説明

端子台

【課題】 構造が簡単で、且つ、視認し易いリード線挿入確認片を備える端子台を提供する。
【解決手段】 絶縁性基板2に、昇降可能に保持される昇降杆部41と傾動可能に軸支される傾動杆部42とが可撓性薄肉節43を介して一体形成されてなる樹脂製のリード線挿入確認片40を装着する。そして、リード線の挿入端81が、リード線挿入孔11の奥まで挿入されると、傾動杆部42が挿入端81によって挿入方向へ押圧されて傾動し、これに伴って、昇降杆部41が薄肉節43を介して押し上げられて、その上端の表示端部47を絶縁性基板2の外方に突出させて、外方から明瞭に視認可能となるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のリード線を、杆状導通片を介して電気的に接続するための端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁性基板に横断状に装着された杆状導通片を備え、該絶縁性基板に形成された複数のリード線挿入孔から挿入されたリード線を杆状導通片に電気的に接続することにより、各リード線相互を結線する端子台は種々提案されている。これらの端子台は、通常、前後に重ね合わせられて、据付レール上に保持されることにより、集合端子台を構成する(特許文献1参照)。
【0003】
かかる端子台は、リード線挿入孔にリード線を挿入して所定操作を行うと、挿入したリード線が杆状導通片に接続される。このため、端子台の各リード線挿入孔にリード線を挿入することによって、各リード線を、杆状導通片を介して結線することができる。また、集合端子台に対してはショートバーと呼ばれる器具を装着し、所要の端子台の杆状導通片相互を短絡することによって、異なる端子台に接続したリード線相互も結線可能となっている。
【0004】
リード線挿入孔に挿入されたリード線を杆状導通片と接続する機構は、金属のバネ作用を用いた圧接やネジによる締結等が利用される。また、端子台によっては、リード線の端部に所定圧着端子の固着を要するものや、リード線端部の導線の露出を要するものなどがある。
【0005】
ところで、こうした端子台では、リード線を杆状導通片に接続する際に、リード線の挿入端をリード線挿入孔の奥まで挿入しないと、リード線と杆状導通片とが適切に接続されず、結線不良となることがある。しかし、端子台の内部は、電気的絶縁のため外部から遮蔽されている。リード線が挿入孔の奥まで挿入されたか否かを挿入時の手応えによって判断することも可能ではあるが、挿入端が、リード線挿入孔の途中で引っ掛かることがあり、かかる判断方法は不確実であるという問題があった。
【0006】
この問題を解決するために、リード線が奥まで挿入されたことを視認可能とするリード線挿入確認片を備えた端子台が提案されている(特許文献2,3参照)。このリード線挿入確認片は、絶縁性基板内に移動可能に保持されており、リード線がリード線挿入孔の奥まで挿入される際に、その一端(受圧端部)を該リード線の挿入端に押圧されることによって従動し、この従動に伴って、他端に具備する表示端部を外方から視認可能な位置に変位させるものである。すなわち、かかる構成によれば、作業者は、リード線の挿入端を視認することはできないものの、表示端部が視認可能となったことによって、該挿入端をリード線挿入孔の奥まで挿入したことを視覚的に把握することができる。
【0007】
【特許文献1】特開平10−224459号公報
【特許文献2】特開2004−200091号公報
【特許文献3】登録実用新案3098937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述の表示端部は、作業者が視認し易いように、作業者がリード線を挿入する側、すなわちリード線挿入孔の入口側から視認可能となるようになっている。また、リード線の挿入に応じて表示端部を視認可能とする構成としては、絶縁性基板に形成された開口部に表示端部を露出させる構成と、表示端部を該開口部から絶縁性基板の外方に突出させる構成とがある。
【0009】
ここで、リード線挿入確認片を備えた端子台にあっては、その表示端部を、作業者が容易に視認でき、見落とし難いものとすることが望ましい。この観点では、リード線の挿入に応じて表示端部を絶縁性基板の外方に突出させる構成の方が優れている。絶縁性基板の開口部に露出させる構成と比べて、表示端部が、絶縁性基板に遮られることなく、多様な方向から視認可能となるためである。
【0010】
一方で、端子台は、製造コストの削減が望まれており、リード線挿入確認片もなるべく簡易な構造とすることが求められている。しかしながら、表示端部を絶縁性基板の外方に突出させるようにした構成にあっては、その構造が複雑であり、部品点数が多く、組付工程が煩雑であるため、端子台の製造コストが高くなるといった問題がある。なぜなら、かかる構成では、リード線の挿入時に、挿入端によって受圧端部がリード線の挿入方向に押圧されるのに対して、表示端部はリード線挿入孔の入口側、すなわち、リード線の挿入方向と逆方向に直線的に突出させなければならないため、リード線挿入確認片には、リード線挿入孔の奥部に位置する受圧端部の従動を、表示端部の、逆方向への直線移動に変換する機構が必要となり、リード線挿入確認片の表示端部と受圧端部とを一体の部材で構成し難いからである。
【0011】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、構造が簡単で、且つ表示端部を視認し易いリード線挿入確認片を備える端子台の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、絶縁性基板に横断状に装着された杆状導通片を備え、該絶縁性基板に形成された複数のリード線挿入孔から挿入されたリード線を杆状導通片に電気的に接続することにより、各リード線相互を結線する端子台において、絶縁性基板には、昇降杆部と、傾動杆部とが、両者を屈曲可能に結合する可撓性薄肉節を介して略L字状に一体形成されてなる樹脂製のリード線挿入確認片が装着され、前記昇降杆部は、リード線挿入孔と略平行な内外方向へ移動可能となるように絶縁性基板に保持されて、その外端に有する表示端部を、絶縁性基板に形成した挿通孔から外方に突出させて外方から視認可能とする指標位置と、該表示端部を絶縁性基板の内方に退避させる非指標位置とに移動するものであり、前記傾動杆部は、支軸により絶縁性基板に対して傾動可能に軸支され、且つ所定の非傾動位置に付勢されて、支軸から一方へ延出する受圧端部をリード線挿入孔の奥部に位置させるものであって、リード線がリード線挿入孔の奥まで挿入されると、リード線の挿入端によって受圧端部が押圧されて、傾動杆部が受圧端部をリード線挿入方向に傾動した傾動位置に移動することにより、昇降杆部が薄肉節を介して指標位置に押し出されるようにしたことを特徴とする端子台である。ここで、リード線の端部に圧着端子を固着したものを接続する端子台にあっては、リード線の挿入端は圧着端子を指すものである。
【0013】
かかる構成にあっては、受圧端部を備える傾動杆部と、表示端部を備える昇降杆部とが、可撓性の薄肉節を介して連結されるため、リード線挿入確認片は、一体の樹脂材で構成されるものであっても、薄肉節の撓む範囲で、傾動杆部と昇降杆部とが異なる方向に移動することができ、これにより薄肉節を中心として、傾動杆部と昇降杆部とが相対傾動可能となる。
【0014】
このため、本発明では、リード線挿入確認片を、その傾動杆部を絶縁性基板に傾動可能に保持すると同時に、昇降杆部をリード線挿入方向に沿って直線的に移動可能に保持することにより、リード線の挿入に伴う傾動杆部の傾動を、薄肉節を介して、昇降杆部の直線移動に変換して、表示端部を絶縁性基板の外方に突出させることができる。
【0015】
このように、本発明では、リード線挿入確認片が、一体の樹脂材により構成される簡単なものでありながら、リード線の挿入に応じて、その表示端部を、リード線挿入孔の入口側から絶縁性基板の外方に突出させることができる。
【0016】
ここで、前記傾動杆部が絶縁性基板に対して軸支される部分に、傾動杆部を非傾動位置に付勢する金属製のねじりコイルバネが設けられている構成が提案される。リード線を端子台に接続した場合、傾動杆部はリード線の挿入端によって傾動位置に保持され続けることとなるが、金属製のねじりコイルバネはへたり難いものであるため、本構成にあっては、接続したリード線を端子台から外した時に、ねじりコイルバネによって傾動杆部を非傾動位置に確実に復帰させることが可能となる。
【0017】
一方、前記傾動杆部には、絶縁性基板と当接する可撓性の付勢杆部が一体形成されており、該付勢杆部は、傾動杆部の傾動位置において、絶縁性基板に押圧されて撓み、その弾性力によって、傾動杆部を非傾動位置に付勢するものである構成も提案される。かかる構成では、傾動杆部が傾動位置に変位すると、撓んだ付勢杆部によって、傾動杆部が非傾動位置に復帰するよう付勢されることとなる。すなわち、かかる構成では、傾動杆部を非傾動位置に復帰させる手段がリード線挿入確認片と一体形成されるため、端子台の部品点数を削減することができると共に、絶縁性基板に各種部品を組み付ける工程を一層簡略化することができる。
【0018】
また、リード線挿入確認片が、蛍光色の樹脂材よりなるものである構成も提案される。ここで、蛍光色の樹脂材とは、蛍光顔料等を含有することによって蛍光色を呈する樹脂材を指しものである。かかる構成によれば、表示端部が蛍光色を呈することとなり、外方から突出させた際に、表示端部を明瞭に視認させることが可能となる。
【0019】
さらに、表示端部は、横断面がT字状をなすものである構成も提案される。ここで、表示端部の横断面とは、昇降杆部の移動方向と直行する方向の断面を指す。従来、絶縁性基板の外方に突出する表示端部は平板状であったため、見る方向によっては視認され得る部分が細く、小さなものとなる場合があり、見落とし易いものとなっている。これに対して本構成では、表示端部の横断面がT字状であるため、表示端部の大きさが見る方向によってそれほど変化せず、どのような方向からでも見落とされ難い。
【発明の効果】
【0020】
以上に述べたように、本発明は、リード線挿入孔と略平行な内外方向へ移動可能な昇降杆部と、支軸により絶縁性基板に対して傾動可能に軸支される傾動杆部とが、両者を屈曲可能に結合する可撓性薄肉節を介して略L字状に一体形成されてなるリード線挿入確認片を備え、リード線がリード線挿入孔の奥まで挿入されると、リード線の挿入端によって受圧端部が挿入方向へ押圧されて傾動杆部が支軸を中心に回動して傾動位置となることにより、昇降杆部が薄肉節を介して指標位置に押し出されるようにしたことを特徴とする端子台であるから、リード線挿入確認片が、一体の樹脂材により構成される簡単なものであっても、リード線の挿入に応じて、その表示端部を絶縁性基板の外方に突出させることが可能となり、リード線挿入片の構造が簡単で、且つ表示端部の視認性のよい端子台を実現できる。
【0021】
また、傾動杆部が軸支される部分に、傾動杆部を非傾動位置に付勢する金属製のねじりコイルバネが設けられている場合には、接続したリード線を端子台から外した時に、傾動杆部を非傾動位置に確実に復帰させることができるため、長期の使用や、繰返しの使用に対して強いといった利点がある。
【0022】
一方、傾動杆部に、傾動杆部を非傾動位置に付勢する可撓性の付勢杆部を一体形成した場合には、部品点数をさらに減少させることができ、製造コストを抑えることができると共に、組付工程も簡略化できる。
【0023】
また、リード線挿入確認片が蛍光色の樹脂材よりなる場合には、表示端部の視認性を一層高めることができる。
【0024】
さらに、表示端部の横断面がT字状である場合には、表示端部が外方に突出した際に見落とされ難いといった利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る端子台1を示す。端子台1は、ポリカーボネイト等の絶縁性樹脂材料によって板状に形成された左右対称の絶縁性基板2(図6,7参照)を主体部とする。この絶縁性基板2には、杆状導通片20が横断状に装着される。また、端子台1の両側には杆状導通片20にリード線80を接続するための接続部3,3が配設される。この接続部3には、リード線挿入孔11が形成されており、本実施例の端子台1では、リード線80の端部に予め固定した圧着端子81をリード線挿入孔11の奥まで挿入することによって、リード線80が杆状導通片20と電気的に接続されることとなり、各接続部3に接続したリード線80相互が杆状導通片20を介して結線される。なお、本実施例の説明では、図1に示される側を端子台1の正面側、図1中の上方を端子台1の上方として説明する。
【0026】
端子台1は、図2,3に示すように、前後方向に重ねられて集合端子台72を構成し、据付レール70に連結される。さらに、この集合端子台72を据付レール70上で固定するために、該据付レール70に固定金具76,76が螺子77によって固定される。
【0027】
端子台1は、図4,5に示すように、上記絶縁性基板2と、杆状導通片20と、圧着端子(リード線の挿入端)81を杆状導通片20に圧接させる板バネ30,30と、本発明に係るリード線挿入確認片40,40と、該リード線挿入確認片40を付勢するねじりコイルバネ50,50とで構成される。
【0028】
絶縁性基板2は、図6,7に示すように、背板10から所定肉厚の画成壁4を突出させることにより、杆状導通片20や板バネ30等を装着する座定溝面5などを正面側で開放状に形成してなるものである。絶縁性基板2の上面は、中央から両側へ、等角度で緩やかに傾斜したへ字状をなし、その中央には、結線内容を記す記名板74(図1参照)を取り付ける記名板装着部7が設けられる。記名板装着部7の両側には、ショートバー73を挿入するためのショートバー挿入孔12,12が下方に向けて形成される。さらに、絶縁性基板2の上面両側部では、画成壁4によって接続部3の上面側が区画されており、該画成壁4に形成された各開口部から、挿通孔16、ドライバー挿入孔17、リード線挿入孔11が下方に向けて形成される。
【0029】
挿通孔16は、後述するリード線挿入確認片40の表示端部47を挿通させて、絶縁性基板2の外方へ突出可能とするものであり、表示端部47の横断面形状と同じT字状をなす。ドライバー挿入孔17は、後述する板バネ30の押圧端部33を上方から臨む位置に形成されており(図4参照)、ドライバー挿入孔17にドライバー等の器具を挿入して押圧端部33を押下げることによって、押圧端部33によって係止された圧着端子81を引抜き可能とする。
【0030】
リード線挿入孔11は、絶縁性基板2の上面に形成された円形の開口部から下方に向けて形成される。このリード線挿入孔11の下部は、その内側が開放して、座定溝面5の他の領域と一体となっており、後述するように、座定溝面5に組み付けられた板バネ30の押圧端部33やリード線挿入確認片40の受圧端部48などが、リード線挿入孔11内に突出する。
【0031】
また、絶縁性基板2の座定溝面5内には、リード線挿入確認片40を軸支するための支軸13,13や、ねじりコイルバネ50の一端を支持するバネ支持柱14が背板10から突出状に形成される。また、画成壁4の前面の適宜位置には連結孔19が形成され、さらに背板10の、該連結孔19と対向する位置には、該連結突起(図示省略)が形成される。この連結孔19に連結突起を嵌入することにより、端子台1相互を前後に重ね合わせ状に連結できる。なお、上記集合端子台72にあっては、最端部の端子台1の画成壁4に、端子台1とほぼ同一外形の端板75が被着されて、該端子台1正面の開放部が閉塞される(図2,3参照)。また、絶縁性基板2の底部には、据付レール70の連結突部71(図1参照)と係合するための連結片15,15が形成される。
【0032】
また、杆状導通片20は、横長杆状の銅製板片をプレス加工してなるものであり、図1に示すように、座定溝面5に差し渡し状に装着される。この杆状導通片20は、図5,8に示すように、絶縁性基板2の背板10と平行となり、座定溝面5を覆うように設けられる主板部21を主体とするものであり、該主板部21からは、圧着端子81と接続するリード線接続部22,22と、板バネ30を保持する板バネ保持部23,23と、ショートバー73と接続するためのショートバー接続部24とが、背板10に向けて突出するように設けられる。また、主板部21の各所には、前記座定溝面5に設けられた支軸13やバネ支持柱14と嵌合する貫通孔25が形成される。
【0033】
板バネ30は、図5に示すように、細長金属薄片をへ字状に屈曲させてなるものであり、端子台1に組み付けられた状態では、図9に示すように、一側の保持端部31と屈曲部32とを杆状導通片20の板バネ保持部23によって支持されて、他側の押圧端部33をリード線挿入孔11に突出させる。この押圧端部33は、リード線挿入孔11を横断し、その先端を杆状導通片20のリード線接続部22に圧接するようになっており、図10に示すように、押圧端部33を押下げるようにして、圧着端子81をリード線挿入孔11に挿入すると、圧着端子81は、押圧端部33によってリード線接続部22に押し付けられることとなって、杆状導通片20と電気的に接続すると共に、引抜き困難に保持される。
【0034】
以下に本発明の要部であるリード線挿入確認片40について説明する。
リード線挿入確認片40は、ナイロン等の樹脂材によって構成されるものであって、図11,12に示すように、上下に長尺な昇降杆部41と左右に長尺な傾動杆部42とが、可撓性の薄肉節43を介して略L字状に一体形成されてなるものである。
【0035】
昇降杆部41は、その下端を薄肉節43と連結するとともに、その上端を絶縁性基板2の外方に突出させる表示端部47とする。この表示端部47は、その横断面がT字状をなすものであり、後述するように、絶縁性基板2の挿通孔16に挿通されて、昇降杆部41の外方(上方)移動に伴い絶縁性基板2の外方に突出して、外方から視認可能となる。また、表示端部47の直下部には、表示端部47の突出量を制限するための係止部49が設けられる。なお、本実施例にあっては、表示端部47の視認性を向上させるため、リード線挿入確認片40を構成する樹脂材に蛍光顔料を混合し、表示端部47が蛍光色を呈するようにしている。
【0036】
傾動杆部42の中央部分には、絶縁性基板2の支軸13を挿通するための軸孔44が設けられる。そして、傾動杆部42は、該軸孔44から一側(図11左側)に延出する端部を薄肉節43と連結するとともに、他方に延出する端部を圧着端子81に押圧される受圧端部48とする。この受圧端部48には、横断状の横溝46が形成されており、圧着端子81の押圧によって受圧端部48が後述の傾動位置βまで傾動した状態で、受圧端部48がこの横溝46の内側に撓むことによって、圧着端子81をさらに奥まで押し入れることを可能としている。また、軸孔44の周囲には、後述するねじりコイルバネ50を装着するためのバネ装着溝45が形成される。
【0037】
薄肉節43は、0.2mm程度の厚みをなすものであり、昇降杆部41や傾動杆部42に比べて薄く、撓み易いものである。このため、昇降杆部41と傾動杆部42とは、薄肉節43を介して連動すると共に、薄肉節43の撓む範囲内で相対傾動することができ、夫々が異なる方向に移動可能となっている。
【0038】
図9に示すように、リード線挿入確認片40が絶縁性基板2に組み付けられた状態では、昇降杆部41は、画成壁4と、杆状導通片20の板バネ保持部23との間に保持されて、リード線挿入孔11と略平行な上下方向(内外方向)へ移動可能となっている。また、昇降杆部41は、その上端(外端)の表示端部47を、絶縁性基板2に形成された挿通孔16に内嵌させている。そして、上方(外方)に変位した指標位置δでは、表示端部47を挿通孔16から外方に突出させて外方から視認可能とすると共に、下方(内方)に変位した非指標位置γでは、表示端部47を挿通孔16内に退避させて外方から視認困難とする。
【0039】
一方、傾動杆部42は、図9に示すように、その受圧端部48をリード線挿入孔11の奥部に位置させると共に、その軸孔44を、絶縁性基板2の支軸13に外嵌するように取り付けられており、受圧端部48が、リード線挿入孔11の奥部内で、上方に変位する非傾動位置αと、下方に変位する傾動位置βとに傾動するようになっている。
【0040】
薄肉節43は、図9に示すように、絶縁性基板2に組み付けられた状態で、昇降杆部41と傾動杆部42とを連係し、連動させると共に、自らが撓むことによって、傾動杆部42の傾動を、昇降杆部41の直線的な上下移動に変換する働きをする。ここで、リード線挿入確認片40は、傾動杆部42の非傾動位置αでは、昇降杆部41を非指標位置γに位置させて、傾動杆部42の傾動位置βでは、昇降杆部41は指標位置δに位置させるように絶縁性基板2に保持されている。
【0041】
また、傾動杆部42のバネ装着溝45には、図9に示すように、ねじりコイルバネ50が装着される。このねじりコイルバネ50は、そのコイル部分を支軸13に外嵌すると共に、その一端を絶縁性基板2のバネ支持柱14と当接させて、その弾性力によって、傾動杆部42を常に非傾動位置α側に付勢する。
【0042】
次に、接続部3へのリード線80の結線と、それに伴うリード線挿入確認片40の移動態様について図10を参照して説明する。
【0043】
リード線80の非接続時には、図10(イ)に示すように、傾動杆部42は、ねじりコイルバネ50に付勢されて非傾動位置αに保持される。これにより、連係する昇降杆部41は非指標位置γに保持されることとなり、その表示端部47は挿通孔16内に退避して視認困難となっている。また、板バネ30は、その押圧端部33を、リード線挿入孔11に突出させて、リード線接続部22に当接させている。
【0044】
この状態で、リード線80に固着された圧着端子81をリード線挿入孔11に押し入れていくと、板バネ30の押圧端部33が、圧着端子81の先端に押下げられて、圧着端子81を側方から押圧し、圧着端子81をリード線接続部22に圧接させる。
【0045】
そして、かかる状態から、さらに圧着端子81を押し入れると、圧着端子81の先端が、ねじりコイルバネ50の付勢力に抗して受圧端部48を押下げることとなり、これにより、傾動杆部42が非傾動位置αから傾動位置βに移動する。
【0046】
そして、この傾動杆部42の傾動に伴って、昇降杆部41は非指標位置γから指標位置δに押し上げられることとなり、表示端部47が挿通孔16から絶縁性基板2の外方に突出して、外方から容易に視認可能となる。このため、リード線80を挿入した作業者は、挿通孔16から突出した表示端部47を視認することで、圧着端子81がリード線挿入孔11の奥まで挿入されて、リード線80を杆状導通片20に適切に接続できたことを理解できる。
【0047】
このように、本実施例に係るリード線挿入確認片40は、一体の樹脂材によって構成されるものであるが、薄肉節43を撓ませることによって、圧着端子81の挿入に伴う傾動杆部42の傾動を、昇降杆部41の直線的な上方移動に変換し、表示端部47を絶縁性基板2の外方に突出させることができる。すなわち、本実施例の端子台1は、リード線挿入確認片40の製造コストが低廉であり、また、絶縁性基板2への組付けが容易であるという利点と、リード線80の挿入時に、表示端部47を明瞭に視認できるという利点を併せ持つものである。
【0048】
また、上記実施例では、リード線挿入確認片40の傾動杆部42を、金属製のねじりコイルバネ50によって非傾動位置αに付勢している。一般的に、金属製のねじりコイルバネはへたり難いものであるため、本構成では、傾動杆部42を長期間傾動位置βに保持したり、繰返し傾動させたりしても、付勢力が衰え難くいといった利点がある。
【0049】
また、リード線挿入確認片40は、蛍光色の樹脂材よりなるものであるから、表示端部47が挿通孔16から外方に突出した際に視認され易いといった利点もある。
【0050】
さらに、リード線挿入確認片40の表示端部47が、横断面がT字状をなすものであるため、表示端部47が外方に突出した際に、表示端部47の大きさが見る角度によって大きく変化しないため、表示端部47が見落とされ難いといった利点がある。
【0051】
図13は、上記実施例から、傾動杆部42を非傾動位置αに付勢する付勢手段を変更した変形例を示すものである。本変形例の端子台1aでは、付勢手段としてねじりコイルバネを配設する替わりに、リード線挿入確認片40aの傾動杆部42に、可撓性の付勢杆部51が一体形成される。
【0052】
付勢杆部51は、傾動杆部42の受圧端部48の下部から図中の左方に向けて延成されており、その先端部を絶縁性基板2の画成壁4に当接させる。この付勢杆部51は、傾動杆部42の非傾動位置αでは、ほとんど撓みなく保持されるが(図13(イ)参照)、傾動杆部42が傾動位置βに移動すると、画成壁4に押圧されることによって撓みが生じ、その弾性力によって傾動杆部42を非傾動位置α側に付勢する(図13(ロ)参照)。このように、かかる変形例にあっては、付勢手段が、リード線挿入確認片40と一体形成されるため、部品点数のさらなる削減や、組付工程の一側の簡略化が可能となる。
【0053】
尚、本発明の端子台は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、実施例の端子台は、リード線挿入孔にリード線の端部に固着した圧着端子を挿入するものであるが、リード線挿入孔にリード線の端部を直接挿入する端子台にも適用可能である。
【0054】
また、実施例の端子台は、板バネの弾性によって、リード線の挿入端(圧着端子)を杆状導通片に圧接しているが、ネジ締めや、その他のバネ作用によってリード線の挿入端を接続・保持する端子台にも本発明を適用可能である。要は、リード線の挿入端をリード線挿入孔の奥まで挿入して、杆状導通片と接続・保持する端子台であれば、リード線と杆状導通片の接続態様は、本発明では特に限定されない。
【0055】
また、上記実施例の端子台1は、左右に接続部3を一つずつ備えたものであるが、本発明は、一側あるいは両側に複数の接続部3を具備するものにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の端子台1を示す正面図である。
【図2】端子台1を重ね合わせた集合端子台72を示す平面図である。
【図3】端子台1を重ね合わせた集合端子台72を示す側面図である。
【図4】絶縁性基板2や杆状導通片20を切欠して示す端子台1の正面図である。
【図5】端子台1の分解斜視図である。
【図6】絶縁性基板2の正面図である。
【図7】絶縁性基板2の斜視図である。
【図8】杆状導通片20の斜視図である。
【図9】絶縁性基板2や杆状導通片20を切欠して示す接続部3の拡大図である。
【図10】接続部3,3への結線態様を示す説明図(イ),(ロ)である。
【図11】リード線挿入確認片40の正面図である。
【図12】リード線挿入確認片40の斜視図である。
【図13】変形例における、リード線挿入確認片40aの付勢態様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1,1a 端子台
2 絶縁性基板
11 リード線挿入孔
13 支軸
16 挿通孔
20 杆状導通片
40,40a リード線挿入確認片
41 昇降杆部
42 傾動杆部
43 薄肉節
44 軸孔
47 表示端部
48 受圧端部
50 ねじりコイルバネ
51 付勢杆部
80 リード線
81 圧着端子(リード線の挿入端)
α 非傾動位置
β 傾動位置
γ 非傾動位置
δ 傾動位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板に横断状に装着された杆状導通片を備え、該絶縁性基板に形成された複数のリード線挿入孔から挿入されたリード線を杆状導通片に電気的に接続することにより、各リード線相互を結線する端子台において、
絶縁性基板には、昇降杆部と、傾動杆部とが、両者を屈曲可能に結合する可撓性薄肉節を介して略L字状に一体形成されてなる樹脂製のリード線挿入確認片が装着され、
前記昇降杆部は、リード線挿入孔と略平行な内外方向へ移動可能となるように絶縁性基板に保持されて、その外端に有する表示端部を、絶縁性基板に形成した挿通孔から外方に突出させて外方から視認可能とする指標位置と、該表示端部を絶縁性基板の内方に退避させる非指標位置とに移動するものであり、
前記傾動杆部は、支軸により絶縁性基板に対して傾動可能に軸支され、且つ所定の非傾動位置に付勢されて、支軸から一方へ延出する受圧端部をリード線挿入孔の奥部に位置させるものであって、
リード線がリード線挿入孔の奥まで挿入されると、リード線の挿入端によって受圧端部が押圧されて、傾動杆部が受圧端部をリード線挿入方向に傾動した傾動位置に移動することにより、昇降杆部が薄肉節を介して指標位置に押し出されるようにしたことを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記傾動杆部が絶縁性基板に対して軸支される部分には、傾動杆部を非傾動位置に付勢する金属製のねじりコイルバネが設けられていることを特徴とする請求項1記載の端子台。
【請求項3】
前記傾動杆部には、絶縁性基板と当接する可撓性の付勢杆部が一体形成されており、該付勢杆部は、傾動杆部の傾動位置において、絶縁性基板に押圧されて撓み、その弾性力によって、傾動杆部を非傾動位置に付勢するものであることを特徴とする請求項1記載の端子台。
【請求項4】
リード線挿入確認片は、蛍光色の樹脂材よりなるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の端子台。
【請求項5】
前記表示端部は、横断面がT字状をなすものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の端子台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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