説明

立体表示装置および表示駆動回路

【課題】液晶分子の応答時間に起因する画質の低下を最小限に抑えることができる立体表示装置および表示駆動回路を得る。
【解決手段】立体表示装置1は、線順次走査により表示駆動され、複数の異なる視点の映像を時分割的に表示する表示部20と、線順次走査の方向において分割された複数のサブ発光領域を含むように構成されたバックライト30と、複数の開閉部12からなる開閉部グループを複数含むように構成された光バリア部(液晶バリア10)と、複数の開閉部グループを、グループ間で互いに異なるタイミングで個別に開閉駆動する光バリア駆動部(バリア駆動部9)と、表示部における線順次走査に同期して、バックライトの各サブ発光領域の発光を制御するバックライト制御部(バックライト駆動部29)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視表示が可能な立体表示装置、およびそのような立体表示装置に用いられる表示駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体視表示を実現できる表示装置(立体表示装置)が注目を集めている。立体視表示は、互いに視差のある(視点の異なる)左眼用映像と右眼用映像を表示するものであり、観察者が左右の目でそれぞれを見ることにより奥行きのある立体的な映像として認識することができる。また、互いに視差がある3つ以上の映像を表示することにより、観察者に対してより自然な立体映像を提供することが可能な表示装置も開発されている。
【0003】
このような立体表示装置は、専用の眼鏡が必要なものと、不要なものとに大別されるが、観察者にとっては専用の眼鏡は煩わしく感じるものであり、専用の眼鏡が不要なものが望まれている。専用の眼鏡が不要な表示装置としては、例えば、レンチキュラーレンズ方式や、視差バリア(パララックスバリア)方式などがある。これらの方式では、互いに視差がある複数の映像(視点映像)を同時に表示し、表示装置と観察者の視点との相対的な位置関係(角度)によって見える映像が異なるようになっている。このような表示装置で複数の視点の映像を表示した場合には、映像の実質的な解像度が、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置などの表示装置自体の解像度を視点の数で割ったものとなり、画質が低下してしまうという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、様々な検討がなされている。例えば、特許文献1には、パララックスバリア方式において、各バリアの透過状態および遮断状態を時分割的に切り替えて時分割表示することにより、等価的に解像度を改善する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−104105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、パララックスバリア方式におけるバリアは、液晶により構成されることが多い。液晶のバリアは、印加される電圧に応じて液晶分子が回転し、その部分の屈折率が変化することにより光変調が生じ、光の透過および遮断を制御するものである。一般に、液晶分子の回転は遅く、例えばTN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの液晶分子の配向における回転による応答時間は、数[msec]から数10[msec]程度となる。一般に、表示装置の画面は、観察者がフリッカなどの画質の低下を感じないようにするため、1/60[sec]周期(約16.67[msec]周期)で書き換えられるが、上記した液晶分子の応答時間は、この画面の書き換え周期に対して無視できない程度の時間を占め、この液晶分子の過渡応答に起因する画質の低下を引き起こしてしまう。
【0007】
例えば特許文献1に示した表示装置でも、液晶によるバリアを用いた場合には、同様の画質低下が生じるおそれがある。この液晶分子の応答時間が画面の書き換え周期に比べて短くなるようにするためには、画面の書き換え周期を長くすることが考えられるが、この場合にはフリッカが生じてしまい、画質の低下を引き起こしてしまう。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、液晶分子の応答時間に起因する画質の低下を最小限に抑えることができる立体表示装置および表示駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の立体表示装置は、表示部と、バックライトと、光バリア部と、光バリア駆動部と、バックライト制御部とを備えている。表示部は、線順次走査により表示駆動され、複数の異なる視点の映像を時分割的に表示するものである。バックライトは、線順次走査の方向において分割された複数のサブ発光領域を含むように構成されたものである。光バリア部は、複数の開閉部からなる開閉部グループを複数含むように構成されたものである。光バリア駆動部は、複数の開閉部グループを、グループ間で互いに異なるタイミングで個別に開閉駆動するものである。バックライト制御部は、表示部における線順次走査に同期して、バックライトの各サブ発光領域の発光を制御するものである。
【0010】
本発明の第2の立体表示装置は、表示部と、バックライトと、光バリア部とを備えている。表示部は、線順次走査により表示駆動され、複数の異なる視点の映像を時分割的に表示するものである。バックライトは、線順次走査の方向において分割された複数のサブ発光領域を含み、表示部における線順次走査に同期して各サブ発光領域が発光するものである。光バリア部は、複数の開閉部からなる開閉部グループを複数含み、その複数の開閉部グループが互いに異なるタイミングで個別に開閉するものである。
【0011】
本発明の表示駆動回路は、バックライト制御部と、光バリア駆動部とを備えている。バックライト制御部は、複数の異なる視点の映像を時分割的に表示する表示部を駆動する際の線順次走査に同期して、その線順次走査の走査方向において分割された複数のサブ発光領域を含むバックライトの発光をそのサブ発光領域ごとに制御するものである。光バリア駆動部は、複数の開閉部からなる開閉部グループを複数含むように構成された光バリア部の各開閉部グループを、グループ間で互いに異なるタイミングで個別に開閉駆動するものである。
【0012】
本発明の第1の立体表示装置、第2の立体表示装置、および表示駆動回路では、表示部に時分割的に表示された複数の異なる視点の映像が、光バリアを介して立体的に表示される。その際、バックライトの複数のサブ発光領域は、表示部の線順次走査に同期してそれぞれ発光制御される。
【0013】
本発明の第1の立体表示装置では、例えば、光バリア部が、複数のサブ発光領域の各々に対応して複数のサブバリア領域に分割されると共に、サブバリア領域ごとに複数の開閉部グループを含み、光バリア駆動部が、サブバリア領域ごとに、複数の開閉部グループを互いに異なるタイミングで個別に開閉駆動し、バックライト制御部が、表示部における線順次走査に加え、複数のサブバリア領域の各開閉部グループの開閉状態にも同期して、バックライトの各サブ発光領域の発光を制御するのが望ましい。この場合、例えば、バックライトのサブ発光領域の数と、光バリア部のサブバリア領域の数が同じであってもよいし、バックライトのサブ発光領域の数が光バリア部のサブバリア領域の数よりも多くしてもよい。例えば、複数の開閉部グループの開閉部は、サブバリア領域のそれぞれにおいて所定数おきに巡回するように配置されるのが望ましい。例えば、光バリア駆動部は、開閉部を開閉部グループごとに時分割的に切り替えて開閉駆動し、表示部は、開状態になった開閉部に対応する位置に順次映像を表示するのが望ましい。例えば、表示部および光バリア部のうちの少なくとも一方が液晶により構成されてもよい。
【0014】
光バリア部が液晶により構成された場合、例えば、バックライト制御部は、光サブバリア領域の開閉部の光の透過率が最大になる時点またはその直前もしくは直後で、対応するサブ発光領域が発光するように制御し、その光の透過率が最大値から低下し始めた時点またはその直前もしくは直後で、対応するサブ発光領域が消灯するように制御してもよい。ここで、「直前もしくは直後」とは、観察者が見たときに画質の劣化を感じないタイミングを意味する。
【0015】
表示部が液晶により構成されば場合、例えば、バックライト制御部は、表示部の表示の切り換わり完了時点またはその直前もしくは直後で、対応するサブ発光領域が発光するように制御し、その表示部の表示の切り換わり開始時点またはその直前もしくは直後で、対応するサブ発光領域が消灯するように制御してもよい。
【0016】
例えば、光バリア部は、バックライトと表示部との間に配置されてもよい。また、例えば、表示部は、バックライトと光バリア部との間に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の立体表示装置、第2の立体表示装置、および表示駆動回路によれば、線順次走査の走査方向に対してバックライトを分割し、バックライトをそれぞれ独立して発光するようにしたので、液晶分子の応答時間に起因する画質の低下を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図3】実施の形態に係る表示駆動部および表示部の一構成例を表すブロック図である。
【図4】実施の形態に係る表示部の一構成例を表す説明図である。
【図5】実施の形態に係る画素の一構成例を表す回路図である。
【図6】実施の形態に係るバックライトの一構成例を表す説明図である。
【図7】実施の形態に係る液晶バリアの一構成例を表す説明図である。
【図8】実施の形態に係る液晶バリアの立体視表示の一動作例を表す模式図である。
【図9】実施の形態に係る表示部および液晶バリアの一動作例を表す模式図である。
【図10】実施の形態に係る表示部および液晶バリアの一動作例を表す他の模式図である。
【図11】実施の形態に係る表示部の一動作例を表すタイミング図である。
【図12】実施の形態に係る立体表示装置の一動作例を表す他の説明図である。
【図13】実施の形態に係る立体表示装置の一動作例を表す他のタイミング図である。
【図14】比較例に係る立体表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図15】比較例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図16】本発明の実施の形態の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図17】本発明の実施の形態の他の変形例に係る立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図18】本発明の実施の形態の他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表す模式図である。
【図19】本発明の実施の形態の他の変形例に係るバックライトの一構成例を表す平面図である。
【図20】本発明の実施の形態の他の変形例に係る液晶バリアの一構成例を表す平面図である。
【図21】本発明の実施の形態の他の変形例に係る表示部および液晶バリアの一動作例を表す模式図である。
【図22】本発明の実施の形態の他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表す説明図である。
【図23】本発明の実施の形態の他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表す説明図である。
【図24】本発明の実施の形態の他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図25】本発明の実施の形態の他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図26】本発明の実施の形態の他の変形例に係る立体表示装置の一構成例を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すものである。なお、本発明の実施の形態に係る表示駆動回路は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。立体表示装置1は、制御部40と、表示駆動部50と、表示部20と、バックライト駆動部29と、バックライト30と、バリア駆動部9と、液晶バリア10とを備えている。
【0021】
制御部40は、外部より供給される映像信号Vdispに基づいて、表示駆動部50、バックライト駆動部29、およびバリア駆動部9に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。具体的には、制御部40は、表示駆動部50に対して映像信号Vdispに基づく映像信号Sを供給し、バックライト駆動部29に対してバックライト制御命令を供給し、バリア駆動部9に対してバリア制御命令を供給するようになっている。ここで、映像信号Sは、立体表示装置1が立体視表示を行う場合に、後述するように、それぞれが複数(この例では6つ)の視点映像を含む映像信号SA,SBから構成されるものである。
【0022】
表示駆動部50は、制御部40から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動するものである。表示部20は、液晶素子を駆動して、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行うものである。
【0023】
バックライト駆動部29は、制御部40から供給されるバックライト制御信号に基づいてバックライト30を駆動するものである。バックライト30は、表示部20に対して面発光した光を射出する機能を有している。
【0024】
バリア駆動部9は、制御部40から供給されるバリア制御命令に基づいて液晶バリア10を駆動するものである。液晶バリア10は、液晶により構成された複数の開閉部11,12(後述)を有し、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を、透過または遮断する機能を有している。
【0025】
図2は、立体表示装置1の要部の一構成例を表すものであり、(A)は立体表示装置1の分解斜視構成を示し、(B)は立体表示装置1の側面図を示す。図2に示したように、立体表示装置1では、これらの各部品は、バックライト30、表示部20、および液晶バリア10の順に配置されている。つまり、バックライト30から射出した光は、表示部20および液晶バリア10を介して、観察者に届くようになっている。
【0026】
(表示駆動部50および表示部20)
図3は、表示駆動部50および表示部20のブロック図の一例を表すものである。表示駆動部50は、タイミング制御部51と、ゲートドライバ52と、データドライバ53とを備えている。タイミング制御部51は、ゲートドライバ52およびデータドライバ53の駆動タイミングを制御するとともに、制御部40から供給された映像信号Sを映像信号S1としてデータドライバ53へ供給するものである。ゲートドライバ52は、タイミング制御部51によるタイミング制御に従って、液晶表示デバイス45内の画素Pix(後述)を行ごとに順次選択して、線順次走査するものである。データドライバ53は、表示部20の各画素Pixへ、映像信号S1に基づく画素信号を供給するものである。具体的には、データドライバ53は、映像信号S1に基づいてD/A(デジタル/アナログ)変換を行うことにより、アナログ信号である画素信号を生成し、各画素Pixへ供給するようになっている。
【0027】
表示部20は、例えばガラスなどから構成される2枚の透明基板の間に液晶材料を封入したものである。これらの透明基板の液晶材料に面した部分には、例えばITO(Indium Tin Oxide)などから構成される透明電極が形成され、液晶材料とともに画素Pixを構成している。
【0028】
図4は、表示部20の一構成例を表すものである。図5は、画素Pixの回路図の一例を表すものである。表示部20には、図4に示したように、画素Pixがマトリックス状に配置されている。
【0029】
画素Pixは、図5に示したように、TFT(Thin Film Transistor)素子Trと、液晶素子LCと、保持容量素子Cとを備えている。TFT素子Trは、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)により構成されるものであり、ゲートがゲート線Gに接続され、ソースがデータ線Dに接続され、ドレインが液晶素子LCの一端と保持容量素子Cの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は接地されている。保持容量素子Cは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は保持容量線Csに接続されている。ゲート線Gはゲートドライバ52に接続され、データ線Dはデータドライバ53に接続されている。
【0030】
図4に示した区域Z1,Z2は、詳細は後述するが、バックライト30の発光部BL1,BL2(後述)の位置に対応するものである。つまり、表示部20は、区域Z1に対して発光部BL1から射出した光が入射し、区域Z2に対して発光部BL2から射出した光が入射するように配置されている。
【0031】
この構成により、バックライト30から射出した光は、表示部20の入射側に配置された偏光板(図示せず)によって定められる方向の直線偏光となり、液晶素子LCに入射する。液晶素子LCでは、データ線Dを介して供給された画素信号に応じて、液晶分子の向きがある応答時間で変化する。このような液晶素子LCに入射した光は、その偏光方向が変化する。そして、液晶素子LCを透過した光は、表示部20の出射側に配置された偏光板(図示せず)に入射し、特定の偏光方向の光のみが通過する。このようにして、液晶素子LCでは光の強度変調が行われるようになっている。
【0032】
(バックライト30)
図6は、バックライト30の一構成例を表すものであり、(A)はバックライト30の平面図を示し、(B)はバックライト30の要部の斜視図を示す。バックライト30は、図6(A)に示したように、独立して発光可能な2つの発光部BL1,BL2を有している。発光部BL1,BL2は、図6(B)に示したように、それぞれ、光源31と、導光板32とを有している。光源31は、この例では、LED(Light Emitting Diode)により構成されている。導光板32は、光源31から射出した光を拡散することにより、発光部BL1,BL2がほぼ均一に面発光するように機能する。
【0033】
発光部BL1,BL2が独立して発光できるようにするため、バックライト30では、発光部BL1と発光部BL2との間で互いに光が伝わらないようになっている。具体的には、まず、1つの光源31から射出した光は、その光源31に対応する導光板32にのみ入射するようになっている。そして、導光板32に入射した光は、導光板32の側面において全反射するようになっており、これにより隣接する導光板32にこの側面を介して光が伝わらないようになっている。この全反射は、具体的には、光源31の位置を調整し、あるいは、導光板32の側面に光反射を起こす反射面を設けることにより実現可能である。なお、この例では、光源31はLEDにより構成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)により構成されるようにしてもよい。
【0034】
発光部BL1,BL2は、図4に示した区域Z1,Z2に対応するものである。つまり、発光部BL1から射出した光は表示部20の区域Z1に入射し、発光部BL2から射出した光は表示部20の区域Z2に入射する。つまり、表示部20の区域Z1に配置された画素Pixは、発光部BL1から射出した光に基づいて表示を行い、同様に、区域Z2に配置された画素Pixは、発光部BL2から射出した光に基づいて表示を行うようになっている。
【0035】
この構成により、バックライト駆動部29がバックライト30の発光部BL1,BL2を互いに異なるタイミングで駆動することにより、立体表示装置1は、区域Z1における表示と、区域Z2における表示とを、互いに異なるタイミングで行うようになっている。
【0036】
(液晶バリア10)
図7は、液晶バリア10の一構成例を表すものであり、(A)は液晶バリア10の平面図を示し、(B)は側面図を示す。なお、この例では、液晶バリア10はノーマリーブラック動作を行うものとする。つまり、液晶バリア10は、駆動されていない状態では光を遮断するものとする。
【0037】
液晶バリア10は、図7(A)に示したように、光を透過または遮断する複数の開閉部11,12を有している。開閉部11,12は、立体表示装置1が通常表示(2次元表示)および立体視表示のどちらを行うかにより、異なる動作を行う。具体的には、開閉部11は、後述するように、立体表示装置1が通常表示を行う際に開放状態(透過状態)になり、立体視表示を行う際には、閉状態(遮断状態)となるものである。開閉部12は、後述するように、立体表示装置1が通常表示を行う際に開放状態(透過状態)になり、立体視表示を行う際には、時分割的に開閉動作を行うものである。
【0038】
液晶バリア10は、図7(B)に示したように、透明基板13と、透明基板13に対向して配置された透明基板16と、透明基板13と透明基板16との間に挿設された液晶層19とを備えている。透明基板13,16は、例えばガラスなどから構成されるものである。透明基板13の液晶層19側の面、および透明基板16の液晶層19側の面には、例えばITOなどから構成される複数の透明電極15,17がそれぞれ形成されている。透明基板13上に形成された透明電極15と、透明基板16上に形成された透明電極17とは、互いに対応する位置に配置されており、液晶層19とともに開閉部11,12を構成している。透明基板13の液晶層19とは反対側の面、および透明基板16の液晶層19とは反対側の面には、偏光板14,18がそれぞれ形成されている。なお、図示していないが、図7(B)において、液晶バリア10の右側(偏光板18の右側)には、表示部20およびバックライト30が図2(B)に示した順に配置されている。
【0039】
液晶バリア10の開閉部11,12の開閉動作は、表示部20における表示動作と同様である。すなわち、バックライト30から射出し表示部20を透過した光は、偏光板18によって定められる方向の直線偏光となり、液晶層19に入射する。液晶層19では、透明電極15,17に供給された電位差に応じて、液晶分子の向きがある応答時間で変化する。このような液晶層19に入射した光は、その偏光方向が変化する。そして、液晶層19を透過した光は、偏光板14に入射し、特定の偏光方向の光のみが通過する。このようにして、液晶層19では光の強度変調が行われるようになっている。
【0040】
この構成により、透明電極15,17に電圧を印加してその電位差を大きくなると、液晶層19における光の透過率が増大し、開閉部11,12は透過状態になる。一方、透明電極15,17間の電位差が小さくなると、液晶層19における光の透過率が減少し、開閉部11,12は遮断状態となる。
【0041】
なお、この例では、液晶バリア10はノーマリーブラック動作を行うものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えばノーマリーホワイト動作を行うものであってもよい。この場合には、透明電極15,17間の電位差が大きくなると、開閉部11,12は遮断状態となり、透明電極15,17間の電位差が小さくなると、開閉部11,12は透過状態となる。なお、ノーマリーブラック動作とノーマリーホワイト動作の選択は、例えば、偏光板と液晶配向により設定することができる。
【0042】
図7(A)に示した区域Z1,Z2は、図4に示した表示部20の場合と同様に、バックライト30の発光部BL1,BL2の位置に対応するものである。つまり、液晶バリア10は、液晶バリア10の区域Z1に対して発光部BL1から射出した光が表示部20を介して入射し、区域Z2に対して発光部BL2から射出した光が表示部20を介して入射するように配置されている。
【0043】
液晶バリア10では、区域Z1に配置された開閉部12と、区域Z2に配置された開閉部12とは、互いに独立して動作できるようになっている。バリア駆動部9は、これらの開閉部12を独立に駆動することにより、立体視表示を行う際、区域Z1の開閉部12が開閉動作を行うタイミングと、区域Z2の開閉部12が開閉動作を行うタイミングとが互いに異なるようにすることができる。
【0044】
区域Z1,Z2のそれぞれにおいて、複数の開閉部12はグループを形成する。同じグループに属する複数の開閉部12は、立体視表示を行う際、同じタイミングで開動作および閉動作を行うようになっている。以下に、開閉部12のグループについて説明する。
【0045】
図8は、開閉部12のグループ構成例を表すものである。区域Z1,Z2のそれぞれにおいて、開閉部12は、この例では2つのグループを形成している。具体的には、区域Z1において、1つおきに配置された複数の開閉部12が、グループA1およびグループB1をそれぞれ形成している。同様に、区域Z2において、1つおきに配置された複数の開閉部12が、グループA2およびグループB2をそれぞれ形成している。
【0046】
バリア駆動部9は、立体視表示を行う際、同じグループに属する複数の開閉部12が同じタイミングで開閉動作を行うように駆動する。具体的には、区域Z1において、バリア駆動部9は、後述するように、グループA1に属する複数の開閉部12と、グループB1に属する複数の開閉部12とを、時分割的に交互に開閉動作するように駆動する。このように、同じグループに属する複数の開閉部12が同じタイミングで動作するためには、例えば、バリア駆動部9が、同じグループに属する複数の開閉部12の透明電極15,17に対して、同時に駆動信号を印加すればよい。また、同じグループに属する複数の開閉部12の透明電極15,17を互いに結線することにより、同時に駆動信号を印加するようにしてもよい。
【0047】
なお、以下では、グループA1,A2の総称としてグループAを適宜用い、同様に、グループB1,B2の総称としてグループBを適宜用いるものとする。また、グループA(グループA1,A2)に属する開閉部12の総称として開閉部12Aを適宜用い、同様に、グループB(グループB1,B2)に属する開閉部12の総称として開閉部12Bを適宜用いるものとする。
【0048】
図9は、立体視表示および通常表示(2次元表示)を行う場合の液晶バリア10の状態を、断面構造を用いて模式的に表すものであり、(A)は立体視表示を行う一状態を示し、(B)は立体視表示を行う他の状態を示し、(C)は通常表示を行う状態を示す。液晶バリア10には、開閉部11および開閉部12(開閉部12A,12B)が交互に配置されている。この例では、開閉部12Aは、表示部20の6つの画素Pixに1つの割合で設けられている。同様に、開閉部12Bは、表示部20の6つの画素Pixに1つの割合で設けられている。以下の説明では、画素Pixは、3つのサブピクセル(RGB)から構成されたピクセルとするが、これに限定されるものではなく、例えば、画素Pixがサブピクセルであってもよい。また、液晶バリア10において、光が遮断される部分は斜線で示している。
【0049】
立体視表示を行う場合には、表示駆動部50に映像信号SA,SBが交互に供給され、液晶バリア10では、開閉部12(開閉部12A,12B)が時分割的に開閉動作を行い、開閉部11が閉状態(遮断状態)を維持する。具体的には、映像信号SAが供給された場合には、図9(A)に示したように、開閉部12Aが開状態になるとともに、開閉部12Bが閉状態になる。表示部20では、この開閉部12Aに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SAに含まれる6つの視点映像に対応する表示を行う。これにより、観察者は、後述するように、例えば左眼と右眼とで異なる視点映像を見ることにより、表示された映像を立体的な映像として感じるようになっている。同様に、映像信号SBが供給された場合には、図9(B)に示したように、開閉部12Bが開状態になるとともに、開閉部12Aが閉状態になる。表示部20では、この開閉部12Bに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SBに含まれる6つの視点映像に対応する表示を行う。これにより、観察者は、後述するように、例えば左眼と右眼とで異なる視点映像を見ることにより、表示された映像を立体的な映像として感じるようになっている。立体表示装置1では、このように、開閉部12Aと開閉部12Bを交互に開放して映像を表示することにより、後述するように、表示装置の解像度を高めることができるようになっている。
【0050】
通常表示(2次元表示)を行う場合には、液晶バリア10では、図9(C)に示したように、開閉部11および開閉部12(開閉部12A,12B)はともに開放状態(透過状態)を維持するようになっている。これにより、観察者は、映像信号Sに基づいて表示部20に表示された通常の2次元映像をそのまま見ることができる。
【0051】
なお、図9に示したように、開閉部11と開閉部12との間には、開閉部境界23が設けられている。この開閉部境界23では、透明基板13,16上に透明電極15,17がそれぞれ形成されていない。つまり、開閉部境界23は、開閉部11と開閉部12とは異なり、開閉動作を行うことができず、ノーマリーブラック動作を行う液晶バリア10では常に閉状態(遮断状態)となる。一方、ノーマリーホワイト動作を行う液晶バリア10では常に開放状態(透過状態)となる。この開閉部境界23は、開閉部11,12に比べて十分に小さいものであるため、観察者が気になることはほとんどない。これ以降の図および説明では、この開閉部境界23を適宜省略することとする。
【0052】
ここで、バックライト30における区域Z1,Z2は、本発明における「サブ発光領域」の一具体例に対応する。グループA1,B1,A2,B2は、本発明における「開閉部グループ」の一具体例に対応する。液晶バリア10は、本発明における「光バリア部」の一具体例に対応する。バリア駆動部9は、本発明における「光バリア駆動部」の一具体例に対応する。バックライト駆動部29は、本発明における「バックライト制御部」の一具体例に対応する。液晶バリア10における区域Z1,Z2は、本発明における「サブバリア領域」の一具体例に対応する。
【0053】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の立体表示装置1の動作および作用について説明する。
【0054】
(全体動作概要)
制御部40は、外部より供給される映像信号Vdispに基づいて、表示駆動部50、バックライト駆動部29、およびバリア駆動部9に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。バックライト駆動部29は、制御部40から供給されるバックライト制御信号に基づいてバックライト30を駆動する。バックライト30は、面発光した光を表示部20に対して射出する。表示駆動部50は、制御部40から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動する。表示部20は、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行う。バリア駆動部9は、制御部40から供給されるバリア制御命令に基づいて液晶バリア10を駆動する。液晶バリア10は、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を、透過または遮断する。
【0055】
(立体視表示の詳細動作)
次に、いくつかの図を参照して、立体視表示を行う場合の詳細動作を説明する。
【0056】
図10は、表示部20および液晶バリア10の動作例を表すものであり、(A)は、映像信号SAが供給された場合を示し、(B)は映像信号SBが供給された場合を示す。
【0057】
映像信号SAが供給された場合には、図10(A)に示したように、表示部20の画素Pixのそれぞれは、映像信号SAに含まれる6つの視点映像のそれぞれに対応する画素情報P1〜P6を表示する。このとき、画素情報P1〜P6は、開閉部12A付近に配置された画素Pixにそれぞれ表示される。映像信号SAが供給された場合には、液晶バリア10では、開放部12Aが開放状態(透過状態)になるとともに、開放部12Bが閉状態になるように制御されている。表示部20の各画素Pixから出た光は、開閉部12Aによりそれぞれ角度が制限されて出力される。観察者は、例えば左眼で画素情報P3を、右眼で画素情報P4を見ることにより、立体的な映像を見ることができる。
【0058】
映像信号SBが供給された場合には、図10(B)に示したように、表示部20の画素Pixのそれぞれは、映像信号SBに含まれる6つの視点映像のそれぞれに対応する画素情報P1〜P6を表示する。このとき、画素情報P1〜P6は、開閉部12B付近に配置された画素Pixにそれぞれ表示される。映像信号SBが供給された場合には、液晶バリア10では、開放部12Bが開放状態(透過状態)になるとともに、開放部12Aが閉状態になるように制御されている。表示部20の各画素Pixから出た光は、開閉部12Bによりそれぞれ角度が制限されて出力される。観察者は、例えば左眼で画素情報P3を、右眼で画素情報P4を見ることにより、立体的な映像を見ることができる。
【0059】
このように、観察者は、左眼と右眼とで、画素情報P1〜P6のうちの異なる画素情報を見ることとなり、観察者は立体的な映像として感じることができる。また、開閉部12Aと開閉部12Bを時分割的に交互に開放して映像を表示することにより、観察者は、互いにずれた位置に表示される映像を平均化して見ることとなる。よって、立体表示装置1は、開口部12Aのみをもつ場合に比べ、2倍の解像度を実現することが可能となる。言い換えれば、立体表示装置1の解像度は、2次元表示の場合に比べ1/3(=1/6×2)で済むこととなる。
【0060】
次に、液晶バリア10、表示部20、およびバックライト30における、区域Z1,Z2の各区域の動作を詳細に説明する。
【0061】
図11は、表示部20における表示動作を表すものである。縦軸は、表示部20の線順次走査方向(y軸方向)(図4)の位置を示し、横軸は時間を示す。つまり、図11は、ある時刻の、あるy軸方向の位置における、表示動作状態を示している。図11において、“SA”は映像信号SAに基づく表示を行っている状態を示し、“SB”は映像信号SBに基づく表示を行っている状態を示している。また、“SA→SB”は、表示駆動部50に映像信号SBが供給され、映像信号SAに基づく表示から映像信号SBに基づく表示に変化している状態を示している。同様に、“SB→SA”は、表示駆動部50に映像信号SAが供給され、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化している状態を示している。この“SA→SB”および“SB→SA”は、液晶分子の応答時間τに対応するものである。
【0062】
表示部20は、時刻aから時刻iまでの間、表示部20の最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に切り換わる。
【0063】
まず、時刻aでは、表示部20は、図11に示したように、y軸方向の全ての位置において、映像信号SBに基づく表示を行う。つまり、表示部20の表示面全体にわたり、映像信号SBに基づく表示を行っていることを示している。
【0064】
その後、表示部20では、最上部から各画素Pixに対して映像信号SAに基づく画素信号が順次印加され、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化していく。例えば、時刻cでは、区域Z1(表示部20の上部)は、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化している状態となり、一方、区域Z2(表示部20の下部)は、引き続き映像信号SBに基づく表示を行う。つまり、区域Z1の画素Pixには、映像信号SAに応じた画素信号が印加されているが、液晶の応答速度が遅く、表示はすぐに切り換わることはできないため、このように過渡的な状態となっている。
【0065】
そして、時刻eでは、表示部20の表示面全体が、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化している状態となる。
【0066】
その後、表示部20では、最上部から液晶の応答が順次終了し、映像信号SAに基づく表示を行う。例えば、時刻gでは、区域Z1(表示部20の上部)は、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に切り換わり、一方、区域Z2(表示部20の下部)は、引き続き、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化している状態を維持する。
【0067】
そして、時刻iでは、表示部20の表示面全体において、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に切り換わる。すなわち、表示部20は、映像信号SAに基づく表示を行う。
【0068】
次に、表示部20は、時刻jから時刻rまでの間、同様に、表示部20の最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、映像信号SAに基づく表示から映像信号SBに基づく表示に切り換わる。
【0069】
表示部20は、上述した時刻aから時刻rまでの動作を繰り返すことにより、映像信号SAに基づく表示および映像信号SBに基づく表示を交互に繰り返す。
【0070】
図12は、立体表示装置1における表示動作を表すものであり、(A)は表示部20の状態を示し、(B)は液晶バリア10の状態を示し、(C)はバックライト30の状態を示す。 図12(A)において、“SA”、“SB”、“SA→SB”、および“SB→SA”は、図11に示したものと同様である。図12(B)において、“A1”は、液晶バリア10のグループA1に属する開閉部12が開放し、グループB1に属する開閉部12が遮断している状態を示す。“B1”は、液晶バリア10のグループB1に属する開閉部12が開放し、グループA1に属する開閉部12が遮断している状態を示す。“A1→B1”は、グループB1に属する開閉部12が遮断から開放へ変化するとともに、グループA1に属する開閉部12が開放から遮断へ変化している状態を示す。“B1→A1”は、グループA1に属する開閉部12が遮断から開放へ変化するとともに、グループB1に属する開閉部12が開放から遮断へ変化している状態を示す。図12(B)において、“A2”、“B2”、“A2→B2”、および“B2→A2”は、これらと同様である。すなわち、“A2”は、液晶バリア10のグループA2に属する開閉部12が開放し、グループB2に属する開閉部12が遮断している状態を示す。“B2”は、液晶バリア10のグループB2に属する開閉部12が開放し、グループA2に属する開閉部12が遮断している状態を示す。“A2→B2”は、グループB2に属する開閉部12が遮断から開放へ変化するとともに、グループA2に属する開閉部12が開放から遮断へ変化している状態を示す。“B2→A2”は、グループA2に属する開閉部12が遮断から開放へ変化するとともに、グループB2に属する開閉部12が開放から遮断へ変化している状態を示す。図12(C)において、“ON”はバックライト30の発光部BL1,BL2が発光している状態を示し、“OFF”は消灯している状態を示す。つまり、例えば、区域Z1における“ON”は、発光部BL1が発光していることを示し、区域Z2における“ON”は発光部BL2が発光していることを示す。時刻a〜rは、図11と対応するものである。
【0071】
まず、時刻aから時刻iまでの間、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査を行われ、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化する。液晶バリア10では、バリア駆動部9から供給される駆動信号に基づき、表示部20における表示の変化状態に対応するように、グループA(グループA1,A2)に属する開閉部12が遮断から開放へ変化するとともに、グループB(グループB1,B2)に属する開閉部12が開放から遮断へ変化する。バックライト30は、バックライト駆動部29から供給される駆動信号に基づき、区域Z1,Z2における表示部20および液晶バリア10の状態に対応するように、発光部BL1,BL2を発光する。
【0072】
時刻aにおいて、表示部20は、表示面全体にわたり映像信号SBに基づく表示を行う。液晶バリア10では、映像信号SBに対応するグループB1,B2に属する開閉部12が開放状態になるとともに、グループA1,A2に属する開閉部12が遮断状態になっている。バックライト30は、区域Z1,Z2の発光部BL1,BL2がともに発光状態になっている。これにより、立体表示装置1では、映像信号SBに基づく表示が行われる。
【0073】
時刻bにおいて、表示部20の上部から1/4の部分(区域Z1の半分)が、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化している状態となる。液晶バリア10では、表示部20において上述した変化が始まった区域Z1では、映像信号SAに係るグループA1に属する開閉部12が遮断から開放へ変化するとともに、映像信号SBに係るグループB1に属する開閉部12が開放から遮断へ変化している状態となる。つまり、区域Z1のグループA1,B1に属する開閉部12は、表示部20と同様に、液晶の応答速度が遅く、その状態がすぐに切り替わることができないため、このような過渡的な状態となる。バックライト30では、表示部20および液晶バリア10において上述した変化が始まった区域Z1に対応する発光部BL1が消灯する。これにより、観察者は、表示部20および液晶バリア10の上述した変化状態を見ることがないので、画質劣化を低減することができる。
【0074】
時刻cにおいて、表示部20の区域Z1は、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化している状態となる。液晶バリア10およびバックライト30は、時刻bと同様の状態である。
【0075】
時刻dにおいて、表示部20の上部から3/4の部分(区域Z1の全体および区域Z2の半分)は、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化している状態となる。液晶バリア10の区域Z1では、グループA1,B1に属する開閉部12が引き続き変化し、表示部20において上述した変化が始まった区域Z2では、映像信号SAに係るグループA2に属する開閉部12が遮断から開放へ変化するとともに、映像信号SBに係るグループB2に属する開閉部12が開放から遮断へ変化している状態となる。バックライト30では、表示部20および液晶バリア10において上述した変化が生じている区域Z1,Z2全体に対応する発光部BL1,BL2がともに消灯する。これにより、観察者は、表示部20および液晶バリア10の上述した変化状態を見ることはないので、画質劣化を低減することができる。
【0076】
時刻eにおいて、表示部20の表示面全体が、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化している状態となる。液晶バリア10およびバックライト30は、時刻dと同様の状態である。
【0077】
時刻fにおいて、表示部20の上部から1/4の部分(区域Z1の半分)では、表示が変化が終了して映像信号SAに基づく表示を行い、その他の3/4の部分(区域Z1の半分および区域Z2全体)では、表示が引き続き変化する。液晶バリア10およびバックライト30は、時刻eと同様の状態である。
【0078】
時刻gにおいて、表示部20の区域Z1では、表示の変化が終了して映像信号SAに基づく表示を行い、区域Z2では表示が引き続き変化する。液晶バリア10の区域Z1では、開閉状態の変化が終了し、映像信号SAに係るグループA1に属する開閉部12が開放状態となる。液晶バリア10の区域Z2では、開閉状態が引き続き変化する。バックライト30では、表示部20および液晶バリア10において上述した変化が終了した区域Z1に対応する発光部BL1が発光する。
【0079】
時刻hにおいて、表示部20の上部から3/4の部分(区域Z1の全体および区域Z2の半分)では、表示の変化が終了して映像信号SAに基づく表示を行い、残りの1/4の部分(区域Z2の半分)では表示が引き続き変化する。液晶バリア10およびバックライト30は、時刻gと同様の状態である。
【0080】
時刻iにおいて、表示部20では、表示面全体にわたり表示の変化が終了し、映像信号SAに基づく表示を行う。液晶バリア10では、区域Z1,Z2全体にわたり開閉状態の変化が終了し、映像信号SAに係るグループA1,A2に属する開閉部12が開放状態になるとともに、映像信号SBに係るグループB1,B2に属する開閉部12が遮断状態になる。バックライト30では、表示部20および液晶バリア10において上述した変化が終了した区域Z2に対応する発光部BL2が発光する。これにより、区域Z1,Z2全体に対応する発光部BL1,BL2が発光する。
【0081】
次に、時刻jから時刻rまでの間、表示部20では、上述した時刻aから時刻iまでの間と同様に、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査が行われ、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に変化する。液晶バリア10では、バリア駆動部9から供給される駆動信号に基づき、表示部20における表示の変化状態に対応するように、グループB(グループB1,B2)に属する開閉部12が遮断から開放へ変化するとともに、グループA(グループA1,A2)に属する開閉部12を開放から遮断へ変化する。バックライト30は、バックライト駆動部29から供給される駆動信号に基づき、区域Z1,Z2における表示部20および液晶バリア10の状態に対応するように、発光部BL1,BL2を発光する。
【0082】
立体表示装置1は、上述した時刻aから時刻rまでの動作を繰り返すことにより、映像信号SAに基づく表示および映像信号SBに基づく表示を交互に繰り返す。
【0083】
図13は、表示部20の表示状態とバックライト30の発光状態との関係を表すものであり、(A)は表示部20の表示状態を示し、(B)はバックライト30の発光状態を示す。図13(B)に示したように、バックライト30の区域Z1に対応する発光部BL1は、例えば時刻gから時刻jの間(時間T0)で発光し、区域Z2に対応する発光部BL2は、例えば時刻iから時刻lの間(時間T0)で発光する。このように、表示部20の線順次走査方向に対してバックライト30を分割し、走査に合わせてそれぞれを独立して発光するようにしたので、発光時間を長くすることができ、輝度を高めることができる。
【0084】
(比較例)
図14は、(本発明を利用しない)比較例に係る立体表示装置1Rの一構成例を表すものである。本比較例では、表示部の線順次走査方向に対して分割されていないバックライトを用いて立体表示装置1Rを構成している。なお、上記第1の実施の形態に係る立体表示装置1(図1など)と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0085】
立体表示装置1Rは、バックライト30Rと、液晶バリア10Rとを備えている。バックライト30Rは、上記実施の形態に係るバックライト30(図6)とは異なり、表示部の線順次走査方向(y軸方向)において、発光部が分割されていないものであり、バックライト30Rの全面から同時に光を射出し、または消灯するものである。このバックライト30Rは、バックライト駆動部29Rにより駆動されるようになっている。液晶バリア10Rは、バックライト30Rと同様に、表示部の線順次走査方向(y軸方向)において、開閉部12が分割されていないものである。この液晶バリア10Rは、バリア駆動部9Rにより駆動されるようになっている。
【0086】
図15は、比較例に係る表示部20の表示状態とバックライト30Rの発光状態との関係を表すものであり、(A)は表示部20の表示状態を示し、(B)はバックライト30Rの発光状態を示す。図15(B)に示したように、バックライト30Rは、液晶の過渡応答に起因する画質劣化を抑えるため、例えば時刻iから時刻jの間のみで発光する。具体的には、この例では、表示部20の最下部において映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に切り替わった後(時刻i)、最上部において映像信号SAに基づく表示から映像信号SBに基づく表示への変化を開始するまで(時刻j)の間に発光する。この発光時間(時間T1)は、この例では、本実施の形態に係る立体表示装置1の場合(図13)の発光時間(時間T0)と比べて半分程度にまで短くなっている。この場合、立体表示装置の輝度が低くなってしまう。
【0087】
一方、本実施の形態に係る立体表示装置1では、表示部20の線順次走査向に対してバックライト30を分割し、独立して発光できるようにしている。これにより、分割したバックライト30(発光部BL1,BL2)のそれぞれに対して、別々の発光タイミングを設定でき、各発光部BL1,BL2の発光時間を長くすることにより、輝度を高めることができる。
【0088】
[効果]
以上のように、本実施の形態では、表示部20の線順次走査向に対してバックライト30および液晶バリア10をそれぞれ分割し、その分割した各領域を独立して駆動するようにしたので、液晶の過渡応答に起因する画質の低下を抑えつつ、輝度を高めることができる。
【0089】
[変形例1]
上記実施の形態では、表示部20の線順次走査向に対して、バックライト30および液晶バリア10の開閉部12を2分割したが、これに限定されるものではなく、例えば、3以上に分割してもよい。以下に、4分割する場合の例を示す。
【0090】
図16は、本変形例に係る表示部の表示状態とバックライトの発光状態との関係を表すものであり、(A)は表示部の表示状態を示し、(B)はバックライトの発光状態を示す。本変形例では、バックライトおよび液晶バリアの開閉部を、表示部の線順次走査向に対して、4つの区域Z1〜Z4に分割している。これにより、バックライトの発光時間(時間T2)は、この例では、図16(B)に示したように、上記実施の形態の場合(図13)の発光時間(T0)に比べて1.3倍程度になっており、長くなっている。このように、分割数を増やすことにより、発光時間を長くすることができ、輝度を高めることができる。
【0091】
[変形例2]
上記実施の形態では、立体表示装置1のバックライト30、表示部20、液晶バリア10は、この順に配置したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図17に示したように、バックライト30、液晶バリア10、表示部20の順に配置してもよい。
【0092】
図18は、本変形例に係る表示部20および液晶バリア10の動作例を表すものであり、(A)は、映像信号SAが供給された場合を示し、(B)は映像信号SBが供給された場合を示す。本変形例では、バックライト30から射出した光は、まず液晶バリア10に入射する。そして、その光のうち、開閉部12A,12Bを透過した光が表示部20において変調されるとともに、6つの視点映像を出力するようになっている。
【0093】
[変形例3]
上記実施の形態では、表示部20の線順次走査方向(y軸方向)に対してのみ分割されているバックライトを用いたが、これに限定されるものではなく、y軸方向に加え、x軸方向にも分割されているバックライトを用いてもよい。
【0094】
図19は、x軸方向とy軸方向の両方の方向に対して分割されたバックライトの一構成例を表すものである。この例では、バックライトは、x軸方向に5分割されるとともに、y軸に4分割されている。このようなバックライトは、例えば、画面の半分が暗いような映像があったときに、その部分のバックライトの輝度を落としたり消灯したりすることにより消費電力を削減する目的で、従来からしばしば使用されるものである。このようなバックライトを用いても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、図19に示したように、このバックライトに、上記実施の形態に係るバックライト30の場合(図6)と同様に区域Z1,Z2に定義し、区域Z1と区域Z2とを独立して制御することにより、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
なお、上記実施の形態では、表示部20は線順次に書き込みを行うものとしたが、これに代えて、例えば点順次に書き込みを行う場合には、表示部20のx軸方向に加え、y軸方向についても独立して制御することにより、上記実施の形態と同様に、液晶の過渡応答に起因する画質劣化を抑えつつ、輝度を高めることができる。
【0096】
[変形例4]
上記実施の形態では、液晶バリアの開閉部はy軸方向に延伸するものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図20(A)に示したステップバリア形式や、図20(B)に示した斜めバリア形式であってもよい。ステップバリア形式については、例えば、特開2004−264762に記載がある。また、斜めバリア形式については、例えば、特開2005−86506に記載がある。
【0097】
[変形例5]
例えば、上記実施の形態では、区域Z1,Z2のそれぞれにおいて、開閉部12は2つのグループを構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば3つ以上のグループを構成するようにしてもよい。これにより、表示の分解能をさらに改善することができる。図21は、開閉部12が3つのグループA,B,Cを構成する場合の例を表すものである。上記実施の形態と同様に、開閉部12AはグループAに属する開閉部12を示し、開閉部12BはグループBに属する開閉部12を示し、開閉部12CはグループCに属する開閉部12を示す。開閉部12A,12B,12Cを時分割的に交互に開放して映像を表示することにより、この変形例に係る立体表示装置は、開口部12Aのみをもつ場合に比べ、3倍の解像度を実現することが可能となる。言い換えれば、この立体表示装置の解像度は、2次元表示の場合に比べ1/2(=1/6×3)で済むこととなる。
【0098】
[変形例6]
また、例えば、上記実施の形態では、表示部20は液晶を用いるものとしたが、これに限定されるものではない。図22は、応答時間が早い表示部20Dを用いた場合の表示動作を表すものである。時刻aから時刻eまでの間、表示部20Dでは、表示駆動部から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査を行われ、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示に、短い応答時間で切り換わる。同様に、時刻jから時刻nまでの間、表示部20Dでは、表示駆動部から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査を行われ、映像信号SAに基づく表示から映像信号SBに基づく表示に、短い応答時間で切り換わる。この場合、バックライト30の発光部BL1,BL2は、液晶バリア10の開閉部12が変化している状態(“B1→A1”、“A1→B1”、“B2→A2”、“A2→B2”)では消灯し、それ以外のときには発光する。
【0099】
[変形例7]
また、例えば、上記実施の形態では、液晶により構成された液晶バリア10を用いるようにしたが、これに限定されるものではない。図23は、開閉部の応答時間が早いバリア10Eを用いた場合の表示動作を表すものである。このバリア10Eは、線順次走査方向に分割されていないものである。時刻bにおいて、バリア10Eでは、映像信号SAに係るグループAに属する開閉部12が遮断から開放へ短い応答時間で切り換わるとともに、映像信号SBに係るグループBに属する開閉部12が開放から遮断へ短い応答時間で切り換わる。また、時刻kにおいて、バリア10Eでは、映像信号SBに係るグループBに属する開閉部12が遮断から開放へ短い応答時間で切り換わるとともに、映像信号SAに係るグループAに属する開閉部12が開放から遮断へ短い応答時間で切り換わる。この場合、バックライト30の発光部BL1,BL2は、表示部20の表示が変化している状態(“SB→SA”、“SA→SB”)では消灯し、それ以外のときには発光する。
【0100】
[変形例8]
例えば、上記実施の形態では、図12,13に示したように、バックライト30は、表示部20の表示や、液晶バリア部10の開閉状態が変化(過渡応答)しているときは消灯するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、観察者が見たときに画質の劣化を感じない範囲で、その消灯する時間を短くし、あるいは長くしてもよい。以下に、いくつかの例を用いて説明する。
【0101】
図24は、消灯時間を短くした場合の動作例を表すものである。この例では、表示部20の各領域Z1,Z2の最下部付近の表示が変化し終わるのを待たずにバックライト30の対応する発光部BL1,BL2が発光を開始し、表示部20の各領域Z1,Z2の最上部付近の表示が変化し始めた後に、バックライト30の対応する発光部BL1,BL2が消灯している。これにより、バックライト30の発光時間(時間T3)を長くすることができ、立体表示装置の輝度を改善することができる。
【0102】
図25は、消灯時間を長くした場合の動作例を表すものである。この例では、表示部20の各領域Z1,Z2の最下部付近の表示が変化し終わった後にバックライト30の対応する発光部BL1,BL2が発光を開始し、表示部20の各領域Z1,Z2の最上部付近の表示が変化し始める前に、バックライト30の対応する発光部BL1,BL2が消灯している。これにより、例えば液晶の過渡応答が温度などにより変動する場合でも、観察者がこの過渡応答における表示を見る可能性を低減することができるため、液晶の過渡応答に起因する画質劣化を最低限に抑えることができる。
【0103】
バックライト30の発光および消灯のタイミングは、上述したものに限定されず、例えば、各領域Z1,Z2の最下部付近の表示が変化し終わるのを待たずに対応する発光部BL1,BL2が発光を開始し、各領域Z1,Z2の最上部付近の表示が変化し始める前に、対応する発光部BL1,BL2が消灯してもよいし、各領域Z1,Z2の最下部付近の表示が変化し終わった後に対応する発光部BL1,BL2が発光を開始し、各領域Z1,Z2の最上部付近の表示が変化し始めた後に、対応する発光部BL1,BL2が消灯してもよい。また、各領域Z1,Z2の最下部付近の表示が変化し終わる時点の直前もしくは直後で対応する発光部BL1,BL2が発光を開始し、各領域Z1,Z2の最上部付近の表示が変化し始める時点で対応する発光部BL1,BL2が消灯してもよいし、各領域Z1,Z2の最下部付近の表示が変化し終わる時点で対応する発光部BL1,BL2が発光を開始し、各領域Z1,Z2の最上部付近の表示が変化し始める時点の直前もしくは直後で、対応する発光部BL1,BL2が消灯してもよい。
【0104】
[変形例9]
例えば、上記実施の形態では、バックライト30と液晶バリア10は、それぞれにおける線順次走査方向の分割数を互いに等しくしたが、これに限定されるものではなく、互いに異なるようにしてもよい。この場合でもバックライト30を構成する各発光部を、その場所に対応する液晶バリア10の各領域の開閉部12の開閉状態に応じて動作させることにより、上記実施の形態と同様の効果を実現できる。以下に、バックライト30の分割数を液晶バリア10の分割数よりも多くした場合の例を説明する。
【0105】
図26(A)は、本変形例に係る液晶バリア10を表すものであり、図26(B)は、本変形例に係るバックライト30Fを表すものである。この例では、液晶バリア10は、開閉部12が線順次走査方向(y軸方向)に2分割され、2つの区域Z1,Z2により構成される。一方、バックライト30Fは、4つの区域Z11,Z12,Z21,Z22(4つの発光部BL11,BL12,BL21,BL22)により構成されている。ここで、液晶バリア10の区域Z1は、バックライト30Fの区域Z11,Z12に対応するものであり、液晶バリア10の区域Z2は、バックライト30Fの区域Z21,Z22に対応するものである。すなわち、発光部BL11,BL12から射出した光は、表示部20を介して液晶バリア10の区域Z1に入射し、発光部BL21,BL22から射出した光は、表示部20を介して液晶バリア10の区域Z2に入射するように配置されている。通常、例えばLEDを用いたバックライトでは、均一な発光を行うために複数のLEDを用いることが多く、これを利用して、バックライトの分割数を容易に増やすことができる。このようにして、図26に示したように、バックライト30の分割数を液晶バリア10の分割数よりも多くすることが望ましい。
【0106】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0107】
例えば、上記実施の形態では、映像信号SA,SBが6つの視点映像を含むようにしたが、これに限定されるものではなく、5つ以下の視点映像や、7つ以上の視点映像を含むようにしてもよい。この場合、図9に示した液晶バリア10の開閉部12A,12Bと、画素Pixとの関係も変化する。すなわち、例えば、映像信号SA,SBが5つの視点映像を含む場合には、開閉部12Aは、表示部20の5つの画素Pixに1つの割合で設けることが望ましく、同様に、開閉部12Bは、表示部20の5つの画素Pixに1つの割合で設けることが望ましい。
【0108】
例えば、上記実施の形態では、バックライト30の発光部BL1と発光部BL2との間で互いに光が伝わらないようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、大きな画質劣化が生じない範囲であれば光が伝わってもよい。上記実施の形態で述べたように、バックライトの各発光部で発光する光は、他の発光部に漏れ出さないことが望ましく、漏れ出し光があった場合、画質の劣化を生じるおそれがある。具体的には、図6において、例えば、発光部BL2からの漏れ出し光が発光部BL1に入射してしまうことにより、発光部BL1から射出される光は、発光部BL1を発光すべく駆動している時間より長い時間発光することになる。しかし、その場合であっても、発光部BL2からの漏れ出し光の量が、発光部BL1の出力光に対して小さなものである場合は、大きな画質劣化は生じず、立体表示が可能である。
【符号の説明】
【0109】
1…表示装置、9…バリア駆動部、10,10A,10B…液晶バリア、11,12,12A,12B…開閉部、13,16…透明基板、14,18…偏光板、15,17…透明電極、19…液晶層、20…表示部、23…開閉部境界、29…バックライト駆動部、30,30A…バックライト、31…光源、32…導光板、40…制御部、50…表示駆動部、51…タイミング制御部、52…ゲートドライバ、53…データドライバ、A1,A2,B1,B2…グループ、BL1,BL2,BL11,BL12,BL21,BL22…発光部、C…保持容量素子、LC…液晶素子、Pix…画素、P1〜P6…画素情報、S,SA,SB,Vdisp…映像信号、Tr…TFT素子、Z1〜Z4,Z11,Z12,Z21,Z22…区域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線順次走査により表示駆動され、複数の異なる視点の映像を時分割的に表示する表示部と、
前記線順次走査の方向において分割された複数のサブ発光領域を含むように構成されたバックライトと、
複数の開閉部からなる開閉部グループを複数含むように構成された光バリア部と、
前記複数の開閉部グループを、グループ間で互いに異なるタイミングで個別に開閉駆動する光バリア駆動部と、
前記表示部における線順次走査に同期して、前記バックライトの各サブ発光領域の発光を制御するバックライト制御部と
を備えた立体表示装置。
【請求項2】
前記光バリア部が、前記複数のサブ発光領域の各々に対応して複数のサブバリア領域に分割されると共に、前記サブバリア領域ごとに前記複数の開閉部グループを含み、
前記光バリア駆動部が、前記サブバリア領域ごとに、前記複数の開閉部グループを互いに異なるタイミングで個別に開閉駆動し、
前記バックライト制御部が、前記表示部における線順次走査に加え、前記複数のサブバリア領域の各開閉部グループの開閉状態にも同期して、前記バックライトの各サブ発光領域の発光を制御する
請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項3】
前記バックライトの前記サブ発光領域の数と、前記光バリア部の前記サブバリア領域の数が同じである。
請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項4】
前記バックライトの前記サブ発光領域の数が前記光バリア部の前記サブバリア領域の数よりも多い
請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項5】
前記複数の開閉部グループの前記開閉部は、前記サブバリア領域のそれぞれにおいて所定数おきに巡回するように配置された
請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項6】
前記光バリア駆動部は、前記開閉部を前記開閉部グループごとに時分割的に切り替えて開閉駆動し、
前記表示部は、開状態になった前記開閉部に対応する位置に順次映像を表示する
請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項7】
前記表示部および前記光バリア部のうちの少なくとも一方が液晶により構成された
請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項8】
前記光バリア部が液晶により構成され、
前記バックライト制御部は、前記光サブバリア領域の前記開閉部の光の透過率が最大になる時点またはその直前もしくは直後で、対応するサブ発光領域が発光するように制御し、その光の透過率が最大値から低下し始めた時点またはその直前もしくは直後で、対応するサブ発光領域が消灯するように制御する
請求項7に記載の立体表示装置。
【請求項9】
前記表示部が液晶により構成され、
前記バックライト制御部は、前記表示部の表示の切り換わり完了時点またはその直前もしくは直後で、対応するサブ発光領域が発光するように制御し、その表示部の表示の切り替わり開始時点またはその直前もしくは直後で、対応するサブ発光領域が消灯するように制御する
請求項7に記載の立体表示装置。
【請求項10】
前記光バリア部は、前記バックライトと前記表示部との間に配置されている
請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記バックライトと前記光バリア部との間に配置されている
請求項2に記載の立体表示装置。
【請求項12】
線順次走査により表示駆動され、複数の異なる視点の映像を時分割的に表示する表示部と、
前記線順次走査の方向において分割された複数のサブ発光領域を含み、前記表示部における線順次走査に同期して各サブ発光領域が発光するバックライトと、
複数の開閉部からなる開閉部グループを複数含み、その複数の開閉部グループが互いに異なるタイミングで個別に開閉する光バリア部と
を備えた立体表示装置。
【請求項13】
複数の異なる視点の映像を時分割的に表示する表示部を駆動する際の線順次走査に同期して、その線順次走査の走査方向において分割された複数のサブ発光領域を含むバックライトの発光をそのサブ発光領域ごとに制御するバックライト制御部と、
複数の開閉部からなる開閉部グループを複数含むように構成された光バリア部の各開閉部グループを、グループ間で互いに異なるタイミングで個別に開閉駆動する光バリア駆動部と
を備えた表示駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−13980(P2012−13980A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150912(P2010−150912)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】