説明

竪型ミル

【課題】粉塵を発生させずに、石炭を微細に粉砕して効率の良い選炭を行い得る竪型ミルを提供する。
【解決手段】分級室14の下部に設けられた粉砕テーブル5と、該粉砕テーブルに押圧され転動する加圧ローラ9と、前記分級室の上部に位置し、粉砕された微粉炭が空気混合流として通過する様配設された分級器19と、分級された微粉炭の空気混合流を送出する微粉炭送給管22と、該微粉炭送給管に設けられた不純物分離装置25とを具備し、該不純物分離装置は、前記微粉炭送給管の周囲に設けられた第1磁石と、該第1磁石の下流側に、前記微粉炭送給管の周囲の一部に設けられた第2磁石と、該第2磁石の下流側で前記微粉炭送給管に連通する分岐管とを有し、前記第1磁石は励磁領域を形成し、前記第2磁石は吸引領域を形成し、前記励磁領域を通過する微粉炭中の不純物を励磁し、該励磁された不純物を前記吸引領域により前記分岐管に誘導して、不純物を分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭焚きボイラへ供給する石炭を粉砕する竪型ミルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭を燃料とする石炭焚きボイラでは、塊状の石炭を竪型ミルにより粉砕して微粉炭とし、微粉炭を1次空気と共に燃焼装置であるバーナに供給している。
【0003】
燃料とされる石炭には、灰分、硫黄分、重金属元素等の不燃物質、不純物(以下不純物と称す)が含まれており、これら不純物は大気汚染等の原因となり、環境負担を軽減する為に除去する必要がある。
【0004】
従来、不純物を含む石炭を燃料とした場合、環境汚染を防止する為、石炭焚きボイラを有する発電設備等では、排ガス処理装置として脱硝装置、集塵装置、脱硫装置等が設けられている。
【0005】
石炭の不純物を、燃焼前に除去すれば、ボイラ排ガス処理装置に於ける不純物処理量が少なくなるという利点があり、石炭と不純物とを分離する選炭は有効な手段である。又、選炭により、低品位石炭の有効利用が図れる為、不純物の除去は重要な課題となる。
【0006】
燃焼前に事前に不純物を石炭から除去する方法として、例えば、石炭を数センチの塊に粉砕して、比重の異なる液に浸すことにより分離する比重分離法(浮遊選鉱法)により不純物と石炭とを分離(選炭)している。
【0007】
不純物は石炭中に細かく分散して存在する為、選炭に際し、できるだけ細かく粉砕することが選炭効率の向上に寄与する。
【0008】
ところが、浮遊選鉱法により選炭を行う場合は、多量の水を使用することから、排水の問題や水が充分得られない場所での水の確保が問題となる。
【0009】
又、上記の様に、選炭効率を向上させるにはできるだけ細かく粉砕することが好ましいが、粉砕に要されるエネルギコストが増大する。更に、微細に粉砕すると、粉塵の処理の為の設備が必要となり、設備コストが上昇する。
【0010】
従って、実用的な砕粉の粒度は数センチとなるが、選炭効率は限られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭61−212340号公報
【特許文献2】特開平11−226447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は斯かる実情に鑑み、水を必要とせず、更に粉塵を発生させずに、石炭を微細に粉砕して効率の良い選炭を行い得る竪型ミルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、分級室の下部に設けられた粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに押圧され転動する加圧ローラと、前記分級室の上部に位置し、粉砕された微粉炭が空気混合流として通過する様配設された分級器と、分級された微粉炭の空気混合流を送出する微粉炭送給管と、該微粉炭送給管に設けられた不純物分離装置とを具備し、該不純物分離装置は、前記微粉炭送給管の周囲に設けられた第1磁石と、該第1磁石の下流側に位置し、前記微粉炭送給管の周囲の一部に設けられた第2磁石と、該第2磁石の下流側で前記微粉炭送給管に連通する分岐管とを有し、前記第1磁石は励磁領域を形成し、前記第2磁石は吸引領域を形成し、前記励磁領域を通過する微粉炭中の不純物を励磁し、該励磁された不純物を前記吸引領域により前記分岐管に誘導して、不純物を分離する竪型ミルに係るものである。
【0014】
又本発明は、前記第2磁石は前記微粉炭送給管の上端部に設けられ、前記分岐管は上方に向って分離する竪型ミルに係るものである。
【0015】
又本発明は、前記第2磁石は前記微粉炭送給管の下端部に設けられ、前記分岐管は下方に向って分離する竪型ミルに係るものである。
【0016】
又本発明は、前記微粉炭送給管に2組の不純物分離装置を連設し、一方の不純物分離装置は、前記第2磁石が前記微粉炭送給管の上端部に設けられ、前記分岐管は上方に向って分離する様構成され、他方の不純物分離装置は、前記第2磁石が前記微粉炭送給管の下端部に設けられ、前記分岐管は下方に向って分離する様構成された竪型ミルに係るものである。
【0017】
又本発明は、前記微粉炭送給管の前記励磁領域部分、前記吸引領域部分を前記微粉炭送給管に対して太径にし、前記励磁領域部分、前記吸引領域部分を流れる空気混合流の流速を前記微粉炭送給管部分に対して低減させた竪型ミルに係るものである。
【0018】
又本発明は、前記分級室に臨接して他の不純物分離装置が設けられ、該他の不純物分離装置は、微粉炭を含む混合流の流れの中に位置する回転ローラを具備し、該回転ローラは磁力で微粉炭中の不純物を吸着して分離する様構成された竪型ミルに係るものである。
【0019】
又本発明は、前記回転ローラは回転軸に所定間隔で軸着された複数の円板状の磁石で構成された竪型ミルに係るものである。
【0020】
又本発明は、前記回転ローラは、円筒形状であり、外周面が磁石となっている竪型ミルに係るものである。
【0021】
又本発明は、前記回転ローラは、円周方向に複数等分された電磁石を有し、該電磁石は独立して励磁、非励磁可能であり、前記混合流から外れた位置で順次非励磁とされる様構成された竪型ミルに係るものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、分級室の下部に設けられた粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに押圧され転動する加圧ローラと、前記分級室の上部に位置し、粉砕された微粉炭が空気混合流として通過する様配設された分級器と、分級された微粉炭の空気混合流を送出する微粉炭送給管と、該微粉炭送給管に設けられた不純物分離装置とを具備し、該不純物分離装置は、前記微粉炭送給管の周囲に設けられた第1磁石と、該第1磁石の下流側に位置し、前記微粉炭送給管の周囲の一部に設けられた第2磁石と、該第2磁石の下流側で前記微粉炭送給管に連通する分岐管とを有し、前記第1磁石は励磁領域を形成し、前記第2磁石は吸引領域を形成し、前記励磁領域を通過する微粉炭中の不純物を励磁し、該励磁された不純物を前記吸引領域により前記分岐管に誘導して、不純物を分離するので、不純物分離装置としては石炭を粉砕する機能、動力は不要であり、ランニングコストが低減すると共に竪型ミルにより充分粒径が小さく粉砕されるので、不純物の分離は効果的に行われる。更に、石炭を燃焼する前に不純物を分離除去するので、排ガス処理装置である脱硝装置、集塵装置、脱硫装置等が必要なくなり、設備コストが低減する。
【0023】
又本発明によれば、前記第2磁石は前記微粉炭送給管の上端部に設けられ、前記分岐管は上方に向って分離するので、微粉炭より軽い不純物を効率よく分離できる。
【0024】
又本発明によれば、前記第2磁石は前記微粉炭送給管の下端部に設けられ、前記分岐管は下方に向って分離するので、微粉炭より重い不純物を効率よく分離できる。
【0025】
又本発明によれば、前記微粉炭送給管に2組の不純物分離装置を連設し、一方の不純物分離装置は、前記第2磁石が前記微粉炭送給管の上端部に設けられ、前記分岐管は上方に向って分離する様構成され、他方の不純物分離装置は、前記第2磁石が前記微粉炭送給管の下端部に設けられ、前記分岐管は下方に向って分離する様構成されたので、微粉炭より軽い不純物と重い不純物とを効率よく分離できる。
【0026】
又本発明によれば、前記微粉炭送給管の前記励磁領域部分、前記吸引領域部分を前記微粉炭送給管に対して太径にし、前記励磁領域部分、前記吸引領域部分を流れる空気混合流の流速を前記微粉炭送給管部分に対して低減させたので、第1磁石及び第2磁石の磁力を効果的に不純物に作用させることができ、不純物の分離効率を向上させ、選炭効率の向上を図ることができる。
【0027】
又本発明によれば、前記分級室に臨接して他の不純物分離装置が設けられ、該他の不純物分離装置は、微粉炭を含む混合流の流れの中に位置する回転ローラを具備し、該回転ローラは磁力で微粉炭中の不純物を吸着して分離する様構成されたので、分級室内での不純物の分離と分級室から送出された微粉炭を含む混合流中の不純物の分離が行え、不純物の分離効率を一層向上させ、選炭効率の向上を図ることができる等の優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に係る竪型ミルの概略図である。
【図2】第1不純物分離装置の第1の実施の形態の正面図である。
【図3】第1不純物分離装置の第1の実施の形態の側面図である。
【図4】第1不純物分離装置の第2の実施の形態の正面図である。
【図5】第1不純物分離装置の第2の実施の形態の側面図である。
【図6】第1不純物分離装置の第3の実施の形態の正面図である。
【図7】第1不純物分離装置の第3の実施の形態の側面図である。
【図8】第2不純物分離装置の概略図である。
【図9】他の第2不純物分離装置の概略図である。
【図10】他の第2不純物分離装置の概略図である。
【図11】石炭に含まれる灰分の含有率、灰分の組成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0030】
図1は、本発明が実施される竪型ミル1の一例を示している。
【0031】
基台2に立設されたケーシング3によって密閉された空間が形成され、該空間の下部にテーブル駆動装置4を介して粉砕テーブル5が設置され、該粉砕テーブル5は前記テーブル駆動装置4によって定速で回転される。前記粉砕テーブル5の上面には断面が円弧状である凹溝6を有するテーブルセグメント7が設けられている。
【0032】
前記粉砕テーブル5の回転中心から放射状に所要数組、例えば3組の加圧ローラユニット8が設けられている。該加圧ローラユニット8は、加圧ローラ9を有し、水平支持軸11を中心に傾動自在となっている。又、前記ケーシング3の下部には、放射状に貫通する3組のローラ加圧装置12が設けられている。該ローラ加圧装置12は、アクチュエータ、例えば油圧シリンダ10を具備し、該油圧シリンダ10によって前記加圧ローラ9を前記凹溝6に押圧する様になっている。
【0033】
前記粉砕テーブル5の下方には1次空気室13が形成され、前記ケーシング3内部の前記粉砕テーブル5より上方は、分級室14となっている。
【0034】
前記ケーシング3の下部には1次空気供給口15が取付けられ、該1次空気供給口15は図示しない送風機に接続されると共に、前記1次空気室13に連通している。前記粉砕テーブル5の周囲にはノズルリング20が設けられ、該ノズルリング20には1次空気の吹出し口16が全周に亘って設けられている。
【0035】
前記ケーシング3の上側には石炭給排部17が設けられており、該石炭給排部17の中心部を貫通する様にパイプ状のシュート18が設けられ、該シュート18は前記ケーシング3の内部に延出している。前記シュート18には石炭23が供給され、供給された石炭23は前記粉砕テーブル5上に落下する様になっている。
【0036】
前記シュート18の中途部に分級器19が回転自在に設けられ、該分級器19は円周方向に所要ピッチで配設された短冊状のブレード21を有し、前記分級器19は回転駆動部(図示せず)によって回転される様になっている。
【0037】
前記石炭給排部17には微粉炭送給管22が接続される。該微粉炭送給管22はボイラのバーナ(図示せず)に接続され、粉砕された微粉炭をバーナに送給する。前記微粉炭送給管22には第2不純物分離装置25が設けられている。
【0038】
前記ケーシング3の下部、前記吹出し口16の上方に、第1不純物分離装置24が設けられる。該第1不純物分離装置24は、前記ローラ加圧装置12,12の間に、該ローラ加圧装置12、前記加圧ローラ9と干渉しない様に設けられている。
【0039】
先ず、前記第1不純物分離装置24について説明する。
【0040】
図2、図3は、前記第1不純物分離装置24の第1の実施の形態を示している。
【0041】
前記ケーシング3の下部に半円筒状に膨出する分離部ケース26を設け、該分離部ケース26に回転ローラ27を水平な回転軸28を介して回転自在に設ける。
【0042】
又前記分離部ケース26の側面には分離部モータ29を設け、該分離部モータ29の出力軸と前記回転軸28とを連結し、前記分離部モータ29によって前記回転ローラ27を図2中、時計方向に所定の速度で回転可能とする。
【0043】
該回転ローラ27は、複数の吸着円板31が所定の間隔で前記回転軸28に軸着されたものであり、前記各吸着円板31は永久磁石となっており、該各吸着円板31,31の対向面は磁極が異なる様に配置されている。
【0044】
前記分離部ケース26の下部には、不純物分離ダクト32が連設され、該不純物分離ダクト32の下端には前記分級室14の気密を維持して不純物の排出が可能な不純物排出弁、例えばロータリゲート33が設けられる。
【0045】
前記不純物分離ダクト32の内面には、不純物掻取り板34が固着されており、該不純物掻取り板34は先端部が櫛歯状となっており、前記各吸着円板31,31間に挿入され、該吸着円板31の両面に摺接する様になっている。
【0046】
竪型ミル1の作用について説明する。
【0047】
前記粉砕テーブル5が回転され、前記1次空気供給口15より1次空気が導入された状態で、前記シュート18より塊状の石炭23が投入される。塊状の石炭23は前記シュート18の下端より前記粉砕テーブル5の中心に流落し、該粉砕テーブル5上に供給される。
【0048】
該粉砕テーブル5上の石炭23は、遠心力で外周方向に移動し、前記加圧ローラ9に噛込まれ粉砕され粉状となり、更に遠心力により外周に移動する。前記粉砕テーブル5から溢れた微粉炭は、前記吹出し口16を吹上がる1次空気に乗って上昇する。
【0049】
微粉炭を含む1次空気(微粉炭混合流と称す)は、前記吸着円板31,31間を通って上昇し、前記分級室14に到達する。微粉炭混合流が前記吸着円板31,31間を流通する際に、磁化されない微粉炭は前記吸着円板31に吸着されることなく通過する。
【0050】
石炭23に含まれる不純物としては、硫黄、鉄、水銀、灰分等が含まれており、鉄、水銀等の金属は硫黄と化合しており、又灰分も硫黄と一体化した状態となっている。従って、硫黄と化合した鉄が前記吸着円板31に吸着されることで、水銀等の重金属も硫黄を介在して鉄と共に前記吸着円板31に吸着される。
【0051】
図11は、石炭23に含まれる灰分の量、及び灰分の組成を示している。
【0052】
図11に示される様に、石炭23の銘柄A〜Hに於いて、灰分の含有量は、最小で1.40W%、最大で10.00W%となっている。
【0053】
又、灰分の組成として、鉄分(Fe2 O3 )が含まれている。鉄分は、最小で2.56W%、最大で26.90W%含まれ、全体としては、略10W%前後の鉄分が含まれていることが分る。
【0054】
従って、灰分についても、磁石による吸着が可能であり、前記回転ローラ27を微粉炭混合流が通過することで、金属類、灰分が前記吸着円板31に吸着され、石炭23から不純物が分離される。更に、前記加圧ローラ9により粉砕された、微粉炭の粒径は、30μm〜50μmと微細であり、高効率で不純物の分離(選炭)が可能である。
【0055】
而して、微粉炭は、前記吸着円板31を通過し、不純物は該吸着円板31に吸着され、石炭23から除去される。
【0056】
前記吸着円板31は前記分離部モータ29によって回転されており、前記吸着円板31の回転により前記不純物掻取り板34で不純物が前記吸着円板31から掻取られる。
【0057】
掻取られた不純物は、前記不純物掻取り板34によって前記不純物分離ダクト32に導かれ、該不純物分離ダクト32で一時的に貯溜され、前記ロータリゲート33の弁体(図示せず)の回転により、不純物が間欠的に排出される。従って、粉砕された微粉炭から不純物の除去が、連続的且つ永続的に実施される。
【0058】
尚、前記第1不純物分離装置24は、前記加圧ローラ9の部分には存在しないが、該加圧ローラ9が粉砕炭層を押圧している領域では、前記加圧ローラ9により微粉炭の外周側への移動が拘束されているので、前記加圧ローラ9の部分に前記第1不純物分離装置24が存在しなくても、全体として微粉炭からの不純物分離には支障はない。
【0059】
不純物が除去され、前記分級室14を上昇する微粉炭は、前記分級器19で分級され、所定粒子以上の微粉炭は前記粉砕テーブル5上に落下し、所定粒子以下の微粉炭が前記微粉炭送給管22より送出される。
【0060】
図4、図5は、第1不純物分離装置24の第2の実施の形態を示している。尚、図中、図2、図3中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0061】
前記第1不純物分離装置24では、回転ローラ27を円筒ドラム35として、該円筒ドラム35の外周面を磁石としたものであり、不純物掻取り板34は前記円筒ドラム35の外周面に摺接する様に設けられている。
【0062】
本第1不純物分離装置24に於いても、外周面に不純物が付着し、前記不純物掻取り板34によって掻取られ、更に掻取られた不純物は該不純物掻取り板34によって不純物分離ダクト32に導かれる。
【0063】
図6、図7は、第1不純物分離装置24の第3の実施の形態を示している。尚、図中、図2、図3中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0064】
本第1不純物分離装置24では、回転ローラ27を複数の電磁石36(図示では36a,36b,36c,36dの4個)で構成したものである。
【0065】
中空の円筒ドラムの表面に電磁石36a,36b,36c,36dを取付け、中空ドラムの内部には前記電磁石36a,36b,36c,36dを独立して励磁、非励磁とする励磁コイル(図示せず)が収納され、又励磁コイルへの通電状態を切替える切替え回路(図示せず)が収納されている。
【0066】
不純物分離ダクト32に取付けられた不純物掻取り板34は前記回転ローラ27の外周面に摺接する様になっている。
【0067】
該回転ローラ27は分離部モータ29によって回転され、更に前記電磁石36a,36b,36c,36dの内、3つの電磁石36が励磁され、1つの電磁石36が非励磁とされる。
【0068】
図示では、電磁石36aが非励磁であり、電磁石36b,36c,36dが励磁となっている。従って、電磁石36b,36c,36dには不純物が吸着され、電磁石36aには吸着されない。
【0069】
前記回転ローラ27は連続的に回転されており、電磁石36bが図示の電磁石36aの位置、即ち電磁石36bが微粉炭混合流から外れ、前記不純物分離ダクト32に接近した位置に来ると、通電が停止され、非励磁となる。又、前記電磁石36aが前記不純物掻取り板34を超えた位置で、励磁状態にされる。非励磁となった電磁石36bから不純物が解放され、前記不純物掻取り板34に落下し、前記不純物分離ダクト32に導かれる。又、前記電磁石36aが励磁されることで、不純物が前記電磁石36aに吸着される。
【0070】
而して、前記電磁石36a,36b,36c,36dの励磁、非励磁が順次繰返されることで、不純物が吸着、回収され、微粉炭から分離除去される。
【0071】
尚、前記第1不純物分離装置24が設けられる位置は、加圧ローラ9,9の間、前記吹出し口16の上方が、密度の濃い微粉炭混合流と前記回転ローラ27とが接触するので好ましいが、微粉炭混合流の流路に設けられればよく、微粉炭混合流と磁石とを接触させる構成で、微粉炭から不純物を分離除去できる。
【0072】
又、分離部ケース26をケーシング3に対して着脱可能とし、前記回転ローラ27の交換、保守等を簡単に行える様にしてもよい。
【0073】
次に、前記第2不純物分離装置25について、図8を参照して説明する。
【0074】
該第2不純物分離装置25は、前記竪型ミル1から送出される微粉炭混合流から、不純物を除去するものであり、前記第1不純物分離装置24と前記第2不純物分離装置25によって2段で不純物を除去する。
【0075】
前記第2不純物分離装置25は微粉炭送給管22の直線部分、或は緩く湾曲した部分に設けられる。
【0076】
前記微粉炭送給管22は、該微粉炭送給管22に連通する本管38、分岐管39によって分岐され、前記本管38は前記微粉炭送給管22と平行な管軸心を有し、分岐後は微粉炭を送給する微粉炭送給管22として機能する。又、前記本管38は、前記微粉炭送給管22の管径D1に対して小径のD2(D1≧D2)となっており、前記本管38の管軸心は前記微粉炭送給管22の管軸心に対して下方に偏心し、前記微粉炭送給管22の下端と前記本管38の下端とは同一となっている。
【0077】
前記分岐管39は、前記本管38の管径D2に対して小径のD3(D1≧D2≧D3)を有し、前記微粉炭送給管22に対して鋭角α(例えば5゜〜30゜)に傾斜しており、分岐点41は前記微粉炭送給管22の下端からD2の高さとなっている。尚、分岐管39に流量調整弁48を設け、分岐流量を調整してもよい。
【0078】
前記分岐点41の上流側に、第1磁石42、該第1磁石42の下流側に第2磁石43が配設されている。
【0079】
前記第1磁石42は前記微粉炭送給管22の全周を囲む円筒形状をしており、前記第2磁石43は前記微粉炭送給管22の上端を中心に円周方向所要範囲を囲む円弧断面を有する形状をしており、好ましくは前記微粉炭送給管22の上半部を囲む略半円筒形状となっている。
【0080】
前記第1磁石42は、該第1磁石42を通過する不純物を励磁する励磁領域を形成する。又、前記第2磁石43は励磁された不純物を前記微粉炭送給管22の上部に吸引する吸引領域を形成する。
【0081】
尚、前記第1磁石42、前記第2磁石43に使用される磁石としては、永久磁石であっても、電磁石であってもよい。又、永久磁石を使用する場合は、分割した磁石を連設することで強い磁力が得られる。
【0082】
以下、前記第2不純物分離装置25の作用について説明する。
【0083】
前記竪型ミル1から送出される微粉炭混合流には、前記第1不純物分離装置24で取りきれなかった不純物が含まれており、この不純物は前記第1磁石42を通過する際に励磁され、更に、前記第2磁石43を通過する際に前記第2磁石43側に吸引される。
【0084】
前記第1磁石42を通過する際に、不純物が励磁されることで、前記第2磁石43の吸引力が効果的に作用する。前記第2磁石43を通過することで、不純物は前記第2磁石43に引寄せられ、更に前記分岐点41によって分流され、不純物が微粉炭より分離される。
【0085】
尚、前記分岐点41の位置、即ち(D1−D2)は、前記微粉炭混合流の速さ、前記第2磁石43の強さ等によって適宜選択する。例えば、前記第2磁石43の磁力が充分強く磁力だけで分流可能であれば、D1とD2の値を等しくする(D1−D2=0)。
【0086】
又、前記分岐管39を前記微粉炭送給管22の上側に連通させたことから、不純物の比重が微粉炭より軽いものを分離するのに適している。
【0087】
図9に示す第2不純物分離装置45は、分岐管39を微粉炭送給管22の下側に連通させたものであり、この場合、不純物を下側に向って分離することから、分離作用に重力が加わる。従って、前記第2不純物分離装置45は不純物の比重が微粉炭より大きい場合に適している。尚、更に不純物に作用する遠心力を分離に利用する為、前記第2不純物分離装置45を湾曲部に設け、前記分岐管39を外周側に連通してもよい。
【0088】
又、前記第2不純物分離装置25と前記第2不純物分離装置45とを組合わせることも可能である。例えば、前記第2不純物分離装置25を上流側に、前記第2不純物分離装置45を下流側に設けることで、前記第2不純物分離装置25で微粉炭より軽いものを分離し、前記第2不純物分離装置45で微粉炭より重いものを分離でき、選炭効率が向上する。
【0089】
前記第2不純物分離装置25、前記第2不純物分離装置45は配管途中に設けるものであるので、既存の設備に追加して設けることが容易である。尚、分岐管39に流量調整弁48を設け、分岐流量を調整してもよい。
【0090】
次に、図10は第2不純物分離装置の他の実施の形態を示している。
【0091】
図10に示される第2不純物分離装置46は、前記第1磁石42、前記第2磁石43が設けられる部分の微粉炭送給管22を部分的に太径としたものである。
【0092】
太径とすることで、励磁領域、吸引領域を通過する微粉炭混合流の流速が低下し、励磁領域、吸引領域の通過時間が長くなり、不純物に対する励磁作用、吸引作用が大きくなり、分離効果が増大する。
【0093】
尚、前記第1磁石42と前記第2磁石43とは分離して設けたが、連続して設けてもよいし、分岐管39に流量調整弁48を設け、分岐流量を調整してもよい。更に、前記第2不純物分離装置25のみ、或は前記第1不純物分離装置24のみを設けることが可能であり、この場合も、選炭効率が向上することは言う迄もない。
【符号の説明】
【0094】
1 竪型ミル
3 ケーシング
5 粉砕テーブル
9 加圧ローラ
12 ローラ加圧装置
14 分級室
16 吹出し口
24 第1不純物分離装置
25 第2不純物分離装置
26 分離部ケース
27 回転ローラ
31 吸着円板
32 不純物分離ダクト
33 ロータリゲート
34 不純物掻取り板
35 円筒ドラム
36 電磁石
38 本管
39 分岐管
41 分岐点
42 第1磁石
43 第2磁石
45 第2不純物分離装置
46 第2不純物分離装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分級室の下部に設けられた粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに押圧され転動する加圧ローラと、前記分級室の上部に位置し、粉砕された微粉炭が空気混合流として通過する様配設された分級器と、分級された微粉炭の空気混合流を送出する微粉炭送給管と、該微粉炭送給管に設けられた不純物分離装置とを具備し、該不純物分離装置は、前記微粉炭送給管の周囲に設けられた第1磁石と、該第1磁石の下流側に位置し、前記微粉炭送給管の周囲の一部に設けられた第2磁石と、該第2磁石の下流側で前記微粉炭送給管に連通する分岐管とを有し、前記第1磁石は励磁領域を形成し、前記第2磁石は吸引領域を形成し、前記励磁領域を通過する微粉炭中の不純物を励磁し、該励磁された不純物を前記吸引領域により前記分岐管に誘導して、不純物を分離することを特徴とする竪型ミル。
【請求項2】
前記第2磁石は前記微粉炭送給管の上端部に設けられ、前記分岐管は上方に向って分離する請求項1の竪型ミル。
【請求項3】
前記第2磁石は前記微粉炭送給管の下端部に設けられ、前記分岐管は下方に向って分離する請求項1の竪型ミル。
【請求項4】
前記微粉炭送給管に2組の不純物分離装置を連設し、一方の不純物分離装置は、前記第2磁石が前記微粉炭送給管の上端部に設けられ、前記分岐管は上方に向って分離する様構成され、他方の不純物分離装置は、前記第2磁石が前記微粉炭送給管の下端部に設けられ、前記分岐管は下方に向って分離する様構成された請求項1の竪型ミル。
【請求項5】
前記微粉炭送給管の前記励磁領域部分、前記吸引領域部分を前記微粉炭送給管に対して太径にし、前記励磁領域部分、前記吸引領域部分を流れる空気混合流の流速を前記微粉炭送給管部分に対して低減させた請求項1の竪型ミル。
【請求項6】
前記分級室に臨接して他の不純物分離装置が設けられ、該他の不純物分離装置は、微粉炭を含む混合流の流れの中に位置する回転ローラを具備し、該回転ローラは磁力で微粉炭中の不純物を吸着して分離する様構成された請求項1の竪型ミル。
【請求項7】
前記回転ローラは回転軸に所定間隔で軸着された複数の円板状の磁石で構成された請求項6の竪型ミル。
【請求項8】
前記回転ローラは、円筒形状であり、外周面が磁石となっている請求項6の竪型ミル。
【請求項9】
前記回転ローラは、円周方向に複数等分された電磁石を有し、該電磁石は独立して励磁、非励磁可能であり、前記混合流から外れた位置で順次非励磁とされる様構成された請求項6の竪型ミル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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