説明

端末装置

【課題】複数のコンテンツを順番に再生する際に、切れ目なくコンテンツが再生されるようにする。
【解決手段】端末装置は、1曲目のコンテンツデータをサーバ装置へ要求してからストリーミング形式の最初のコンテンツデータをデコードするまでの処理時間t1を測定する。端末装置は、再生中のコンテンツの再生終了時刻T13を算出する。端末装置は、処理時間t1+αの分だけ再生終了時刻T13より前の時刻を、2曲目のコンテンツデータを要求する要求時刻T1とし、1曲目の再生中に要求時刻T1となると、2曲目のコンテンツデータをサーバ装置へ要求する。端末装置は、再生終了時刻T13になる前にコンテンツデータを受信する。受信したコンテンツデータは、再生終了時刻T13になる前にデコードされる。端末装置は、1曲目のコンテンツデータの再生が終了すると、直ぐに2曲目のコンテンツデータを再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線を介してコンテンツを取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
音声及び映像を含むコンテンツをサーバ装置からクライアントへネットワークを介して送信するシステムとして、特許文献1に開示されたコンテンツ配信システムがある。このシステムにおいては、複数のコンテンツの配信要求がクライアントからサーバへ送信される。サーバは、配信要求を受け取ると、コンテンツをストリーミング形式で送信する。クライアントは、送信されたコンテンツをバッファに蓄積し、蓄積順に再生する。なお、クライアントは、バッファの残量を監視し、この残量を定期的にサーバへ通知する。サーバは、クライアントから通知される残量に基づいてコンテンツの送信速度を制御する。サーバは、最初のコンテンツを送信し終えると次のコンテンツの送信を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−31394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のシステムにおいては、コンテンツの送信開始のタイミングをサーバが主体で管理し、決定している。このシステムにおいてクライアントが複数あり、複数のクライアントから異なるグループの配信要求を受ける場合、サーバは、クライアント毎にコンテンツの送信タイミングを監視することになり、サーバに負荷が掛かることとなる。サーバに掛かる負荷を減らす方法としては、クライアントからの要求があってからコンテンツの送信を開始する方法がある。この方法によれば、サーバは要求があってからコンテンツを送信すればよいので、クライアント毎にコンテンツの送信タイミングを監視する必要がなく、負荷が減ることとなる。しかしながら、コンテンツを連続して再生する場合、再生中のコンテンツの再生が終了してから次のコンテンツを要求すると、コンテンツがクライアントに届くまでに時間がかかるため、再生中のコンテンツの再生が終了してから次のコンテンツの再生が開始されるまでに無音期間が生じることとなる。例えば、コンテンツがライブ演奏のアルバムやクラシック音楽のアルバムの曲であり、これらのアルバムの曲を連続して再生しようとする場合、これらのアルバムでは曲と曲との合間でも音が発生しているため、このように無音期間が発生すると不自然さを感じてしまうこととなる。
【0005】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、複数のコンテンツを順番に再生する際に、切れ目なくコンテンツが再生されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題と解決するため、本発明は、コンテンツを識別する識別子を含み当該コンテンツを要求する要求メッセージをサーバ装置へ送信する送信手段と、前記要求メッセージに応じて前記サーバ装置からストリーミング形式で順次送信されるエンコードされた複数ブロックのコンテンツデータを受信する受信手段と、前記受信手段で受信されたコンテンツデータをデコードして前記コンテンツを再生する再生手段と、前記要求メッセージを送信した時点から当該要求メッセージに応じて送信されるコンテンツデータの受信が開始され、所定期間のコンテンツデータのデコードが終了した時点までの処理時間を測定する測定手段と、前記要求メッセージで要求したコンテンツの再生終了時刻から少なくとも前記処理時間分より前の時刻において、前記再生手段で再生中のコンテンツの次に再生するコンテンツを要求する要求メッセージを前記送信手段から前記サーバ装置へ送信させる制御手段とを有する端末装置を提供する。
【0007】
本発明においては、前記制御手段は、前記再生終了時刻から少なくとも前記処理時間分より前の時刻であり、且つ前記コンテンツデータのデコードがすべて完了した時刻より後の時刻において、前記要求メッセージを前記送信手段から前記サーバ装置へ送信させる構成であってもよい。
また、本発明においては、前記制御手段は、前記再生手段で再生中のコンテンツの要求メッセージを送信した時点から、当該要求メッセージに応じて送信されたコンテンツデータの受信が開始され、所定期間のコンテンツデータのデコードが終了した時点までの第2処理時間が、前記再生手段で再生中のコンテンツの一つ前に再生したコンテンツの要求メッセージを送信した時点から、当該要求メッセージに応じて送信されたコンテンツデータの受信が開始され、所定期間のコンテンツデータのデコードが終了した時点までの第1処理時間以上である場合、前記第2処理時間を前記処理時間とする構成であってもよい。
【0008】
また、本発明においては、前記制御手段は、前記再生手段で再生中のコンテンツの要求メッセージを送信した時点から、当該要求メッセージに応じて送信されたコンテンツデータの受信が開始され、所定期間のコンテンツデータのデコードが終了した時点までの第2処理時間が、前記再生手段で再生中のコンテンツの一つ前に再生したコンテンツの要求メッセージを送信した時点から、当該要求メッセージに応じて送信されたコンテンツデータの受信が開始され、所定期間のコンテンツデータのデコードが終了した時点までの第1処理時間より短い場合、前記第2処理時間と前記第1処理時間の平均時間を前記処理時間とする構成であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のコンテンツを順番に再生する際に、切れ目なくコンテンツが再生される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステムの全体構成を示した図。
【図2】サーバ装置20のハードウェア構成を示したブロック図。
【図3】サーバ装置20が記憶するリストLの内容を示した図。
【図4】端末装置10のハードウェア構成を示したブロック図。
【図5】実施形態の動作を説明するためのシーケンス図。
【図6】端末装置10が生成する再生リストの内容を示した図。
【図7】コンテンツデータの取得開始のタイミングを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係るシステムの全体構成を示した図である。図1に示したように、本システムにおいては、通信回線30に端末装置10とサーバ装置20が接続される。なお、本実施形態においては、通信回線30は有線LAN(Local Area Network)となっているが、通信回線30を無線LANとし、無線通信により端末装置10とサーバ装置20が通信を行う構成であってもよい。
サーバ装置20は、クライアントサーバシステムにおけるサーバとして機能する装置である。サーバ装置20は、楽曲を表すコンテンツデータを記憶している。サーバ装置20は、コンテンツデータをストリーミング形式で端末装置10へ送信する。なお、本実施形態においては、コンテンツデータのフォーマットは、MP3(MPEG Audio Layer-3)となっている。
端末装置10は、サーバ装置20からコンテンツデータを取得し、取得したコンテンツデータを再生する装置である。例えば、サーバ装置20を宅内のリビングルームに配置し、端末装置10を宅内の各部屋に配置すれば、各部屋でコンテンツデータを再生して楽曲を聞くことができる。なお、本システムにおいては、サーバ装置20は、複数の端末装置10と通信を行うことが可能であるが、図面が繁雑になるのを防ぐため図面においては一つの端末装置10を図示している。
【0012】
(サーバ装置20の構成)
図2は、サーバ装置20のハードウェア構成を示したブロック図である。図2に示したように、サーバ装置20の各部はバス201に接続されており、バス201を介して各部間でデータのやり取りを行う。
【0013】
通信部208は、通信回線30を介して通信を行う通信インターフェースとして機能し、他の装置とデータ通信を行う。表示部207は、液晶ディスプレイを備えており、サーバ装置20を操作するための各種メニュー画面などを表示する。操作部206は、複数のボタンを備えている。サーバ装置20の操作者によりボタンが操作されると、操作されたボタン応じてCPU(Central Processing Unit)202が各種処理を行う。
【0014】
記憶部205は、ハードディスク装置を備えており、クライアントサーバシステムにおけるサーバの機能を実現するサーバプログラムを記憶している。また、記憶部205は、複数のコンテンツデータを記憶している。また、記憶部205は、コンテンツデータのリストLを記憶している。図3は、コンテンツデータのリストLの一例を示した図である。このリストLの「ファイル名」の列においては、記憶部205に記憶されているコンテンツデータのファイル名が記述されている。また、リストLの「曲名」の列においては、同じ行にあるファイル名のコンテンツデータが表す楽曲の曲名が記述されている。また、「演奏者名・歌手名」の列においては、同じ行にあるファイル名で特定されるコンテンツデータが表す楽曲の演奏者名または歌手名が記述されている。また、「データサイズ」の列には、同じ行にあるファイル名で特定されるコンテンツデータのサイズが記述されている。
【0015】
ROM(Read Only Memory)203は、初期制御プログラムを記憶している。サーバ装置20の電源が入れられると、CPU202はROM203から初期制御プログラムを読み出して起動する。CPU202により初期制御プログラムが起動されると、記憶部205に記憶されているサーバプログラムがRAM(Random Access Memory)204を利用して実行され、記憶部205を制御する機能や通信回線30を介した通信を行う通信機能、コンテンツデータを端末装置10へ送信する機能等、コンピュータ装置の機能及びクライアントサーバシステムにおけるサーバの機能が実現する。
【0016】
(端末装置10の構成)
図4は、端末装置10のハードウェア構成を示したブロック図である。通信部108は、通信回線30を介して通信を行う通信インターフェースとして機能し、他の装置とデータ通信を行う。操作部106は、端末装置10を操作するための複数のボタンを備えている。端末装置10の操作者によりボタンが操作されると、操作されたボタンに応じてCPU102が各種処理を行う。表示部107は、液晶ディスプレイを備えており、端末装置10を操作するための各種メニュー画面や各種メッセージなどを表示する。再生部105は、スピーカ(図示略)を有している。再生部105は、コンテンツデータをエンコードすることによって得られたデータを受け取り、受け取ったデータから楽曲のアナログ信号を生成し、生成したアナログ信号をスピーカへ出力する。
【0017】
ROM103は、制御プログラムを記憶している。端末装置10の電源が入れられると、CPU102はROM103から制御プログラムを読み出して実行する。CPU102により制御プログラムが実行されると、通信回線30を介した通信を行う通信機能、コンテンツデータをサーバ装置20から取得する機能、時刻や時間を計るタイマー機能、取得したコンテンツデータをデコードする機能等、コンピュータ装置の機能及びクライアントサーバシステムにおけるクライアントの機能が実現する。
【0018】
(動作例)
図5は、本実施形態の動作を説明するためのシーケンス図である。本実施形態に係るシステムの動作例について図5を用いて説明する。なお、以下の説明においては、まず端末装置10で再生するコンテンツデータを端末装置10において選択する動作について説明し、次に、端末装置10で選択したコンテンツデータを端末装置10がサーバ装置20から取得して再生する動作について説明する。
【0019】
(コンテンツデータを選択する時の動作)
まず、端末装置10のユーザが、操作部106を操作してサーバ装置20からリストLの取得を指示する操作を行うと、CPU102は、通信部108を制御し、リストLを要求するリスト要求メッセージをサーバ装置20へ送信する(ステップS1)。このリスト要求メッセージは、通信回線30を介してサーバ装置20へ送られ、通信部208で受信される。CPU202は、リスト要求メッセージが通信部208で受信されると、記憶部205に記憶されているリストLを表すデータを、通信部208を制御して端末装置10へ送信する(ステップS2)。
【0020】
このデータは、通信回線30を介して端末装置10へ送られ、通信部108で受信される。CPU102は、リストLを表すデータが通信部108で受信されると、受信したデータに基づいて表示部107を制御し、リストLの曲名と演奏者名・歌手名の内容を表示部107に表示させる(ステップS3)。これにより、端末装置10のユーザは、サーバ装置20に記憶されているコンテンツデータの曲名を知ることができる。
【0021】
次に、表示された曲名の中から再生する曲の曲名を選択する操作が端末装置10において行われると、選択された曲名のリストが生成されてRAM104に記憶される(ステップS4)。例えば、再生する曲として「sample-1」、「sample-2」、「sample-4」が選択された場合、選択された曲名、選択された曲名に係るコンテンツデータのファイル名及び選択された曲に係るコンテンツデータのデータサイズがリストLから抽出され、抽出されたファイル名、曲名及びデータサイズを対応付けた再生リスト(図6参照)がRAM104に記憶される。なお、再生リストにおいては、曲名が1行目から並べられている。曲名は、曲を再生する時の順番で並べられており、曲を再生する際には1行目の曲から順番に再生が行われる。
【0022】
(コンテンツデータを取得して再生する時の動作)
次に、ユーザが選択した曲を再生する時の動作について図7を参照しながら説明する。RAM104に記憶された再生リストの曲名を表示部107に表示させる操作が操作部106において行われると、CPU102は、RAM104に記憶された再生リストにある曲名を表示部107に表示させる(ステップS5)。次に、表示された曲名のコンテンツデータの再生を指示する操作が操作部106において行われると(ステップS6)、CPU102は、再生リストにある曲名のコンテンツデータをサーバ装置20から取得する。
【0023】
例えば、再生リストの内容が図6に示した内容である場合、まずCPU102は、再生リストの1行目のファイル名を抽出する。次にCPU102は、抽出したファイル名を含みコンテンツを要求するコンテンツ要求メッセージを、通信部108を制御してサーバ装置20へ送信する(ステップS7)。なお、ここでCPU102は、コンテンツ要求メッセージを送信した時点(要求時刻T0)からの経過時間の測定を開始する。
【0024】
ファイル名を含むコンテンツ要求メッセージが通信部208で受信されると、CPU202は、受信したファイル名のコンテンツデータを記憶部205から読み出し、読み出したコンテンツデータを複数のブロックに分け、通信部208を制御してストリーミング形式で端末装置10へ送信する(ステップS8)。CPU102は、通信部108においてコンテンツデータの最初のブロックが受信されると、受信したコンテンツデータのデコードを開始する。CPU102は、所定期間のデコードが終了すると、時刻T0からの経過時間の測定を終了し、コンテンツ要求メッセージを送信した要求時刻T0からコンテンツデータの所定期間のデコードを完了した時点までの処理時間t1をRAM104に記憶させる(ステップS9)。なお、ここでの所定期間とは、1ブロック分のコンテンツデータのデコードに要する期間であり、約100ms〜1sほどである。
この後、引き続きサーバ装置20からはコンテンツデータがストリーミング形式で送信され、順次RAM104に記憶されると同時にデコードされる。CPU102は、デコードにより得たデータを順次再生部105へ供給し、再生部105は、供給されたデータから楽曲のアナログ信号を生成し、生成したアナログ信号をスピーカへ出力する(1曲目の再生時刻T11)。なお、再生部105に供給されたデータはRAM104から消去される。
【0025】
CPU102は、サーバ装置20から順次送信されるデータをRAM104に記憶させ、ストリーミング形式で送信されるコンテンツデータの最後のブロックを受信したか否か判断する。なお、コンテンツデータの最後のブロックを受信したか否かは、最初のブロックを受信してからRAM104に記憶させたデータのサイズの合計が、再生リストのデータサイズの欄に記述されているデータサイズに達したか否かで判断することができる。例えば、「sample-1」という曲名のコンテンツデータの場合、CPU102は、最初のブロックを受信してからRAM104に記憶させたデータのサイズの合計が5MByteになると、コンテンツデータの最後のブロックを受信したと判断する。CPU102は、コンテンツデータの最後のブロックを受信したと判断すると、受信した全てのコンテンツデータをデコードしたか否か判断する。CPU102は、全てデコードしたと判断すると、コンテンツデータのデコード処理を終了する。
【0026】
CPU102は、デコードが終了すると、受信した最後のブロックの再生終了時刻T13を算出する(ステップS10)。なお、データを再生し終えるまでに掛かる時間は、RAM104に記憶されているデータ量に比例するため、データの再生終了時刻T13は、RAM104に記憶されているデータ量から算出することができる。例えば、図7に示した1曲目のデコード完了時刻T12から最後のブロックが再生完了するまでにn秒かかる場合、1曲目のデコード完了時刻T12よりn秒後の時刻が1曲目の再生終了時刻T13となる。
【0027】
次に、CPU102は、次に再生するコンテンツデータについて、コンテンツ要求メッセージを送信する要求時刻T1を、RAM104に記憶した処理時間t1を用いて算出する(ステップS11)。具体的には、CPU102は、1曲目の再生終了時刻T13より処理時間t1+αだけ前の時刻を要求時刻T1として算出する。αとは、予め実験的に求められた予備的な時間である。具体的には、1曲目の再生終了時刻T13より処理時間t1だけ前の時刻でコンテンツ要求メッセージを送信した場合、もし2曲目のコンテンツデータに係る処理時間t2(後述)が処理時間t1よりも長くなると、1曲目の再生終了時刻T13と同時に2曲目の再生を開始することが出来ず、1曲目と2曲目の間に無音時間が発生してしまう。αとは、このような不具合を防ぐために要求時刻T1算出の際に付加される時間である。なお、αは、1曲目のデコード完了時刻T12より要求時刻T1が後になるように設定されるのが好ましい。これは、次の曲の要求メッセージを送信してから次の曲が始まるまでの時間が長いと、その間にユーザが違った曲を選択してしまう可能性があり、この場合、要求通りの曲を選択できず、誤作動を起こす可能性があるためである。従ってαはできるだけ短い時間が好ましい。また、要求時刻T1を算出する際、再生終了時刻を算出しなくてもよく、残りの再生時間が(処理時間t1+α)になった時刻を要求時刻T1と設定しても良い。
【0028】
次にCPU102は、計時している時刻を監視し、要求時刻T1になったか否かを判断する。CPU102は、計時している時刻が時刻T1になった場合、再生リストから次に再生する曲名に係るファイル名を再生リストから抽出し、抽出したファイル名を含むコンテンツ要求メッセージを、通信部108を制御してサーバ装置20へ送信する(ステップS12)。それと同時に、CPU102は、再びコンテンツ要求メッセージを送信した時点からの経過時間の測定を開始する。
【0029】
この後、サーバ装置20から2曲目のコンテンツデータの最初のブロックが送信される(ステップS13)。CPU102は、送信されたコンテンツデータの最初のブロックのデコードが完了すると、経過時間の測定を終了し、コンテンツ要求メッセージを送信した時点(要求時刻T1)からコンテンツデータの最初のブロックのデコードが完了した時点までの処理時間t2をRAM104に記憶させる(ステップS14)。
この後、引き続きサーバ装置20から順次送信されるコンテンツデータは、RAM104に記憶される。CPU102は、RAM104に記憶されたデータをデコードし、デコードにより得られたデータをRAM104に記憶させる。なお、前述したように、処理時間t1+α>処理時間t2となるようにαが決められているので、図7に示すように、2曲目のコンテンツデータの1ブロック目のデコードが終了する時刻は、1曲目の再生終了時刻T13より前となる。
【0030】
計時している時刻が1曲目の再生終了時刻T13になると、既に2曲目のコンテンツデータをデコードして得たデータがRAM104に記憶されているため、CPU102は、RAM104に記憶されている2曲目のデータを再生部105へ供給する。再生部105においては、1曲目の再生が終了すると直ぐに2曲目の再生が開始されることとなるため(2曲目の再生開始時刻T21)、先に再生された曲と次に再生される曲との間で無音期間が発生せず、楽曲を続けて再生することとなる。
【0031】
CPU102は、サーバ装置20から順次送信されるデータをRAM104に記憶させ、2曲目についても、コンテンツデータの最後のブロックを受信したか否か判断する。CPU102は、コンテンツデータの最後のブロックを受信したと判断すると、1曲目と同様に2曲目の再生終了時刻T23を算出する(ステップS15)。また、CPU102は、次に再生する3曲目のコンテンツデータについて、コンテンツ要求メッセージを送信する要求時刻T2を算出する(ステップS16)。
【0032】
ここで、CPU102は、再生中のコンテンツデータについて測定した処理時間(ステップS14で記憶した処理時間)が、一つ前に再生したコンテンツデータについて測定した処理時間(ステップS9で記憶した経過時間)以上である場合、即ち、ここでは、2曲目のコンテンツデータについての処理時間t2が、1曲目のコンテンツデータについての処理時間t1以上である場合には、2曲目の再生終了時刻T23より(処理時間t2+α)の分だけ前の時刻を3曲目の要求時刻T2とする。一方、CPU102は、再生中のコンテンツデータについての処理時間t2が、一つ前に再生したコンテンツデータについての処理時間t1より短い場合、(1曲目の処理時間t1+2曲目の処理時間t2)/2の演算結果にαを加算した時間を算出し、2曲目再生終了時刻T23より算出した時間の分だけ前の時刻を3曲目の要求時刻T2とする。
【0033】
この後、2曲目のコンテンツデータを取得した時と同様に、CPU102は、計時している時刻が要求時刻T2になると、再生リストから次に再生する曲名に係るファイル名を抽出し、抽出したファイル名を含むコンテンツ要求メッセージを、通信部108を制御してサーバ装置20へ送信する(ステップS17)。CPU102は、サーバ装置20からコンテンツデータが送信されると(ステップS18)、サーバ装置20から送信されるデータをデコードし、デコードにより得られたデータをRAM104に記憶させる。
【0034】
この後、計時している時刻が2曲目の再生終了時刻T23になると、既に3曲目のコンテンツデータをデコードして得たデータがRAM104に記憶されているため、CPU102は、RAM104に記憶されている3曲目のデータを再生部105へ供給する。ここで、2曲目の再生が終了すると直ぐに3曲目のデータが再生部105に供給される。再生部105においては、2曲目の再生が終了すると直ぐに3曲目の再生が開始されることとなるため、ここでも先に再生された曲と次に再生される曲との間で無音期間が発生せず、楽曲を続けて再生することとなる。このように各曲の取得の際に処理時間を計測することで、ネットワーク環境の変化やサーバ毎の処理速度の違いに対応することができる。
【0035】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0036】
上述した実施形態においては、再生中のコンテンツデータについての処理時間が、一つ前に再生したコンテンツデータについての処理時間より短い場合であっても、再生中のコンテンツデータについての処理時間+αを算出し、再生中の曲の再生終了時刻Tより算出した時間の分だけ前の時刻を次の曲の要求時刻としてもよい。また、上述した実施形態においては、要求メッセージを送信する毎に測定した処理時間を全て記憶する構成としてもよい。また、この記憶した全ての処理時間の平均時間にαを加算して要求時刻を算出する構成としてもよい。また、この平均時間を算出する場合には、順次記憶した処理時間の全ての平均を算出するのではなく、処理時間の長い順に予め定められた個数の処理時間を抽出し、抽出した処理時間の平均を算出するようにしてもよい。測定した順番で最も新しいものからn個(nの値は設計時に設定)までの処理時間を抽出し、抽出した処理時間の平均を算出するようにしてもよい。
【0037】
上述した実施形態においては、リストLにおいてファイル名が記述されているが、コンテンツデータを一意に識別できる情報であれば、ファイル名でなくてもよい。例えば、コンテンツデータを一意に識別する識別子を生成し、生成した識別子をリストLに記述してもよい。この構成の場合、端末装置10がコンテンツ要求メッセージを送信する際には、識別子がサーバ装置20へ送信され、サーバ装置20は、送信された識別子で特定されるコンテンツデータを端末装置10へ送信する。
【0038】
上述した実施形態では、コンテンツデータは楽曲を表すデータとなっていたが、コンテンツデータは、楽曲を表すデータに限定されるものではなく、動画像を表すものや、動画像と楽曲の両方を含むものであってもよい。また、コンテンツデータのフォーマットはMP3に限定されるものではなく、他のフォーマットであってもよい。また、上述した実施形態では、通信回線30は、LANとなっていたが、LANに限定されるものではなくWAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0039】
上述した端末装置10に記憶されている制御プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し、端末装置10にインストールしてもよい。また、通信回線30を介して制御プログラムをダウンロードして端末装置10にインストールしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…端末装置、20…サーバ装置、30…通信回線、101…バス、102…CPU、103…ROM、104…RAM、105…再生部、106…操作部、107…表示部、108…通信部、201…バス、202…CPU、203…ROM、204…RAM、206…操作部、207…表示部、208…通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを識別する識別子を含み当該コンテンツを要求する要求メッセージをサーバ装置へ送信する送信手段と、
前記要求メッセージに応じて前記サーバ装置からストリーミング形式で順次送信されるエンコードされた複数ブロックのコンテンツデータを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信されたコンテンツデータをデコードして前記コンテンツを再生する再生手段と、
前記要求メッセージを送信した時点から当該要求メッセージに応じて送信されるコンテンツデータの受信が開始され、所定期間のコンテンツデータのデコードが終了した時点までの処理時間を測定する測定手段と、
前記要求メッセージで要求したコンテンツの再生終了時刻から少なくとも前記処理時間分より前の時刻において、前記再生手段で再生中のコンテンツの次に再生するコンテンツを要求する要求メッセージを前記送信手段から前記サーバ装置へ送信させる制御手段と
を有する端末装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記再生終了時刻から少なくとも前記処理時間分より前の時刻であり、且つ前記コンテンツデータのデコードがすべて完了した時刻より後の時刻において、前記要求メッセージを前記送信手段から前記サーバ装置へ送信させること
を特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記再生手段で再生中のコンテンツの要求メッセージを送信した時点から、当該要求メッセージに応じて送信されたコンテンツデータの受信が開始され、所定期間のコンテンツデータのデコードが終了した時点までの第2処理時間が、前記再生手段で再生中のコンテンツの一つ前に再生したコンテンツの要求メッセージを送信した時点から、当該要求メッセージに応じて送信されたコンテンツデータの受信が開始され、所定期間のコンテンツデータのデコードが終了した時点までの第1処理時間以上である場合、前記第2処理時間を前記処理時間とすること
を特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記再生手段で再生中のコンテンツの要求メッセージを送信した時点から、当該要求メッセージに応じて送信されたコンテンツデータの受信が開始され、所定期間のコンテンツデータのデコードが終了した時点までの第2処理時間が、前記再生手段で再生中のコンテンツの一つ前に再生したコンテンツの要求メッセージを送信した時点から、当該要求メッセージに応じて送信されたコンテンツデータの受信が開始され、所定期間のコンテンツデータのデコードが終了した時点までの第1処理時間より短い場合、前記第2処理時間と前記第1処理時間の平均時間を前記処理時間とすること
を特徴とする請求項1に記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−54779(P2012−54779A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195987(P2010−195987)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】