説明

竪樋用アンテナ

【課題】竪樋の外側面から突出する部分を極力減らしつつ、しかも施工性を向上させる竪樋用アンテナを提供する。
【解決手段】本発明の竪樋用アンテナは、竪樋の外側面に沿うように形成された筒状部により構成されたものである。筒状部が、当該筒状部の周方向の一部を構成し且つアンテナ部を有する第1の半体と、前記筒状部の周方向のその他の部分を構成し、且つ一方の端部が第1の半体の一方の端部に枢支されると共に他方の端部が第1の半体の他方の端部に係止される第2の半体とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪樋の外側面に装着される竪樋用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、竪樋の外側面に装着される竪樋用アンテナが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1記載の雨樋アンテナは、雨樋の外側面に取り付けられる折返し部と、この折返し部から側方に突出した給電部とを備えている。この雨樋アンテナは、2つのアンテナ素体により構成されている。アンテナ素体は、外縁部の略全長に亘って鍔が形成されており、この鍔が、対向配置されたもう一方のアンテナ素体の鍔と重ね合わせられた状態で、ねじ具を介して連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−168101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの特許文献1記載の雨樋アンテナは、上述したように、給電部が側方に大きく突出しており、その上、給電部及び折返し部の外縁から鍔が突出している。
【0006】
このため、特許文献1記載の雨樋アンテナは、竪樋に装着されると、給電部及び鍔が竪樋の外側面から左右両側に大きく突出し、外観を大きく害するだけでなく、施工者が施工時等に誤って足を引っ掛けてしまうおそれがあった。
【0007】
しかもこの特許文献1記載の雨樋アンテナは、2つのアンテナ素体をねじ具を介して結合する構造であり、ねじ具の締め付け作業を何度も繰り返し行なう必要があって、施工性が悪い。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、竪樋の外側面から突出する部分を極力減らしつつ、しかも施工性を向上させる竪樋用アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の竪樋用アンテナは、竪樋の外側面に沿うように形成された筒状部により構成されたものであり、この筒状部が、当該筒状部の周方向の一部を構成し且つアンテナ部を有する第1の半体と、前記筒状部の周方向のその他の部分を構成し、且つ一方の端部が第1の半体の一方の端部に枢支されると共に他方の端部が第1の半体の他方の端部に係止される第2の半体とを備えていることを特徴とする。
【0010】
またこの竪樋用アンテナにおいて、前記第2の半体が、竪樋控え具を通すための切欠部を有していることが好ましい。
【0011】
またこの竪樋用アンテナにおいて、前記第2の半体が、周方向に筋状に形成され且つ上下方向に並設された複数の薄肉部を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の竪樋用アンテナによれば、竪樋の外側面から突出する部分を極力減らしつつ、しかも施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の竪樋用アンテナの正面側から見た斜視図である。
【図2】本実施形態の竪樋用アンテナの背面側から見た斜視図である。
【図3】本実施形態の竪樋用アンテナを竪樋に取り付ける直前の斜視図である。
【図4】本実施形態の竪樋用アンテナを取り付けた状態を示し(a)は一部破断した側面図であり(b)は水平断面図である。
【図5】本実施形態の竪樋用アンテナを取り付けた状態を示し(a)は一部破断した側面図であり(b)は水平断面図である。
【図6】図4及び図5のA部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0015】
本実施形態の竪樋用アンテナ1は、図4,5に示されるように、竪樋6の外側面に沿うように取り付けられる。本実施形態の竪樋6は、非導電性の合成樹脂からなる円筒状の丸樋により構成されている。竪樋用アンテナ1は、この竪樋6の外周面に沿うような形状の筒状部2により構成されている。
【0016】
竪樋用アンテナ1を構成する筒状部2は、図1に示されるように、上下端が開口する筒型に形成されている。筒状部2は、その内周面が竪樋6の外側面に沿った形状となっていると共に、その肉厚が上下方向に略一様となった円筒形状となっている。本実施形態の筒状部2は、非導電性の合成樹脂により構成されている。筒状部2は、アンテナ部4を有する第1の半体3と、この第1の半体3に回動自在に連結された第2の半体5とにより構成されている。
【0017】
アンテナ部4は、金属板材(金属箔も含まれる)により構成されており、第1の半体3に埋設又は積層される。本実施形態のアンテナ部4は、合成樹脂からなる第1の半体3の厚み内に、埋め込まれた状態で一体化している。本実施形態のアンテナ部4は、断面略C字状の導電性部材により構成されており、縦長矩形状の金属板材を短辺方向がC字状となるよう長辺方向に一様に湾曲させることで形成される。
【0018】
このアンテナ部4は、上下方向に複数のスロット41が形成されたスロットアンテナにより構成されている。アンテナ部4は、このスロット41が上下方向に複数並設されており(本実施形態では2つ)、隣接するスロット41同士が細溝46で接続されている。各スロット41は、三角形の頂点を互いに突き合わせたようなボウタイ形状に形成されている。スロット41は、上下方向の略中央部分に給電部42を有している。本実施形態の給電部42は、周方向に対向する三角状片43の頂点部分により構成されている。
【0019】
なお給電部42には、同軸ケーブル(図示せず)が電気的に接続される。同軸ケーブルは、中央の線が一方の三角状片43に接続され且つ外側の網線が他方の三角状片43に接続される。同軸ケーブルは、アンテナ部4により受信した電波を、室内側のテレビ等に送るための伝送路となる。
【0020】
アンテナ部4は、第一の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第一の受信部44と、第二の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第二の受信部45を有している。
【0021】
第一の受信部44は、スロット41及び当該スロット41の周縁部により構成される。第二の受信部45は、このスロット41に対し上下方向に隣接する周方向に連続した金属板材部分により構成される。
【0022】
第一の受信部44を構成するスロット41の上下方向の長さは、前記第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに応じて決定される。また、第二の受信部45の周方向の長さは、前記第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに応じて決定される。
【0023】
第1の半体3は、上記のようなアンテナ部4を内蔵しており、当該アンテナ部4をモールド成形やインサート成形等により一体化した構造となっている。第1の半体3は、筒状部2の周方向の一部を構成するものであり、一側方(全周のうちの一部)に開口部を有することで断面略C字状となっている。この開口部により第1の半体3は、竪樋6に対し側方から装着可能に構成されている。第1の半体3は、図2に示されるように、周方向の一方の端部(第一端31)に軸受部33が形成されており、その反対側に位置する他方の端部(第二端32)に係止部34が形成されている。本実施形態の係止部34は、内側面に設けられており、外側からは見えにくい部分に形成されている。
【0024】
第2の半体5は、第1の半体3の側方に開口する開口部に配設されるものであり、筒状部2における第1の半体3で構成された部分以外の部分を構成する。第2の半体5は、周方向の一方の端部(第一端51)に軸部54が形成されており、他方の端部(第二端52)に第1の半体3の係止部34に係合する被係止部53が設けられている。第2の半体5は、軸部54及び軸受部33からなる枢支部を介して、第1の半体3に回動自在に枢支されている。
【0025】
第2の半体5は、竪樋用アンテナ1が竪樋6に装着されると、当該竪樋6の背部に位置するようになっている。第2の半体5は、その内側面に、図6に示されるような、周方向に筋状に形成され且つ上下方向に並設された複数の薄肉部55を有している。しかも第2の半体5は、この薄肉部55が上下方向に一定のピッチで並設されている。薄肉部55は、竪樋控え具7に竪樋6を装着した状態でも第2の半体5を設置できるよう、切欠部56を形成するために設けられている。第2の半体5は、この薄肉部55により、切断が容易となるだけでなく、きれいな切断面を形成することができる。
【0026】
以上のような構成の竪樋用アンテナ1は、図3に示されるように、竪樋控え具7を介して建物の外壁に固設された竪樋6に着脱自在に取り付けられる。
【0027】
竪樋控え具7は、外壁に固定されて、竪樋6を保持する。竪樋控え具7は、竪樋6に沿って上下方向に離間して複数並設されている。竪樋控え具7は、竪樋6の外周部を保持する竪樋保持部71と、竪樋保持部71を外壁に固定するための固定部72と、竪樋保持部71と固定部72とを連結する連結部73とを備えている。
【0028】
竪樋保持部71は、一対の平面視略C字状の保持部半体の開放端同士を互いに付き合わせた構造となっている。竪樋保持部71は、保持部半体の一端部同士が回動自在に連結されており、保持部半体の他端部同士が係脱自在に係合するよう構成されている。
【0029】
竪樋用アンテナ1は、外壁に固設された竪樋6に、後付け的に取り付けられる。なお竪樋6は、設置されてから長期間経過した既設の竪樋6であってもよいし、新しく施工された竪樋6であってもよい。
【0030】
まず、上下方向に離設された竪樋控え具7の間に、本実施形態の竪樋用アンテナ1を取り付ける場合につき説明する。
【0031】
施工者は、本実施形態の竪樋用アンテナ1につき、第1の半体3と第2の半体5との係合状態を解除する。この状態で、第1の半体3の開口部を竪樋6の外側面に当接し、さらに第1の半体3を竪樋6側に押し込む。すると第1の半体3は、開口部を拡げるようにして弾性変形する。この後、開口部内を竪樋6が通過すると、第1の半体3は弾性的に復元して竪樋6に装着される。
【0032】
次いで、施工者は、竪樋用アンテナ1の受信方向(スロット41が形成された位置)を、最も電波を強く受信できる方向に向ける。この状態を保持したまま、第2の半体5を回動させ、被係止部53を第1の半体3の係止部34に係合させる。すると竪樋6は、第1の半体3と第2の半体5とによって挟圧される。これにより竪樋用アンテナ1は、竪樋6に強固に固定される。
【0033】
このとき本実施形態の竪樋用アンテナ1は、竪樋6における上下方向の任意の位置に取り付けられるが、図4に示されるように、その下端部が、竪樋控え具7に当接するよう配置されるのが好ましい。これにより、竪樋用アンテナ1の下端が竪樋控え具7に支持されるため、一層、竪樋用アンテナ1が下方にずれ落ちるのを防止でき、安定して電波を受信することができるようになる。
【0034】
次に、竪樋控え具7を跨いで、本実施形態の竪樋用アンテナ1を取り付ける場合につき説明する。
【0035】
施工者は、第2の半体5の竪樋控え具7に対応する部位を切除して切欠部56を形成する。このとき、施工者は、周方向に筋状に形成され且つ上下方向に並設された複数の薄肉部55(図6参照)に沿って、第2の半体5を切断することができる。切欠部56の形状は特に限られないが、例えば、薄肉部55に沿って周方向に二箇所平行に切り込み、その後上下方向に切断して、回動側の端縁に向けて開口した横向き略U字状の切欠部56とすることができる。
【0036】
この後、施工者は、第1の半体3を竪樋6の側方から押し込み、当該第1の半体3を竪樋6に装着する。この状態で第2の半体5を回動させ、被係止部53を第1の半体3の係止部34に係合させる。
【0037】
このとき、切欠部56の上端縁が、竪樋控え具7に当接するよう竪樋用アンテナ1を配置するのが好ましい。これにより、切欠部56の上端縁が竪樋控え具7に支持されるため、竪樋用アンテナ1が下方にずれ落ちるのを防止でき、安定して電波を受信することができるようになる。
【0038】
なお切欠部56は、上記のように施工時に施工者によって形成されるものであってもよいし、あるいは、工場出荷時から予め形成されていてもよい。
【0039】
このように本実施形態の竪樋用アンテナ1は、筒状部2により構成されているため、竪樋6に装着されても当該竪樋6の外側面から外方に突出する部分が少ない。このため、竪樋6に竪樋用アンテナ1が取り付けられたとしても、施工者が竪樋用アンテナ1に足や服などを引っ掛けてしまうのを防ぐことができる。また、竪樋用アンテナ1が取り付けられていても、当該竪樋用アンテナ1が目立たなく、外観を害することを防ぐことができる。
【0040】
また本実施形態の竪樋用アンテナ1は、第1の半体3と第2の半体5とが回動自在となっており、これらは係止することで固定されるため、施工者は何度も繰り返しねじ具を旋回させる必要がなく、施工が容易であり、施工性を向上させる。
【0041】
本実施形態の竪樋用アンテナ1は、第2の半体5が薄肉部55を有しているため、施工者が第2の半体5の一部を容易に切断することができる。このため施工者は、現場の施工状態に応じて、容易に切欠部56を形成することができ、施工性が向上する。
【0042】
また、切欠部56が設けられた竪樋用アンテナ1は、竪樋控え具7に跨って設置することができるため、竪樋控え具7の取り付け位置に拘らず、任意の位置に設置可能となっている。これにより、電波を最大に受信可能な最適な位置に竪樋用アンテナ1を配置することができる。
【0043】
しかも、本実施形態の竪樋用アンテナ1は、円筒状の竪樋6に取り付けられるものであるため、水平方向の受信方向を、容易に調整することができる。
【0044】
また、本実施形態の竪樋用アンテナ1は、第1の半体3の係止部34が内側面に設けられており、第2の半体5の被係止部53が、第1の半体3の内側面に隠れるように係止されるため、係合部分が露出せず、外観を害するのを防ぐことができる。
【0045】
なお、本実施形態の竪樋用アンテナ1は、円筒状の竪樋6に取り付けられるものであったが、本発明の竪樋用アンテナは、角筒状の竪樋に装着されるものであってもよく、この点限定されない。
【符号の説明】
【0046】
1 竪樋用アンテナ
2 筒状部
3 第1の半体
33 軸受部
34 係止部
4 アンテナ部
41 スロット
42 給電部
43 三角状片
44 第一の受信部
45 第二の受信部
46 細溝
5 第2の半体
53 被係止部
54 軸部
55 薄肉部
56 切欠部
6 竪樋
7 竪樋控え具
71 樋保持部
72 固定部
73 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪樋の外側面に沿うように形成された筒状部により構成されたものであり、
この筒状部が、
当該筒状部の周方向の一部を構成し且つアンテナ部を有する第1の半体と、
前記筒状部の周方向のその他の部分を構成し、且つ一方の端部が第1の半体の一方の端部に枢支されると共に他方の端部が第1の半体の他方の端部に係止される第2の半体と
を備えている
ことを特徴とする竪樋用アンテナ。
【請求項2】
前記第2の半体が、竪樋控え具を通すための切欠部を有している
ことを特徴とする請求項1記載の竪樋用アンテナ。
【請求項3】
前記第2の半体が、周方向に筋状に形成され且つ上下方向に並設された複数の薄肉部を有している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の竪樋用アンテナ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−9034(P2013−9034A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138526(P2011−138526)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】