説明

端子カバー及び電池パック

【課題】 電池パックの端子保護以外の機能を電池パックからの給電を利用して実現可能な端子カバーを提供する。
【解決手段】 端子カバー10は、電池パック20に装着されると電池パック20の端子部21を保護する保護機能を有する本体1と、電池パック20の放電端子と電気的に接続される端子部5a,5bと、電池パックから端子部を介して供給される電力によって発光する光源2と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに使用される端子カバー及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、端子カバーは、電池パックの充電端子や放電端子などの複数の端子が金属等の異物混入により短絡することを防止するために使用される。従って、端子カバーは、電池パックの複数の端子の間に、少なくとも1つ以上の差し込み部を差し込むことによって電池パックと係合されて電池パックに固定される構造を取っている。
【特許文献1】特開2009-212054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の端子カバーは、電池パックの異物混入による短絡防止を目的とするのみであった。
【0004】
本発明は、斯かる実情に鑑み、電池パックの端子保護以外の機能を電池パックからの給電を利用して実現可能とする端子カバーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の端子カバーは、2次電池を有する電池パックに装着されると前記電池パックの充電端子及び放電端子を保護する保護機能を有する本体と、前記放電端子と電気的に接続される端子部と、前記電池パックから前記端子部を介して供給される電力によって実現される前記保護機能とは異なる機能を有する機能部と、を有することを特徴とする。上記構成により、端子カバーは、電池パックに装着されているとき、電池パックの充電端子及び放電端子を保護する保護機能の他に、電池パックからの給電によりさらなる機能を実現することができる。
【0006】
本発明の請求項2記載の端子カバーは、請求項1に記載の端子カバーであって、前記機能部は、発光部と、前記電池パックからの電力によって前記発光部を駆動する駆動部とを有することを特徴とする。上記構成により、端子カバーは、光を発して、電池パックの周辺を照らすことができる。
【0007】
本発明の請求項3記載の端子カバーは、請求項2に記載の端子カバーであって、前記発光部は、前記本体が前記電池パックに装着されたときに前記電池パックの外周面よりも内側に位置することを特徴とする。上記構成により、発光部を外部からの衝撃から保護することができる。
【0008】
本発明の請求項4記載の端子カバーは、請求項2及び3のいずれか一に記載の端子カバーであって、前記駆動部は、前記発光部を点滅させることを特徴とする。上記構成により、発光状態を継続する場合に比べて、電池パックの電力消費を抑制することができる。また、電池パックの状態に応じて点滅状態を変化させることにより、電池パックの残容量を外部に通知することができる。
【0009】
本発明の請求項5記載の端子カバーは、請求項1に記載の端子カバーであって、前記機能部は、ラジオであることを特徴とする。上記構成により、電池パックからの給電により、例えば電池パックの搬送中にラジオを聴くことができる。
【0010】
本発明の請求項6記載の端子カバーは、請求項1に記載の端子カバーであって、前記機能部は、AC出力アダプタであることを特徴とする。上記構成により、電池パックからの給電により、例えばAC出力アダプタに接続可能な電気機器を動作させることができる。
【0011】
本発明の請求項7記載の端子カバーは、請求項1に記載の端子カバーであって、前記機能部は、USB出力ポートであることを特徴とする。上記構成により、電池パックからの給電により、例えばUSB出力ポートに接続可能な電気機器を動作させることができる。
【0012】
本発明の請求項8記載の端子カバーは、請求項1から7のいずれか一に記載の端子カバーであって、前記端子部と前記機能部との間に形成される電流路を手動で開閉するスイッチ手段をさらに有することを特徴とする。上記構成により、機能部への給電を必要に応じて行うことができ、機能部を駆動させるタイミングを選ぶことができる。更に、充電を必要とする場合のみ機能部に給電するため、電池パックの無駄な消費を抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項9記載の端子カバーは、請求項1から8のいずれか一に記載の端子カバーであって、前記スイッチ手段は、前記本体が前記電池パックに装着されたときに前記電池パックの外周面よりも内側に位置することを特徴とする。上記構成により、スイッチ手段を外部からの衝撃に対して保護することができる。更に、外力により不意にスイッチ手段が動作することを抑制することができる。
【0014】
本発明の請求項10記載の端子カバーは、請求項1から9のいずれか一に記載の端子カバーであって、前記2次電池の過放電を検出する過放電検出回路をさらに有し、過放電が検出されたときは、前記電池パックから前記機能部への給電が停止されることを特徴とする。上記構成により、過放電に起因する電池パックの劣化を防止することができる。
【0015】
本発明の請求項11記載の電池パックは、請求項1から10までのいずれか一に記載の端子カバーを有することを特徴とする。上記構成により、電池パックの搬送中においても、電池パックの電力を利用した機能を実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の端子カバーは、電池パックの充放電端子を保護するために電池パックに装着したときに、充放電端子を保護する機能の他に、電池パックからの給電によってさらなる機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による端子カバーを装着した電池パックを示す斜視図である。
【図2】(a)は、端子カバーの上面図、(b)は、端子カバーの側面図、(c)は、端子カバーの底面図を示す。
【図3】端子カバーを電池パックに装着する様子を示す側面図である。
【図4】端子カバーを電池パックに装着する様子を示す上面図である。
【図5】電池パックに装着された端子カバーが電池パックと共に形成する回路図を示す。
【図6】端子カバーを電池パックに装着する様子を示す別の実施の形態の上面図である。
【図7】電池パックに装着された端子カバーが電池パックと共に形成する別の実施の形態の回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態の端子カバーを添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は、各図面において示す方向をさすものとする。
【0019】
図1に、電池パック20に装着された端子カバー10を示す。端子カバー10は、本体1が例えば塩化ビニル樹脂などのプラスチック素材などの非導電性部材から成型される。本体1は、図2(a)〜(c)に示すように、平板状の上段部1aと平板状の下段部1bとがZ方向において連結部1cを介して互いに略平行となるように接続された形状をなし、図2(b)に示すように、X方向からみると断面がクランク状となる形状をとっている。また、本体1には、上段部1aと連結部1cとを跨ぐように、端子カバー固定部5が設けられている。図2(c)に示すように、端子カバー固定部5には、X方向の両端部の内側にY方向に伸長する電極端子5a,5bが端子部として設けられている。従って、端子カバー10が電池パック20に装着されると、端子カバー固定部5が電池パック20の端子部21としてのY方向に伸長する複数の端子の間に差し込まれる。この状態では、端子カバー10が電池パック20に対して固定されて、端子カバー10の本体1が電池パックの端子部21を覆い隠すと共に(図3及び図4参照)、電極端子5a,5bが電池パック20の対をなす放電端子21a,21b(図5参照)と電気的に接続されるようになっている。
【0020】
図1を参照して、本体1をより詳細に説明する。連結部1cにおいて、本体1を電池パック20に装着したときに外方に位置する面1Cには、光源2が発光部として設けられている。光源2は、ミニハロゲン電球やLEDランプなどの適宜の光源からなる。
【0021】
本体1が電池パック20に装着されたときに外周面となる上段部1aの面1Aには、光源2を駆動する駆動回路3と、駆動回路3への給電をオン・オフするスイッチ4とが設けられている。図5に示すように、駆動回路3、スイッチ4、光源2は、電極端子5a,5bの間に、順次、電気的に直列に接続されている。なお、駆動回路3は、駆動部に相当する。
【0022】
駆動回路3は、レギュレータを内部に有し、装着された電池パック20の出力電圧が異なる場合に備えて、駆動回路3からの出力電圧を一定にする。スイッチ4は、スイッチ手段として、手動でオン・オフの切替が可能である。なお、光源2及び駆動回路3は、機能部に相当する。
【0023】
上記構成の端子カバー1を、図3及び図4に示すように、電池パック20に装着すると、本体が電池パック20の放電端子21a,21bを含む電池パック端子部21を覆い隠す。また、このとき、端子カバー1の電極端子5a、5bが、電池パック20の正極端子21a、負極端子21bにそれぞれ電気的に接続される。従って、例えば、ユーザがスイッチ4を押してスイッチ4をオンに切り替えると、駆動回路3は、電池パック20からの給電によって駆動されて、光源2を点灯させる。この状態から、ユーザがスイッチ4をオフに切り替えると、電池パック20から駆動回路3への給電は遮断され、光源2は消灯する。
【0024】
また、図6に示すように、端子カバー1に過放電検出端子5cを設ける。端子カバー1を電池パック20に装着すると、過放電検出端子5cは、電池パック20の過放電信号用端子21cと電気的に接続される。電池パック20内には、電池パック20内に収容されている、各々が例えばリチウム電池セルからなる単数又は複数の電池セルの各セル電圧を監視するための保護回路が設けられている。各セル電圧の少なくとも1つが所定電圧(過放電電圧)より低下したことを保護回路が検出した場合、保護回路は、過放電信号を過放電信号用端子21cに向けて出力する。
【0025】
図7に示すように、駆動回路3は、過放電信号を過放電信号用端子21c及び過放電検出端子5cを介して受け取る。駆動回路3は、電池パック20の過放電を検出する過放電検出回路を内部に有している。検出回路3は、過放電信号を受けてオフ(遮断)される例えばFET等のスイッチ素子(図示せぬ)を備えている。なお、スイッチ素子は、正極端子21aと光源2との間に直列に接続されている。この場合、電池パック20から過放電信号が端子21c、5cを介して駆動回路3に入力されると、スイッチ素子がオフし、電流路が遮断される。従って、電池パック20に過放電が生じた場合は、自動的に電池パック20からの給電を遮断して、電池パック20を保護することができる。
【0026】
このように、端子カバー1は、電池パック20に装着すると、電池パック20の充放電端子を覆い隠すので、外部からの異物による端子間の短絡を防止することができる。さらに、光源を点灯させるなど、電池パック20から供給される電力によって保護機能とは異なる付加機能を実現させることができる。従って、電池パック20の搬送中に、電池パック20の端子を保護しつつも、電池パック20の電力を利用して懐中電灯として利用することができる。
【0027】
また、光源2は、本体1の連結部1cに取り付けられているために、端子カバー1を電池パック20に装着したときには、電池パック20の外周面よりは内側に位置する。従って、端子カバー10を装着した状態で電池パック20を扱うときに、光源2は、取り扱いの邪魔にならず、外部からの衝撃に対して破損しにくい構造とすることができる。例えば、図3に示すように、電池パック20に装着された端子カバー10の光源2が、外周面20Aの最も上方に位置する部分と、上段部1aと連結部1cの接続部分(後述する先端20B)とを結ぶ仮想線Lの内側に位置するように、端子カバー10の本体1の寸法を決定することにより、外部からの衝撃や電池パック20を逆さまに置いた際に、光源2を保護することができる。
【0028】
更に、端子カバー10を電池パック20に装着した際に、光源2が、電池パック20のレール部の先端20Bの内側に位置することにより、より一層、取り扱いの邪魔にならず、外部からの衝撃に対して破損しにくい構造とすることができる。
【0029】
さらに、スイッチ4を有することによって、ユーザの要請の応じて付加機能を実現することができ、電池パック20の電力消費を抑制することができる。スイッチ4は、本体1の上面1Aと面一になるようにフラットに構成する。従って、端子カバー10を電池パック20に装着したときに電池パック20の外周面20Aよりも内側に位置するので、端子カバー10を装着した状態で電池パック20を扱うときに、スイッチ4は、取り扱いの邪魔にならず、外部からの衝撃に対して破損しにくい構造とすることができる。すなわち、端子カバー10を電池パック20に装着したときにスイッチ4が仮想線Lの内側に位置することにより、外部からの衝撃や電池パック20を逆さまに置いた際に、スイッチ4を保護することができると共に不意にスイッチ4が押されることを抑制することができる。
【0030】
また、端子カバー1の外周部には上段部1aから下段部1bに掛けて、上面1Aから上方(Z方向)に突出する突出部1Bが設けられており、スイッチ4は突出部1Bより下方に位置するため、スイッチ4を外部からの衝撃から保護することができる。
【0031】
なお、上記構成において、光源2の代わりに、ラジオやACアダプタ、USB出力ポートとすることもできる。ラジオを本体1に設けた場合、電池パック20の搬送中に電池パック20の給電によりラジオを聴くことができる。ACアダプタを本体1に設けた場合、電池パック20の電力を利用して、ACアダプタに接続した電気機器を駆動させることができる。USB出力ポートを設けた場合、USB出力ポートに接続した電気機器を駆動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の端子カバーは、内部に電源を有して外面に充電端子や放電端子が露出する適宜の電源装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 本体
5a,5b 端子部
2、3 機能部
10 端子カバー
20 電池パック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次電池を有する電池パックに装着されると前記電池パックの充電端子及び放電端子を保護する保護機能を有する本体と、
前記放電端子と電気的に接続される端子部と、
前記電池パックから前記端子部を介して供給される電力によって実現される前記保護機能とは異なる機能を有する機能部と、
を有することを特徴とする端子カバー。
【請求項2】
前記機能部は、発光部と、前記電池パックからの電力によって前記発光部を駆動する駆動部とを有することを特徴とする請求項1に記載の端子カバー。
【請求項3】
前記発光部は、前記本体が前記電池パックに装着されたときに前記電池パックの外周面よりも内側に位置することを特徴とする請求項2に記載の端子カバー。
【請求項4】
前記駆動部は、前記発光部を点滅させることを特徴とする請求項2及び3のいずれか一に記載の端子カバー。
【請求項5】
前記機能部は、ラジオであることを特徴とする請求項1に記載の端子カバー。
【請求項6】
前記機能部は、AC出力アダプタであることを特徴とする請求項1に記載の端子カバー。
【請求項7】
前記機能部は、USB出力ポートであることを特徴とする請求項1に記載の端子カバー。
【請求項8】
前記端子部と前記機能部との間に形成される電流路を手動で開閉するスイッチ手段をさらに有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一に記載の端子カバー。
【請求項9】
前記スイッチ手段は、前記本体が前記電池パックに装着されたときに前記電池パックの外周面よりも内側に位置することを特徴とする請求項1から8のいずれか一に記載の端子カバー。
【請求項10】
前記2次電池の過放電を検出する過放電検出回路をさらに有し、過放電が検出されたときは、前記電池パックから前記機能部への給電が停止されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一に記載の端子カバー。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一に記載の端子カバーを有することを特徴とする電池パック。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−119107(P2012−119107A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265984(P2010−265984)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】