説明

端面近接多芯光ファイバーおよびその製造方法

【課題】両端面が束ねられた状態で製造されるため、一方の端面において個々の光ファイバーを1本ずつ独立させて取り扱う。
【解決手段】端面近接多芯光ファイバー200は、シングルモード光ファイバー10の少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバー10の一方および他方の端面では、隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離がシングルモード光ファイバー10のコアの直径の2倍以上接続されるマルチモード光ファイバーのコア直径から前記シングルモード光ファイバーのコア直径を差し引いた値の0.5倍以下になるよう近接させて並列に束ねられて配置され、かつ残りの個々のシングルモード光ファイバー10が1本ずつ独立してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信および光情報伝送分野において、熱レンズ方式光制御式光スイッチなどに用いられる近接多芯光ファイバーに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のシングルモード光ファイバーは屈折率の異なるコアとクラッドからなり、比較的に屈折率の高いコア材からなるコアを、比較的に屈折率の低いクラッド材からなるクラッドで覆った構成である。したがって、コアの断面は円形であり、またクラッドの断面はドーナッツ型である。また、屈折率の異なるコアとクラッドを用いる代わりに、光が進行する実質的コア部分の周辺を「空孔(ホール;屈折率は極めて低い)」で取り囲んだ「ホーリーファイバー」の開発も進められている。このような「コア・クラッド型シングルモード光ファイバー」および「ホーリーファイバー」ともに、光の透過するコア部分の直径約数μmないし10μmに対して、1本の光ファイバー全体としての外径・直径は、通常100μm以上である(非特許文献1)。この直径は、光学的な要請でなく、製造上、断線を避けるための強度を維持するために大きさが定められており、1本の光ファイバーとして、非常に注意深く製造する場合、直径80μm程度までは小さくすることができるとされている。
【0003】
一方、光通信および光情報伝送分野において、通常、「多芯光ファイバー」とは、通常の光ファイバーを、単純に束ねたものをいう。一般にシングルモードあるいはマルチモードにかかわらず、個々のクラッド直径125μmの多芯光ファイバーが広く用いられている。特許文献1には、光ケーブルのコンパクト性を改善することを可能とするとともに通信ケーブル用の多重導波路型光伝導体の製造を容易にする製造方法を提供することを目的として、前記伝導体が、円筒形シリカブロック内に埋設された複数の円筒形基本光ファイバーを有し、各々の円筒形基本ファイバーがコアおよびクラッドにより形成され、前記基本ファイバーの全てのコアが前記円筒形ブロックと同じ軸線を有する円筒体の母線上に規則的に配置される方法において、前記方法が以下の段階:複数の円筒形基本プレフォームと共に円筒形シリカロッドからプレフォ−ムを形成する段階であって、前記円筒形シリカロッドはその外側表面上の母線に沿って走る複数の溝を有し、前記円筒形基本プレフォームの各々がクラディングガラスにより囲まれたコアガラスから形成され、かつ部分的に前記円筒形シリカロッド内に収容されており、前記プレフォームが、形成されるべき基本ファイバーと同数の基本プレフォームを含み、かつ製造されるべき伝導体と同一の形状を有する段階と、この方法で形成された前記プレフォームにプラズマ技術被覆方法を用いてシリカ粒子を加えることにより均一な円筒形外側表面形状を与える段階と、このように得られたアセンブリからファイバー線引作業を行い、前記ファイバー線引作業の後、基本ファイバーが前記シリカブロックに埋設された前記伝導体を得る段階とからなる通信ケーブル用の多重導波路型円筒形光伝導体の製造方法が開示されており、コアおよびクラッドの直径としては、ファイバー線引作業の後、コアが約8μmから10μmの直径を有し、クラッドが25μmから35μmの範囲にある外径を有する基本ファイバ−を得るように基本プレフォームの横断寸法を選択する、と記載されている。この製造方法で作成される多芯光ファイバー(特許文献1においては「多重導波路型円筒形光伝導体」と記載されている)は、その製法から明らかなように両端面が束ねられた状態で製造されるため、一方の端面において個々の光ファイバー(導波路型円筒形光伝導体)を1本ずつ独立させて取り扱うこと、たとえば、1本ずつ別々の単独光ファイバーに接続させることは事実上不可能である。
【0004】
本発明者らは、特願2006−046027号、特願2006−046028号、特願2006−046029号において、一方の端面において複数の隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離を特定の値以下(40μm程度)に接近させて並行に束ねて配置し、一方から制御光を、他方から信号光を出射させることによって、熱レンズ方式光制御式光路偏向光路偏向スイッチを極めて効率的に動作させることができることを開示した。
【0005】
【非特許文献1】末松安晴、伊賀健一、「光ファイバ通信入門(改訂第3版)」、株式会社オーム社(1989)
【特許文献1】特許第2781710号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、少なくとも一方端面が束ねられ、他方端面では個々の光ファイバー(導波路型円筒形光伝導体)を1本ずつ独立させて取り扱うこと、たとえば、1本ずつ別々の単独光ファイバーに接続可能な、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバーの少なくとも一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々の光ファイバーの他方の端面においては、個々の光ファイバーが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバーおよびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の端面近接多芯光ファイバーおよびその製造方法は、以下の特徴を有する。
【0008】
(1)コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々の光ファイバーの他方の端面においては、個々のシングルモード光ファイバーが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバーである。
【0009】
(2)コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々のシングルモード光ファイバーの他方の端面においても、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、かつ残りの個々のシングルモード光ファイバーが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバーである。
【0010】
(3)コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも一方端側の前記コア径をそのままとし前記クラッドの外径を縮小成形する工程と、複数のシングルモード光ファイバーのクラッド径縮小成形端側を束ねてフェルールに挿入し固定する工程と、を含む端面近接多芯光ファイバーの製造方法である。
【0011】
(4)上記(1)または(2)に記載の端面近接多芯光ファイバーにおいて、クラッド径が縮小成形され集束された前記端面近接多芯光ファイバーの少なくとも一方端側とマルチモード光ファイバーとが光学的に接続される場合、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離Lは、
下限において、前記シングルモード光ファイバーのコアの直径の2倍以上であって、
上限においては、前記マルチモード光ファイバーのコアの直径D、前記シングルモード光ファイバーのコアの直径d、および、集束された前記シングルモード光ファイバーの本数n(nは2、3、4、または、7)として、
n=2のとき、L ≦ D−d
n=3のとき、L ≦ √3(D―d)/2
n=4のとき、L ≦ √2(D−d)/2
n=7のとき、L ≦ (D−d)/2
である端面近接多芯光ファイバーである。
【0012】
(5)上記(1)または(2)に記載の端面近接多芯光ファイバーにおいて、前記端面近接多芯光ファイバーの中心に位置する1本のシングルモード光ファイバーに信号光を、前記端面近接多芯光ファイバーの周辺シングルモード光ファイバーのうちの1本に制御光をそれぞれ入射させ信号光の光路切替を行う場合、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離は、前記シングルモード光ファイバーのコアの直径の2倍以上40μm以下である端面近接多芯光ファイバーである。
【0013】
(6)上記(1)または(2)に記載の端面近接多芯光ファイバーにおいて、前記クラッド径縮小成形端側におけるクラッド径が同一であって、かつ、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの本数Mが式〔1〕で表される最密充填構成である端面近接多芯光ファイバーである。
【0014】
【数1】

【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上述の構成にすることにより、一方の端面において個々のシングルモード光ファイバー(導波路型円筒形光伝導体)を1本ずつ独立させて取り扱うこと、たとえば、1本ずつ別々の単独光ファイバーに接続させることが可能となり、さらにたとえば、個々のシングルモード光ファイバーが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバーを用い、1本から制御光を、隣接するもう1本から信号光を出射させることによって、熱レンズ方式光制御式光路偏向光路偏向スイッチを極めて効率的に動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる概略構成例である。端面近接多芯光ファイバー100は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバー10少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバー10の一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々の光ファイバー10の他方の端面においては、個々のシングルモード光ファイバーが1本ずつ独立してなる。
【0017】
さらに、クラッド径が縮小成形され集束された端面近接多芯光ファイバー100の少なくとも一方端側とマルチモード光ファイバーとが光学的に接続される場合、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離は、シングルモード光ファイバー10のコアの直径の2倍以上であって接続されるマルチモード光ファイバーのコア直径からシングルモード光ファイバー10のコア直径を差し引いた値の0.5倍以下である。
【0018】
隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離は、クラッドの直径にほぼ同一であり、その大きさの下限および上限は以下のように規定される。
【0019】
隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離からコア径を引き算し、さらに2分の1にした値は、ほぼ「クラッドの厚さ」ということができる。通常、クラッド径は光学的制約よりも強度上の制約および末端処理に用いる「フェルール」(フェルールの内径はクラッド径よりも僅かに大きい)の規格を統一した方が経済的であるため、シングルモードおよびマルチモード光ファイバーに共通に、125μmが最も一般的に用いられており、これは、シングルモード光ファイバーのコア径(数μmないし十数μm)に比べて非常に大きく、通常、光学的制約は自動的に満足されている。一方、シングルモード光ファイバーのコア径に対するクラッド径の光学的要求に基づく必要最小サイズに関しては、波動光学的な取り扱いにおいて、コア内を進行する光の電界分布は「クラッド部へしみ出している」(非特許文献1の24頁)という現象を満足しなければならないという制約がある。さらに、クラッド径を通常の125μmよりも小さくした場合、強度低下によりファイバー全体が蛇行しやすくなり、伝搬損失が大きくなりやすいという強度上の制約が改めて重要になる。これらの光学的制約および強度的制約を勘案して鋭意検討の結果、隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離、すなわち、概ねクラッド15の直径の最小値は、シングルモード光ファイバーのコア径(数μmないし十数μm)の2倍以上であれば好適であることを見いだした。
【0020】
一方、隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離の上限は、本発明の多芯光ファイバーの用途上の制約によって規定される。すなわち、シングルモード光ファイバー10の中心間距離を、できる限り接近させたいという要求は、以下のような用途において顕在化する。
【0021】
(1)一方の端面において複数の隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離を特定の値「40μm程度」以下に接近させて並行に束ねて配置し、一方から制御光を、他方から信号光を出射させることによって、熱レンズ方式光制御式光路偏向光路偏向スイッチを極めて効率的に動作させることができる(特願2006−046027号、特願2006−046028号、特願2006−046029号)。この場合の隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離の上限は40μmである。
【0022】
(2)一方の端面において複数の隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離を特定の値「60ないし80μm」以下に接近させて並行に束ねて配置し、通常のマルチモード光ファイバー(コア径60ないし80μm前後)の端面に密着させることによって、複数種類のシングルモード光ファイバー透過光をマルチモード光ファイバー内で高効率で合波できる。かかる場合、シングルモード光ファイバー10の中心間距離の上限は、接続されるマルチモード光ファイバーのコア直径からシングルモード光ファイバー10のコア直径を差し引いた値の0.5倍以下が好適である。
【0023】
前述のように、通常の市販シングルモード光ファイバーのコア径は125μmであるため、本発明では、後述の方法によりクラッド径を縮小させて用いている。
【0024】
さらに、具体的に一例を挙げて以下に説明する。図1に示す端面近接多芯光ファイバー100は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバー10少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバー10の一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離が前記コアの直径の2倍以上80μm以下になるよう近接させて並列に束ねられて配置され、個々の光ファイバーの他方の端面においては、個々のシングルモード光ファイバー10が1本ずつ独立してなる。
【0025】
本実施の形態において、コア径は、波長に応じて、2〜十数μmの幅を有する。なお、第1の実施の形態のみならず、以下の第2の実施の形態においても、コア径については上記同様の幅を有する。
【0026】
隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離がコアの直径の2倍未満の場合には、コア内を伝播する光の損失が大きくなるという不都合が生じ、一方、80μmを超えると、既存光ファイバーで実現可能となる。前述のようにクラッド径は、製造工程の機械的強度からの要請により、125μmが一般的であり、本発明では、クラッドを後述する方法により、クラッド径を縮小させて用いている。
【0027】
上記端面近接多芯光ファイバー100は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバー10の少なくとも一方端側のコア直径をそのままとしクラッドの外径がコアの直径の2倍以上80μm以下になるよう成形され、さらに、複数のシングルモード光ファイバー10をそれらのクラッド直径が前記コアの直径の2倍以上80μm以下の一端側を束ねてフェルールに挿入し固定することにより製造することができる。上記製造方法により、上記端面近接多芯光ファイバー100の一方端において、隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離が前記コアの直径の2倍以上80μm以下になる。
【0028】
束ねられるシングルモード光ファイバー10の一方端側のクラッド直径がコアの直径の2倍未満の場合には、コア内を伝播する光の損失が大きくなるという不都合が生じ、一方、80μmを超えると、既存光ファイバーで実現可能となる。
【0029】
より具体的に説明すると、図1に示すように、端面近接多芯光ファイバー100は、シングルモード光ファイバー10の少なくとも2本以上の一方端面が、図1では7本以上の一方端面が、隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離がコアの直径の2倍以上80μm以下になるように、図1では40μmになるように近接されて並列に束ねられて配置され、個々のシングルモード光ファイバー10の他方端面では、個々のシングルモード光ファイバー10が1本ずつ独立してなる。
【0030】
ここで、隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離が80μmを超えると、多芯光ファイバーの外径が大きくなり、場合によっては使用される用途が限られるおそれがある。
【0031】
上記端面近接多芯光ファイバー100は、少なくともシングルモード光ファイバー10の一方端側のクラッド直径がコアの直径の2倍以上80μm以下になるように、図1では40μmになるように成形され、さらに、図8に示すように複数のシングルモード光ファイバー10をそれらのクラッド直径40μmの一方端側で束ねてフェルール40に挿入し、接着用樹脂46で固定することにより製造することができる。接着用樹脂としては、たとえば、通常のエポキシ樹脂系接着剤を好適に用いることができる。
【0032】
なお、上述したように、束ねられるシングルモード光ファイバー10の一方端側のクラッド直径がコア径の2倍未満の場合には、コア内を伝搬する光の損失が大きいという不都合が生じ、一方、80μmを超えると、多芯光ファイバーの外径が大きくなり、場合によっては使用される用途が限られるおそれがある。
【0033】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施形態にかかる概略構成例である。図2に示すように、端面近接多芯光ファイバー200は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバー10の少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバー10の一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、個々のシングルモード光ファイバー10の他方の端面においても、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、かつ残りの個々のシングルモード光ファイバー10が1本ずつ独立してなる。
【0034】
さらに、クラッド径が縮小成形され集束された端面近接多芯光ファイバー200の少なくとも一方端側とマルチモード光ファイバーとが光学的に接続される場合、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離は、シングルモード光ファイバー10のコアの直径の2倍以上であって接続されるマルチモード光ファイバーのコア直径から前記シングルモード光ファイバー10のコア直径を差し引いた値の0.5倍以下である。
【0035】
さらに、具体的に一例を挙げて以下に説明する。図2に示す端面近接多芯光ファイバー200は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバー10の少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバー10の一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径を縮小させ隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離が前記コアの直径の2倍以上80μm以下になるよう近接させて並列に束ねられて配置されている。さらに、個々のシングルモード光ファイバー10の他方の端面においても、一部のシングルモード光ファイバー10の前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され該一部のシングルモード光ファイバー10が隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離が前記コアの直径の2倍以上80μm以下になるよう近接させて並列に束ねられて配置され、かつ残りの個々のシングルモード光ファイバー10が1本ずつ独立してなる。
【0036】
第1の実施の形態と同様に、隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離がコアの直径の2倍未満の場合には、コア内を伝播する光の損失が大きくなるという不都合が生じ、一方、80μmを超えると、多芯光ファイバーの外径が大きくなり、場合によっては使用される用途が限られるおそれがある。
【0037】
上記端面近接多芯光ファイバー200は、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバー10の一方端側の前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が前記コアの直径の2倍以上80μm以下になるように成形し、さらにシングルモード光ファイバー10の少なくとも一部の他方端側の前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が前記コアの直径の2倍以上80μm以下になるように成形し、次いで複数のシングルモード光ファイバー10をそれらのクラッド直径が前記コアの直径の2倍以上80μm以下の一方端側と他方端側の少なくとも一方側を束ねてフェルールに挿入し固定することにより製造することができる。上記製造方法により、上記端面近接多芯光ファイバー200の一方端および/または他方端において、隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離が前記コアの直径の2倍以上80μm以下になる。
【0038】
第1の実施の形態と同様に、束ねられるシングルモード光ファイバー10の一方端側および他方端側のクラッド直径がコアの直径の2倍未満の場合には、コア内を伝播する光の損失が大きくなるという不都合が生じ、一方、80μmを超えると、多芯光ファイバーの外径が大きくなり、場合によっては使用される用途が限られるおそれがある。
【0039】
さらにより具体的に説明すると、図2に示すように、端面近接多芯光ファイバー200は、シングルモード光ファイバー10の少なくとも2本以上の一方端面が、図2では7本以上の一方端面が、隣接するシングルモード光ファイバー10の中心間距離がコアの直径の2倍以上80μm以下になるように、図2では40μmになるように近接されて並列に束ねられて配置され、また、個々のシングルモード光ファイバー10の他方端面においても、少なくとも2本以上(図2では3本)のシングルモード光ファイバー10の中心間距離がコアの直径の2倍以上80μm以下になるように、図2では40μmになるように近接されて並列に束ねられて配置され、かつ残りの1本以上(図2には1本)のシングルモード光ファイバー10がそれぞれ1本ずつ独立してなる。
【0040】
上記端面近接多芯光ファイバー200は、次のように製造される。すなわち、少なくともシングルモード光ファイバー10の一方端側のクラッド直径がコアの直径の2倍以上80μm以下になるように、図2では40μmになるように成形され、さらに、たとえば19本のシングルモード光ファイバー10をクラッド直径がコアの直径の2倍以上80μm以下(図2では40μm)の一方端側で束ねてフェルール40に挿入し固定し、さらに、19本のシングルモード光ファイバー10の他方端側のクラッド直径がコアの直径の2倍以上80μm以下になるように、図2では40μmになるように成形し、他方端側も、7本ずつシングルモード光ファイバー10をクラッド直径がコアの直径の2倍以上80μm以下(図2では40μm)の他方端側で束ねてフェルール40a,40bにそれぞれ挿入し固定して、残り5本をそれぞれ独立にしておくことにより製造することができる。
【0041】
なお、光ファイバーの微小な蛇行さえ防ぐことができれば、縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの本数は2以上の任意の値でも良いが、本数が2,3,4および7のとき安定、5および6のとき不安定である。さらに、前記クラッド径縮小成形端側におけるクラッド径が同一であって、かつ、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの本数Mが式〔1〕で表される最密充填構成である端面近接多芯光ファイバー100または200は、前記フェルールの穴の中で最も接近して安定に並列に束ねられて配置されるため、光ファイバーの微小な蛇行による伝搬損失をほぼ完全に無くすことができる。式〔1〕において、Nが1,2,3のとき、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの本数Mは、各々、7,19,37である。図8には、Mが7の場合の最密充填の様子が示されている。
【数2】

【0042】
第1の実施の形態と同様に、束ねられるシングルモード光ファイバー10の一方端側および他方端側のクラッド直径がコア径の2倍未満の場合には、コア内を伝搬する光の損失が大きいという不都合が生じ、一方、80μmを超えると、多芯光ファイバーの外径が大きくなり、場合によっては使用される用途が限られるおそれがある。
【0043】
上述のように製造された端面近接多芯光ファイバー200のフェルール40a,40bに挿入固定された他方端部は、たとえばLD(レーザーディスク)、PD(相変化ディスク)などにそれぞれ接続されても良い。
【0044】
(第3の実施の形態)
少なくとも2本以上の、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの一方の端面が束ねられて、コア・クラッド型マルチモード光ファイバーのコアに接続され、2本以上のシングルモード光ファイバー各々を伝搬する光がマルチモード光ファイバーに入射される配置に用いられる本発明の多芯光ファイバーとして、波長1310nm近辺の伝搬に最適化されたコア径9.5μmで一定かつ束ねれた一端におけるクラッド径26.5μm、および、独立した一端におけるクラッド径125μmのコア・クラッド型シングルモード光ファイバー7本を、クラッド径27.5μmの部分で束ね、内径約81.5μm(クラッド径26.5μmを7本束ねた場合の最大外径79.5μmに2μmの余裕を持たせた穴径である)に挿入し、接着用樹脂で固定し、束ねたファイバー末端を研磨したものを、前記実施の形態にしたがって製造した。ここで、コア径9.5μm、クラッド径26.5μmのシングルモード光ファイバーは中心間距離26.5μm(マルチモード光ファイバーのコア径62.5μmからシングルモード光ファイバーの直径9.5μmを差し引き、0.5倍した値)である。
【0045】
これを末端が研磨された、波長1310nm近辺の伝搬に最適化された、コア径62.5μmのコア・クラッド型マルチモード光ファイバーのコア部分と、互いの中心が一致するように接触させ、本発明の多芯光ファイバーの独立した末端7箇所から各々、1310nm±10nmの波長のレーザーを入射させたところ、必要最小限の損失で、前記シングルモード光ファイバーから前記マルチモード光ファイバーへの伝送が可能となった。仮に、前記多芯光ファイバーのシングルモード光ファイバー中心間距離がマルチモード光ファイバーのコア径からシングルモード光ファイバーの直径を差し引き、0.5倍した値を超えていると、前記多芯光ファイバーのシングルモード光ファイバーの周辺光ファイバーのコアの一部は、前記マルチモード光ファイバーのコアから「はみだす」形になり、円滑な伝送は実現できない。一方、前記シングルモード光ファイバーのクラッド径をさらに小さくし、前記シングルモード光ファイバーのコア中心間距離をさらに小さくした場合、前記シングルモード光ファイバーのクラッド径が前記シングルモード光ファイバーの2倍以上である限り、必要最小限の損失で、前記シングルモード光ファイバーから前記マルチモード光ファイバーへの伝送が可能となった。前記シングルモード光ファイバーのクラッド径が前記シングルモード光ファイバーの2倍以下になると、コア内を伝播する光の損失が大きくなった。
【0046】
以上のように、コア径およびクラッド径が各々同一の7本の、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの一方の端面が束ねられて、コア・クラッド型マルチモード光ファイバーのコアに接続され、前記7本のシングルモード光ファイバー各々を伝搬する光がマルチモード光ファイバーに入射される配置において、前記7本のシングルモード光ファイバーが、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離が前記シングルモード光ファイバーのコア直径の2倍以上、前記マルチモード光ファイバーのコア直径から前記シングルモード光ファイバーのコア直径を差し引いた値の0.5倍以下になるよう近接させて並列に束ねられて配置され、個々の前記シングルモード光ファイバーの他方の端面においては、個々のシングルモード光ファイバーが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバーを用いることで、必要最小限の損失で、前記シングルモード光ファイバーから前記マルチモード光ファイバーへの伝送が可能となる。同様にして、束ねたとき比較的安定な、2、3、および、4本のコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの一方の端面が束ねられて、コア・クラッド型マルチモード光ファイバーのコアに接続され、各々、2、3、および、4本のシングルモード光ファイバー各々を伝搬する光がマルチモード光ファイバーに入射される配置において、前記2、3、および、4本のシングルモード光ファイバーが、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離が前記シングルモード光ファイバーのコア直径の2倍以上、2本束ねた場合は、前記マルチモード光ファイバーのコア直径から前記シングルモード光ファイバーのコア直径を差し引いた値以下であり、3本束ねた場合は、前記マルチモード光ファイバーのコア直径から前記シングルモード光ファイバーのコア直径を差し引いた値の(√3)/2倍以下、4本束ねた場合は、前記マルチモード光ファイバーのコア直径から前記シングルモード光ファイバーのコア直径を差し引いた値の(√2)/2倍以下、になるよう近接させて並列に束ねられて配置され、個々の前記シングルモード光ファイバーの他方の端面においては、個々のシングルモード光ファイバーが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバーを用いることで、必要最小限の損失で、前記シングルモード光ファイバーから前記マルチモード光ファイバーへの伝送が可能となる。
【0047】
以上まとめると、2、3、4、または7本を束ねた端面近接多芯光ファイバーにおいて、クラッド径が縮小成形され集束された前記端面近接多芯光ファイバーの少なくとも一方端側とマルチモード光ファイバーとが光学的に接続される場合、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離Lは、
下限において、前記シングルモード光ファイバーのコアの直径の2倍以上であって、
上限においては、前記マルチモード光ファイバーのコアの直径D、前記シングルモード光ファイバーのコアの直径d、および、集束された前記シングルモード光ファイバーの本数n(nは2、3、4、または、7)として、
n=2のとき、L ≦ D−d
n=3のとき、L ≦ √3(D―d)/2
n=4のとき、L ≦ √2(D−d)/2
n=7のとき、L ≦ (D−d)/2
であるとき、必要最小限の損失で、前記シングルモード光ファイバーから前記マルチモード光ファイバーへの伝送が可能となる。
【0048】
(応用例)
本発明の多芯光ファイバーとして、波長1550nmおよび980nmのレーザー透過に最適化されたコア径9.5μmで一定かつ束ねた一端におけるクラッド径39.0μm、および、独立した一端におけるクラッド径125μmのコア・クラッド型シングルモード光ファイバー7本を、クラッド径39.0μmの部分で束ね、内径約119μm(クラッド径39.0μmを7本束ねた場合の最大外径117μmに2μmの余裕を持たせた穴径である)に挿入し、接着用樹脂で固定し、束ねたファイバー末端を研磨したものを、前記実施の形態にしたがって製造した。これを用いて、特願2006−046029号に記載の、熱レンズ方式の光路切替装置を構成し、前記多芯光ファイバーの中心ファイバーに信号光を、周辺光ファイバーのどれか1つに制御光を各々入射させ光路切替を行ったところ、35dB以上の高い消光比で、円滑に光路切替を行うことができた。
【0049】
同様にして、コア・クラッド型シングルモード光ファイバーのコア径は9.5μmで一定とし、束ねた一端におけるクラッド径が15.2μm、19.0μm、25μm、35μm、40μm、45μmおよび50μmのシングルモード光ファイバーを各々7本、一端で束ねた多芯光ファイバーを製造し、これらを用いて、特願2006−046029号に記載の、熱レンズ方式の光路切替装置を構成し、前記多芯光ファイバーの中心ファイバーに信号光を、周辺光ファイバーのどれか1つに制御光を各々入射させ光路切替を行ったところ、束ねた一端におけるクラッド径が15.2μm(コア径9.5μmの1.6倍)のものは、コア内を伝播する光の損失が大きくなり、使用困難であった。一方、束ねた一端におけるクラッド径が19.0μm(コア径9.5μmの2.0倍)以上のものは、コア内を伝播する光の損失の点で全く問題なかった。しかるに、束ねた一端におけるクラッド径が45μmのものは、光路切替の消光比が15ないし20dBに悪化し光路切替の用途に不適合となった。さらに、束ねた一端におけるクラッド径が50μmのものを用いても、熱レンズ方式の光路切替を行うことができなかった。これは、隣接する信号光ビームと制御光ビームの垂直方向の距離が離れすぎ、制御光によって形成された熱レンズの影響が信号光ビームへ及ばなくなったためである。
【0050】
以上のように、コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離がコア径の2倍以上40μm以下になるよう近接させて並列に束ねられて配置され、個々の光ファイバーの他方の端面においては、個々のシングルモード光ファイバーが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバーを用いることで、熱レンズ方式の光路切替を高い消光比で実施することが可能となる。
【0051】
次に、本発明の端面近接多芯光ファイバーの製造方法の一例を、図3ないし図8を用いて説明する。
【0052】
図3に示すように、たとえば通常市販されているシングルモード光ファイバー11を用いた場合の製造例について説明する。シングルモード光ファイバー11は、比較的屈折率の高いコアからなり直径10μのコア12と、コア12の外周を覆うようにコア12に比べ屈折率の低く直径125μmのクラッド14と、上記コア12およびクラッド14を収容する直径0.9mmのジャケット18と、上記クラッド14とジャケット18との間に設けられ樹脂等からなり厚み0.4mmの緩衝層16とからなる。
【0053】
端面近接多芯光ファイバーとなる一方端側を形成するために、まず、図4に示す構成のシングルモード光ファイバー10の先端から40mmのところまで、上記ジャケット18と緩衝層16と剥離し、クラッド14を露出させる。
【0054】
次に、図5に示すように、材質がたとえばポリエチレンからなる筒状容器20内に、クラッド14を浸食可能な透明液体22、たとえば46%フッ酸水溶液を入れておき、この浸食可能な透明液体22に、ストリップしたシングルモード光ファイバー11の先端から40mmまでのクラッド14を浸す。一方、実体顕微鏡30を用いて、筒状容器20の外側からクラッド14の浸食による細線化を確認し、クラッド14の直径が39μmになったところでシングルモード光ファイバーを取り出し、図6に示すような、直径39μm(約40μm)の細線化したクラッド15を有するシングルモード光ファイバー10を作製した。
【0055】
次に、細線化したクラッド15を有するシングルモード光ファイバー10を7本作製し、この7本のシングルモード光ファイバー10の細線化したクラッド15の端部を、内径0.119mm、外径1.4mm、長さ3mmのセラミックキャピラリー42にそれぞれ挿入し、さらに、セラミックキャピラリー42、クラッド15およびシングルモード光ファイバー10の外周の一部を、外径6mm、長さ50mmのコネクタ44にて保護する。ここで、セラミックキャピラリー42とコネクタ44により、フェルール40が構成される。
【0056】
さらに、図7のA−A’線に沿った断面を図8に示す。図8に示すように、フェルール40内には、コア12とその外周を覆う細線化したクラッド15とからなるコア・クラッドが、中央に1本、さらにこの1本を囲むように6本の同芯状に挿入し、接着用樹脂46を充填して固定する。その後、端面を鏡面研磨して、端面近接多芯光ファイバーを作製する。
【0057】
以上、端面近接7芯光ファイバーを例に取ったが、これに限るものではなく、偶数芯でも奇数芯の端面近接多芯光ファイバーに、本発明は適当することができる。
【0058】
なお、上述したコア12は、通常、溶融石英で作られたチューブからなる。また、クラッド14(クラッド層)は、コア12上に、たとえば、一般に「スート(soot)」法と称される方法を用いることによって形成される。すなわち、酸素、気体でケイ素を有する化合物、および場合によっては気体でドーパントを有する化合物を含む前駆体の反応物質のガス流をガラス・チューブに通す。火炎のような移動性の熱源がチューブに沿って送られることで移動性の高温ゾーンを作り出し、それがチューブおよび移動性高温ゾーンを通って流れるガス流の部分を加熱する。高温ゾーンを通過する前駆体反応物質は均一な反応を受け、そこでガラスの粒子(本願明細書では「スート」とも称される)が気相中で、すなわち媒介表面を伴なわずに形成される。ガス流がガラス粒子を移動させ、それらが形成される場所から下流のチューブ上で堆積させられる。チューブに付着するスートはその後、チューブ上でガラスの層を形成するために焼結処理される。クラッド層の1つまたは複数の部分層は、たとえばSiClとOの前駆体混合物から形成されることが可能である。場合によっては、クラッド層(またはその部分層のうちのいずれか)は次の種、すなわち(POCl前駆体による)リン、(GeCl前駆体による)ゲルマニウム、(C、SF、またはSiF前駆体による)フッ素、(BCl前駆体による)ホウ素、および(AlCl前駆体による)アルミニウムのうちの1つまたは複数でドープされることが可能である。加熱は、酸素/水素トーチを含めたいずれかの知られている可動性熱源であって、チューブの長さを縦走してチューブの壁を約1700℃から約2350℃の範囲の温度に加熱する熱源を使用して遂行されることが可能である。
【0059】
上述のように、ドーパントを有するクラッド14は、上記46%フッ酸水溶液により浸食して容易に細線化することができるが、これに限るものではなく、ホウフッ化水素酸水溶液、ヘキサフルオロリン酸水溶液などを用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の端面近接多芯光ファイバーおよびその製造方法は、光通信分野および光情報処理分野において有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態の端面近接多芯光ファイバーの概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の端面近接多芯光ファイバーの概念構成図である。
【図3】従来のシングルモード光ファイバーの断面図である。
【図4】図3に示すシングルモード光ファイバーの端部において外周被覆部を剥離した状態を説明する斜視図である。
【図5】細線化クラッドを作製する方法の一例を説明する図である。
【図6】細線化クラッドを有する本発明のシングルモード光ファイバーの一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の端面近接多芯光ファイバーの一方端の構成を説明する断面図である。
【図8】図7のA−A’線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0062】
10,11 シングルモード光ファイバー、12 コア、14,15 クラッド、16 緩衝層、18 ジャケット、20 筒状容器、22 透明液体、30 実体顕微鏡、40,40a,40b フェルール、42 セラミックキャピラリー、44 コネクタ、46 接着用樹脂、100,200 端面近接多芯光ファイバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、
個々の光ファイバーの他方の端面においては、個々のシングルモード光ファイバーが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバー。
【請求項2】
コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも2本以上が、個々のシングルモード光ファイバーの一方の端面において、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、
個々のシングルモード光ファイバーの他方の端面においても、前記コア径はそのままとし前記クラッドの外径が縮小され近接されて並列に束ねられ配置され、かつ残りの個々のシングルモード光ファイバーが1本ずつ独立してなる端面近接多芯光ファイバー。
【請求項3】
コアの外周にクラッドが設けられているコア・クラッド型シングルモード光ファイバーの少なくとも一方端側の前記コア径をそのままとし前記クラッドの外径を縮小成形する工程と、
複数のシングルモード光ファイバーのクラッド径縮小成形端側を束ねてフェルールに挿入し固定する工程と、
を含む端面近接多芯光ファイバーの製造方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の端面近接多芯光ファイバーにおいて、
クラッド径が縮小成形され集束された前記端面近接多芯光ファイバーの少なくとも一方端側とマルチモード光ファイバーとが光学的に接続される場合、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離Lは、
下限において、前記シングルモード光ファイバーのコアの直径の2倍以上であって、
上限においては、前記マルチモード光ファイバーのコアの直径D、前記シングルモード光ファイバーのコアの直径d、および、集束された前記シングルモード光ファイバーの本数n(nは2、3、4、または、7)として、
n=2のとき、L ≦ D−d
n=3のとき、L ≦ √3(D―d)/2
n=4のとき、L ≦ √2(D−d)/2
n=7のとき、L ≦ (D−d)/2
である端面近接多芯光ファイバー。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の端面近接多芯光ファイバーにおいて、
前記端面近接多芯光ファイバーの中心に位置する1本のシングルモード光ファイバーに信号光を、前記端面近接多芯光ファイバーの周辺シングルモード光ファイバーのうちの1本に制御光をそれぞれ入射させ信号光の光路切替を行う場合、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの中心間距離は、前記シングルモード光ファイバーのコアの直径の2倍以上40μm以下である端面近接多芯光ファイバー。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の端面近接多芯光ファイバーにおいて、
前記クラッド径縮小成形端側におけるクラッド径が同一であって、かつ、前記クラッド径縮小成形端側における隣接するシングルモード光ファイバーの本数Mが式〔1〕で表される最密充填構成である端面近接多芯光ファイバー。
【数1】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−76685(P2008−76685A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255002(P2006−255002)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【出願人】(393015634)株式会社スペースクリエイション (7)
【出願人】(000226932)日星電気株式会社 (98)
【Fターム(参考)】