説明

符号方式による光無線通信方法及び装置

【課題】相互相関値を充分小さくすることが可能であり、利用できる符号に制限が少ない。
【解決手段】符号化部12とE/O変換器18とを具える送信装置10、及び、O/E変換器22と復号化部24とローパスフィルタ34とを具える受信装置20を具えて構成される光無線通信装置である。符号化部は、電気送信信号13を電気符号化信号17で符号化して符号化送信信号15を生成する。復号化部24は電気受信信号23と電気復号化信号33とが入力されて復号化受信信号27を生成して出力する。復号化受信信号はローパスフィルタ32に入力され再生受信信号35を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2値デジタル信号を2値符号で符号化して、符号信号のビットレートに等しい伝送レートで通信する光無線通信方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及あるいは情報端末等の高性能化により、通信の大容量化、高速化及び通信の高品質化が求められている。
【0003】
搬送波の振幅あるいは位相を変調してアナログ伝送する方式によれば、送信時において搬送波を変調し受信時において搬送波を除去する復調を行わなければならないため、通信の高速化を図ることが基本的に難しい。また、電気-光変換(E/O変換)時および光-電気変換(O/E変換)時の非線形性により発生する(光)信号の波形の歪、あるいは空間伝送中に混入する背景光や反射光等から構成される背景雑音が通信品質を落とす要因となる。
【0004】
高速化を実現している光ファイバ通信システムでは、強度変調-直接検波(IMDD: Intensity Modulation-Direct Detection)方式が広く採用されている。この方式は、通信用の信号(伝送するデータ信号)に対応する変化を光の強度の変化に与えて信号を運ぶ形にし、光の強度変化を受光素子で直接電気信号の変化に変換して受信するという手段がとられる。しかしながらこの方式を光無線システムに適用した場合には、複数の独立する送信信号を、同一波長の光によって同時に多重して送ることができないので、通信の大容量化マルチアクセス化に対応できないことや、障害物などからの反射光雑音の除去ができないなど問題がある。
【0005】
通信のマルチアクセス化に対応するための有力な手法の一つが符号分割多重方式である。この方式によれば複数チャンネルを符号によって識別することが可能であるから、複数チャンネルを同時に多重して伝送することが可能となり、マルチアクセス化に有効に対応できる。
【0006】
従来、符号分割多重方式の光無線による通信方式として、オン・オフ・キーイング(OOK: on off keying)フォーマットの送信信号を符号化して多重するOOK符号分割多元接続(OOK-CDMA(Code Division Multiple Access)方式が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、パルス位置変調(PPM: Pulse-Position Modulation)フォーマットの送信信号を符号化して多重するPPM-CDMA方式が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】松尾綾子、他、「拡散反射通信路におけるOOK CDMA室内赤外線無線通信方式の特性解析」電子情報通信学会論文誌 B Vol.J83-B No.7, pp.970-979 2000年7月
【非特許文献2】大槻知明、「PPM CDMAを用いた室内赤外線無線通信方式の特性解析」電子情報通信学会論文誌 B Vol.J83-B, No.7, pp.937-947, 2000年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のOOK-CDMA方式によれば、信号は「1」と「0」の2値デジタル変調フォーマットで形成されており、「0」信号の際には光強度が0となるため、相互相関時にコード「1」と「0」の打ち消しあいが起こらず、相互相関値が大きくなる。すなわち、「0」信号の際にはコード「1」と「0」とに対してはいずれも光強度は0となり、「1」信号の際にはコード「1」と「0」とに対してはそれぞれ「1」と「0」になる。
【0009】
なぜならば、OOK-CDMA方式によれば、信号を「1」と「-1」の2値デジタル変調フォーマットを採用し、符号化及び復号化のための符号を「1」と「-1」の2値符号を採用した場合のような、相互相関時に「1」と「-1」とが打ち消しあって「0」が出現するというケースは現れないからである。相互相関時に「1」と「-1」とが打ち消しあって「0」が出現するケースが現れれば、これによって相関値が小さくなる。
【0010】
そのため、上述のOOK-CDMA方式によれば、相互相関値が大きくなり、多重した他の信号の相互相関値によって生じる多重干渉雑音が大きいという問題点がある。
【0011】
また、上述のPPM-CDMA方式によれば、光直交符号系列(Optical Orthogonal Code (OOC)符号系列)のような「0」信号に比べて「1」信号が極端に少ない符号系列を用いることで相互相関値を小さく抑える必要があるため、利用できる符号系列に制限があり、更に、符号化のための拡散長を長くとっても有効利用可能な符号の数を多く取ることができないという課題もある。
【0012】
そのため、上述のPPM-CDMA方式によれば、「0」信号が続くことによる直流雑音成分の誤り率の増加は抑圧されるものの、OOK-CDMA方式と同様に利用できる符号に制限があり、背景光雑音成分が大きくなりやすいという課題が残される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この出願に係る発明者は、上述のOOK-CDMA方式及びPPM-CDMA方式における問題点は、送信信号及びこの送信信号を符号化する符号化信号として、「1」と「-1」の2値を用いるデジタル変調フォーマットの信号を採用し、かつ復号化するための復号化信号も「1」と「-1」の2値を用いるデジタル変調フォーマットの信号を採用することで解決することに思い至った。すなわち、このようにすれば、上述したように、相互相関時にコード「1」と「-1」の打ち消しあいが起こり、相互相関値を小さく抑えることが可能となることに思い至った。
【0014】
これによって、相互相関時にコード「1」と「0」の打ち消しあいが起こらないという事態が回避され、光直交符号系列(OOC符号系列)を利用する場合のような「0」信号に比べて「1」信号が極端に少ない符号系列を用いて相互相関値を小さく抑えるという手法を採る必要もないことを確信した。
【0015】
そこで、この発明の目的は、相互相関値を充分小さくすることが可能であり、利用できる符号に制限が少ない高品質の通信が可能である符号方式による光無線通信方法及び装置を提供することにある。
【0016】
この発明の要旨によれば、符号方式による光無線通信方法及びこの方法を実現させるための符号方式による光無線通信装置は、以下の特徴を具えている。
【0017】
この発明の符号方式による光無線通信方法は、符号化ステップとE/O変換ステップとを含む送信ステップ、及び、O/E変換ステップと、復号化ステップと、ローパスフィルタリングステップとを含む受信ステップとを含んで構成される。
【0018】
符号化ステップは、反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号を、反転2値デジタル変調フォーマットの電気符号化信号で符号化して符号化送信信号を生成するステップである。
【0019】
ここで、反転2値デジタル変調フォーマットとは、「1」と「-1」の2値を用いるデジタル変調フォーマットを意味し、非反転2値デジタル変調フォーマットとは、「1」と「0」の2値を用いるデジタル変調フォーマットを意味するものとする。
【0020】
E/O変換ステップは、符号化送信信号を非反転2値デジタル光信号に変換するステップである。
【0021】
O/E変換ステップは、非反転2値デジタル光信号を非反転2値デジタル変調フォーマットの電気受信信号に変換するステップである。
【0022】
復号化ステップは、電気受信信号を反転2値デジタル変調フォーマットの電気復号化信号で復号化して復号化受信信号を生成するステップである。
【0023】
ローパスフィルタリングステップは、復号化受信信号の、電気送信信号の伝送ビットレートを超えるビットレート周波数成分を除去して、再生受信信号を出力するステップである。
【0024】
この発明の符号方式による光無線通信方法は、この発明の符号方式による光無線通信装置によって実現される。この発明の符号方式による光無線通信装置は、符号化部とE/O変換器とを具える送信装置、及び、O/E変換器と復号化部とローパスフィルタとを具える受信装置を具えて構成される。
【0025】
符号化部は、反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号を、反転2値デジタル変調フォーマットの電気符号化信号で符号化して符号化送信信号を生成する。E/O変換器は、符号化送信信号を非反転2値デジタル光信号に変換する。
【0026】
O/E変換器は、非反転2値デジタル光信号を非反転2値デジタル変調フォーマットの電気受信信号に変換する。復号化部は、電気受信信号を反転2値デジタル変調フォーマットの電気復号化信号で復号化して復号化受信信号を生成する。ローパスフィルタは、復号化受信信号の、電気送信信号の伝送ビットレートを超えるビットレート周波数成分を除去して再生受信信号を出力する。
【0027】
上述の符号化ステップは、電気符号化信号を出力する第1符号発生ステップと、第1のEXNOR(エクスクルシーブ・ノア)演算ステップとを含んで構成するのが好適である。ここで、第1のEXNOR演算ステップは、電気送信信号と電気符号化信号とを入力して、電気送信信号と電気符号化信号との積信号である符号化送信信号を生成して出力するステップである。
【0028】
符号化ステップは、以下の構成の符号化部によって実現される。すなわち、符号化部は電気符号化信号を出力する第1符号発生器と、電気送信信号と電気符号化信号とが入力されて、電気送信信号と電気符号化信号との積信号である符号化送信信号を生成して出力する第1のEXNOR回路を具える符号器とを具えて構成される。ここで、EXNOR回路は、排他的論理和演算EXOR(エクスクルシーブ・オア)ゲートの出力にインバータを接続して構成されるゲート回路である。
【0029】
また、上述の復号化ステップは、電気復号化信号を出力する第2符号発生ステップと、第2のEXNOR演算ステップと、電気受信信号と電気復号化信号との位相を同期させる位相同期ステップとを含んで構成するのが好適である。ここで、第2のEXNOR演算ステップは、電気受信信号と電気復号化信号とを入力して電気受信信号と電気復号化信号との積信号である復号化受信信号を生成して出力するステップである。
【0030】
復号化ステップは、以下の構成の復号化部によって実現される。すなわち、復号化部は、電気復号化信号を出力する第2符号発生器と、電気受信信号と電気復号化信号とが入力されて、電気受信信号と電気復号化信号との積信号である復号化受信信号を生成して出力する第2のEXNOR回路を具える復号器と、電気受信信号と電気復号化信号との位相を同期させる位相同期回路(PLL: Phase-locked loop)とを具えて構成される。
【0031】
上述の第1符号発生ステップは、送信側クロック発生ステップと、比較ステップと、シフトコードパターン記憶ステップと、マスクコードパターン記憶ステップと、位相シフトステップとを含んで構成するのが好適である。
【0032】
送信側クロック発生ステップは、送信側基準クロック信号を発生するステップである。
【0033】
比較ステップは、送信側基準クロック信号を入力して、PN(Pseudo Noise)符号の位相を確定するアドレス信号を生成して出力するステップである。
【0034】
シフトコードパターン記憶ステップは、アドレス信号を入力して、線形帰還シフトレジスタを動作させたときに各フリップフロップに与えられる複数の位相におけるシフトコードパターンのうちの連続した一部の位相におけるシフトコードパターンを記憶するステップである。
【0035】
マスクコードパターン記憶ステップは、アドレス信号を入力して、発生させるためのPN(Pseudo Noise)符号の位相をずらすための複数のマスクコードパターンのうちの一部のマスクコードパターンであって、当該発生させるPN符号の位相を、連続した一部の位相におけるシフトコードパターンの記憶数の倍数だけずらすためのマスクコードパターンを記憶するステップである。
【0036】
位相シフトステップは、コードメモリからの出力信号とコードマスクメモリからの出力信号とを入力して、PN符号を生成して出力するステップである。
【0037】
第1符号発生ステップは、以下の構成の第1符号発生器によって実現される。すなわち、第1符号発生器は、コードメモリ、コードマスクメモリ、及び位相シフト回路を具えるPN符号発生器と、送信側クロック発生器と、比較器とを具えて構成される。
【0038】
コードメモリは、線形帰還シフトレジスタを動作させたときに各フリップフロップに与えられる複数の位相におけるシフトコードパターンのうちの連続した一部の位相におけるシフトコードパターンを記憶する。
【0039】
コードマスクメモリは、発生させるためのPN符号の位相をずらすための複数のマスクコードパターンのうちの一部のマスクコードパターンであって、当該発生させるPN符号の位相を、上述の連続した一部の位相におけるシフトコードパターンの記憶数の倍数だけずらすためのマスクコードパターンを記憶する。
【0040】
位相シフト回路は、コードメモリからの出力信号とコードマスクメモリからの出力信号とが入力されて、PN符号を生成して出力する。
【0041】
送信側クロック発生器は、送信側基準クロック信号を発生する。
【0042】
比較器は、送信側基準クロック信号が入力されて、当該第1符号発生器から出力されるPN符号の位相を確定するアドレス信号を生成して出力する。
【0043】
そして、アドレス信号が、コードメモリ及びコードマスクメモリに入力される構成とされている。
【0044】
また、上述の第2符号発生ステップは、受信側クロック発生ステップと、比較ステップと、シフトコードパターン記憶ステップと、マスクコードパターン記憶ステップと、位相シフトステップとを含んで構成するのが好適である。
【0045】
受信側クロック発生ステップは、受信側基準クロック信号を発生するステップである。
【0046】
比較ステップは、受信側基準クロック信号及び位相同期回路からの出力信号を入力して、当該第2符号発生器から出力するPN符号の位相を確定するアドレス信号を生成して出力するステップである。
【0047】
シフトコードパターン記憶ステップは、アドレス信号を入力して、線形帰還シフトレジスタを動作させたときに各フリップフロップに与えられる複数の位相におけるシフトコードパターンのうちの連続した一部の位相におけるシフトコードパターンを記憶するステップである。
【0048】
マスクコードパターン記憶ステップは、アドレス信号を入力して、発生させるためのPN符号の位相をずらすための複数のマスクコードパターンのうちの一部のマスクコードパターンであって、当該発生させるPN符号の位相を、連続した一部の位相におけるシフトコードパターンの記憶数の倍数だけずらすためのマスクコードパターンを記憶するステップである。
【0049】
位相シフトステップは、コードメモリからの出力信号とコードマスクメモリからの出力信号とを入力して、PN符号を生成して出力するステップである。
【0050】
第2符号発生ステップは、以下の構成の第2符号発生器によって実現される。すなわち、第2符号発生器は、コードメモリ、コードマスクメモリ、及び位相シフト回路を具えるPN符号発生器と、受信側クロック発生器と、比較器とを具えて構成される。
【0051】
コードメモリは、線形帰還シフトレジスタを動作させたときに各フリップフロップに与えられる複数の位相におけるシフトコードパターンのうちの連続した一部の位相におけるシフトコードパターンを記憶する。
【0052】
コードマスクメモリは、発生させるためのPN符号の位相をずらすための複数のマスクコードパターンのうちの一部のマスクコードパターンであって、当該発生させるPN符号の位相を、上述の連続した一部の位相におけるシフトコードパターンの記憶数の倍数だけずらすためのマスクコードパターンを記憶する。
【0053】
位相シフト回路は、コードメモリからの出力信号とコードマスクメモリからの出力信号とが入力されて、PN符号を生成して出力する。
【0054】
受信側クロック発生器は、受信側基準クロック信号を発生する。
【0055】
比較器は、受信側基準クロック信号及び位相同期回路からの出力信号が入力されて、当該第2符号発生器から出力されるPN符号の位相を確定するアドレス信号を生成して出力する。
【0056】
そして、アドレス信号が、コードメモリ及びコードマスクメモリに入力される構成とされている。
【発明の効果】
【0057】
この発明の符号方式による光無線通信方法によれば、符号化ステップにおいて、反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号が、反転2値デジタル変調フォーマットの電気符号化信号で符号化されて、符号化送信信号が生成される。すなわち、送信信号及びこの送信信号を符号化する符号化信号として、「1」と「-1」の2値を用いるデジタル変調フォーマットの信号が採用されている。
【0058】
また、復号化ステップで電気受信信号が反転2値デジタル変調フォーマットの電気復号化信号で復号化されて、復号化受信信号が生成される。すなわち、復号化するための復号化信号として、「1」と「-1」の2値を用いるデジタル変調フォーマットの信号が採用されている。
【0059】
従って、この発明の符号方式による光無線通信方法は、2値デジタル信号を2値符号で符号化して、符号信号のビットレートに等しい伝送レートで通信を行う通信方法である。
【0060】
すなわち、この発明の符号方式による光無線通信方法は、符号によってチャンネルの識別が可能であるので、複数の独立するチャンネルの送信信号を、同一波長の光によって同時に多重して送ることが可能である。
【0061】
また、電気受信信号を復号化されて得られる相互相関値が大きくなることがなく、多重伝送を行った場合、他の信号の相互相関値によって生じる多重干渉雑音を充分小さくすることが可能となる。
【0062】
また、相互相関値を小さく抑えるために符号系列に加えられる制限もなく、充分な数の符号の数を確保することが可能となる。
【0063】
符号化ステップ及び復号化ステップを実現する手段として、EXNOR回路を利用することで、簡便にかつ小型の装置を用いてこれらのステップが実現できるメリットがある。
【0064】
また、コードメモリ、コードマスクメモリ、及び位相シフト回路を具えるPN符号発生器と、クロック発生器と、比較器とを具えて構成される符号発生器を利用することによって、符号化及び復号化する際に必要となる符号としてPN符号を利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明の実施形態である符号方式による光無線通信方法を実現する光無線通信装置の概略的ブロック構成図である。
【図2】送信装置の動作の説明に供する図であり、(A)は電気送信信号の時間波形を示す図であり、(B)は電気符号化信号の時間波形を示す図であり、(C)は符号化送信信号の時間波形を示す図であり、(D)は送信装置から送信される光信号の時間波形を示す図である。
【図3】受信装置の動作の説明に供する図であり、(A)は電気受信信号の時間波形を示す図であり、(B)は電気復号化信号の時間波形を示す図であり、(C)は復号化受信信号の時間波形を示す図であり、(D)はローパスフィルタから出力される再生受信信号の時間波形を示す図である。
【図4】電気受信信号が符号化された際に使われた符号と異なる符号で復号化される場合の受信装置の動作の説明に供する図であり(A)は電気受信信号の時間波形を示す図であり、(B)は電気復号化信号の時間波形を示す図であり、(C)は復号化受信信号の時間波形を示す図であり、(D)はローパスフィルタから出力される再生受信信号の時間波形を示す図である。
【図5】符号器の構成を示す概略的ブロック構成図である。
【図6】復号器の構成を示す概略的ブロック構成図である。
【図7】第1符号発生器の概略的ブロック構成図である。
【図8】第2符号発生器の概略的ブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は、この実施形態に係る一構成例に対するものであり、この発明の実施形態が理解できる程度に各構成要素の配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、光無線通信装置が通常具えている送信信号生成部分、及び符号化あるいは復号化処理において利用されるクロック信号生成部分等、この発明の特徴部分ではない周知の構成要素は図示を省略してある。以下の説明において、特定の機器及び条件等を用いることがあるが、これら材料及び条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。また、各図において同様の構成要素については、同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略することもある。
【0067】
<この発明の実施形態の光無線通信装置>
(構成)
図1を参照して、この発明の実施形態である符号方式による光無線通信方法及びこの方法を実現する光無線通信装置の構成及び動作について説明する。図1は、この発明の実施形態である符号方式による光無線通信方法を実現する光無線通信装置の概略的ブロック構成図である。図1ではこの発明に係る構成要素のみを示してあり、この発明の実施形態の光無線通信装置が基本的に具えるべき周知の構成要素、例えば、通信に使われる送信信号生成装置等については図示を省略してある。
【0068】
この発明の実施形態の符号方式による光無線通信装置は、符号化部12とE/O変換器18とを具える送信装置10、及び、O/E変換器22と復号化部24とローパスフィルタ(LPF: Low-Pass Filter: 低域通過濾波器)34とを具える受信装置20を具えて構成される。
【0069】
符号化部12は、反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号13を、反転2値デジタル変調フォーマットの電気符号化信号17で符号化して符号化送信信号15を生成する。E/O変換器18は、符号化送信信号15を非反転2値デジタル変調フォーマットの光信号19に変換する。光信号19は光無線信号である。
【0070】
非反転2値デジタル変調フォーマットの光信号19は、光無線帯域として認められている赤外線から可視光線までの間の波長帯域の光信号である。図1では、光信号19の伝播する伝送路を直線で示してあるが、光信号19は光ファイバ等の伝送路は勿論、自由空間を伝播する場合も含めて示してあるものと理解されたい。
【0071】
符号化部12は、電気符号化信号17を出力する第1符号発生器16と、電気送信信号13と電気符号化信号17とが入力されて、電気送信信号13と電気符号化信号17との積信号である符号化送信信号15を生成して出力する第1のEXNOR回路を具える符号器14とを具えて構成される。ここで、第1のEXNOR回路は、後述するように、排他的論理和演算EXORゲートの出力にインバータを接続して構成されるゲート回路である。
【0072】
O/E変換器22は、非反転2値デジタル変調フォーマットの光信号19を非反転2値デジタル変調フォーマットの電気受信信号23に変換する。復号化部24は、電気受信信号23を反転2値デジタル変調フォーマットの電気復号化信号33で復号化して復号化受信信号27を生成する。
【0073】
復号化部24は、電気復号化信号33を出力する第2符号発生器32と、電気受信信号23と電気復号化信号33とが入力されて、電気受信信号23と電気復号化信号33との積信号である復号化受信信号27を生成して出力する第2のEXNOR回路を具える復号器26と、電気受信信号23と電気復号化信号33との位相を同期させる位相同期回路30とを具えて構成される。第2のEXNOR回路も、第1のEXNOR回路と同様に、排他的論理和演算EXORゲートの出力にインバータを接続して構成されるゲート回路である。
【0074】
復号器26から出力される復号化受信信号27は、分岐器28によって復号化受信信号29-1と復号化受信信号29-2とに分岐される。復号化受信信号29-1はローパスフィルタ34に入力され、復号化受信信号29-2は位相同期回路30に入力される。
【0075】
位相同期回路30は、復号化受信信号29-2が入力されて当該復号化受信信号29-2に含まれるクロック信号31を抽出して出力する。このクロック信号31は、復号器26において電気受信信号23と電気復号化信号33との位相が同位相となるように、第2符号発生器32から電気復号化信号33が出力されるために利用される信号である。
【0076】
クロック信号31は第2符号発生器32に供給され、このクロック信号31に基づいて電気復号化信号33が第2符号発生器32から出力される。
【0077】
復号器26と位相同期回路30と第2符号発生器32とは、ループ状の回路を形成しており、位相同期回路30によって、常に復号器26において電気受信信号23と電気復号化信号33との位相が同位相となるように正の帰還動作がなされる。
【0078】
位相同期回路30は、位相比較器(PFD: Phase Frequency Detector)、ループフィルタ、及び電圧制御発振器(VCO: Voltage Controlled Oscillator)から構成される周知の位相同期回路を適宜利用できる。また、位相同期回路の動作については周知の事項であるので説明を省略する。
【0079】
ローパスフィルタ34は、復号化受信信号29-1の、電気送信信号の伝送ビットレートを超えるビットレート周波数成分を除去して再生受信信号35を出力する。
【0080】
(動作)
図2(A)〜図4(D)を参照して、この発明の実施形態の符号方式による光無線通信装置の動作について説明する。
【0081】
図2(A)〜図2(D)は、送信装置10の動作の説明に供する図であり、図2(A)は電気送信信号13の時間波形を示す図であり、図2(B)は電気符号化信号17の時間波形を示す図であり、図2(C)は符号化送信信号15の時間波形を示す図であり、図2(D)は送信装置10から送信される光無線信号である光信号19の時間波形を示す図である。図2(A)〜図2(D)の各図とも横軸に時間軸を電気送信信号の1ビットを単位として目盛って示してあり、縦軸に信号強度を任意目盛で目盛って示してある。横軸にとられた時間軸は図2(A)〜図2(D)の各図において等しい時間目盛にとってある。図2(A)〜図2(D)の各図に示す時間波形は、立ち上がり時間及び立ち下がり時間をそれぞれ0と理想化して示してある。
【0082】
図2(A)は、NRZ(Non Return to Zero)フォーマットの電気送信信号13の時間波形である。図2(A)には、(1, 1, -1, 1, -1, -1, ・・・・)で表される反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号を例にとって示してあるが、以下の説明は、電気送信信号が図2(A)に示された(1, 1, -1, 1, -1, -1, ・・・・)で表される信号に限定されることはない。また、通常の実施においては、電気送信信号13の伝送ビットレートとして3 Mbit/s程度が設定される。以後、伝送ビットレートを単にビットレートと略称することもある。
【0083】
図2(B)に示す電気符号化信号17の時間波形は、NRZフォーマットの符号化信号であり、説明の便宜上、そのビットレートは、電気送信信号13のビットレートの32倍に設定されているものとする。ビットレートが32倍である信号を図2(A)に示す電気送信信号13と同一の時間軸で示すことは困難であるので、図2(B)では、時間波形の細部は省略して、電気送信信号13の各ビットに対して、同位相でかつ同一の時間波形を割り当てて示してある。従って、図2(B)では、0〜1、1〜2、・・・・等で示す電気送信信号13の1ビットごとに同一波形が繰り返し現れる図形として電気符号化信号17の時間波形を示してある。
【0084】
また、同様に図2(C)及び図2(D)についても、時間波形の細部は省略して示してある。
【0085】
ここで、以後の説明の便宜のため、符号に関して次のように定義を行う。符号を規定する「1」及び「-1」からなる数列の項数を符号長というものとする。符号を規定する数列が(1, -1, -1, 1, ・・・・・)あるいは(1, -1, 1, -1, ・・・・・)等で表される数列であり、この数列の項数がN(Nは2以上の整数)である場合、符号長はNである。また、符号を与える数列を符号列といい、符号列の各項「1」及び「-1」をチップということもある。また、送信信号の1ビットに割り当てられる時間幅(時間スロットともいう。)は、送信信号の伝送速度であるビットレートの逆数である。
【0086】
図2(B)に示す反転2値デジタル変調フォーマットの電気符号化信号17は、反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号13を符号化するための符号化信号であり、電気送信信号13のビットレートの32倍に設定されている。従って、電気送信信号13が電気符号化信号17によって符号化されるとは、電気送信信号13の1ビットに割り当てられる時間スロット内で、電気送信信号13の1ビットが、32のチップに細分化されることを意味する。
【0087】
これは、電気送信信号13の1ビットに割り当てられる時間スロットに対して、符号を構成する32チップが割り当てられることを意味し、時間軸上で、電気送信信号13の1ビット内に符号を規定する数列に対応する符号化信号が完全に収まるように時間軸上に配置されることを意味している。
【0088】
ここで、電気送信信号13を表す反転2値デジタルフォーマットを表す「1」と「-1」とからなる数列を「D」と表し、電気符号化信号17に反映されている反転2値デジタルフォーマットを表す「1」と「-1」とからなる数列を「C」と表すものとする。
【0089】
また、電気送信信号13を電気符号化信号17で符号化処理するとは、電気送信信号13と電気符号化信号17を同期させて「D」と「C」とのそれぞれの項どうしを掛け算する、すなわち、積D×Cを生成する処理を行うことに相当する。積D×Cを生成するための符号化処理回路には、詳細は後述するが、排他的論理和演算EXORゲートの出力にインバータを接続したゲート回路であるEXNOR回路を用いるのが一つの方法である。
【0090】
ここで、電気送信信号13を(1, 1, -1, 1, -1, -1, ・・・・)で表される反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号であるものとし、電気符号化信号17を(1, -1, -1, 1, ・・・・)で表される反転2値デジタル変調フォーマットの電気符号化信号であるものとして以下説明する。
【0091】
電気送信信号13の第1番目のビットは「1」であり、第2番目のビットは「1」であり、第3番目のビットは「-1」である。電気送信信号13が(1, -1, -1, 1, ・・・・)で与えられる符号で符号化されるとは、第1番目のビットである「1」が(1, -1, -1, 1, ・・・・)で与えられる符号で符号化され、第2番目のビットである「1」が(1, -1, -1, 1, ・・・・)で与えられる符号で符号化され、第3番目のビットである「-1」が(1, -1, -1, 1, ・・・・)で与えられる符号で符号化されることを意味する。第4番目以降のビットが符号化されることも同様である。
【0092】
上述した様に、電気送信信号13を電気符号化信号17で符号化処理するとは、積D×Cを求めることに相当するから、電気送信信号13の第1番目のビットである「1」は、(Dの第1番目のビット(1))×C(1, -1, -1, 1, ・・・・)=(1×1, 1×(-1), 1×(-1), 1×1, ・・・・)=(1, -1, -1, 1, ・・・・)と符号化される。信号の第2番目のビットである「1」は、(Dの第2番目のビット(1))×C(1, -1, -1, 1, ・・・・)=(1×1, 1×(-1), 1×(-1), 1×1, ・・・・)=(1, -1, -1, 1, ・・・・)と符号化される。第3番目のビットである「-1」は、(Dの第3番目のビット(-1))×C(1, -1, -1, 1, ・・・・)=((-1)×1, (-1)×(-1), (-1)×(-1), (-1)×1, ・・・・)=(-1, 1, 1, -1, ・・・・)と符号化される。第4番目以降のビットについても同様である。
【0093】
したがって、図2(C)に示す、電気送信信号13が電気符号化信号17によって符号化されて得られる符号化送信信号15の時間波形は、上述の説明のように((1, -1, -1, 1, ・・・・),(1, -1, -1, 1, ・・・・),(-1, 1, 1, -1, ・・・・))=(1, -1, -1, 1, ・・・・1, -1, -1, 1, ・・・・-1, 1, 1, -1, ・・・・)となる。図2(C)においても、図2(B)と同様に、時間波形の細部は省略して示してある。
【0094】
図2(D)に示す光信号19の時間波形は、信号の振幅の中心に0レベルが設定されている符号化送信信号15の時間波形の0レベルを変更して、信号の最小値を0レベルに設定し直して光信号に変換された時間波形であり、信号の0レベルが異なるだけで、その形状は図2(C)に示した、符号化送信信号15の時間波形の形状と同一である。
【0095】
図3(A)〜図3(D)は、受信装置20の動作の説明に供する図であり、図3(A)は電気受信信号23の時間波形を示す図であり、図3(B)は電気復号化信号33の時間波形を示す図であり、図3(C)は復号化受信信号27の時間波形を示す図であり、図3(D)はローパスフィルタ34から出力される再生受信信号35の時間波形を示す図である。
【0096】
図3(A)〜図3(D)の各図とも横軸に時間軸を電気送信信号の1ビットを単位として目盛って示してあり、縦軸に信号強度を任意目盛で目盛って示してある。横軸にとられた時間軸は図3(A)〜図3(D)の各図において等しい時間目盛にとってある。また、図2(C)及び図2(D)と同様に、図3(A)〜図3(C)の各図について、時間波形の細部は省略して示してある。
【0097】
図3(A)〜図3(D)の各図に示す時間波形は、立ち上がり時間及び立ち下がり時間をそれぞれ0と理想化して示してある。
【0098】
送信装置10から出力される光信号19は、光ファイバ等の伝送路あるいは自由空間を伝播し、受信装置20で受信されてこの受信装置20が具えているO/E変換器22で電気受信信号23に変換される。図3(A)は、O/E変換器22から出力される電気受信信号23の時間波形である。
【0099】
光信号19は光ファイバ等の伝送路あるいは自由空間を伝播する間に減衰し、また、O/E変換器22の変換効率も100%ではない。従って、図2(D)に示す光信号19の時間波形と図3(A)に示す電気受信信号23の時間波形とは相似形ではあるが、縦軸の強度については、本質的な意味を持っていない。ここでは、光信号19の時間波形と電気受信信号23の時間波形とが相似形であることが重要で、実用上は電気受信信号23の振幅が小さすぎて、受信装置20における復号化処理等に充分な大きさでなければ、適宜増幅措置を講ずればよい。
【0100】
ここで、まず、電気受信信号23が符号化された際に使われた符号と同一の符号で復号化され、送信信号と相似形の時間波形を有する再生受信信号35が得られる、すなわち自己相関波が得られる場合について説明する。
【0101】
電気受信信号23が復号化されて自己相関波が生成されるためには、電気符号化信号17の時間波形と電気復号化信号33の時間波形とが相似形である、すなわち、符号化の際に使われた符号と復号化の際に使われる符号とが同一符号であることが必要である。図3(B)は、上述の図2(B)に示した電気符号化信号17の時間波形と相似形の電気復号化信号33の時間波形を示す図である。
【0102】
電気受信信号23を電気復号化信号33で復号化処理するとは、電気受信信号23(以後「Δ」と表すこともある。)と電気復号化信号33(以後「Γ」と表すこともある。)との積Δ×Γを生成する処理を行うことに相当する。積Δ×Γを生成するための符号化処理回路には、詳細は後述するが、排他的論理和演算EXORゲートの出力にインバータを接続したゲート回路であるEXNOR回路を用いるのが一つの方法である。
【0103】
ここで、電気受信信号23は、符号化送信信号15(1, -1, -1, 1, ・・・・1, -1, -1, 1, ・・・・-1, 1, 1, -1, ・・・・)の0レベルが変更されて(1, 0, 0, 1, ・・・・1, 0, 0, 1, ・・・・0, 1, 1, 0, ・・・・)で表される非反転2値デジタル変調フォーマットの電気信号である。
【0104】
ここで、電気受信信号23を表す非反転2値デジタルフォーマットを表す「1」と「0」とからなる数列を「Δ」と表し、電気復号化信号37に反映されている反転2値デジタルフォーマットを表す「1」と「-1」とからなる数列を「Γ」と表すものとする。
【0105】
また、電気受信信号23を電気復号化信号37で符号化処理するとは、電気受信信号23と電気復号化信号37を同期させて「Δ」と「Γ」とのそれぞれの項どうしを掛け算する、すなわち、積Δ×Γを生成する処理を行うことに相当する。そこで、積Δ×Γを求める。電気受信信号23が符号化された際に使われた符号と同一の符号で復号化される場合とは、C=Γである場合であるから、復号化演算は以下の式(1)で与えられる。
(1, 0, 0, 1, ・・・・1, 0, 0, 1, ・・・・0, 1, 1, 0, ・・・・)×(1, -1, -1, 1, ・・・・)=(1, 0, 0, 1, ・・・・1, 0, 0, 1, ・・・・0, -1, -1, 0, ・・・・) (1)
したがって、図3(C)に示す、電気受信信号23が電気復号化信号33によって復号化されて得られる復号化受信信号27の時間波形は、上述の説明のように(1, 0, 0, 1, ・・・・1, 0, 0, 1, ・・・・0, -1, -1, 0, ・・・・)となる。
【0106】
復号化受信信号27は、分岐器28を通過して復号化受信信号29-1としてローパスフィルタ34に入力される。復号化受信信号27と復号化受信信号29-1とは振幅が異なるだけで相似形の時間波形を有している。
【0107】
ローパスフィルタ34に復号化受信信号29-1が入力されると、復号化受信信号29-1の、電気送信信号13の伝送ビットレートを超えるビットレート周波数成分が除去されて、図3(D)に示す再生受信信号35が生成されて出力される。すなわち、ローパスフィルタ34によって、符号化に使われた電気符号化信号のビットレート周波数成分は除去されるので、電気送信信号13のビットレート周波数成分だけがローパスフィルタ34から、出力される。
【0108】
従って、再生受信信号35と上述した電気送信信号13の時間波形は、振幅が異なるのみで相似形となるから、受信装置20において電気送信信号13と同一の信号が再生されたことになる。
【0109】
次に、電気受信信号23が符号化された際に使われた符号と異なる符号で復号化され、送信信号とは異なる時間波形を有する相互相関波が生成される場合について図4(A)〜図4(D)を参照して説明する。この場合は、C≠Γである場合に相当する。
【0110】
図4(A)〜図4(D)は、電気受信信号23が符号化された際に使われた符号と異なる符号で復号化される場合の、受信装置20の動作の説明に供する図であり、図4(A)は電気受信信号23の時間波形を示す図であり、図4(B)は電気復号化信号33に相当する設定された符号が電気復号化信号17と異なる電気復号化信号の時間波形を示す図であり、図4(C)は復号化受信信号27に相当する復号化受信信号の時間波形を示す図であり、図4(D)はローパスフィルタ34から出力される再生受信信号35に相当する再生受信信号の時間波形を示す図である。
【0111】
図4(A)〜図4(D)の各図とも横軸に時間軸を電気送信信号の1ビットを単位として目盛って示してあり、縦軸に信号強度を任意目盛で目盛って示してある。横軸にとられた時間軸は図4(A)〜図4(D)の各図において等しい時間目盛にとってある。また、図2(C)及び図2(D)と同様に、図4(A)〜図4(C)の各図について、時間波形の細部は省略して示してある。
【0112】
図4(A)は、図3(A)と全く同一の図である。異なるのは図4(B)に示す電気復号化信号33の時間波形である。これは、図3(B)に示した電気復号化信号33とは異なる符号が設定された電気復号化信号が使われることを意味している。
【0113】
電気復号化信号33とは異なる符号Γが設定された電気復号化信号が使われて復号化処理すると、(1, -1, -1, 1, ・・・・)で表される電気符号化信号17と電気復号化信号33とは異なっているので、上述したような式(1)で与えた積演算が成立しない。従って、図4(C)に示す時間波形は図3(C)に示した示す復号化受信信号27とは異なっている。
【0114】
従って、ローパスフィルタ34に、図4(C)に示す時間波形の復号化受信信号が入力されると、この復号化受信信号から電気送信信号13の伝送ビットレートを超えるビットレート周波数成分が除去されて、図4(D)に示すようにほぼ0レベルの直流信号で与えられる出力信号が出力される。すなわち、復号化されて生成される相互相関信号の強度が、非常に小さいことに相当する結果が得られる。
【0115】
以上の説明は、送信装置10から送られる信号は一通りだけであり、受信装置20もこの送信装置10から送られてくる一通りの信号だけを受信して復号化処理がなされる、1チャンネル分の信号の送受信が行われる場合の説明である。この発明の実施形態の光無線通信方法は、送信装置10において送信信号を符号化して送信し、受信装置20において符号化時と同一の符号によって復号化する方式である。このとき、受信装置20において、符号化時と異なる符号によって復号化処理を行うと受信信号が生成されず、直流信号成分のみが再生される。
【0116】
すなわち、この発明の実施形態の光無線通信方法は、符号化する際に利用する符号と復号化する際の符号とを同一に設定することによって初めて通信が成立する通信方法である。したがって、複数チャンネルの各チャンネルに互いに異なる符号を割り当てて、送信装置10において複数チャンネルを多重して送信し、受信装置20において、各チャンネルに割り当てられた符号によってそれぞれのチャンネルの受信信号を復号化する構成とすれば、受信装置20において多重されて送信されてきた信号から各チャンネルの受信信号を再生することが可能である。
【0117】
このように多重伝送を行った場合、受信装置20において再生される各チャンネルの再生受信信号には、他チャンネルの信号成分が含まれている。従って、図1〜図3(D)を参照して説明した1チャンネル分の伝送を行った場合と比較して、再生受信信号には雑音成分が混じっている。
【0118】
複数チャンネル分が多重化された送信信号(多重化信号ということもある。)を送信し、各チャンネルに割り当てられた符号によってそれぞれのチャンネルごとに再生受信信号を得るという処理を行って得られる再生受信信号に含まれる雑音成分は、以下のメカニズムで発生するものである。各チャンネルの雑音性分は、多重化信号が復号化される際に使われる符号と異なる符号で符号化された信号成分(他チャンネルの信号成分)であり、すなわち相互相関波成分である。
【0119】
まず、第1チャンネルの電気送信信号「D1」が第1チャンネルに割り当てられた電気符号化信号「C1」で符号化されると、符号化された第1送信信号「D1×C1」が得られる。第2チャンネル〜第Mチャンネル(Mは2以上の整数)についても、同様に第M送信信号「DM×CM」が得られる。これら、第1〜第M送信信号が多重されると(D1×C1)+(D2×C2)+・・・・・+(DM×CM)で表される多重送信信号が生成され、送信装置10から送信される。この発明の実施形態の光無線通信方法では、この多重送信信号は「1」と「-1」の2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号(反転2値デジタル変調フォーマットの電気信号)である。これが、「1」と「0」の2値デジタル変調フォーマットの光信号に変換されて送信され、受信装置20で「1」と「0」の2値デジタル変調フォーマットの電気受信信号に変換される。
【0120】
従って、受信装置20では、多重送信信号の0レベルが信号の振幅中心から、信号の最小値に変更されて、「1」と「0」の2値デジタル変調フォーマットの電気受信信号に変換される。一方、受信装置20では第1〜第Mチャンネルにそれぞれ割り当てられた符号によって復号化処理がなされる。
【0121】
まず、第1チャンネルを例にして、この復号化処理を説明する。(D1×C1)+(D2×C2)+・・・・・+(DM×CM)で表される多重送信信号が、第1チャンネルに割り当てられた符号「C1」で復号化される。すなわち、次式(2)で与えられる積演算が行われる。
【0122】
{(D1×C1)+(D2×C2)+・・・・・+(DM×CM)}×C1 (2)
式(2)において、(D1×C1)×C1と書かれる項が自己相関波を与えており、これ以外の項が相互相関波を与えている。自己相関波を与える項については、上述の、図3(A)〜図3(D)を参照して説明した、符号化のときに使われた符号と復号化されたときの符号とが一致している場合に相当し、(D2×C2)×C1、・・・(DM×CM)×C1と書かれる項は、図4(A)〜図4(D)を参照して説明した、符号化のときに使われた符号と復号化されたときの符号とが一致していない場合に相当する。
【0123】
すなわち、第1チャンネルの復号化された信号に含まれる、{(D2×C2)×C1}+・・・{(DM×CM)×C1}で与えられる成分が雑音成分、すなわち相互相関波成分である。ここで、この発明の実施形態の光無線通信方法では、「C1」が「1」と「-1」の反転2値デジタル変調フォーマットの電気復号化信号であるから、相互相関波成分のチップのそれぞれは、1×1、1×(-1)、0×1、0×(-1)のいずれかである。すなわち相互相関波成分のチップのそれぞれは、1、-1、あるいは0のいずれかとなる。従って、相互相関波成分には、1と-1とが均等に現れるので、復号化処理において、1+(-1)というケースと、1+1というケースが均等に出現する。すなわち、相互相関波成分において1+(-1)というケースでは、このチップが0となることを意味しており、相互相関波成分を構成するチップのほとんどが0となることが分かる。これは、この発明の実施形態の光無線通信方法において、電気復号化信号に反転2値デジタル変調フォーマットの信号が使われていることに起因する。
【0124】
従って、符号化及び復号化に符号長が長い符号を使っても相互相関波成分が大きくなることはない。ここでは、第1チャンネルを例にして相互相関波成分が大きくならないことを説明したが、第2から第Mチャンネルについても同様に上述の説明は成り立つ。
【0125】
また、「0」信号に比べて「1」信号が極端に少ない符号系列を符号として用いるといった制限をしなくとも、相互相関波成分において1+(-1)というケースでは、このチップが0となることから、相互相関波成分は大きくなることもない。
【0126】
一方、電気復号化信号に「1」と「0」の2値からなる非反転2値デジタル変調フォーマットの電気復号化信号によって復号化処理を行えば、生成される相互相関波を構成するチップは、0又は1以外現れず、反転2値デジタル変調フォーマットの電気復号化信号によって復号化処理を行った場合のように、1+(-1)というケースが発現しない。このことは、符号化及び復号化に符号長が長い符号を使うほど相互相関波成分が大きく残ることを意味している。
【0127】
<符号器及び復号器>
図5を参照して、符号器14の構成例を説明する。図5は、符号器14の構成を示す概略的ブロック構成図である。
【0128】
符号器14は、電気送信信号13と電気符号化信号17とが入力されて、電気送信信号13と電気符号化信号17との積信号である符号化送信信号15を生成して出力する機能を有し(図1参照)、EXNOR回路40と、第1バイアス調整器42、第2バイアス調整器44、及び第3バイアス調整器46を具えて構成される。EXNOR回路40は、図5に示すように、EXORゲートの出力にインバータ(丸印で示してある。)を接続して構成されるゲート回路である。
【0129】
第1バイアス調整器42には、反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号13が入力されて、信号の0レベルが信号の振幅の中心位置から信号の最小値の位置に変更して、非反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号43に変換して出力する。以後、「1」と「-1」との2値による反転2値デジタル変調フォーマットを単に反転と表記し、「1」と「0」との2値による非反転2値デジタル変調フォーマットを単に非反転と表記する。図5において、反転信号であるか、非反転信号であるかを見やすくするために、信号を示す記号の直上あるいは直下に、それぞれ(1, -1)及び(1, 0)と記入してある。非反転電気送信信号43は、EXNOR回路40の一方の入力ポート(入力ポートA)入力される。
【0130】
同様に、第2バイアス調整器44には、反転電気符号化信号17が入力されて、非反転電気符号化信号45に変換して出力する。非反転電気符号化信号45は、EXNOR回路40の他方の入力ポートに(入力ポートB)入力される。
【0131】
EXNOR回路40の出力ポート(出力ポートC)からは、非反転符号化送信信号41が出力されて、第3バイアス調整器46に入力される。第3バイアス調整器46からは、非反転符号化送信信号41のバイアスレベルが変更された反転符号化送信信号15が出力される。
【0132】
EXNOR回路40の入力ポートA及びBに入力される入力値(A, B)と出力値Cとの関係は次のとおりである。(0, 0)のときは1である。これを(0, 0)=1と表記することにすれば、これ以外の入力値の場合はそれぞれ、(0, 1)=0、(1, 0)=0、及び(1, 1)=1である。これを一覧表にすると表1に示すとおりとなる。
【0133】
【表1】

【0134】
従って、反転電気送信信号13の値をp、反転電気符号化信号17の値をqとし、非反転電気送信信号43の値をr、非反転電気符号化信号45の値をsとし、非反転符号化送信信号41の出力値をgとし、反転符号化送信信号15の出力値をhとし、これらの値を一覧表にすると表2示すとおりとなる。
【0135】
【表2】

【0136】
以上説明した様に、図5を参照して説明した符号器14によれば、反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号13を、反転2値デジタル変調フォーマットの電気符号化信号17で符号化して符号化送信信号15を生成することが可能である。
【0137】
次に、図6を参照して、復号器26の構成例を説明する。図6は、復号器26の構成を示す概略的ブロック構成図である。
【0138】
復号器26は、電気受信信号23と電気復号化信号33とが入力されて、電気受信信号23と電気復号化信号33との積信号である復号化受信信号27を生成して出力する機能を有し(図1参照)、EXNOR回路50と、第4バイアス調整器54、及び第5バイアス調整器56を具えて構成される。EXNOR回路50は、図6に示すように、EXORゲートの出力にインバータ(丸印で示してある。)を接続して構成されるゲート回路である。
【0139】
第4バイアス調整器54には、反転電気復号化信号33が入力されて、信号の0レベルが信号の振幅の中心位置から信号の最小値の位置に変更して、非反転電気復号化信号55に変換して出力する。図6において、反転信号であるか、非反転信号であるかを見やすくするために、信号を示す記号の直上あるいは直下に、それぞれ(1, -1)及び(1, 0)と記入してある。
【0140】
非反転電気復号化信号55は、EXNOR回路50の入力ポートBに入力される。また、非反転電気受信信号23は、EXNOR回路50の一方の入力ポートAに入力される。
【0141】
EXNOR回路50の出力ポートCからは、非反転復号化受信信号51が出力されて、第5バイアス調整器56に入力される。第5バイアス調整器56からは、非反転復号化受信信号51のバイアスレベルが変更された反転復号化受信信号27が出力される。
【0142】
EXNOR回路50の入力ポートA及びBに入力される入力値(A, B)と出力値Cとの関係は上述の表1に示したとおりである。
【0143】
また、電気受信信号23の値をp、反転電気復号化信号33の値をqとし、電気受信信号23の値をここでは上述の符号器14の場合との対応性を考慮して形式的にr、非反転電気復号化信号55の値をsとし、非反転復号化受信信号51の出力値をgとし、反転復号化受信信号27の出力値をhとすれば、これらの値を一覧表にすると表3に示すとおりとなる。
【0144】
【表3】

【0145】
以上説明した様に、図6を参照して説明した復号器26によれば、電気受信信号23を反転2値デジタル変調フォーマットの電気復号化信号33で復号化して復号化受信信号27を生成することが可能である。
【0146】
この発明の実施形態の光無線通信装置に利用される符号器および復号器として、それぞれ図5及び図6に示す構成例を提示したが、符号器および復号器として、この構成に限定されることはない。電気送信信号、電気符号化信号、電気復号化信号、符号化送信信号、及び復号化受信信号の0バイアスを調整するためのアナログ素子であるバイアス調整器を利用したが、上述の符号化及び復号化動作が可能である演算処理装置であれば、すべての処理をデジタル処理とする構成の他の装置を利用してもよい。
【0147】
<符号発生器>
図7を参照して第1符号発生器16の構造及び機能につき説明する。図7は、第1符号発生器16の概略的ブロック構成図である。
【0148】
第1符号発生器16は、PN符号を符号として生成して出力する機能を有しており、コードメモリ62、コードマスクメモリ64、及び位相シフト回路66を具えるPN符号発生器60と、送信側クロック発生器70と、比較器72とを具えて構成される。この構成の第1符号発生器16は、例えば、特許文献(国際公開番号WO 2004/034581 A1)に開示されているPN符号発生器を適宜利用して構成することが可能である。
【0149】
コードメモリ62は、線形帰還シフトレジスタを動作させたときに各フリップフロップに与えられる複数の位相におけるシフトコードパターンのうちの連続した一部の位相におけるシフトコードパターンを記憶するメモリである。
【0150】
コードマスクメモリ64は、発生させるためのPN符号の位相をずらすための複数のマスクコードパターンのうちの一部のマスクコードパターンであって、当該発生させるPN符号の位相を、上述の連続した一部の位相におけるシフトコードパターンの記憶数の倍数だけずらすためのマスクコードパターンを記憶するメモリである。
【0151】
位相シフト回路66は、コードメモリ62からの出力信号とコードマスクメモリ64からの出力信号とが入力されて、電気符号化信号17としてPN符号を生成して出力する。
【0152】
送信側クロック発生器70は、送信側基準クロック信号71を発生する。比較器72は、送信側基準クロック信号71が入力されて、当該第1符号発生器60から出力される電気符号化信号17としてのPN符号の位相を確定するアドレス信号73を生成して出力する。そして、アドレス信号73が、コードメモリ62及びコードマスクメモリ64に入力される構成とされている。
【0153】
次に、図8を参照して第2符号発生器32の構造及び機能につき説明する。図8は、第2符号発生器32の概略的ブロック構成図である。
【0154】
第2符号発生器32は、コードメモリ82、コードマスクメモリ84、及び位相シフト回路86を具えるPN符号発生器80と、受信側クロック発生器90と、比較器92とを具えて構成される。
【0155】
コードメモリ82は、線形帰還シフトレジスタを動作させたときに各フリップフロップに与えられる複数の位相におけるシフトコードパターンのうちの連続した一部の位相におけるシフトコードパターンを記憶するメモリである。
【0156】
コードマスクメモリ84は、発生させるためのPN符号の位相をずらすための複数のマスクコードパターンのうちの一部のマスクコードパターンであって、当該発生させるPN符号の位相を、上述の連続した一部の位相におけるシフトコードパターンの記憶数の倍数だけずらすためのマスクコードパターンを記憶するメモリである。
【0157】
位相シフト回路86は、コードメモリ82からの出力信号とコードマスクメモリ84からの出力信号とが入力されて、電気復号化信号33としてPN符号を生成して出力する。
【0158】
受信側クロック発生器90は、受信側基準クロック信号91を発生する。
【0159】
比較器92は、受信側基準クロック信号91及び位相同期回路30(図1参照)からの出力信号31が入力されて、当該第2符号発生器32から出力される電気復号化信号33としてのPN符号の位相を確定するアドレス信号93を生成して出力する。
【0160】
そして、アドレス信号93が、コードメモリ82及びコードマスクメモリ84に入力される構成とされている。
【0161】
第1符号発生器16及び第2符号発生器32として、PN符号を生成する符号発生器について説明したが、この発明の実施形態の光無線通信装置には、PN符号発生器以外、GOLD符号発生器等の他の種類の符号を発生する符号発生器を利用することも可能である。また、PN符号を生成する符号発生器として、図7及び図8を参照して説明したPN符号発生器以外の構成のPN符号発生器を利用することも可能である。
【符号の説明】
【0162】
10:送信装置
12:符号化部
14:符号器
16:第1符号発生器
18:E/O変換器
20:受信装置
22:O/E変換器
24:復号化部
26:復号器
28:分岐器
30:位相同期回路
32:第2符号発生器
34:ローパスフィルタ
40、50:EXNOR回路
42:第1バイアス調整器
44:第2バイアス調整器
46:第3バイアス調整器
54:第4バイアス調整器
56:第5バイアス調整器
60、80:PN符号発生器
62、82:コードメモリ
64、84:コードマスクメモリ
66、86:位相シフト回路
70:送信側クロック発生器
72、92:比較器
90:受信側クロック発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号を、反転2値デジタル変調フォーマットの電気符号化信号で符号化して符号化送信信号を生成する符号化ステップと、
前記符号化送信信号を非反転2値デジタル変調フォーマットの光信号に変換するE/O変換ステップと
を含む送信ステップ、及び
前記非反転2値デジタル変調フォーマットの光信号を非反転2値デジタル変調フォーマットの電気受信信号に変換するO/E変換ステップと、
前記電気受信信号を反転2値デジタル変調フォーマットの電気復号化信号で復号化して復号化受信信号を生成する復号化ステップと、
前記復号化受信信号の、前記電気送信信号の伝送ビットレートを超えるビットレート周波数成分を除去して、再生受信信号を出力するローパスフィルタリングステップと
を含む受信ステップ
を含むことを特徴とする符号方式による光無線通信方法。
【請求項2】
前記符号化ステップは、
前記電気符号化信号を出力する第1符号発生ステップと、
前記電気送信信号と前記電気符号化信号とを入力して、該電気送信信号と該電気符号化信号との積信号である前記符号化送信信号を生成して出力する第1のEXNOR(エクスクルシーブ・ノア)演算ステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の符号方式による光無線通信方法。
【請求項3】
前記復号化ステップは、
前記電気復号化信号を出力する第2符号発生ステップと、
前記電気受信信号と前記電気復号化信号とを入力して、該電気受信信号と電気復号化信号との積信号である前記復号化受信信号を生成して出力する第2のEXNOR(エクスクルシーブ・ノア)演算ステップと
前記電気受信信号と前記電気復号化信号との位相を同期させる位相同期ステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の符号方式による光無線通信方法。
【請求項4】
前記第1符号発生ステップは、
送信側基準クロック信号を発生する送信側クロック発生ステップと、
前記送信側基準クロック信号を入力して、PN(Pseudo Noise)符号の位相を確定するアドレス信号を生成して出力する比較ステップと、
前記アドレス信号を入力して、線形帰還シフトレジスタを動作させたときに各フリップフロップに与えられる複数の位相におけるシフトコードパターンのうちの連続した一部の位相におけるシフトコードパターンを記憶するシフトコードパターン記憶ステップと、
前記アドレス信号を入力して、発生させるためのPN符号の位相をずらすための複数のマスクコードパターンのうちの一部のマスクコードパターンであって、当該発生させるPN符号の位相を、前記連続した一部の位相におけるシフトコードパターンの記憶数の倍数だけずらすためのマスクコードパターンを記憶するマスクコードパターン記憶ステップと、
コードメモリからの出力信号とコードマスクメモリからの出力信号とを入力して、PN符号を生成して出力する位相シフトステップと、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の符号方式による光無線通信方法。
【請求項5】
前記第2符号発生ステップは、
受信側基準クロック信号を発生する受信側クロック発生ステップと、
前記受信側基準クロック信号及び前記位相同期回路からの出力信号を入力して、当該第2符号発生器から出力するPN(Pseudo Noise)符号の位相を確定するアドレス信号を生成して出力する比較ステップと、
前記アドレス信号を入力して、線形帰還シフトレジスタを動作させたときに各フリップフロップに与えられる複数の位相におけるシフトコードパターンのうちの連続した一部の位相におけるシフトコードパターンを記憶するシフトコードパターン記憶ステップと、
前記アドレス信号を入力して、発生させるためのPN符号の位相をずらすための複数のマスクコードパターンのうちの一部のマスクコードパターンであって、当該発生させるPN符号の位相を、前記連続した一部の位相におけるシフトコードパターンの記憶数の倍数だけずらすためのマスクコードパターンを記憶するマスクコードパターン記憶ステップと、
コードメモリからの出力信号とコードマスクメモリからの出力信号とを入力して、PN符号を生成して出力する位相シフトステップと
を含むことを特徴とする請求項3に記載の符号方式による光無線通信方法。
【請求項6】
反転2値デジタル変調フォーマットの電気送信信号を、反転2値デジタル変調フォーマットの電気符号化信号で符号化して符号化送信信号を生成する符号化部と、
前記符号化送信信号を非反転2値デジタル変調フォーマットの光信号に変換するE/O変換器と
を具える送信装置、及び
前記非反転2値デジタル変調フォーマットの光信号を非反転2値デジタル変調フォーマットの電気受信信号に変換するO/E変換器と、
前記電気受信信号を反転2値デジタル変調フォーマットの電気復号化信号で復号化して復号化受信信号を生成する復号化部と、
前記復号化受信信号の、前記電気送信信号の伝送ビットレートを超えるビットレート周波数成分を除去して、再生受信信号を出力するローパスフィルタと
を具える受信装置
を具えることを特徴とする符号方式による光無線通信装置。
【請求項7】
前記符号化部は、
前記電気符号化信号を出力する第1符号発生器と、
排他的論理和演算EXOR(エクスクルシーブ・オア)ゲートの出力にインバータを接続して構成されるゲート回路であって、前記電気送信信号と前記電気符号化信号とが入力されて、該電気送信信号と該電気符号化信号との積信号である前記符号化送信信号を生成して出力する第1のEXNOR(エクスクルシーブ・ノア)回路を具える符号器と
を具えていることを特徴とする請求項6に記載の符号方式による光無線通信装置。
【請求項8】
前記復号化部は、
前記電気復号化信号を出力する第2符号発生器と、
排他的論理和演算EXOR(エクスクルシーブ・オア)ゲートの出力にインバータを接続して構成されるゲート回路であって、前記電気受信信号と前記電気復号化信号とが入力されて、該電気受信信号と電気復号化信号との積信号である前記復号化受信信号を生成して出力する第2のEXNOR(エクスクルシーブ・ノア)回路を具える復号器と
前記電気受信信号と前記電気復号化信号との位相を同期させる位相同期回路(PLL: Phase-locked loop)と、
を具えていることを特徴とする請求項6に記載の符号方式による光無線通信装置。
【請求項9】
前記第1符号発生器は、
線形帰還シフトレジスタを動作させたときに各フリップフロップに与えられる複数の位相におけるシフトコードパターンのうちの連続した一部の位相におけるシフトコードパターンを記憶するコードメモリ、
発生させるためのPN(Pseudo Noise)符号の位相をずらすための複数のマスクコードパターンのうちの一部のマスクコードパターンであって、当該発生させるPN符号の位相を、前記連続した一部の位相におけるシフトコードパターンの記憶数の倍数だけずらすためのマスクコードパターンを記憶するコードマスクメモリ、及び
前記コードメモリからの出力信号と前記コードマスクメモリからの出力信号とが入力されて、PN符号を生成して出力する位相シフト回路
を具えるPN符号発生器と、
送信側基準クロック信号を発生する送信側クロック発生器と、
前記送信側基準クロック信号が入力されて、当該第1符号発生器から出力されるPN符号の位相を確定するアドレス信号を生成して出力する比較器と
を具え、
前記アドレス信号が、前記コードメモリ及び前記コードマスクメモリに入力される構成とされている
ことを特徴とする請求項7に記載の符号方式による光無線通信装置。
【請求項10】
前記第2符号発生器は、
線形帰還シフトレジスタを動作させたときに各フリップフロップに与えられる複数の位相におけるシフトコードパターンのうちの連続した一部の位相におけるシフトコードパターンを記憶するコードメモリ、
発生させるためのPN(Pseudo Noise)符号の位相をずらすための複数のマスクコードパターンのうちの一部のマスクコードパターンであって、当該発生させるPN符号の位相を、前記連続した一部の位相におけるシフトコードパターンの記憶数の倍数だけずらすためのマスクコードパターンを記憶するコードマスクメモリ、及び
前記コードメモリからの出力信号と前記コードマスクメモリからの出力信号とが入力されて、PN符号を生成して出力する位相シフト回路
を具えるPN符号発生器と、
受信側基準クロック信号を発生する受信側クロック発生器と、
前記受信側基準クロック信号及び前記位相同期回路からの出力信号が入力されて、当該第2符号発生器から出力されるPN符号の位相を確定するアドレス信号を生成して出力する比較器と
を具え、
前記アドレス信号が、前記コードメモリ及び前記コードマスクメモリに入力される構成とされている
ことを特徴とする請求項8に記載の符号方式による光無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−49915(P2011−49915A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197562(P2009−197562)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【Fターム(参考)】