説明

端子金具

【課題】コネクタハウジングの抜け止め用凹部とランスとの係合状態で、前記抜け止め用凹部からランスに作用する荷重に対するランスの曲げ剛性が高く、コネクタハウジング内におけるランスによる端子金具の固定力(保持力)を向上させることができる端子金具を提供すること。
【解決手段】コネクタハウジング5のキャビティ51の抜け止め用凹部52に係合するランス3が端子本体2の外側面から突出した状態に配置され、ランス3と抜け止め用凹部52との係合によってキャビティ51からの抜け止めがなされる端子金具1において、ランス3は、抜け止め用凹部52に係合する際の弾性変位方向Qに沿って起立状態にある端子本体2の第1外側壁22aの内面に重畳し、且つ、弾性変位方向Qに所定の幅を有してキャビティ51への挿入方向Pと平行に延在する帯状板片27の自由端とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングのキャビティからの抜け止めを果たすランスが端子本体の外側面から突出した状態に配置される端子金具に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、下記特許文献1に開示された端子金具100の構成を示す斜視図である。
この端子金具100は、金属板のプレス成形により形成される端子本体110と、端子本体110の外側面から突出した状態に配置されるランス120と、を備える。
【0003】
端子本体110は、前端側に端子嵌合部111を有している。この端子嵌合部111は、接続相手となる雄端子が嵌合する角筒状である。
【0004】
ランス120は、端子嵌合部111内に弾性変位可能に、且つ端子嵌合部111の外側面から突出した形態に、端子嵌合部111に一体形成されている。
【0005】
図示例のランス120は、具体的には、端子嵌合部111の上部外壁となっている第1外壁板部112の一部を切り起こすことで、第1外壁板部112の外表面から突出した形態に形成されている。このランス120は、端子嵌合部111の前端側から後端側に向かって斜めに延出した板片である。
【0006】
図示例の端子金具100は、不図示のコネクタハウジングのキャビティ(端子挿入孔)に挿入された際に、ランス120が前記キャビティに形成された抜け止め用凹部に突入して、前記キャビティからの抜け止めを果たす。
【0007】
また、下記特許文献2及び特許文献3にも、抜け止め用のランスを、端子嵌合部の前端側から後端側に向かって斜めに延出した板片により形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−40996号公報
【特許文献2】特開2002−280106号公報
【特許文献3】特開2002−93508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1の端子金具100では、ランス120がコネクタハウジングの抜け止め用凹部に係合している状態で、端子金具100に引き抜き方向の外力が作用したときには、図5に示すように、引抜力に抗する荷重Fが、ランス120の自由端に作用する。
【0010】
前記荷重Fは、コネクタハウジングに対する端子金具100の挿入方向(嵌合方向)に沿う荷重で、図6に示すように、前記挿入方向に対して傾斜しているランス120の自由端に対して、板厚方向の成分Ftを有するため、前記成分Ftの作用によりランス120に板厚方向の撓み変形が生じ易い。そのため、引抜力に抗する荷重Fに対してランス120の曲げ剛性を高めることが難しく、コネクタハウジング内におけるランスによる端子金具の固定力(保持力)を向上させることが難しいという問題があった。
【0011】
特許文献2及び特許文献3に開示されている端子金具の場合も、ランスが端子金具の嵌合方向に対して傾斜した板片で有る点では特許文献1と共通しているため、特許文献1と同様に上記の問題が発生するおそれがあった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、コネクタハウジングの抜け止め用凹部とランスとの係合状態で、前記抜け止め用凹部からランスに作用する荷重に対するランスの曲げ剛性が高く、コネクタハウジング内におけるランスによる端子金具の固定力(保持力)を向上させることができる端子金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)金属板のプレス成形により形成される端子本体と、前記端子本体内に弾性変位可能に前記端子本体の外側面から突出した形態に前記端子本体に一体形成されるランスと、を備えて、コネクタハウジングのキャビティに挿入された際に前記ランスが前記キャビティに形成された抜け止め用凹部に突入して前記キャビティからの抜け止めを果たす端子金具であって、
前記ランスは、前記端子金具の前記キャビティへの挿入方向と平行に延在すると共に前記抜け止め用凹部に係合する際の弾性変位方向に沿って起立状態にある前記端子本体の第1外側壁の内面に重畳し、且つ、前記弾性変位方向に所定の幅を有して前記端子本体の前後方向に沿って延在する帯状板片の自由端であることを特徴とする端子金具。
【0014】
(2)前記端子本体は、前記帯状板片の外側縁上に被さって、前記帯状板片の外方への撓み変位を規制する第2外側壁を有していることを特徴とする上記(1)に記載の端子金具。
【0015】
(3)前記帯状板片の自由端は、端部を帯状板片の固定端側に折り返すことで、板材が積層した2重構造に形成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の端子金具。
【0016】
(4)前記帯状板片の固定端において、前記帯状板片の幅方向の両側の前記第1外側壁との連結部には、前記帯状板片の幅方向への撓み変形時の応力集中を抑止する湾曲形状の切欠を設けたことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1つに記載の端子金具。
【0017】
上記(1)の構成によれば、ランスとなる帯状板片は、端子本体における第1外側壁の内面に重畳しており、端子金具のキャビティへの挿入方向に沿って延在している。そのため、端子金具に引き抜き方向の外力が作用して、その引抜力に抗する荷重Fが抜け止め用凹部からランスの自由端に作用した場合に、前記荷重Fにはランスの板厚方向の成分が含まれず、ランスに板厚方向の撓み変位が生じ難い。
【0018】
従って、端子金具のキャビティへの挿入方向に対して傾斜状態に配置される従来のランスと比較すると、引抜力に抗する荷重Fに対するランスの曲げ剛性を高めることができ、コネクタハウジング内におけるランスによる端子金具の固定力(保持力)を向上させることができる。
【0019】
上記(2)の構成によれば、外部の機材との干渉によってランスに端子本体の外方側への引張荷重が作用しても、端子本体の第2外側壁がランスとなっている帯状板片の外方への撓み変位を規制するため、ランスが外力によって外方に曲げられるような不都合の発生を防止することができる。
【0020】
上記(3)の構成によれば、ランスとしてコネクタハウジングの抜け止め用凹部に係合する帯状板片の自由端は、端部の折り返しにより板材が積層した2重構造となっていて、ランスの機械的強度が高いため、コネクタハウジング内におけるランスによる端子金具の固定力(保持力)を更に向上させることができる。
【0021】
上記(4)の構成によれば、コネクタハウジングへの端子金具の嵌合装着時に、ランスとしての帯状板片は、該板片の幅方向に沿って端子本体内に向かって撓み変位する。そして、帯状板片の撓み変位時に帯状板片内に発生する内部応力は、帯状板片の固定端において帯状板片の幅方向の両側に位置する連結部に集中作用すると、連結部の破断等を招くことになる。しかし、上記(4)の構成によれば、前記連結部には湾曲形状の切欠が設けられていて、これらの連結部における応力集中の発生が抑止される。そのため、帯状板片の固定端における連結部に破断等が発生することを防止することができ、端子金具の耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明による端子金具によれば、ランスとなる帯状板片は、端子本体における第1外側壁の内面に重畳しており、端子金具のキャビティへの挿入方向に沿って延在している。そのため、端子金具に引き抜き方向の外力が作用して、その引抜力に抗する荷重Fが抜け止め用凹部からランスの自由端に作用した場合に、前記荷重Fにはランスの板厚方向の成分が含まれず、ランスに板厚方向の撓み変位が生じ難い。
【0023】
従って、端子金具のキャビティへの挿入方向に対して傾斜状態に配置される従来のランスと比較すると、引抜力に抗する荷重Fに対するランスの曲げ剛性を高めることができ、コネクタハウジング内におけるランスによる端子金具の固定力(保持力)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る端子金具の一実施形態がコネクタハウジングのキャビティ内に収容されている状態の縦断面図である。
【図2】図1に示した端子金具の前端側斜め上方からの斜視図である。
【図3】図2のA−A断面を示す斜視図である。
【図4】図3に示した帯状板片と第1外側壁との連結部に装備される湾曲形状の切欠の説明図である。
【図5】従来の端子金具の斜視図である。
【図6】図5に示したランスにコネクタハウジングから荷重Fが作用した時に、ランスの板厚方向の荷重成分Ftが作用する状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る端子金具の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1〜図4は本発明に係る端子金具の一実施形態を示したもので、図1は本発明の一実施形態の端子金具がコネクタハウジングのキャビティ内に収容されている状態の縦断面図、図2は図1に示した端子金具の前端側斜め上方からの斜視図、図3は図2のA−A断面を示す斜視図、図4は図3に示した帯状板片と第1外側壁との連結部に装備される湾曲形状の切欠の説明図である。
【0027】
この一実施形態の端子金具1は、金属板のプレス成形により形成されるもので、図1及び図2に示すように、端子本体2と、端子本体2に一体形成されるランス3と、を備える。
【0028】
端子金具1は、図1に示すように、コネクタハウジング5のキャビティ(端子挿入孔)51に挿入することで、コネクタハウジング5に装着される。端子金具1がキャビティ51に適正に挿入されると、端子本体2上のランス3がキャビティ51に形成された抜け止め用凹部52に突入して、抜け止め用凹部52に係合した状態になる。ランス3が抜け止め用凹部52に係合することにより、端子金具1の抜け止めがなされる。図1の矢印Pは、端子金具1のキャビティ51への挿入方向を示している。
なお、ランス3については、端子本体2の構造を説明したあとで、詳述する。
【0029】
端子本体2は、図2に示すように電線圧着部21と、端子嵌合部22と、を備える。
電線圧着部21は、不図示の電線の端部を圧着接続する部位で、電線の導体を圧着するための導体加締め片21aと、電線の外被の上に加締め付けて電線の固定を行う被覆固定部21bと、を備える。
【0030】
端子嵌合部22は、接続相手となる雄端子が嵌合する部位である。端子嵌合部22は、雄端子が挿入される端子挿入部23の周囲4方を第1〜第4の4つの外側壁22a,22b,22c,22dで囲む角筒構造に形成される。
【0031】
第1〜第4の4つの外側壁22a,22b,22c,22dの内、第1外側壁22aは端子前方から視て端子挿入部23の右側方を覆う右側外側壁となる板部であり、図2に示すように、ランス3が抜け止め用凹部52に係合する際の弾性変位方向Qに沿って起立状態にある。また、第2外側壁22bは端子前方から視て端子挿入部23の上方を覆う上側外側壁となる板部であり、第3外側壁22cは端子前方から視て端子挿入部23の左側方を覆う左側外側壁となる板部であり、第4外側壁22dは端子前方から視て端子挿入部23の下方を覆う底側外側壁となる板部である。
【0032】
本実施形態の場合、4つの外側壁22a,22b,22c,22dは、端子金具1の前方側から視て、第1外側壁22aは第4外側壁22dの右側縁に連なる外側壁であり、第3外側壁22cは第4外側壁22dの左側縁に連なる外側壁であり、第2外側壁22bは第3外側壁22cの上縁に連なる外側壁である。
【0033】
従って、図示はしていないが、金属板から端子金具1の展開形状を打ち抜く際において、端子嵌合部22は、端子幅方向に、第1外側壁22a、第4外側壁22d、第3外側壁22c、第2外側壁22bが順に並ぶ展開形状に打ち抜きされる。
【0034】
本実施形態の場合、端子嵌合部22の第2外側壁22bの外表面221は、ランス3が外方に突出する端子本体2の外側面に相当する。この端子嵌合部22の第2外側壁22bには、ランス用開口25が設けられる。ランス用開口25は後述のランス3が外方に向かって進退可能に挿通する矩形の切欠である。
【0035】
図2に示すように、端子本体2の第4外側壁22dにはバネ支持部223が一体形成され、第1外側壁22aには端子接触板224と帯状板片27とが一体形成されている。
【0036】
バネ支持部223は、第4外側壁22dの前端に設けられている。このバネ支持部223には、図1及び図3に示すように、バネ片226が連設されている。バネ片226は、図1及び図4に示すように、端子挿入部23内を前後方向(図1の矢印X1方向)に延びて配置される板ばねで、端子挿入部23に挿入された雄端子を後述の端子接触板224との間に挟持して、雄端子との電気的接続を果たす。
【0037】
端子接触板224は、図2及び図3に示すように、第1外側壁22aの上端縁から延出して、折り曲げ成形により、第2外側壁22bの内側に積層状態に配置される板材である。この端子接触板224には、図2及び図3に示すように、バネ片226側に突出した隆起部224aがプレス成形される。隆起部224aは、バネ片226との間に雄端子を挟持する部位で、雄端子との間の接触性を向上させる。
【0038】
帯状板片27は、第1外側壁22aの前端部から、端子金具1のキャビティ51への挿入方向P(図1参照)に沿って延在する帯状の板片である。
帯状板片27は、端子金具1の展開形状を板取りする際には、第1外側壁22aの前端部から前方に真っ直ぐに延びる帯状である。帯状板片27は、打ち抜き後に、第1外側壁22aの裏面側に折り返すことで、第1外側壁22aの内面に重畳した状態に配置される。
【0039】
帯状板片27は、図3に示すように、第1外側壁22aの裏面に重畳した状態に配置されると共に、弾性変位方向Q(図2参照)に沿う方向に所定の幅L1を有し、且つ、端子本体2の前後方向(図1の矢印X1方向)に沿う所定の長さL2に渡って延在するように設けられている。そして、この帯状板片27は、その自由端に突起部31が装備されることで、ランス3として機能する。
【0040】
突起部31は、抜け止め用凹部52に係合することで抜け止めを果たす部位で、第2外側壁22bのランス用開口25を挿通することで、第2外側壁22bの外表面221から突出した状態になる。
【0041】
本実施形態のランス3は、端子金具1のキャビティ51への挿入方向Pと平行に延在する帯状板片27の自由端に突起部31を設けた構造に形成しているため、形状的には、端子金具1のキャビティ51への挿入方向Pと平行に延在すると共に、抜け止め用凹部52に係合する際の弾性変位方向に沿って起立状態にある第1外側壁22aの内面に重畳して設けられていると定義することができる。また、ランス3は、突起部31が端子本体2内に弾性変位可能に、且つ、弾性変位していない状態では突起部31が端子本体2の外側面である外表面221から所定長だけ突出した形態となるように、端子本体2に一体形成されている。
【0042】
突起部31の前端側には、図1に示すように、傾斜面31aが形成されている。この傾斜面31aは、端子金具1をキャビティ51に挿入した際に、キャビティ51内の傾斜した膨出部51aに衝突することで、図2の弾性変位方向Qに沿う方向の力を膨出部51aから受けて、ランス3が抜け止め用凹部52に係合する際の帯状板片27の弾性変位方向Qへの撓み変位を容易にする。
【0043】
本実施形態のランス3は、図3に示す幅L1と、端子金具1のキャビティ51への挿入方向Pに沿う長さ寸法L2と、板厚とを適宜に選定することで、弾性変位方向Q(図2参照)に沿う方向の曲げ剛性を任意に調整することができる。
【0044】
本実施形態のランス3の場合、帯状板片27の自由端である突起部31は、端部を帯状板片27の固定端側(第1外側壁22aの前端側)に折り返すことで、図2に示したように板材が積層した2重構造Wに形成されている。
【0045】
また、本実施形態のランス3の場合、金属板から展開形状に打ち抜かれるとき、帯状板片27の固定端において、帯状板片27の幅方向の両側の第1外側壁22aとの連結部には、図4に示すように、湾曲形状の切欠28が設けられる。この湾曲形状の切欠28は、帯状板片27の幅方向への撓み変形時の応力集中を抑止するための切欠で、帯状板片27の幅方向への撓み変形量を増大させる上でも有効である。
【0046】
また、本実施形態の端子金具1の場合、端子本体2の第2外側壁22bは、図1に示すように、帯状板片27の外側縁(図1では、上縁)上に被さって、帯状板片27の外方(図1では、上方)への撓み変位を規制する。
【0047】
以上に説明した一実施形態の端子金具1では、ランス3となる帯状板片27は、端子本体2における第1外側壁22aの内面に重畳しており、端子金具1のキャビティ51への挿入方向Pに沿って延在している。そのため、端子金具1に引き抜き方向の外力が作用して、その引抜力に抗する荷重F(図1参照)が抜け止め用凹部52からランス3の自由端に作用した場合に、荷重Fにはランス3の板厚方向の成分が含まれず、ランス3に板厚方向の撓み変位が生じ難い。
【0048】
従って、端子金具1のキャビティ51への挿入方向Pに対して傾斜状態に配置される従来のランスと比較すると、引抜力に抗する荷重Fに対するランス3の曲げ剛性を高めることができ、コネクタハウジング5内におけるランス3による端子金具1の固定力(保持力)を向上させることができる。
【0049】
また、以上に説明した一実施形態の端子金具1では、外部の機材との干渉によってランス3に端子本体2の外方側への引張荷重が作用しても、図1に示したように、端子本体2の第2外側壁22bがランス3となっている帯状板片27の外方への撓み変位を規制するため、ランス3が外力によって外方に曲げられるような不都合の発生を防止することができる。
【0050】
更に、以上に説明した一実施形態の端子金具1では、ランス3としてコネクタハウジング5の抜け止め用凹部52に係合する帯状板片27の自由端は、端部の折り返しにより板材が積層した2重構造となっていて、ランス3の機械的強度が高いため、コネクタハウジング5内におけるランス3による端子金具1の固定力(保持力)を更に向上させることができる。
【0051】
また、上記の端子金具1において、コネクタハウジング5への端子金具1の嵌合装着時に、ランス3としての帯状板片27は、該板片の幅方向に沿って端子本体2内に向かって撓み変位する。そして、帯状板片27の撓み変位時に帯状板片27内に発生する内部応力は、帯状板片27の固定端において帯状板片27の幅方向の両側に位置する連結部に集中作用すると、連結部の破断等を招くことになる。しかし、以上に説明した一実施形態の端子金具1では、帯状板片27の固定端における連結部には、図4に示したように湾曲形状の切欠28が設けられていて、これらの連結部における応力集中の発生が抑止される。そのため、帯状板片27の固定端における連結部に破断等が発生することを防止することができ、端子金具1の耐久性を向上させることができる。
【0052】
なお、本発明の端子金具1は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0053】
例えば、前述した実施形態では、ランス3となる帯状板片27は、端子本体2の外側壁の前端から後端側に延出する帯状であったが、帯状板片27を端子本体2の外側壁の後端から前端側に延出する帯状としてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、帯状板片27の自由端は端部を折り返して板材が積層された2重構造としたが、特に強度上の問題がない場合には、帯状板片27の自由端を折り返しのない一重の構造としても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 端子金具
2 端子本体
3 ランス
5 コネクタハウジング
22 端子嵌合部
22a 第1外側壁
22b 第2外側壁
22c 第3外側壁
22d 第4外側壁
25 ランス用開口
27 帯状板片
28 湾曲形状の切欠
31 突起部
51 キャビティ
52 抜け止め用凹部
221 外表面(外側面)
P (端子金具のキャビティへの)挿入方向
Q (ランスが抜け止め用凹部に係合する際の)弾性変位方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板のプレス成形により形成される端子本体と、前記端子本体内に弾性変位可能に前記端子本体の外側面から突出した形態に前記端子本体に一体形成されるランスと、を備えて、コネクタハウジングのキャビティに挿入された際に前記ランスが前記キャビティに形成された抜け止め用凹部に突入して前記キャビティからの抜け止めを果たす端子金具であって、
前記ランスは、前記端子金具の前記キャビティへの挿入方向と平行に延在すると共に前記抜け止め用凹部に係合する際の弾性変位方向に沿って起立状態にある前記端子本体の第1外側壁の内面に重畳し、且つ、前記弾性変位方向に所定の幅を有して前記端子本体の前後方向に沿って延在する帯状板片の自由端であることを特徴とする端子金具。
【請求項2】
前記端子本体は、前記帯状板片の外側縁上に被さって、前記帯状板片の外方への撓み変位を規制する第2外側壁を有していることを特徴とする請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
前記帯状板片の自由端は、端部を帯状板片の固定端側に折り返すことで、板材が積層した2重構造に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の端子金具。
【請求項4】
前記帯状板片の固定端において、前記帯状板片の幅方向の両側の前記第1外側壁との連結部には、前記帯状板片の幅方向への撓み変形時の応力集中を抑止する湾曲形状の切欠を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の端子金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−4363(P2013−4363A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135491(P2011−135491)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】