説明

端末制御方法及び該方法を用いたサービス提供システム

【課題】ネットワークを介して行われる各種サービスのプラットホームとして使用可能なサービス基盤の実現
【解決手段】サービス提供システムは、サービス制御サーバ23と、サービスを受ける端末11〜13と、がそれぞれ、所定のフォーマットのメッセージを作成するメッセージ生成部と、SIPのMESSAGEメソッドを用いて前記メッセージを送受信するメッセージ送受信部と、受信したメッセージを認識するメッセージ認識部と、を備える。サービス制御サーバ23は、少なくとも、前記端末に実行させるコマンドと、アクセス先やテキスト情報を記述するメッセージ本文と、を受け付けるメッセージ定義入力出力部を備え、端末11〜13の制御部が、前記メッセージに従った処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末制御方法及び該方法を用いたサービス提供システムに関し、特に、RFC3261で規定されたSIP(Session Initiation Protocol)を利用した端末制御方法及び該方法を用いたサービス提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、クライアント端末と、アプリケーションサーバとの間のセッションの確立を行う中継サーバを介して、電話以外のアプリケーションサービスを提供できるサービス提供システムが開示されている。また、同文献では、INVITE等のSIP要求メッセージのリクエストラインに、要求するアプリケーション・サービスの詳細な情報を設定することが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、同様にSIPを利用し、Peer−to−Peer通信を行う端末の双方で特定のアプリケーションを起動し、各種通信サービスをできるようにしたシステムが開示されている。また、同文献では、SIPメッセージのペイロードにアプリケーションのパラメータを送信することが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−073236号公報
【特許文献2】特開2003−22250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のシステムでは、複数のサービス提供事業者から能動的にサービスを提供することが難しいという問題点がある。例えば、特許文献1のシステムでは、中継サーバは、クライアント端末からのリクエストを中継するに止まり、リクエストの送信がなければ、複数のアプリケーションサーバからのサービスを提供できない構成となっている。
【0006】
また、特許文献2に記載のシステムにしても、情報コンテンツを発信できるのは、発呼側のメディア端末(UAC)に限られており、他のサービス提供事業者と着呼側のメディア端末(UAS)間のサービス授受は不可能である。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数のサービス提供事業者が参加し、ユーザに各種サービスを提供するためのサービス基盤を実現するサービス提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点によれば、SIPを用いたサービス提供システムであって、サービス制御サーバと、サービスを受ける端末と、がそれぞれ、所定のフォーマットのメッセージを作成するメッセージ生成部と、SIPのMESSAGEメソッドを用いて前記メッセージを送受信するメッセージ送受信部と、受信したメッセージを認識するメッセージ認識部と、を備え、前記サービス制御サーバは、少なくとも、前記端末に実行させるコマンドと、アクセス先を記述するメッセージ本文と、を受け付けるメッセージ定義入力出力部を備え、前記端末の制御部が、前記メッセージ認識部より渡されたコマンドを実行し、前記メッセージ本文に記述されたアドレスにアクセスすることにより、サービスを提供すること、を特徴とするサービス提供システムが提供される。
【0009】
本発明の第2の視点によれば、サービス制御サーバが、少なくとも、前記端末に実行させるコマンドと、アクセス先を記述するメッセージ本文と、を受け付け、所定のフォーマットのメッセージを作成して、指定された端末に対してSIP(Session Initiation Protocol)を用いて送信し、前記メッセージを受信した端末に、該メッセージに含まれるコマンドを実行し、前記メッセージ本文に記述されたアドレスにアクセスさせること、を特徴とする端末制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワークを介して行われる各種サービスのプラットホームとして使用可能なサービス基盤を実現することが可能となる。その理由は、サーバ側に、メッセージ定義入力出力部を備えるとともに、端末側で、該メッセージを認識(解釈)、実行するよう構成したことにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
続いて、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態のシステム構成を表したブロック図である。図1を参照すると、ネットワーク1と、本サービスの加入者(以下、「ユーザ」という)が使用するユーザ#1端末11、ユーザ#2端末12、ユーザ#N端末13と、サービス提供者端末21、サービス制御端末22、サービス制御サーバ23、情報配信サーバ24とが示されている。
【0013】
ネットワーク1は、通信事業者によって提供されるIP網で、通信帯域や通信品質を保証する通信網(NGN;Next Generation Network;ITU−T勧告Y.2001(12/2004)参照)である。ネットワーク1は、コンテンツ配信システム側に設置された各サーバと各端末(クライアント)間の通信の帯域と品質を保証するために、SIPによる通信のセッションを制御する機能を有する。
【0014】
ネットワーク1は、サーバと端末(クライアント)間の1対1通信であるユニキャスト通信と、1対特定多数通信であるマルチキャスト通信と、1対不特定多数通信であるブロードキャスト通信のそれぞれの通信機能を提供するものとする。
【0015】
ユーザ#1端末11、ユーザ#2端末12、ユーザ#N端末13、サービス提供者端末21、サービス制御サーバ23及び情報配信サーバ24は、それぞれSIP機能を有し、し、SIPによりネットワーク1にセッション制御を要求する。
【0016】
ユーザ#1端末11、ユーザ#2端末12、ユーザ#N端末13及びサービス提供者端末21は、WEBブラウザ機能、映像再生機能、発信、着信による通話機能、発信、着信による電話と映像による通話機能、テキスト情報メッセージを表示する機能を有する宅内端末である。また、ユーザ#1端末11、ユーザ#2端末12、ユーザ#N端末13は、その表示装置上に、前記各機能から選択された1以上の機能の画面を同時に表示する機能を有する。
【0017】
サービス制御端末22は、サービス制御サーバ23が提供するサービス制御画面(メッセージ定義入力画面)を表示する機能を有する。
【0018】
サービス制御サーバ23は、ユーザ#1端末11、ユーザ#2端末12、ユーザ#N端末13とサービス提供者端末21の端末制御やアプリケーション制御を実行するための機能を有し、その詳細は後記する。アプリケーションとは、例えば、ユーザ#1端末11、ユーザ#2端末12、ユーザ#N端末13のWEBブラウザ機能、映像再生機能、発信、着信による通話機能、発信・着信による電話と映像による通話機能、テキスト情報メッセージを表示する機能を実現するためアプリケーションプログラムを指す。
【0019】
情報配信サーバ24は、ユーザ#1端末11、ユーザ#2端末12、ユーザ#N端末13への映像配信、WEB配信、テキスト情報のいずれか一以上を送信する機能を有する。
【0020】
ここで、サービス制御サーバ23が、ユーザ#1端末11、ユーザ#2端末12、ユーザ#N端末13及びサービス提供者端末21の制御、アプリケーション制御を実行するために利用するメッセージの構成について説明する。図2は、サービス制御サーバ23より前記各端末11〜13、及び、サービス提供者端末21に対し、SIPのMESSAGEメソッドを用いて送信されるメッセージの構成例である。
【0021】
図2を参照すると、メッセージ100は、サービス提供事業者名101と、コマンド102と、メッセージタイプ103と、メッセージボディ104で構成される。
【0022】
サービス提供事業者名101には、どのサービス提供事業者が、ユーザ端末を制御しているのか認識し、判定するために、サービス提供事業者毎に付与されたID情報が格納される。
【0023】
コマンド102には、サービス制御サーバ23が、ユーザ端末の制御又はアプリケーション制御を実行するための命令情報が格納される。例えば、アプリケーション自動起動、アプリケーション制御にかかわる情報を蓄積(キャッシュ)、表示中のアプリケーションを更新するコマンド、アプリケーションを制御するための情報を各端末が保持するデータベースに登録、また、データベースに保持されている情報を登録削除するコマンド、通話機能のために、自端末より発信、相手から自端末への着信を自動制御するコマンド、通話状態を切断制御するコマンド、ユーザ端末が起動しているアプリケーションを終了するコマンド、制御された端末の状態を通知するコマンド等が格納される。
【0024】
メッセージタイプ103には、情報配信サーバ24にアクセスするための情報の種別情報が格納される。例えば、WEBサーバにアクセスするための「WEB URL」、ユニキャストによる映像配信を行うVoD(Video on Demand)サーバにアクセスするための「VoD URL」、また、マルチキャストやブロードキャストによる映像配信を行う映像配信サーバにアクセスするための「マルチキャストグループアドレス」、通話するための「電話番号」、メッセージであることを示す「テキスト情報」、端末を制御するための情報であることを示す「端末制御情報」といったメッセージボディ104に記載された情報の種別情報が設定される。
【0025】
メッセージボディ104には、上記メッセージタイプ103で定義された内容の具体的な情報、例えば、「WEB URL」、「VoD URL」、「マルチキャストグループアドレス」、「電話番号」、メッセージ本文、端末制御情報等が格納される。
【0026】
ここで、サービス制御サーバ23とユーザ#1端末11の機能ブロック構成を図3を参照して説明する。なお、図3の例ではユーザ#1端末11を例示しているが、ユーザ#2端末12、ユーザ#N端末13、サービス提供者端末21も同様の構成とすることができる。
【0027】
サービス制御サーバ23は、ネットワーク1を介してSIPのMESSAGE機能を利用してユーザ#1端末11とメッセージを送受信するメッセージ送受信部41と、受信したメッセージを認識するメッセージ認識部42と、メッセージを生成するメッセージ生成部43と、サービス制御サーバ23を制御するサーバ制御部44と、メッセージ100をサーバ制御部44に入力、あるいは、出力するためのメッセージ定義入力出力部45とを含んで構成される。
【0028】
一方、ユーザ#1端末11は、ネットワーク1を介してSIPのMESSAGE機能を利用してサービス制御サーバ23とメッセージを送受信するメッセージ送受信部31と、受信したメッセージを認識するメッセージ認識部32と、メッセージを生成するメッセージ生成部33と、ユーザ#1端末11を制御する端末制御部34と、アプリケーションの起動、停止を制御するアプリケーション制御部35と、複数のアプリケーシを同時に複数表示する機能や、加入者による加入者端末のリモコン制御を実行するユーザインタフェース部36と、メッセージより通知された情報の蓄積や、端末の設定情報を蓄積する蓄積データ37とを含んで構成される。
【0029】
以下、図4〜図8を参照して、ユーザ端末の制御、アプリケーションの連携制御を実行する動作例について詳細に説明する。
【0030】
(ユーザ端末の制御)
図4は、ユーザ#N端末13に任意の処理を実行させる場合の動作概要を表したシーケンス図である。まず、ユーザ#N端末13に所定の動作を行わせたいサービス提供事業者によって操作されたサービス制御端末22が、サービス制御サーバ23にアクセスして、メッセージ定義の入力が行われる(ステップS1)。
【0031】
サービス制御サーバ23のメッセージ定義入力出力部45が受け付けた入力内容は、サーバ制御部44を介して、メッセージ生成部43に送信され、メッセージ100の生成が行われる(ステップS2)。
【0032】
メッセージ送受信部41が、SIPのMESSAGE機能により、メッセージ生成部43により生成されたメッセージ100をユーザ端末側に送信する(ステップS3)。なお、サービス制御サーバ23は、すべてのユーザ端末11〜13、あるいは、任意のユーザ端末を指定してメッセージ100を送信することが可能であるが、以下、ユーザ#N端末13に宛ててメッセージ100を送信するものとして説明する。
【0033】
ユーザ#N端末13のメッセージ送受信部31はメッセージを受信すると(ステップS4)、メッセージ認識部32に対して、メッセージを送り、メッセージ100の認識処理を実行させる(ステップS5)。
【0034】
ユーザ#N端末13のメッセージ認識部32は、認識処理として、メッセージ100のフォーマットが適正であるか否かや、メッセージ100のサービス提供事業者名101に格納されたサービス提供事業者のIDがユーザ#N端末13のユーザが許可しているサービス提供事業者のものであるか否か等の各情報が正しいか否かを判定する。ここで、メッセージ100を正しく認識できた場合には、メッセージ生成部33及びメッセージ送受信部31によって、SIPのMESSAGE機能の応答メッセージの生成と送信が行われる。
【0035】
次に、ユーザ#N端末13は、メッセージ100のコマンド102、メッセージタイプ103、メッセージボディ104に記述された内容に従った処理を実行する(ステップS6)。ユーザ#N端末13の端末制御部34が、アプリケーション制御部35、ユーザインタフェース部36、蓄積データ37を制御し、ステップS1で入力されたアプリケーションの連携制御や端末制御の内容を実行する。
【0036】
上記メッセージ100に従った処理が完了すると、ユーザ#N端末13の端末制御部34は、メッセージ生成部33に、ユーザ#N端末13の状態を通知するメッセージ100を生成させる(ステップS7)。メッセージの内容は、ステップS1で入力されたアプリケーションの連携制御や端末制御の内容の実行が完了した旨や、実行後のユーザ#N端末13の状態が記述される。
【0037】
メッセージ生成部33よりメッセージ100を受け取ったユーザ#N端末13のメッセージ送受信部31は、SIPのMESSAGE機能を利用してメッセージ100をサービス制御サーバ23へ送信する(ステップS8)。
【0038】
サービス制御サーバ23は、上記したユーザ#N端末13のメッセージ受信処理(ステップS4)、メッセージ認識処理(ステップS5)と同様に、メッセージの受信と(ステップS9)、メッセージの認識処理(ステップS10)を実行し、正しいメッセージであることが確認できた場合には、SIPのMESSAGE機能の応答メッセージを送信する。
【0039】
以上のように、サービス制御サーバ23のメッセージ定義入力出力部45へのメッセージの入力を許容することで、複数のサービス提供事業者に、ユーザ端末の制御を行うサービス基盤を開放することが可能となる。
【0040】
(コンテンツ配信)
図5は、ユーザ#N端末13に任意のコンテンツを配信する際の処理概要を表したシーケンス図である。ユーザ端末に対するコンテンツ配信を行う場合、メッセージ100の入力の際に、メッセージタイプ103とメッセージボディ104に、WEB URL、VoD URL、マルチキャストグループアドレス、端末制御情報等が設定される(ステップS1)。
【0041】
図6は、サービス制御サーバ23がメッセージ定義入力出力部45によりWEB情報配信、映像配信やテキスト情報の配信要求を受け付ける際の画面例である。図6を参照すると、入力画面200には、タイトル201、種別202、選択203、配信形式204、配信ボタン205、停止ボタン206といった要素が配されている。
【0042】
タイトル201には、情報配信サーバ24により、配信可能な情報コンテンツのタイトル名が表示される。種別202は、配信される情報の種別、すなわち、WEB、映像配信(VoD)、映像配信(マルチキャスト、ブロードキャスト)、テキスト情報等の種別が表示される。配信形式204としては、例えば、リアルタイム、又は、キャッシュ(蓄積)を選択可能となっている。選択203で情報コンテンツを選択し、配信ボタン205を起動(クリック)することにより、メッセージ100の入力が完了する。
【0043】
このとき、メッセージ生成部43では、選択された情報コンテンツのWEB URL、VoD URL、マルチキャストグループアドレス、メッセージのテキスト情報が、メッセージ100のメッセージボディ104にマッピングされ、種別202の情報が、メッセージ100のメッセージタイプ103にマッピングされ、配信形式204の選択に応じたコマンドが、メッセージ100のコマンド102にマッピングされる。
【0044】
なお、図6の停止ボタン206を起動(クリック)すると、配信したメッセージ100によりユーザ端末で実行されているアプリケーションを停止するためのメッセージ100が配信される。
【0045】
続く、図5のステップS2〜ステップS5及びステップS7〜ステップS10は、先のユーザ端末の制御を行う場合の動作と同様であるので、以下、図5のステップS20〜ステップS27までを説明する。
【0046】
まず、メッセージ100のメッセージタイプ103がWEB URL、VoD URL、マルチキャストグループアドレスのいずれかであり、且つ、コマンド102が蓄積(キャッシュ)命令である場合、ユーザ#N端末13は、メッセージ100により受信した情報のすべてを蓄積データ37として蓄積する(ステップS21)。
【0047】
その後、ユーザ#N端末13のユーザよりリモコン等による指示が行われると(ステップS22)、ユーザ#N端末13の端末制御部34は、アプリケーションを起動する(ステップS23)。アプリケーションの起動は、ユーザインタフェース部36が蓄積データ37として蓄積した情報を表示してリモコン等による指示を受け、端末制御部34が、アプリケーション制御部35に指示を送信することにより実現される。
【0048】
以上の蓄積(ステップS21)とユーザ指示(ステップS22)によるアプリケーションの起動プロセス(まとめて、ステップS20)により、ユーザ#N端末13のユーザは、サービス提供事業者から提供される情報コンテンツを非同期に、ユーザの都合時間に合わせて閲覧・視聴することが可能になる。
【0049】
一方、メッセージ100のメッセージタイプ103がWEB URL、VoD URL、マルチキャストグループアドレスのいずれかであり、且つ、コマンド102がアプリケーションの自動起動、表示中のアプリケーションを更新するコマンドである場合は、ユーザ#N端末13は、ステップS20(ステップS21とステップS22を含む)をスキップし、ユーザの操作を待つことなく、アプリケーションを自動起動する(ステップS23)。
【0050】
起動されたアプリケーションは、メッセージボディ104の記述に基づいて情報配信サーバ24にアクセスする(ステップS24)。
【0051】
アクセスを受けた情報配信サーバ24は、ユーザ#N端末13に対するコンテンツ配信を開始し(ステップS25)、ユーザ#N端末13はサービスの授受(ステップS26)により、映像配信サーバ24より受信した情報をモニタやテレビ画面に表示する(ステップS27)。
【0052】
以上のとおり、サービス制御サーバ23より配信されたメッセージ100を蓄積する場合(ステップS20)と、自動表示する場合と(ステップS20をスキップ)、の2通りのコンテンツ配信を受けることが可能となっている。
【0053】
上記蓄積する場合、自動表示する場合のいずれとも、ユーザが別の映像配信視聴中や電話中であってもよく、サービス提供事業者よりメッセージ100を受信次第、別のウインドウ等にてその内容を確認し、サービスを受けることが可能となる。
【0054】
(テキスト表示)
図7は、ユーザ#N端末13に、ニュース、広告等の任意のテキストを表示させる際の処理概要を表したシーケンス図である。ユーザ端末に任意のテキスト表示を行わせたい場合、メッセージ100の入力の際に、メッセージタイプ103とメッセージボディ104に、「テキスト情報」である旨と、テキスト本文が設定される(ステップS1;図6参照)。ステップS2〜ステップS5は、先のユーザ端末の制御を行う場合の動作と同様であるので、以下、図7のステップS30〜ステップS34までを説明する。
【0055】
まず、メッセージ100のメッセージタイプ103がテキスト情報であり、且つ、コマンド102が蓄積(キャッシュ)命令である場合、ユーザ#N端末13は、メッセージ100により受信した情報のすべてを蓄積データ37として蓄積する(ステップS31)。
【0056】
その後、ユーザ#N端末13のユーザよりリモコン等による指示が行われると(ステップS32)、ユーザ#N端末13の端末制御部34は、テキスト表示アプリケーションを(自動)起動する(ステップS33)。アプリケーションの起動は、ユーザインタフェース部36が蓄積データ37として蓄積した情報を表示してリモコン等による指示を受け、端末制御部34が、アプリケーション制御部35に指示を送信することにより実現される。
【0057】
以上の蓄積(ステップS31)とユーザ指示(ステップS32)によるテキスト表示(ステップS33)の起動プロセス(まとめて、ステップS30)により、ユーザ#N端末13のユーザは、サービス提供事業者から提供されるテキスト情報を非同期に、ユーザの都合時間に合わせて閲覧・視聴することが可能になる。
【0058】
一方、メッセージ100のメッセージタイプ103がテキスト情報であり、且つ、コマンド102がアプリケーションの自動起動、表示中のアプリケーションを更新するコマンドである場合は、ユーザ#N端末13は、ステップS30(ステップS31〜ステップS33)をスキップし、ユーザの操作を待つことなく、テキスト表示アプリケーションを自動起動しメッセージボディ104に記述されたテキスト情報を表示する(ステップS34)。
【0059】
以上のとおり、サービス制御サーバ23より配信されたメッセージ100を蓄積する場合(ステップS30)と、自動表示する場合と(ステップS30をスキップ)、の2通りのテキスト表示を行うことが可能となっている。
【0060】
上記蓄積する場合、自動表示する場合のいずれとも、ユーザが別の映像配信視聴中や電話中であってもよく、サービス提供事業者よりメッセージ100を受信次第、別のウインドウ等にてその内容を確認し、テキストを参照することが可能となる。
【0061】
(電話発信)
図8は、ユーザ#N端末13からサービス提供者端末21に電話発信させる際の処理概要を表したシーケンス図である。ユーザ端末に他のSIP端末に電話を掛けさせたい場合、メッセージ100の入力の際に、メッセージタイプ103とメッセージボディ104に、「電話番号」である旨と、電話番号が設定される(ステップS1)。
【0062】
図9は、サービス制御サーバ23がメッセージ定義入力出力部45により通話申込を受け付ける際の画面例である。図9を参照すると、入力画面300には、申込番号301、名前302、選択303、発信形式304、開始ボタン305、切断ボタン306といった要素が配されている。
【0063】
申込番号301には、電話番号や、加入者を特定するためにサービス事業者により割り当てられた一意の識別子等の番号が表示される。名前302には、サービスに参加しているユーザ名が表示される。発信形式304としては、例えば、着呼待ち、又は、自動発呼を選択可能となっている。選択303で通話相手を選択し、開始ボタン305を起動(クリック)することにより、メッセージ100の入力が完了する。
【0064】
このとき、メッセージ生成部43では、選択されたユーザの申込番号301が電話番号である場合、申込番号301が、メッセージ100のメッセージボディ104に電話番号としてマッピングされ(ユーザの申込番号301が電話番号でない場合は、適宜、電話帳情報等を参照すればよい)、発信形式304の選択に応じたコマンドが、メッセージ100のコマンド102にマッピングされる。また、メッセージ100のメッセージタイプ103には、電話番号である旨が記述される。
【0065】
なお、図9の切断ボタン306を起動(クリック)すると、配信したメッセージ100により開始された通話を終了させるためのメッセージ100が配信される。
【0066】
続く、図8のステップS2〜ステップS5は、先のユーザ端末の制御を行う場合の動作と同様であるので、以下、図8のステップS40〜ステップS51までを説明する。
【0067】
まず、メッセージ100のメッセージタイプ103が電話番号であることを示しており、且つ、コマンド102が登録(キャッシュ)、かつ、自端末からの発信である場合、ユーザ#N端末13は、メッセージ100により受信した情報のすべてを蓄積データ37として蓄積する(ステップS41)。
【0068】
その後、ユーザ#N端末13のユーザよりリモコン等による指示が行われると(ステップS42)、ユーザ#N端末13の端末制御部34は、テレビ電話アプリケーションを起動しメッセージボディ104に記述された電話番号に発信する(ステップS43)。通話アプリケーションの起動は、ユーザインタフェース部36が蓄積データ37として蓄積した情報を表示してリモコン等による指示を受け、端末制御部34が、アプリケーション制御部35に指示を送信することにより実現される。
【0069】
以上の蓄積(ステップS41)とユーザ指示(ステップS42)による自動発信の起動プロセス(まとめて、ステップS40)により、ユーザ#N端末13のユーザは、サービス提供事業者から通知された電話番号への発信を非同期に、ユーザの都合時間に合わせて実行することが可能になる。
【0070】
一方、メッセージ100のメッセージタイプ103が電話番号であり、且つ、コマンド102が自端末からの発信である場合は、ユーザ#N端末13は、ステップS40(ステップS41〜ステップS42)をスキップし、ユーザの操作を待つことなく、テレビ電話アプリケーションを自動起動しメッセージボディ104に記述された電話番号に発信する(ステップS43)。
【0071】
その後は、通話相手となるサービス提供者端末21との間で、電話やテレビ電話のセッションを制御するためのセッション制御が行われ(ステップS50)、セッションが確立した段階で、ユーザ#N端末13とサービス提供者端末21間の通話が行われる(ステップS51)。
【0072】
以上のとおり、サービス制御サーバ23より配信された電話番号を登録する(後で掛ける)場合(ステップS40)と、即発信する場合と(ステップS40をスキップ)、の2通りの電話発信処理を行うことが可能となっている。
【0073】
上記登録する場合、自動発信する場合のいずれとも、ユーザが別の映像配信視聴中やWEB閲覧中であってもよく、サービス提供事業者よりメッセージ100を受信次第、別のウインドウ等にてその内容を確認し、サービス提供事業者や他のユーザとの間で2者通話、多地点通話を行うことが可能となる。
【0074】
(電話着信)
図10は、ユーザ#N端末13に電話着信待ち動作を行わせる際の処理概要を表したシーケンス図である。ユーザ端末に他のSIP端末からの電話を受けさせたい場合、メッセージ100の入力の際に、メッセージタイプ103とメッセージボディ104に、「電話番号」である旨と、電話番号が設定される(ステップS1)。ステップS2〜ステップS5は、先のユーザ端末の制御を行う場合の動作と同様であるので、以下、図10のステップS44以降を説明する。
【0075】
まず、メッセージ100のメッセージタイプ103が電話番号であることを示しており、且つ、コマンド102が相手から自端末への自動着信待機である場合、ユーザ#N端末13は、メッセージ100により受信した情報のすべてを蓄積データ37として蓄積する(ステップS44)。
【0076】
その後は、サービス提供者端末21からの発信が行われると、サービス提供者端末21とユーザ#N端末13との間で、電話やテレビ電話のセッションを制御するためのセッション制御が行われ(ステップS50)、セッションが確立した段階で、ユーザ#N端末13とサービス提供者端末21間の通話が行われる(ステップS51)。
【0077】
以上のとおり、サービス制御サーバ23より配信された電話番号からの着信に対して自動で応答する制御が可能となる。この場合も、ユーザが別の映像配信視聴中やWEB閲覧中であってもよく、サービス提供事業者よりメッセージ100を受信次第、別のウインドウ等にてその内容を確認し、サービス提供事業者や他のユーザとの間で2者通話、多地点通話を行うことが可能となる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を行うことが可能である。例えば、図11に示すとおり、ユーザ端末に設定させたい端末設定情報を送るためのメッセージ入力画面を用いて、ユーザ端末にリアルタイム、あるいは、キャッシュ方式で端末設定情報を送ることが可能となる。
【0079】
図11の例では、タイトル401には、情報配信サーバ24により、配信可能な端末設定情報のタイトル名が表示される。種別402は、配信される端末設定情報の種別、例えば、ファームウェアの更新プログラム、端末設定情報といった種別が表示される。配信形式404としては、例えば、リアルタイム、又は、キャッシュ(蓄積)を選択可能となっている。選択403で端末設定情報を選択し、設定ボタン405を起動(クリック)することにより、メッセージ100の入力が完了する。
【0080】
このとき、メッセージ生成部43では、選択された端末設定情報のWEB URLや端末設定に関するテキスト情報が、メッセージ100のメッセージボディ104にマッピングされ、種別402の情報が、メッセージ100のメッセージタイプ103にマッピングされ、配信形式404の選択に応じたコマンドが、メッセージ100のコマンド102にマッピングされる。
【0081】
以上のように、特定のサービス基盤を保有していないサービス提供事業者に各ユーザ端末への各種サービスを行わせることが可能となる。
【0082】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を行うことが可能である。例えば、上記した実施形態では、サービス制御端末22、サービス制御サーバ23、情報配信サーバ24をそれぞれ用意するものとして説明したが、参加するサービス提供事業者の数や、提供するサービスに応じて、これらを統合し、あるいは、複数設置することも可能である。
【0083】
また、上記した実施形態では、サービス提供者端末21が、ユーザ端末11〜13にサービスを提供するものとして説明したが、上記した説明からも明らかなとおり、ユーザ端末11〜13間のサービス授受を行うことができる。例えば、ユーザ#1端末11が、情報配信サーバ24に、画像や映像コンテンツ等を登録しておき、他のユーザ#2端末12、ユーザ#N端末13に対して、SIPのMESSAGEメソッドを用いてメッセージを送信し、これらをダウンロードさせるといった用途にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施形態のシステム構成を表したブロック図である。
【図2】本発明に係るサーバ及びユーザ端末間で送受信されるメッセージの構成例である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るサービス制御サーバ及びユーザ端末の構成を表したブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の基本動作(端末制御)を表したシーケンス図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の別の動作(コンテンツ配信)を表したシーケンス図である。
【図6】ユーザ端末にコンテンツ配信を行う際のメッセージの入力画面例である。
【図7】本発明の第1の実施形態の別の動作(メッセージ表示)を表したシーケンス図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の別の動作(電話発信)を表したシーケンス図である。
【図9】ユーザ端末との通話を申し込む際のメッセージの入力画面例である。
【図10】本発明の第1の実施形態の別の動作(電話着信待機)を表したシーケンス図である。
【図11】ユーザ端末に設定情報を提供する際のメッセージの入力画面例である。
【符号の説明】
【0085】
1 ネットワーク(NGN)
11〜13 ユーザ端末(クライアント)
21 サービス提供者端末
22 サービス制御端末
23 サービス制御サーバ
24 情報配信サーバ
31 メッセージ送受信部
32 メッセージ認識部
33 メッセージ生成部
34 端末制御部
35 アプリケーション制御部
36 ユーザインタフェース部
37 蓄積データ
41 メッセージ送受信部
42 メッセージ認識部
43 メッセージ生成部
44 サーバ制御部
45 メッセージ定義入力出力部
100 メッセージ
101 サービス提供事業者名
102 コマンド
103 メッセージタイプ
104 メッセージボディ
200、300、400 入力画面
201、401 タイトル
202、402 種別
203、403 選択
204、404 配信形式
205 配信ボタン
206 停止ボタン
301 申込番号
302 名前
303 選択
304 発信形式
305 開始ボタン
306 切断ボタン
405 設定ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIP(Session Initiation Protocol)を用いたサービス提供システムであって、
サービス制御サーバと、サービスを受ける端末と、がそれぞれ、所定のフォーマットのメッセージを作成するメッセージ生成部と、SIPのMESSAGEメソッドを用いて前記メッセージを送受信するメッセージ送受信部と、受信したメッセージを認識するメッセージ認識部と、を備え、
前記サービス制御サーバは、少なくとも、前記端末に実行させるコマンドと、アクセス先を記述するメッセージ本文と、を受け付けるメッセージ定義入力出力部を備え、
前記端末の制御部が、前記メッセージ認識部より渡されたコマンドを実行し、前記メッセージ本文に記述されたアドレスにアクセスすることにより、サービスを提供すること、
を特徴とするサービス提供システム。
【請求項2】
前記サービス制御サーバのメッセージ定義入力出力部は、メッセージ本文として、前記端末に表示させたいテキスト情報を受け付け、
前記サービス制御サーバのメッセージ生成部は、前記テキスト情報をメッセージ本文に格納した前記所定のフォーマットのメッセージを作成し、
前記端末の制御部が、前記メッセージ本文に記述されたアドレスにアクセスすることに代えて、前記メッセージ認識部より渡されたテキスト情報の表示を実行すること、
を特徴とする請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項3】
前記サービス制御サーバのメッセージ定義入力出力部は、前記端末にリアルタイム方式でコマンドを実行させるか否かを受け付け、該内容に応じて設定するコマンドを変更すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のサービス提供システム。
【請求項4】
前記サービス制御サーバのメッセージ定義入力出力部は、前記端末から電話発信させるか否かを受け付け、該内容に応じて設定するコマンドを変更すること、
を特徴とする請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項5】
サービス制御サーバが、少なくとも、前記端末に実行させるコマンドと、アクセス先を記述するメッセージ本文と、を受け付け、所定のフォーマットのメッセージを作成して、指定された端末に対してSIP(Session Initiation Protocol)を用いて送信し、
前記メッセージを受信した端末に、該メッセージに含まれるコマンドを実行し、前記メッセージ本文に記述されたアドレスにアクセスさせること、
を特徴とする端末制御方法。
【請求項6】
前記サービス制御サーバは、前記端末に表示させたいテキスト情報を受け付け、該テキスト情報をメッセージ本文に格納した前記所定のフォーマットのメッセージを作成し、
前記端末の制御部が、前記メッセージ本文に記述されたアドレスにアクセスすることに代えて、前記メッセージ認識部より渡されたテキスト情報の表示を実行すること、
を特徴とする請求項5に記載の端末制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−225688(P2008−225688A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60744(P2007−60744)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】