の変化は、より高いイソシアネートインデックスではさらに劇的である。その結果、高いイソシアネートインデックスで、従来のアルカリ金属カルボン酸塩触媒を使用して、望ましい低可燃性発泡体生成物を生成することは、技術上の挑戦となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルカリ金属カルボン酸塩触媒に比較して、ヒドロキシアルキルアンモニウムカルボン酸塩に基づく、市販されているポリイソシアヌレート三量化触媒は、連続的な工程中で異なった加工性を示す。これらは、上昇プロファイルでより滑らかな速度を与え、そしてより顕著でない三量化の"ステップ”を有する。"すなわち、より高いイソシアネートインデックスでさえ、発泡体の上昇速度は、さらに一致する。しかし、ヒドロキシアルキルアンモニウムカルボン酸塩触媒は、約100℃超の温度で不安定で、揮発性のアミン副生成物に分解する可能性がある。この分解工程は、揮発性アミンの放出を起こし、そして望ましくないアミン臭を最終発泡体生成物に与える可能性がある。PIR/PUR発泡体を生成する重合反応は、非常に発熱し、多くの場合100℃を超える発泡体の処理温度となる。
それ故に、ヒドロキシアルキルアンモニウムカルボン酸塩触媒は、さらに予測可能な発泡体の加工性を与えることができるが、時々望ましくないアミン臭を有する発泡体生成物を代償とする。
【0005】
従って、連続的な工程でPIR/PUR発泡体を生成するために、時間に対する発泡体高さが滑らかな上昇プロファイルを示すことが可能な触媒組成物および発泡体の処方へのニーズが存在する。さらに、該触媒組成も、高いイソシアネートインデックスの発泡体処方中で、よく機能する触媒組成物へのニーズが存在する。同時に、触媒組成物で出来た発泡体生成物が、ラミネート加工した発泡体パネル等の最終製品の製造中に、表面のもろさを減少させ、そして表面の付着力を高めることが出来るように、そうした触媒組成物は、市販されている触媒系に比較したときに、等しいかまたはより速い表面硬化を与えるべきである。任意選択的に、触媒成分の選択によって、該触媒組成物は、PIR/PUR発泡体が通常製造の間に出会う温度で熱的に安定であることが可能で、そして揮発性アミンおよび/又はアミン臭が、実質的にない発泡体を生成する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次式を有する少なくとも1種の
立体的に込み合ったカルボン酸塩を含むPIR/PUR発泡体を生成するための新規な触媒組成物を与える。
【0007】
【化1】

(ここでR、R、およびRは、置換または非置換のいずれかの、C〜C18の、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキル;−COH;−COM;または水素原子から独立して選択され;そして、
nは1と10を含む、1〜10の整数であり、そして
Mは、アルカリ金属イオンまたは第四級アンモニウムイオンである)。
【0008】
別の形態では、本発明は、少なくとも1種の活性水素含有化合物、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物、および少なくとも1種の発泡剤が、クロロフルオロカーボン(CFC)でないという条件で少なくとも1種の発泡剤、の接触生成物を含む組成物を開示する。さらに、本発明は、少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物、および少なくとも1種の発泡剤がクロロフルオロカーボン(CFC)でないという条件で、少なくとも1種の発泡剤の接触生成物を含む組成物も開示する。クロロフルオロカーボン(CFCs)が、成層圏のオゾンを枯渇する可能性があるという発見により、この類の発泡剤は本発明中での使用に望ましくない。
【0009】
本発明は、ポリイソシアヌレート/ポリウレタン(PIR/PUR)発泡体を調製するための方法も与える。これは、少なくとも1種の発泡剤がクロロフルオロカーボン(CFC)でないという条件で、少なくとも1種の発泡剤、および少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む有効量の触媒組成物の存在下で、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の活性水素を含む化合物との接触を含む、
【0010】
本発明の触媒組成物は、高いイソシアネートインデックスの場合でさえ、実質的に一貫した時間対発泡体高さの上昇を提供し、そしてPIR/PUR発泡体の調製中に、より早い表面硬化を与えることができる。本発明の別の形態では、触媒組成物は、揮発性アミンおよび/又はアミン臭が実質的にないPIR/PUR発泡体を生成する、標準的な発泡体の処理温度で、熱的に安定であることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
当業者が、本発明の詳細な記載を理解することを助けるために、以下の規定が与えられる。
PIR−ポリイソシアヌレート。
PUR−ポリウレタン。
イソシアネートインデックス−実際に使用される量のポリイソシアネートを、反応混合物中のすべての活性水素と反応するために必要とされる理論的に必要な化学量論量のポリイソシアネートで割って、100をかけた値。また、(NCO当量/活性水素の当量)×100として公知。
pphp−ポリオール100重量部当たりの重量部。
エアープロダクツアンドケミカルズ社(Air Products and Chemicals Inc.:APCI)のダブコ(商標)K15触媒は、ジエチレングリコール中、アルカリ金属カルボン酸塩、カリウム2−エチルヘキサノエート(また公知のカリウムオクトエート)の70%溶液である。
エアープロダクツアンドケミカルズ社のダブコ(DABCO)TMR(商標)触媒は、エチレングリコール中、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムオクトエートの75%溶液である。
エアープロダクツアンドケミカルズ社のポリキャット(polycat:商標)5触媒は、ペンタメチルジエチレントリアミンとして化学的に公知のウレタン触媒である。
【0012】
本発明は、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む、新規な触媒組成物を対象とする。この新規な触媒系は、ポリイソシアヌレート/ポリウレタン(PIR/PUR)発泡体を生成するためのポリイソシアネート三量化触媒系として使用可能である。さらに、本発明は、少なくとも1種の活性水素を含む化合物、少なくとも1種の発泡剤の接触生成物を含む新規な組成物、および少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物も対象とする。さらに本発明は、少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種の発泡剤の接触生成物、および少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物を含む新規な組成物を対象とする。これらの新規な組成物は、追加の成分と伴に使用されてPIR/PUR発泡体を生成することができる。
【0013】
また、本発明は、少なくとも1種の発泡剤、および少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む有効量の触媒組成物の存在下で、少なくとも1種の活性水素を含む化合物と、少なくとも1種のポリイソシアネートとを接触させることを含むPIR/PUR発泡体を調製するための方法を与える。さらに、硬質PIR/PUR発泡体は、当該技術分野で公知の幾つかの方法によって、本発明の新規な触媒系および新規な組成物で生成可能である。
【0014】
少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物は、イソシアネートを三量化してイソシアヌレートを生成するために使用可能である。一般的に、任意の量の少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩が、本発明の組成物中で使用可能である。実際に使用されるように、PIR/PUR発泡体のための触媒系は、典型的には例えば、エチレングリコール希釈剤中カルボン酸塩等の溶液を含む。
本発明の触媒組成物の重量による量を論ずる場合、ほかに記載が無い限り、該量では、希釈剤の効果を除外する。例として、10グラムのエチレングリコール中ピバル酸カリウム触媒の50%溶液が、所与の適用で使用される場合、ピバル酸カリウム塩触媒の量は、5グラムに等しく。それ故に、5グラムの該触媒成分が、例えば、活性水素を含む化合物の量またはポリオールの量に関して、成分のいかなる重量比率を計算する際にも使用される。
【0015】
出願人らは、本発明中の幾つかのタイプの範囲を開示する。これらは、温度の範囲;原子の数の範囲;発泡体密度の範囲;イソシアネートインデックスの範囲;および発泡剤、水、界面活性剤、難燃剤、ウレタン触媒、および少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物のためのpphpの範囲を含むがこれらに限られない。出願人らがいずれかのタイプを開示し請求の範囲とする場合は、出願人らの意図は、そこに包含される任意の準範囲(sub−ranges)および準範囲の組み合わせと同様に、そうした範囲が合理的に包含する独立した個々の可能な数を開示または請求の範囲とすることである。例えば、出願人らがある数の炭素原子を有する化学的部分を開示または請求の範囲とする場合、出願人らの意図は、独立して本願中での開示と一貫して包含することが出来る範囲各可能な数を開示または請求の範囲とすることである。例えば、"R"が18までの炭素原子を有するアルキル基を含むことができるという開示は、言い換えると、本願中で使用されるように、C〜C18アルキル基は、これらの2つの数(例えば、C〜Cアルキル基)の間の任意の範囲、そしてこれらの2つの数の範囲のいかなる組み合わせ(例えば、C〜CおよびC〜C10アルキル基)も含むと同様に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、ll、12、13、14、15、16、17または18炭素原子を有するアルキル基から独立して選択される"R"基をいう。同様に、これは、本願中で開示されるすべての他の炭素範囲、例えば、RおよびRのC〜C18の範囲;10までの炭素原子を有するアルコキシ基;等に適用される。
【0016】
同様に、別の代表的な例は、発泡体処方中の少なくとも1種の活性水素を含む化合物100重量部当たり、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物の重量部に従う。少なくとも1種の活性水素を含む化合物が、少なくとも1種のポリオールである場合、ポリオール100重量部当たりの重量部は、pphpとして略される。
それ故に、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物が約0.05〜約10pphpの量で存在することの開示によって、例えば、出願人らの意図は、pphpが約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10から選択可能であることを示すことである。同様に、本願中に開示されるすべての他の範囲は、これらの2つの例に類似の方法で解釈されるべきである。
【0017】
例えば、出願人らが出願の際には気が付かない可能性がある参照を説明するという理由のために、開示の全範囲より少ない範囲で請求項を記載する場合には、出願人らは、範囲によってまたは類似の方法で請求の範囲に記載可能な郡内の任意の準範囲または準範囲の組み合わせを含めて、任意のそうした群の任意の個々の要素をはずすか範囲外とする権利を保留する。さらに、例えば、出願人らが、例えば、出願人らが出願時に気が付かなかった可能性がある参照を説明するという理由のために、開示の全範囲より少ない請求の範囲を記載するには、出願人らは個々の置換基、類似物、化合物、配位子、構造、またはそれらの基、または請求項に記載された基の任意の要素を条件からはずすかまたは範囲外とする権利を保留する。
【0018】
必須ではないが、本発明の別の形態は、熱的に安定な触媒系を与える。この特徴を記載するために示す場合には、分解せず、または所与の温度で揮発性アミンおよび/又は関連アミン臭を放出しない場合に、化合物は所与の温度で熱的に安定と規定される。PIR/PUR発泡体の温度が、発泡体処理中に約100℃より上になると、ダブコTMR(商標)触媒等のヒドロキシアルキルアンモニウム塩触媒は、不安定になる可能性がある。これらの高温下では、第四級アミン塩の性質によって、ダブコTMR(商標)触媒は、揮発性アミン成分を放出できる。第四級窒素に対してβ位の炭素原子上の官能基(例えば、水酸基)か水素原子を有さない場合、第四級アンモニウム塩に基づく本発明の触媒組成物は、熱的に安定である。
【0019】
従って、アルカリ金属イオン、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、およびルビジウムを有する立体的に込み合った(sterically hindered)カルボン酸塩が、本発明の範囲内の熱的に安定な触媒組成物である。熱の安定性を有する第四級アンモニウム塩は、ピバル酸テトラメチルアンモニウム、ピバル酸テトラエチルアンモニウム、ピバル酸テトラプロピルアンモニウム、ピバル酸テトラブチルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラメチルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラエチルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラプロピルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラブチルアンモニウム、ネオヘプタン酸テトラメチルアンモニウム、ネオヘプタン酸テトラエチルアンモニウム、ネオヘプタン酸テトラプロピルアンモニウム、ネオヘプタン酸テトラブチルアンモニウム、ネオオクタン酸テトラメチルアンモニウム、ネオオクタン酸テトラエチルアンモニウム、ネオオクタン酸テトラプロピルアンモニウム、ネオオクタン酸テトラブチルアンモニウム、ネオデカン酸テトラメチルアンモニウム、ネオデカン酸テトラエチルアンモニウム、ネオデカン酸テトラプロピルアンモニウム、ネオデカン酸テトラブチルアンモニウム、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。
そうした塩は、個々にまたはそれらのいずれかの組み合わせで用いることができる。
【0020】
本発明の一つの形態では、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物は、約150℃までの熱安定性を有し、全くまたは実質的に全く揮発性アミン化合物が放出されない。PIR/PUR発泡体の生成中の発熱反応による典型的な発泡体の温度は、約80℃〜約150℃の範囲内にあることが可能である。さらなる形態では、本発明の触媒系は、約175℃、約200℃、約220℃、約240℃、または約250℃までの熱安定性を有する。
【0021】
本発明の触媒組成物の立体的に込み合ったカルボン酸塩は、例えば有機酸とアルカリ性水酸化物との反応によって生成可能である。本発明の別の形態では、立体的に込み合ったカルボン酸塩は、有機酸とテトラアルキル水酸化アンモニウムとの反応、または有機酸とターシャリーアミンとの反応に続き、エポキシ化合物との反応によって生成できる。エポキシと後者との反応は、(例えば、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム)高温下で不安定であるヒドロキシアルキル第四級化合物に誘導することができる。しかし、そうした生成物は本発明で使用できる。
【0022】
本発明の要件ではないが、本発明の触媒システムまたは新規な組成物は、他の触媒材料または任意量のカルボン酸塩をさらに含むことができる。これらは、アルカリ金属α、β−不飽和のカルボン酸塩、アルカリ土類金属α、β−不飽和のカルボン酸塩、第四級アンモニウムα、β−不飽和のカルボン酸塩、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ土類金属カルボン酸塩、第四級アンモニウムカルボン酸塩、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むがこれらに限られない。α、β−不飽和のカルボン酸塩の実例となる例は、アクリル酸カリウム、アクリル酸テトラメチルアンモニウム、アクリル酸テトラエチルアンモニウム、アクリル酸テトラプロピルアンモニウム、アクリル酸テトラブチルアンモニウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸テトラメチルアンモニウム、メタクリル酸テトラエチルアンモニウム、メタクリル酸テトラプロピルアンモニウム、メタクリル酸テトラブチルアンモニウム、フマル酸モノカリウム、フマル酸ビスカリウム、フマル酸モノテトラメチルアンモニウム、フマル酸ビステトラメチルアンモニウム、フマル酸カリウムテトラメチルアンモニウム、フマル酸モノテトラエチルアンモニウム、フマル酸ビステトラエチルアンモニウム、フマル酸カリウムテトラエチルアンモニウム、フマル酸モノテトラプロピルアンモニウム、フマル酸ビステトラプロピルアンモニウム、フマル酸カリウムテトラプロピルアンモニウム、フマル酸モノテトラブチルアンモニウム、フマル酸ビステトラブチルアンモニウム、フマル酸カリウムテトラブチルアンモニウム、マレイン酸モノカリウム、マレイン酸ビスカリウム、マレイン酸モノテトラメチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラメチルアンモニウム、マレイン酸カリウムテトラメチルアンモニウム、マレイン酸モノテトラエチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラエチルアンモニウム、マレイン酸カリウムテトラエチルアンモニウム、マレイン酸モノテトラプロピルアンモニウム、マレイン酸ビステトラプロピルアンモニウム、マレイン酸カリウムテトラプロピルアンモニウム、マレイン酸モノテトラブチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラブチルアンモニウム、マレイン酸カリウムテトラブチルアンモニウム、アクリル酸トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、アクリル酸トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、アクリル酸トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、アクリル酸トリブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、アクリル酸ジメチルベンジル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、アクリル酸ジメチルベンジル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、メタクリル酸トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、メタクリル酸トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、メタクリル酸トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、メタクリル酸トリブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、ジメチルベンジル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウムメタクリレート、メタクリル酸ジメチルベンジル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、マレイン酸ビス−(トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム)、マレイン酸ビス−(トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム)、マレイン酸ビス−(トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム)、マレイン酸ビス−(トリブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム)、マレイン酸ビス−(ジメチルベンジル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム)、マレイン酸ビス−(ジメチルベンジル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム)、フマル酸ビス−(トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム)、フマル酸ビス−(トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム)、フマル酸ビス−(トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム)、フマル酸ビス−(トリブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム)、フマル酸ビス−(ジメチルベンジル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム)、フマル酸ビス−(ジメチルベンジル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム)、およびその同類のもの、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むがこれらに限られない。
【0023】
アルカリ金属、アルカリ土類金属、および第四級アンモニウムカルボン酸塩の実例となる例は、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、ペンタン酸カリウム、ヘキサン酸カリウム、ヘプタン酸カリウム、オクタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、デカン酸カリウム、酪酸カリウム、イソ酪酸カリウム、ノナン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オクタン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ナトリウムカプリオエート(caprioate)、オクタン酸リチウム、オクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム溶液、およびその同類のもの、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むがこれらに限られない。
【0024】
1つより多い立体的に込み合ったカルボン酸塩の混合物または組み合わせを含めても、これらは本発明の触媒組成物の範囲内にある。さらに、本発明の触媒系または新規な組成物も、さらに少なくとも1種のウレタン触媒を含むことができる。
【0025】
"接触生成物"の語は、任意の順番、任意の方法、および任意の時間で、該成分を伴に接触させる組成物を記載するために本願中で使用される。例えば、該成分は調合または混合によって接触できる。さらに、任意の成分の接触は、本願中に記載された組成物または発泡体処方の他の任意の成分の存在下、または不存在下で起こりうる。追加の触媒成分の混合は、当業者に知られた任意の公知の方法で可能である。例えば、本発明の一つの形態では、触媒組成物は、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を追加のアルカリ金属カルボン酸塩との混合または接触によって、調製可能である。これは典型的には溶液の形で起こる。別の形態では、触媒組成物は、それぞれのカルボン酸の最初の混合、それに続く対応する塩を形成するための中和によって調製可能である。
【0026】
組成物および方法は、種々の成分またはステップ"を含むこと"ついて記載される一方で、組成物および方法は、種々の成分またはステップ"から本質的になる"または"からなる”こともできる。
【0027】
立体的に込み合ったカルボン酸塩
本発明の触媒組成物は、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む。少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩は、PIR/PUR発泡体生成のために、特に有用である。さらに、本発明の範囲内の触媒組成物は、次式を有する少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含むことができる:
【化2】

(ここで、R、R、およびRは、置換または非置換のいずれかの、C〜C18の、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキル;−COH;−C0M;または水素原子から独立して選択され;
nは、0と10を含む0〜10の整数であり;そして、
Mは、アルカリ金属イオン、または第四級アンモニウムイオンである)。
【0028】
他に特定しなければ、本願中に記載されたアルキルおよびアルケニル基には、全ての構造異性体、所与の構造の直鎖または分枝鎖も含まれ;例えば、全エナンチオマーおよび全ジアステレオマーがこの規定内に含まれる。例として、他に特定しなければ、ブチルの語が、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、sec−ブチルなどを含むことを意味する一方で、プロピルの語は、n−プロピルおよびイソプロピルを含むことを意味する。同様に、本願中に記載された置換アルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキル基では、所与の構造の置換類似物を含むことを意図する。例えば、アルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキル基内の置換基は、ハロゲン化物;水酸基;アミノ基;10までの炭素原子を有するアルコキシ、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノ基;またはそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限られない。
【0029】
少なくとも1種の立体的に込み合った不飽和カルボン酸塩中に存在可能なアルキル基の限定されない例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシル、およびその同類のものを含む。本発明の範囲内のアルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。アリールおよびアラルキル(アラルキルは、アリール置換アルキルまたはアリールアルキルとして規定される)基は、フェニル、アルキル置換フェニル、ナフチル、アルキル置換ナフチル、およびその同類のものを含む。例えば、本発明中で有用なアリールおよびアラルキル基の限定されない例は、フェニル、トリル、ベンジル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、プロピル−2−フェニルエチル、およびその同類のものを含む。
【0030】
本発明の一つの形態では、R、R、およびRは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、フェニル、トリル、およびベンジルから独立して選択される。別の形態では、R、R、およびRは、メチル、エチル、プロピル、およびブチルから独立して選択される。本発明のさらなる形態にしたがって、立体的に込み合った構造のR、R、およびRは、水素原子でない。
【0031】
別の形態では、Mは、リチウム、カリウム、ナトリウム、またはルビジウムのイオンである。また別の形態では、Mは、カリウムイオンである。本発明中の有用な第四級アンモニウムイオンは、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジメチルジアリールアンモニウム、トリメチル−(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリブチル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、ジメチルベンジル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、ジメチルベンジル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、およびその同類のもの、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むがこれらに限られない。本発明のさらなる形態では、Mは、テトラメチルアンモニウムイオンまたはジメチルジアリールアンモニウムイオンである。
【0032】
本発明のある形態では、上式中の整数nは、0と10を含む0〜10の範囲を取ることができる。別の形態では、nは0と5を含む0〜5の範囲を取ることができる。さらに別の形態では、nは0に等しい。例として、R、R、およびRがそれぞれメチル基であり、Mがカリウムイオンであり、そしてnが0に等しい場合、立体的に込み合ったカルボン酸塩は、ピバル酸カリウムである。
【0033】
本発明の別の形態では、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩は、アルカリ金属カルボン酸塩または第四級アンモニウムカルボン酸塩、またはそれらの組み合わせである。さらに別の形態では、本発明の範囲内の立体的に込み合ったカルボン酸塩およびカルボン酸は、少なくとも1種の第四級炭素部分を含む。すなわち、本願中に記載されたカルボン酸塩またはカルボン酸構造および材料内の最低でも1つの炭素原子は、第四級炭素である。本願中で使用されるように、第四級炭素は、4つの他の炭素原子に結合する炭素として規定される。この第四級炭素部分は、例えば、以下に続くカルボン酸塩およびカルボン酸種によって、さらに具体的に説明される。
【0034】
本発明の好適な立体的に込み合ったカルボン酸塩は、ピバル酸カリウム、ピバル酸テトラメチルアンモニウム、ピバル酸2−ヒドロキシルプロピルトリメチルアンモニウム、ピバル酸2−ヒドロキシルプロピルトリエチルアンモニウム、ピバル酸テトラエチルアンモニウム、ピバル酸テトラプロピルアンモニウム、ピバル酸テトラブチルアンモニウム、ピバル酸ジメチルジアリールアンモニウム、トリエチル酢酸カリウム、トリエチル酢酸テトラメチルアンモニウム、トリエチル酢酸2−ヒドロキシルプロピルトリメチルアンモニウム、トリエチル酢酸2−ヒドロキシルプロピルトリエチルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラエチルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラプロピルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラブチルアンモニウム、ネオヘプタン酸カリウム、ネオヘプタン酸テトラメチルアンモニウム、ネオヘプタン酸2−ヒドロキシルプロピルトリメチルアンモニウム、ネオヘプタン酸2−ヒドロキシルプロピルトリエチルアンモニウム、ネオヘプタン酸テトラエチルアンモニウム、ネオヘプタン酸テトラプロピルアンモニウム、ネオヘプタン酸テトラブチルアンモニウム、ネオオクタン酸カリウム、ネオオクタン酸テトラメチルアンモニウム、ネオオクタン酸2−ヒドロキシルプロピルトリメチルアンモニウム、ネオオクタン酸2−ヒドロキシルプロピルトリエチルアンモニウム、ネオオクタン酸テトラエチルアンモニウム、ネオオクタン酸テトラプロピルアンモニウム、ネオオクタン酸テトラブチルアンモニウム、ネオデカン酸カリウム、ネオデカン酸テトラメチルアンモニウム、ネオデカン酸2−ヒドロキシルプロピル、ネオデカン酸2−ヒドロキシルプロピルトリエチルアンモニウム、ネオデカン酸テトラエチルアンモニウム、ネオデカン酸テトラプロピルアンモニウム、ネオデカン酸テトラブチルアンモニウム、およびその同類のもの、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むがこれらに限られない。
【0035】
本発明の別の形態では、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩は、テトラアルキルアンモニウムカルボン酸塩である。また別の形態では、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸は、ピバル酸テトラメチルアンモニウム、ピバル酸ジメチルジアリールアンモニウム、ピバル酸カリウム、ネオヘプタン酸カリウム、ネオデカン酸カリウム、またはそれらの組み合わせである。またさらに別の形態では、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩は、ピバル酸カリウムである。
【0036】
さらなる形態では、少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩は、カルボン酸の塩、例えば、立体的に込み合ったカルボン酸のアルカリ金属塩または第四級アンモニウム塩である。本発明の範囲内の好適なカルボン酸は、ピバル酸、トリエチル酢酸、ネオヘキサン酸、ネオヘプタン酸、ネオオクタン酸、ネオデカン酸、ネオウンデカン酸、ネオドデカン酸、およびその同類のもの、それらの混合物、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むがこれらに限られない。
【0037】
ポリイソシアネート
PIR/PUR発泡体の生成工程中で有用であるポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体(MDI)、水和したMDIおよび1、5−ナフタレンジイソシアネートを含むがこれらに限られない。例えば、2、4−TDI、2、6−TDI、およびそれらの混合物は、本発明中で直ちに用いることが出来る。ジイソシアネートの他の好適な混合物は、他の異性体および類似のより高次のポリイソシアネートと伴に、4、4'−ジフェニルメタンジイソシアネートを含むクルードMDI、またはPAPIとして当技術分野で公知のものを含むがこれらに限られない。本発明の別の形態では、ポリイソシアネートおよびポリエーテルまたはポリエステルポリオールの部分的予反応混合物を含むポリイソシアネートのプレポリマーが好適である。さらに別の形態では、ポリイソシアネートは、MDIを含むか、またはMDIまたはMDIの混合物から本質的になる。
【0038】
本発明のPIR/PUR発泡体を生成する触媒系、組成物および方法は、多くのタイプの発泡体を生成するために使用可能である。この触媒系は、例えば硬質および難燃剤用発泡体生成物の生成において有用であり、通常高いイソシアネートインデックスを必要とする。既に規定されたように、イソシアネートインデックスは、使用された実際量のポリイソシアネートを、反応混合物中の全ての活性水素と反応させるために必要な、理論的に必要な化学量論量のポリイソシアネートで割り、100をかけたものである。本発明の目的のために、イソシアネートインデックスは、次式によって表される:イソシアネートインデックス=(NCO当量/活性水素の当量)×100、(ここでNCO当量はポリイソシアネート中のNCO官能基の数であり、そして活性水素の当量は、活性水素原子に等しい数である)。
【0039】
約80〜約800のイソシアネートインデックスを有する発泡体生成物が、本発明の範囲内にある。本発明のほかの形態に従って、イソシアネートインデックスは、約100〜約700、約150〜約650、約200〜約600、または約250〜約500である。
【0040】
ポリオール
本発明のポリイソシアヌレート/ポリウレタン発泡体を生成する際に、先のポリイソシアネートとの使用のための活性水素を含む化合物は、例えば、ポリオール等の少なくとも2つの水酸基を有する任意の有機化合物であることが可能である。典型的にPIR/PUR発泡体の生成工程で使用されるポリオールは、ポリアルキレンエーテルおよびポリエステルポリオールを含む。ポリアルキレンエーテルポリオールは、ポリ(エチレンオキサイド)およびポリ(プロピレンオキサイド)ポリマー並びにジオール並びにトリオールを含む多価化合物から誘導された末端水酸基との共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)ポリマーを含む。これらは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチルロールプロパン、シクロヘキサンジオール、並びにスクロースおよび低分子量ポリオール類似物を含むが、これらに限られない。
【0041】
アミンポリエーテルポリオールを、本発明で使用可能である。これらは、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、またはトリエタノールアミン等のアミンを、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドと反応させて調製可能である。
【0042】
本発明の別の形態では、単一の高分子量ポリエーテルポリオール、または異なる多官能性材料および/又は異なる分子量もしは異なる化学的組成材料の混合物等の高分子量ポリエーテルポリオール混合物を使用可能である。
【0043】
本発明の別の形態では、ジカルボン酸を過剰のジオールと反応させる場合に、これらの生成物を含むポリエステルポリオールを使用可能である。
限定されない例は、エチレングリコールまたはブタンジオールと反応するアジピン酸またはフタル酸または無水フタル酸を含む。ラクトンと過剰のジオールとを反応、例えば、カプロラクトンとプロピレングリコールとを反応させることによって、本発明中での有用なポリオールが生成可能である。さらなる形態では、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオール、並びにそれらの組み合わせ等の活性水素を含む化合物が、本発明中で有用である。
発泡剤
【0044】
本発明の範囲内の組成物、発泡体処方、およびPIR/PUR発泡体を生成する方法に従って、単独でまたは組み合わせて使用できる好適な発泡剤は、水、塩化メチレン、アセトン、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)、および炭化水素を含むがこれらに限られない。HFCの例は、HFC−245fa、HFC−134a、およびHFC−365を含むがこれらに限られず;HCFCの実例となる例は、HCFC−141b、HCFC−22、およびHCFC−123を含むがこれらに限られない。例示的炭化水素は、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、およびその同類のもの、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むがこれらに限られない。本発明の一つの形態では、発泡剤の発泡剤または混合物は、少なくとも1種の炭化水素を含む。別の形態では、発泡剤はn−ペンタンを含む。しかし、本発明の別の形態では、発泡剤はn−ペンタンまたは1または2以上の発泡剤とn−ペンタンの混合物から本質的になる。
【0045】
クロロフルオロカーボン(CFCs)が成層圏のオゾン層を枯渇する可能性があるという発見によって、この類の発泡剤は本発明中での使用が望ましくない。クロロフルオロカーボン(CFC)は、全ての水素原子が塩素およびフッ素原子で置換されたアルカンである。CFCの例は、トリクロロフルオロメタンおよびジクロロジフルオロメタンを含む。従って、本発明に従った組成物は、非CFC発泡剤だけを含む。
【0046】
使用される発泡剤の量、例えば、使用目的および発泡体生成物の用途および所望の発泡体の剛性および密度に基づいて変化させることが可能である。組成物、発泡体処方および本発明のポリイソシアヌレート/ポリウレタン発泡体を調製するための方法において、発泡剤は、少なくとも1種の活性水素含有化合物100重量部当たり、約10〜約80重量部の量で存在する。別の形態では、発泡剤は、少なくとも1種の活性水素含有化合物100重量部当たり約12〜約60、約14〜約50、または約16〜約40重量部の量で存在する。少なくとも1種の活性水素含有化合物は、少なくとも1種のポリオールである場合、発泡剤はポリオール(pphp)100重量部当たり、約10〜約80重量部、約12〜約60pphp、約14〜約50pphp、または約16〜約40pphpの量で存在する。
【0047】
発泡剤他として使用するために、水が処方中に存在する場合、水は、少なくとも1種の活性水素含有化合物100重量部当たり約15重量部までの量で存在する。同様に、少なくとも1種の活性水素含有化合物は、少なくとも1種のポリオールである場合、水は0〜約15pphpの範囲を取ることができる。別の形態では、水は、0〜約10pphp、0〜約8pphp、0〜約6pphp、または0〜約4pphpの範囲をとることができる。
【0048】
ウレタン触媒
ウレタン触媒は、ポリウレタンを生成する反応を加速させ、そして本発明の触媒系および組成物の成分としてさらに使用可能であり、ポリイソシアヌレート/ポリウレタン発泡体を生成する。本明細書中での使用に好適なウレタン触媒は、有機スズ等の金属塩触媒、およびトリエチレンジアミン(TEDA)、N−メチルイミダゾール、1、2−ジメチルイミダゾール、N−メチルモルホリン(ダブコ(商標)NMM触媒として市販されている)、N−エチルモルホリン(ダブコ(商標)NEM触媒として市販されている)、トリエチルアミン(ダブコ(商標)TETN触媒として市販されている)、N、N'−ジメチルピペラジン、1、3、5−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン(ポリキャット(商標)41触媒として市販されている)、2、4、6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(ダブコTMR(商標)30触媒として市販されている)、N−メチルジシクロヘキシルアミン(ポリキャット12触媒として市販されている)、ペンタメチルジプロピレントリアミン(ポリキャット(商標)77触媒として市販されている)、N−メチル−N'−(2−ジメチルアミノ)−エチルピペラジン、トリブチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン(ポリキャット(商標)5触媒として市販されている)、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘプタメチルテトラエチレンペンタミン、ジメチルアミノシクロヘキシルアミン(ポリキャット(商標)8触媒として市販されている)、ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(ダブコ(商標)BL19触媒として市販されている)、(トリス(3−ジメチルアミノ)プロピルアミンポリキャット(商標)9触媒として市販されている)、1、8−ジアザビシクロウンデセン(ダブコ(商標)DBU触媒として市販されている)等のアミン化合物またはその酸ブロック誘導体、およびそれらの任意の混合物と同様に、その同類のものを含むがこれらに限られない。本発明に関連して、発泡体用途ためにウレタン触媒として特に有用ものは、ペンタメチルジエチレントリアミンとして化学的に公知であるポリキャット(商標)5触媒である。
【0049】
本発明のポリイソシアヌレート/ポリウレタン発泡体を調製するために、ウレタン触媒は、処方中に0〜約10pphp、0〜約8pphp、0〜約6pphp、0〜約4pphp、0〜約2pphp、または0〜約1pphp存在できる。別の形態では、ウレタン触媒は、0〜約0.8pphp、0〜約0.6pphp、0〜約0.4pphp、または0〜約0.2pphp存在できる。
【0050】
種々の添加物
発泡体の製造条件または発泡体生成物の最終的な用途に依って、種々の添加物をPIR/PUR発泡体処方中に適用して、特定の性質を調整することが可能である。これらは、セル安定剤(cell stabilizers)、難燃剤、鎖延長剤、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フィラー、顔料、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むが、これらに限られない。当技術分野で公知である他の混合物または材料は、発泡体処方中に含めることができ、そして本発明の範囲内にあることが理解される。
【0051】
セル安定剤は、有機ポリシロキサン等の界面活性剤を含む。シリコン界面活性剤は、発泡体処方中に約0.5〜約10pphp、約0.6〜約9pphp、約0.7〜約8pphp、約0.8〜約7pphp、約0.9〜約6pphp、約1〜約5pphp、または約1.1〜約4pphpの量で存在可能である。
有用な難燃剤は、ハロゲン化有機リン化合物および非ハロゲン化化合物を含む。ハロゲン化難燃剤の限定されない例は、トリクロロプロピルリン酸(TCPP)である。例えば、トリエチルリン酸エステル(TEP)およびDMMPは、非ハロゲン化難燃剤である。発泡体の最終的な用途によって、難燃剤は、発泡体処方中に0〜約50pphp、0〜約40pphp、0〜約30pphp、または0〜約20pphpの量で存在可能である。別の形態では、難燃剤は、0〜約15pphp、0〜約10pphp、0〜約7pphp、または0〜約5pphpの量で存在可能である。エチレングリコールおよびブタンジオール等の鎖延長剤を本発明中で使用可能である。例えば、エチレングリコールは、処方中に本発明のカルボン酸塩触媒のための希釈剤または溶媒として存在可能である。
【0052】
ポリイソシアヌレート/ポリウレタン発泡体の処方及び工程
本発明の一つの形態は、少なくとも1種の活性水素を含む化合物の接触生成物、少なくとも1種の発泡剤および少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物を含む組成物を与える。さらなる形態は、少なくとも1種のポリイソシアネートの接触生成物、および少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物を含む組成物を与える。これらの2つの組成物のいずれにおいても、組成物は、少なくとも1種のウレタン触媒をさらに含むことが出来る。同様に、組成物は、少なくとも1種のセル安定剤、少なくとも1種の難燃剤、少なくとも1種の鎖延長剤、少なくとも1種のエポキシ樹脂、少なくとも1種のアクリル樹脂、少なくとも1種のフィラー、少なくとも1種の顔料、またはそれらのいずれかの組み合わせから選択された少なくとも1種の添加物を含むことができる。
【0053】
本発明は、少なくとも1種の発泡剤、および少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む有効量の触媒組成物の存在下で、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種の活性水素を含む化合物とを、接触させることを含むポリイソシアヌレート/ポリウレタン(PIR/PUR)発泡体を、調製するための方法を与える。本発明の方法にしたがって、PIR/PUR発泡体は、約20Kg/m〜約250Kg/m(約1.25lb/フィート〜約15.5ポンド/フィート)、または約24Kg/m〜約60Kg/m(約1.5lb/フィート〜約3.75ポンド/フィート)の密度で生成することができる。
【0054】
別の形態では、本発明の方法は、連続的な発泡体の製造工程のために非常に望ましい高イソシアネートインデックスでさえ、実質的に一貫した時間に対する発泡体高さの上昇を与える。PIR/PUR発泡体が、高度の表面付着力を有し、ラミネート加工した発泡体パネル等の物品の製造のために有用であるように、PIR/PUR発泡体の調製のための方法は、また他の市販されている触媒系に比較した場合に、等しいかまたはより速い表面硬化を与えることができる。
【0055】
任意選択的に、また別の形態では、本発明の方法は、望ましくないアミン臭がないか実質的にないPIR/PUR発泡体を生成可能である。特定の少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を選択することで、この方法は、高イソシアネートインデックスで調製された発泡体にさえ、PIR/PUR発泡体の製造中に通常達する温度での熱安定性を与えることが出来る。更なる形態では、PIR/PUR発泡体を調製するための方法では、約150℃、または約175℃、または約200℃、または約220℃、または約240℃、または約250℃まで熱的安定性を有する。また更なる形態では、本発明の方法は、揮発性アミンおよび/又はアミン臭が実質的にないPIR/PUR発泡体を与える。
【0056】
少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物は、触媒としての有効量で発泡体の処方中に存在すべきである。本発明のPIR/PUR発泡体処方では、触媒系希釈剤の重量への寄与を除いて、触媒組成物が少なくとも1種の活性水素を含む化合物100重量部当たり約0.05〜約10重量部の量で存在する。別の形態では、触媒組成物は、少なくとも1種の活性水素を含む化合物100重量部当たりの約0.4〜約9重量部、または約0.8〜約8重量部存在する。少なくとも1種の活性水素を含む化合物が、少なくとも1種のポリオールである場合、触媒組成物は、ポリオール(pphp)100重量部当たり約0.05〜約10重量部の量で存在する。別の形態では、触媒組成物は、約0.2〜約9.5pphp、約0.4〜約9pphp、約0.6〜約8.5pphp、または約0.8〜約8pphpの量で存在する。
【0057】
本発明の方法の一つの形態にしたがって、発泡体処方の成分を実質的に同時に接触させる。例えば、少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種の活性水素を含む化合物、少なくとも1種の発泡剤および少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む有効量の触媒組成物を、同時に接触させる。PIR/PUR処方に含まれる成分の数が与えられると、成分を混合する多数の異なる順番があり、そして当業者は成分を加える順番を変えることが本発明の範囲内にあることを理解する。同様に、発泡体処方の該成分を混合する個々の異なる順番において、本発明の発泡体の処方は、少なくとも1種のウレタン触媒をさらに含むことができる。さらに、PIR/PUR発泡体を生成する方法は、少なくとも1種のセル安定剤、少なくとも1種の難燃剤、少なくとも1種の鎖延長剤、少なくとも1種のエポキシ樹脂、少なくとも1種のアクリル樹脂、少なくとも1種のフィラー、少なくとも1種の顔料、またはそれらのいずれかの組み合わせから選択された1つの添加物をさらに含むことができる。本発明のある形態では、追加の成分を含む全ての成分を、実質的に同時に接触させる。
【0058】
本発明の別の形態では、少なくとも1種のポリイソシアネート以外の成分の予混合物を最初に接触させ、続いて少なくとも1種のポリイソシアネートが加えられる。例えば、少なくとも1種の活性水素を含む化合物、少なくとも1種の発泡剤、および本発明の触媒組成物を最初に接触させて予混合物を形成する。予混合物を、少なくとも1種のポリイソシアネートと次に接触させて、本発明の方法に従ってPIR/PUR発泡体を与える。本発明のさらなる形態では、予混合物が少なくとも1種のウレタン触媒をさらに含む、同一の方法を適用可能である。
同様に、予混合物は、少なくとも1種のセル安定剤、少なくとも1種の難燃剤、少なくとも1種の鎖延長剤、少なくとも1種のエポキシ樹脂、少なくとも1種のアクリル樹脂、少なくとも1種のフィラー、少なくとも1種の顔料、またはそれらのいずれかの組み合わせから選択された少なくとも1種の添加物を含むことができる。
【0059】
本発明の一つの形態は:
i)少なくとも1種のポリオール;
ii)100重量部当たり約10〜約80重量部のポリオール(pphp)発泡剤;
iii)約0.5〜約10pphpシリコン界面活性剤;
iv)0〜約10pphpの水;
v)0〜約50pphpの難燃剤;
vi)0〜約10pphpのウレタン触媒;および
vii)少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む、約0.05〜約10pphpの触媒組成物;を含む予混合物を生成させることおよび、
(b)約80〜約800のイソシアネートインデックスの少なくとも1種のポリイソシアネートと、予混合物とを接触させることを含むポリイソシアヌレート/ポリウレタン発泡体の調製方法を与える。
前に示したように、発泡剤はクロロフルオロカーボン(CFC)ではない。
【実施例】
【0060】
32オンス(951ml)金属カップ中のポリオール、難燃剤(TCPP)、界面活性剤、ウレタン触媒(ポリキャット(商標)5触媒)、および発泡剤(n−ペンタン)の予混合物に、本発明の触媒を加えることによって、以下の例1〜7の発泡体を生成した。この組成物を2インチ(5.1cm)の直径で攪拌羽をつけたオーバーヘッド攪拌機使用して、約6、000回転/分で約10秒間混合した。
次に充分なイソシアネートを、所望のイソシアネートインデックスを達成するために加え、そして処方を、同一の攪拌機を使用して約6、000回転/分で約6秒間充分に混合した。32オンスカップをスタンド上の128オンス(3804ml)紙カップの底の穴を通して下げた。32オンスカップのふちを捉えるのに適当な様に穴のサイズとした。
発泡体コンテナの全体積は、約160オンス(4755ml)であった。発泡体生成反応の最後では、発泡体はほぼこの体積である。発泡体高さを長期間で記録した。木製の棒(例えば、舌抑圧ポプシクル棒:tongue depressoror popsicle stick)とクロノメータで、ストリングゲル時間(string gel time)および不粘着時間を手動で測定した。開始時間および上昇時間を、上昇装置の自動測定で決定した。
【0061】
例1〜7では、種々のタイプおよび量の触媒を使用して、本発明のPIR/PUR発泡体を生成した。個々の触媒の量が、これらの例では同じではないにもかかわらず、個々の触媒量を選択して、類似のストリングゲル時間を与えた。PIR/PUR発泡体の性質は、典型的には等しいゲルストリング時間で比較する。これらの例では、他に特定していなければ、カルボン酸塩触媒で列挙したpphp値では、追加の希釈剤の重量を除外する。表Iに、例で使用される発泡体処方の成分、およびそれらの個々のpphpを列挙する。
【0062】
表I.(触媒を変えた)例1〜7中の発泡体の処方
【表1】

【0063】
発明例1
基準触媒とピバル酸カリウム触媒との比較
水酸化カリウムをエチレングリコール中に溶解し、次に一当量のピバリン酸を加えることによって中和して、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒1を調製した。中和後に、水が真空蒸留によって除去した。結果として生成するエチレングリコール中約50%溶液のピバル酸カリウム(希釈剤を除いて、約2pphpまたは約2グラム)は、発明の触媒1を構成した。発泡体を、約500のイソシアネートインデックスで、表I中の基準処方を使用して作製した。
【0064】
触媒1を、2つの商業上の基準、ダブコ(商標)K15触媒(70%オクタン酸カリウム溶液)およびダブコTMR(商標)触媒(75%オクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム溶液)と比較した。希釈剤を除いて約4.6pphpのダブコ(商標)K15触媒を使用し、これは、約3.2pphpまたは約3.2グラムのオクタン酸カリウムになる。希釈剤を除いて約4.8pphpのダブコTMR(商標)触媒を使用し、これは約3.6pphpまたは約3.6グラムのオクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムになる。表IIに、発明の触媒1および基準触媒の開始時間、ストリングゲル時間、ストリングゲル時間(HSG)の高さ、上昇時間および不粘着時間等の発泡体のパラメーターを示す。触媒1のストリングゲル時間は、基準触媒より、約8秒長かった。より多いpphpの触媒1を使用して、ストリングゲル時間を短くして、基準触媒に合わせると、不粘着時間は同様に減少するだろう。それ故に、触媒1、ダブコTMR(商標)触媒、およびダブコ(商標)K15触媒の不粘着時間は、実質的に同一であり、類似の表面硬化時間を示す。
【0065】
発明の触媒1、ダブコ(商標)K15触媒、およびダブコTMR(商標)触媒の時間に対する発泡体高さを図1で比較する。ダブコ(商標)K15触媒および触媒1は、ともにアルカリ金属カルボン酸塩触媒であるが、触媒1は立体的に込み合ったアルカリ金属カルボン酸塩触媒である。触媒1の規格化された発泡体高さは、ダブコ(商標)K15触媒の高さに比較して、より均一な勾配およびより目立たない高原を有する。これは、さらに一貫した発泡体高さの上昇になり、そしてダブコ(商標)K15触媒に比べ、工程の改善となっている。触媒1は、ダブコTMR(商標)触媒(オクタン酸2−ヒドロキシルプロピルトリメチルアンモニウム)の特徴である時間に対する発泡体高さの滑らかなプロファイルを有さないが、これはダブコ(商標)K15触媒における改良である。
【0066】
触媒1が、オクタン酸カリウム(ダブコ(商標)K15触媒)のステップに比較してより小さい三量化"ステップ"を有することを図2に具体的に示す。ダブコ(商標)K15触媒は、2つのピークの間に長い谷を有し、この触媒を使用する発泡体の生成と関係する、異なる発泡体の上昇速度を示す。触媒1は、この点で、ダブコ(商標)K15触媒での改善を示す。ダブコ(商標)K15触媒も触媒1も、ダブコTMR(商標)触媒のようなピーク間の短い谷を有さず;この短い谷は、より顕著でない三量化ステップおよび発泡体の生成を通して、さらに一貫した発泡体の上昇速度を示している。
【0067】
しかし、ダブコTMR(商標)触媒は、多くの場合PIR/PUR発泡体の生成の間に遭遇する高温下で、熱的に不安定になる可能性があり、揮発性アミン副生成物に分解する。立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒1は、150℃超までの熱安定性を有し、そして揮発性アミンおよびアミン臭が実質的にないPIR/PUR発泡体を生成可能である。
【0068】
発明例2
ピバル酸ジメチルジアリールアンモニウム触媒と基準触媒との比較
約65%水溶液のジメチルジアリール塩化アンモニウムと、水酸化ナトリウムとを混合することによって、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒2を調製した。結果として生成するジメチルジアリール水酸化アンモニウムをエチレングリコール中で溶解し、続いて一当量のピバリン酸を加えることで中和した。
中和後に、真空蒸留によって、水を除去した。結果として生成するエチレングリコール中ピバル酸ジメチルジアリールアンモニウム(希釈剤を除いて約2.5pphpまたは約2.5グラム)の約50%溶液は、発明の触媒2を構成した。約500のイソシアネートインデックスで、表I中の基準処方を使用して発泡体を作製した。
【0069】
触媒2を、2つの商業上の基準、ダブコ(商標)K15触媒(70%オクタン酸カリウム溶液)およびダブコTMR(商標)触媒(75%オクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム溶液)と比較した。希釈剤を除いて約4.6pphpのダブコ(商標)K15触媒を使用し、これは、約3.2pphpまたは約3.2グラムのオクタン酸カリウムになる。希釈剤を除いて約4.8pphpのダブコTMR(商標)触媒を使用し、これは約3.6pphpまたは約3.6グラムのオクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムになる。
【0070】
表IIに示すように、わずかにより長いストリングゲル時間では、発明の触媒2は、ダブコ(商標)K15触媒およびダブコTMR(商標)触媒の両者の不粘着時間に実質的に等しい約61秒の不粘着時間を与えた。従って、発明の触媒2は、ラミネート加工した発泡体パネル等の最終製品の製造の間に、類似のまたはわずかにより良好な表面硬化比率および表面付着力を有する発泡体生成物を生成する。
【0071】
図3で発明の触媒2、ダブコ(商標)K15触媒、およびダブコTMR(商標)触媒の間に対する発泡体高さを比較する。触媒2曲線は、ダブコ(商標)K15触媒の勾配より均一である勾配を有し、そしてダブコTMR(商標)触媒の勾配よりわずかにより緩い。それ故に、発明の触媒2で生成される発泡体は、ダブコ(商標)K15触媒に比較して、より一貫した発泡体の上昇または長時間の発泡体膨張速度を有するであろう。これは、ラミネーション工程を含む工程等の連続的な発泡体の工程のための望ましい特徴である。触媒2の性能は、ダブコTMR(商標)触媒を連想させる一貫した発泡体高さの上昇および加工性に近づくが、触媒2は、熱的不安定性およびダブコTMR(商標)触媒にかかるアミン臭を有さない。
【0072】
発明例3および4
ネオデカン酸カリウム触媒およびネオヘプタン酸カリウム触媒と基準触媒との比較
水酸化カリウムをエチレングリコール中に溶解することによって、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒3を調製し、次に一当量のネオデカン酸を加えることによって中和した。中和後に、水を真空蒸留で除去した。結果として生成するエチレングリコール中のネオデカン酸カリウム(希釈剤を除いて約3.5pphpまたは約3.5グラム)の約71%溶液が、発明の触媒3を構成した。同様に、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒4を、水酸化カリウムをエチレングリコールに溶解することによって調製し、その後一当量のネオヘプタン酸を加えることによって中和した。中和後に、水を真空蒸留で除去した。結果として生成するエチレングリコール中のネオヘプタン酸カリウム(希釈剤を除いて約2.8pphpまたは2.8グラム、)の約71%溶液が、発明の触媒4を構成した。触媒3と4の両者を使用する発泡体を、約500のイソシアネートインデックスで、表I中の基準処方を使用して作製した。
【0073】
触媒3および4と、2つの商業上の基準、ダブコ(商標)K15触媒(70%オクタン酸カリウム溶液)およびダブコTMR(商標)触媒(75%オクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム溶液)とを比較した。希釈剤を除いて約4.6pphpのダブコ(商標)K15触媒を使用し;これは約3.2pphpまたは約3.2グラムのオクタン酸カリウムになった。希釈剤を除いて約4.8pphpのダブコTMR(商標)触媒を使用し;これは、約3.6pphpまたは約3.6グラムのオクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムになった。
【0074】
表IIに、発明の触媒3および4および基準触媒の開始時間、ストリングゲル時間、ストリングゲル時間(HSG)の高さ、上昇時間および不粘着時間等の発泡体パラメーターをまとめる。触媒3のストリングゲル時間は、基準触媒より約11秒長く、しかし時間を合わせても、不粘着時間は、基準触媒に類似しないであろう。触媒3を品質PIR/PUR発泡体を生成するために使用可能であるが、しかしこの特定のイソシアネートインデックスおよび発泡体処方で、基準触媒ほど触媒活性がない。触媒4のストリングゲル時間は、基準触媒より約6秒長かった。より多いpphpの触媒4を使用して、ストリングゲル時間を基準触媒に合わせた場合、不粘着時間は、同様に減少するであろう。それ故に、触媒4、ダブコTMR(商標)触媒、およびダブコ(商標)K15触媒の不粘着時間は、実質的に同一であり、類似の表面硬化時間を示す。
【0075】
理論によって制約されることを望まないが、触媒3に比較した触媒4の不粘着時間および表面硬化性能は、カルボキシル部分に結合した炭素鎖の長さによって説明可能であると信じられている。触媒4(ネオヘプタン酸カリウム)が、全部で7炭素原子を有する一方で、触媒3(ネオデカン酸カリウム)は、全部で10炭素原子を有する。この理論によって制約される意図は無いが、これらの特別なPIR/PUR発泡体の条件下で、触媒活性上の立体障害の効果は、炭素鎖の長さによって影響されるようである。
【0076】
発明の触媒3および4、ダブコ(商標)K15触媒、およびダブコTMR(商標)触媒の時間に対する発泡体高さを図4で比較する。ダブコ(商標)K15触媒および触媒3および4は、アルカリ金属カルボン酸塩触媒であるが;しかし、触媒3および4は、異なる鎖長さの立体的に込み合ったアルカリ金属カルボン酸塩触媒である。触媒3の規格化された発泡体高さ曲線は、ダブコ(商標)K15触媒の曲線に比較してより目立った高原を有する。不粘着時間および表面硬化データのように、触媒3は、この特別な発泡体の処方では触媒活性基準触媒ほど触媒的に活性ではない。しかし、触媒4は、ダブコ(商標)K15触媒に非常に類似する曲線の形および勾配を有する。従って、触媒4は、ダブコ(商標)K15触媒に比較して類似する発泡体上昇および処理特徴を与えることが期待されるであろう。図4中の触媒は、ダブコTMR(商標)触媒(オクタン酸2−ヒドロキシルプロピルトリメチルアンモニウム)の特徴である時間に対する発泡体高さの滑らかなプロファイルを有していない。しかし、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒3および4は、ダブコTMR(商標)触媒に対して熱的安定性の利点を有する。触媒3および4は、150℃以上まで熱的に安定であり、そして実質的に揮発性アミンおよびアミン臭がないPIR/PUR発泡体を生成可能である。
表II.基準触媒に対する触媒1〜4の発泡体比較
【0077】
【表2】

希釈剤を含む4.6pphpダブコ(商標)K15触媒は、希釈剤を除いて約3.2pphpのオクタン酸カリウム塩触媒になる。
希釈剤を含む4.8pphpダブコTMR(商標)触媒は、希釈剤を除いて約3.6pphpのオクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム触媒になる。
触媒の1〜4pphpの値は、希釈剤を除く。
発明例5
ピバル酸テトラメチルアンモニウム触媒と基準触媒との比較
【0078】
立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒5を、メタノール中のテトラメチル水酸化アンモニウムの約25%溶液とエチレングリコールとを混合することにより調製し、その後一当量のピバリン酸の追加によって中和した。中和後に、メタノールおよび水を真空蒸留によって除去した。結果として生成するエチレングリコール中のピバル酸テトラメチルアンモニウム(希釈剤を除いて約1.25pphpまたは約1.25グラム)の約50%溶液が、発明の触媒5を構成した。発泡体を、約270のイソシアネートインデックスで、表I中の基準処方を使用して作製した。
【0079】
触媒5を、2つの商業上の基準触媒溶液、ダブコ(商標)K15触媒(70%オクタン酸カリウム溶液)およびダブコTMR(商標)触媒(75%オクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム溶液)で調製した。希釈剤を除いて約2.1pphpのダブコK15触媒を使用し;これは、約1.5pphpまたは約1.5グラムのオクタン酸カリウムになった。希釈剤を除いて約2.9pphpのダブコTMR(商標)触媒を使用し;これは、約2.2pphpまたは約2.2グラムのオクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムになった。
【0080】
表IIIに示すように、類似のストリングゲル時間で、発明の触媒5は約67秒の不粘着時間を有し、ダブコ(商標)K15触媒またはダブコTMR(商標)触媒のいずれで達成された時間よりもはるかに短かった。そのままで、触媒5は、ダブコ(商標)K15触媒またはダブコTMR(商標)触媒のいずれに比較しても、より速い表面硬化、より低い表面もろさ、およびしたがって、ラミネート加工した発泡体構造中のより良好な接着性能を有する発泡体を生成するであろう。
【0081】
発明の触媒5、ダブコ(商標)K15触媒、およびダブコTMR(商標)触媒の時間に対する発泡体高さを、図5で比較する。触媒5の曲線は、ダブコ(商標)K15触媒またはダブコTMR(商標)触媒のいずれよりもさらに均一である勾配を有する。それ故に、発明の触媒5で生成された発泡体は、長期間で最も一貫した発泡体上昇または発泡体膨張速度を有するであろう。これはラミネーション工程を含む等の連続的なPIR/PUR発泡体の製造のために有用な特徴である。
【0082】
本発明の触媒5の三量化"ステップ"がほとんどないことは、図6中の2つのピーク間の短い谷および浅い谷の両者によってさらに具体的に説明される。触媒5は、長期間での実質的に一貫した発泡体の上昇速度を提供する
この特徴はPIR/PUR発泡体の生成工程で非常に望ましい。
表III.基準触媒に対する触媒5の発泡体比較
【0083】
【表3】

記:希釈剤を含む2.1pphpダブコK15触媒は、希釈剤を除いて約1.5pphpのオクタン酸カリウム塩触媒になる。
希釈剤を含む2.9pphpダブコTMR(商標)触媒は、希釈剤を除いて約2.2pphpのオクタン酸2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム触媒になる。
触媒の5pphpの値は希釈剤を除く。
【0084】
発明例6
立体的に込み合ったカルボン酸塩および追加のアルカリ金属カルボン酸塩(オクタン酸カリウム)と、基準ダブコ(商標)K15オクタン酸カリウム触媒を含む発明の触媒組成物との比較
発明の触媒組成物を、ピバル酸カリウム溶液(立体的に込み合ったカルボン酸塩;触媒1)と、アルカリ金属カルボン酸塩溶液とを、重量比率を変化させて混合することによって調製した。アルカリ金属カルボン酸塩は、ダブコ(商標)K15触媒として溶液で市販されているオクタン酸カリウムであった。
約250のイソシアネートインデックスで、および全予混合物の約4.5重量%の触媒装填で、表I中の基準処方を使用して発泡体を作製した。予混合物は、イソシアネート以外の表I中の発泡体処方の成分を含む。
【0085】
希釈剤を含めて約3:1の重量比率のK15/触媒1は、希釈剤を除いて約4.2:1になる。同様に、希釈剤を含む約1:1の重量比率のK15/触媒1は、希釈剤を除いて約1.4:1になる。
【0086】
触媒1に対するダブコ(商標)K15触媒の希釈剤を含めた2つの異なる重量比率の時間に対する発泡体高さと、100%で使用される触媒1および100%で使用されるダブコ(商標)K15触媒とを、図7で比較する。ダブコ(商標)K15触媒(オクタン酸カリウム)の量に比較して触媒1(ピバル酸カリウム)の量が増加したため、時間に対する発泡体高さのより滑らかなプロファイルとなった。具体的には、触媒1の量が増加するにつれて、時間に対する発泡体高さの曲線は、さらに均一な勾配およびより目立たない高原を有した。図7中の触媒1(100%ピバル酸カリウム)の曲線は、長い間では、連続的なPIR/PUR発泡工程のために望ましい最も一貫した発泡体上昇をした。
【0087】
ダブコ(商標)K15触媒への触媒1(ピバル酸カリウム)が、ピーク間の深さおよび長さを減少させ、さらに一貫した発泡体の上昇速度を示すことを、図8に具体的に示す。ダブコ(商標)K15触媒に比較して、触媒1は本質的に1つのピークを有する。該ピークは、通常三量化"ステップ"と連携して、より大きいピークと一体化する。これはPUR発泡体で共通して観察される所望の動的なプロファイルであるが、一般的にPIR/PUR発泡体では見出せない。
【0088】
発明例7
本発明の立体的に込み合ったカルボン酸塩を使用して生成されるPIR/PUR発泡体と、混合されたカルボン酸塩基準処方から生成される発泡体との表面もろさの比較。
比較触媒6を、約4.8pphpのダブコ(商標)K15触媒(70%オクタン酸カリウム溶液)と約1.0pphpのポリキャット(商標)46触媒(30%酢酸カリウム溶液)とを混合して調製した。希釈剤を除いて、触媒6は、約3.4pphpオクタン酸カリウムおよび約0.3pphpの酢酸カリウムを含む。比較触媒6は、PIR/PUR発泡体の商業生産で使用される基準触媒処方である。本発明の触媒7は、約5.8pphpの50%ピバル酸テトラメチルアンモニウム溶液(希釈剤を除いて、約2.9pphp)を含んでいた。ピバル酸テトラメチルアンモニウム溶液を、発明例5で先に記載したように調製した。本発明の触媒8は、約5.8pphpの50%ピバル酸カリウム溶液(希釈剤を除いて、約2.9pphp)を含んでいた。ピバル酸カリウム溶液を、先に発明例1中に記載したように調製した。約250のイソシアネートインデックスで、表I中の基準処方を使用して発泡体を作製した。
【0089】
個々の触媒で作製された結果として生成する発泡体について、一般的に次のように要約されるASTM C421にしたがって、表面もろさをテストした。表面脆性法は、実験室のタンブリング機構で作られた摩耗と衝撃の組み合わせの結果として、予め生成したブロック型の発泡体の質量損失を決定する。テスト温度は約73F、そして相対湿度で湿度約50%に管理されている。
12個の約3/4幅の発泡体材料の立方体を最初に計量し、そして次に特定寸法のオーク材の箱の中に入れ、24個の約3/4幅のオーク材の立方体で満たす。箱の蓋をしっかり閉め、そして箱を約60回転/分で、(例えば、600全回転、1200全回転、等)決められた回数だけ回転させる。テストの終わりに、発泡体内容物を約3/8"メッシュスクリーンの上へ空け、立方体を優しく叩いてあらゆる埃または小さい粒子を除く。12の発泡体の立方体を次に計量する。質量損失を、当初質量と最終質量の差をとって、該差を当初質量で割って100を掛けることによって、質量損失%をえることによって規定する。
【0090】
ASTM C421での質量損失は、発泡体の表面もろさに関係する。質量損失が大きい場合は、発泡体の表面で重合しおよび架橋した発泡体ネットワークが弱い。すなわち、表面は非常にもろい。表面上の小さい発泡体粒子は容易に壊れ、ラミネート加工した構造中の貧弱なまたは弱い接着となる。
逆に、質量損失が小さい場合、発泡体表面はより脆くない。これらの発泡体は、(架橋した)強い表面ネットワークを有し、そして別の基材への強い付着力が必要とされる可能性がある、ラミネーション等の用途に充分適しているであろう。
【0091】
表IVは、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒(発明の触媒7および8)を使用して生成した発泡体と、基準となる産業の触媒処方(比較触媒6)を使用して生成した発泡体との表面脆さの比較である。
約600および約1200回転での質量損失%を示す。比較触媒6でできた発泡体は、貧弱な脆度性能を有する。この発泡体は、1200回転で28%以上の目立った質量損失を有し、弱く且つ脆い発泡体表面を示す。立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒7および8でできた発泡体は、明確により少ない質量損失があり、そして従って、より強く且つより脆くない表面を有する。
その結果、より強い表面付着力が必要な場合、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒使用するラミネート加工した発泡体で、性能を改善可能である。
【0092】
表IV.触媒6〜8を使用して生成された発泡体の表面脆さの比較
【表4】

発明例8
炭化水素発泡剤と、トリクロロフルオロメタン発泡剤との比較
【0093】
PIR/PUR発泡体を生成するために使用可能である比較発泡体処方9の組成物を、表Vに示す。表VIに発明の発泡体処方10の組成物を示し。これらの表中の組成物を重量%で示す。使用した三量体触媒は、発明の触媒1、ピバル酸カリウムであり、発明例1中に先に記載したように生成した。
【0094】
比較発泡体処方9は、発泡剤としてトリクロロフルオロメタンを使用した。トリクロロフルオロメタンは、クロロフルオロカーボン(CFC)である。発泡体を、表V中の発泡体処方9使用してトリクロロフルオロメタン発泡剤で生成した;
イソシアネートインデックスは、約340であった。表VI中の発明の発泡体処方10を選択して、発泡体処方9に実質的に等しいが炭化水素発泡剤、n−ペンタンを用いて、発泡体高さおよび発泡体体積を与えた。実質的に等しい発泡体高さおよび発泡体体積での比較のために、わずかにより低い約280のイソシアネートインデックスを利用する発泡体処方10使用して、発泡体を生成した。
【0095】
図9で、トリクロロフルオロメタン発泡剤を用いた比較発泡体処方9と、発泡剤としてn−ペンタンを使用する発明の発泡体処方10との、時間に対する発泡体高さを比較する。図9中の具体的に説明したように、トリクロロフルオロメタン発泡剤は、n−ペンタンに比較して、はるかにより急速な発泡体高さの上昇結果となった。
【0096】
図10中の2つのはっきりとしたピークの存在は、トリクロロフルオロメタン発泡剤を使用して生成された発泡体の上昇速度の比率が一定でないことを具体的に示す。
発泡体は、長期間では劇的に異なる速度で膨張している。これは、ラインの速度を調整して発泡体上昇の速度の劇的な変化を補えない連続的な発泡体の生産ラインでは、特に不都合である。対照的に、n−ペンタン発泡剤を使用して生成した発泡体は、かなりの時間にわたって実質的に均一な発泡体の上昇速度を与える。これは、約25〜約45秒に渡る約10mm/秒の一定した発泡体の上昇速度の実質的に水平な直線によって、図10中で具体的に説明される。発明の触媒1(立体的に込み合ったカルボン酸塩、ピバル酸カリウム)および炭化水素発泡剤(n−ペンタン)の組み合わせは、商業上のPIR/PUR発泡体の製造工程のための非常に望ましい特徴である、長い時間間隔にわたって実質的に一貫した発泡体の上昇速度を提供する。
【0097】
n−ペンタン発泡剤を使用する発泡体処方10は、水およびポリキャット(商標)5触媒(表VI)も含む。次の発泡テストを、これらの材料が図9または10中で具体的に説明された結果を与えるかどうかを決めるために行なった。
水およびポリキャット(商標)5触媒を除去した場合、図9および10中の曲線の形における著しい変化はなかった。n−ペンタンの発泡による曲線は、わずかに右にシフトした(すなわち、開始時間が増加した)だけである。
【0098】
表5.比較発泡体の処方9の組成
【表5】

【0099】
表6.比較発泡体の処方10の組成
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、約500のイソシアネートインデックスでの、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒1、ダブコ(商標)K15触媒、およびダブコTMR(商標)触媒の時間に対する規格化された発泡体高さのプロットを示す。
【図2】図2は、約500のイソシアネートインデックスでの、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒1、ダブコ(商標)K15触媒、およびダブコTMR(商標)触媒の時間に対する発泡体の上昇速度の比率のプロットを示す。
【図3】図3は、約500のイソシアネートインデックスでの、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒2、ダブコ(商標)K15触媒、およびダブコTMR(商標)触媒の時間に対する規格化された発泡体高さのプロットを示す。
【図4】図4は、約500のイソシアネートインデックスでの、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒3および4、ダブコ(商標)K15触媒、およびダブコTMR(商標)触媒の時間に対する規格化された発泡体高さのプロットを示す。
【図5】図5は、約270のイソシアネートインデックスでの、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒5、ダブコ(商標)K15触媒、およびダブコTMR(商標)触媒の時間に対する規格化された発泡体高さのプロットを示す。
【図6】図6は、約270のイソシアネートインデックスでの、立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒5、ダブコ(商標)K15触媒、およびダブコTMR(商標)触媒の時間に対する発泡体の上昇速度の比率のプロットを示す。
【図7】図7は、約250のイソシアネートインデックスでの、ダブコ(商標)K15触媒および立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒1の発明の触媒組み合わせの時間に対する規格化された発泡体高さのプロットを示す。
【図8】図8は、約250のイソシアネートインデックスでの、ダブコ(商標)K15触媒および立体的に込み合ったカルボン酸塩触媒1の発明の触媒組み合わせの時間に対する発泡体の上昇速度の比率のプロットを示す。
【図9】図9は、トリクロロフルオロメタンおよびn−ペンタン発泡剤を使用する発泡体処方のための時間に対する発泡体高さのプロットを示す。
【図10】図10は、トリクロロフルオロメタンおよびn−ペンタン発泡剤を使用する発泡体処方の時間に対する発泡体の上昇速度の比率のプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の活性水素含有化合物;
(b)少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む触媒組成物;および
(c)少なくとも1種の発泡剤(ただし、少なくとも1種の発泡剤はクロロフルオロカーボンでない)。
の接触生成物を含む組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩が、少なくとも1種の第四級炭素部分を含む請求項1の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩が、次式を有する請求項1の組成物。
【化1】

(ここで、R、R、およびRは、いずれも置換または非置換の、C〜C18の、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルから独立して選択されており;
nは、0と10を含む0〜10の整数であり;そしてMは、アルカリ金属イオンまたは第四級アンモニウムイオンである)。
【請求項4】
、R、およびRが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、フェニル、トリル、およびベンジルから独立して選択される請求項3の組成物。
【請求項5】
、R、およびRが、メチル、エチル、プロピル、およびブチルから独立して選択される請求項3の組成物。
【請求項6】
Mが、リチウム、カリウム、ナトリウム、またはルビジウムのイオンである請求項3の組成物。
【請求項7】
Mが、カリウムイオンである請求項3の組成物。
【請求項8】
Mが、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジメチルジアリルアンモニウム、トリメチル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリブチル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、ジメチルベンジル(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム、またはジメチルベンジル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムである請求項3の触媒組成物。
【請求項9】
該整数nが、0と5を含む0〜5の範囲を取ることができる請求項3の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の該立体的に込み合ったカルボン酸塩が、ピバル酸カリウム、ピバル酸テトラメチルアンモニウム、ピバル酸2−ヒドロキシルプロピルトリメチルアンモニウム、ピバル酸2−ヒドロキシルプロピルトリエチルアンモニウム、ピバル酸テトラエチルアンモニウム、ピバル酸テトラプロピルアンモニウム、ピバル酸テトラブチルアンモニウム、ピバル酸ジメチルジアリールアンモニウム、トリエチル酢酸カリウム、トリエチル酢酸テトラメチルアンモニウム、トリエチル酢酸2−ヒドロキシルプロピルトリメチルアンモニウム、トリエチル酢酸2−ヒドロキシルプロピルトリエチルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラエチルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラプロピルアンモニウム、トリエチル酢酸テトラブチルアンモニウム、ネオヘプタン酸カリウム、ネオヘプタン酸テトラメチルアンモニウム、ネオヘプタン酸2−ヒドロキシルプロピルトリメチルアンモニウム、ネオヘプタン酸2−ヒドロキシルプロピルトリエチルアンモニウム、ネオヘプタン酸テトラエチルアンモニウム、ネオヘプタン酸テトラプロピルアンモニウム、ネオヘプタン酸テトラブチルアンモニウム、ネオオクタン酸カリウム、ネオオクタン酸テトラメチルアンモニウム、ネオオクタン酸2−ヒドロキシルプロピルトリメチルアンモニウム、ネオオクタン酸2−ヒドロキシルプロピルトリエチルアンモニウム、ネオオクタン酸テトラエチルアンモニウム、ネオオクタン酸テトラプロピルアンモニウム、ネオオクタン酸テトラブチルアンモニウム、ネオデカン酸カリウム、ネオデカン酸テトラメチルアンモニウム、ネオデカン酸2−ヒドロキシルプロピル、ネオデカン酸2−ヒドロキシルプロピルトリエチルアンモニウム、ネオデカン酸テトラエチルアンモニウム、ネオデカン酸テトラプロピルアンモニウム、ネオデカン酸テトラブチルアンモニウム、またはそれらのいずれかの組み合わせである請求項1の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の該立体的に込み合ったカルボン酸塩が、ピバル酸テトラメチルアンモニウム、ピバル酸ジメチルジアリールアンモニウム、ピバル酸カリウム、ネオヘプタン酸カリウム、ネオデカン酸カリウム、またはそれらのいずれかの組み合わせである請求項1の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の該立体的に込み合ったカルボン酸塩が、ピバリン酸、トリエチル酢酸、ネオヘキサン酸、ネオヘプタン酸、ネオオクタン酸、ネオデカン酸、ネオウンデカン酸、ネオドデカン酸、またはそれらのいずれかの組み合わせの塩である請求項1の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の該発泡剤が、水、塩化メチレン、アセトン、炭化水素、またはそれらのいずれかの組み合わせである請求項1の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の該発泡剤が、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、またはそれらのいずれかの組み合わせである請求項1の組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の該活性水素含有化合物が、少なくとも1種のポリエーテルポリオール、少なくとも1種のポリエステルポリオール、またはそれらのいずれかの組み合わせである請求項1の組成物。
【請求項16】
少なくとも1種のアルカリ金属α、β−不飽和のカルボン酸塩、少なくとも1種のアルカリ金属カルボン酸塩、少なくとも1種のアルカリ土類金属α、β−不飽和のカルボン酸塩、少なくとも1種のアルカリ土類金属カルボン酸塩、少なくとも1種の第四級アンモニウムα、β−不飽和のカルボン酸塩、または少なくとも1種の第四級アンモニウムカルボン酸塩、またはそれらのいずれかの組み合わせをさらに含む請求項1の組成物。
【請求項17】
少なくとも1種のウレタン触媒をさらに含む請求項1の組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の該立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む該触媒組成物が、最高約150℃の温度で熱的に安定である請求項1の組成物。
【請求項19】
少なくとも1種の発泡剤がクロロフルオロカーボンでないという条件で、少なくとも1種の発泡剤および少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む有効量の触媒組成物の存在下で、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種の活性水素を含む化合物とを接触させることを含む、ポリイソシアヌレート/ポリウレタン発泡体の調製方法。
【請求項20】
少なくとも1種の該立体的に込み合ったカルボン酸塩が、少なくとも1種の第四級炭素部分を含む請求項19の方法。
【請求項21】
少なくとも1種のウレタン触媒の存在をさらに含む請求項19の方法。
【請求項22】
少なくとも1種の該立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む該触媒組成物が、少なくとも1種の活性水素を含む化合物100重量部当たり、約0.05〜約10重量部の量で存在する請求項19の方法。
【請求項23】
少なくとも1種の該立体的に込み合ったカルボン酸塩が、次式を有する請求項19の方法。
【化2】

(ここで、R、R、およびRは、置換または非置換のいずれかの、C〜C18の、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキル;−COH;−COM;または水素原子から独立して選択され;
nは、0と10を含む0〜10の整数であり;そして、
Mは、アルカリ金属イオンまたは第四級アンモニウムイオンである)。
【請求項24】
以下を含むポリイソシアヌレート/ポリウレタン発泡体を調製するための方法:
(a)以下を含む予混合物を調製すること:
i)少なくとも1種のポリオール;
ii)ポリオール(pphp)発泡剤100重量部当たり約10〜約80重量部(ただし、発泡剤はクロロフルオロカーボンでない);
iii)約0.5〜約10pphpのシリコン界面活性剤;
iv)0〜約10pphpの水;
v)0〜約50pphpの難燃剤;
vi)0〜約10pphpのウレタン触媒;および
vii)少なくとも1種の立体的に込み合ったカルボン酸塩を含む約0.05〜約10pphpの触媒組成物;および
(b)予混合物と少なくとも1種の約80〜約800のイソシアネートインデックスのポリイソシアネートとを接触させること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−308696(P2007−308696A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−120630(P2007−120630)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】