説明

端子台およびこれを備えた電気機器

【課題】 雌型端子と雄型端子との嵌合が確実に行える端子台を提供する。
【解決手段】 端子台1は、一端がタブ形状とされた雄型端子11を備えており、雄型端子11はその一部を延伸して形成した突き当て部11bを備えている。雄型端子11に雌型端子2を嵌合する際に雄型端子11に加わる力によって、雄型端子11が弾性変形しないように突き当て部11bが端子台1の端子台壁15に当接する。これにより、雄型端子11と雌型端子2との嵌合が不完全な状態、あるいは、嵌合できていない状態となることを防ぐことができ、接触不良による両端子の嵌合部の発熱や、端子台1が搭載された電気機器に電力供給が行えないといった不具合発生を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に使用される端子台に関わり、特に、電源と電気機器に備えられた電源基板や電源装置とを中継する端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば空気調和機の室外機に搭載され、商用電源あるいは室内機と、室外機の電源基板とを中継する端子台としては、図3(A)に示すような4極のネジ式の端子台100が存在する。この端子台100は、樹脂材からなるケースに、間隔をおいて並列配置された4個の雄型端子110と、温度ヒューズ120と、ネジ140とが取り付けられている(特許文献1参照)。
【0003】
端子台100は、室外機に取り付けられており、商用電源あるいは室内機からの電源供給ラインがネジ140によって雄型端子110に電気的に接続される。一方、雄型端子110は、端子板110eの一端が上方に折り曲げられさらにその先端部が端子板110eと平行に折り曲げられたタブ110aを有し、タブ110aには、室外機の電源基板に一端が接続された電線300の他端に接続された雌型端子200が嵌め込まれる。これにより、商用電源あるいは室内機と、室外機の電源基板とが端子台100を介して接続され、商用電源あるいは室内機から室外機への電力供給が行われる。
【0004】
また、端子台100には、温度ヒューズ120が備えられている。温度ヒューズ120は、図3(B)に示すように、端子台100のケースに備えられた固定部130に格納されている。図示しない電線によって、温度ヒューズ120の一端は電源供給ラインが接続された雄型端子110に接続され、他端が室外機の制御基板に実装されている制御手段に接続されている。端子台100を介して室外機に電源供給を行っている際に、室外機に備えられた回路基板における回路のショートや実装部品の故障等に起因する過熱によって雄型端子110が発熱し、この熱を受けて温度ヒューズ120が溶融すれば、温度ヒューズ120から室外機の制御手段への入力が途絶えるため、これを検知した室外機の制御手段は、電源基板から室外機の各装置への電源供給を停止する。これにより、室外機の焼損を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−209654号公報(第3頁、第1図および第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した端子台100では、図3(B)に示すように、タブ110aに雌型端子200を挿入する際には、タブ110aに矢印で示す方向に力が加わる。しかし、雄型端子110におけるタブ110aの形成部が固定されていない(L字状に形成した際の折り曲げ部が自由に動く)ため、例えば、雌型端子200をタブ110aに挿入する際に、雌型端子200がタブ110aに当たり、図3(B)の破線で示すようにタブ110aが上方へ曲がってしまう虞があった。
【0007】
タブ110aが上方へ曲がってしまうと、例えば、空気調和機の製造時やメンテナンス時において、一旦雌型端子200を引き抜いた後再びタブ110aに挿入するような場合に、雌型端子200とタブ110aとの嵌合が不完全な状態、あるいは、嵌合できていない状態となる虞があり、接触不良による嵌合部の発熱や、室外機の電源基板に電力供給が行えないといった不具合が発生する虞があった。
【0008】
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、雌型端子と雄型端子との嵌合が確実に行える端子台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の端子台は、端子台の少なくとも一端を上方に折り曲げて形成した立上げ部と、この立上げ部の先端をさらに端子板と平行となるように折り曲げて形成したタブを有する雄型端子と、雄型端子を取り付けるケースとを備えている。そして、雄型端子は、立上げ部の一部をタブの反対側へ切り起こして形成した突き当て部を備え、また、ケースには突き当て部が当接する端子台壁を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明の端子台では、雄型端子に雌型端子を挿入する際に、雄型端子の突き当て部が端子台壁に当接することによって、雄型端子に加わる力によって雄型端子が変形することを防ぐことができる。これにより、雄型端子と雌型端子との嵌合が不完全な状態、あるいは、嵌合できていない状態となることを防ぐことができ、両端子の接触不良による嵌合部の発熱や、端子台が搭載された電気機器に電力供給が行えないといった不具合発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による端子台の概略図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のX−Xにおける要部断面図である。
【図2】本発明による端子台の、他の実施形態を示す要部断面図である。
【図3】従来の端子台の概略図であり、(A)は上面図、(B)は(A)のY−Yにおける要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、空気調和機の室外機に備えられ、室内機からの給電を中継する4極のネジ式の端子台を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例1】
【0013】
図1に示すように、本実施例による端子台1は、一体または複数の樹脂成形品を組み合せたケース4に、雄型端子11と、温度ヒューズ12と、ネジ14とが取り付けられている。図1(A)に示すように、端子台1のケース4には、4個の雄型端子11が間隔をおいて並列配置されており、雄型端子11の後述する上タブ11aおよび下タブ11dの反対側の一端にはネジ14が螺着されている。
【0014】
雄型端子11は、板状の真鍮を切断および折り曲げ加工して形成されており、表面に錫メッキやニッケルメッキ等の被膜を備えている。図1(B)に示すように、雄型端子11は、端子板11eの一端を上方に略直角に折り曲げて形成した立上げ部11fと、さらに立上げ部11fの先端を端子板11eに平行に折り曲げて形成した上タブ11aを設け、他端に下タブ11dを設けている。この上タブ11aと下タブ11dとは同一形状とされており、図1に示す雌型端子2と嵌合する形状とされている。尚、雌型端子2に接続された電線3は、図示しない室外機の電源基板に接続されている。
【0015】
端子板11eの上タブ11aの先端部は、上述した折り曲げにより端子台1前方(図1の雌型端子2側)に臨むようになっており、さらに、端子板11eは略中央部付近を境に180度折り曲げられて端子板11eの一方の面と他方の面とが折り重さねられている。この端子板11eの180度の折り曲げは、上タブ11aの先端部と下タブ11dの先端部とが、端子台1前方に対し位置が揃うようになされる。
【0016】
また、上タブ11aの先端部と反対側には、立上げ部11fの一部を上タブ11aの先端部と反対側に切り起こしてなる突き当て部11bを設けている。図1(A)に示すように、突き当て部11bは、端子板11e(上タブ11a)の両測部に設けられており、突き当て部11bの先端部は端子台1のケース4に設けられた端子台壁15に当接する形状とされている。また、突き当て部11bの間のスペースは、端子台1の雄型端子11に雌型端子2を接合した際に、雄型端子11と室外機の電源基板との導通を確認するための通電冶具挿入部11cとされており、テスタ等の通電検査装置に備えられたプローブあるいは検査冶具を挿入できるような形状とされている。
【0017】
温度ヒューズ12は、図1(B)に示すように、端子台1のケースに備えられた固定部(端子台壁15の略直下に配置)に格納されている。図示しない電線によって、温度ヒューズ12の一端は電源供給ラインが接続された雄型端子11に接続され、他端が室外機の制御基板に実装されている制御手段に接続されている。端子台1を介して室外機に電源供給を行っている際に、室外機に備えられた回路基板における回路のショートや実装部品の故障等に起因する過熱によって雄型端子11が発熱し温度ヒューズ12が溶融すれば、温度ヒューズ12から室外機の制御手段への入力が途絶えるため、これを検知した室外機の制御手段は、電源基板から室外機の各装置への電源供給を停止する。これにより、室外機の焼損を防いでいる。
【0018】
ネジ14は、図1(A)および(B)に示すように、各雄型端子11の上タブ11aおよび下タブ11dの反対側の一端に設けられた図示しないネジ孔に螺着されており、ネジ14頭部の下方には略正方形状のワッシャが備えられている。このワッシャと雄型端子11との間に、室内機からの電源供給を行うための電源ラインが挿入され、ネジ14を締め付けることで電源ラインと雄型端子11とを電気的に接続する。
【0019】
以上説明したように、室内機からの電源ラインがネジ14にて雄型端子11に接続されるとともに、雄型端子11の上タブ11aあるいは下タブ11dに雌型端子2が接続されることで、室内機から室外機の電源基板へ端子台1を介して室外機で必要とされる電力が供給される。
【0020】
次に、図1を用いて、本実施例の端子台1における、雄型端子11の突き当て部11bの具体的な効果について説明する。雌型端子2を雄型端子11の上タブ11aあるいは下タブ11dに接合させる際は、図1(B)の矢印で示すように、雄型端子11に対し端子台1後方(ネジ14側)に向かう力が加わる。
【0021】
下タブ11dは、図1(B)に示すように、雄型端子11の挿入力の方向に対し平行となっているので、雄型端子11の挿入力による下タブ11dの曲がりや変形は発生しない。一方、上タブ11aは、上述したように、端子板11eをL字状に折り曲げた方の一端に設けられているため、雄型端子11の挿入力によって、L字状に折り曲げる際の折り曲げ部で曲がりや変形が生じる虞がある。この曲がりや変形によって上タブ11aが曲がってしまうと、例えば、空気調和機の製造時やメンテナンス時において、一旦雌型端子2を引き抜いた後再び上タブ11aに挿入するような場合に、雌型端子2と上タブ11aとの嵌合が不完全な状態、あるいは、嵌合できていない状態となる虞があり、接触不良による嵌合部の発熱や、室外機の電源基板に電力供給が行えないといった不具合が発生する虞がある。
【0022】
しかし、本実施例の雄型端子11は、図1(B)に示すように、突き当て部11bが端子台1の端子台壁15に当接しているため、雌型端子2の挿入の際に、雄型端子11に挿入力が加わっても突き当て部11bの変位、つまり、上タブ11aの変位は端子台壁15で規制される。
【0023】
これにより、雌型端子2の挿入力によって上タブ11aの曲がりや変形が抑えられるので、雄型端子11と雌型端子2との確実な嵌合が行え、ひいては、室内機からの電源ラインと室外機の電源基板との確実な中継接続が行える。
【実施例2】
【0024】
次に、図2を用いて、本発明による端子台の第2の実施例について説明する。本実施例による端子台10は、一体または複数の樹脂成形品を組み合せたケース4に、雄型端子21と、温度ヒューズ12と、ネジ14とが取り付けられている。尚、ケース4、温度ヒューズ12およびネジ14については、第1の実施例の端子台1と同じであるため、詳細な説明は省略する。第1の実施例と異なるのは、雄型端子21の形状とそのケース4への固定方法である。
【0025】
雄型端子21は、基本的な形状は第1の実施例における雄型端子11と同じであり、その一端に上タブ11aと同一形状である上タブ21aが設けられている。雄型端子11と異なる点は、雄型端子11における突き当て部11bより長さを後方に延伸した突き当て部21bとなっている点である。図2に示すように、端子台20では、雄型端子21の挿入部21bが、端子台20のケース4の端子台壁25に設けられ突き当て部21bの先端の形状に対応した凹部25aに挿入されている。
【0026】
突き当て部21bは上タブ21aと連続しているため、突き当て部21bが端子台壁25に設けられ凹部25aに挿入されることで、上タブ21aの上下方向への曲がりをより効果的に抑制できる。従って、雄型端子21と雌型端子2とのより確実な嵌合が行え、ひいては、室内機からの電源ラインと室外機の電源基板との確実な中継接続が行える。
【0027】
以上説明したように、本発明による端子台では、雄型端子に雌型端子を挿入する際に、雄型端子に加わる力によって雄型端子が弾性変形することを、雄型端子の突き当て部が端子台に当接することによって防ぐことができる。これにより、雄型端子と雌型端子との嵌合が不完全な状態、あるいは、嵌合できていない状態となることを防ぐことができ、接触不良による嵌合部の発熱や、端子台が搭載された電気機器に電力供給が行えないといった不具合発生を防ぐことができる。
【0028】
また、本発明による端子台を電気機器に備えることによって、商用電源等の電力供給源と電気機器に備えられた電源基板や電源装置との確実な接続が行えるので、電気機器は安定して電力供給を受けることができ、その動作が安定する。
【符号の説明】
【0029】
1 端子台
2 雌型端子
3 電線
4 ケース
10 端子台
11 雄型端子
11a 上タブ
11b 突き当て部
11c 通電治具挿入部
11d 下タブ
11e 端子板
11f 立上げ部
12 温度ヒューズ
13 固定部
14 ネジ
15 端子台壁
21 雄型端子
21a タブ
21b 突き当て部
21f 立上げ部
23 固定部
25 端子台壁
25a 凹部
100 端子台
110 雄型端子
110a タブ
120 温度ヒューズ
130 固定部
140 ネジ
200 雌型端子
300 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子板の少なくとも一端を上方に折り曲げて形成した立上げ部と同立上げ部の先端をさらに前記端子板と平行となるよう折り曲げて形成したタブを有する雄型端子と、同雄型端子を取り付けるケースとを備えた端子台であって、
前記雄型端子は、前記立上げ部の一部を前記タブの反対側へ切り起こして形成した突き当て部を備え、
前記ケースには、前記突き当て部が当接する端子台壁を備えたことを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記突き当て部は、前記端子板と平行となるよう形成されたことを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記端子台壁に、前記突き当て部の形状に対応する凹部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載の端子台を備えた電気機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate