説明

端子台の記号板取付機構

【課題】 記号板を容易に着脱可能とし、かつ容易に離脱しない、そしてストッパー用筐体を不要とする端子台を提供する。
【解決手段】 端子台筺体2の中央部上端面27に、記号板5を挟持するための逆L字型形状の係止部24が対向立設され、上端面27より一段上がった面に記号板5を支える台座23が配設されている。係止部24に下向きに設けられた両刃形状突部25と台座23との間に記号板5を挟持することで、記号板5の長手方向への離脱防止を可能とし、従来必要としたストッパー用筐体が不要となる。また、記号板5のかとう性を利用して上面からの力でたわませ、係止部24の両刃形状突部25と台座23との間に軽く圧入することで簡単に取り付けができ、また、記号板5を厚み方向に指でつまみ、取り付け時と反対方向に力を加えることで容易に取り外すことができ、工数削減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御盤や配電盤等に使用される端子台の記号板取付機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の端子台が提案されており(例えば実用新案文献1参照)、それら従来例の一つとして端子台の筐体には、端子の記号名等を確認できるように板等に記号名を記載し、図8に示すような記号板として端子台筐体に取り付け使用されている。
【0003】
記号板の端子台筐体への固定方法は、端子台筐体の上面に挿通溝を貫通形成し、記号板を端子台の長手方向に挿通することで、上下方向及び横幅方向に保持し、端子台筐体からの離脱を防止している。
【0004】
【特許文献1】公開実用新案昭53−52383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、記号板は、端子台筐体上面の挿通溝に対して端子台の長手方向に移動可能なことから、そのままの状態では端子台筐体の傾き、振動、衝撃等により端子台筐体から離脱してしまうため、端子台筐体の少なくとも一方の端に離脱防止の目的で端子台筐体と形状の異なるストッパー用筐体を別に設ける必要があった。また、逆に記号板を端子台筐体から取り外す場合には、上記に提案されているような(例えば実用新案文献1参照)方法を用いるか、あるいはストッパー用筐体を取り外した後端子台筐体から引き抜く必要があった。
【0006】
本発明は前述した問題点に鑑みてなされたものであり、解決しようとする課題は、記号板を容易に着脱可能とし、かつ振動、衝撃等で離脱せず、そしてストッパー用筐体を不要とする端子台を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、複数配列可能な端子台筺体と、端子台筺体の上面中央部に着脱可能に狭持され、可とう性を有する記号板とを備えており、前記端子台筺体の電線接続方向中央部に、前記記号板を支持する面を有する台座と、台座の上面より一段下がった面から、前記台座を挟んだ両側に前記記号板が挿入可能な間隔で対向立設された係止部と、両係止部の内側が逆L字型形状、かつ、逆L字型形状の下面の一端に下向きの両刃形状突部とを各々に有すると共に、両刃形状突部の先端と前記台座の上面との間隔が前記記号板の厚みよりも狭く配置された端子台において、前記記号板の幅方向両端の上下面が前記両刃形状突部と前記台座間に各々狭持され、前記記号板の長手方向への離脱防止を可能にすると共に、前記端子台筺体から前記記号板を可とう性を利用して幅方向の片側端からの着脱を可能にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、係止部を備えた端子台において、記号板の幅方向両端の上下面が両刃形状突部と台座間に各々狭持され、記号板の長手方向へ離脱防止を可能にすることで、従来必要としたストッパー用筐体が不要となり、かつ、記号板の可とう性を利用して、端子台筺体から幅方向の片側端での着脱を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。ただし、以下の説明は、あくまでも本発明の例示にすぎず、以下の記載によって発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明の記号板取付機構を示す分解斜視図である。図2は、端子台筺体2を長手方向から見た正面図である。図3は、図2の要部(A部)拡大図である。図4は、要部拡大斜視図である。図5は、本発明と従来例との取付状態比較図である。図6は、本発明の実施例を示す斜視図である。図7は、本発明の省スペース化を示した図である。図8は、従来例を示す斜視図である。
【0011】
本発明の記号板取付機構は、図1、図6に示すように2つの対向した端子台筺体2、2と、その間に両者を中継する中間筺体3と、中間筺体3の上部に載置され、両側から端子台筺体2、2によって挟み込み固定された導電部材の端子板4と、かとう性を有する記号板5を主要部材として構成されている。端子板4には、電線が圧着された圧着端子(図示せず)を固定するための端子ねじ8や、端子ボルト9がそれぞれ止められている。そして、中間筺体3を挟み端子台筺体2、2の両底部には締め付けねじ6が、孔28、28、及び孔31、31に各々挿通され、ナット7で締め付けられ固定されている。
【0012】
端子台筺体2は、上部に隔壁26と、隔壁26の下部に台座部21と、隔壁26の幅方向中央に端子台1を制御盤等へ固定するためのU字縦溝22を有しており、U字縦溝22の上端面27には、U字の底に当たる近傍に、記号板5を支えるための台座23が一段高い位置に配設されている。台座23を挟んだ両側には、記号板5を上方向から挿入可能な間隔を有して、記号板5を挟持するための係止部24、24が対向立設されている。係止部24、24は、内側が逆L字型形状で、その下面の一端に下向き状態、かつ、幅方向に両刃形状突部25、25が各々設けられている。ここで重要な点は、記号板5の厚みに対し、両刃形状突部25と台座23との間隔が僅かに狭く設定されていることである。
【0013】
次に、端子台1に記号板5が挟持される機構を、図3、図4、図5により詳しく述べる。記号板5の幅は係止部24、24の上端部内側の幅に対しては広く、係止部24、24の下部内側の幅に対しては僅かに狭く設定されている。これにより、記号板5は係止部24、24の間に収まる寸法関係にある。記号板5を端子台1に取付けるには、図3Bに示すように記号板5を傾けて一方の端を係止部24の両刃形状突部25と台座23との隙間に挟み込み、もう一方の端を記号板5のかとう性を利用して上面から力を加えてたわませ、係止部24の両刃形状突部25と台座23との間に軽く圧入することで挟持される。逆に、記号板5を端子台1から取り外すには、どちらか一方の係止部24付近の記号板5を厚み方向に指でつまみ、取り付け時と反対方向に力を加えることで容易に取り外すことができる。結果として、工数削減を図ることができる。また、記号板5は前記のように係止部24の両刃形状突部25と台座23との間に挟持されることにより、記号板5の長手方向への離脱防止が可能となる。これにより、図7に示すように従来必要としたストッパー用筐体が不要となりコストダウン及び省スペース化が図れる。
尚、上記では、中間筺体3を使用した例で説明したが、中間筺体3を使用せず(その場合、端子板4は別形状となる)、端子台筺体2、2のみでも前記機構は有効であり、これも本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の記号板取付機構を示す分解斜視図である。
【図2】端子台筺体2を長手方向から見た正面図である。
【図3】図2の要部(A部)拡大図である。
【図4】要部拡大斜視図である。
【図5】本発明と従来例との取付状態比較図である。
【図6】本発明の実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明の省スペース化を示した図である。
【図8】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1 端子台
2 端子台筺体
3 中間筺体
4 端子板
5 記号板
6 締め付けねじ
7 ナット
8 端子ねじ
9 端子ボルト
21 台座部
22 U字縦溝
23 台座
24 24 係止部
25 両刃形状突部
26 隔壁
27 上端面
28 28 孔
31 31 孔
50 端子台
51 端子台筺体A
52 端子台筺体B
53 ストッパー用筐体
54 端子板
55 記号板
56 端子ねじ
57 記号名

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数配列可能な端子台筺体と、端子台筺体の上面中央部に着脱可能に狭持され、可とう性を有する記号板とを備えており、前記端子台筺体の電線接続方向中央部に、前記記号板を支持する面を有する台座と、台座の上面より一段下がった面から、前記台座を挟んだ両側に前記記号板が挿入可能な間隔で対向立設された係止部と、両係止部の内側が逆L字型形状、かつ、逆L字型形状の下面の一端に下向きの両刃形状突部とを各々に有すると共に、両刃形状突部の先端と前記台座の上面との間隔が前記記号板の厚みよりも狭く配置された端子台において、前記記号板の幅方向両端の上下面が前記両刃形状突部と前記台座間に各々狭持され、前記記号板の長手方向への離脱防止を可能にすると共に、前記端子台筺体から前記記号板を可とう性を利用して幅方向の片側端からの着脱を可能にすることを特徴とする端子台の記号板取付機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate