説明

端子台およびこれを用いた配電装置

【課題】端子の不完全接続などの異常に対して温度ヒューズ等の感温部が確実に反応する安全機能を備えた端子台を提供する。
【解決手段】 この端子台100は端子台本体10に、感温部を備えた熱検知用基板としての温度ヒューズユニット20を具備し、前記二次側端子部の各端子に熱接触した接触片26が熱検知用基板に熱的に接続されている。ここで熱検知用基板は、温度ヒューズ23を搭載した配線基板21で構成され、所望の温度以上になると溶断する。そして、この端子台では、温度ヒューズ23の出力はコネクタ24を介して外部出力され、必要に応じて、端子台の一次側端子部への給電停止などの処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台およびこれを用いた配電装置に係り、特に、温度ヒューズなどの感温部を有する熱検知用基板を備えた端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分電盤、制御盤等の電気機器収納箱には、内部に収納した電気機器からの電線(内部電線すなわち二次配線)と、外部からの電線(外部電線すなわち一次配線)とを中継する端子台が備えられている(例えば、特許文献1参照)。このような端子台では、電気機器収納箱の製造業者が、電気機器収納箱内の電気機器からの内部電線を接続する。一方、外部電線の接続は、電気機器収納箱を現場に設置した後に、現場の施工業者が行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−69638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように内部電線すなわち二次配線と、外部電線すなわち一次配線とが接続される端子台は、内部電線を接続した状態で出荷され、現場では外部電線の接続のみを行う。しかし、現場の施工業者が、電気機器収納箱内に外部電線を接続する際に、接続がゆるみ、発熱しやすいという課題があった。
【0005】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、端子の不完全接続などの異常に対して温度ヒューズなどの感温部が確実に反応する安全機能を備えた端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による端子台は、一次側端子に接続される一次側端子部と、二次側端子に接続される二次側端子部と、感温部を備えた熱検知用基板とを具備し、前記二次側端子部の少なくとも1つの端子に熱接触した接触片が前記熱検知用基板に接続される。
【0007】
また、本発明は、上記端子台であって、前記感温部は温度ヒューズを含み、前記熱検知用基板は、前記温度ヒューズを搭載した配線基板であるものを含む。
【0008】
また、本発明は、上記端子台であって、前記温度ヒューズの出力はコネクタを介して外部出力されるように構成されたものを含む。
【0009】
また、本発明は、上記端子台であって、前記二次側端子部は、端子板と、前記端子板上に形成された接続孔に挿通して電線を挟みこむように形成されたビスとを備え、前記熱検知用基板は、前記端子板と当接するように構成されたものを含む。
【0010】
また、本発明は、上記端子台であって、前記端子板と前記熱検知用基板は所定の角度をなすように折り曲げられたものを含む。
【0011】
また、本発明は、上記端子台で配電装置を構成する。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、端子の不完全接続などの異常に対して温度ヒューズなどの感温部が確実に反応し得、安全を確保することのできる端子台を提供することができる。
このため、端子台に熱接触された接触片を介して熱検知用基板に熱を搬送し、感温部が反応するようにしているため、更に端子台が加熱されて焼損、発火することがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1の端子台を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1の端子台を示す分解斜視図であり、(a)は端子台本体、(b)は温度ヒューズユニットを示す図
【図3】本発明の実施の形態1の端子台を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図
【図4】温度ヒューズユニットを示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A断面図
【図5】実施の形態1の端子台の変形例を示す図
【図6】実施の形態2の端子台を用いた分電盤を示す斜視図
【図7】実施の形態3の端子台を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の端子台について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の端子台を示す斜視図、図2はこの端子台を示す分解斜視図であり、(a)は端子台本体、(b)は感温ユニットとしての熱検知用基板すなわち温度ヒューズユニットを示す図である。図3は端子台を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。図4は、温度ヒューズユニットを示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【0015】
この端子台100は、図1に示すように、端子台本体10に、感温部を備えた熱検知用基板としての温度ヒューズユニット20を具備し、前記二次側端子部の各端子に熱接触した接触片26が熱検知用基板に熱的に接続されている。ここで熱検知用基板は、温度ヒューズ23を搭載した配線基板21で構成され、所望の温度以上になると溶断する。
【0016】
また、この端子台では、温度ヒューズ23の出力はコネクタ24を介して外部出力され、必要に応じて、端子台の一次側端子部への給電停止などの処理を行うように構成されている。
【0017】
このようにして二次側端子部の各端子に熱接触した接触片26によって温度ヒューズユニット20に熱を搬送し、この熱検知用基板上で温度検出を行うようにしたものである。この端子台は、一次側端子に接続される一次側端子部11と、二次側端子に接続される二次側端子部12とを具備している。そしてこの二次側端子部の各端子の配列方向に沿って全幅に接触片26が配節され、熱的接触を達成している。温度ヒューズユニット20は、端子板15上に重ね合わせて形成された配線基板21を搭載するとともに、この端子板から出力が導出される。
ここでは一次側端子部11、二次側端子部12ともに8個の端子を備えるが、各端子部は隔壁10sで分離されている。温度ヒューズ23としては、所定の温度以上になるとこれを検知して溶断する温度ヒューズ23が用いられ、温度ヒューズユニット20を構成している。
そしてこの端子台は、一次側端子部11と二次側端子部12とを分離するセパレート部13が、端子台本体10と一体成型で形成されている。
【0018】
一次側端子部11は、端子ネジ11aを台座11bに設けられたネジ穴に螺合させることにより、一次側配線の各端子とこの端子台本体10との電気的接続を達成している。また、二次側端子部12は、端子ネジ12aを台座12bに設けられたネジ穴に螺合させることにより、二次側配線の各端子とこの端子台本体との電気的接続を達成している。
14は端子台本体10の両端の支持板であり、それぞれ支持板本体14aと、取り付け突起14bと、ビス14cとを有している。また15は端子板であり、この端子板15に形成された配線パターンによって一次側端子部と二次側端子部とが接続されている。
【0019】
上記構成によれば、熱検知用基板で構成された温度ヒューズユニットを接触片で各端子に熱接触して用いることで、この二次側端子部が所定の温度以上になると、その熱が温度ヒューズに伝達されるため、極めて容易に温度ヒューズ23を高感度化することができる。
また各端子は端子台本体10の複数個の突起すなわち隔壁10sで確実に保持されながらも、いずれかの端子が許容温度を超えた時にも、接触片26を介して容易に温度ヒューズに伝達することができる。このように本実施の形態の端子台では、隣接する2つの端子にまたがって温度ヒューズ23を配しており、8端子に対して4個の温度ヒューズで、対応することができる。このため部品点数を削減を図ることができる。
またこの構成によれば、端子の不完全接続などの異常に対してセンサが確実に反応することができるため、確実な安全装置として作用する。
【0020】
なお、前記実施の形態では、温度ヒューズを用いたが、高温を検知して溶断する温度ヒューズに代えて、単に温度センサを用いて、警告信号を発信したり、別の場所で警告音を発するようにしてもよい。
【0021】
また、前記実施の形態では、8端子に対して4個の温度ヒューズを用いている。これに対し、各端子間のすべてに温度ヒューズ23を配してもよいし、また図5に変形例を示すように熱検知用基板上に一つの温度ヒューズ23を配置するようにしてもよい。
【0022】
(実施の形態2)
次いで、本発明の実施の形態2について、図面を参照して説明する。
図6は、実施の形態2の端子台を用いた分電盤を示す斜視図である。
本実施の形態では前記実施の形態1で示した端子台を二次側端子部12との間に温度ヒューズ23を備えた熱検知用基板からなる温度ヒューズユニット20を用いた分電盤Bについて説明する。
分電盤Bとしては通常の構成を示すものであるが、表示部D、端子台100を備えている。この端子台100は二次側端子部12の各端子に接触片(26)を介して熱検知用基板を構成する温度ヒューズ(23)に接続している。なお、図1に示した実施の形態1の端子台と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0023】
なお、前記実施の形態1では、温度ヒューズを用いたが、本実施の形態においても、高温を検知して溶断する温度ヒューズに代えて、単に温度センサを用い、警告信号を発信したり、別の場所で警告音を発するようにしてもよい。
【0024】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3の端子台について説明する。この端子台は、図7に断面図を示すように、熱検知用基板を下方に折り曲げたものである。他部については前記実施の形態1と同様である。
【0025】
この端子台100Sは、図7に示すように、前記実施の形態1に示した端子台と同様、端子台本体10に、一次側端子に接続される一次側端子部11と、二次側端子に接続される二次側端子部12とを具備している。そして本実施の形態では、温度変化を検出する温度センサユニット20Sを備えたている。この温度センサユニット20Sは端子台の二次側端子部の各端子に接触片を介して直接接触するように構成されている。
【0026】
一次側端子部11は、端子ネジ11aを台座11bに設けられたネジ穴に螺合させることにより、一次側配線の各端子とこの端子台本体10との電気的接続を達成している。また、二次側端子部12は、端子ネジ12aを台座12bに設けられたネジ穴に螺合させることにより、二次側配線の各端子とこの端子台本体との電気的接続を達成している。
【0027】
上記構成によれば、熱検知用基板上に温度センサ23Sを設けているため、端子の不完全接続などの異常に対して温度センサ23Sが確実に反応し、一次側及び二次側の両側の異常検知が可能である。
【0028】
また本実施の形態では、端子台のセパレート部の長手方向全体にわたり、接触片を介して熱的に接触状態を維持するようにしている。この接触片と熱検知用基板の配線パターン22を介して熱を温度センサ23Sまで搬送しているため、容易に確実な温度検出が実現される。
【0029】
なお、熱検知用基板としては、金属基板表面に絶縁膜を介して配線パターン及び温度ヒューズなどの感温部を形成したものも有効である。この場合は接触片を金属基板と一体形成することも可能である。また、フレキシブル基板上に配線パターン及び温度ヒューズなどの感温部を形成したものも有効であり、この場合はフレキシブル基板に、櫛形にパターニングした金属箔の根元部を貼着し、先端部を接触片としてもよい。さらにまたセラミックなどやガラスなど剛性基板上に配線パターン及び温度ヒューズなどの感温部を形成したものも有効である。
【符号の説明】
【0030】
10 端子台本体
10s 隔壁
11 一次側端子部
11a 端子ネジ
11b 台座
12 二次側端子部
12a 端子ネジ
12b 台座
13 セパレート部
14 支持板
14a 支持板本体
14b 取り付け突起
14c ビス
14d 外部接続端子部
15 端子板
20 温度ヒューズユニット
21 配線基板
22 配線パターン
23 温度ヒューズ
24 コネクタ
26 接触片
100 端子台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側端子に接続される一次側端子部と、
二次側端子に接続される二次側端子部と、
感温部を備えた熱検知用基板とを具備し、
前記二次側端子部の少なくとも1つの端子に熱接触した接触片が前記熱検知用基板に接続された端子台。
【請求項2】
請求項1に記載の端子台であって、
前記感温部は温度ヒューズを含み、
前記熱検知用基板は、前記温度ヒューズを搭載した配線基板である端子台。
【請求項3】
請求項2に記載の端子台であって、
前記温度ヒューズの出力はコネクタを介して外部出力されるように構成された端子台。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の端子台であって、
前記二次側端子部は、端子板と、前記端子板上に形成された接続孔に挿通して電線を挟みこむように形成されたビスとを備え、
前記熱検知用基板は、前記端子板と当接するように構成された端子台。
【請求項5】
請求項4に記載の端子台であって、
前記端子板と前記熱検知用基板は所定の角度をなすように折り曲げられた端子台。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の端子台を含む配電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−216395(P2012−216395A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80327(P2011−80327)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】