説明

端子装置

【課題】 電線の心線と端子との接続の信頼性を確保することができる端子装置を提供する。
【解決手段】 それぞれ導電材料からなり電線4の心線41が電気的に接続される3個の端子3と、絶縁材料からなり各端子3をそれぞれ保持する端子台2とを備える。端子台2には、電線4の心線41を挟んで端子3へガイドする心線ガイド突起21aと、電線4において絶縁被覆42が剥かれていない部位をガイドする被覆ガイド溝23aとが設けられている。電線4の心線41を端子3上に導入する際に電線4が心線ガイド突起21aと被覆ガイド溝23aとによってガイドされるから電線4の接続が容易である。また、電線4の心線41を端子3に接続する際に電線4の位置ずれが心線ガイド突起21aと被覆ガイド溝23aとによって防止されるから、接続の信頼性が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が接続される端子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、充電部を収納し該充電部に電気的に接続された電線が引き出されるハウジングを有するロータリスイッチなどの電気器具が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の電気器具は、導電材料からなり電線が接続される端子を、絶縁材料からなる端子台に保持してなる端子装置を備える。
【0004】
絶縁被覆を有する電線を端子に接続する場合、例えば抵抗溶接によって電線の心線と端子とを電気的且つ機械的に接続していた。
【特許文献1】特開2004−231094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記抵抗溶接の際に電線の心線を端子に接触した状態に保つことが難しく、電線の心線と端子との接続の信頼性を確保することができなかった。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、電線の心線と端子との接続の信頼性を確保することができる端子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、絶縁被覆を有する電線が接続される端子装置であって、それぞれ導電材料からなり電線の心線が電気的に接続される少なくとも1個の端子と、絶縁材料からなり各端子をそれぞれ保持する端子台とを備え、端子台には、電線の心線を電線の径方向の両側から挟んで端子へガイドする心線ガイド部と、電線において絶縁被覆が剥かれていない部位を電線の径方向の両側から挟んでガイドする被覆ガイド部とが設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、電線の心線を端子上に導入する際に電線が心線ガイド部と被覆ガイド部とによってガイドされるから電線の接続が容易である。また、電線の心線を端子に接続する際に電線の位置ずれが心線ガイド部と被覆ガイド部とによって防止されるから、接続の信頼性が確保される。
【0009】
請求項2の発明は、端子装置において少なくとも端子と電線との接続部は封止材で封止されるものであって、端子台において封止材に覆われる部位の外形を封止材に覆われない部位の外形よりも小さくする段が端子台に設けられていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、段によって封止材の流出範囲が制限されるから、段を設けず且つ封止材の成型用の金型に段に相当する部位を設けない場合に比べ、段の方向への封止材の流出範囲を封止材の圧力によって制御する必要がないから封止時の条件が緩和されて封止が容易となる上に、端子台と封止材との接触面積が増加する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電線の心線をガイドする心線ガイド部と電線において被覆が剥かれていない部位をガイドする被覆ガイド部とが設けられているから、電線の接続が容易であるとともに、電線の心線を端子に接続する際に電線の位置ずれが心線ガイド部と被覆ガイド部とによって防止されるから、接続の信頼性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る電気器具(例えばロータリスイッチ)のハウジング1には、合成樹脂からなる端子台2と、ハウジング1内の充電部(図示せず)に電気的に接続されるとともに端子台2から露出する形で端子台2に保持された金属製の端子3とを備える端子装置が設けられている。以下、左右方向は図1を基準とし、図1の下上方向を前後方向と呼び、図1の紙面手前方向を上方向と呼ぶ。端子3には、金属のような導電材料からなる心線41と心線41を覆う絶縁被覆42とを有する電線4の心線41が、例えば抵抗溶接により電気的且つ機械的に接続される。
【0014】
端子台2は、3個の端子をそれぞれ上面に露出させる形で左右に並べて保持した本体部21と、本体部21の左右両端からそれぞれ上方へ突設されるとともに本体部21の全端よりも前方まで延長された側部22と、側部22の前上端間に架設された押さえ部23とを有する。側部22の前面の下端部は、上方へ向かって前方へ傾斜している。
【0015】
本体部21において端子3の左右には、それぞれ端子3に接続される電線4の心線41を左右両側すなわち電線4の径方向の両側から挟んでガイドする心線ガイド突起21aが設けられている。
【0016】
また、押さえ部23の下面には、電線4において絶縁被覆42が剥かれていない部位を左右両側すなわち電線4の径方向の両側から挟んでガイドする被覆ガイド溝23aが設けられている。
【0017】
さらに、上記端子装置は、例えば合成樹脂のような封止材によって封止される。ここで、本体部21の後側には、端子台2の他の部位よりも上下左右に突出して請求項2における段を構成する鍔部24が設けられており、上記封止の際には封止に用いられる封止材の後方への流出範囲が鍔部24によって制限される。これにより、鍔部24を設けず且つ封止材の成型用の金型に鍔部24に相当する部位を設けない場合に比べ、後方への封止材の流出範囲を封止材の圧力によって制御する必要がないから封止時の条件が緩和されて封止が容易となる上に、端子台2と封止材との接触面積が増加する。図3及び図4に示すように、封止材が成型されてなる封止体5は、端子台2の鍔部24以外の部位と端子3とを覆う直方体形状の基部51と、基部51の前側(図4における左側)に連続して電線4を囲みそれぞれ電線4の周方向に長い複数個の凹部52aを外周面に有して電線4に断線が生じない程度に屈曲可能なブッシュ部52とを有する。ブッシュ部52において基部51に近い側の端部の外形は、ブッシュ部52の他の部位よりも大きくなっている。封止体5を構成する封止材としては、例えばエラストマのような柔軟な材料を用いることが望ましい。また、電線4において封止体5のブッシュ部52の前方に突出する部位にはチューブ6が取り付けられ、封止体5に覆われない範囲では電線4はチューブ6に保護されている。チューブ6の後端部は、封止体5のブッシュ部52の前端部に被さっている。
【0018】
上記構成によれば、電線4の心線41を端子3上に導入する際に電線4が心線ガイド突起21aと被覆ガイド溝23aとによってガイドされるから電線4の接続が容易である。
【0019】
また、電線4の心線41を端子3に接続する際に電線4の位置ずれが心線ガイド突起21aと被覆ガイド溝23aとによって防止されるから、接続の信頼性が確保される。
【0020】
さらに、電線4の心線41が複数本の細線からなる場合であって、心線41のばらけを防ぐためのはんだ付け等の前処理を行わない場合であっても、心線41のばらけが心線ガイド突起21aによって抑えられる。
【0021】
また、従来、電線引き出し部にはコネクタが設けられ、そのコネクタから電線を引き出すように構成されていたので電線引き出し部の形状はコネクタの形状に制限を受けていたが、封止体5により電線引き出し部を保護する構成としたことにより、電線引き出し部の形状の自由度が向上し、電線の屈曲を防止するブッシュ部52の形状を一体に形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図である。
【図2】同上を示す、図1とは異なる方向から見た斜視図である。
【図3】同上において端子装置が封止された状態を示す斜視図である。
【図4】同上において端子装置が封止された状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0023】
2 端子台
3 端子
4 電線
5 封止体
21a 心線ガイド突起
23a 被覆ガイド溝
24 鍔部
41 心線
42 絶縁被覆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁被覆を有する電線が接続される端子装置であって、
それぞれ導電材料からなり電線の心線が電気的に接続される少なくとも1個の端子と、絶縁材料からなり各端子をそれぞれ保持する端子台とを備え、
端子台には、電線の心線を電線の径方向の両側から挟んで端子へガイドする心線ガイド部と、電線において絶縁被覆が剥かれていない部位を電線の径方向の両側から挟んでガイドする被覆ガイド部とが設けられていることを特徴とする端子装置。
【請求項2】
端子装置において少なくとも端子と電線との接続部は封止材で封止されるものであって、端子台において封止材に覆われる部位の外形を封止材に覆われない部位の外形よりも小さくする段が端子台に設けられていることを特徴とする請求項1記載の端子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−84617(P2008−84617A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261506(P2006−261506)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】