説明

端子盤における電線端子部の接続装置

【課題】 この発明は、電線の裸線端子と端子金具とを、確実に接続することを目的としたものである。
【解決手段】 この発明は、端子金具の受け座板の上面に、電線受け凹部を設けると共に、締付ボルトの押え座板の下面へ、電線押え凹部を設け、前記受け座板と、押え座板により接続電線端子を加圧挟着することを特徴とした端子盤における電線端部の接続装置により、目的を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線端子を端子盤において端子金物と接続する際に、電気的接続を確実にし、接続抵抗の発生又は発熱など接続不良を皆無にすると共に、端子盤を使用中に接続不良を生じないようにすることを目的としたものである。
【背景技術】
【0002】
従来端子盤には複数の端子金具が固定され、夫々の端子金具の一端部に夫々入力電線を接続し、前記端子金具の他端を、電気機器の入力部へ挿入接続している。前記入力電線の接続部には通常接続端子が固定されていて、入力電線と、端子金具の一端とは、接続端子により確実に接続されている。然し乍ら入力電線端に接続端子が固定してない場合には、通常絶縁被覆を除去した複数の細線を端子金具へ加圧締付固定して接続している。
【特許文献1】特開平7−226245
【特許文献2】特開平10−312843
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来電線は通常複数の細線を捩り合せて一本の太線とし、その外側へ絶縁被覆を施している。従って、電線端に接続端子が固定してない場合には、複数の細線がばらばらになっている電線端部を、金具の平板面と、締付ボルトの座板の平板面とで挟着することになるので、往々細線の外面に、座板の平面が接線状に当接することになり、接触面積が少ない為に発熱を生じたり、振動などにより当接部がずれ又は緩むと、接触不良又は当接部間へ他物(微小異物)が付着するおそれがあるなど、往々接触不良を生じる問題点があった。
【0004】
また接触面積が少ない為に、引抜抵抗力が小さくなり、不慮の外力によって接続電線がずれて接触不良を生じる問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、端子金具部の受け座板と、締付ボルトの押え座板の何れか一方又は両方に複数の電線の当接面を設けることにより、電線と座板との接触面積を増加させ、前記従来の問題点を解決したのである。
【0006】
即ちこの発明は、端子金具の受け座板の上面に、電線受け凹部を設けると共に、締付ボルトの押え座板の下面へ、電線押え凹部を設け、前記受け座板と、押え座板により接続電線端子を加圧挟着することを特徴とした端子盤における電線端部の接続装置であり、電線受け凹部は断面弧状としたものであり、電線押え凹部は、押え座板の全幅に亘って設けられ、前記凹部幅は少なくとも一本の電線の直径と同等幅以上としたものである。
【0007】
次に他の発明は、端子金具の受け座板の上面と、締付ボルトの押え座板の下面の一方又は両方へ、複数の電線よりなる接続電線端子の複数の電線が当接できる当接面を形成したことを特徴とする端子における電線端子部の接続装置であり、当接面は断面凹部としたものである。
【0008】
前記において、当接面としては、凹部が普通であり、凹孤面が好ましい。この種端子盤における入力電線の種類は、ほぼ定まっているので、入力電線を構成する細線の直径を勘案して凹部の断面形状及び大きさを決めることにより、一層適切な形状にすることができる。
【0009】
また入力電線に通常の接続端子を連結した場合にも、前記座板が使用できることが好ましいが、同一使用態様の場合には、入力電線の裸線専用に、より適切な断面形状とすることを妨げない。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、端子金具の受け座板と、ボルトの押え座板の断面形状を工夫し、裸電線との接触面積を大きくしたので、入力電線の接続を正確かつ確実にし、外力によって接触不良を生じないようにした効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明は、端子金具の受け座板の上面に、電線の接触面積をより多くできるような凹入部を設け、ボルトの押え座板の下面に、電線の接触面積をより多くできるような凹入部を設け、電線端部の接続装置を構成した。
【実施例1】
【0012】
この発明の実施例を図面に基づいて説明すると、絶縁材製の端子台1に固定する端子金具2の受け座板2aと、これに対向したボルトの押え座板3とにより電線4の裸線5を挟着し、ボルト6で締付けて、端子金具2と、電線4とを電気的に接続する。図中10は端子盤である。
【0013】
前記端子金具2は、受け座板2aの一側に端子片2bを屈曲して連結してあり、受け座板2aには、ボルト孔2cの左右(図3)に断面弧状の凹入部2d、2dが設けてある。
【0014】
前記押え座板3の下面には、前記受け座板2aの凹入部2d、2dに対向して平面部3dが設けてある。即ち押え座板3は正方形の金属平板3aの中央部にボルト孔3bを設け、裏面には、前記ボルト孔3bを挟み、外縁と平行に突条3c、3cが設けてあり、該突条3c、3cは、前記受け座板2aの凹入部2d、2dに対向する位置でなくなり、平面部3d、3dが形成されている。
【0015】
前記突条3c、3cは、金属平板3aをプレス加工してV字状(図5(d))に屈曲して形成した補強条である。従って、ボルト6で電線端子を強く締付けても、押え座板3が変形するおそれなく、十分大きな力で締付けることができる。
【0016】
前記実施例によれば、電線4の裸線5を構成する細線5aが比較的大径の場合(図2(a))でも小径の場合(図2(b))でも、座板へ複数の細線が当接するので、接触不良又は接続不良を生じるおそれはない。
【0017】
また各座板の挟着締付によって、細線の位置がずれることにより弾性変形し、ボルト6のスプリングワッシャー7と相俟って、接続部の緩みを防止することができる。図中8はナット、9は他の端子金具である。
【0018】
図3、4は、端子金具2の寸法の異なる実施例であって、受け座板2aの機能について同一であるが、端子片2bの寸法が異なる。図中2cは接続孔である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)この発明の実施例の端子盤の平面図、(b)同じく正面図。
【図2】(a)同じく電線挟着状態を示す一部拡大説明図、(b)同じく細線小径の場合の一部拡大説明図、(c)同じく締付ボルトと、受け座板及び押え座板を示す一部拡大説明図、(d)同じく電線の端部を示す拡大図。
【図3】(a)同じく端子金具の正面図、(b)同じく底面図、(c)同じく側面図、(d)同じく斜視図。
【図4】(a)同じく端子金具の他の実施例の正面図、(b)同じく底面図、(c)同じく側面図、(d)同じく斜視図。
【図5】(a)同じく座板付ボルトの実施例の正面図、(b)同じく平面図、(c)同じく底面図、(d)同じく側面図。
【符号の説明】
【0020】
1 端子台
2 端子金具
3 押え座板
4 電線
5 裸線
6 ボルト
7 スプリングワッシャー
10 端子盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具の受け座板の上面に、電線受け凹部を設けると共に、締付ボルトの押え座板の下面へ、電線押え凹部を設け、前記受け座板と、押え座板により接続電線端子を加圧挟着することを特徴とした端子盤における電線端部の接続装置。
【請求項2】
電線受け凹部は断面弧状としたことを特徴とする請求項1記載の端子盤における電線端子部の接続装置。
【請求項3】
電線押え凹部は、押え座板の全幅に亘って設けられ、前記凹部幅は少なくとも一本の電線の直径と同等幅以上としたことを特徴とする請求項1記載の端子盤における電線端子部の接続装置。
【請求項4】
端子金具の受け座板の上面と、締付ボルトの押え座板の下面の一方又は両方へ、複数の電線よりなる接続電線端子の複数の電線が当接できる当接面を形成したことを特徴とする端子における電線端子部の接続装置。
【請求項5】
当接面は断面凹部としたことを特徴とする請求項4記載の端子盤における電線端子部の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−344561(P2006−344561A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171282(P2005−171282)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000112646)フジコン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】