説明

端末装置、伝送方法及び伝送システム

【課題】データの重要度だけでなく、データ間の関連度も考慮して制御装置へのデータの送信を行う。
【解決手段】重要度情報及び他データとの関連情報を含んだ複数の入力データを蓄積するデータ蓄積部13と、制御装置2から送信された問い合わせ信号を受信する受信部10とを備えた。そして、問い合わせ信号を受信した場合に、データ蓄積部13に蓄積されている蓄積データの量が予め設定された所定の閾値を超えているか否かを判定し、閾値を超えている場合に、他データとの関連情報に基づいて蓄積データ同士の連結処理を行うようにした。さらに、蓄積データの結合処理が行われたデータ又は連結処理が行われていないデータを送信データとして送信データ蓄積部19に蓄積し、送信データ蓄積部19に蓄積された各送信データを、当該送信データに含まれる重要度の情報に基づいて順番に読み出して送信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、伝送方法及び伝送システムに関し、特に制御装置から送られる問い合わせ信号に対する応答データの送信を適切に行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一次局としての監視制御装置と、二次局としての複数の端局との間を通信回線で結合した伝送システムにおいて、監視制御装置と各端局間の物理的距離が離れている場合、使用回線数の問題により、ポーリング方式を使用したデータの送受信が採用される。
【0003】
ポーリング方式とは、監視制御装置から複数の端局に対して、送信したいデータがあるか問い合わせる方式である。問い合わせは、問い合わせ用のポーリング信号を一定間隔で監視制御装置から各端局に送信することによって行われる。端局において送信したいデータがある場合には、監視制御装置から送信されたポーリング信号への応答という形でデータが監視制御装置に送信される。これにより、監視制御装置と複数の端局とを結ぶ通信回路が1本しかない場合であっても、データの送受信時に各端局間で競合が発生してしまうことがなくなる。
【0004】
このような伝送システムにおいては、各端局からの送信データによって通信回線が過負荷とならないよう、決められた帯域でデータ伝送を行う必要がある。よって、一度の問い合わせ(ポーリング)に対する端局からの送信データ数はあらかじめ決められており、同一端局から多量のデータを送信する場合は、データを一度に送信可能なデータ数に分割して監視制御装置に送信することになる。すなわち、全送信データの伝送の完了は、データ分割数×ポーリング周期となる。このときのデータの送信順序は、イベント発生の時系列となることが一般的である。
【0005】
ところが、端局からのデータの送信が常にイベントが発生した順で行われるとなると、問題が発生する場合がある。例えば、発電所において電力系統故障等の多量の機器故障が発生し、その故障情報の中にプラント緊急停止等の特に重要度の高いデータが含まれていた場合を想定する。この場合、端局からの送信データを、一度に送信可能なデータ数(以下、データ送信可能総数と称する)に分割して送信すると、プラント緊急停止等の重要データのイベントとしての発生時刻が他のイベントに比べて遅かった場合等で、データ送信可能総数の中に重要データが入りきらなかった場合には、その重要データの監視制御装置への伝送が後回しとされてしまうことになる。
【0006】
この結果プラント緊急停止等の処理が遅れ、プラント機器の損傷、人身災害などの二次的な障害が発生する状況が想定される。このような重要データの送信遅れを解消するために、例えば特許文献1には、入力されたアラーム情報を優先通知メッセージと通常メッセージとに分類し、優先通知メッセージから順に一次局に送信する技術が記載されている。また特許文献2には、二次局からの送信データに優先度を示すヘッダ情報を付加し、送信データの送信をこの優先度に基づいて行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−250282号公報
【特許文献2】特開昭61−47460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1又は特許文献2に記載された技術によれば、優先度の高いデータを優先度の低いデータに割込んで先に伝送することが可能となる。そして、優先度の低いデータの送信は、優先度の高いデータの送信が完了した後に行われるようになる。これをプラントでの系統故障等が発生した場合にあてはめると、優先的にデータ送信されるプラント主機等の重要度の高い故障に対して、重要度の高い故障発生に至るまでの軽微な補機故障等は、非優先データとして次回ポーリングにて送信される。
【0009】
ところが、例えば監視制御装置にて別の端局への制御指令の出力を行う条件として、重要度の高い故障に関する情報だけでなく、それに関連する軽微な故障に関する情報も一緒に受信している必要がある旨が設定されている場合には、軽微な故障に関する情報の受信を確認できるまでの間は、別端局への制御指令を行うことができなくなる。結果として、システム全体では優先処理の有効性が生かされなくなってしまうという問題があった。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、データの重要度だけでなく、データ間の関連度も考慮して制御装置へのデータの送信を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、制御装置にデータを送信する端末装置において、重要度の情報及び他のデータとの関連情報を含んだ時系列で入力される複数の入力データを蓄積するデータ蓄積部と、通信回線を通して接続された制御装置から送信された問い合わせ信号を受信する受信部とを備えた。そして、受信部で問い合わせ信号を受信した場合に、データ蓄積部に蓄積されている蓄積データの量が予め設定された所定の閾値を超えているか否かを判定し、データ量判定部で蓄積データの量が閾値を超えていると判定された場合に、蓄積データに含まれる他のデータとの関連情報に基づいて蓄積データ同士の連結処理を行うようにした。さらに、データ連結部で蓄積データの結合処理が行われたデータ又は連結処理が行われていないデータは、送信データとして送信データ蓄積部に蓄積し、送信データ蓄積部に蓄積された各送信データを、当該送信データに含まれる重要度の情報に基づいて順番に読み出して出力するようにした。
【0012】
このようにしたことで、端末装置において、データに設定された重要度の情報だけでなく、他のデータとの関連情報も考慮してデータの送信順位が決定される。すなわち、重要度が高く設定されていない通常のデータであっても、重要度の高いデータと関連があるものであれば、重要度の高いデータと連結されて優先的に制御装置に送信されるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、重要度が高く設定されていない通常のデータであっても、重要度の高いデータと関連があるものであれば、重要度の高いデータと連結されて優先的に制御装置に送信される。従って、制御装置において、重要度の高いデータとそれに関連する通常のデータとを用いて迅速に制御を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態による伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態による端局の内部構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態による入力データのデータフォーマットの例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態による入力データの構成例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態による端局での処理の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態によるデータ入力処理の例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態によるデータ量判定処理の例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態によるデータ重要度判定処理の例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態によるデータ連結処理の例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態によるデータの送信例を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態による送信処理の例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施例による端局の内部構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態(以下、本例とも称する)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(基本構成例)
2.変形例
【0016】
<1.第1の実施の形態>
[システムの全体構成例]
図1は、本発明の伝送システムの構成例を示す図である。図1に示す伝送システム5は、制御装置としての監視制御装置2と、端末装置としての端局1a〜端局1n(nは自然数)とで構成されており、監視制御装置2と端局1a〜端局1nとは、一本の伝送路3によってそれぞれがループを構成するように接続されている。図1においては、伝送路3のうち、監視制御装置2と端局1aとを接続するものを伝送路3a、端局1aと端局1bとを接続するものを伝送路3b、端局1bと端局1nとを接続するものを伝送路3cとしている。
【0017】
なお、以降の説明においては、端局1a、端局1b、端局1nを個別に区別する必要がない場合には単に端局1と称し、伝送路3a、伝送路3b、伝送路3nを個別に区別する必要がない場合には、単に伝送路3と称する。
【0018】
監視制御装置2は、端局1a〜端局1nの監視を行う装置であり、送信データの有無を問い合わせる問い合わせ信号としてのポーリング信号を、一定の時間間隔で伝送路3aを通して端局1aに送信する。ポーリング信号の送信は、端局1a〜端局1nのそれぞれに対して順番に行われる。自端局宛のポーリング信号を受信した端局1a〜端局1nでは、監視制御装置2に送信すべき送信待ちデータが存在する場合には、そのデータをポーリング信号に付加して隣接する他の端局1又は監視制御装置2に転送する。すなわち、ある端局1から送信されたデータは、伝送路3によって接続された他の端局1の間を次々に転送され、最終的に監視制御装置2に返送される。
【0019】
例として、端局1aに対して送信すべきデータがあるか否かを問うポーリング信号が送信される場合を説明する。ポーリング信号を受信した端局1aでは、監視制御装置2に送信すべき送信待ちのデータがある場合には、ポーリング信号に送信待ちデータを付加したものを、伝送路3bを通して隣接する端局1bに転送する。端局1bに転送された端局1aのデータは、伝送路3cを介してさらに端局1nに転送され、伝送路3nを通して端局1nから監視制御装置2に返送される。監視制御装置2では、このようにして端局1aから送信されたデータの収集を完了する。
【0020】
自端局宛のポーリング信号を受信した端局1b〜端局1nにおいても同様の処理が行われることにより、各端局1間を伝送されたデータは、最終的に監視制御装置2に返送される。つまり監視制御装置2は、各端局1宛にポーリング信号を送信して各端局1から返信されたデータを受信することにより、各端局1が送信待ちデータとして保持しているデータの収集を行う。
【0021】
なお、このとき各端局1から付加される送信待ちデータの数は、予め設定されている閾値の範囲内の数に限定される。つまり、送信待ちデータの数が閾値を超えていた場合には、閾値の範囲内の数のデータのみが送信されるようになる。そして、他の送信待ちデータは、次回以降のポーリング信号受信タイミングで送信される。この閾値は、各端局1において予め設定されているものとする。
【0022】
図2は、端局1aの内部構成例を示すブロック図である。図2では端局1aを例に挙げているが、端局1b〜端局1nもすべて同様の構成としてあるものとする。端局1aは、受信部10と、送信部11と、データ入力部12と、データ入力バッファ13と、データ量判定部14と、データ重要度判定部15と、重要データバッファ16と、通常データバッファ17と、データ連結部18と、送信データバッファ19とが含まれる。
【0023】
受信部10は、伝送路3aに接続されており、伝送路3aを通して伝送される監視制御装置2から送信されたポーリング信号を受信する。送信部11は、伝送路3bに接続されており、自局内の送信待ちデータを隣接する他の端局1(この場合は端局1b)に送信する。データ入力部12は、ユーザ等により入力された入力データをある一定の周期でスキャンして、スキャンにより得られたデータをデータ入力バッファ13に送信する。データ入力部12がスキャンするデータには、予め、後述する「データ重要度パラメータ」や「データ連結ID」等のパラメータが設定されているものとする。
【0024】
データ入力バッファ13は、データ入力部12から送信される入力データを一時的に格納する。データ量判定部14は、受信部10にて自端局へのポーリング信号を受信時に、データ入力バッファ13に格納された自端局の入力データを読み込んで、入力データの総数があらかじめ設定しておいた閾値を超えているかを判定する。
【0025】
データ重要度判定部15は、データ量判定部14において自端局入力データの総数が閾値を超えていたと判定された場合に、入力データの中に「データ重要度パラメータ」の設定があるデータが存在するか否かを判定する。そして、「データ重要度パラメータ」の設定がされたデータが存在した場合には、そのデータは「重要データ」として重要データバッファ16に格納される。一方、「データ重要度パラメータ」の設定がされていないデータは、「通常データ」として通常データバッファ17に格納される。
【0026】
「データ重要度パラメータ」とは、そのデータの重要度合いを示すパラメータであり、重要である場合には“1”が、重要ではない(通常である)場合には“0”が設定される。図3に、入力データのデータフォーマットの例を示してある。
【0027】
図3には、入力データが、データID101と、データ102と、データ重要度パラメータ103と、データ連結ID104とよりなることが示されている。データID101とは、入力データを個別に識別可能とするための番号であり、1、2等の自然数が格納される。データ102には、監視制御装置2に送信すべきデータそのものが格納される。データ重要度パラメータ103には、上述したとおり、データ102に格納されたデータが重要である場合には“1”が、重要ではない場合には“0”が格納される。
【0028】
そして、データ重要度パラメータ103が“1”に設定された重要データは、重要データバッファ16に格納され、データ重要度パラメータ103が“0”に設定された重要データは、通常データバッファ17(ともに図2参照)に格納される。
【0029】
データ連結ID104とは、他の入力データとの関連度を示すものであり、データ102に格納されたデータと関連のある他のデータが格納された入力データのデータID101が格納される。関連性のある他のデータが複数存在する場合には、ここには複数のデータIDが格納される。関連する他の入力データが存在しない場合には、ここには何も格納されない。
【0030】
図4は、入力データの構成例を示した図である。図4には、1〜4のデータID101が割り振られた各入力データD1〜入力データD4が示されている。このうち、データIDが“1”に設定された入力データD1とデータIDが“3”に設定された入力データD3においては、データ重要度パラメータ103が“1”が格納されている。すなわち、これらは重要度が高いデータであることを意味する。また、データID101が“1”の入力データD1には、データ連結ID104に“4”が格納されている。つまり、入力データD1と、データID101が“4”である入力データD4との間には関連性があることが示されている。なお、以降の説明において、入力データD1〜入力データD4を個別に区別する必要がない場合には、単に入力データDと称する。
【0031】
再び図2に戻って説明を続けると、データ連結部18は、重要データバッファ16から重要データを読み込み、読み込んだ重要データのデータ連結ID104を参照する。そして、データ連結ID104に格納されたデータ連結IDと一致するデータID101を持つ通常データを通常データバッファ17から読み込み、読み込んだ通常データを、重要データバッファ16から既に読み込み済みの重要データに連結する処理を行う。このとき、連結した各データを、重要度の情報に基づいて並び替える処理も行う。
【0032】
データ連結部18によって連結された重要データ及び通常データと、データ量判定部14によって自端局の入力データDの総数が閾値を超えていないと判定された場合の重要データ及び通常データは、送信データバッファ19に送信され、格納される。データ連結部18による処理の詳細については、図10を参照して後述する。
【0033】
[システムの動作例]
次に、本例の伝送システム5における動作の例について、図5〜図11を参照して説明する。まず、図5のフローチャートを参照して、伝送システム5全体での動作の例について説明する。
【0034】
まず、端局1のデータ入力部12(図2参照)においてデータ入力処理が行われ(ステップS1)、データ量判定部14において入力データDのデータ量判定処理が行われる(ステップS2)。続いて、データ重要度判定部15によるデータ重要度判定処理が行われ(ステップS3)、データ連結部18によるデータ連結処理が行われる(ステップS4)。そして、送信部11によるデータ送信処理が行われる(ステップS5)。
【0035】
次に、図5に示した各定義済みの処理について順番に説明する。図6は、データ入力部12によるデータ入力処理の例を示すフローチャートである。データ入力部12では、端局1aに入力された入力データDがスキャンされ、スキャンして得たデータがデータ入力バッファ13に格納される(ステップS11)。次に、データの入力周期が終了したか否かが判断され(ステップS12)、データ入力周期が終了していない間はステップS11の処理が続けられる。データ入力周期が終了したと判断された場合には、データ量判定部14に処理が移行される(ステップS13)。
【0036】
図7は、データ量判定部14でのデータ量判定処理の例を示すフローチャートである。データ量判定部14では、受信部10での自端局へのポーリング信号受信が監視され(ステップS21)、ポーリング信号を受信していない場合は、ポーリング信号受信待ち状態へ移行してステップS21の判断が繰り返される。ポーリング信号の受信が検出された場は、データ入力バッファ13から入力データDが読み込まれ(ステップS22)、入力データDの総数が閾値を越えているか否かが判定される(ステップS23)。
【0037】
入力データ総数が閾値を超えていなかった場合は、読み込んだ入力データDが送信データバッファ19に格納される(ステップS24)。一方、入力データ総数が閾値を超えていた場合は、データ重要度判定部15に処理が移行される(ステップS25)。
【0038】
図8、データ重要度判定部15によるデータ重要度判定処理の例を示すフローチャートである。データ重要度判定部15では、読み込んだ各入力データDにデータ重要度パラメータ103が設定されているか否かが判定され(ステップS31)、データ重要度パラメータ103が“1”に設定されているデータは、重要データとして重要データバッファ16に格納される(ステップS32)。データ重要度パラメータ103が設定されていない(“0”が設定されている)データは、通常データとして通常データバッファ17に格納される(ステップS33)。
【0039】
重要データバッファ16あるいは通常データバッファ17にデータを格納後には、格納されたデータの次の入力データDが参照され(ステップS34)、次の入力データDが存在するか否かが判断される(ステップS35)。次の入力データDが存在する場合には、ステップS31に戻って処理が続けられる。次の入力データDが存在しない場合、すなわちすべての入力データDの参照が終了した場合には、データ連結部18に処理が以降される(ステップS36)。
【0040】
図9は、データ連結部18によるデータ連結処理の例を示すフローチャートである。データ連結部18では、重要データバッファ16に格納されている重要データにデータ連結ID104が設定されているか否かが判定され(ステップS41)、設定されていない場合には、データ連結処理はここで終了となり次のデータ送信処理に処理が移行される。データ連結ID104が設定されていた場合は、データ連結ID104と一致したデータID101を持つ通常データの検索が、通常データバッファ17を対象として行われる(ステップS42)。
【0041】
続いて、データ連結ID104と一致したデータID101を持つ通常データが見つかったか否かが判断され(ステップS43)、見つからなかった場合には、重要データが送信データバッファ19に格納される(ステップS44)。例えば、系統故障ではなく機器単独での故障が発生した場合等には、関連する通常データは付随しないため、ステップS44によって、重要データのみがバッファ19に格納されるようになる。データ連結ID104と一致したデータID101をもつ通常データが見つかった場合は、この通常データを、通常データのアドレスと一致したデータ連結ID104をもつ重要データに連結する処理が行われ(ステップS45)、重要データに連結された通常データが送信データバッファ19に格納される(ステップS46)。
【0042】
次に、上述した処理が行われた重要データに、他のデータ連結ID104が設定されているか否かが判定され(ステップS47)、他のデータ連結ID104が設定されていた場合には、ステップS41に戻って処理が続けられる。他のデータ連結ID104が設定されていない場合には、重要データバッファ16に格納された次の重要データが参照され(ステップS48)、次の重要データが存在するか否かが判断される(ステップS49)。
【0043】
次の重要データが存在する場合、すなわち、重要データバッファ16に格納されている全ての重要データの参照が終了していない場合は、ステップS41に戻って処理が続けられる。次の重要データが存在しない場合、つまり、重要データバッファ16に格納されている全ての重要データの処理が終了した場合には、通常データバッファ17に格納されている全ての通常データが送信データバッファ19に格納される(ステップS50)
【0044】
図10は、データ連結部18によるデータ連結処理が行われたデータの構成例を示す図である。データIDが“1”に設定されたデータD1と、データIDが“3”に設定されたデータD3には、データ重要度パラメータ103が設定されている(“1”に設定されている)ため、これらのデータは重要データ(図中では「優先伝送データ」と表記)として、データ重要度パラメータ103が設定されていないデータD2よりも、順番的に前となる位置に配置される。
【0045】
この重要データの中でも、データD1のデータ連結ID104には“4”が設定されているため、データIDが“4”に設定されているデータD4が、データD1に関連するデータとして通常データバッファ17から抽出され、重要データであるデータD1に連結される。そして、重要データであるデータD1と通常データであるデータD4とが連結されてなるデータは、「付帯情報付き優先伝送データ」として、データD3より順番的に前となる位置に配置される。「付帯情報付き優先伝送データ」に含まれるデータIDは“1”であり、データD3のデータID“3”よりも番号が若いためである。
【0046】
図11は、送信部11(図2参照)による送信処理の例を示すフローチャートである。送信部11では、送信データバッファ19に格納されたデータが、送信データバッファ19に蓄積された順に読み込まれ(ステップS51)、監視制御装置2に向けて送信される(ステップS52)。すなわち、重要データ及びそのデータに関連した通常データ(図10における「優先伝送データ」)から優先的に、監視制御装置2に向けて送信されるようになる。
【0047】
[本実施の形態による効果]
上述した実施の形態によれば、入力データDに予め設定されていたデータ重要度パラメータ103の情報だけでなく、データ連結ID104に設定された値も参照されて監視制御装置2への送信の順序が決定される。すなわち、重要度が高いと判断された重要データだけでなく、そのデータのデータ連結ID104に設定されたIDと同一のデータIDを有する他の通常データも、重要データと一緒に送信されるようになる。
【0048】
例えば、プラントでの系統故障等が発生した際には、プラント主機の故障等の重要データに加えて、この重要データにあらかじめ設定されていたデータ連結ID104と一致するIDをもつ軽微な補機故障等の通常データが、重要データの付帯情報として優先的に監視制御装置2に送信されることになる。
【0049】
これにより、監視制御装置2において、隣接する別の端局1への制御指令を行う際の成立条件として、重要度の高い故障に関する情報とそれに関連する付帯情報の双方を受信することが設定されている場合にも、次回送信予定のポーリング信号に対する応答(通常データの受信)を待つ必要がなくなる。すなわち、速やかに制御指令を行うことを可能となる。これにより、伝送システム5全体のスループットを高めることができる。
【0050】
2.変形例
なお、上述した実施の形態では、通常データが格納されるバッファとして、通常データバッファ17を個別に設けた構成を例に挙げたが、データ入力バッファ13を通常データバッファ17としても用いるように構成してもよい。この場合の端局1′の内部構成例を、図12に示してある。図12において図2と対応する箇所には同一の符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
【0051】
図12に示した端局1′では、データ重要度判定部15による判定の結果、重要であると判定された重要データのみが重要データバッファ16に送信され、重要でないと判定された通常データは、そのままデータ入力バッファ13′に格納されたままとなる。よってデータ連結部18では、重要データと関連する通常データを、データ入力バッファ13から読み込むようにすればよい。
【0052】
また、図12に示したように、データ入力バッファ13′を通常データバッファ17としても使用する場合で、データ量判定部14によって入力データDの総数が閾値を超えていないと判定された場合には、送信部11がデータ入力バッファ13′内の通常データを読み込んで直接他の端局1へ送信するようにしてもよい。
【0053】
また、上述した実施の形態では、各端局1における送信待ちデータの総数の閾値が、各端局1によって予め設定されている場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、監視制御装置2が各端局1に対して個別に設定を行うようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施の形態では、データ重要度パラメータ103やデータ連結ID104等のパラメータが、入力データDに予め設定済みである場合を例に挙げたが、これらのパラメータをデータ入力部12で自動的に割り付ける構成に適用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,1a,1b,1n,1′…端局、2…監視制御装置、3,3a,3b,3c,3n…伝送路、5…伝送システム、10…受信部、11…送信部、12…データ入力部、13,13′…データ入力バッファ、14…データ量判定部、15…データ重要度判定部、16…重要データバッファ、17…通常データバッファ、18…データ連結部、19…送信データバッファ、101…データID、102…データ、103…データ重要度パラメータ、104…データ連結ID

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重要度の情報及び他のデータとの関連情報を含んだ時系列で入力される複数の入力データを蓄積するデータ蓄積部と、
通信回線を通して接続された制御装置から送信された問い合わせ信号を受信する受信部と、
前記受信部で前記問い合わせ信号を受信した場合に、前記データ蓄積部に蓄積されている蓄積データの量が予め設定された所定の閾値を超えているか否かを判定するデータ量判定部と、
前記データ量判定部で前記蓄積データの量が前記閾値を超えていると判定された場合に、前記蓄積データに含まれる他のデータとの関連情報に基づいて前記蓄積データ同士の連結処理を行い、前記連結処理が行われたデータを前記重要度の情報に基づいて並び替えるデータ連結部と、
前記データ連結部で前記蓄積データの結合処理が行われたデータ又は前記連結処理が行われていないデータを、送信データとして蓄積する送信データ蓄積部と、
前記送信データ蓄積部に蓄積された各送信データを、蓄積された順番に読み出して出力する送信部とを備えた
端末装置。
【請求項2】
前記通信回線は一本である
請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記データ蓄積部に蓄積される各データには個々に識別子を割り振ってあり、
前記他のデータとの関連情報としては、前記識別子が記述され、
前記データ連結部は、連結処理の対象として抽出した第1のデータに含まれる前記識別子を有する他の蓄積データが、前記データ蓄積部に蓄積されているか否かを判断し、前記識別子を有する他の蓄積データである第2のデータが存在した場合には、前記第1のデータと前記第2のデータとを連結する
請求項2記載の端末装置。
【請求項4】
前記他のデータとの関連情報としては、1つ又は複数の前記識別子が記述される
請求項3記載の端末装置。
【請求項5】
時系列で入力される、重要度の情報及び他のデータとの関連情報を含んだ複数の入力データを蓄積するステップと、
通信回線を通して接続された制御装置から送信された問い合わせ信号を受信するステップと、
前記問い合わせ信号を受信した場合に、前記蓄積されている蓄積データの量が予め設定された所定の閾値を超えているか否かを判定するステップと、
前記蓄積データの量が前記閾値を超えていると判定された場合に、前記蓄積データに含まれる他のデータとの関連情報に基づいて前記蓄積データ同士の連結処理を行い、前記連結処理が行われたデータを前記重要度の情報に基づいて並び替えるステップと、
前記蓄積データの結合処理が行われたデータ又は前記連結処理が行われていないデータを、送信データとして蓄積するステップと、
前記各送信データを、蓄積された順番に読み出して出力するステップとを含む
伝送方法。
【請求項6】
通信回線により接続された端末装置に問い合わせ信号を送信する送信部と、
前記端末装置から送信されたデータを受信する受信部とを有する制御装置と、
重要度の情報及び他のデータとの関連情報を含んだ時系列で入力される複数の入力データを蓄積するデータ蓄積部と、
制御装置から送信された問い合わせ信号を受信する受信部と、
前記受信部で前記問い合わせ信号を受信した場合に、前記データ蓄積部に蓄積されている蓄積データの量が予め設定された所定の閾値を超えているか否かを判定するデータ量判定部と、
前記データ量判定部で前記蓄積データの量が前記閾値を超えていると判定された場合に、前記蓄積データに含まれる他のデータとの関連情報に基づいて前記蓄積データ同士の連結処理を行い、前記連結処理が行われたデータを前記重要度の情報に基づいて並び替えるデータ連結部と、
前記データ連結部で前記蓄積データの結合処理が行われたデータ又は前記連結処理が行われていないデータを、送信データとして蓄積する送信データ蓄積部と、
前記送信データ蓄積部に蓄積された各送信データを、蓄積された順番に読み出して出力する送信部とを有する端末装置とを備えた
伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−283467(P2010−283467A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133385(P2009−133385)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】