説明

端末装置及びプログラム

【課題】過去に利用した情報が利用履歴として記憶されている状態でその利用履歴の情報を呼び出して利用可能な履歴機能を有効に使用しながらその情報セキュリティをより確実に維持できるようにする。
【解決手段】制御部1は、利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作(指紋認識部8を構成する指紋センサ8aへの接触操作)が所定の操作である場合に、その操作と該情報とを対応付けて記憶しておき、利用履歴の情報の呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該情報に対応付けられている操作であれば、該情報を呼び出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過去に利用した情報が利用履歴として記憶されている状態でその利用履歴の情報を呼び出して利用可能な履歴機能を備える端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機などの携帯端末装置には、文字入力時の支援機能として、例えば、少ないキー操作回数で所望する文字列を入力可能とする予測変換機能が搭載されている。このような文章作成時の予測変換機能は、入力文字を変換した変換結果を変換履歴として記憶しておくほか、その変換結果を変換候補として呼び出して一覧表示させることにより、入力支援機能として便利な機能ではあるが、一度、変換結果を変換履歴として記憶してしまうと、次回、同様の文字が入力されたときには、この入力文字に対応する変換候補として変換履歴の情報が他の候補と共に表示されるため、秘匿性の高い特定の個人名や行き付けの店名などが第三者に知られたり、どのような文字列を作成したかが推測されたりするなど、情報のセキュリティという面で問題があった。
【0003】
そこで、従来では、入力される語句を予測して次語句候補として表示する次語句予測機能(予測変換機能)を備えた文字入力装置において、入力語句を予測して次語句候補として表示した際に、この次語句候補が利用(確定候補として利用)されたか否かを利用履歴として蓄積しておき、語句の入力受け付け時に、この利用履歴に応じて次語句候補の表示を抑止するのか表示するのかを決定するようにした技術が開発されている(特許文献1参照)。この場合、次語句候補の利用回数と非利用回数とを比較した結果、非利用回数が利用回数よりも多ければ、次語句候補の表示を抑止するようにしているが、その場合でも所定のキー操作でその次語句候補を表示させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−293403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した先行技術にあっては、次語句候補の利用回数と非利用回数との比較結果に基づいて次語句候補の表示を抑止したり表示させたりするものであり、利用回数と非利用回数との比較結果によっては次語句候補が表示され、また、次語句候補の表示が抑止されても所定のキー操作で次語句候補が表示されてしまうため、情報のセキュリティという点では十分なものとは言えなかった。
このことは、文章作成時の次語句予測機能(予測変換機能)に限らず、着信履歴機能、発信履歴機能などのその他の履歴機機能であっても同様であった。
【0006】
本発明の課題は、過去に利用した情報が利用履歴として記憶されている状態でその利用履歴の情報を呼び出して利用可能な履歴機能を有効に使用しながらその情報のセキュリティをより確実に維持できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、過去に利用した情報が利用履歴として記憶されている状態でその利用履歴の情報を呼び出して利用可能な履歴機能を備える端末装置であって、前記利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作か否かを判別する判別手段と、この判別手段により情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作であると判別された場合に、その操作と該情報とを対応付けて記憶する利用履歴記憶手段と、この利用履歴記憶手段に記憶されている情報の呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該情報に対応付けられている操作であれば、該情報を呼び出す制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記履歴機能は、入力文字を変換した変換結果の情報を変換履歴として記憶したり、その変換履歴として記憶されている情報を変換候補として呼び出して利用可能としたりする予測変換機能であり、前記利用履歴記憶手段は、前記利用履歴として前記変換結果の情報を記憶する際に行われた操作と該変換結果の情報とを対応付けて記憶し、前記制御手段は、前記利用履歴記憶手段に記憶されている変換結果の情報に対してその呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該変換結果の情報に対応付けられている操作であれば、該変換結果の情報を予測変換候補として呼び出す、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1に従属する発明として、前記履歴機能は、通信毎にその通信に関する情報を通信履歴として記憶したり、その通信履歴の情報を呼び出して利用可能としたりする通信履歴機能であり、前記利用履歴記憶手段は、前記利用履歴として前記通信に関する情報を記憶する際に行われた操作と当該通信に関する情報とを対応付けて記憶し、前記制御手段は、前記利用履歴記憶手段に記憶されている通信に関する情報に対してその呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該通信に関する情報に対応付けられている操作であれば、該通信に関する情報を呼び出す、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1に従属する発明として、指紋を読み取ると共に、読み取った指紋データと予め登録されている指紋データとを照合することによって指紋を認識する指紋認識手段を更に備え、前記判別手段は、前記利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が前記指紋認識手段により所定の指紋を読み取らせるための指紋読み取り操作であるか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1に従属する発明として、操作子が操作されている操作時間を計測する操作時間計測手段を更に備え、前記判別手段は、前記利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作時間を計測した前記操作時間計測手段による計測時間が所定の時間であるか否かに基づいて所定の操作であるか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、前記制御手段は、前記利用履歴記憶手段に記憶されている情報の呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該情報に対応付けられている操作でなければ、該情報の呼び出しを抑制する、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0013】
また、上述した課題を解決するために請求項7記載の発明は、コンピュータに対して、利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作か否かを判別する機能と、前記情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作であると判別された場合に、その操作と該情報とを対応付けて記憶する機能と、前記記憶されている情報の呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該情報に対応付けられている操作であれば、該情報を呼び出す機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、過去に利用した情報が利用履歴として記憶されている状態でその利用履歴の情報を呼び出して利用可能な履歴機能を有効に使用しながらその情報のセキュリティをより確実に維持することができ、信頼性に富んだものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】端末装置として適用した携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】指紋登録テーブルM1を説明するための図。
【図3】判別テーブルM2を説明するための図。
【図4】(1)は、着信履歴テーブルM3、(2)は、発信履歴テーブルM4を説明するための図。
【図5】予測変換辞書M5を説明するための図。
【図6】電源オン操作に応じて実行開始される携帯電話機の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図7】図6に続く動作を示したフローチャート。
【図8】図7に続く動作を示したフローチャート。
【図9】実施形態の変形例における判別テーブルM2を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1〜図8を参照して本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は、端末装置として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
携帯電話機は、例えば、2つの筐体(操作部筐体、表示部筐体)を折り畳み自在に取り付けた折り畳みタイプの携帯電話機で、音声通話機能(発信機能、着信機能)、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)などのほか、文章作成機能、履歴機能を備えている。この文章作成機能は、日本語文章を作成するもので、平仮名入力された入力文字列を仮名漢字混じり文などに変換することにより、例えば、メール文を作成したり、メモを作成したりする機能である。履歴機能は、過去に利用した情報が利用履歴として記憶されている状態でその利用履歴の情報を呼び出して利用可能な機能(予測変換機能、通信履歴機能)である。
【0017】
この履歴機能としての予測変換機能は、文字入力時の支援機能であり、入力文字(未変換文字)を変換した変換結果(確定文字)を変換履歴として記憶したり、その変換履歴として記憶されている過去の変換結果(確定文字)を今回の文字入力時の予測変換候補として呼び出して一覧表示させて利用可能としたりする機能である。また、履歴機能としての通信履歴機能は、通信毎にその通信に関する情報を通信履歴として記憶したり、その通信履歴として記憶されている過去の通信に関する情報を必要に応じて呼び出して利用可能としたりする通信履歴機能で、この通信履歴機能には、着信に関する着信履歴機能と発信に関する発信履歴機能を有している。
【0018】
そして、この実施形態における履歴機能は、利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作である場合に、つまり、どの手のどの指による操作であるかを指紋認識した結果、それが所定の操作(所定の手・指による操作)である場合に、その操作とその情報とを対応付けて記憶しておき、利用履歴として記憶されている情報の呼び出し操作が行われた場合に、この呼び出し操作が該情報に対応付けられている操作であれば、この利用履歴の情報を呼び出すようにしている。
【0019】
制御部1は、二次電池を備えた電源部2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機の全体動作を制御するもので、この制御部1にはCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部3は、ROM、RAMなどの内部メモリで、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図6〜図8に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納されている。また、記憶部3のデータ領域には、フラグ情報、タイマ情報(通話時間タイマなど)、画面情報、この携帯電話機の動作に必要な各種の情報が一時記憶されているほか、後述する指紋登録テーブルM1、判別テーブルM2、着信履歴テーブルM3、発信履歴テーブルM4、予測変換辞書M5などが記憶されている。なお、記憶部3は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しない所定の外部サーバ上にあってもよい。
【0020】
操作部4は、図示しないが、押しボタン型の十字キー(決定キーやカーソルキー)、数値キー/文字キー、メニューキーなど、各種のキーを備え、ダイヤル入力、テキスト入力、コマンド入力などを行うもので、制御部1は、この操作部4からのキー操作信号に応じた処理として、例えば、発信処理、文章作成処理、通信履歴呼び出し処理などを行う。なお、この実施形態においては、操作部4の各キーを押しボタン型のキー(ハードキー)としたが、勿論、タッチスクリーン上のタッチキー(ソフトキー)で構成したものであってもよい。表示部5は、例えば、高精細液晶や有機EL(Electro Luminescence)などを使用したもので、例えば、待受画像、アイコン、日時情報のほか、テキストデータ、メール、Webページなどを表示する。なお、表示部5は携帯電話機に備えられている表示部としたが、外部モニタなど、任意の外部表示装置であってもよい。
【0021】
無線通信部6は、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調して制御部1に対して出力すると、制御部1は、電話部7を介して通話用スピーカSPから音声出力させる。また、通話用マイクMCからの入力音声データが電話部7から制御部1を介して供給されると、無線通信部6は、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナATから送信させる。
【0022】
指紋認識部8は、例えば、半導体方式によって指紋を読み取って、指紋の凹凸に応じた電荷量を電圧値に変換したのち、この電圧値をデジタル画像(指紋パターン)に変換する指紋センサ8aを有し、このデジタル画像を解析して指紋特徴データ(指紋中心点、分岐点、端点、三角州など)を得るもので、制御部1は、指紋認識部8によって得られた指紋特徴データと、後述する指紋登録テーブルM1内に登録されている各指紋特徴データとを照合することによって、どの手のどの指の指紋であるかを認識するようにしている。指紋登録テーブルM1は、図2に示すように、各指に対応してその指紋特徴データを記憶する構成で、その内容は、予めユーザが任意に登録したもので、図示の例では、“右手の中指”、“右手の薬指”、“右手の子指”に対応してその指紋特徴データ(指紋中心点、分岐点、端点、三角州など)を登録した場合を示している。
【0023】
なお、指紋特徴データの比較に基づいて指紋を認識する場合に限らず、デジタル画像(指紋パターン)の比較に基づいて指紋を認識するようにしてもよい。また、この実施形態においては、所定のキー操作時に指紋認識部8は、その操作者の指紋を採取して認識するようにしている。すなわち、利用履歴として情報を記憶する際に、どの手のどの指による操作であるかを認識したり、利用履歴として記憶されている情報の呼び出し操作が行われた際に、どの手のどの指による操作であるかを認識したりするようにしている。
【0024】
ここで、指紋認識を行うのは、次の場合である。(1)電話着信に応じて電話回線を接続させるオフフック操作時、(2)電話発信に応じて電話回線を接続させるオフフック操作時、(3)着信履歴の呼び出しを指示する着信履歴呼び出し操作時、(4)発信履歴の呼び出しを指示する発信履歴呼び出し操作時、(5)入力文字列を仮名漢字混じり文などに変換すべきことを指示する変換操作時、(6)変換候補の確定を指示する確定操作時である。ここで、この実施形態では、上述した(1)〜(6)の各操作時に、決定キーを操作するようにしているが、この決定キーのキートップ上に、指紋認識部8を構成する指紋センサ8aを取り付けることによって、決定キーの押下操作と指紋センサ8aへの接触操作とが同時に行われるようにしている。
【0025】
図3は、判別テーブルM2を説明するための図である。
判別テーブルM2は、操作の種類を判別したり、操作の種類に応じて処理の種類を判別したりするテーブルである。すなわち、判別テーブルM2は、履歴機能(予測変換機能、通信履歴機能)の利用時において、利用履歴として情報を記憶するか否かを判別したり、記憶する場合にはどの分類の情報として記憶するのかを判別したり、利用履歴として記憶されている情報を呼び出して利用する場合に、どの分類の情報を呼び出すのか全ての分類の情報を呼び出すのかを判別したりするためのテーブルで、「操作」、「記憶時の処理」、「呼び出し時の処理」の項目を有する構成となっている。「操作」は、操作の種類を示し、図示の例では、“右手の中指による操作”、“右手の薬指による操作”、“右手の子指による操作”の3種類を記憶した場合を示している。
【0026】
「記憶時の処理」は、利用履歴として情報を記憶するか否かを示したり、記憶する場合にはどの分類の情報として記憶するのかを示したりするもので、図示の例では、「操作」の“右手の中指による操作”に対応して利用履歴を“分類(1)として記憶する”ことを示している。また、“右手の薬指による操作”に対応して利用履歴を“分類(2)として記憶する”ことを示し、“右手の子指による操作”に対応して利用履歴を“分類せずに記憶する”ことを示している。なお、「記憶時の処理」が“分類せずに記憶する”の場合には、今回記憶させた利用履歴と基本的に同一の情報が既に記憶されていて、その既存の情報に分類(1)又は分類(2)が有れば、その分類を削除することによって既存の情報を分類無しの情報に書き替えるようにしている。このように「操作」の種類に応じて「記憶時の処理」の内容が異なるが、「操作」及び「記憶時の処理」の内容をユーザ操作によって任意に設定可能とするようにしてもよい。
【0027】
「呼び出し時の処理」は、利用履歴として記憶されている情報を呼び出して利用する場合に、どの分類の情報を呼び出すのか全ての分類を呼び出すのかを示すもので、図示の例では、「操作」の“右手の中指による操作”に対応して“分類(1)の情報のみ呼び出す”ことを示している。また、“右手の薬指による操作”に対応して“分類(2)の情報のみ呼び出す”ことを示し、“右手の子指による操作”に対応して“通常のように情報を呼び出す”ことを示している。おな、“通常のように情報を呼び出す”とは、分類(1)、分類(2)に分類されていない情報を呼び出すことを示している。このように「操作」の種類に応じて「呼び出し時の処理」の内容が異なるが、「操作」及び「呼び出し時の処理」の内容をユーザ操作によって任意に設定可能としてもよい。なお、分類(1)、分類(2)は、例えば、ビジネス関係、プライベート関係、又は、他人に特に知られたくない情報(特に秘密性が高い情報)、あまり知られたくない情報(秘密性のある情報)などであるが、何を分類(1)とし、何を分類(2)とするかは任意である。
【0028】
図4は、着信履歴テーブルM3、発信履歴テーブルM4を説明するための図である。
着信履歴テーブルM3は、通信履歴機能(着信履歴機能)の構成要素であり、着信履歴を記憶するもので、図4(1)に示すように、「発信元」、「着信日時」、「通話時間」、「分類」の各項目を有している。「発信元」は、電話着信の信号から取得した発信元(通話相手)の電話番号を示しているが、この電話番号に基づいてアドレス帳(図示省略)から取得した通話相手の名前などの相手識別情報であってもよい。「着信日時」は、着信時の年月日情報、「通話時間」は、電話回線が接続されてから遮断されるまでの通話時間を示す分秒情報である。
【0029】
「分類」は、着信時にどの手のどの指を使って回線接続させるための着信操作が行われたかの操作の種類を示すもので、指紋認識結果に基づいて判別テーブルM2を参照することによって決定された分類である。なお、図示の例では、「発信元」の“BBB”に対応して“分類(2)”、また、“CCC”に対応して“分類(1)”を記憶させた場合である。ここで、図示の例では、「発信元」の“CCC”は、複数記憶されていて、それらの「分類」を同一の分類とした場合を例示したが、異なる分類としてもよい。
【0030】
また、発信履歴テーブルM4は、通信履歴機能(発信履歴機能)の構成要素であり、発信履歴を記憶するもので、基本的には着信履歴テーブルM3と同様の構成となっている。すなわち、発信履歴テーブルM4は、図4(2)に示すように、「発信先」、「発信日時」、「通話時間」、「分類」の各項目を有している。「発信先」は、ダイヤルキーを操作することによって任意に入力された発信先(相手)の電話番号やアドレス帳から任意に選択した相手の電話番号である。「分類」は、発信時にどの手のどの指を使って回線接続させるための発信操作が行われたかの操作の種類を示すもので、指紋認識結果に基づいて判別テーブルM2を参照することによって決定された分類である。なお、図示の例では、「発信先」の“BBB”に対応して“分類(2)”、また、“CCC”に対応して“分類(1)”を記憶させた場合である。ここで、図示の例では、「発信先」の“BBB”は、複数記憶されていて、それらの「分類」を同一の分類とした場合を例示したが、異なる分類としてもよい。
【0031】
図5は、予測変換辞書M5を説明するための図である。
予測変換辞書M5は、予測変換機能の構成要素であり、入力文字列を変換する際の予測変換候補を記憶するもので、「読み」、「予測変換候補」、「分類」の各項目を有している。「読み」は、日本語入力においては、例えば、平仮名入力の文字列(未変換文字)を1桁単位で分解した構成で、先頭桁(1桁目)、2桁目、3桁目、4桁目、…を有している。「予測変換候補」は、「読み」の各桁に対応して、その予測変換候補を複数記憶可能な構成となっている。
【0032】
「分類」は、変換時にどの手のどの指を使って変換操作が行われたかの操作の種類を示すもので、「予測変換候補」の個々に対応して記憶されている。ここで、図示の例では、「読み」の先頭桁の“あ”に対応する複数の「予測変換候補」のうち、その3番目の候補に対応して“分類(2)”が記憶され、また、2桁目の“い”に対応する複数の「予測変換候補」のうち、その1番目の候補に対応して“分類(1)”が記憶され、また、2桁目の“ま”に対応する複数の「予測変換候補」のうち、その2番目の候補に対応して“分類(1)”が記憶されている場合を示している。
【0033】
次に、この実施形態における携帯電話機の動作概念を図6〜図8に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0034】
図6〜図8は、電源オン操作に応じて実行開始される携帯電話機の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、制御部1は、電源オンに伴ってメモリ内容などを初期化した後(ステップS1)、待ち受け画面を表示したり、着信待ちの状態としたりする待ち受け状態となる(ステップS2)。いま、電話着信の有りを検出したときには(ステップS3でYES)、この電話着信に対する応答操作(オフフック操作)が行われたかを調べる(ステップS4)。ここで、決定キー押下によるオフフック操作が行われると(ステップS4でYES)、そのキートップに配設されている接触センサ8aに指が接触することになり、この接触センサ8aへの接触操作に応答して、オフフック操作時の指紋認識処理の実行に移る(ステップS5)。
【0035】
この指紋認識処理は、指紋認識部8によって得られた指紋特徴データと指紋登録テーブルM1内に登録されている各指紋特徴データとを照合することによって、どの手のどの指で操作されたかを認識する処理で、その認識結果に基づいて判別テーブルM2を参照する(ステップS6)。その結果、判別テーブルM2に登録されている「操作」のいずれに該当しているかを調べる(ステップS7)。ここで、オフフックキーが操作された指が“右手の中指”、“右手の薬指”、“右手の子指”のいずれかでなければ、判別テーブルM2に登録されている「操作」のいずれにも該当していない場合であるから(ステップS7でNO)、今回の電話着信の信号から取得した相手(発信元)の電話番号に、現在日時(着信日時)を付加した分類無しの着信履歴を生成して着信履歴テーブルM3に追加記憶させる(ステップS8)。この場合の着信履歴は、上述した分類(1)、分類(2)のいずれも付加されていない分類無しの着信履歴が記憶されることになる。
【0036】
また、判別テーブルM2を参照した結果、オフフック操作された指が“右手の中指”、“右手の薬指”、“右手の子指”のいずれかに該当している場合に(ステップS7でYES)、それが“右手の子指”、つまり、その操作対応の「記憶時の処理」が“分類せずに記憶する”であれば(ステップS9でYES)、上述のステップS8に移り、分類無しの着信履歴を生成して着信履歴テーブルM3に追加記憶させるが、その際、今回の発信元に基づいて着信履歴テーブルM3を検索することによって、発信元が同一の着信履歴が既に記憶されているかを調べ、発信元が同一の既存の着信履歴が記憶されている場合に、その「分類」が分類(1)、(2)のいずれかであれば、その分類を削除することによって既存の情報を分類無しの情報に書き替えるようにしている。
【0037】
また、“右手の中指”又は“右手の薬指”、つまり、その操作対応の「記憶時の処理」が“分類せずに記憶する”ではない場合には(ステップS9でNO)、その操作指に該当する「記憶時の処理」に従った処理に移る(ステップS10)。すなわち、“右手の中指”で操作された場合には、その「記憶時の処理」は、“分類(1)として記憶する”であるから、相手(発信元)の電話番号に現在日時(着信日時)、分類(1)を付加して成る着信履歴を生成して着信履歴テーブルM3に追加記憶させる。また、“右手の薬指”で操作された場合には、その「記憶時の処理」は、“分類(2)として記憶する”であるから、相手(発信元)の電話番号に現在日時(着信日時)、分類(2)を付加して成る着信履歴を生成して着信履歴テーブルM3に追加記憶させる。
【0038】
そして、上述のオフフック操作に応答して、通話可能状態とする通話処理を開始させるが、その際、通話時間を計測するタイマの計測動作を開始するようにしている(ステップS11)。その後、オンフック操作が行われたときには(ステップS12でYES)、回線接続を遮断して通話を終了する終話処理を実行した後(ステップS13)、上述のステップS3に戻る。なお、この終話処理においては、通話時間を計測するタイマの計測動作を停止させると共に、電話回線が接続されてから遮断されるまでのタイマ計測時間を「通話時間」として取得して、着信履歴テーブルM3に今回新たに記憶させた着信履歴内に「通話時間」を付加する処理も併せて行うようにしている。
【0039】
一方、電話発信を可能とする発信操作を行われたときには(ステップS14でYES)、その発信先(電話番号)の受け付けが可能状態となり、発信先(電話番号)がダイヤルキーの操作により直接入力されたり、アドレス帳(図示省略)内から選択指定されたりすると(ステップS15)、次のステップS16に移り、決定キー押下によるオフフック操作が行われたかを調べる。ここで、オフフック操作が行われなければ(ステップS16でNO)、上述のステップS3に戻るが、決定キー押下によるオフフック操作が行われときには(ステップS16でYES)、この決定キーのキートップに配設されている接触センサ8aに指が接触することになり、この接触センサ8aへの接触操作に応答して、オフフック操作時の指紋認識処理の実行に移る(ステップS17)。
【0040】
ここで、指紋認識部8によって得られた指紋特徴データと指紋登録テーブルM1内に登録されている各指紋特徴データとを照合することによって、どの手のどの指で操作されたかを認識し、その認識結果に基づいて判別テーブルM2を参照する(ステップS18)。その結果、判別テーブルM2に登録されている「操作」でなければ(ステップS19でNO)、今回の電話相手(発信先)の電話番号に、現在日時(発信日時)を付加した分類無しの発信履歴を生成して発信履歴テーブルM4に追加記憶させる(ステップS20)。この場合の発信履歴は、上述した分類(1)、分類(2)のいずれも付加されていない分類無しの発信履歴が記憶されることになる。
【0041】
また、判別テーブルM2を参照した結果、オフフック操作が行われた指が“右手の中指”、“右手の薬指”、“右手の子指”のいずれかに該当している場合に(ステップS19でYES)、それが“右手の子指”、つまり、その操作対応の「記憶時の処理」が“分類せずに記憶する”であれば(ステップS21でYES)、上述のステップS20に移り、分類無しの発信履歴を生成して発信履歴テーブルM4に追加記憶させる。その際、今回の発信先に基づいて発信履歴テーブルM4を検索することによって、発信先が同一の発信履歴が既に記憶されているかを調べ、発信先が同一の既存の発信履歴が記憶されている場合に、その「分類」が分類(1)、(2)のいずれかであれば、その分類を削除することによって既存の情報を分類無しの情報に書き替えるようにしている。
【0042】
また、“右手の中指”又は“右手の薬指”で操作された場合、つまり、その操作対応の「記憶時の処理」が“分類せずに記憶する”ではない場合には(ステップS21でNO)、その操作指に該当する「記憶時の処理」に従った処理に移り(ステップS22)、“右手の中指”での操作であれば、その「記憶時の処理」は、“分類(1)として記憶する”であるから、相手(発信先)の電話番号に現在日時(発信日時)、分類(1)を付加して成る発信履歴を生成して発信履歴テーブルM4に追加記憶させる。また、“右手の薬指”での操作であれば、その「記憶時の処理」は、“分類(2)として記憶する”であるから、相手(発信先)の電話番号に現在日時(発信日時)、分類(2)を付加して成る発信履歴を生成して発信履歴テーブルM4に追加記憶させる。
【0043】
そして、上述のステップS11に移り、通話可能状態とする通話処理を開始させると共に、通話時間を計測するタイマの計測動作を開始させた後、オンフック操作が行われたときには(ステップS12でYES)、回線接続を遮断して通話を終了する終話処理を実行するが(ステップS13)、この場合においても、通話時間を計測するタイマの計測動作を停止させると共に、電話回線が接続されてから遮断されるまでのタイマ計測時間を「通話時間」として取得して、発信履歴テーブルM4に今回新たに記憶させた発信履歴内に「通話時間」を付加するようにしている。その後、上述のステップS3に戻る。
【0044】
また、発信履歴の呼び出しを指定する発信履歴呼び出し操作が行われた場合には、つまり、メニューキー操作によってメニュー画面を表示させた状態において「発信履歴」の項目が選択されて決定キーが操作された場合、或いはショートカットキーとして待ち受け画面から十字キーの右矢印キーが操作されたような場合には(図7のステップS23でYES)、決定キー操作(接触センサ8aへの接触操作)に応答して、呼び出し操作時の指紋認識処理の実行に移る(ステップS24)。この場合においても、指紋認識部8によって得られた指紋特徴データと指紋登録テーブルM1内に登録されている各指紋特徴データとを照合することによって、どの手のどの指で操作されたかを認識し、その認識結果に基づいて判別テーブルM2を参照する(ステップS25)。その結果、判別テーブルM2に登録されている「操作」でなければ(ステップS26でNO)、分類無しの発信履歴のみを発信履歴テーブルM4から呼び出して一覧表示させる(ステップS27)。この場合、上述した分類(1)、分類(2)のいずれも付加されていない分類無しの発信履歴が一覧表示されることになる。
【0045】
また、判別テーブルM2を参照した結果、発信履歴呼び出し操作が行われた指が“右手の中指”、“右手の薬指”、“右手の子指”のいずれかに該当している場合に(ステップS26でYES)、それが“右手の子指”、つまり、その操作対応の「呼び出し時の処理」が“通常のように情報を呼び出す”であれば(ステップS28でYES)、上述のステップS27に移り、分類無しの発信履歴のみを呼び出して一覧表示させる。また、“右手の中指”又は“右手の薬指”で操作された場合、つまり、操作対応の「呼び出し時の処理」が“通常のように情報を呼び出す”ではない場合には(ステップS28でNO)、その操作指に該当する「呼び出し時の処理」に従った処理に移る(ステップS29)。
【0046】
すなわち、「呼び出し時の処理」に従った処理において、“右手の中指”で操作された場合には、その「呼び出し時の処理」は、“分類(1)の情報のみ呼び出す”であるから、分類(1)の発信履歴のみを発信履歴テーブルM4から呼び出して一覧表示させる。また、“右手の薬指”で操作された場合には、その「呼び出し時の処理」は、“分類(2)の情報のみ呼び出す”であるから、分類(2)の発信履歴のみを発信履歴テーブルM4から呼び出して一覧表示させる。
【0047】
このようにして発信履歴が一覧表示されている状態において、この一覧画面の中からユーザ操作で任意の発信履歴が選択指定されると(ステップS30)、オフフック操作が行われたか(ステップS31)、履歴呼び出し終了操作が行われたか(ステップS32)、その他の履歴操作が行われたかを判別する(ステップS33)。いま、選択指定した発信履歴の相手と通話するために、決定キー押下によるオフフック操作が行われたときには(ステップS31でYES)、以下、図6のステップS17(オフフック操作時の指紋認識処理)に移る。また、履歴呼び出し終了操作が行われたときには(ステップS32でYES)、図6のステップS3に戻り、その他の履歴操作が行われたときには(ステップS33でYES)、操作に応じた処理として、例えば、選択指定した発信履歴をアドレス帳に登録したり、その発信履歴を発信履歴テーブルM4から削除したりするなどの処理を行った後(ステップS34)、図6のステップS3に戻る。
【0048】
また、着信履歴の呼び出しを指定する着信履歴呼び出し操作が行われた場合には、つまり、メニューキー操作によってメニュー画面を表示させた状態において「着信履歴」の項目が選択されて決定キーが操作された場合、或いはショートカットキーとして待ち受け画面から十字キーの左矢印キーが操作されたような場合には(図7のステップS35でYES)、決定キー操作(接触センサ8aへの接触操作)に応答して、呼び出し操作時の指紋認識処理の実行に移る(ステップS36)。この場合においても、指紋認識部8によって得られた指紋特徴データと指紋登録テーブルM1内に登録されている各指紋特徴データとを照合することによって、どの手のどの指で操作されたかを認識し、その認識結果に基づいて判別テーブルM2を参照する(ステップS37)。その結果、判別テーブルM2に登録されている「操作」でなければ(ステップS38でNO)、分類無しの着信履歴のみを着信履歴テーブルM3から呼び出して一覧表示させる(ステップS39)。この場合、上述した分類(1)、分類(2)のいずれも付加されていない分類無しの着信履歴が一覧表示されることになる。
【0049】
また、判別テーブルM2を参照した結果、着信履歴呼び出し操作が行われた指が“右手の中指”、“右手の薬指”、“右手の子指”のいずれかに該当している場合に(ステップS38でYES)、それが“右手の子指”、つまり、その操作対応の「呼び出し時の処理」が“通常のように情報を呼び出す”であれば(ステップS40でYES)、上述のステップS39に移り、分類無しの着信履歴のみを呼び出して一覧表示させる。また、“右手の中指”又は“右手の薬指”で操作された場合、つまり、操作対応の「呼び出し時の処理」が“通常のように情報を呼び出す”ではない場合には(ステップS40でNO)、その操作指に該当する「呼び出し時の処理」に従った処理に移る(ステップS41)。
【0050】
すなわち、この「呼び出し時の処理」に従った処理において、“右手の中指”で操作された場合には、その「呼び出し時の処理」は、“分類(1)の情報のみ呼び出す”であるから、分類(1)の着信履歴のみを着信履歴テーブルM3から呼び出して一覧表示させる。また、“右手の薬指”で操作された場合には、その「呼び出し時の処理」は、“分類(2)の情報のみ呼び出す”であるから、分類(2)の着信履歴のみを着信履歴テーブルM3から呼び出して一覧表示させる。
【0051】
このようにして着信履歴が一覧表示されている状態において、この一覧画面の中からユーザ操作で任意の着信履歴が選択指定された後(ステップS30)、オフフック操作が行われたときには(ステップS31でYES)、以下、図6のステップS17(オフフック操作時の指紋認識処理)に移る。また、履歴呼び出し終了操作が行われたときには(ステップS32でYES)、図6のステップS3に戻り、その他の操作が行われたときには(ステップS33でYES)、操作に応じた処理として、例えば、選択指定した着信履歴をアドレス帳に登録したり、その着信履歴を着信履歴テーブルM3から削除したりするなどの処理を行った後(ステップS34)、図6のステップS3に戻る。
【0052】
他方、メール文を作成したり、メモを作成したりするなど、文字入力操作が行われたときには、つまり、メニュー画面の中から「新規メールの作成」、「メモ作成」などの画面が選択されている状態において、文字キー操作による文字入力が行われたときには(図8のステップS42でYES)、入力された文字を未変換文字として取り込んで表示させると共に、入力バッファ(図示省略)に格納する文字入力処理を行う(ステップS43)。そして、この入力バッファ内の未変換文字を仮名漢字混じり文などに変換することを指示する変換操作が行われたか(ステップS44)、文字入力の終了を指示する終了操作が行われたかを調べる(ステップS45)。いま、終了操作が行われたときには(ステップS45でYES)、作成文章を保存するなどの文字入力終了処理を実行した後(ステップS46)、図6のステップS3に戻る。
【0053】
また、決定キー押下による変換操作が行われたときには(ステップS44でYES)、決定キー操作(接触センサ8aへの接触操作)に応答して、変換時操作時の指紋認識処理の実行に移る(ステップS47)。この場合においても、指紋認識部8によって得られた指紋特徴データと指紋登録テーブルM1内に登録されている各指紋特徴データとを照合することによって、どの手のどの指で操作されたかを認識し、その認識結果に基づいて判別テーブルM2を参照する(ステップS48)。
【0054】
その結果、判別テーブルM2に登録されている「操作」でなければ(ステップS49でNO)、入力バッファ内の未変換文字に基づいて予測変換辞書M5の「読み」を検索し、この「読み」に対応する「予測変換候補」の中からその「分類」に分類(1)、分類(2)のいずれも付加されていない分類無しの予測変換候補のみを呼び出して一覧表示させる(ステップS50)。
【0055】
また、判別テーブルM2を参照した結果、変換操作が行われた指が“右手の中指”、“右手の薬指”、“右手の子指”のいずれかに該当している場合に(ステップS49でYES)、それが“右手の子指”、つまり、その操作対応の「呼び出し時の処理」が“通常のように情報を呼び出す”であれば(ステップS51でYES)、上述のステップS50に移り、分類無しの予測変換候補のみを呼び出して一覧表示させる。また、“右手の中指”又は“右手の薬指”で操作された場合、つまり、その操作対応の「呼び出し時の処理」が“通常のように情報を呼び出す”ではない場合には(ステップS51でNO)、その操作指に該当する「呼び出し時の処理」に従った処理に移る(ステップS52)。
【0056】
すなわち、この「呼び出し時の処理」に従った処理において、“右手の中指”で操作された場合には、その「呼び出し時の処理」は、“分類(1)の情報のみ呼び出す”であるから、分類(1)の予測変換候補のみを呼び出して一覧表示させる。また、“右手の薬指”で操作された場合には、その「呼び出し時の処理」は、“分類(2)の情報のみ呼び出す”であるから、分類(2)の予測変換候補のみを呼び出して一覧表示させる。そして、予測変換候補の一覧画面の中からユーザ操作によって所望する変換候補が選択されて(ステップS53)、この候補を確定するために決定キー押下による確定操作が行われたときには(ステップS54でYES)、この確定操作(接触センサ8aへの接触操作)に応答して、確定操作時の指紋認識処理の実行に移る(ステップS55)。
【0057】
この場合においても、指紋認識部8によって得られた指紋特徴データと指紋登録テーブルM1内に登録されている各指紋特徴データとを照合することによって、どの手のどの指で操作されたかを認識し、その認識結果に基づいて判別テーブルM2を参照する(ステップS56)。その結果、判別テーブルM2に登録されている「操作」でなければ(ステップS57でNO)、確定文字(確定候補)をその「読み」に対応付けて分類無しで予測変換辞書M5に記憶させる(ステップS58)。この場合、同一の候補が既に記憶されている場合に、その「分類」が分類(1)、(2)のいずれかであれば、その分類を削除することによって既存の候補を分類無しの候補に書き替えるようにしている。また、既存の候補が分類無しであれば、その重複記憶を避けるために今回の確定候補の記憶をスキップするようにしている。
【0058】
また、判別テーブルM2を参照した結果、変換操作が行われた指が“右手の中指”、“右手の薬指”、“右手の子指”のいずれかに該当している場合に(ステップS57でYES)、それが“右手の子指”、つまり、その操作対応の「記憶時の処理」が“分類せずに記憶する”であれば(ステップS59でYES)、上述のステップS58に移り、確定候補をその「読み」に対応付けて分類無しで予測変換辞書M5に記憶させる。また、“右手の中指”又は“右手の薬指”で操作された場合、つまり、その操作対応の「記憶時の処理」が“分類せずに記憶する”ではない場合には(ステップS59でNO)、その操作指に該当する「記憶時の処理」に従った処理に移る(ステップS60)。
【0059】
すなわち、この「記憶時の処理」に従った処理において、“右手の中指”で操作された場合には、その「記憶時の処理」は、“分類(1)として記憶する”であるから、確定候補に分類(1)を付加して予測変換辞書M5に記憶させる。また、“右手の薬指”で操作された場合には、その「記憶時の処理」は、“分類(2)として記憶する”であるから、確定候補に分類(2)を付加して予測変換辞書M5に記憶させる。
【0060】
その後、上述のステップS42に戻り、以下、文字入力操作が行われる毎に、上述の動作が繰り返される。ここで、その他の操作が行われたときには(ステップS61でYES)、操作に応じた処理を行う(ステップS62)。例えば、上述のようにして作成したメール文やメモなどの文章データの保存を指示する文章保存操作が行われたときには、その文章データを保存登録する処理を行う。
【0061】
以上のように、この実施形態においては、利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作である場合に、その操作と該情報とを対応付けて記憶しておき、利用履歴の情報の呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該情報に対応付けられている操作であれば、該情報を呼び出すようにしたので、情報の記憶時にその情報を秘匿するか否かを操作の種類を変えるだけで選択することができ、他人に勝手に操作されたとしても秘匿した情報が不用意に呼び出される心配もなく、履歴機能を有効に使用しながらその情報のセキュリティをより確実に維持することができ、信頼性に富んだものとなる。
【0062】
履歴機能として予測変換機能に適用するようにしたので、例えば、予測変換候補の一覧時に秘匿性の高い特定の個人名や行き付けの店名が第三者に知られたり、過去にどのような文字列を作成したのかなどが推測されたりすることを防ぐことができる。
【0063】
履歴機能として通信履歴機能に適用するようにしたので、着信履歴や発信履歴の呼び出し時に、秘匿性の高い通信相手が第三者に知られることを防ぐことができる。
【0064】
利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作であるか否かの判別は、指紋認識によりどの指による操作であるかを判別するようにしたので、操作する指を変えるだけで、情報の秘匿を容易に実現することができる。
【0065】
利用履歴の情報の呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該情報に対応付けられている操作でなければ、該情報の呼び出しを抑制するようにしたので、秘匿性の高い情報が第三者に知られることを防ぐことができる。
【0066】
なお、上述した実施形態においては、オフフック操作時、通信履歴の呼び出し操作時、変換操作時、確定操作時に、それぞれ決定キーを操作するようにしているため、この決定キーのキートップに指紋センサ8aを取り付けることによって決定キーの操作と指紋センサ8aへの接触操作との同時に行うようにしたが、オフフック操作時、通信履歴の呼び出し操作時、変換操作時、確定操作時に専用のキーを操作する場合には、各キーのキートップに指紋センサ8aをそれぞれ取り付けるようにしてもよい。また、指紋センサ8aを各キーから切り離して別個に設けるようにしてよい。この場合、指紋センサ8aへの接触操作の直後にキー操作を行うようにしてもよいが、逆に、キー操作の直後に指紋センサ8aへの接触操作を行うようにしてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態においては、利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作であるか否かを判別する場合に、どの手のどの指による操作であるかを指紋認識によって判別するようにしたが、所定キーの操作時間を計測し、この操作時間に応じて所定の操作であるか否かを判別するようにしてもよい。すなわち、キー操作時間に応じて操作の種類を判別するようにしてもよい。
【0068】
図9は、この実施形態の変形例における判別テーブルM2を説明するための図である。
判別テーブルM2は、所定キーの操作時間に応じて操作の種類及び処理の種類を判別するもので、上述した実施形態と同様に、「操作」、「記憶時の処理」、「呼び出し時の処理」の項目を有している。「操作」は、操作の種類を示し、図示の例では、“1〜2秒の長押操作”、“2〜3秒の長押操作”、“3秒以上の長押操作”の3種類を記憶した場合を示している。「記憶時の処理」は、上述した実施形態と同様に、利用履歴として情報を記憶するか否かを示したり、記憶する場合にはどの分類の情報として記憶するのかを示したりするもので、図示の例では、「操作」の“1〜2秒の長押操作”に対応して利用履歴を“分類(1)として記憶する”ことを示している。また、“2〜3秒の長押操作”に対応して利用履歴を“分類(2)として記憶する”ことを示し、“3秒以上の長押操作”に対応して利用履歴を“分類せずに記憶する”ことを示している。
【0069】
「呼び出し時の処理」は、上述した実施形態と同様に、利用履歴として記憶されている情報を呼び出して利用する場合に、どの分類の情報を呼び出すのか、全ての分類を呼び出すのかを示すもので、図示の例では、「操作」の“1〜2秒の長押操作”に対応して“分類(1)の情報のみ呼び出す”ことを示し、また、“2〜3秒の長押操作”に対応して“分類(2)の情報のみ呼び出す”ことを示し、また、“3秒以上の長押操作”に対応して“通常のように情報を呼び出す”ことを示している。
【0070】
ここで、利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作であるか否かを判別する場合に、上述のように、キー操作時間に応じて操作の種類を判別するようにしてもよいが、この場合の動作においても、基本的には図6〜図8のフローチャートと同様である。すなわち、図6のステップS5及びS17の「オフフック操作時の指紋認識処理」、図7のステップS24及びS36の「呼び出し操作時の指紋認識処理」、図8のステップS47の「変換操作時の指紋認識処理」、図8のステップS55の「確定操作時の指紋認識処理」に代わって、「キー操作時間を測定する測定処理」を実行すれば、そのほかは、図6〜図8のフローチャートと同様である。
【0071】
このように利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作であるか否かを判別する場合に、キー操作時間に応じて操作の種類を判別するようにすれば、キーを操作する時間を変えるだけで、情報の秘匿を容易に実現することができ、他人に勝手に操作されたとしても秘匿した情報が不用意に呼び出される心配もなく、履歴機能を有効に使用しながらその情報のセキュリティをより確実に維持することができる。
【0072】
また、利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作であるか否かを判別する場合に、どの手のどの指による操作であるかを指紋認識によって判別したり、キー操作時間に応じて判別したりする場合に限らず、例えば、指紋以外に、虹彩、声紋などの生体認識技術を使用したり、一連のキーの操作手順を変えたり、異なる数値を入力したりするようにしてよい。
【0073】
また、上述した実施形態においては、操作の種類に応じて分類(1)、分類(2)を記憶したり、記憶しないようにしたりするようにしたが、その分類数は、3分類以上であってもよく、また、分類無しの場合には、分類無しであることを示す情報を記憶するようにしてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態においては、履歴機能として、予測変換機能、通信履歴機能(着信履歴機能、発信履歴機能)を示したが、これに限らず、例えば、インターネット接続時に任意のWebページをアクセスした際に、そのアクセス先を示す情報をアクセス履歴として記憶するアクセス履歴機能に適用するようにすれば、アクセス履歴を全て消去する操作を行わなくても、所望するアクセス先のみを第三者に知られることを効果的に防ぐことができる。
【0075】
上述した実施形態においては、折り畳みタイプの携帯電話機に適用したが、ストレートタイプ、スライドタイプ、スピントップタイプなど任意の筐体構造であってもよい。また、上述した実施形態においては、端末装置として携帯電話機を例示したが、これに限らず、例えば、パーソナルコンピュータ、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、それらの複合機など、任意の端末装置であってもよい。
【0076】
なお、上述した実施形態において示した“装置”や“機”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 制御部
3 記憶部
4 操作部
5 表示部
6 無線通信部
7 電話部
8 指紋認識部
8a 指紋センサ
M1 指紋登録テーブル
M2 判別テーブル
M3 着信履歴テーブル
M4 発信履歴テーブル
M5 予測変換辞書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に利用した情報が利用履歴として記憶されている状態でその利用履歴の情報を呼び出して利用可能な履歴機能を備える端末装置であって、
前記利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作か否かを判別する判別手段と、
この判別手段により情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作であると判別された場合に、その操作と該情報とを対応付けて記憶する利用履歴記憶手段と、
この利用履歴記憶手段に記憶されている情報の呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該情報に対応付けられている操作であれば、該情報を呼び出す制御手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記履歴機能は、入力文字を変換した変換結果の情報を変換履歴として記憶したり、その変換履歴として記憶されている情報を変換候補として呼び出して利用可能としたりする予測変換機能であり、
前記利用履歴記憶手段は、前記利用履歴として前記変換結果の情報を記憶する際に行われた操作と該変換結果の情報とを対応付けて記憶し、
前記制御手段は、前記利用履歴記憶手段に記憶されている変換結果の情報に対してその呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該変換結果の情報に対応付けられている操作であれば、該変換結果の情報を予測変換候補として呼び出す、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記履歴機能は、通信毎にその通信に関する情報を通信履歴として記憶したり、その通信履歴の情報を呼び出して利用可能としたりする通信履歴機能であり、
前記利用履歴記憶手段は、前記利用履歴として前記通信に関する情報を記憶する際に行われた操作と当該通信に関する情報とを対応付けて記憶し、
前記制御手段は、前記利用履歴記憶手段に記憶されている通信に関する情報に対してその呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該通信に関する情報に対応付けられている操作であれば、該通信に関する情報を呼び出す、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項4】
指紋を読み取ると共に、読み取った指紋データと予め登録されている指紋データとを照合することによって指紋を認識する指紋認識手段を更に備え、
前記判別手段は、前記利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が前記指紋認識手段により所定の指紋を読み取らせるための指紋読み取り操作であるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項5】
操作子が操作されている操作時間を計測する操作時間計測手段を更に備え、
前記判別手段は、前記利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作時間を計測した前記操作時間計測手段による計測時間が所定の時間であるか否かに基づいて所定の操作であるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記利用履歴記憶手段に記憶されている情報の呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該情報に対応付けられている操作でなければ、該情報の呼び出しを抑制する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項7】
コンピュータに対して、
利用履歴として情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作か否かを判別する機能と、
前記情報を記憶する際に行われた操作が所定の操作であると判別された場合に、その操作と該情報とを対応付けて記憶する機能と、
前記記憶されている情報の呼び出し操作が行われた場合に、その呼び出し操作が該情報に対応付けられている操作であれば、該情報を呼び出す機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−109199(P2011−109199A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259499(P2009−259499)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】