第三者に与えられる車両を制御するための方法及びシステム
第三者に与えられる車両を制御するための方法及びシステム。システムは、システム制御装置と、システム制御装置に結合されたモード表示デバイスと、システム制御装置に結合された認証装置とを含む。ここで、システム制御装置は、認可された運転者によるモード表示デバイスの作動時に、認可された運転者によるモード表示デバイスの作動停止まで、車両に運転制約を通信するようになされ、システム制御装置は、認可された運転者が認証装置によって認証されていない限り、モード表示デバイスの作動及び作動停止を制約するようになされ、運転制約が、始動の回数の制限、速度の制限、加速度の制限、時間の制限、距離の制限、ギアの制限、場所の制限及びそれらの組合せからなる群から選択される制限を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第三者に与えられる車両を制御するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
国立アルコール乱用・依存症研究所、No.25、PH351、1994年7月によれば、「疫学的研究が、米国での輸送安全に関するアルコールの影響の程度を明らかにしている。第1に、全交通事故死者数の40%(事故死の第一の原因)は、アルコール関連である。第2に、アルコールは、米国民間航空機墜落事故に直接には関与していないが、致命的な一般の航空墜落事故における操縦士によるアルコール関与の典型的な推定値は、10〜30パーセントの範囲である。第3に、沿岸警備隊レポートの最近の再調査が、船舶事故死者(船外に落ちた人を含む)の60パーセントでアルコール関与の可能性を示唆している。最後に、1990年の鉄道従業員の事故後試験では、3.2パーセントが、アルコール又は他の禁止薬物について陽性の試験結果であった。アルコール又は他の薬物関与のパーセンテージは、死者が含まれているときにはより高くなることがある。」
したがって、車、ボート、飛行機、バス、重機又は入口点のいずれであれ、酒気帯びの個人を試験する及び/又は酒気帯びの個人が車両又は他のデバイスを操作するのを妨げるように適合された方法及びシステムが必要である。
【0003】
安全に保護された設備へのアクセスを防止又は制限するために、またキーカード又はパスワードなど代替の形態のセキュリティの代用として、生体認証センサが使用されている。生物測定センサは、使用不可にする、改竄する又は回避するのが一般的に一層難しいので、しばしば、他の識別システムよりも優れているとみなされている。しかし、生物測定センサは、自動車及び他の車両の分野では、依然として広く受け入れられていない。これは、生物測定センサが高価であること、既存の車両と統合するのが難しいこと、又は操作が難しいことが理由であることがある。
【0004】
車両の操作は通常、キーのみを必要とする。パスコードに基づくセキュリティを追加する盗難防止デバイスが存在する。指紋スキャンなどの生体認証が不成功である場合に車両を使用不可にする、より先進の盗難防止デバイスが存在する。運転者の血中アルコールレベルが事前設定レベルを超える場合に車両を使用不可にする、限定的な独立型の飲酒検知器デバイスが存在する。
【0005】
車両制御システムは様々な側面で大きな欠点がある。例えば、各要素を互いに連係するただ1つの個別システムは存在しない。例えば、飲酒検知器試験と生体識別とを要求することは、現在、2つの異なるシステムを必要とし、これらは冗長であり、費用がかかり、必ずしも両立性があるわけではない。
【0006】
また、アルコール試験などの物質試験は、典型的には、飲酒及び麻薬の影響下での運転(DUI)と関連付けられるが、また、医学、職場安全性、保護観察監視などにも関連付けられることがある。息及び生体外(例えば、血液及び唾液)物質測定方法が、現在、人体中の物質の濃度を相関させる(決定する)ために使用されている。息及び生体外物質測定技法は3つの重要な制限を受ける。すなわち、それらの技法は、生物災害の問題をもたらす体液の取扱いを必要とし、試験管理者による或る程度の直接的な被験者監視を必要とし、実際にリアルタイムでは人体中の物質の濃度を測定しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、生物災害安全性を改善する並びに/又は非監視及び/又は実際にリアルタイムでの試験を提供することができる、非侵襲性及び/又は生体内物質試験のための方法及びシステムが必要である。更に、試験を自動化するため、詐欺及び/又は試験中の監視の必要性を低減及び/又はなくすため、かつ/又は車、ボート、飛行機、バス、重機、又は入口点のいずれであれ、酒気帯びの個人が車両又は他のデバイスを操作するのを防止又は制限するために、生物測定センサなどの認証装置と組合せ可能であり得る方法及びシステムの必要性がある。生物測定センサと物質試験システムとの結合は、同時及び/又は実質的に同時の認証と物質評価のために、できるだけ近づけるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの実施の形態の態様は、人の組織中の物質の濃度の非侵襲性及び/又は生体内試験のための特定(単一)の波長での光源(例えば、LED)、水銀キセノンアークランプ、タングステンハロゲンランプ又はダイオードレーザ)を対象とする。本発明の一つの実施の形態の別の態様は、非侵襲性及び/又は生体内物質分析のための2つ以上の特定の波長を対象とする。本発明の一つの実施の形態の別の態様は、人の組織中の物質の濃度の比較及び/又は測定に関するベース読み取り及び後の読み取りを対象とする。本発明の一つの実施の形態の別の態様は、同時及び/又は実質的に同時の認証と物質評価のために生物測定センサを物質センサと近位位置で結合する。本発明の一つの実施の形態の別の態様は、第三者(例えば従者(valet))に与えられる車両を制御するための方法及びシステムを提供する。
【0009】
本発明の一つの実施の形態は、光源(例えば、ハロゲンランプ)と、構成された波長フィルタリングシステムにより試験試料(例えば、試験試料の一領域)を照射するためにハロゲンランプに取り付けられた光ファイバ束とを含む光学物質検出器を対象とする。所望の波長帯域が検出器に反射されて戻される。統計モデリング分析を含む評価により、試験試料の血中アルコール濃度(BAC)が、車両を操作するための法定制限に関して決定され、BACが法定制限範囲内にない場合、車両が使用不可にされる。
【0010】
本発明の一つの実施の形態は、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムを提供する。システムは、システム制御装置と、システム制御装置に結合された生体認証装置と、システム制御装置に操作者中の物質レベルを提供するようになされた物質検出デバイスとを含む。ここで、システム制御装置は、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合又は操作者が認証装置によって認証されない場合に車両に運転制約を通信するようになされ、物質レベルは操作者の末端部で決定され、また、操作者は末端部で認証され、末端部は、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び頭からなる群から選択される。
【0011】
一つの実施の形態では、システム制御装置は、更に、操作者が認証装置によって認証されていて操作者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するために車両と通信するようになされる。一つの実施の形態では、認証装置は指紋認証装置、顔認識認証装置、掌形認証装置、音声認証装置及びそれらの組合せからなる群から選択される生体認証装置を含む。一つの実施の形態では、認証装置は指紋センサを含み、操作者中の物質レベルは操作者の指の内部で生体内で決定される。一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、操作者中のアルコールレベルを検出するようになされる。
【0012】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスはブロードバンド検出器を含む。物質検出デバイスは、更に、ブロードバンド検出器に向けて特定波長帯域での光ビームを発するように構成された光源を含み、これは、反射光が検出器によって受け取られるように末端部に光ビームを導くことによって実現されることができる。特定波長帯域は約1300nm〜約2400nmの範囲内にある。この範囲は、約1400nm〜約1500nmの第1の範囲と、約1650nm〜約1750nmの第2の範囲と、約2200nm〜約2400nmの第3の範囲とからなる群から選択される。特定波長帯域は約1450nmにあってよい。ブロードバンド検出器は単一の検出器であってよい。単一の検出器はInGaAs検出器であってよい。一つの実施の形態では、末端部は指である。
【0013】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて導かれる第1の特定波長帯域での第1の光ビームと、ブロードバンド検出器に向けて導かれる第2の特定波長帯域での第2の光ビームとを含む。第1の特定波長帯域は、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にあり、第2の特定波長帯域は、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある。ブロードバンド検出器は単一の検出器であってよい。単一の検出器はInGaAs検出器であってよい。第1の特定波長帯域は約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、第2の特定波長帯域は約1650nm〜約1750nmの範囲内にある。代わりに、第1の特定波長帯域は約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、第2の特定波長帯域は約2200nm〜約2400nmの範囲内にある。
【0014】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて導かれる第1の特定波長帯域での第1の光ビームと、ブロードバンド検出器に向けて導かれる第2の特定波長帯域での第2の光ビームと、ブロードバンド検出器に向けて導かれる第3の特定波長帯域での第3の光ビームとを含む。ブロードバンド検出器は単一の検出器であってよい。第1の特定波長帯域は約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、第2の特定波長帯域は約1650nm〜約1750nmの範囲内にあり、第3の特定波長帯域は約2200nm〜約2400nmの範囲内にある。第1の特定波長帯域は約1450nmにある。一つの実施の形態では、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムは、更に、第1、第2及び第3の光ビームを提供するように構成された光源を含む。一つの実施の形態では、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムは、更に、光源とブロードバンド検出器との間に配設されていてブロードバンド検出器に第1、第2及び第3の特定波長帯域での第1、第2及び第3の光ビームを提供するようになされたフィルタリングシステムを含む。
【0015】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスが、PbS検出器、PbSe検出器、InAs検出器、InGaAs検出器、InSb検出器及びHgCdTe検出器からなる群から選択される単一のブロードバンド検出器と、単一のブロードバンド検出器に特定波長での光ビームを発するようになされた光源とを含む。一つの実施の形態では、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムが、更に、光源と単一のブロードバンド検出器との間に配設されて単一のブロードバンド検出器に特定波長帯域での光ビームを提供するようになされた波長フィルタリングシステムを含む。波長フィルタリングシステムは、光源よりも単一のブロードバンド検出器に近い距離に配設される。一つの実施の形態では、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムが、更に、光源と単一のブロードバンド検出器とに結合されたプラットフォームを含み、プラットフォームは、操作者の末端部の表面に接触するように構成され、操作者の末端部の表面の屈折率に実質的に等しい屈折率を有する。
【0016】
一つの実施の形態においては、車両は自動車を含む。自動車は貸自動車であってよい。一つの実施の形態では、車両は、航空機、大量輸送車両、船舶、産業機器並びに重機及び機器からなる群から選択される車両を含む。一つの実施の形態では、認証装置は指紋センサを含み、操作者中の物質レベルが操作者の指の内部の組織で生体内で決定される。一つの実施の形態では、物質検出デバイスは操作者中のアルコールレベルを検出するようになされる。
【0017】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスはブロードバンド検出器を含む。ここで、物質検出デバイスは、更に、ブロードバンド検出器に向けて特定波長での光ビームを発するように構成されたダイオードレーザを含み得る。ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。末端部は指であってよい。
【0018】
一つの実施の形態では、システムは更に、システム制御装置に結合されていて操作者の検証可能な信用証明を感知するようになされた信用証明センサを含む。ここで、システム制御装置は、認証装置によって認証された操作者が操作者の検証可能な信用証明に合致することを検証するようになされる。検証可能な信用証明は、運転免許証、RFIDタグ、スマートカード、クレジットカード、赤外線(IR)アダプタを含むキーホルダー、皮膚下インプラント及びそれらの組合せからなる群から選択される信用証明を含む。
【0019】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザとを含む。ここで、第1の特定波長は、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にあり、第2の特定波長は、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある。ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。
【0020】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第3の特定波長での光ビームを発するように構成された第3のダイオードレーザとを含む。ここで、ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器である。
【0021】
本発明の一つの実施の形態はタイムクロックシステムを提供する。システムは、システム制御装置と、システム制御装置に結合された生体認証装置と、システム制御装置にタイムクロックシステムの操作者中の物質レベルを提供するようになされた物質検出デバイスとを含む。ここで、物質レベルは操作者の末端部で決定され、また、操作者は末端部で認証され、末端部は、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び頭からなる群から選択される。一つの実施の形態では、システム制御装置は、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合又は操作者が認証装置によって認証されない場合に警告を発するようになされる。タイムクロックシステムは、更に、警告が発せられる時間を決定するようになされたタイムクロックを含む。
【0022】
一つの実施の形態では、システム制御装置は、操作者が認証されていて物質の濃度が許容レベルを超えない場合に操作者が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを許可するために建造物セキュリティデバイスと通信するようになされる。また、システム制御装置は、操作者が認証されていない場合又は物質の濃度が許容レベルを超える場合に操作者が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを制約するために建造物セキュリティデバイスと通信するようになされる。建造物アクセスデバイスは、操作者が建造物セキュリティデバイスへのアクセスを許可される時間を決定するようになされたタイムクロックを含む。
【0023】
本発明の一つの実施の形態は、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムを提供する。システムは、システム制御装置と、車両の操作者の第1の真皮位置で少なくとも1つの生物測定パラメータを検出し、操作者が認証されたことを示す認証出力を生成するようになされた生体認証装置と、第1の真皮位置の近位の第2の真皮位置で操作者中の物質のレベルを検出し、レベル出力を生成するようになされた物質検出デバイスとを含む。ここで、システム制御装置は、操作者が認証されない場合又は検出出力が事前選択された許容値を超える場合に車両の使用を選択的に制約するように、認証出力及びレベル出力に応じて動作する。一つの実施の形態では、操作者の第1の真皮位置は、操作者を生物測定学的に認証することが可能な位置である。一つの実施の形態では、操作者の第1の真皮位置は操作者の指紋のところである。
【0024】
本発明の一つの実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための方法を提供する。方法は、ダイオードレーザから組織内に特定波長での入射光ビームを発するステップと、ブロードバンド検出器を用いて、組織から反射された特定波長での入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された入射光ビームの測定された部分から、物質の特定波長での光ビーム吸収を決定するステップと、決定された光ビーム吸収から組織中の物質の濃度を計算するステップとを含む。ここで、組織は人の血液を含み、及び/又は物質はアルコールである。
【0025】
一つの実施の形態では、方法は、更に、生体認証装置及びシステム制御装置によって組織を評価されている人を認証するステップを含む。ここで、システム制御装置は、人が認証されていて物質の濃度が許容レベルを超えない場合に規制車両が動作するのを許可するために規制車両と通信するようになされる。システム制御装置は、人が認証されていない場合又は物質の濃度が許容レベルを超える場合に規制車両に操作制約を通信するようになされる。規制車両は自動車を含み得る。自動車は貸自動車であってよい。規制車両は、航空機、大量輸送車両、船舶、産業機器並びに重機及び機器からなる群から選択される車両を含み得る。
【0026】
システム制御装置は、人が認証されていて物質の濃度が許容レベルを超えない場合に人が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを許可するために建造物セキュリティデバイスと通信するようになされ得る。システム制御装置は、人が認証されていない場合又は物質の濃度が許容レベルを超える場合に人が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを制約するために建造物セキュリティデバイスと通信するようになされる。建造物アクセスデバイスは、人が建造物セキュリティデバイスへのアクセスを許可される時間を決定するようになされたタイムクロックを含む。生体認証装置は、虹彩認証装置、網膜認証装置、指紋認証装置、顔認識認証装置、掌形認証装置、音声認証装置及びそれらの組合せからなる群から選択される認証装置を含み得る。生体認証装置は、指紋センサを含み得る。
【0027】
一つの実施の形態では、ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器である。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。一つの実施の形態では、組織中の物質の濃度は、物質の特定波長での決定された光ビーム吸収のみを使用して計算される。一つの実施の形態では、特定波長は約1310nmであってよい。
【0028】
一つの実施の形態では、決定された光ビーム吸収からの物質の濃度は、第1の光ビーム吸収特性を有する物質の第1の濃度域と、第2の光ビーム吸収特性を有する物質の第2の濃度域とを使用することによって計算される。ここで、物質の濃度は、物質の第1の濃度域における物質の特定波長での光ビーム吸収に比例し、物質の濃度は、物質の第2の濃度域における物質の特定波長での光ビーム吸収には比例しない。第2の光ビーム吸収特性は実験的に決定されることができる。第1の光ビーム吸収特性は、
【0029】
【数1】
【0030】
によって決定され得る。ここで、λは特定波長であり、I0は入射光ビームの入射強度であり、Iは測定される透過強度であり、αは特定波長λの関数としての吸収係数であり、Lは組織を透過する入射光ビームの部分の質量経路長である。
【0031】
一つの実施の形態では、ダイオードレーザから組織内に特定波長での入射光ビームを発するステップは、組織を透過される入射光ビームの部分の質量経路長を2倍にするためにミラーに当たるように入射光ビームを発するステップを含む。一つの実施の形態では、ダイオードレーザから組織内に特定波長での入射光ビームを発するステップは、組織の第1の側に入射光ビームを発するステップを含み、組織を透過された入射光ビームの部分を測定するステップは、組織の第2の側から組織を透過された入射光ビームの部分を測定するステップを含み、第2の側は第1の側と反対である。
【0032】
一つの実施の形態では、ダイオードレーザから組織内に特定波長での入射光ビームを発するステップは、組織の第1の側から組織の第2の側に向けて入射光ビームを発することを含み、組織を透過された入射光ビームの部分を測定するステップは、組織の一部分を透過されて組織の第1の側へ戻るよう反射される入射光ビームの部分を測定するステップを含む。
【0033】
一つの実施の形態では、ダイオードレーザは、ダブルへテロ構造レーザダイオード、量子井戸レーザダイオード、分散帰還型レーザダイオード、垂直共振器型の面発光レーザ(VCSEL)ダイオード及び垂直外部共振器型の面発光レーザ(VECSEL)ダイオードからなる群から選択されるダイオードを含む。一つの実施の形態では、組織は人の指の内部にある。一つの実施の形態では、特定波長は赤外(IR)波長である。
【0034】
本発明の一つの実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための方法を提供する。方法は、第1のダイオードレーザから組織内に第1の特定波長での第1の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第1の特定波長での第1の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第1の入射光ビームの測定された部分から、物質の第1の特定波長での第1の光ビーム吸収を決定するステップと、第2のダイオードレーザから組織内に第2の特定波長での第2の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第2の特定波長での第2の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第2の入射光ビームの測定された部分から、物質の第2の特定波長での第2の光ビーム吸収を決定するステップと、決定された第1の光ビーム吸収及び決定された第2の光ビーム吸収から組織中の物質の濃度を計算するステップとを含む。一つの実施の形態では、組織中の物質の濃度は、物質の第1の特定波長での決定された第1の光ビーム吸収と、第2の特定波長での決定された第2の光ビーム吸収とのみを使用して計算される。
【0035】
一つの実施の形態では、方法は、更に、第3のダイオードレーザから組織内に第3の特定波長での第3の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第3の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第2の入射光ビームの測定された部分から、物質の第3の特定波長での第3の光ビーム吸収を決定するステップとを含む。ここで、組織中の物質の濃度を計算するステップは、決定された第3の光ビーム吸収から組織中の物質の濃度を計算するステップをも含む。一つの実施の形態では、組織中の物質の濃度は、物質の第1の特定波長での決定された第1の光ビーム吸収と、第2の特定波長での決定された第2の光ビーム吸収と、第3の特定波長での決定された第3の光ビーム吸収とのみを使用して計算される。
【0036】
一つの実施の形態では、第1の特定波長は、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長であり、第2の特定波長は、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長である。一つの実施の形態では、組織から反射された第2の特定波長での第2の入射光ビームの部分が、組織から反射された第1の特定波長での第1の入射光ビームの部分が測定された後に測定される。一つの実施の形態では、組織から反射された第1の特定波長での第1の入射光ビームの部分と、組織から反射された第2の特定波長での第2の入射光ビームの部分とが、同じブロードバンド検出器を用いて測定される。ここで、同じブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。
【0037】
本発明の一つの実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための方法を提供する。方法は、ダイオードレーザから組織内に特定波長での第1の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された特定波長での第1の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された入射光ビームの測定された部分から、物質の特定波長での第1の光ビーム吸収を決定するステップと、或る時間間隔後にダイオードレーザから組織内に特定波長での第2の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された特定波長での第2の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第2の入射光ビームの測定された部分から、物質の特定波長での第2の光ビーム吸収を決定するステップと、特定波長での決定された第1の光ビーム吸収と特定波長での決定された第2の光ビーム吸収とから組織の変化の特性を決定するステップとを含む。
【0038】
一つの実施の形態では、方法は、更に、組織の変化の決定された特性から、或る時間間隔後に組織中の物質の濃度を計算するステップを含む。ここで、決定された光ビーム吸収からの物質の濃度は、第1の光ビーム吸収特性を有する物質の第1の濃度域と、第2の光ビーム吸収特性を有する物質の第2の濃度域とを使用することによって計算される。物質の濃度は、物質の第1の濃度域における物質の特定波長での光ビーム吸収に比例し、物質の濃度は、物質の第2の濃度域における物質の特定波長での光ビーム吸収には比例しない。第2の光ビーム吸収特性は実験的に求められる。
【0039】
一つの実施の形態では、特定波長は、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にある。一つの実施の形態では、特定波長は、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある。一つの実施の形態では、組織は人の血液を含み、及び/又は、物質はアルコールである。一つの実施の形態では、組織は人の指の内部に位置する。
【0040】
一つの実施の形態では、ダイオードレーザは、ダブルへテロ構造レーザダイオード、量子井戸レーザダイオード、分散帰還型レーザダイオード、垂直共振器型の面発光レーザ(VCSEL)ダイオード及び垂直外部共振器型の面発光レーザ(VECSEL)ダイオードからなる群から選択されるダイオードを含む。
【0041】
一つの実施の形態では、組織から反射された特定波長での第1の入射光ビームの部分と、組織から反射された特定波長での第2の入射光ビームの部分とが、ブロードバンド検出器を用いて測定される。ここで、ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。一つの実施の形態では、組織は人の指の内部に位置する。
【0042】
本発明の一つの実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための方法を提供する。方法は、第1のダイオードレーザから組織内に第1の特定波長での第1の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第1の特定波長での第1の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第1の入射光ビームの測定された部分から、物質の第1の特定波長での第1の光ビーム吸収を決定するステップと、第2のダイオードレーザから組織内に第2の特定波長での第2の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第2の特定波長での第2の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第1の入射光ビームの測定された部分から、物質の第2の特定波長での第2の光ビーム吸収を決定するステップと、第1の入射光ビームの発射から第1の時間間隔の後に第1のダイオードレーザから組織内に第1の特定波長で第3の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第1の特定波長での第3の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第3の入射光ビームの測定された部分から、物質の第1の特定波長での第3の光ビーム吸収を決定するステップと、第2の入射光ビームの発射から第2の時間間隔の後に第2のダイオードレーザから組織内に第2の特定波長での第4の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第2の特定波長での第4の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第4の入射光ビームの測定された部分から、物質の第2の特定波長での第4の光ビーム吸収を決定するステップと、第1の特定波長での決定された第1の光ビーム吸収と第1の特定波長での決定された第3の光ビーム吸収とから、組織の変化の第1の特性を決定するステップと、第2の特定波長での決定された第2の光ビーム吸収と第2の特定波長での決定された第4の光ビーム吸収とから、組織の変化の第2の特性を決定するステップとを含む。
【0043】
一つの実施の形態では、方法は、更に、組織の変化の第1の決定された特性と組織の変化の第2の特性とから、第1及び第2の時間間隔の後に組織中の物質の濃度を計算するステップを含む。一つの実施の形態では、第1の時間間隔は第2の時間間隔に実質的に等しい。
【0044】
一つの実施の形態では、方法は、更に、第3のダイオードレーザから組織内に第3の特定波長での第5の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第5の特定波長での第5の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第5の入射光ビームの測定された部分から、物質の第3の特定波長での第5の光ビーム吸収を決定するステップと、第5の入射光ビームの発射から第3の時間間隔の後に第3のダイオードレーザから組織内に第3の特定波長での第6の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第6の特定波長での第6の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第6の入射光ビームの測定された部分から、物質の第3の特定波長での第6の光ビーム吸収を決定するステップと、第3の特定波長での決定された第5の光ビーム吸収と第3の特定波長での決定された第6の光ビーム吸収とから、組織の変化の第3の特性を決定するステップとを含む。ここで、方法は、更に、組織の変化の第1の決定された特性と、組織の変化の第2の特性と、組織の変化の第3の特性とから、第1、第2及び第3の時間間隔の後に組織中の物質の濃度を計算するステップを含む。
【0045】
本発明の一つの実施の形態は、第三者に与えられる車両を制御するためのシステムを提供する。システムは、システム制御装置と、システム制御装置に結合されたモード表示デバイスと、システム制御装置に結合された認証装置とを含む。ここで、システム制御装置は、認可された運転者によるモード表示デバイスの作動時に、認可された運転者によるモード表示デバイスの作動停止まで、車両に運転制約を通信するようになされ、システム制御装置は、認可された運転者が認証装置によって認証されない限り、モード表示デバイスの作動及び作動停止を制約するようになされ、運転制約は、始動の回数の制限、速度の制限、加速度の制限、時間の制限、距離の制限、ギアの制限、場所の制限及びそれらの組合せからなる群から選択される制限を含む。
【0046】
一つの実施の形態では、システムは、更に、システム制御装置に結合されていてシステム制御装置に第三者中の物質レベルを提供するようになされた物質検出デバイスを含む。ここで、システム制御装置は、更に、第三者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するために車両と通信するようになされる。システム制御装置は、更に、第三者中の物質レベルが許容レベルを超える場合に車両に別の運転制約を通信するようになされる。運転制約は、車両の最高速度を制限するように車両の車両バスを介して送信されるようになされたコマンドを含み、別の運転制約は、車両が始動するのを阻止するように車両の車両バスを介して送信されるようになされたコマンドを含む。
【0047】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスはブロードバンド検出器を含む。ここで、物質検出デバイスは、更に、ブロードバンド検出器に向けて特定波長での光ビームを発するように構成されたダイオードレーザを含む。ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。末端部は指であってよい。
【0048】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザとを含む。ここで、第1の特定波長は、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にあり、第2の特定波長は、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある。ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。
【0049】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第3の特定波長での光ビームを発するように構成された第3のダイオードレーザとを含む。ここで、ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器である。
【0050】
一つの実施の形態では、運転制約は、更に、作動可能な付属品の制限、開放可能なコンパートメントの制限及びそれらの組合せからなる群から選択される別の制限を含む。ここで、コントロールパネルは、更に、制限が超えられている場合に、指定された個人に遠隔で通知するために携帯電話にメッセージを送信するようになされ、及び/又は、コントロールパネルは、更に、認可された運転者が車両の制御を再設定するときに制限が超えられている場合に、認可された運転者に通知するために警告を発するようになされる。一つの実施の形態では、第三者は従者である。
【0051】
添付図面は、本明細書と共に、本発明の例示的な実施の形態を例示し、本説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。本特許又は出願書類は、カラーでなされた少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許又は特許出願公開のコピーは、要求して必要な料金を支払うと、特許庁から提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下の詳細な説明では、本発明の幾つかの例示的な実施の形態のみが、例として図示されて説明される。当業者は理解するように、説明される例示的な実施の形態は、様々な形で変更され得、それらは全て、本発明の精神又は範囲から逸脱しない。したがって、図面及び説明は、性質上、例示とみなされるべきであり、限定的なものではない。
【0053】
本発明の一つの実施の形態で想定されるように、運転者カード識別システムが提供される。システムは、とりわけ、車両の操作を制約及び実施するために、検証可能な信用証明と組み合わせて個人バイオメトリクスを使用することを可能にする。システムは、認可された運転者に対する制約を可能にし、盗難防止を提供し、運転及び/又は免許法の順守を保証し、親による、あるいは従者、サービス機関、指名運転者、友人、又は従業員など第三者に車両が与えられたときの、カスタマイズ可能な使用制御を提供する。更に、システムは、人の運転の癖について、及び誰が特定の時間に運転していたかについて、安全に保護された、暗号化された、検証可能な統計情報を提供する。更に、システムは、アルコール又は薬物の影響下での車両の運転を制約することもできる。
【0054】
本発明の一つの実施の形態は、検証可能な信用証明と結合されたバイオメトリクスを使用することによって、車両の非認可使用を阻止又は防止するシステムを想定する。これは、検証可能な信用証明と組み合わせて、虹彩スキャン、網膜スキャン、指紋スキャン、顔認識スキャン、掌形スキャン又は音声認証などの生体検証を要求することによって達成され得る。検証可能な信用証明は、バーコードや磁気ストライプを有する運転免許証、RFID、スマートカード、クレジットカード、赤外線アダプタを含むキーホルダー、皮膚下インプラント、又は信頼される発行源によって発行された他の信用証明であってよい。更に、そのようなシステムは、時刻、曜日、特定の期間中に運転された時間、運転状況、場所、乗員の数又は乗員の状態、政府発令警告状態、或いは計画された経路又は目的地に基づいて、車両を始動又は運転するための要件を調節することを含むことができる。そのようなシステムは、様々な形で実装され得る。一実装形態は、入力として生体認証装置と信用証明リーダとを受け入れるソフトウェア及びハードウェアベースの改竄防止制御モジュール(又はシステム制御装置)の使用によるものである。制御モジュールは車内にデータベースを含み、又はワイヤレス接続を介してデータベースに接続され得る。制御モジュールは、生体認証が検証可能な信用証明に合致すること、並びに信用証明及び/又は認証が有効であることを検証することができる。検証の結果に基づいて、制御モジュールは、車両コンピュータと通信することができ、車両が始動するのを許可し、或るいはデータベース又はワイヤレス接続から受信されるものを含めた運転制約を通信する。また、制御モジュールは、検証、データベースからの情報、又はワイヤレス接続からの情報に基づいて、エラーを報告し、又は追加の信用証明を要求し得る。
【0055】
本発明の別の実施の形態は、アルコール又は薬物に関する検出システムと結合されたバイオメトリクス及び/又は検証可能な信用証明を使用することによって、車両の非認可使用を阻止又は防止するシステムを想定する。そのようなシステムは、特定の運転者又は運転者のクラスに、その者の生物測定スキャンに基づいた飲酒検知器をパスすることを要求することを含むことができ、及び/又は生体識別から得られる情報を使用して車両の使用を制約することができる。例えば、網膜スキャナは、人がアルコール又は薬物の影響下にあることを識別することができる。これは、アルコール及び何らかの薬物の影響下にある人においては、影響下にないときの同じ人と比べて、スキャンされる網膜パターン又は血管パターンが異なるからである。更に、瞳孔拡張試験が、光のビームが目に当てられたときに瞳孔が拡張する速度及び程度を測定することによって酒気帯びを判定するために行われ得る。網膜パターン又は瞳孔拡張のこの変化は定量化可能であり、又は予期されるパターンからの偏差のパーセントとして測定され得る。偏差が許容値を超える場合、車両は、制約され、或いは操作者への電話、警察官の出動、又は飲酒検知器など代替の飲酒していないことの証明など、代替形態の検証を必要とする。例えば、アルコールの影響下にある運転者が、網膜スキャンを使用して自分の身分証明を検証することを試みる場合、システム内のフラグを起動して、(例えば、ワイヤレス通信を介して警察官又は家族に通知することによって)酔っていないことを証明するようにその者に要求する、車両を使用不可にする、又は車両の速度若しくは経路を制限することができる。バイオメトリクスと物質検出とのそのような結合は、異なる個人に関して異なる検出しきい値及び応答を設定できるようにするので有益である。また、友人や乗員が標準点火ロックアウト飲酒検知器に息を吹きかけることによって飲酒検知器をごまかして、酒気帯びの運転者に運転させることができる可能性を低減する。許容値は、状態毎に制御することができ、又は特定の運転者に対して、その者の信用証明に許容値レベルを記憶することによってカスタマイズすることができる。許容値レベルのカスタマイズは、視力が変化していることがある高齢者など特定の運転者が、その者のスキャン弁別が何らかのパーセンテージを超えた場合に運転することを認可されるようにすることができる。警察官からのオーバーライドコードなど代替の証明が提供される場合、オーバーライドする警察官のバッジ番号など、そのコードに関する任意の情報がログに記憶される。
【0056】
本発明の別の実施の形態は、物質検出器としても、また信用証明検証装置としても機能することができるハンドヘルド生体識別デバイスを想定する。ハンドヘルド型のバイオメトリクスデバイスは、ポータブル網膜スキャナ、指紋スキャナ、音声分析器、虹彩スキャナ、RFIDリーダ、顔認識スキャナ又は掌形スキャナを含み得る。そのようなデバイスは、交通違反取締り中に、又は高い信頼性の識別が望まれる場合に、いつでも、警察官によって使用され得る。デバイスは、電源又は電池、生体認証装置、状態検出器又は信用証明認証装置を含み得る。更に、デバイスは、データベース、又はデータベースへのワイヤレスアクセスを含むことがある。更に、ハンドヘルドデバイスは、生物測定情報、状態情報、信用証明情報又はログをダウンロードするために、車両制御モジュールと通信することができる。例示的な実施の形態では、ハンドヘルド生体識別デバイスは信用証明認証装置を含み、1つの代表的な実施の形態ではバーコードリーダに結合された生体認証装置を、1つの代表的な実施の形態では網膜スキャナを含む。警察官など政府当局は、人の運転免許証及び/又は保険カードを読取器に通し、網膜スキャンを行うことができる。次いで、デバイスは、免許証、保険カード及び網膜スキャンをクロスチェックして、個人の身分証明を認証することができる。更に、システムは、信用証明が現在有効であることを確認するために信用証明をデータベースと突き合わせて検証することもでき、その個人を更に引き留める理由があるかどうか確認するために警察車内のものなどコンピュータとインターフェースすることもできる。
【0057】
本発明の別の実施の形態は、生体識別の使用によって車両の親制御を可能にするシステムを想定する。例えば、親は、自分の子のみが車を運転することができ、車を第三者に貸すことができないことを保証するために、そのようなシステムを使用することができる。同様に、そのようなシステムを使用する親は、速度、経路、停止の回数など運転統計のログを閲覧することができる。そのようなシステムをバイオメトリクスと結合することによって、親は、車両を運転する人が自分の子であることを確認することができる。更に、GPSに結合されたバイオメトリクスの使用によって、親は、自分の子が学校の行き帰りなど特定の経路のみを運転することを許すことができる。また、ピン番号、パスワード又は遠隔認可の使用によって、遠隔から、システムが任意選択でリセットされ得、又は運転特権が増やされることもある。親制御システムは、複数の「ホーム位置」をプログラムすることができ、それによりシステムは、車両が各位置からどれだけ離れているかを追跡することができる。また、車両にSMSメッセージ又は通信を送信することによって、車両を家に「呼び戻す」こともできる。車両は、呼び戻される場合、運転者が家へのコースから逸脱するのを制約することができる。逸脱した場合には、速度を制限する、或る電話番号への電話接続を開く、又はなぜ逸脱が生じたかを説明する応答メッセージを送信することを要求するなど、様々な強制措置が取られ得る。また、親制御システムは、子が酒気帯びである又は疲れているときに車両を操作するのを妨げるために、状態検出器と結合され得る。更に、システムは、経路、速度、停止、ブレーキの癖及び乗員の数のログを提供することもできる。更に、運転者が車両を操作するのを妨げるように、指定された時間中に運転時間が制約され得る。親制御に関しては、子が車両を駐車した後に授業時間中に車両を操作するのを妨げ得る。施策に対する例外を許すために、主要な個人又は他の個人が事前認可されてもよい。事前認可は、その個人の信用証明が親によってシステムに入力されることによって行われる。
【0058】
ログを分析し、設定をカスタマイズできるように、システムは任意選択でコンピュータに接続され、又は情報がワイヤレスでダウンロードされる。コンピュータソフトウェアプログラムが、システムに接続し、認証し、情報をダウンロードするように動作可能である。情報は、分析され、ウェブページに公開され、又は子や従業員など第三者の運転の癖のレポートを提供するために使用され得る。
【0059】
本発明の別の実施の形態は、政府、警察又は法執行機関によって特定の個人の運転特権を制約するためのシステムを想定する。例えば、或る個人は仕事の行き帰りに運転することのみを許されるが、その車両は他人にはそのような制限なしで使用され得る。したがって、そのようなシステムは、生体検証を使用して、特定の運転者に関する特定の運転制約を施行することができる。
【0060】
本発明の別の実施の形態は、第三者に与えられた車両の制御を可能にするシステムを想定する。第三者は、従者、サービス機関、指名ドライバー、友人又は従業員を含み得る。車両は、例えば、その速度、加速度、走行することができる時間又は距離、シフトすることができるギア、行くことができる場所、作動させることができる付属品、又は開けることができるコンパートメントを制限することによって、制約された機能で動作するように構成されることができる。認可された運転者が車両の制御を再設定するまで又は適切な非従者キーが使用されるまで制約を保持するために、時間遅延従者ボタン又はシステムが活動化され得る。従者は、生体識別を行うことを要求されないことがあり、しかし車両へのアクセスは制約される。また、従者オプションは、限られた回数の更なる始動を含むこともあり、それにより従者は、必要とされる場合に車を動かす能力を有する。従者が、始動の回数又は他の制約を超えることを試みる場合、車両は、警告を発することができ、任意選択で、例えば携帯電話にSMSメッセージを送信することによって、指定された個人に遠隔で通知することができる。そのようなシステムが作動されるとき、音が発せられ、又は視覚的警告が提供されてもよい。また、システムは、任意選択で、ピン番号又はパスワードの使用によってリセットされ得る。この態様は、運転者間での操作簡易性を保証するために、生体識別及び/又は信用証明検証と結合される。
【0061】
また、システムは、飲酒検知器、非侵襲性の指スキャン、心拍数モニタ、脳活動モニタ、又は運転者の状態を検出するための他のデバイスなど状態検出器と結合され得、それらの状態に基づいて運転を制約し、例えば、心臓発作の発生又は疲れている運転者を検出する、或いは運転者の逆上(road rage)を防止する。
【0062】
本発明の別の実施の形態は、生体検証又は検証可能な信用証明に基づいて運転制約を施行するようになされたシステム及び方法を想定する。車両は、運転者の身分証明に基づいて、何らかの指定された道路、路地を走行するように、又は特定の駐車場に駐車するように装備されることができる。生体検証又は検証可能な信用証明に基づいて、調速機又は他の速度制御デバイスの使用によって速度が制限され得る。素行の悪い運転履歴を持つ運転者は、そのような生体識別に基づいて、速度又は経路を制限するように要求される。同様に、政府が必要と判断する場合には、運転者の信用証明が無効にされ、或いは違反された場合に車両がログを取り或いは保存及び/又は送信するといった制約を運転者に課すこともできる。
【0063】
本発明の別の実施の形態は、警察、レッカー車、及び緊急要員など認可された個人による使用のためのマスターオーバーライド機能を想定する。車両の生物測定オーバーライド機能が使用可能にされているとき、車両は、光を発する、音を発する、又はデータベースもしくは警告システムとワイヤレスで通信することができる。
【0064】
本発明の別の実施の形態は、バイザーに取り付けられるバイオメトリクスデバイスを想定する。そのようなデバイスは、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、マイクロフォン及び/又はカメラであってよい。バイザーは、一般には運転者から固定の距離にあるので、そのようなデバイスにとって特に良好な位置にあり、ミラー又はライトを含み得、運転者からの高さ又は距離に関するスイベル又は調節機構を含み得、化粧又は盗難防止目的のために容易に積み込むことができる。また、バイオメトリクスデバイスは、車両が使用中である間、あるいは運転者側ドアが開かれているとき、又は新たな運転者が車両に入ったことをセンサが検出したときに、動作を継続することもできる。また、そのようなバイザー取付け式のバイオメトリクスデバイスは、運転者を検証することを保証することによってカージャックを防止することができる。バイザー取付け式のバイオメトリクスデバイスは、バイオメトリクスシステム全体、又はカメラなどただ1つの要素を含むことができる。バイオメトリクスデバイスを駆動する論理及び回路は、バイザーに位置される必要はない。また、バイオメトリクスシステム又は全システムの状態又は正常動作を示すよう、バイザーは一連のLEDを備えてもよい。また、バイザーは、網膜、虹彩、又は瞳孔スキャナの場合にバイオメトリクスデバイスの位置合わせを助けるために、LCDディスプレイを備えることもできる。また、バイザーにあるLCDは、現行の運転者又はシステムに関する状態情報を表示することもでき、これは、ダッシュボード空間が限られ得る既存の車両に後付けするのに特に有益である。また、認証を行うため、又はシステムの音声作動制御のために、バイザーにマイクロフォンを備えてもよい。
【0065】
本発明の別の実施の形態は、ジョイスティック、アイトラッカー、又は音声制御式の操縦又は運転制御システムなどの代替の運転デバイスに結合されたバイオメトリクス認証システムを想定する。そのようなシステムは、ジョイスティックに位置決めされた指紋スキャナ、又は運転者認証を提供することに加えて運転の態様を制御するために目の動きを追跡する働きもする網膜スキャナを含むことができる。また、音声作動式の生体識別装置が、ラジオなど車両機能の音声作動のために使用されてもよい。
【0066】
本発明の別の実施の形態は、追跡中、又は車両が路肩に寄せられたときに、生体検証又は信用証明情報を法執行官にワイヤレスで送信できるようになされたシステム及び方法を想定する。そのような送信は、システムによって暗号化され、ハンドヘルドシステム又は法執行官の車内に位置されたシステムによって解読され得る。法執行官は、システムから任意のログをワイヤレスでダウンロードすることができ、或いは、車内で信用証明にクロスチェックされる生物測定スキャンを行うことによって、車両の現行経路、速度、又は運転者を含めた任意のログを閲覧することができる。また、情報は、更なる分析のために中央位置に中継され得る。
【0067】
本発明の別の実施の形態は、生体検証及び信用証明情報を、車両衝突の場合に運転者間で簡単に通信できるようになされたシステム及び方法を想定する。そのような通信は、個人が偽りの情報を提供することを防止し、情報の速度及び精度を提供する助けとなる。情報は、ワイヤレスで通信され得、又は紙レポートをシステムに取り付けられた車内プリンタから印刷してもよい。また、情報が保険会社又はDMVにワイヤレスで送信されて、レポートが生成されてもよい。
【0068】
本発明の別の実施の形態は、生体検証及び信用証明情報を、ひき逃げ事故に関与した車両によって受信及び記憶できるようにするようになされたシステム及び方法を想定する。更に、そのような情報は、プライバシーを保護するように暗号化され、それを復号することができるDMV又は警察署などの法執行機関に渡され得る。そのようなシステムは、事故又は犯罪現場の視覚的なスナップ写真を提供することができ、当事者及び目撃者を突き止めることができる能力を高める。また、警察は、以前にどの経路が走行されていたかを遡る、又は引き出すこともできる。経路は、暗号化された様式で記憶され得、又は信頼性を確かめるためにチェックサムが計算され得る。
【0069】
本発明の別の実施の形態は、車両の以前の運転者のログを保持するようになされたシステム及び方法を想定する。情報はシステム内に記憶され、特定の間隔でワイヤレスで送信され、車が始動される度に、又はブレーキが踏まれる度に送信され、或いは車両更新中など固定の間隔で送信されることができる。
【0070】
想定されるように、本発明の別の実施の形態は、更に、異なる個人に、その者が走行している場所又は目的に基づいて異なる使用料を課金することを含む。低コストで特定の場所まで運転し、高いコストで他の場所まで運転することを特定の個人に認可するために、利用回数制支払いの補充可能な信用証明が使用され得る。例えば、職場への運転は低コストで課金され、バーへの運転は高いコストで課金される。そのようなコストは、独立型のキオスクで支払われ、或いは運転者の口座に直接請求される。
【0071】
本発明の別の実施の形態は、特定の顧客へのプレミアム駐車場など所望のサービスを提供するために、生体検証又は信用証明情報を駐車場係員又は自動システムに送信できるようになされたシステム及び方法を想定する。
【0072】
本発明の別の実施の形態は、車両に入る全ての個人に関する生体識別及び/又は信用証明情報を必要とするようになされたシステム及び方法を想定する。そのような情報は、車内の個人に基づいて特定の道路への進入を制約することによって自動車相乗りを奨励するため、テロリズムを防止するため、又は乗員の行程に基づいて各乗員に課金又は借方に記入するために使用することができる。
【0073】
本発明の別の実施の形態は、ワイヤレス車両監視システムを想定する。監視システムは双方向又は一方向での衛星接続を含むことができる。ワイヤレス接続は、免許及び保険情報の定期的な更新を提供することができる。更に、システムは、特定の日/時間に電源投入する、又はワイヤレス通信を受信するように構成され、或いは常時監視するように構成されることもできる。また、システムは、ブルートゥースを介することを含め、携帯電話を介して通信することもできる。ワイヤレス更新の提供は、システムが、有効な運転免許証又は保険カードを読取器に通す必要なく作動できるようにする。これは、そのような情報が、システム内に既に記憶されており、運転者の生物測定情報に合致されているからである。更に、システムは、SMSメッセージを含めたターゲット通信を受信することが可能である。通信は、システムによって解釈されることができ、信頼性の初期検証又はキー交換時に、車両の速度を減速する、車両を停止する、警笛又は光を発する、或いは免許停止中の運転免許証など検証される信用証明の変更を反映するようにシステムを更新するなど、メッセージに含まれる操作を行うことができる。
【0074】
本発明の別の実施の形態は、保険料率及び運転税を、車両の運転者の運転の量又はタイプに連係させるためのシステム及び方法を想定する。無制限使用プラン、総マイル数限定プラン、単一運転者プラン、異なる価格での超過マイル数を含むプランを含む様々なプランが購入され得る。保険料率は、システム内にログされた情報に基づいて設定され得る。この目的を達成するために、保険会社にログが送信され、又は概要レポートが生成及び送信される。また、保険IDカードに含まれる情報が、運転制約を施行するために使用されることもある。例えば、運転者が、その者のプランでのマイル数を超える場合、何らかの経路に関して制約され得る。同様に、トップアップカードが購入され、又は運転者の口座への課金が認可され得る。低い総マイル数、低い平均速度、安全な経路、低交通量の経路で、又は平均して高い乗員数で運転する運転者は、クレジット、ディスカウント、又は商品と引き換え可能なポイントを与えることによって報奨を受けることができる。
【0075】
本発明の別の実施の形態は、使用が簡単な音声応答システムを想定する。システムは、可聴プロンプトを提供することができ、コマンドを受け入れるために音声認識を含む。運転者が車両に入るとき、システムは運転者に挨拶し、運転者に、その者の信用証明及び生物測定情報を提供するように促す。クロスチェックを行うことができ、データベースが問合せされる。検証が成功した場合、運転者は更に挨拶され、ラジオ又は他の車内デバイスに関して事前設定が設定され、車両が使用可能にされる。検証が不成功である場合、運転者には追加の試行が与えられ、その後、車両から離れるように促される。運転者が車両から離れない場合、アラームが発せられ、又は指定された人又は警察が通知を受けることができる。
【0076】
また、運転者は、経路に関するガイダンス、又は店を見つける支援を要求することもできる。運転者に基づいて広告が提示され、クーポンが提供されることもできる。例えば、特定の経路に沿って、又は或る半径範囲内でドライクリーニング店を探している個人には、クーポンを含むオプションのリストが提示される。広告者は、より良い掲載位置又は更なる詳細事項を含めたプレミアム掲載の対価を支払うことに同意することができる。
【0077】
しかし、本発明の実施の形態は自動車に制限されない。例えば、本発明の適切な実施の形態は、トラック、飛行機、貨車、ボート、エレベータ、地下鉄システム、高速車両、モータサイクル及び他の形態の輸送で使用することができる。このシステムは、例えばモータサイクルなどアウトドア用途での使用のために、防水フィルム又はボックス内に収容され得る。また、システムは、モータサイクルのダッシュボード内に統合され得る。また、システムは、貸自動車内で非認可の運転者を妨げるために使用されることもできる。
【0078】
上の適切な実施の形態の任意のものにおいて、運転席に誰かが座る度に、運転中に定期的に、法執行によって要求されるときに、パスワード、キーカード又は検証可能な信用証明など更なる形態の識別が失敗したときに、或いは、使用料又は制約される道路若しくは地域を入力するために認可が要求されるときに、生体検証を提供することが望ましい。
【0079】
上の適切な実施の形態の任意のものにおいて、生物測定情報は、暗号化されて地方当局に、送受信機/受信機ユニットに、又は衛星、セルラ若しくは他の受信局に、ワイヤレス方式を含めて送信され得る。
【0080】
所有者、親、従者、友人、警察官、レッカー車又は販売代理店など様々なレベルの信用証明が存在し得る。システムは、様々な信用証明に対して別々に応答するようにプログラムされ得る。信用証明には認可レベルが割り当てられ、異なる認可レベルが異なるアクションを許可する。例えば、警察官は、システムをオーバーライドし、又は他の運転者からのログを閲覧することを許可する高い認可レベルを有する。他方、従者は、低速で運転することを許可し、例えばトランクを開けるのを制約する低い認可レベルを有する。
【0081】
システムは、車両コンピュータと直接インターフェースするように構成され、或いは、ブルートゥースや他のワイヤレスプロトコルを介して、又は車両のODBC診断ポートを介して、又は点火もしくは始動器とのインターフェースによって直接的に通信することができる。
【0082】
想定されるように、本発明の幾つかの実施の形態は、車両へのアクセスを制御するために、生体識別を、有効な運転免許証及び有効な保険カードとクロスチェックすることを含む。一つの実施の形態では、運転者は、車両に入って自分の運転免許証及び保険カードをスキャンし、次いで生体識別を行う。システムは、運転免許証、保険カード及び生体識別に関する情報をクロスチェックする。クロスチェックが成功した場合、車は始動を許可される。例示的な実施の形態において、運転免許証及び保険カードに記憶される情報は、改竄防止スマートカードに記憶される。生物測定情報は、スマートカードに記憶された情報と突き合わせてクロスチェックされることができ、1つの代表的な実施の形態では、スマートカードに記憶された暗号化された車両始動コードをロック解除のキーとして使用することができる。
【0083】
想定されるように、生物測定情報を運転免許証及び保険カードとクロスチェックすることに加え、物質検出器(例えば、飲酒検知器、瞳孔拡張/網膜スキャナデバイス、IR検出デバイス)が、運転者が禁止物質の影響下にないことを検証するために使われる。
【0084】
想定されるように、本発明の一つの実施の形態は、無免許の、無保険の又は酔った運転者が車両を操作するのを妨げるようになされる。運転者が有効な保険を有し、有効な運転免許証を有し、酒気帯びでなく、且つ保険カード/運転免許証の人物と同一人物であることを検証するように運転者に要求することによって、道路を一層安全にすることができる。更なる利益として、そのようなシステムが実装されると、潜在的な窃盗犯は、認可された運転者ではなく、それゆえ車両を始動することができないので、車両盗難を減らすことになる。更に、そのようなシステムは、特定の人が車内にいた、又は或る時間に或る目的地にいたことを証明するために、正確なものとして、生成されたログを認証することができるので、犯罪を減らすことになる。更に、車両が犯罪に関与する場合、運転者が誰であったか、その者が犯罪現場の前後にどこに行ったかを突き止めるために、車両のログを検査することができる。更に、そのようなシステムは、酒気帯びの運転者が運転するのを妨げるように構成することができるので、酔った運転者を減らすことになる。これは、初期生体識別のために使用されるのと同じ網膜又は生物測定スキャナを使用することによって行うことができる。
【0085】
システムは、ユーザフレンドリであって操作が簡単であるように設計される。或る人が車を購入するとき、車両販売者は購入者にアクセスを認可する。これは、所有権コマンドの変更を行うことによって行われ得る。元の所有者又は自動車販売代理店は、例えば生物測定又は網膜スキャナによって車両に対して身分証明し、次いで、所有権を新たな人に譲渡することを(好ましくは音声作動コマンドによって)システムに通知する。次いで、元の所有者は車両から降り、新たな人が車両に入って自分の生体識別を行い、及び/又は自分の運転免許証若しくは保険カードを読取器に通す。次いで、システムは、前の所有者の権利を削除し、新たな所有者に権利を与えることができる。
【0086】
また、車両の現行の所有者は新たな運転者を追加することもできる。例えば、夫又は妻が自分の配偶者を追加することができる。これは、現行の所有者が、自分の生物測定情報を検証し、新たな運転者を追加するためのオプションを(好ましくは音声作動コマンドによって)選択することによって行うことができる。また、現行の所有者は、新たな運転者にどの権利を与えるかを指定することもできる。例えば、権利は特定の速度に制約され得、新たな運転者が追加の新たな運転者を加えることを許可されるかどうかを制約することができ、新たな運転者の特権に関する満了日を選択することもできる。次いで、新たな運転者が運転席に座って生体認証を行い、情報がシステムのメモリに保存される。
【0087】
想定されるように、本発明の幾つかの実施の形態は、身分証明の認証を提供し、状態試験を行うという二重の目的のために生物測定デバイスを使用することを含む。網膜スキャナは、例えば、特定の運転者が誰であるかを識別するのみならず、その者が酔っていないことを保証するためにも使用され得る。個人が飲酒しているとき、目の中の血管パターンが膨張又は変化する。個人が車両に元々追加されているとき、その者の網膜スキャンは、おそらく、酒気帯びでない状態でのその者の血管パターンを捕捉している。後に酒気帯びの場合には、血管パターンはその者の元の記憶された血管パターンに合致しない。したがって、そのようにして、網膜スキャナは、識別のみならず、個人が酒気帯びであることを判定するためにも使用されることができる。同様に、個人の身分証明を記録しながら瞳孔拡張試験を行うために、カメラ及びライトを使用することもできる。ライトは車内灯又はバイザーにあるライトであってよい。
【0088】
また、元の生物測定情報も、検証可能な信用証明に記憶され得る。例えば、網膜スキャン又は指紋スキャンが、自動車局又は別の認可された場所で取られ、信用証明に記憶される。このとき、この記憶されて検証された信用証明は、車両の運転者が有効な保険及び運転免許証を有する人であることを保証するために、車両が始動されるときに得られる生物測定情報と突き合わせてクロスチェックされることができる。
【0089】
親制御のために使用される場合、システムは親の要求でカスタマイズされ得る。一つの実施の形態では、システムはピンコード又はパスワードを親として識別する。ピンコードを入力できない任意の運転者は子として扱われる。親は、情報をタッチスクリーンディスプレイでの入力、キーボードによる入力、音声作動コマンドを用いる入力、別のコンピュータで情報を事前プログラミングしてその情報をシステムに通信することによる入力、又はワイヤレス通信リンクを介する入力によって、車両が運転されてよい時間を設定することができる。システムは動的であり、車両の特性を親が遠隔で制御できるようにすることができる。親が運転者と話すことができ、或いは、親が、最大速度の設定や車両への特定経路遵守の要求を含む運転制約を遠隔で実施することができるよう、通信リンクが開かれる。これは、自動運転システムや、子が経路から外れたときのインジケータの提供を含み得る。また、システムは、ラジオを遠隔制御することができ、或いは、例えばウェブカムを使用することによってワイヤレス接続を介して道路又は乗員室を親に表示するカメラを始動することもできる。親は、システムに遠隔でアクセスすることを望む場合、自分の電話でピンコードを入力し、又はパスワードを音声入力するように要求される。コンピュータリンクを介して行われる場合、親は、生体識別を行い、又は自分のコンピュータでパスワードを入力するように要求される。親は、遠隔アクセスを認可されると、車内にいるかのように任意の機能を行うことを許可される。
【0090】
図1は、本発明の実施の形態による、運転者カード識別システム及び/又は車両の操作者(又は運転者)による車両の使用(又は非認可使用)を妨げるシステムのブロック図を示す。
【0091】
図1に示されるように、システム10は、制御モジュール(又はシステム制御装置)16、生体認証装置12、状態検出器14、及び/又は信用証明認証装置(又はセンサ)18を備えている。生体認証装置12は制御モジュール16に結合される。状態検出器14は、操作者中の物質レベルを制御モジュール16に提供するようになされた物質検出センサ(又は検出デバイス)であってよい。ここで、制御モジュール16は、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合、又は操作者が認証装置12によって認証されない場合に車両に運転制約を通信するようになされる。
【0092】
また、本発明の一つの実施の形態では、物質レベルが操作者の末端部で決定され、また、操作者が末端部で認証される。末端部は、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び/又は頭からなる群から選択される。
【0093】
一つの実施の形態では、制御モジュール16は、更に、操作者が認証装置12によって認証されていて操作者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するように、車両と通信するようになされる。また、図1に示すように、認証装置12は指紋認証装置、顔認識認証装置、掌形認証装置、音声認証装置などであってよい。一つの実施の形態では、認証装置12は指紋センサ(又はスキャナ)を含み、操作者中の物質レベルは、操作者の指の内部の組織で生体内で決定される。
【0094】
一つの実施の形態では、物質検出センサは、操作者中のアルコールレベルを検出するようになされる。ここで、物質検出センサは、以下に一層詳細に説明するブロードバンド(又はワイドバンド)検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)を含む。更に、以下に一層詳細に説明するように、物質検出センサは、ブロードバンド光源と、ブロードバンド検出器と光源との間の波長フィルタリングシステムとを備える。波長フィルタリングシステムとブロードバンドライトとが、ブロードバンド検出器に向けて特定波長帯域での光ビームを発するように構成される。本出願の文脈では、特定波長帯域とは、1つ又は複数の波長、或いは1つの特定波長から別の特定波長までの範囲の波長を表す。代わりに、物質検出センサは、ブロードバンド検出器に向けて特定波長帯域での光ビームを発するように構成された、以下に一層詳細に説明するダイオード又はダイオードレーザを含み得る。
【0095】
再び図1を参照すると、操作者の検証可能な信用証明を感知するようになされた信用証明認証装置(又はセンサ)18が制御モジュール16に結合される。ここで、制御モジュール16は、認証装置12によって認証された操作者が操作者の検証可能な信用証明に合致することを検証するようになされる。図1に示されるように、信用証明認証装置によって感知することができる検証可能な信用証明は、運転免許証、RFIDタグ、スマートカード、クレジットカード、赤外線(IR)アダプタを含むキーホルダー及び/又は皮膚下インプラントを含む。
【0096】
図2は、本発明の実施の形態による、運転者カード識別システム及び/又は車両の操作者(又は運転者)による車両の使用(又は非認可使用)を妨げるシステムに関連付けられるプロセスブロックの流れ図を示す。図2に示すように、ブロック21で、操作者又は運転者が、システム(例えば、図1のシステム10)を備える車両に入る。ブロック22で、運転者は自分の運転免許証をシステムに対して検証する。ブロック23で、運転者は保険カードをシステムに対して検証する。ブロック24で、運転者は、システムを用いて生体識別及び物質チェックを行う。ブロック25で、システムは、運転免許証、保険カード及び生物測定情報をクロスチェックする。クロスチェックが不成功である場合、ブロック26で、システムの制御モジュール(例えば、図1の制御モジュール16)が、運転制約、例えば点火ロックアウトを車両に通信(又は発行)する。対照的に、クロスチェックが成功した場合、ブロック27で、制御モジュールは、車両の始動又は点火を認可する(例えば、点火認可コマンドを発行する)ように車両と通信する。ここで、制御される車両は、飛行機、大量輸送車両、船舶、産業機器の一部並びに重機及び機器の一部からなる群から選択される車両を含む。
【0097】
図3は、本発明の一つの実施の形態による、バイザーに取り付けられる生物測定デバイス30を示す。ここで、バイザー取付け式の生物測定デバイス30は、図1の生体認証装置12内に含まれ、ワイヤを有するヒンジ31を介して図1の制御モジュール16と結合される。
【0098】
想定されるように、本発明の一つの実施の形態は、生物測定及び/又は物質検出のための機能強化されたシステム及び方法を提供する。一つの実施の形態では、システムは、生物測定技法を使用して人を識別し、また、近赤外(NIR)分光法、ラマン分光法、光音響分光法、散乱変化、偏光変化、中赤外分光法及び/又は狭帯域検出など非侵襲性技法の使用によって、アルコールなど体内の物質の存在もチェックする。
【0099】
本発明の一つの実施の形態は、追加の機能及び低コストをもたらす、生体識別と物質検出という通常は別個の2つの機能を統合するための設計を想定する。そのようなシステムは、アクセス制御、改善された安全性及び機器/車両操作のための既存及び将来の用途への統合が容易に可能である。
【0100】
物質は、物質の定量を可能にする近IR範囲内でのスペクトルパターンを測定することによって、血管系内で検出される。例えば、非侵襲性技法による物質検出は、分光計によって血管系の水分子の変化を分析することによって行われる。
【0101】
想定されるように、本発明の他の実施の形態は、外部ハードウェアデバイス又はソフトウェアアプリケーションへのインターフェースを含むシステムを提供する。情報は、上で論じられ、また以下に一層詳細に論じるように、多くの適切なアプリケーション及び/又はシステムに提供される。システムは、適切なアプリケーション及び/又はシステムの幾つかと統合されるとき、主処理機能に情報を提供することができ、次いで、主処理機能が決定又は計算を行う。例えば、処理機能は、規制地域内へ進入する権利を人が与えられているかどうか判定するために、或いは機器及び/又は車両の操作機能について人を制限するために、データベースにアクセスすることができる。また、処理機能又はシステムは、セキュリティ要員、警察又は管理人など第三者に通知し、又はデータベースに情報を記憶することもできる。
【0102】
想定されるように、本発明に関する実施の形態は、戦略的位置でのセンサの位置決めと、人のアクセス制約を行うような、データを解釈し該データに基づいて機能を行う処理装置への情報データ転送とを含む。規制地域へのアクセスの場合、システムは、ドアの近くに、或いは、ライトカーテン、光センサスイッチ、動き検出器、ゲート又は人的制御式チェックポイントなどの規制アクセスポイントの他の手段の近くに設置されることができる。機器又は車両の操作の場合、センサは、機器又は車両に関する操作者コントロールパネルや、計器盤、クラッチ又は車両の点火始動器の領域の近くに設置することができる。旅客機フライトデッキ又は飛行機コックピットの場合、操縦士と副操縦士との同時読取りが、両者の操作位置で行われる。
【0103】
一つの実施の形態では、センサは、手又は指の位置決めのためのパッド又はホルダに結合される。例えば、システムを使用する人は、自分の指をモールド又はシース内に置く。デバイス上又はデバイス内への指の挿入後、生物測定データのスキャンが行われ、データを個別の処理点に提供し、そこで、データを既存のデータベースと突き合わせ、及び/又は、デバイスの中央処理装置内部で局所的に、局所記憶又は遠隔接続されたデータベースと突き合わせることができる。更なる実施の形態では、システムは、生物測定情報に基づいて人を識別し、人の体内に物質が存在するかどうか判定することができる。この識別及び/又は物質判定に基づいて、システムは、ドア又はアクセスポイントを制御し、情報を記録し、ピンコードなど追加の情報を要求し、又はユーザにメッセージを与えるなどの、任意及び全ての機能を行うことができる。非侵襲性スキャンは、非侵襲性スキャニングの任意の方法を使用して任意の波長で行うことができる。本発明の一つの実施の形態は、例えば、アルコール、THCなどの薬物、又は事前に知られている人の糖尿病状態の場合にはブドウ糖の存在、タイプ及び大きさを検出するようになされたNIR分光法スキャナを含むことができる。次いで分析が行われる。NIR分光法は、約1000nm〜2000nmの範囲で薬物及びアルコールを検出することができる。例えば、アルコールは、約1700nm、1600nm及び1300nmの波長で検出される。人の認知能力を変える可能性がある他の薬物又は物質も、センサの限界内で検査されることができる。これらの結果を使用して、銀行金庫室などの操作領域、又はクレーンなどの機器、重機、自動車、トラック、バス、電車、旅客機などの車両で必要とされる機能を人が実施する認知能力を決定することができる。更に、結果は、酒気帯び又は身分証明を含めた将来の検証のためにデータベースに記憶されることができる。更に、結果は、特に身分証明又は酒気帯びレベルがプログラムされた範囲に近づく場合に、マニュアル検証のために第三者に送られてもよい。人の識別及びその人の認知能力に関係するセンサの組み合わせられた結果は、機器又は車両のアクセス又は操作を許可/不許可するよう処理される。
【0104】
更なる実施の形態では、NIR光などの光源を指に当て、光の後方散乱をビームスプリッタで受け取り、ビームスプリッタが生物測定センサ及び/又は物質センサに直接供給することによって、同時スキャンを行うことができる。
【0105】
別の実施の形態では、光の二重ビームを、生物測定機能に対しては末端部の近くで指に当て、分光法に対しては、皮膚が薄い指の根元側の指関節の近くで指に当てる。別の実施の形態では、スキャニングデバイス上での指の摺動動作が生体識別を提供し、NIR光などの光のビームが、指関節に近い方の指の根元側で行われる分光法測定のために使用される。
【0106】
一つの実施の形態では、本発明の生物測定及び/又は物質検出システムは、簡便なアクセス及び戦略的配置機能性のために位置させられるように十分に小さく、しかし人口分布に基づく3σ法での最大の指を受け入れるのに十分に大きい。標準USBやイーサネット(登録商標)などの電子データインターフェース、又は、OBDC−IIインターフェースを使用する1996年以降の車におけるような専用アプリケーションのためのシリアルプラグ又は専用インターフェースなどの電子データインターフェースが出力を提供する。また、スキャンされて分光分析されたデータは、ブルートゥースを使用して近くの処理ユニットで利用可能にされ、例えばIPプロトコルによるインターネットやセルラ無線を介して局所/長距離処理ユニットで利用可能にされ、又はGlobalStarやIridiumなど商用衛星通信を使用して遠隔位置で利用可能にされる。また、生の光又はデータが、例えば、遠隔又は中央のセンサでの分析のために光ファイバケーブルを介して伝送される。遠隔の又は極めてアクセスしにくい用途では、センサは、主処理装置とその局所データベースにある認証される人の情報とを含む独立型ユニットであってよい。デバイスの動作のための電力は、ホスト処理ユニットの電源(+3.3VDC、+5VDC、+12VDCなど)によるもの、AC(100VAC、115VAC、200VAC、230VACなど)によるもの、遠隔又は極めてアクセスしにくい用途などでは搭載電池及び/又はAC充電及び/又はソーラーパネル充電によるものであってよい。
【0107】
識別目的で生物測定データを得るために利用可能な市販のデバイスが存在する。非侵襲性スキャンを実施して処理することができ、操作が容易な形の利用可能なデバイスが存在する。LTインダストリーズ社から入手可能なIso−Chem NIR Material Analysis Systemは、遠隔トリガされる試験プローブを有するポータブルNIR分析器である。例えばオーシャン・オプティックスから入手可能なUSB4000は、200〜1100nmに応答する分光計である。例えばスペクトラム・プロダクツから入手可能なSM241は、900nm〜1700nmの範囲を有するNIRレーザ用途のために設計されたコンパクトCCDベース分光計である。例えばニューポート・コープレーションから入手可能なOSM−100は、200nm〜1700nmに応答するポータブルの経済的な分光計である。Sugartracはライフトラック・システムズから入手可能な非侵襲性ブドウ糖モニタである。TouchPrint Enhanced Definition 3000 Live Scanは、ライブ・スキャン・プロダクツから入手可能なポータブル生物測定スキャナ及び識別デバイスである。
【0108】
また、想定されるように、本発明の実施の形態は、生体識別を物質検出と組み合わせるための方法を提供する。これは、上述したようなシステム又はデバイスを使用して、或いは任意の他の生体識別システム及び任意の他の物質検出システムを用いて行われる。例えば、顔スキャナ又は網膜スキャナが、物質検出器(例えば、飲酒検知器)と組み合わせて使用される。生体識別を物質検出と組み合わせるための方法の一つの実施の形態では、生物測定スキャン及び物質検出スキャンのステップが行われる。スキャンの作動、スキャンの処理、スキャンの比較、通知又はアラームの送信、記録デバイスの作動、生データ又は処理結果の保存、又はエラーチェック若しくは更なるタイプのスキャンの実施などの追加のステップが行われ得る。更に、スキャンが正確であることを検証するために、温度又はパルスをチェックするステップが行われ得る。
【0109】
図4は、本発明の実施の形態による機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスのブロック図を示す。図示されるように、操作者の末端部(例えば、指)を挿入するための一端にある穴120を有するシース(又はクレイドル)100(例えば、指クレイドル)が設けられる。生物測定センサ210及び物質センサ220が、シース100に含まれる。一つの実施の形態では、末端部は、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び頭からなる群から選択される。
【0110】
更に、生物測定センサ210及び物質センサ220は、それぞれ、リード線300を介して生物測定デバイス(又は認証装置)400及び物質検出デバイス500に結合される。生物測定デバイス400及び物質検出デバイス500は、リード線600を介して中央処理装置(又はシステム制御装置若しくは制御モジュール)700に結合される。次いで、中央処理装置700は、アクセス制御処理装置800に結合され、アクセス制御処理装置800は、アクセス制御デバイス又はインターフェース900に結合される。
【0111】
図4Aを参照すると、一つの実施の形態では、図4の機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスが、車両100a内部に組み込まれる。一つの実施の形態では、車両100aは、飛行機、大量輸送車両、船舶、産業機器、重機及び機器からなる群から選択される。より詳細には、車両100aは、操作者の末端部を挿入するためのシース(又はクレイドル)100を含む。
【0112】
図4Bを参照すると、別の実施の形態では、図4の機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスが、タイムクロックシステム100b内部に組み込まれる。ここで、一つの実施の形態では、タイムクロックシステム100bは、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合、又は操作者が認証装置によって認証されない場合に警告を発するようになされる。一つの実施の形態では、タイムクロックシステム100bは、警告が発せられる時間を決定するようになされたタイムクロック101も含む。また、中央処理装置(又はシステム制御装置)700は、操作者が認証されていて物質の濃度が許容レベルを超えない場合に、操作者が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを許可するように建造物セキュリティデバイスと通信するようになされる。一つの実施の形態では、中央処理装置700は、操作者が認証されていない場合又は物質の濃度が許容レベルを超える場合に、操作者が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを制約するように建造物セキュリティデバイスと通信するようになされる。建造物アクセスデバイスは、操作者が建造物セキュリティデバイスへのアクセスを許可される時間を決定するようになされたタイムクロック101を含み得る。
【0113】
図5は、本発明の別の実施の形態を示す。図5に示すように、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムは、システム制御装置570と、生体認証装置540と、物質検出デバイス550とを備える。ここで、システム制御装置570は、車両の操作者560の第1の真皮位置560aで(又は操作者の末端部で)少なくとも1つの生物測定パラメータを検出し、操作者560が認証されたことを示す認証出力を生成するようになされる。ここで、操作者560の第1の真皮位置560aは、操作者560を生物測定学的に認証することが可能な位置(例えば、操作者の指紋、又は操作者560の指紋がある位置)である。更に、物質検出デバイス550が、第1の真皮位置560aの近位の第2の真皮位置560bで操作者560中の物質のレベルを検出し、レベル出力を生成するようになされる。
【0114】
ここで、本発明の一つの実施の形態では、2つの検出測定(すなわち認証と物質検出)が、互いに近位にある(場合によっては隣接する)操作者の皮膚(又は真皮)位置で行われる。本実施の形態の文脈では、近位及び/又は隣接とは、認証された人以外の人の物質レベルを測定することによって試験を欺くのを実質的に妨げるのに十分に近いことを表すことができる。
【0115】
更に、引き続き図5を参照すると、システム制御装置570は、操作者560が認証されない場合に、又は検出出力が事前選択された許容値よりも上である場合に車両の使用を選択的に制約するよう、認証出力及びレベル出力に応じて動作する。
【0116】
また、一つの実施の形態では、物質検出デバイス550は、以下に一層詳細に説明する光源と単一のブロードバンド検出器とを含む。ここで、光源と単一のブロードバンド検出器とに結合される物質検出デバイス550の表面(又はプラットフォーム)は第2の真皮位置560bに接触し、第2の真皮位置560bの屈折率に対応する(又は同一若しくは実質的に同一の)屈折率を有するので、鏡面反射光(すなわち皮膚内に貫入しなかった光)を減少させ又は除去する。
【0117】
本発明の実施の形態で想定されるように、試料を通過する放射は、放射が進む経路長と、その特定の試料中の成分に関する様々な個別波長での吸収の強度とに依存して減衰される。波長に対する吸収の相対強度の記録及びマッピングが、その特定の試料に関する一意の吸収スペクトルをもたらす。
【0118】
分光法に関する1つの適用分野は、非侵襲性での組織属性又は検体の測定である。具体的な用途は、物質乱用に関して被験者を非侵襲性で判別検査するための、エタノールなどの検体の測定である。
【0119】
近赤外放射(NIR)は、組織分光法の測定に関して顕著な利点を提供する。NIRでは、1ミリメートルよりも大きい光路長が、電磁スペクトルの治療窓内で容易に実現される。しかし、干渉する化学種が分析測定(例えば、エタノールの測定)の精度に及ぼす影響は、解決される必要がある問題である。本出願の文脈では、解決される必要がある問題は、後方散乱及び選択性を意味し、又は、同様の挙動の他の成分からの干渉なしに混合物又は媒質において特定の検体を測定するために方法を使用することができる程度を意味することができる。
【0120】
すなわち、雑音の主な原因は、血中のエタノールの完全な痕跡を持つ訳ではない光散乱である。ヒトの皮膚は、幾つかの層、すなわち表皮、真皮及び皮下組織を有する。各層はそれ独自の波長依存吸収及び散乱特性を有する。光は皮膚に浸透し、血液と相互作用し、外に出るときには前方散乱及び後方散乱を受ける。試料毎の照射及び収集に関して皮膚が一定の角度でないときに、更なる複雑さが生じる。手の部分の位置も問題となり得る。したがって、システムは、光結合を使用し、屈折率の差を減少させ、及び/又は、検体を含む組織に達する前に散乱される任意の光の検出を減少又は除去することによって、初期光散乱の量を減少させ又は除去すべきである。
【0121】
更に、検体を含む組織に達した後に反射される光の検出に関して、分光分析から生じるスペクトルデータが、試料の同定、構造、濃度又は組成に関する多く詳細な情報を提供する。スペクトルデータは、光子の放出、散乱又は吸収による、検出されて記録された分子のエネルギー変化に由来する。特に、分子種中の原子は、平均距離付近を往来して振動する。適切なエネルギーでの原子による光の吸収が原子を励起し、原子を一層高い振動レベルに上げる。励起状態への原子の励起は、特定の離散エネルギーレベルでのみ生じ、このレベルは、その特定の分子に特徴的である。赤外吸収分光法は、このタイプの分析を行うのに特に有用である。吸収分光法では、様々な波長での入射放射の正味の吸収が測定される。しかし、システムは、特定の検体のレベルを検出し、その検体と、同様の特性を有する可能性がある他の検体とを区別することができるべきである。
【0122】
想定されるように、上述の問題を解決するために、NIR反射率測定器が開発されており、上で一層詳細に説明した照射源と分光計とを含む。この計器は、約1300nm〜約2400nm、より特定的には約1400nm〜約1500nm、約1650nm〜約1750nm、及び/又は約2200nm〜約2400nmの範囲の特定波長での近赤外放射を利用した。一つの実施の形態では、約1450nmでの特定波長帯域が利用される。これらの波長範囲は、組織中に存在するアルコール及び他の有機分子を含む広い範囲の化学種に関する合成帯域及び倍音帯を含むので、非侵襲性アルコール測定を行うのに一番興味深いものである。エタノールのNIRスペクトルは、アルコール及び他の有機分子のC−Hベンド及びC−Hストレッチの帯域、及び/又はアルコール及び他の有機分子のO−Hベンド及びO−Hストレッチの合成帯域により、これらの波長範囲内で顕著な特徴を有する。
【0123】
また、組織散乱の効果は波長と共に増加するので、これらの波長範囲は、より高い波長領域と比較されるとき、組織散乱効果によって影響されないはずである。これは、散乱効果がヒト被験者内及び被験者間で実質的なスペクトル変動を引き起こす可能性があるので、組織測定において重要な意味合いを持つ。
【0124】
図6を参照すると、800nm〜2400nmの範囲の特定波長での、1mmサンプリング経路を有する100%エタノールのスペクトルが、リサーチグレードのNIR分光計を使用して収集された。図6から導き出すことができるように、約1300nm〜約2400nmの範囲の特定波長が興味深い。また、約1400nm〜約1500nm、約1650nm〜約1750nm、及び/又は約2200nm〜約2400nmの範囲の特定波長が特に興味深い。
【0125】
図7においてリサーチグレードのNIR分光計のデータによって示されるように、リサーチグレードのNIR分光計は、約1400nm〜約1500nmの範囲の特定波長で、水中の0.10%、0.08%、0.06%及び0.04%エタノールを区別することが可能である。図7から導き出すことができるように、約1450nmでの特定波長帯域が特に興味深い。
【0126】
更に、図8及び図9に示すように、リサーチグレードのNIR分光計は、約1650nm〜約1750nmの範囲の特定波長で、かつ約2200nm〜約2400nmの範囲の特定波長で、水中の0.10%、0.08%、0.06%及び0.04%エタノールを区別することが可能である。図8及び図9において、約1700nm及び約2300nmでの特定波長帯域が特に興味深い。
【0127】
エタノール感度と、一層重要にはエタノール選択性とを調べるために、エタノール、ブドウ糖、クレアチニン、尿素、水及びマイクロスフェアを含む試料が構成されるべきである。マイクロスフェア(例えば、ポリスチレンマイクロスフェア)は、赤血球の強度と同様の強度の反射率信号を生み出す光散乱媒体を提供する。したがって、試料は、様々な環境下で血液を模擬する条件を提供する。対象の検体、例えばエタノールの濃度範囲、及び場合によっては干渉する検体の濃度範囲は、健康な被験者集団(すなわちヒト及び/又は生物学的範囲)で観察されるものを反映すべきである。次いで、その濃度の試料の全領域が、適切なレベルのラテンハイパーキューブなど適切な統計モデリングを使用して減少されるべきである。一つの実施の形態では、管理可能な試料サイズと共に最大の検体間相関を提供するよう、1組の7レベルラテンハイパーキューブ設計が使用される。
【0128】
次いで、強度スペクトルが様々な濃度の試料から(又は生体外で)収集される。次いで、収集されたスペクトルが、適切なエタノール分析のために必要とされる波長範囲と除去することができる波長範囲とを決定するために分析される。次いで、エタノールに関して統計モデリング及び設計を妥当性検査するために、ヒト(又は生体内)試験が行われるべきであり、モデルは、好ましくはプラス又はマイナス0.02%、より好ましくはプラス又はマイナス0.01%の精度で、約0.05%に下がるまで血中のエタノールを検出することができるべきである。
【0129】
次いで、データを分析するための妥当性検査された統計モデルが、センサのためのスペクトルバンドを提供する。本発明の一つの実施の形態に従って想定されるように、NIR範囲内の3つの非重畳波長領域が利用される。各波長領域は、3つ〜4つの非重畳サブバンドを有するべきである。これらの波長帯域はそれぞれ約25nmの帯域幅を有する。
【0130】
図10Aは、本発明の一つの実施の形態による光学物質検出器の構成を示す。より詳細には、検出器は、(複数の色付きの光線として示される)複数の波長帯域を有する光ビームを提供するための光源(コリメートされたブロードバンドIR源)を含む。光ビームは、所望の又は特定の波長帯域(又はサブバンド)を分離するようになされたフィルタに向けられる。次いで、分離された光ビームが集光レンズに向けられ、入力ファイバ束(又はプラスチック光導波路又は適切な光導波路)を通ってガラスプラットフォーム(又は指クレイドルもしくは人差し指スラブ)に進むが、ガラスプラットフォームには試験試料(例えば、指や、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び頭からなる群から選択される末端部)が置かれている。一つの実施の形態では、ガラスプラットフォームは、鏡面反射光(すなわち、試験試料の皮膚内に浸透しなかった光)を減少させる又は除去するために、試験試料の屈折率に対応する(又は同一もしくは実質的に同一の)屈折率を有する。更に、ガラスプラットフォームを、好ましくは非反射コーティングを有する厚さ1mmの溶融シリカガラスから形成することができる。試験試料(例えば指)から反射された(又は拡散反射された)光ビームは、ガラスプラットフォームに結合された集光器ファイバ束(又はプラスチック光導波路若しくは適切な光導波路)によって収集される。次いで、試験試料から拡散反射されて戻され、集光器ファイバによって収集された光(又は光強度)を検出するために検出器が使用される。
【0131】
代わりに、図10Bは、本発明の別の実施の形態による光学物質検出器構成を示す。より詳細には、ここでは、検出器は、複数の波長帯域を有する光ビーム(複数の光線として示される)を提供するための光源1200を含む。光ビームは、試験試料1210(例えば、指や、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び頭からなる群から選択される末端部)に向けられる。一つの実施の形態では、光源1200は、光ビームを集束又は発するために放物面又は楕円反射器を有する。試験試料(例えば指)から反射された(又は拡散反射された)光ビームは、所望の又は特定の波長帯域(又はサブバンド)を分離するようになされたフィルタ1220に通される。次いで、試験試料から拡散反射されて戻されて、フィルタ1220によってフィルタ処理された光(又は光強度)を検出するために、検出器1230(例えば、単一のブロードバンド検出器)が使用される。したがって、図10Bにおいては、フィルタ1220は、光源1200よりも検出器1230に近い距離に配設されるように図示される。ここで、図10Bでは、光源1200からの光ビームは、試料1210から反射されて戻されるまでフィルタ処理されない(すなわち、フィルタ1220が検出器端部にある)ので、比較的多量の光が試料1210に向けられ、試料1210から拡散反射されて戻される。
【0132】
しかし、本発明は、図10A及び10Bのフィルタ配置の実施の形態に限定されない。例えば、波長選択性を高めるため及び/又は信号対雑音比を低減するために、本発明の実施の形態は、光源端部に配設される第1のフィルタ(例えば、図10Aのフィルタ)と、検出器端部に配設される第2のフィルタ(例えば、フィルタ1220)とを構成することを想定する。
【0133】
一つの実施の形態では、光源は、タングステンハロゲンランプなどの白熱光源、キセノンアークランプ、水銀アークランプ、LED及び/又はダイオードレーザであってよく、豊富なIRを有する。一つの実施の形態では、光源は、狭帯域通過光学フィルタを使用するフィルタ処理の前にコリメートされる。所望の又は特定の波長帯域(又はサブバンド)を分離するようになされるフィルタは、様々なフィルタを所定位置に導くように回転させることができるフィルタホイールの一部であってよい。これは、複数の波長帯域からデータを収集することを可能にする。集光レンズ光学系が使用されて、光を光学組織(例えば指)に搬送するファイバ内に光を集束する。収集器ファイバは、組織から散乱信号を収集して検出器に送る。
【0134】
また、リングタイプの光導波路、直線タイプの光導波路、分岐タイプの光導波路などの様々な適切なタイプのファイバ束が使用され得る。更に、本発明の一つの実施の形態は、ファイバ束を使用するのではなく、プラスチック光導波路など他の適切なタイプの光導波路の使用を想定する。
【0135】
一つの実施の形態では、光学物質検出器は、ハロゲンランプを含む光源と、構成された波長フィルタリングシステムを有していて試験試料(例えば、試験試料の一領域)を照射するハロゲンランプに取り付けられた光ファイバ束とを備えている。波長フィルタリングシステムは、干渉、帯域通過、吸収、ダイクロイック、モノクロメータ回折格子など、様々な適切なタイプのフィルタを含むことができる。一つの実施の形態による波長フィルタリングシステムは、光源よりも検出器(例えば、単一のブロードバンド検出器)に近い距離に配設される。所望の波長帯域が検出器に反射されて戻される。統計モデリング分析を含む評価により、試験試料の血中アルコール濃度(BAC)が、車両を操作するための法定制限に関して決定され、BACが法定制限範囲内にない場合に車両は使用不可にされる。一つの実施の形態では、統計モデリングは、適切なレベルのラテンハイパーキューブである。しかし、本発明はそれによって限定されない。例えば、或る時間での複数の統計変量の観察及び分析を含む処置の集合を記述するために使用することができる統計学における任意の適切な多変量統計又は多変量統計分析を使用することができる。
【0136】
本発明の別の実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の非侵襲性及び/又は生体内試験のための、赤外(IR)又は近IR波長範囲の特定(単一)の波長帯域での光源(例えば、ダイオードレーザ)とブロードバンド検出器とを提供する。物質は、アルコール、より具体的にはエタノールであってよく、組織は人の血液を含むことができる。
【0137】
より詳細には、図11は、800〜2400nmのエタノール及び水の光吸収を示す。したがって、本発明の一つの実施の形態は、エタノールと水との光吸収の差を利用する非侵襲性及び/又は生体内エタノール試験のための光学的方法を提供する。血液は主に水によって形成されているので、血中のエタノールの濃度を決定することができる。吸収分光法の全ての様式と同様に、特定波長での吸光の量を使用して、溶媒中の化学化合物を能動的に同定する。所与の部分の水とエタノールは、幾つかの波長で、それと等価の水のみの部分よりも光を吸収しない。他の波長では、この現象が逆になり、エタノールと水との混合物の方が多くの光を吸収する。
【0138】
図12に示すように、幾つかの異なる波長で、様々な技術を使用してこれらの測定を行うことが可能である。本発明の一つの実施の形態では、約1000nmでの波長、約1310nmでの波長、約1550nmでの波長及び/又は約1900nmでの波長が、エタノールが水よりも高い透過性を有する(低い吸収性を有する)領域(又は域)として選択された。約904nm、約1700nm及び約2300nmでのスペクトル領域も、エタノールが水よりも低い透過性を有する領域(又は域)として選択された。
【0139】
図13を参照すると、上述された処置を行うために使用され得る技術の第1の特徴は、照射形式、すなわち狭帯域又はブロードバンドである。ほとんどの吸収分光法技術は、白色光又はブロードバンド光源を使用し、次いで、光をスペクトルビンに「選別」するために干渉計又は回折格子を使用する。これらのシステムは、ファイバを用いて又は直接的に(図13及び図14)照射のために指に結合する幾つかの共通の要素と、線形CCDアレイ又はフォトダイオード検出器から構成される最終光学信号検出技術とを有する。
【0140】
より詳細には、図13は照射が左手側にあることを示す。ここで、照射は、自立型の光源、電球、黒体など110a又は遠隔光源110bに結合されたファイバから提供される。光源110a、110bの右にコリメートレンズ130があり、コリメートレンズ130は、光が指(例えば中指)140を通って又は指に入って再結像レンズ150まで横切るときに光を平行にし、レンズ150は、回折格子分光計又は何らかのタイプの干渉計に接続されたファイバ120a、120bに「サンプリングビーム」を集束する。
【0141】
図14は、本発明の一つの実施の形態による一体型指紋スクリーンを有する指センサの概略図を示す。2つのポート(光ファイバポート)を、ファイバ結合光学系又は直接検出(すなわち、ブロードバンド検出器又はInGaAs検出器をポートの一方に直接設置することができる)のために使用することができ、光源からの(例えば、光ポートのもう一方を介する)光を例えば拡散反射率によって検出できるようにする。すなわち、図14で、光の入射ビームを、指の第1の側から指の第2の側に向けさせることができ、ブロードバンド検出器は、組織の一部分を透過されて指の第1の側へ向かうように反射される入射光ビームの部分を測定するように構成されることができる。また、例えば温度、表面汚染などの他のセンサを、このユニットの底部に設置することもできる。
【0142】
図15は、本発明の一つの実施の形態に従って想定される、トランスインピーダンス増幅器及び熱制御を有するフォトダイオードの概略図である。フォトダイオード検出器の概略図は実在の検出器システムを示す。InGaAs又はSiフォトダイオードがトランスインピーダンス増幅器に結合される。一体型サーミスタによって温度を監視しながら、検出器を熱電冷却する。しかし、本発明はそれに限定されない。例えば、検出器(又は赤外線検出器)としてInGaAs検出器を使用するのでなく、本発明の他の実施の形態は、PbS検出器、PbSe検出器、InAs検出器、InSb検出器、HgCdTe検出器などを使用することもできる。
【0143】
上で論じたように、吸収分光法を使用して、以下の式によって示される通常はベールの法則と呼ばれるランバート・ベールの法則の適用によって物質を定量的に同定することができる。
【0144】
【数2】
【0145】
ここで、物質Aの量は、吸収体の前後での波長の関数として、強度Iの比のlogに比例する。これは更に、質量経路d及び吸収係数αの関数である。これらの量は全て波長依存であり、したがって、通常の手法は、800〜2400nmをカバーする図11に見られるように、多くの波長にわたってスペクトル測定を行う。しかし、手近な課題は、触知的接触によってヒト中のエタノールの存在を検出することができるセンサシステムを作製するために吸収スペクトルのこれらの差を利用することであった。酒気帯びは、小さなレベルのエタノール、例えば0.05%以上の血中アルコール濃度(BAC)から生じる可能性があるので、検出要件は、そのような濃度を検出することが可能であるべきである。
【0146】
一つの手法では、2300nmでの干渉計が光の選別のために使用された。この手法では、検出に関する時間変調信号を生成する2ビーム干渉パターンを生成するために可動ミラーが使用される。本発明の一つの実施の形態では、代替の干渉計が想定された。この代替の干渉計すなわち空間ヘテロダイン分光計(SHS)では、SHSは、時間変化干渉パターンの代わりに、InGaAsアレイ検出器に結像される空間的に変化する干渉パターンを生成する。
【0147】
より詳細には、図16は、ファイバが使用されて、光ファイバを介してSHSを「指スロット」に結合するSHS概略図を示す。ビームスプリッタ(BS)と、回折格子1及び回折格子2とによって経路長の差が生成され、回折格子G1及びG2はそれぞれ、検出器に直線干渉縞を生成した。信号を強度対波長に変換するためにFFTが使用される。
【0148】
一般的な光サンプリング/選別技法は、光の特定波長を伝送するように設計された光ファイバを使用する。異なる波長での光路サンプリングにおいてフィルタを変更するために、回転ホイール又はスライダを使用することができる。図18は、異なる波長での光路サンプリングにおいてフィルタを変更するために使用することができるフィルタスライダを示す。代わりに、調整可能なフィルタの代替となるように静的フィルタを使用することができる。静的フィルタは、印加電圧を変えることによってその透過波長を変えることができるフィルタである。どちらの場合も、光結合は図17に示すものと同じである。すなわち、図17は、光をサンプリングするための調整可能又は静的なフィルタの使用を示す。入力ファイバは指からの光をフィルタに結合する。フィルタ処理後、「選別された」光がフォトダイオード検出器に集束される。
【0149】
本発明の一つの実施の形態は回折格子分光計を含む。図19を参照すると、分光計は光ファイバ分光計として示され、第1のミラー(集束ミラー)と、第2のミラー(コリメートミラー)と、回折格子(回折格子)と、スリット(スリット、モードストリッパ)と、コネクタ(SMAコネクタ)と、検出器(検出器)とを有する。これらは全て光学ベンチに結合される。ここで、検出器は、InGaAsフォトダイオードの線形アレイを有する線形InGaAsアレイ検出器である。しかし、本発明はそれに限定されず、高い信号対雑音比を有する任意の様々な適切な分光計が使用されてよい。ここで、ブロードバンドファイバ結合光源が、様々なエタノール濃度の様々な溶液で充填されたキュベットを照射するために使用された。1100nm〜1700nmの全スペクトルが収集され、その一部が図20及び図21に示される。1280nm〜1320nmの波長範囲を有する図21における分光計データによって示されるように、図19の分光計は1%〜40%を区別することが可能であるが、0%〜1%を区別するのに十分な分解能は有さない。すなわち、エタノール検出が実現されたが、酒気帯びの個人の体内で見つかる0〜0.1%レベルを検出するのに十分には正確ではなかった。
【0150】
システム感度を改良するために、ハイブリッドの実施の形態が想定された。すなわち、システム感度を高めるために、狭帯域レーザが代替光源として選択され、操作するのに適切な波長域を識別するためにブロードバンド源試験から収集されたデータを使用する。すなわち、想定されるように、本発明の一つの実施の形態は、約1310nm帯域にあるダイオードレーザを含む。ここで、1310nm帯域でのダイオードレーザが源を照射するために使用され、NIR分光計がエタノール痕跡を検出して分離する。図22は、この実施の形態のフルスペクトルレーザ照射を示す。図23は、約1310nmでの、観察された強度に対するエタノール濃度の統計的には無効であるが興味深い測定を示すNIR分光計データを示す。すなわち、図22及び図23のNIR分光計観察は、統計的には有意でなかった。したがって、より正確な方法が必要とされた。
【0151】
したがって、エタノール検出は図19の回折格子分光計によって実現されたが、酒気帯びの個人の体内で見られる0%〜0.1%レベルを検出するのに足るほど正確ではなかった。究極的には成功していないが、これらの観察値は、エタノールを検出するために狭帯域源(又は狭帯域光源)の使用を利用することができることを示した。
【0152】
更に、狭帯域源の場合に、分光計が雑音源であることが認識された。したがって、本発明の別の実施の形態では、分光計が、ブロードバンド検出器又は単一の直径3mmのInGaAsフォトダイオード検出器(EOシステム)で置き換えられた。直径3mmのInGaAsフォトダイオード検出器は極めて低い雑音を有し、熱電(TE)冷却される。これは、検出器と光源とを含む極めて単純な検出システムを形成し、光選別が必要とされなかった。
【0153】
狭帯域源の使用は、任意のサンプル後の光選別技法、分光計及び/又はフォトダイオード検出器の線形アレイの必要性をなくす。すなわち、考察中の試料が、レーザ又はモノクロメータからの単色及び狭帯域(典型的には数ナノメートル幅)の光を用いて照射される。単一のブロードバンド検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)が、試料を透過された光の量を測定するために使用される。試験下の試料中の「吸収体種」の量は、
【0154】
【数3】
【0155】
を使用して計算される。ここで、I0は試料の入射照射であり、Iは観察される透過強度であり、αは波長の関数としての吸収係数であり、Lは質量経路長である。試料の光プロービングは、試料を通る照射、又は均一であり標準的な体積の照射を必要とし、関与する試料に依存して透過及び/又は反射技法を使用することができる。
【0156】
また、図24A、図24B及び図24Cは、狭帯域照射とフォトダイオード検出器とを使用する試料検査方法を示す。図24A、図24B及び図24Cは、組織(例えば指)の透過、反射及び可変経路長を示す。コリメート及び再結像光学系が使用されて、光源からの光を平行にし、コリメートされたビームを、試料通過後にフォトダイオード上に結像する。
【0157】
より詳細には、図24Aは、組織を透過した入射光ビームの部分の質量経路長を2倍にするためにミラーに当たるように光源(ランプ)から導かれた入射光ビームを示す。(例えば、赤血球による)光散乱の影響により、図24Aでのこのミラー反射透過手法は、血液又は指試料と共に使用するには適していないことがあるが、それでも、この手法は他の比較的低い光散乱の試料(例えば尿、唾液、水など)には適切である。
【0158】
図24Bは、光源(ランプ)から組織の第1の側に向かう入射光ビームと、組織の第2の側から組織を透過された入射光ビームの部分を測定するように構成されたブロードバンド検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)とを示す。図24Bにおいて、第2の側は第1の側と反対である。やはり、(例えば、赤血球による)光散乱の影響により、図24Bにおけるこの直接透過手法は、血液又は指試料と共に使用するには適していないことがあるが、それでも、この手法は他の比較的低い光散乱の試料(例えば尿、唾液、水など)には適切である。
【0159】
図24Cは、組織の第1の側から組織の第2の側に向かう入射光ビームと、組織の一部を透過して組織の第1の側へ向かうように反射される入射光ビームの部分を測定するように構成されたブロードバンド検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)とを示す。図24Cにおいて、例えば比較的大きいサンプリング表面積により、この拡散反射率手法は、(例えば、赤血球による)光散乱を伴う場合でさえ、血液又は指試料と共に使用するのに適する可能性が高く、また、他の比較的低い光散乱の試料(例えば尿、唾液、水など)に関しても機能する。
【0160】
また、一つの実施の形態では、狭帯域源を用いた吸収分光法が、モノクロメータを用いて行われ、このモノクロメータは、本質的には、入力及び出口スリットを有する回折格子分光計である。図25はモノクロメータの詳細な動作原理を示す。すなわち、図25において、光(A)が入口スリット(B)に集束され、湾曲ミラー(C)によってコリメートされる。コリメートされたビームは、回転する回折格子(D)によって回折され、分散されたビームは第2のミラー(E)によって出口スリット(F)に再び集束される。各波長の光が、スリットで異なる位置に集束され、スリットを透過される波長(G)は、回折格子の回転角に依存する。図25のスキャニングモノクロメータは、エタノール検出の問題に関しては機能するが、その大きさ及び機械的な運動は、車両をベースとするエタノール検出のための光源としては、このモノクロメータを実用的でないものにする。
【0161】
したがって、本発明の実施の形態は、エタノール検出のための機能強化されたシステム及び方法を提供する。ここで、エタノールセンサは、照射用のダイオードレーザと、受信機としてのInGaAsフォトダイオードとを使用する。このシステムは、完全に又は実質的に受動型であるが、システム温度を変えることによってレーザが調整可能であるので、スペクトル鋭敏さを維持する。最初に、1310nm付近のスペクトル領域が選択された。これは、エタノールと水との間で吸収に関して大きな差を有し、遠隔通信産業のために開発されたレーザに利用しやすいからである。ダイオードレーザは、ダブルヘテロ構造レーザダイオード、量子井戸レーザダイオード、分布帰還型レーザダイオード、垂直共振器型の面発光レーザ(VCSEL)ダイオード及び垂直外部共振器型の面発光レーザ(VECSEL)ダイオードからなる群から選択されるダイオードから構成されることができる。
【0162】
図26を参照すると、本発明の一つの実施の形態によるエタノールセンサ装置は、一体型の熱電冷却器(TEC)とPID温度制御装置に接続されたサーミスタモニタと共に取り付けられたダイオードレーザと、レーザダイオードドライバシステムとを含む。更に、センサは、ダイオードレーザと質量経路を増加するようになされたキュベットとの間のコリメート及びビーム拡大光学系を含み得る。ここで、キュベットは、ダイオードレーザとブロードバンド検出器(例えば、単一のInGaAsフォトダイオード検出器)との間に配置される。すなわち、比較として、上述されたハイブリッド手法では、ブロードバンド検出器は、NIR分光計の入口ポートに取り付けられた光ファイバ結合ケーブルで置き換えられる。
【0163】
より詳細には、本発明の一つの実施の形態によるエタノールセンサは、一体型サーミスタ及びTE冷却器を有するレーザダイオードを含む。定電力出力モードでレーザダイオードを操作するために、レーザダイオードドライバが使用された。レーザダイオードは、185.6mmパッケージでのAlGaAsレーザであり、これは、1310nmの公称波長及び10mWのCW光出力で、安定なシングルモード横モード振動を提供する。1310nmの出力波長が実現されるまで温度に関してレーザダイオードを調整するために、分光計が使用された。1310nm出力を維持するためのレーザダイオードの温度は、TE温度制御装置を使用して0.002℃の精度で制御された。
【0164】
レーザダイオード放出面から約1焦点距離で直径25.4mmのF/1平凸レンズが使用されて、コリメート光のビームを生成する。このビームは、次いで、オパールガラスの2つの直径25.4mmの部片によって拡散される。これは、直径が約10mmのほぼ完全拡散の照射源を生成する。減光フィルタを使用して、必要に応じて照射強度を低減することができる。一体にエポキシ接着された2つの10mmキュベットホルダが、20mm試料経路長で水/エタノール混合物を保持するために使用される。両方のキュベットが、キュベットホルダにクランプされる。
【0165】
キュベットに試料を通した後、コリメート/拡散された光が、3mmInGaAsフォトダイオード検出器の活性面に入射する。一体型TE冷却及びデュアルゲインFETトランスインピーダンス増幅器が、サンプル後に光強度を測定するために使用される。この検出器は、−30℃で作動されるとき、1310nmで0.9A/Wの応答性を持ち2.0×10−14W/(Hz)1/2よりも小さいNEPを有する。16ビットのナショナルインスツルメントDAQカードを使用して検出器の出力を監視し、得られたデータを更なる分析のためにデジタル化する。
【0166】
以下のベンチ試験は本発明を一層詳細に説明する。しかし、本発明は、これらのベンチ試験によって限定されない。
後者のベンチ試験システムの構成要素及び構成は、時間と共に、また様々な波長で使用されるときに変更されたが、システムは、一般に、レーザモジュール(その波長は、内部ダイオードの交換によって変更され、その後に温度制御によって微調整されることができる)と、コリメート光学系と、拡散光学系と、集束光学系と、減光フィルタと、アパーチャと、試料を所定位置に堅く保持するための区域と、安定化のための熱電冷却器を備えて動作されるブロードバンド又は高性能フォトダイオード検出器と、デュアルゲインFET入力トランスインピーダンス増幅器と、バイポーラ電源とを含む。
【0167】
ベンチ試験システム試験期間に留意すべきは、移動又は絶対位置の変化の可能性から試料を完全に切り離す必要性と、システム内の任意の振動が測定強度の変化を与えないように、フォトダイオードの開いているアパーチャのサイズを十分に超える(オーバーフィルする)ように光ビームサイズを拡張する必要性とであった。また、安定性を保つ(振動しない)ように、レーザが一般にその出力範囲の中央に向かう「スイートスポット」で動作される必要があることも、試験期間に明らかになった。更に、レーザは、定電流とは対照的に、定電力モードで操作されなければならなかった。
【0168】
試料の潜在的な相互汚染は、各濃度に関して専用のシリンジ及びビーカーを使用することによって回避された。個々の試料中の温度勾配によって引き起こされる潜在的なばらつきは、同じ試料濃度の大きなサイズのサブセットを使用するのとは対照的に、各濃度の同じ部分を再使用することによって回避された。
【0169】
初期エタノールの部分は、0.1%volから40%volまで変化する濃度で調製された。図27は各試料に関する1310nmでの透過強度を示す。初期結果はベールの法則と驚くべき相関を示す。しかし、図28は、0〜0.1%領域(又は域)に関する結果がベールの法則に対応せず、実際には、使用するには雑音が多すぎたことを示す。すなわち、図27は1310nmでのエタノール測定値0〜40%を示す。計算された誤差バーは、プロットするには小さすぎた。しかし、図28は、1σ誤差バーと共に低濃度のエタノール測定値を示す。これらの結果は統計的には有効でない。
【0170】
試料ホルダを再設計し、コリメート光学系を変えて、より振動を受けにくいシステムを作製した後、図29に示される新たなデータが収集された。図29は、1310nm帯域での統計的に有意なエタノール測定値を示す。0.05%での異常な挙動(非ベール)はアーティファクトではなく、実際の非線形現象である。
【0171】
図29におけるデータは、1310nmレーザ光に対するエタノールの明らかな非線形応答を示す。この劇的な効果は、0.1%未満のアルコール含有量を同定するために使用することができる。0%エタノールを高濃度のエタノール(0.1%)から明確に区別するためには、追加の改良策を使用すべきである。すなわち、更なる体系的な改良のために、第2の波長での吸収測定が使用される。
【0172】
この分光技法の潜在的な効果が1310nm帯域で示されたが、1310nm帯域での応答の非線形性質により、正確な特定のためには、第2の波長での同じ試料の同時測定が行われるべきである。
【0173】
要するに、スペクトルのNIR領域中での、特に1310nmでのエタノールの極めて非線形の吸収は、0.05%以上のBACに相応するエタノールの量を同定するために使用され得ることが実証された。1つの注意点は、0%及び0.1%でのエタノールの定量測定を向上させるために第2の波長を使用すべきであることである。第2の波長領域(又は域)での更なるエタノール吸収は、前に使用された1310nm領域(又は域)でのものとは僅かに異なる光吸収を有するはずである。任意の光分散技法を用いずにエタノールを検出するために、狭帯域源としてダイオードレーザを使用する効果も実証された。溶液中及び生体内での少量のエタノールを検出するために、2つ以上のダイオードレーザと単一の冷却型及び増幅型InGaAsフォトダイオードとを利用する「エタノールセンサ」を構成することを可能なはずである。
【0174】
前述のことに鑑みて、かつ本発明の一つの実施の形態で想定されるように、物質センサデバイスは、一方が1310nm帯域であり、もう一方が別の波長帯域である2つのレーザを含み、これらのレーザはファイバミキサを介して一体に結合される。図30に示すように、各レーザは、一体型の光ファイバピグテールを有する14ピン「バタフライ」パッケージ内に収納される。レーザユニットは、レーザダイオードと、レーザ出力を監視するための一体型フォトダイオードと、レーザ温度を安定化するためのサーミスタ及びTECとから構成される。また、「指スライド」にあるファイバコリメート光学系が、指に入射する光をコリメートするために含まれ、次いで、指の後の光学系が使用されて、コリメートされたビームを、一体型の温度制御を備える一体型InGaAsフォトダイオード/前置増幅器システムに再結像する。12ビットDACが、アナログフォトダイオード出力を、任意の数のマイクロコントローラ/マイクロプロセッサによってアクセス可能なデジタル「ワード」にデジタル化するために設けられる。
【0175】
より詳細には、図30は、一体型の光ファイバピグテールを有するバタフライパッケージダイオードレーザの概略図を示し、図31は、それぞれ異なる波長での、ピグテールを有する2つのダイオードレーザを示す。図31で、レーザは、ファイバミキサを介して単一のファイバに混合される。
【0176】
想定されるように、本発明の一つの実施の形態による物質センサシステム全体は、マイクロコントローラによって監視されて制御される。一つの実施の形態では、このシステムは、ゴー/ノーゴー(GO/NO−GO)デバイスであるように設計され、BACの精密な尺度ではない。したがって、システムは、更に、デバイス有効性を保証するために統計モデルを含み得る。
【0177】
また、前述のことに鑑みて、また想定されるように、本発明の適切な実施の形態は、車、ボート、飛行機、バス、重機又は入口点のいずれであれ、酒気帯びの個人が車両又は他のデバイスを操作するのを妨げるために設計されたシステムを提供する。更に、本発明の適切な実施の形態は、盗難を減らすためのシステムを提供する。生物測定指紋スキャニング技法の使用によって、システムは、非認証の個人がモータ駆動車両を操作するのを妨げる盗難抑止として設計される。1つの代表的な実施の形態は、酒気帯びに関してシステムにより試験された人が実際に車両の運転者であることを検証するようになされたシステムを提供する。
【0178】
更に、本発明の適切な実施の形態は、運転者がDUIを行う危険、アルコール関連の事故で車両を損壊する危険及び/又は盗難を低減するために、貸自動車の全車両に適用することができる。
【0179】
本発明の他の実施の形態は、航空機(例えば、ハイジャックの危険及び/又は他の適切な航空の危険を低減するため)、大量輸送車両(例えば、バス、機関車、トローリーバス、タクシーなど。車両の操作者が飲酒しておらず、又はその車両の認可された操作者であることを保証するため)、船舶(例えば、ボート、貨物船、客船、タンカー、外洋船など)、及び/又は産業機器(例えば、ダンプトラック、クレーン、トラクタ、フォークリフトなどの建設用重機、コンベアシステム、大型機械、プレスなどの産業機械、及びヒト/操作者のミスにより命が失われ得る又は財産が損なわれ得る大型産業機器の任意の他の適切な機器)に適用されることができる。
【0180】
更に、本発明の幾つかの実施の形態は、(例えば、タイムクロックと組み合わせて)建造物のセキュリティを向上及び/又は保証するために使用され得る。これらの実施の形態は、建造物に又は建造物内の部屋に個人が入るのを許可するために認証(例えば、指紋認証)を利用し、及び/又は違法若しくは規制物質の検出を含むようになされて、セキュリティ違反、産業事故及び作業者の酒気帯びが事故を引き起こす可能性がある他の事件を防止する。
【0181】
より詳細には、図32は、本発明の幾つかの実施の形態による、第三者に与えられた車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムのブロック図を示す。図32に示すように、システム1000は、制御モジュール(又はシステム制御装置)1016、生体認証装置(又は指紋検出器)1012、物質検出センサ(又は検出デバイス若しくはアルコールレベル検出器)1014及び/又は身分証明ボード1018を含む。生体認証装置1012はバスを介して(例えば、I2C Commを介して)制御モジュール1016に結合され、身分証明ボード1018もバスを介して(例えば、I2C Commを介して)制御モジュール1016に結合される。物質検出センサ1014は、使用者(例えば、第三者、人、操作者など)の物質レベルをバスを介して(例えば、I2C Commを介して)制御モジュール1016に提供するようになされた物質検出センサであってよい。ここで、制御モジュール1016は、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合、又は操作者が認証装置1012によって認証されない場合、車両に運転制約を通信するようになされる。
【0182】
また、本発明の一つの実施の形態では、物質レベルが操作者の末端部で決定され、また、操作者は末端部で認証され、末端部は指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び/又は頭からなる群から選択される。
【0183】
一つの実施の形態では、制御モジュール1016は、更に、操作者が認証装置1012によって認証されていて操作者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するために車両と通信するようになされる。
【0184】
一つの実施の形態では、物質検出センサ1014は操作者中のアルコールレベルを検出するようになされる。ここで、物質検出センサ1014はブロードバンド検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)を含み得る。更に、物質検出センサは、ブロードバンド検出器に向けて特定波長での光ビームを発するように構成されたダイオードレーザを備えてもよい。
【0185】
更に、図32は、制御モジュール1016が、ユーザカウントスイッチ、プログラムモードスイッチ、較正モードスイッチ及び表示装置に結合され、身分証明ボード1018が車両バス及び他の車両システムに結合されることを示す。
【0186】
図33は、本発明の幾つかの実施の形態による、第三者に与えられる車両を制御するため、ヒトの組織中の物質の濃度の生体内測定のため、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図を示す。図33に示すように、システム論理は較正モード又は実行モードで動作することができる。較正モードでは、システム論理は、較正スイッチがオンに切り換えられているかどうかを決定する。較正スイッチがオンに切り換えられている場合、ブロック1021で、システム論理は、ユーザカウントスイッチ数(変更することができる)を表示する。ブロック1022で、システム論理はユーザカウント識別番号を読み取る。ブロック1023で、システム論理は指センサ識別をポーリングし、永続メモリ(例えば、EEprom)に記憶する。ブロック1024で、システム論理はアルコール検出センサを読み取り、ユーザ(例えば、第三者、ヒト、操作者など)に関する参照として永続メモリに読取値を記憶し、ブロック1025で実行モードに戻る。
【0187】
実行モードでは、ブロック1031で、システム論理は指紋センサをポーリングする。ここで、ユーザの指が指紋センサ上にない場合、システム論理はブロック1031に戻る。ユーザの指が指紋センサ上にある場合、システム論理は、ブロック1032で、永続メモリからユーザの識別を決定する。次いで、システム論理はユーザが認識されるかどうかを決定する。ユーザが認識されない場合、システム論理はブロック1033で車両を使用不可にする。ユーザが認識される場合、論理はブロック1034でアルコール検出を開始する。
【0188】
BAC制限が超えられる場合、システム論理はシステムオーバーライドがオンであるかどうかを決定する。システムオーバーライドがオンでない場合、システム論理はブロック1033に移り、車両を使用不可にする。対照的に、システムオーバーライドがオンである場合、又はBAC制限が超えられていない場合、システム論理は、ブロック1035で、このデータをログし、ブロック1036で、車両が始動するのを可能にする。
【0189】
図34は、本発明の幾つかの実施の形態による、第三者に与えられる車両を制御するため、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のため、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるための別のシステムのブロック図を示す。図34に示すように、システム2000は、制御モジュール(又はシステム制御装置)2016、生体認証装置(又は指紋検出器)2012、物質検出センサ(又は検出デバイス若しくはアルコールレベル検出器)2014及び/又は身分証明ボード2018を含む。生体認証装置2012はバスを介して(例えば、I2C Commを介して)制御モジュール2016に結合され、身分証明ボード2018もバス(例えば、I2C Comm)を介して制御モジュール2016に結合される。物質検出センサ2014は、第1のレーザ制御通信ライン(Laser#1−Control)、第2のレーザ制御通信ライン(Laser#2−Control)、検出器通信ライン(Detector Out)、第1の温度通信ライン(Temp#1)及び第2の温度通信ライン(Temp#2)を有するバスを介して、ユーザ(例えば、第三者、人、操作者など)中の物質レベルを制御モジュール2016に提供するようになされた物質検出センサであってよい。ここで、制御モジュール2016は、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合、又は操作者が認証装置2012によって認証されない場合に車両に運転制約を通信するようになされる。
【0190】
また、本発明の一つの実施の形態では、物質レベルが操作者の末端部で決定され、また、操作者が末端部で認証され、末端部は、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び/又は頭からなる群から選択される。
【0191】
一つの実施の形態では、更に、制御モジュール2016は、操作者が認証装置2012によって認証されていて操作者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するように、車両と通信するようになされる。
【0192】
一つの実施の形態では、物質検出センサ2014は操作者中のアルコールレベルを検出するようになされる。ここで、物質検出センサ2014は、上で説明されたようにブロードバンド検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)を含む。更に、物質検出センサは、ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発する」ように構成された第1のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザとを含み得る。ここで、ブロードバンド検出器は、検出器通信ライン(Detector Out)を介して制御モジュール2016の16ビットアナログ/デジタル(A/D)インターフェースに結合される。第1のダイオードレーザは、第1のレーザ制御通信ライン(Laser#1−Control)を介して制御モジュール2016の入出力(I/O)インターフェースに結合され、また第1の温度通信ライン(Temp#1)を介して制御モジュール2016の16ビットA/Dインターフェースに結合され、第2のダイオードレーザは、第2のレーザ制御通信ライン(Laser#2−Control)を介して制御モジュール2016のI/Oインターフェースに結合され、また第2の温度通信ライン(Temp#2)を介して制御モジュール2016の16ビットA/Dインターフェースに結合される。
【0193】
更に、図34は、システム制御装置1010が、ユーザカウントスイッチ、プログラムモードスイッチ、較正モードスイッチ、従者モードスイッチ及び表示装置に結合され、身分証明ボードが車両バス及び他の車両システムに結合されることを示す。
【0194】
図35、図36、図37及び図38は、本発明の幾つかの実施の形態による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図を示す。図35に示すように、システム論理は、較正モード3100、実行モード3300又は従者モード3200で動作することができる主ループ3000を有する。図35の主ループ3000に示されるように、システム論理は、較正スイッチがオンに切り換えられているかどうかを決定する。図35及び図36に示すように、較正スイッチがオンに切り換えられている場合、システム論理は較正モード3100に進み、ブロック3121で、最初にユーザカウントスイッチ数(変更することができる)を表示する。図36を参照すると、ブロック3122で、システム論理はユーザカウント識別番号を読み取る。ブロック3123で、システム論理は指センサ識別をポーリングする。ブロック3124で、システム論理はアルコール検出センサを読み取る。次いで、システム論理は、プログラムスイッチが押されているかどうかを決定する。プログラムスイッチが押されている場合、システム論理は、ブロック3125で、カウント読み取りによって指示された永続メモリ位置(EEprom位置)に指紋及びアルコール検出値を記憶し、ブロック3126で主ループ3000に戻る。
【0195】
再び図35を参照すると、主ループ3000で、較正スイッチがオンに切り換えられていない場合、システム論理は、従者スイッチがオンに切り換えられているかどうかを決定する。図35及び図37に示すように、従者スイッチがオンに切り換えられている場合、システム論理は従者モード3200に進み、ブロック3141で、車両の最高速度を毎時10マイル(MPH))に設定し、ブロック3142で車両が始動するのを可能にし、主ループ3000に戻る。
【0196】
再び図35を参照すると、主ループ3000で、従者スイッチがオンに切り換えられていない場合、システム論理はブロック3001で指紋センサをポーリングし、指が指紋センサ上にあるかどうかを決定する。図35及び図38を参照すると、ユーザの指が指紋センサ上にある場合、システム論理は、ブロック3332で、永続メモリからユーザの識別を決定する。
【0197】
次いで、システム論理はユーザが認識されるかどうかを決定する。ユーザが認識されない場合、システム論理はブロック3333で車両を使用不可にする。ユーザが認識される場合、論理はアルコール検出を開始する。すなわち、システム論理はブロック3351で第1のレーザをオンに切り換え、ブロック3352で待機時間遅延(例えば約2〜約3ms)を提供する。次いで、ブロック3353で、システム論理は検出器出力サンプルをデジタル化し、複数のサンプル(例えば、約10サンプル)を平均化して、この平均の第1のレーザ値を記憶する。更に、図38に示すように、システム論理はブロック3354で第2のレーザをオンに切り換え、ブロック3355で待機時間遅延(例えば約2〜約3ms)を提供する。次いで、ブロック3356で、システム論理は検出器出力サンプルをデジタル化し、複数のサンプル(例えば、約10サンプル)を平均化して、この平均の第2のレーザ値を記憶する。
【0198】
次いで、図38に示すように、システム論理は、第1のレーザ値又は第2のレーザ値がBACしきい値よりも大きいかどうかを決定する。BACしきい値が超えられない場合、システム論理は主ループ3000に戻る。BACしきい値が超えられる場合、システム論理はBAC制限が超えられるかどうかを決定する。BAC制限が超えられる場合、システム論理は、システムオーバーライドがオンであるかどうかを決定する。システムオーバーライドがオンでない場合、システム論理はブロック3333に移り、車両を使用不可にする。対照的に、システムオーバーライドがオンである、又はBAC制限が超えられていない場合、システム論理はブロック3335でこのデータをログし、ブロック3336で車両が始動するのを可能にし、主ループ3000に戻る。
【0199】
再び図35を参照すると、主ループ3000で、指が指紋センサ上にない場合、システム論理は、第1のレーザの温度センサからの値が第1のしきい値よりも大きいかどうかを決定する。値が第1のしきい値よりも大きい場合、システム論理は第1のレーザTECをオンに切り換えて第1のレーザを冷却する。値が第1のしきい値以下である場合、システム論理は、第2のレーザの温度センサからの値が第2のしきい値よりも大きいかどうかを決定する。値が第2のしきい値よりも大きい場合、システム論理は第2のレーザTECをオンに切り換えて第2のレーザを冷却する。値が第2のしきい値以下である場合、主ループ3000の開始点に戻る。
【0200】
前述のことに鑑みて、本発明の実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の非侵襲性及び/又は生体内試験のための特定波長帯域での光源を提供し、非侵襲性及び/又は生体内物質分析のための2つ以上の特定波長帯域を提供し、人の組織中の物質の濃度の比較及び/又は測定に関するベース読取り及び後続の読取りを提供し、同時及び/又は実質的に同時の認証と物質評価のために生物測定センサを物質センサと近位位置で結合し、及び/又は第三者(例えば従者)に与えられる車両を制御するための方法及びシステムを提供する。本発明の一つの実施の形態では、光学物質検出器は、光源(例えば、ハロゲンランプ)と、構成された波長フィルタリングシステムにより試験試料(例えば、試験試料の一領域)を照射するためにハロゲンランプに取り付けられた光ファイバ束とを含む。所望の波長帯域が検出器に反射されて戻される。統計モデリング分析を含む評価により、試験試料の血中アルコール濃度(BAC)が、車両を操作するための法定制限に関して決定され、BACが法定制限範囲内にない場合、車両が使用不可にされる。
【0201】
上記のことから理解されるように、本明細書で説明される様々な構造及び機能は、様々な装置(例えば、撮像デバイス、監視デバイスなど)に組み込まれ、様々な形で実装され得る。撮像及び/又は監視デバイスの様々な実施の形態は、様々なハードウェア及びソフトウェア処理コンポーネントを含み得る。幾つかの実施の形態では、処理装置、制御装置、状態機械及び/又は論理などのハードウェアが、説明されたコンポーネント又は回路を実装するために使用され得る。幾つかの実施の形態では、1つ又は複数の処理デバイス上で動作するソフトウェア又はファームウェアなどのコードが、説明された操作又はコンポーネントの1つ又は複数を実装するために使用され得る。
【0202】
幾つかの例示的な実施の形態に関連して本発明を説明してきたが、理解されるように、本発明は開示された実施の形態に限定されず、逆に、頭記の特許請求の範囲及びその等価箇所の精神及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び等価構成を網羅するように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】本発明の一つの実施の形態の態様による、運転者カード識別システム及び/又は車両の操作者(又は運転者)による車両の使用(又は非認可使用)を妨げるシステムのブロック図である。
【図2】本発明の一つの実施の形態の態様による、運転者カード識別システム及び/又は車両の操作者(又は運転者)による車両の使用(又は非認証使用)を妨げるシステムに関連付けられるプロセスブロックの流れ図である。
【図3】本発明の一つの実施の形態の態様によるバイザー取付け式の生物測定デバイスを示す図である。
【図4】本発明の一つの実施の形態の態様による、機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスのブロック図である。
【図4A】本発明の一つの実施の形態の態様による、図4の機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスを含む車両のブロック図である。
【図4B】本発明の一つの実施の形態の態様による、図4の機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスを含むタイムクロックシステムのブロック図である。
【図5】本発明の別の実施の形態の態様による、機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスのブロック図である。
【図6】本発明の一つの実施の形態の態様による、リサーチグレードのNIR分光計を使用して収集された800nm〜2400nmの範囲の特定波長での100%エタノールのスペクトルを示す図である。
【図7】本発明の一つの実施の形態の態様による、リサーチグレードのNIR分光計を使用して収集された1400nm〜1500nmの範囲の特定波長での水中の0.10%、0.08%、0.06%及び0.04%エタノールのスペクトルを示す図である。
【図8】本発明の一つの実施の形態の態様による、リサーチグレードのNIR分光計を使用して収集された1650nm〜1750nmの範囲の特定波長での水中の0.10%、0.08%、0.06%及び0.04%エタノールのスペクトルを示す図である。
【図9】本発明の一つの実施の形態の態様による、リサーチグレードのNIR分光計を使用して収集された2200nm〜2400nmの範囲の特定波長での水中の0.10%、0.08%、0.06%及び0.04%エタノールのスペクトルを示す図である。
【図10A】本発明の一つの実施の形態による光学物質検出器構成を示す図である。
【図10B】本発明の別の実施の形態による光学物質検出器構成を示す図である。
【図11】本発明の一つの実施の形態の態様による、800〜2400nmのエタノール及び水の光吸収を示す図である。
【図12】本発明の一つの実施の形態の態様による、使用することができる様々な技術のブロック図である。
【図13】本発明の一つの実施の形態の態様による光源、コリメートレンズ、指、再結像レンズ及びファイバを示す図である。
【図14】本発明の一つの実施の形態の態様による一体型の指紋スクリーンを有する指センサの概略図である。
【図15】本発明の一つの実施の形態の態様に従って想定される、トランスインピーダンス増幅器及び熱制御を有するフォトダイオードの概略図である。
【図16】本発明の一つの実施の形態の態様による、光ファイバを介してSHSを「指スロット」に結合するためにファイバが使用されるSHS概略図である。
【図17】本発明の一つの実施の形態の態様による、光をサンプルするための調整可能又は静的なフィルタの使用を示す図である。
【図18】本発明の一つの実施の形態の態様による、異なる波長での光路サンプリングにおいてフィルタを変更するために使用することができるフィルタスライダを示す図である。
【図19】本発明の一つの実施の形態の態様による分光計を示す図である。
【図20】本発明の一つの実施の形態の態様による1100nm〜1700nmのスペクトルの部分を示す図である。
【図21】本発明の一つの実施の形態の態様による1100nm〜1700nmのスペクトルの部分を示す図である。
【図22】本発明の一つの実施の形態の態様によるフルスペクトルレーザ照射を示す図である。
【図23】本発明の一つの実施の形態の態様による、約1310nmでの、観察された強度に対するエタノール濃度の統計的には無効であるが興味深い測定を示すNIR分光計データを示す図である。
【図24A】本発明の一つの実施の形態の態様による狭帯域照射及びフォトダイオード検出器を使用する試料検査方法を示す図である。
【図24B】本発明の一つの実施の形態の態様による狭帯域照射及びフォトダイオード検出器を使用する試料検査方法を示す図である。
【図24C】本発明の一つの実施の形態の態様による狭帯域照射及びフォトダイオード検出器を使用する試料検査方法を示す図である。
【図25】本発明の一つの実施の形態の態様によるモノクロメータの詳細な動作原理を示す図である。
【図26】本発明の一つの実施の形態の態様によるエタノールセンサ装置を示す図である。
【図27】本発明の一つの実施の形態の態様による、試料に関する約1310nmでの透過強度を示す図である。
【図28】本発明の一つの実施の形態の態様による、ベールの法則に対応しなかった0〜0.1%領域に関する結果を示す図である。
【図29】本発明の一つの実施の形態の態様による、ベールの法則に対応しなかった0〜0.1%領域に関する結果を示す図である。
【図30】本発明の一つの実施の形態の態様による、一体型の光ファイバピグテールを有するバタフライパッケージダイオードレーザの概略図である。
【図31】本発明の一つの実施の形態の態様による、それぞれ異なる波長での、ピグテールを有する2つのダイオードレーザを示す図である。
【図32】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムのブロック図である。
【図33】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図である。
【図34】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるための別のシステムのブロック図である。
【図35】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図である。
【図36】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図である。
【図37】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図である。
【図38】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、第三者に与えられる車両を制御するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
国立アルコール乱用・依存症研究所、No.25、PH351、1994年7月によれば、「疫学的研究が、米国での輸送安全に関するアルコールの影響の程度を明らかにしている。第1に、全交通事故死者数の40%(事故死の第一の原因)は、アルコール関連である。第2に、アルコールは、米国民間航空機墜落事故に直接には関与していないが、致命的な一般の航空墜落事故における操縦士によるアルコール関与の典型的な推定値は、10〜30パーセントの範囲である。第3に、沿岸警備隊レポートの最近の再調査が、船舶事故死者(船外に落ちた人を含む)の60パーセントでアルコール関与の可能性を示唆している。最後に、1990年の鉄道従業員の事故後試験では、3.2パーセントが、アルコール又は他の禁止薬物について陽性の試験結果であった。アルコール又は他の薬物関与のパーセンテージは、死者が含まれているときにはより高くなることがある。」
したがって、車、ボート、飛行機、バス、重機又は入口点のいずれであれ、酒気帯びの個人を試験する及び/又は酒気帯びの個人が車両又は他のデバイスを操作するのを妨げるように適合された方法及びシステムが必要である。
【0003】
安全に保護された設備へのアクセスを防止又は制限するために、またキーカード又はパスワードなど代替の形態のセキュリティの代用として、生体認証センサが使用されている。生物測定センサは、使用不可にする、改竄する又は回避するのが一般的に一層難しいので、しばしば、他の識別システムよりも優れているとみなされている。しかし、生物測定センサは、自動車及び他の車両の分野では、依然として広く受け入れられていない。これは、生物測定センサが高価であること、既存の車両と統合するのが難しいこと、又は操作が難しいことが理由であることがある。
【0004】
車両の操作は通常、キーのみを必要とする。パスコードに基づくセキュリティを追加する盗難防止デバイスが存在する。指紋スキャンなどの生体認証が不成功である場合に車両を使用不可にする、より先進の盗難防止デバイスが存在する。運転者の血中アルコールレベルが事前設定レベルを超える場合に車両を使用不可にする、限定的な独立型の飲酒検知器デバイスが存在する。
【0005】
車両制御システムは様々な側面で大きな欠点がある。例えば、各要素を互いに連係するただ1つの個別システムは存在しない。例えば、飲酒検知器試験と生体識別とを要求することは、現在、2つの異なるシステムを必要とし、これらは冗長であり、費用がかかり、必ずしも両立性があるわけではない。
【0006】
また、アルコール試験などの物質試験は、典型的には、飲酒及び麻薬の影響下での運転(DUI)と関連付けられるが、また、医学、職場安全性、保護観察監視などにも関連付けられることがある。息及び生体外(例えば、血液及び唾液)物質測定方法が、現在、人体中の物質の濃度を相関させる(決定する)ために使用されている。息及び生体外物質測定技法は3つの重要な制限を受ける。すなわち、それらの技法は、生物災害の問題をもたらす体液の取扱いを必要とし、試験管理者による或る程度の直接的な被験者監視を必要とし、実際にリアルタイムでは人体中の物質の濃度を測定しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、生物災害安全性を改善する並びに/又は非監視及び/又は実際にリアルタイムでの試験を提供することができる、非侵襲性及び/又は生体内物質試験のための方法及びシステムが必要である。更に、試験を自動化するため、詐欺及び/又は試験中の監視の必要性を低減及び/又はなくすため、かつ/又は車、ボート、飛行機、バス、重機、又は入口点のいずれであれ、酒気帯びの個人が車両又は他のデバイスを操作するのを防止又は制限するために、生物測定センサなどの認証装置と組合せ可能であり得る方法及びシステムの必要性がある。生物測定センサと物質試験システムとの結合は、同時及び/又は実質的に同時の認証と物質評価のために、できるだけ近づけるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの実施の形態の態様は、人の組織中の物質の濃度の非侵襲性及び/又は生体内試験のための特定(単一)の波長での光源(例えば、LED)、水銀キセノンアークランプ、タングステンハロゲンランプ又はダイオードレーザ)を対象とする。本発明の一つの実施の形態の別の態様は、非侵襲性及び/又は生体内物質分析のための2つ以上の特定の波長を対象とする。本発明の一つの実施の形態の別の態様は、人の組織中の物質の濃度の比較及び/又は測定に関するベース読み取り及び後の読み取りを対象とする。本発明の一つの実施の形態の別の態様は、同時及び/又は実質的に同時の認証と物質評価のために生物測定センサを物質センサと近位位置で結合する。本発明の一つの実施の形態の別の態様は、第三者(例えば従者(valet))に与えられる車両を制御するための方法及びシステムを提供する。
【0009】
本発明の一つの実施の形態は、光源(例えば、ハロゲンランプ)と、構成された波長フィルタリングシステムにより試験試料(例えば、試験試料の一領域)を照射するためにハロゲンランプに取り付けられた光ファイバ束とを含む光学物質検出器を対象とする。所望の波長帯域が検出器に反射されて戻される。統計モデリング分析を含む評価により、試験試料の血中アルコール濃度(BAC)が、車両を操作するための法定制限に関して決定され、BACが法定制限範囲内にない場合、車両が使用不可にされる。
【0010】
本発明の一つの実施の形態は、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムを提供する。システムは、システム制御装置と、システム制御装置に結合された生体認証装置と、システム制御装置に操作者中の物質レベルを提供するようになされた物質検出デバイスとを含む。ここで、システム制御装置は、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合又は操作者が認証装置によって認証されない場合に車両に運転制約を通信するようになされ、物質レベルは操作者の末端部で決定され、また、操作者は末端部で認証され、末端部は、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び頭からなる群から選択される。
【0011】
一つの実施の形態では、システム制御装置は、更に、操作者が認証装置によって認証されていて操作者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するために車両と通信するようになされる。一つの実施の形態では、認証装置は指紋認証装置、顔認識認証装置、掌形認証装置、音声認証装置及びそれらの組合せからなる群から選択される生体認証装置を含む。一つの実施の形態では、認証装置は指紋センサを含み、操作者中の物質レベルは操作者の指の内部で生体内で決定される。一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、操作者中のアルコールレベルを検出するようになされる。
【0012】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスはブロードバンド検出器を含む。物質検出デバイスは、更に、ブロードバンド検出器に向けて特定波長帯域での光ビームを発するように構成された光源を含み、これは、反射光が検出器によって受け取られるように末端部に光ビームを導くことによって実現されることができる。特定波長帯域は約1300nm〜約2400nmの範囲内にある。この範囲は、約1400nm〜約1500nmの第1の範囲と、約1650nm〜約1750nmの第2の範囲と、約2200nm〜約2400nmの第3の範囲とからなる群から選択される。特定波長帯域は約1450nmにあってよい。ブロードバンド検出器は単一の検出器であってよい。単一の検出器はInGaAs検出器であってよい。一つの実施の形態では、末端部は指である。
【0013】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて導かれる第1の特定波長帯域での第1の光ビームと、ブロードバンド検出器に向けて導かれる第2の特定波長帯域での第2の光ビームとを含む。第1の特定波長帯域は、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にあり、第2の特定波長帯域は、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある。ブロードバンド検出器は単一の検出器であってよい。単一の検出器はInGaAs検出器であってよい。第1の特定波長帯域は約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、第2の特定波長帯域は約1650nm〜約1750nmの範囲内にある。代わりに、第1の特定波長帯域は約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、第2の特定波長帯域は約2200nm〜約2400nmの範囲内にある。
【0014】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて導かれる第1の特定波長帯域での第1の光ビームと、ブロードバンド検出器に向けて導かれる第2の特定波長帯域での第2の光ビームと、ブロードバンド検出器に向けて導かれる第3の特定波長帯域での第3の光ビームとを含む。ブロードバンド検出器は単一の検出器であってよい。第1の特定波長帯域は約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、第2の特定波長帯域は約1650nm〜約1750nmの範囲内にあり、第3の特定波長帯域は約2200nm〜約2400nmの範囲内にある。第1の特定波長帯域は約1450nmにある。一つの実施の形態では、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムは、更に、第1、第2及び第3の光ビームを提供するように構成された光源を含む。一つの実施の形態では、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムは、更に、光源とブロードバンド検出器との間に配設されていてブロードバンド検出器に第1、第2及び第3の特定波長帯域での第1、第2及び第3の光ビームを提供するようになされたフィルタリングシステムを含む。
【0015】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスが、PbS検出器、PbSe検出器、InAs検出器、InGaAs検出器、InSb検出器及びHgCdTe検出器からなる群から選択される単一のブロードバンド検出器と、単一のブロードバンド検出器に特定波長での光ビームを発するようになされた光源とを含む。一つの実施の形態では、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムが、更に、光源と単一のブロードバンド検出器との間に配設されて単一のブロードバンド検出器に特定波長帯域での光ビームを提供するようになされた波長フィルタリングシステムを含む。波長フィルタリングシステムは、光源よりも単一のブロードバンド検出器に近い距離に配設される。一つの実施の形態では、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムが、更に、光源と単一のブロードバンド検出器とに結合されたプラットフォームを含み、プラットフォームは、操作者の末端部の表面に接触するように構成され、操作者の末端部の表面の屈折率に実質的に等しい屈折率を有する。
【0016】
一つの実施の形態においては、車両は自動車を含む。自動車は貸自動車であってよい。一つの実施の形態では、車両は、航空機、大量輸送車両、船舶、産業機器並びに重機及び機器からなる群から選択される車両を含む。一つの実施の形態では、認証装置は指紋センサを含み、操作者中の物質レベルが操作者の指の内部の組織で生体内で決定される。一つの実施の形態では、物質検出デバイスは操作者中のアルコールレベルを検出するようになされる。
【0017】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスはブロードバンド検出器を含む。ここで、物質検出デバイスは、更に、ブロードバンド検出器に向けて特定波長での光ビームを発するように構成されたダイオードレーザを含み得る。ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。末端部は指であってよい。
【0018】
一つの実施の形態では、システムは更に、システム制御装置に結合されていて操作者の検証可能な信用証明を感知するようになされた信用証明センサを含む。ここで、システム制御装置は、認証装置によって認証された操作者が操作者の検証可能な信用証明に合致することを検証するようになされる。検証可能な信用証明は、運転免許証、RFIDタグ、スマートカード、クレジットカード、赤外線(IR)アダプタを含むキーホルダー、皮膚下インプラント及びそれらの組合せからなる群から選択される信用証明を含む。
【0019】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザとを含む。ここで、第1の特定波長は、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にあり、第2の特定波長は、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある。ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。
【0020】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第3の特定波長での光ビームを発するように構成された第3のダイオードレーザとを含む。ここで、ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器である。
【0021】
本発明の一つの実施の形態はタイムクロックシステムを提供する。システムは、システム制御装置と、システム制御装置に結合された生体認証装置と、システム制御装置にタイムクロックシステムの操作者中の物質レベルを提供するようになされた物質検出デバイスとを含む。ここで、物質レベルは操作者の末端部で決定され、また、操作者は末端部で認証され、末端部は、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び頭からなる群から選択される。一つの実施の形態では、システム制御装置は、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合又は操作者が認証装置によって認証されない場合に警告を発するようになされる。タイムクロックシステムは、更に、警告が発せられる時間を決定するようになされたタイムクロックを含む。
【0022】
一つの実施の形態では、システム制御装置は、操作者が認証されていて物質の濃度が許容レベルを超えない場合に操作者が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを許可するために建造物セキュリティデバイスと通信するようになされる。また、システム制御装置は、操作者が認証されていない場合又は物質の濃度が許容レベルを超える場合に操作者が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを制約するために建造物セキュリティデバイスと通信するようになされる。建造物アクセスデバイスは、操作者が建造物セキュリティデバイスへのアクセスを許可される時間を決定するようになされたタイムクロックを含む。
【0023】
本発明の一つの実施の形態は、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムを提供する。システムは、システム制御装置と、車両の操作者の第1の真皮位置で少なくとも1つの生物測定パラメータを検出し、操作者が認証されたことを示す認証出力を生成するようになされた生体認証装置と、第1の真皮位置の近位の第2の真皮位置で操作者中の物質のレベルを検出し、レベル出力を生成するようになされた物質検出デバイスとを含む。ここで、システム制御装置は、操作者が認証されない場合又は検出出力が事前選択された許容値を超える場合に車両の使用を選択的に制約するように、認証出力及びレベル出力に応じて動作する。一つの実施の形態では、操作者の第1の真皮位置は、操作者を生物測定学的に認証することが可能な位置である。一つの実施の形態では、操作者の第1の真皮位置は操作者の指紋のところである。
【0024】
本発明の一つの実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための方法を提供する。方法は、ダイオードレーザから組織内に特定波長での入射光ビームを発するステップと、ブロードバンド検出器を用いて、組織から反射された特定波長での入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された入射光ビームの測定された部分から、物質の特定波長での光ビーム吸収を決定するステップと、決定された光ビーム吸収から組織中の物質の濃度を計算するステップとを含む。ここで、組織は人の血液を含み、及び/又は物質はアルコールである。
【0025】
一つの実施の形態では、方法は、更に、生体認証装置及びシステム制御装置によって組織を評価されている人を認証するステップを含む。ここで、システム制御装置は、人が認証されていて物質の濃度が許容レベルを超えない場合に規制車両が動作するのを許可するために規制車両と通信するようになされる。システム制御装置は、人が認証されていない場合又は物質の濃度が許容レベルを超える場合に規制車両に操作制約を通信するようになされる。規制車両は自動車を含み得る。自動車は貸自動車であってよい。規制車両は、航空機、大量輸送車両、船舶、産業機器並びに重機及び機器からなる群から選択される車両を含み得る。
【0026】
システム制御装置は、人が認証されていて物質の濃度が許容レベルを超えない場合に人が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを許可するために建造物セキュリティデバイスと通信するようになされ得る。システム制御装置は、人が認証されていない場合又は物質の濃度が許容レベルを超える場合に人が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを制約するために建造物セキュリティデバイスと通信するようになされる。建造物アクセスデバイスは、人が建造物セキュリティデバイスへのアクセスを許可される時間を決定するようになされたタイムクロックを含む。生体認証装置は、虹彩認証装置、網膜認証装置、指紋認証装置、顔認識認証装置、掌形認証装置、音声認証装置及びそれらの組合せからなる群から選択される認証装置を含み得る。生体認証装置は、指紋センサを含み得る。
【0027】
一つの実施の形態では、ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器である。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。一つの実施の形態では、組織中の物質の濃度は、物質の特定波長での決定された光ビーム吸収のみを使用して計算される。一つの実施の形態では、特定波長は約1310nmであってよい。
【0028】
一つの実施の形態では、決定された光ビーム吸収からの物質の濃度は、第1の光ビーム吸収特性を有する物質の第1の濃度域と、第2の光ビーム吸収特性を有する物質の第2の濃度域とを使用することによって計算される。ここで、物質の濃度は、物質の第1の濃度域における物質の特定波長での光ビーム吸収に比例し、物質の濃度は、物質の第2の濃度域における物質の特定波長での光ビーム吸収には比例しない。第2の光ビーム吸収特性は実験的に決定されることができる。第1の光ビーム吸収特性は、
【0029】
【数1】
【0030】
によって決定され得る。ここで、λは特定波長であり、I0は入射光ビームの入射強度であり、Iは測定される透過強度であり、αは特定波長λの関数としての吸収係数であり、Lは組織を透過する入射光ビームの部分の質量経路長である。
【0031】
一つの実施の形態では、ダイオードレーザから組織内に特定波長での入射光ビームを発するステップは、組織を透過される入射光ビームの部分の質量経路長を2倍にするためにミラーに当たるように入射光ビームを発するステップを含む。一つの実施の形態では、ダイオードレーザから組織内に特定波長での入射光ビームを発するステップは、組織の第1の側に入射光ビームを発するステップを含み、組織を透過された入射光ビームの部分を測定するステップは、組織の第2の側から組織を透過された入射光ビームの部分を測定するステップを含み、第2の側は第1の側と反対である。
【0032】
一つの実施の形態では、ダイオードレーザから組織内に特定波長での入射光ビームを発するステップは、組織の第1の側から組織の第2の側に向けて入射光ビームを発することを含み、組織を透過された入射光ビームの部分を測定するステップは、組織の一部分を透過されて組織の第1の側へ戻るよう反射される入射光ビームの部分を測定するステップを含む。
【0033】
一つの実施の形態では、ダイオードレーザは、ダブルへテロ構造レーザダイオード、量子井戸レーザダイオード、分散帰還型レーザダイオード、垂直共振器型の面発光レーザ(VCSEL)ダイオード及び垂直外部共振器型の面発光レーザ(VECSEL)ダイオードからなる群から選択されるダイオードを含む。一つの実施の形態では、組織は人の指の内部にある。一つの実施の形態では、特定波長は赤外(IR)波長である。
【0034】
本発明の一つの実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための方法を提供する。方法は、第1のダイオードレーザから組織内に第1の特定波長での第1の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第1の特定波長での第1の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第1の入射光ビームの測定された部分から、物質の第1の特定波長での第1の光ビーム吸収を決定するステップと、第2のダイオードレーザから組織内に第2の特定波長での第2の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第2の特定波長での第2の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第2の入射光ビームの測定された部分から、物質の第2の特定波長での第2の光ビーム吸収を決定するステップと、決定された第1の光ビーム吸収及び決定された第2の光ビーム吸収から組織中の物質の濃度を計算するステップとを含む。一つの実施の形態では、組織中の物質の濃度は、物質の第1の特定波長での決定された第1の光ビーム吸収と、第2の特定波長での決定された第2の光ビーム吸収とのみを使用して計算される。
【0035】
一つの実施の形態では、方法は、更に、第3のダイオードレーザから組織内に第3の特定波長での第3の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第3の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第2の入射光ビームの測定された部分から、物質の第3の特定波長での第3の光ビーム吸収を決定するステップとを含む。ここで、組織中の物質の濃度を計算するステップは、決定された第3の光ビーム吸収から組織中の物質の濃度を計算するステップをも含む。一つの実施の形態では、組織中の物質の濃度は、物質の第1の特定波長での決定された第1の光ビーム吸収と、第2の特定波長での決定された第2の光ビーム吸収と、第3の特定波長での決定された第3の光ビーム吸収とのみを使用して計算される。
【0036】
一つの実施の形態では、第1の特定波長は、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長であり、第2の特定波長は、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長である。一つの実施の形態では、組織から反射された第2の特定波長での第2の入射光ビームの部分が、組織から反射された第1の特定波長での第1の入射光ビームの部分が測定された後に測定される。一つの実施の形態では、組織から反射された第1の特定波長での第1の入射光ビームの部分と、組織から反射された第2の特定波長での第2の入射光ビームの部分とが、同じブロードバンド検出器を用いて測定される。ここで、同じブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。
【0037】
本発明の一つの実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための方法を提供する。方法は、ダイオードレーザから組織内に特定波長での第1の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された特定波長での第1の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された入射光ビームの測定された部分から、物質の特定波長での第1の光ビーム吸収を決定するステップと、或る時間間隔後にダイオードレーザから組織内に特定波長での第2の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された特定波長での第2の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第2の入射光ビームの測定された部分から、物質の特定波長での第2の光ビーム吸収を決定するステップと、特定波長での決定された第1の光ビーム吸収と特定波長での決定された第2の光ビーム吸収とから組織の変化の特性を決定するステップとを含む。
【0038】
一つの実施の形態では、方法は、更に、組織の変化の決定された特性から、或る時間間隔後に組織中の物質の濃度を計算するステップを含む。ここで、決定された光ビーム吸収からの物質の濃度は、第1の光ビーム吸収特性を有する物質の第1の濃度域と、第2の光ビーム吸収特性を有する物質の第2の濃度域とを使用することによって計算される。物質の濃度は、物質の第1の濃度域における物質の特定波長での光ビーム吸収に比例し、物質の濃度は、物質の第2の濃度域における物質の特定波長での光ビーム吸収には比例しない。第2の光ビーム吸収特性は実験的に求められる。
【0039】
一つの実施の形態では、特定波長は、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にある。一つの実施の形態では、特定波長は、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある。一つの実施の形態では、組織は人の血液を含み、及び/又は、物質はアルコールである。一つの実施の形態では、組織は人の指の内部に位置する。
【0040】
一つの実施の形態では、ダイオードレーザは、ダブルへテロ構造レーザダイオード、量子井戸レーザダイオード、分散帰還型レーザダイオード、垂直共振器型の面発光レーザ(VCSEL)ダイオード及び垂直外部共振器型の面発光レーザ(VECSEL)ダイオードからなる群から選択されるダイオードを含む。
【0041】
一つの実施の形態では、組織から反射された特定波長での第1の入射光ビームの部分と、組織から反射された特定波長での第2の入射光ビームの部分とが、ブロードバンド検出器を用いて測定される。ここで、ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。一つの実施の形態では、組織は人の指の内部に位置する。
【0042】
本発明の一つの実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための方法を提供する。方法は、第1のダイオードレーザから組織内に第1の特定波長での第1の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第1の特定波長での第1の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第1の入射光ビームの測定された部分から、物質の第1の特定波長での第1の光ビーム吸収を決定するステップと、第2のダイオードレーザから組織内に第2の特定波長での第2の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第2の特定波長での第2の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第1の入射光ビームの測定された部分から、物質の第2の特定波長での第2の光ビーム吸収を決定するステップと、第1の入射光ビームの発射から第1の時間間隔の後に第1のダイオードレーザから組織内に第1の特定波長で第3の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第1の特定波長での第3の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第3の入射光ビームの測定された部分から、物質の第1の特定波長での第3の光ビーム吸収を決定するステップと、第2の入射光ビームの発射から第2の時間間隔の後に第2のダイオードレーザから組織内に第2の特定波長での第4の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第2の特定波長での第4の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第4の入射光ビームの測定された部分から、物質の第2の特定波長での第4の光ビーム吸収を決定するステップと、第1の特定波長での決定された第1の光ビーム吸収と第1の特定波長での決定された第3の光ビーム吸収とから、組織の変化の第1の特性を決定するステップと、第2の特定波長での決定された第2の光ビーム吸収と第2の特定波長での決定された第4の光ビーム吸収とから、組織の変化の第2の特性を決定するステップとを含む。
【0043】
一つの実施の形態では、方法は、更に、組織の変化の第1の決定された特性と組織の変化の第2の特性とから、第1及び第2の時間間隔の後に組織中の物質の濃度を計算するステップを含む。一つの実施の形態では、第1の時間間隔は第2の時間間隔に実質的に等しい。
【0044】
一つの実施の形態では、方法は、更に、第3のダイオードレーザから組織内に第3の特定波長での第5の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第5の特定波長での第5の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第5の入射光ビームの測定された部分から、物質の第3の特定波長での第5の光ビーム吸収を決定するステップと、第5の入射光ビームの発射から第3の時間間隔の後に第3のダイオードレーザから組織内に第3の特定波長での第6の入射光ビームを発するステップと、組織から反射された第6の特定波長での第6の入射光ビームの部分を測定するステップと、組織から反射された第6の入射光ビームの測定された部分から、物質の第3の特定波長での第6の光ビーム吸収を決定するステップと、第3の特定波長での決定された第5の光ビーム吸収と第3の特定波長での決定された第6の光ビーム吸収とから、組織の変化の第3の特性を決定するステップとを含む。ここで、方法は、更に、組織の変化の第1の決定された特性と、組織の変化の第2の特性と、組織の変化の第3の特性とから、第1、第2及び第3の時間間隔の後に組織中の物質の濃度を計算するステップを含む。
【0045】
本発明の一つの実施の形態は、第三者に与えられる車両を制御するためのシステムを提供する。システムは、システム制御装置と、システム制御装置に結合されたモード表示デバイスと、システム制御装置に結合された認証装置とを含む。ここで、システム制御装置は、認可された運転者によるモード表示デバイスの作動時に、認可された運転者によるモード表示デバイスの作動停止まで、車両に運転制約を通信するようになされ、システム制御装置は、認可された運転者が認証装置によって認証されない限り、モード表示デバイスの作動及び作動停止を制約するようになされ、運転制約は、始動の回数の制限、速度の制限、加速度の制限、時間の制限、距離の制限、ギアの制限、場所の制限及びそれらの組合せからなる群から選択される制限を含む。
【0046】
一つの実施の形態では、システムは、更に、システム制御装置に結合されていてシステム制御装置に第三者中の物質レベルを提供するようになされた物質検出デバイスを含む。ここで、システム制御装置は、更に、第三者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するために車両と通信するようになされる。システム制御装置は、更に、第三者中の物質レベルが許容レベルを超える場合に車両に別の運転制約を通信するようになされる。運転制約は、車両の最高速度を制限するように車両の車両バスを介して送信されるようになされたコマンドを含み、別の運転制約は、車両が始動するのを阻止するように車両の車両バスを介して送信されるようになされたコマンドを含む。
【0047】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスはブロードバンド検出器を含む。ここで、物質検出デバイスは、更に、ブロードバンド検出器に向けて特定波長での光ビームを発するように構成されたダイオードレーザを含む。ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。末端部は指であってよい。
【0048】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザとを含む。ここで、第1の特定波長は、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にあり、第2の特定波長は、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある。ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器であってよい。単一のフォトダイオード検出器はInGaAsフォトダイオード検出器であってよい。
【0049】
一つの実施の形態では、物質検出デバイスは、ブロードバンド検出器と、ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第3の特定波長での光ビームを発するように構成された第3のダイオードレーザとを含む。ここで、ブロードバンド検出器は単一のフォトダイオード検出器である。
【0050】
一つの実施の形態では、運転制約は、更に、作動可能な付属品の制限、開放可能なコンパートメントの制限及びそれらの組合せからなる群から選択される別の制限を含む。ここで、コントロールパネルは、更に、制限が超えられている場合に、指定された個人に遠隔で通知するために携帯電話にメッセージを送信するようになされ、及び/又は、コントロールパネルは、更に、認可された運転者が車両の制御を再設定するときに制限が超えられている場合に、認可された運転者に通知するために警告を発するようになされる。一つの実施の形態では、第三者は従者である。
【0051】
添付図面は、本明細書と共に、本発明の例示的な実施の形態を例示し、本説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。本特許又は出願書類は、カラーでなされた少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許又は特許出願公開のコピーは、要求して必要な料金を支払うと、特許庁から提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下の詳細な説明では、本発明の幾つかの例示的な実施の形態のみが、例として図示されて説明される。当業者は理解するように、説明される例示的な実施の形態は、様々な形で変更され得、それらは全て、本発明の精神又は範囲から逸脱しない。したがって、図面及び説明は、性質上、例示とみなされるべきであり、限定的なものではない。
【0053】
本発明の一つの実施の形態で想定されるように、運転者カード識別システムが提供される。システムは、とりわけ、車両の操作を制約及び実施するために、検証可能な信用証明と組み合わせて個人バイオメトリクスを使用することを可能にする。システムは、認可された運転者に対する制約を可能にし、盗難防止を提供し、運転及び/又は免許法の順守を保証し、親による、あるいは従者、サービス機関、指名運転者、友人、又は従業員など第三者に車両が与えられたときの、カスタマイズ可能な使用制御を提供する。更に、システムは、人の運転の癖について、及び誰が特定の時間に運転していたかについて、安全に保護された、暗号化された、検証可能な統計情報を提供する。更に、システムは、アルコール又は薬物の影響下での車両の運転を制約することもできる。
【0054】
本発明の一つの実施の形態は、検証可能な信用証明と結合されたバイオメトリクスを使用することによって、車両の非認可使用を阻止又は防止するシステムを想定する。これは、検証可能な信用証明と組み合わせて、虹彩スキャン、網膜スキャン、指紋スキャン、顔認識スキャン、掌形スキャン又は音声認証などの生体検証を要求することによって達成され得る。検証可能な信用証明は、バーコードや磁気ストライプを有する運転免許証、RFID、スマートカード、クレジットカード、赤外線アダプタを含むキーホルダー、皮膚下インプラント、又は信頼される発行源によって発行された他の信用証明であってよい。更に、そのようなシステムは、時刻、曜日、特定の期間中に運転された時間、運転状況、場所、乗員の数又は乗員の状態、政府発令警告状態、或いは計画された経路又は目的地に基づいて、車両を始動又は運転するための要件を調節することを含むことができる。そのようなシステムは、様々な形で実装され得る。一実装形態は、入力として生体認証装置と信用証明リーダとを受け入れるソフトウェア及びハードウェアベースの改竄防止制御モジュール(又はシステム制御装置)の使用によるものである。制御モジュールは車内にデータベースを含み、又はワイヤレス接続を介してデータベースに接続され得る。制御モジュールは、生体認証が検証可能な信用証明に合致すること、並びに信用証明及び/又は認証が有効であることを検証することができる。検証の結果に基づいて、制御モジュールは、車両コンピュータと通信することができ、車両が始動するのを許可し、或るいはデータベース又はワイヤレス接続から受信されるものを含めた運転制約を通信する。また、制御モジュールは、検証、データベースからの情報、又はワイヤレス接続からの情報に基づいて、エラーを報告し、又は追加の信用証明を要求し得る。
【0055】
本発明の別の実施の形態は、アルコール又は薬物に関する検出システムと結合されたバイオメトリクス及び/又は検証可能な信用証明を使用することによって、車両の非認可使用を阻止又は防止するシステムを想定する。そのようなシステムは、特定の運転者又は運転者のクラスに、その者の生物測定スキャンに基づいた飲酒検知器をパスすることを要求することを含むことができ、及び/又は生体識別から得られる情報を使用して車両の使用を制約することができる。例えば、網膜スキャナは、人がアルコール又は薬物の影響下にあることを識別することができる。これは、アルコール及び何らかの薬物の影響下にある人においては、影響下にないときの同じ人と比べて、スキャンされる網膜パターン又は血管パターンが異なるからである。更に、瞳孔拡張試験が、光のビームが目に当てられたときに瞳孔が拡張する速度及び程度を測定することによって酒気帯びを判定するために行われ得る。網膜パターン又は瞳孔拡張のこの変化は定量化可能であり、又は予期されるパターンからの偏差のパーセントとして測定され得る。偏差が許容値を超える場合、車両は、制約され、或いは操作者への電話、警察官の出動、又は飲酒検知器など代替の飲酒していないことの証明など、代替形態の検証を必要とする。例えば、アルコールの影響下にある運転者が、網膜スキャンを使用して自分の身分証明を検証することを試みる場合、システム内のフラグを起動して、(例えば、ワイヤレス通信を介して警察官又は家族に通知することによって)酔っていないことを証明するようにその者に要求する、車両を使用不可にする、又は車両の速度若しくは経路を制限することができる。バイオメトリクスと物質検出とのそのような結合は、異なる個人に関して異なる検出しきい値及び応答を設定できるようにするので有益である。また、友人や乗員が標準点火ロックアウト飲酒検知器に息を吹きかけることによって飲酒検知器をごまかして、酒気帯びの運転者に運転させることができる可能性を低減する。許容値は、状態毎に制御することができ、又は特定の運転者に対して、その者の信用証明に許容値レベルを記憶することによってカスタマイズすることができる。許容値レベルのカスタマイズは、視力が変化していることがある高齢者など特定の運転者が、その者のスキャン弁別が何らかのパーセンテージを超えた場合に運転することを認可されるようにすることができる。警察官からのオーバーライドコードなど代替の証明が提供される場合、オーバーライドする警察官のバッジ番号など、そのコードに関する任意の情報がログに記憶される。
【0056】
本発明の別の実施の形態は、物質検出器としても、また信用証明検証装置としても機能することができるハンドヘルド生体識別デバイスを想定する。ハンドヘルド型のバイオメトリクスデバイスは、ポータブル網膜スキャナ、指紋スキャナ、音声分析器、虹彩スキャナ、RFIDリーダ、顔認識スキャナ又は掌形スキャナを含み得る。そのようなデバイスは、交通違反取締り中に、又は高い信頼性の識別が望まれる場合に、いつでも、警察官によって使用され得る。デバイスは、電源又は電池、生体認証装置、状態検出器又は信用証明認証装置を含み得る。更に、デバイスは、データベース、又はデータベースへのワイヤレスアクセスを含むことがある。更に、ハンドヘルドデバイスは、生物測定情報、状態情報、信用証明情報又はログをダウンロードするために、車両制御モジュールと通信することができる。例示的な実施の形態では、ハンドヘルド生体識別デバイスは信用証明認証装置を含み、1つの代表的な実施の形態ではバーコードリーダに結合された生体認証装置を、1つの代表的な実施の形態では網膜スキャナを含む。警察官など政府当局は、人の運転免許証及び/又は保険カードを読取器に通し、網膜スキャンを行うことができる。次いで、デバイスは、免許証、保険カード及び網膜スキャンをクロスチェックして、個人の身分証明を認証することができる。更に、システムは、信用証明が現在有効であることを確認するために信用証明をデータベースと突き合わせて検証することもでき、その個人を更に引き留める理由があるかどうか確認するために警察車内のものなどコンピュータとインターフェースすることもできる。
【0057】
本発明の別の実施の形態は、生体識別の使用によって車両の親制御を可能にするシステムを想定する。例えば、親は、自分の子のみが車を運転することができ、車を第三者に貸すことができないことを保証するために、そのようなシステムを使用することができる。同様に、そのようなシステムを使用する親は、速度、経路、停止の回数など運転統計のログを閲覧することができる。そのようなシステムをバイオメトリクスと結合することによって、親は、車両を運転する人が自分の子であることを確認することができる。更に、GPSに結合されたバイオメトリクスの使用によって、親は、自分の子が学校の行き帰りなど特定の経路のみを運転することを許すことができる。また、ピン番号、パスワード又は遠隔認可の使用によって、遠隔から、システムが任意選択でリセットされ得、又は運転特権が増やされることもある。親制御システムは、複数の「ホーム位置」をプログラムすることができ、それによりシステムは、車両が各位置からどれだけ離れているかを追跡することができる。また、車両にSMSメッセージ又は通信を送信することによって、車両を家に「呼び戻す」こともできる。車両は、呼び戻される場合、運転者が家へのコースから逸脱するのを制約することができる。逸脱した場合には、速度を制限する、或る電話番号への電話接続を開く、又はなぜ逸脱が生じたかを説明する応答メッセージを送信することを要求するなど、様々な強制措置が取られ得る。また、親制御システムは、子が酒気帯びである又は疲れているときに車両を操作するのを妨げるために、状態検出器と結合され得る。更に、システムは、経路、速度、停止、ブレーキの癖及び乗員の数のログを提供することもできる。更に、運転者が車両を操作するのを妨げるように、指定された時間中に運転時間が制約され得る。親制御に関しては、子が車両を駐車した後に授業時間中に車両を操作するのを妨げ得る。施策に対する例外を許すために、主要な個人又は他の個人が事前認可されてもよい。事前認可は、その個人の信用証明が親によってシステムに入力されることによって行われる。
【0058】
ログを分析し、設定をカスタマイズできるように、システムは任意選択でコンピュータに接続され、又は情報がワイヤレスでダウンロードされる。コンピュータソフトウェアプログラムが、システムに接続し、認証し、情報をダウンロードするように動作可能である。情報は、分析され、ウェブページに公開され、又は子や従業員など第三者の運転の癖のレポートを提供するために使用され得る。
【0059】
本発明の別の実施の形態は、政府、警察又は法執行機関によって特定の個人の運転特権を制約するためのシステムを想定する。例えば、或る個人は仕事の行き帰りに運転することのみを許されるが、その車両は他人にはそのような制限なしで使用され得る。したがって、そのようなシステムは、生体検証を使用して、特定の運転者に関する特定の運転制約を施行することができる。
【0060】
本発明の別の実施の形態は、第三者に与えられた車両の制御を可能にするシステムを想定する。第三者は、従者、サービス機関、指名ドライバー、友人又は従業員を含み得る。車両は、例えば、その速度、加速度、走行することができる時間又は距離、シフトすることができるギア、行くことができる場所、作動させることができる付属品、又は開けることができるコンパートメントを制限することによって、制約された機能で動作するように構成されることができる。認可された運転者が車両の制御を再設定するまで又は適切な非従者キーが使用されるまで制約を保持するために、時間遅延従者ボタン又はシステムが活動化され得る。従者は、生体識別を行うことを要求されないことがあり、しかし車両へのアクセスは制約される。また、従者オプションは、限られた回数の更なる始動を含むこともあり、それにより従者は、必要とされる場合に車を動かす能力を有する。従者が、始動の回数又は他の制約を超えることを試みる場合、車両は、警告を発することができ、任意選択で、例えば携帯電話にSMSメッセージを送信することによって、指定された個人に遠隔で通知することができる。そのようなシステムが作動されるとき、音が発せられ、又は視覚的警告が提供されてもよい。また、システムは、任意選択で、ピン番号又はパスワードの使用によってリセットされ得る。この態様は、運転者間での操作簡易性を保証するために、生体識別及び/又は信用証明検証と結合される。
【0061】
また、システムは、飲酒検知器、非侵襲性の指スキャン、心拍数モニタ、脳活動モニタ、又は運転者の状態を検出するための他のデバイスなど状態検出器と結合され得、それらの状態に基づいて運転を制約し、例えば、心臓発作の発生又は疲れている運転者を検出する、或いは運転者の逆上(road rage)を防止する。
【0062】
本発明の別の実施の形態は、生体検証又は検証可能な信用証明に基づいて運転制約を施行するようになされたシステム及び方法を想定する。車両は、運転者の身分証明に基づいて、何らかの指定された道路、路地を走行するように、又は特定の駐車場に駐車するように装備されることができる。生体検証又は検証可能な信用証明に基づいて、調速機又は他の速度制御デバイスの使用によって速度が制限され得る。素行の悪い運転履歴を持つ運転者は、そのような生体識別に基づいて、速度又は経路を制限するように要求される。同様に、政府が必要と判断する場合には、運転者の信用証明が無効にされ、或いは違反された場合に車両がログを取り或いは保存及び/又は送信するといった制約を運転者に課すこともできる。
【0063】
本発明の別の実施の形態は、警察、レッカー車、及び緊急要員など認可された個人による使用のためのマスターオーバーライド機能を想定する。車両の生物測定オーバーライド機能が使用可能にされているとき、車両は、光を発する、音を発する、又はデータベースもしくは警告システムとワイヤレスで通信することができる。
【0064】
本発明の別の実施の形態は、バイザーに取り付けられるバイオメトリクスデバイスを想定する。そのようなデバイスは、虹彩スキャナ、網膜スキャナ、マイクロフォン及び/又はカメラであってよい。バイザーは、一般には運転者から固定の距離にあるので、そのようなデバイスにとって特に良好な位置にあり、ミラー又はライトを含み得、運転者からの高さ又は距離に関するスイベル又は調節機構を含み得、化粧又は盗難防止目的のために容易に積み込むことができる。また、バイオメトリクスデバイスは、車両が使用中である間、あるいは運転者側ドアが開かれているとき、又は新たな運転者が車両に入ったことをセンサが検出したときに、動作を継続することもできる。また、そのようなバイザー取付け式のバイオメトリクスデバイスは、運転者を検証することを保証することによってカージャックを防止することができる。バイザー取付け式のバイオメトリクスデバイスは、バイオメトリクスシステム全体、又はカメラなどただ1つの要素を含むことができる。バイオメトリクスデバイスを駆動する論理及び回路は、バイザーに位置される必要はない。また、バイオメトリクスシステム又は全システムの状態又は正常動作を示すよう、バイザーは一連のLEDを備えてもよい。また、バイザーは、網膜、虹彩、又は瞳孔スキャナの場合にバイオメトリクスデバイスの位置合わせを助けるために、LCDディスプレイを備えることもできる。また、バイザーにあるLCDは、現行の運転者又はシステムに関する状態情報を表示することもでき、これは、ダッシュボード空間が限られ得る既存の車両に後付けするのに特に有益である。また、認証を行うため、又はシステムの音声作動制御のために、バイザーにマイクロフォンを備えてもよい。
【0065】
本発明の別の実施の形態は、ジョイスティック、アイトラッカー、又は音声制御式の操縦又は運転制御システムなどの代替の運転デバイスに結合されたバイオメトリクス認証システムを想定する。そのようなシステムは、ジョイスティックに位置決めされた指紋スキャナ、又は運転者認証を提供することに加えて運転の態様を制御するために目の動きを追跡する働きもする網膜スキャナを含むことができる。また、音声作動式の生体識別装置が、ラジオなど車両機能の音声作動のために使用されてもよい。
【0066】
本発明の別の実施の形態は、追跡中、又は車両が路肩に寄せられたときに、生体検証又は信用証明情報を法執行官にワイヤレスで送信できるようになされたシステム及び方法を想定する。そのような送信は、システムによって暗号化され、ハンドヘルドシステム又は法執行官の車内に位置されたシステムによって解読され得る。法執行官は、システムから任意のログをワイヤレスでダウンロードすることができ、或いは、車内で信用証明にクロスチェックされる生物測定スキャンを行うことによって、車両の現行経路、速度、又は運転者を含めた任意のログを閲覧することができる。また、情報は、更なる分析のために中央位置に中継され得る。
【0067】
本発明の別の実施の形態は、生体検証及び信用証明情報を、車両衝突の場合に運転者間で簡単に通信できるようになされたシステム及び方法を想定する。そのような通信は、個人が偽りの情報を提供することを防止し、情報の速度及び精度を提供する助けとなる。情報は、ワイヤレスで通信され得、又は紙レポートをシステムに取り付けられた車内プリンタから印刷してもよい。また、情報が保険会社又はDMVにワイヤレスで送信されて、レポートが生成されてもよい。
【0068】
本発明の別の実施の形態は、生体検証及び信用証明情報を、ひき逃げ事故に関与した車両によって受信及び記憶できるようにするようになされたシステム及び方法を想定する。更に、そのような情報は、プライバシーを保護するように暗号化され、それを復号することができるDMV又は警察署などの法執行機関に渡され得る。そのようなシステムは、事故又は犯罪現場の視覚的なスナップ写真を提供することができ、当事者及び目撃者を突き止めることができる能力を高める。また、警察は、以前にどの経路が走行されていたかを遡る、又は引き出すこともできる。経路は、暗号化された様式で記憶され得、又は信頼性を確かめるためにチェックサムが計算され得る。
【0069】
本発明の別の実施の形態は、車両の以前の運転者のログを保持するようになされたシステム及び方法を想定する。情報はシステム内に記憶され、特定の間隔でワイヤレスで送信され、車が始動される度に、又はブレーキが踏まれる度に送信され、或いは車両更新中など固定の間隔で送信されることができる。
【0070】
想定されるように、本発明の別の実施の形態は、更に、異なる個人に、その者が走行している場所又は目的に基づいて異なる使用料を課金することを含む。低コストで特定の場所まで運転し、高いコストで他の場所まで運転することを特定の個人に認可するために、利用回数制支払いの補充可能な信用証明が使用され得る。例えば、職場への運転は低コストで課金され、バーへの運転は高いコストで課金される。そのようなコストは、独立型のキオスクで支払われ、或いは運転者の口座に直接請求される。
【0071】
本発明の別の実施の形態は、特定の顧客へのプレミアム駐車場など所望のサービスを提供するために、生体検証又は信用証明情報を駐車場係員又は自動システムに送信できるようになされたシステム及び方法を想定する。
【0072】
本発明の別の実施の形態は、車両に入る全ての個人に関する生体識別及び/又は信用証明情報を必要とするようになされたシステム及び方法を想定する。そのような情報は、車内の個人に基づいて特定の道路への進入を制約することによって自動車相乗りを奨励するため、テロリズムを防止するため、又は乗員の行程に基づいて各乗員に課金又は借方に記入するために使用することができる。
【0073】
本発明の別の実施の形態は、ワイヤレス車両監視システムを想定する。監視システムは双方向又は一方向での衛星接続を含むことができる。ワイヤレス接続は、免許及び保険情報の定期的な更新を提供することができる。更に、システムは、特定の日/時間に電源投入する、又はワイヤレス通信を受信するように構成され、或いは常時監視するように構成されることもできる。また、システムは、ブルートゥースを介することを含め、携帯電話を介して通信することもできる。ワイヤレス更新の提供は、システムが、有効な運転免許証又は保険カードを読取器に通す必要なく作動できるようにする。これは、そのような情報が、システム内に既に記憶されており、運転者の生物測定情報に合致されているからである。更に、システムは、SMSメッセージを含めたターゲット通信を受信することが可能である。通信は、システムによって解釈されることができ、信頼性の初期検証又はキー交換時に、車両の速度を減速する、車両を停止する、警笛又は光を発する、或いは免許停止中の運転免許証など検証される信用証明の変更を反映するようにシステムを更新するなど、メッセージに含まれる操作を行うことができる。
【0074】
本発明の別の実施の形態は、保険料率及び運転税を、車両の運転者の運転の量又はタイプに連係させるためのシステム及び方法を想定する。無制限使用プラン、総マイル数限定プラン、単一運転者プラン、異なる価格での超過マイル数を含むプランを含む様々なプランが購入され得る。保険料率は、システム内にログされた情報に基づいて設定され得る。この目的を達成するために、保険会社にログが送信され、又は概要レポートが生成及び送信される。また、保険IDカードに含まれる情報が、運転制約を施行するために使用されることもある。例えば、運転者が、その者のプランでのマイル数を超える場合、何らかの経路に関して制約され得る。同様に、トップアップカードが購入され、又は運転者の口座への課金が認可され得る。低い総マイル数、低い平均速度、安全な経路、低交通量の経路で、又は平均して高い乗員数で運転する運転者は、クレジット、ディスカウント、又は商品と引き換え可能なポイントを与えることによって報奨を受けることができる。
【0075】
本発明の別の実施の形態は、使用が簡単な音声応答システムを想定する。システムは、可聴プロンプトを提供することができ、コマンドを受け入れるために音声認識を含む。運転者が車両に入るとき、システムは運転者に挨拶し、運転者に、その者の信用証明及び生物測定情報を提供するように促す。クロスチェックを行うことができ、データベースが問合せされる。検証が成功した場合、運転者は更に挨拶され、ラジオ又は他の車内デバイスに関して事前設定が設定され、車両が使用可能にされる。検証が不成功である場合、運転者には追加の試行が与えられ、その後、車両から離れるように促される。運転者が車両から離れない場合、アラームが発せられ、又は指定された人又は警察が通知を受けることができる。
【0076】
また、運転者は、経路に関するガイダンス、又は店を見つける支援を要求することもできる。運転者に基づいて広告が提示され、クーポンが提供されることもできる。例えば、特定の経路に沿って、又は或る半径範囲内でドライクリーニング店を探している個人には、クーポンを含むオプションのリストが提示される。広告者は、より良い掲載位置又は更なる詳細事項を含めたプレミアム掲載の対価を支払うことに同意することができる。
【0077】
しかし、本発明の実施の形態は自動車に制限されない。例えば、本発明の適切な実施の形態は、トラック、飛行機、貨車、ボート、エレベータ、地下鉄システム、高速車両、モータサイクル及び他の形態の輸送で使用することができる。このシステムは、例えばモータサイクルなどアウトドア用途での使用のために、防水フィルム又はボックス内に収容され得る。また、システムは、モータサイクルのダッシュボード内に統合され得る。また、システムは、貸自動車内で非認可の運転者を妨げるために使用されることもできる。
【0078】
上の適切な実施の形態の任意のものにおいて、運転席に誰かが座る度に、運転中に定期的に、法執行によって要求されるときに、パスワード、キーカード又は検証可能な信用証明など更なる形態の識別が失敗したときに、或いは、使用料又は制約される道路若しくは地域を入力するために認可が要求されるときに、生体検証を提供することが望ましい。
【0079】
上の適切な実施の形態の任意のものにおいて、生物測定情報は、暗号化されて地方当局に、送受信機/受信機ユニットに、又は衛星、セルラ若しくは他の受信局に、ワイヤレス方式を含めて送信され得る。
【0080】
所有者、親、従者、友人、警察官、レッカー車又は販売代理店など様々なレベルの信用証明が存在し得る。システムは、様々な信用証明に対して別々に応答するようにプログラムされ得る。信用証明には認可レベルが割り当てられ、異なる認可レベルが異なるアクションを許可する。例えば、警察官は、システムをオーバーライドし、又は他の運転者からのログを閲覧することを許可する高い認可レベルを有する。他方、従者は、低速で運転することを許可し、例えばトランクを開けるのを制約する低い認可レベルを有する。
【0081】
システムは、車両コンピュータと直接インターフェースするように構成され、或いは、ブルートゥースや他のワイヤレスプロトコルを介して、又は車両のODBC診断ポートを介して、又は点火もしくは始動器とのインターフェースによって直接的に通信することができる。
【0082】
想定されるように、本発明の幾つかの実施の形態は、車両へのアクセスを制御するために、生体識別を、有効な運転免許証及び有効な保険カードとクロスチェックすることを含む。一つの実施の形態では、運転者は、車両に入って自分の運転免許証及び保険カードをスキャンし、次いで生体識別を行う。システムは、運転免許証、保険カード及び生体識別に関する情報をクロスチェックする。クロスチェックが成功した場合、車は始動を許可される。例示的な実施の形態において、運転免許証及び保険カードに記憶される情報は、改竄防止スマートカードに記憶される。生物測定情報は、スマートカードに記憶された情報と突き合わせてクロスチェックされることができ、1つの代表的な実施の形態では、スマートカードに記憶された暗号化された車両始動コードをロック解除のキーとして使用することができる。
【0083】
想定されるように、生物測定情報を運転免許証及び保険カードとクロスチェックすることに加え、物質検出器(例えば、飲酒検知器、瞳孔拡張/網膜スキャナデバイス、IR検出デバイス)が、運転者が禁止物質の影響下にないことを検証するために使われる。
【0084】
想定されるように、本発明の一つの実施の形態は、無免許の、無保険の又は酔った運転者が車両を操作するのを妨げるようになされる。運転者が有効な保険を有し、有効な運転免許証を有し、酒気帯びでなく、且つ保険カード/運転免許証の人物と同一人物であることを検証するように運転者に要求することによって、道路を一層安全にすることができる。更なる利益として、そのようなシステムが実装されると、潜在的な窃盗犯は、認可された運転者ではなく、それゆえ車両を始動することができないので、車両盗難を減らすことになる。更に、そのようなシステムは、特定の人が車内にいた、又は或る時間に或る目的地にいたことを証明するために、正確なものとして、生成されたログを認証することができるので、犯罪を減らすことになる。更に、車両が犯罪に関与する場合、運転者が誰であったか、その者が犯罪現場の前後にどこに行ったかを突き止めるために、車両のログを検査することができる。更に、そのようなシステムは、酒気帯びの運転者が運転するのを妨げるように構成することができるので、酔った運転者を減らすことになる。これは、初期生体識別のために使用されるのと同じ網膜又は生物測定スキャナを使用することによって行うことができる。
【0085】
システムは、ユーザフレンドリであって操作が簡単であるように設計される。或る人が車を購入するとき、車両販売者は購入者にアクセスを認可する。これは、所有権コマンドの変更を行うことによって行われ得る。元の所有者又は自動車販売代理店は、例えば生物測定又は網膜スキャナによって車両に対して身分証明し、次いで、所有権を新たな人に譲渡することを(好ましくは音声作動コマンドによって)システムに通知する。次いで、元の所有者は車両から降り、新たな人が車両に入って自分の生体識別を行い、及び/又は自分の運転免許証若しくは保険カードを読取器に通す。次いで、システムは、前の所有者の権利を削除し、新たな所有者に権利を与えることができる。
【0086】
また、車両の現行の所有者は新たな運転者を追加することもできる。例えば、夫又は妻が自分の配偶者を追加することができる。これは、現行の所有者が、自分の生物測定情報を検証し、新たな運転者を追加するためのオプションを(好ましくは音声作動コマンドによって)選択することによって行うことができる。また、現行の所有者は、新たな運転者にどの権利を与えるかを指定することもできる。例えば、権利は特定の速度に制約され得、新たな運転者が追加の新たな運転者を加えることを許可されるかどうかを制約することができ、新たな運転者の特権に関する満了日を選択することもできる。次いで、新たな運転者が運転席に座って生体認証を行い、情報がシステムのメモリに保存される。
【0087】
想定されるように、本発明の幾つかの実施の形態は、身分証明の認証を提供し、状態試験を行うという二重の目的のために生物測定デバイスを使用することを含む。網膜スキャナは、例えば、特定の運転者が誰であるかを識別するのみならず、その者が酔っていないことを保証するためにも使用され得る。個人が飲酒しているとき、目の中の血管パターンが膨張又は変化する。個人が車両に元々追加されているとき、その者の網膜スキャンは、おそらく、酒気帯びでない状態でのその者の血管パターンを捕捉している。後に酒気帯びの場合には、血管パターンはその者の元の記憶された血管パターンに合致しない。したがって、そのようにして、網膜スキャナは、識別のみならず、個人が酒気帯びであることを判定するためにも使用されることができる。同様に、個人の身分証明を記録しながら瞳孔拡張試験を行うために、カメラ及びライトを使用することもできる。ライトは車内灯又はバイザーにあるライトであってよい。
【0088】
また、元の生物測定情報も、検証可能な信用証明に記憶され得る。例えば、網膜スキャン又は指紋スキャンが、自動車局又は別の認可された場所で取られ、信用証明に記憶される。このとき、この記憶されて検証された信用証明は、車両の運転者が有効な保険及び運転免許証を有する人であることを保証するために、車両が始動されるときに得られる生物測定情報と突き合わせてクロスチェックされることができる。
【0089】
親制御のために使用される場合、システムは親の要求でカスタマイズされ得る。一つの実施の形態では、システムはピンコード又はパスワードを親として識別する。ピンコードを入力できない任意の運転者は子として扱われる。親は、情報をタッチスクリーンディスプレイでの入力、キーボードによる入力、音声作動コマンドを用いる入力、別のコンピュータで情報を事前プログラミングしてその情報をシステムに通信することによる入力、又はワイヤレス通信リンクを介する入力によって、車両が運転されてよい時間を設定することができる。システムは動的であり、車両の特性を親が遠隔で制御できるようにすることができる。親が運転者と話すことができ、或いは、親が、最大速度の設定や車両への特定経路遵守の要求を含む運転制約を遠隔で実施することができるよう、通信リンクが開かれる。これは、自動運転システムや、子が経路から外れたときのインジケータの提供を含み得る。また、システムは、ラジオを遠隔制御することができ、或いは、例えばウェブカムを使用することによってワイヤレス接続を介して道路又は乗員室を親に表示するカメラを始動することもできる。親は、システムに遠隔でアクセスすることを望む場合、自分の電話でピンコードを入力し、又はパスワードを音声入力するように要求される。コンピュータリンクを介して行われる場合、親は、生体識別を行い、又は自分のコンピュータでパスワードを入力するように要求される。親は、遠隔アクセスを認可されると、車内にいるかのように任意の機能を行うことを許可される。
【0090】
図1は、本発明の実施の形態による、運転者カード識別システム及び/又は車両の操作者(又は運転者)による車両の使用(又は非認可使用)を妨げるシステムのブロック図を示す。
【0091】
図1に示されるように、システム10は、制御モジュール(又はシステム制御装置)16、生体認証装置12、状態検出器14、及び/又は信用証明認証装置(又はセンサ)18を備えている。生体認証装置12は制御モジュール16に結合される。状態検出器14は、操作者中の物質レベルを制御モジュール16に提供するようになされた物質検出センサ(又は検出デバイス)であってよい。ここで、制御モジュール16は、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合、又は操作者が認証装置12によって認証されない場合に車両に運転制約を通信するようになされる。
【0092】
また、本発明の一つの実施の形態では、物質レベルが操作者の末端部で決定され、また、操作者が末端部で認証される。末端部は、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び/又は頭からなる群から選択される。
【0093】
一つの実施の形態では、制御モジュール16は、更に、操作者が認証装置12によって認証されていて操作者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するように、車両と通信するようになされる。また、図1に示すように、認証装置12は指紋認証装置、顔認識認証装置、掌形認証装置、音声認証装置などであってよい。一つの実施の形態では、認証装置12は指紋センサ(又はスキャナ)を含み、操作者中の物質レベルは、操作者の指の内部の組織で生体内で決定される。
【0094】
一つの実施の形態では、物質検出センサは、操作者中のアルコールレベルを検出するようになされる。ここで、物質検出センサは、以下に一層詳細に説明するブロードバンド(又はワイドバンド)検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)を含む。更に、以下に一層詳細に説明するように、物質検出センサは、ブロードバンド光源と、ブロードバンド検出器と光源との間の波長フィルタリングシステムとを備える。波長フィルタリングシステムとブロードバンドライトとが、ブロードバンド検出器に向けて特定波長帯域での光ビームを発するように構成される。本出願の文脈では、特定波長帯域とは、1つ又は複数の波長、或いは1つの特定波長から別の特定波長までの範囲の波長を表す。代わりに、物質検出センサは、ブロードバンド検出器に向けて特定波長帯域での光ビームを発するように構成された、以下に一層詳細に説明するダイオード又はダイオードレーザを含み得る。
【0095】
再び図1を参照すると、操作者の検証可能な信用証明を感知するようになされた信用証明認証装置(又はセンサ)18が制御モジュール16に結合される。ここで、制御モジュール16は、認証装置12によって認証された操作者が操作者の検証可能な信用証明に合致することを検証するようになされる。図1に示されるように、信用証明認証装置によって感知することができる検証可能な信用証明は、運転免許証、RFIDタグ、スマートカード、クレジットカード、赤外線(IR)アダプタを含むキーホルダー及び/又は皮膚下インプラントを含む。
【0096】
図2は、本発明の実施の形態による、運転者カード識別システム及び/又は車両の操作者(又は運転者)による車両の使用(又は非認可使用)を妨げるシステムに関連付けられるプロセスブロックの流れ図を示す。図2に示すように、ブロック21で、操作者又は運転者が、システム(例えば、図1のシステム10)を備える車両に入る。ブロック22で、運転者は自分の運転免許証をシステムに対して検証する。ブロック23で、運転者は保険カードをシステムに対して検証する。ブロック24で、運転者は、システムを用いて生体識別及び物質チェックを行う。ブロック25で、システムは、運転免許証、保険カード及び生物測定情報をクロスチェックする。クロスチェックが不成功である場合、ブロック26で、システムの制御モジュール(例えば、図1の制御モジュール16)が、運転制約、例えば点火ロックアウトを車両に通信(又は発行)する。対照的に、クロスチェックが成功した場合、ブロック27で、制御モジュールは、車両の始動又は点火を認可する(例えば、点火認可コマンドを発行する)ように車両と通信する。ここで、制御される車両は、飛行機、大量輸送車両、船舶、産業機器の一部並びに重機及び機器の一部からなる群から選択される車両を含む。
【0097】
図3は、本発明の一つの実施の形態による、バイザーに取り付けられる生物測定デバイス30を示す。ここで、バイザー取付け式の生物測定デバイス30は、図1の生体認証装置12内に含まれ、ワイヤを有するヒンジ31を介して図1の制御モジュール16と結合される。
【0098】
想定されるように、本発明の一つの実施の形態は、生物測定及び/又は物質検出のための機能強化されたシステム及び方法を提供する。一つの実施の形態では、システムは、生物測定技法を使用して人を識別し、また、近赤外(NIR)分光法、ラマン分光法、光音響分光法、散乱変化、偏光変化、中赤外分光法及び/又は狭帯域検出など非侵襲性技法の使用によって、アルコールなど体内の物質の存在もチェックする。
【0099】
本発明の一つの実施の形態は、追加の機能及び低コストをもたらす、生体識別と物質検出という通常は別個の2つの機能を統合するための設計を想定する。そのようなシステムは、アクセス制御、改善された安全性及び機器/車両操作のための既存及び将来の用途への統合が容易に可能である。
【0100】
物質は、物質の定量を可能にする近IR範囲内でのスペクトルパターンを測定することによって、血管系内で検出される。例えば、非侵襲性技法による物質検出は、分光計によって血管系の水分子の変化を分析することによって行われる。
【0101】
想定されるように、本発明の他の実施の形態は、外部ハードウェアデバイス又はソフトウェアアプリケーションへのインターフェースを含むシステムを提供する。情報は、上で論じられ、また以下に一層詳細に論じるように、多くの適切なアプリケーション及び/又はシステムに提供される。システムは、適切なアプリケーション及び/又はシステムの幾つかと統合されるとき、主処理機能に情報を提供することができ、次いで、主処理機能が決定又は計算を行う。例えば、処理機能は、規制地域内へ進入する権利を人が与えられているかどうか判定するために、或いは機器及び/又は車両の操作機能について人を制限するために、データベースにアクセスすることができる。また、処理機能又はシステムは、セキュリティ要員、警察又は管理人など第三者に通知し、又はデータベースに情報を記憶することもできる。
【0102】
想定されるように、本発明に関する実施の形態は、戦略的位置でのセンサの位置決めと、人のアクセス制約を行うような、データを解釈し該データに基づいて機能を行う処理装置への情報データ転送とを含む。規制地域へのアクセスの場合、システムは、ドアの近くに、或いは、ライトカーテン、光センサスイッチ、動き検出器、ゲート又は人的制御式チェックポイントなどの規制アクセスポイントの他の手段の近くに設置されることができる。機器又は車両の操作の場合、センサは、機器又は車両に関する操作者コントロールパネルや、計器盤、クラッチ又は車両の点火始動器の領域の近くに設置することができる。旅客機フライトデッキ又は飛行機コックピットの場合、操縦士と副操縦士との同時読取りが、両者の操作位置で行われる。
【0103】
一つの実施の形態では、センサは、手又は指の位置決めのためのパッド又はホルダに結合される。例えば、システムを使用する人は、自分の指をモールド又はシース内に置く。デバイス上又はデバイス内への指の挿入後、生物測定データのスキャンが行われ、データを個別の処理点に提供し、そこで、データを既存のデータベースと突き合わせ、及び/又は、デバイスの中央処理装置内部で局所的に、局所記憶又は遠隔接続されたデータベースと突き合わせることができる。更なる実施の形態では、システムは、生物測定情報に基づいて人を識別し、人の体内に物質が存在するかどうか判定することができる。この識別及び/又は物質判定に基づいて、システムは、ドア又はアクセスポイントを制御し、情報を記録し、ピンコードなど追加の情報を要求し、又はユーザにメッセージを与えるなどの、任意及び全ての機能を行うことができる。非侵襲性スキャンは、非侵襲性スキャニングの任意の方法を使用して任意の波長で行うことができる。本発明の一つの実施の形態は、例えば、アルコール、THCなどの薬物、又は事前に知られている人の糖尿病状態の場合にはブドウ糖の存在、タイプ及び大きさを検出するようになされたNIR分光法スキャナを含むことができる。次いで分析が行われる。NIR分光法は、約1000nm〜2000nmの範囲で薬物及びアルコールを検出することができる。例えば、アルコールは、約1700nm、1600nm及び1300nmの波長で検出される。人の認知能力を変える可能性がある他の薬物又は物質も、センサの限界内で検査されることができる。これらの結果を使用して、銀行金庫室などの操作領域、又はクレーンなどの機器、重機、自動車、トラック、バス、電車、旅客機などの車両で必要とされる機能を人が実施する認知能力を決定することができる。更に、結果は、酒気帯び又は身分証明を含めた将来の検証のためにデータベースに記憶されることができる。更に、結果は、特に身分証明又は酒気帯びレベルがプログラムされた範囲に近づく場合に、マニュアル検証のために第三者に送られてもよい。人の識別及びその人の認知能力に関係するセンサの組み合わせられた結果は、機器又は車両のアクセス又は操作を許可/不許可するよう処理される。
【0104】
更なる実施の形態では、NIR光などの光源を指に当て、光の後方散乱をビームスプリッタで受け取り、ビームスプリッタが生物測定センサ及び/又は物質センサに直接供給することによって、同時スキャンを行うことができる。
【0105】
別の実施の形態では、光の二重ビームを、生物測定機能に対しては末端部の近くで指に当て、分光法に対しては、皮膚が薄い指の根元側の指関節の近くで指に当てる。別の実施の形態では、スキャニングデバイス上での指の摺動動作が生体識別を提供し、NIR光などの光のビームが、指関節に近い方の指の根元側で行われる分光法測定のために使用される。
【0106】
一つの実施の形態では、本発明の生物測定及び/又は物質検出システムは、簡便なアクセス及び戦略的配置機能性のために位置させられるように十分に小さく、しかし人口分布に基づく3σ法での最大の指を受け入れるのに十分に大きい。標準USBやイーサネット(登録商標)などの電子データインターフェース、又は、OBDC−IIインターフェースを使用する1996年以降の車におけるような専用アプリケーションのためのシリアルプラグ又は専用インターフェースなどの電子データインターフェースが出力を提供する。また、スキャンされて分光分析されたデータは、ブルートゥースを使用して近くの処理ユニットで利用可能にされ、例えばIPプロトコルによるインターネットやセルラ無線を介して局所/長距離処理ユニットで利用可能にされ、又はGlobalStarやIridiumなど商用衛星通信を使用して遠隔位置で利用可能にされる。また、生の光又はデータが、例えば、遠隔又は中央のセンサでの分析のために光ファイバケーブルを介して伝送される。遠隔の又は極めてアクセスしにくい用途では、センサは、主処理装置とその局所データベースにある認証される人の情報とを含む独立型ユニットであってよい。デバイスの動作のための電力は、ホスト処理ユニットの電源(+3.3VDC、+5VDC、+12VDCなど)によるもの、AC(100VAC、115VAC、200VAC、230VACなど)によるもの、遠隔又は極めてアクセスしにくい用途などでは搭載電池及び/又はAC充電及び/又はソーラーパネル充電によるものであってよい。
【0107】
識別目的で生物測定データを得るために利用可能な市販のデバイスが存在する。非侵襲性スキャンを実施して処理することができ、操作が容易な形の利用可能なデバイスが存在する。LTインダストリーズ社から入手可能なIso−Chem NIR Material Analysis Systemは、遠隔トリガされる試験プローブを有するポータブルNIR分析器である。例えばオーシャン・オプティックスから入手可能なUSB4000は、200〜1100nmに応答する分光計である。例えばスペクトラム・プロダクツから入手可能なSM241は、900nm〜1700nmの範囲を有するNIRレーザ用途のために設計されたコンパクトCCDベース分光計である。例えばニューポート・コープレーションから入手可能なOSM−100は、200nm〜1700nmに応答するポータブルの経済的な分光計である。Sugartracはライフトラック・システムズから入手可能な非侵襲性ブドウ糖モニタである。TouchPrint Enhanced Definition 3000 Live Scanは、ライブ・スキャン・プロダクツから入手可能なポータブル生物測定スキャナ及び識別デバイスである。
【0108】
また、想定されるように、本発明の実施の形態は、生体識別を物質検出と組み合わせるための方法を提供する。これは、上述したようなシステム又はデバイスを使用して、或いは任意の他の生体識別システム及び任意の他の物質検出システムを用いて行われる。例えば、顔スキャナ又は網膜スキャナが、物質検出器(例えば、飲酒検知器)と組み合わせて使用される。生体識別を物質検出と組み合わせるための方法の一つの実施の形態では、生物測定スキャン及び物質検出スキャンのステップが行われる。スキャンの作動、スキャンの処理、スキャンの比較、通知又はアラームの送信、記録デバイスの作動、生データ又は処理結果の保存、又はエラーチェック若しくは更なるタイプのスキャンの実施などの追加のステップが行われ得る。更に、スキャンが正確であることを検証するために、温度又はパルスをチェックするステップが行われ得る。
【0109】
図4は、本発明の実施の形態による機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスのブロック図を示す。図示されるように、操作者の末端部(例えば、指)を挿入するための一端にある穴120を有するシース(又はクレイドル)100(例えば、指クレイドル)が設けられる。生物測定センサ210及び物質センサ220が、シース100に含まれる。一つの実施の形態では、末端部は、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び頭からなる群から選択される。
【0110】
更に、生物測定センサ210及び物質センサ220は、それぞれ、リード線300を介して生物測定デバイス(又は認証装置)400及び物質検出デバイス500に結合される。生物測定デバイス400及び物質検出デバイス500は、リード線600を介して中央処理装置(又はシステム制御装置若しくは制御モジュール)700に結合される。次いで、中央処理装置700は、アクセス制御処理装置800に結合され、アクセス制御処理装置800は、アクセス制御デバイス又はインターフェース900に結合される。
【0111】
図4Aを参照すると、一つの実施の形態では、図4の機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスが、車両100a内部に組み込まれる。一つの実施の形態では、車両100aは、飛行機、大量輸送車両、船舶、産業機器、重機及び機器からなる群から選択される。より詳細には、車両100aは、操作者の末端部を挿入するためのシース(又はクレイドル)100を含む。
【0112】
図4Bを参照すると、別の実施の形態では、図4の機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスが、タイムクロックシステム100b内部に組み込まれる。ここで、一つの実施の形態では、タイムクロックシステム100bは、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合、又は操作者が認証装置によって認証されない場合に警告を発するようになされる。一つの実施の形態では、タイムクロックシステム100bは、警告が発せられる時間を決定するようになされたタイムクロック101も含む。また、中央処理装置(又はシステム制御装置)700は、操作者が認証されていて物質の濃度が許容レベルを超えない場合に、操作者が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを許可するように建造物セキュリティデバイスと通信するようになされる。一つの実施の形態では、中央処理装置700は、操作者が認証されていない場合又は物質の濃度が許容レベルを超える場合に、操作者が建造物セキュリティデバイスにアクセスするのを制約するように建造物セキュリティデバイスと通信するようになされる。建造物アクセスデバイスは、操作者が建造物セキュリティデバイスへのアクセスを許可される時間を決定するようになされたタイムクロック101を含み得る。
【0113】
図5は、本発明の別の実施の形態を示す。図5に示すように、車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムは、システム制御装置570と、生体認証装置540と、物質検出デバイス550とを備える。ここで、システム制御装置570は、車両の操作者560の第1の真皮位置560aで(又は操作者の末端部で)少なくとも1つの生物測定パラメータを検出し、操作者560が認証されたことを示す認証出力を生成するようになされる。ここで、操作者560の第1の真皮位置560aは、操作者560を生物測定学的に認証することが可能な位置(例えば、操作者の指紋、又は操作者560の指紋がある位置)である。更に、物質検出デバイス550が、第1の真皮位置560aの近位の第2の真皮位置560bで操作者560中の物質のレベルを検出し、レベル出力を生成するようになされる。
【0114】
ここで、本発明の一つの実施の形態では、2つの検出測定(すなわち認証と物質検出)が、互いに近位にある(場合によっては隣接する)操作者の皮膚(又は真皮)位置で行われる。本実施の形態の文脈では、近位及び/又は隣接とは、認証された人以外の人の物質レベルを測定することによって試験を欺くのを実質的に妨げるのに十分に近いことを表すことができる。
【0115】
更に、引き続き図5を参照すると、システム制御装置570は、操作者560が認証されない場合に、又は検出出力が事前選択された許容値よりも上である場合に車両の使用を選択的に制約するよう、認証出力及びレベル出力に応じて動作する。
【0116】
また、一つの実施の形態では、物質検出デバイス550は、以下に一層詳細に説明する光源と単一のブロードバンド検出器とを含む。ここで、光源と単一のブロードバンド検出器とに結合される物質検出デバイス550の表面(又はプラットフォーム)は第2の真皮位置560bに接触し、第2の真皮位置560bの屈折率に対応する(又は同一若しくは実質的に同一の)屈折率を有するので、鏡面反射光(すなわち皮膚内に貫入しなかった光)を減少させ又は除去する。
【0117】
本発明の実施の形態で想定されるように、試料を通過する放射は、放射が進む経路長と、その特定の試料中の成分に関する様々な個別波長での吸収の強度とに依存して減衰される。波長に対する吸収の相対強度の記録及びマッピングが、その特定の試料に関する一意の吸収スペクトルをもたらす。
【0118】
分光法に関する1つの適用分野は、非侵襲性での組織属性又は検体の測定である。具体的な用途は、物質乱用に関して被験者を非侵襲性で判別検査するための、エタノールなどの検体の測定である。
【0119】
近赤外放射(NIR)は、組織分光法の測定に関して顕著な利点を提供する。NIRでは、1ミリメートルよりも大きい光路長が、電磁スペクトルの治療窓内で容易に実現される。しかし、干渉する化学種が分析測定(例えば、エタノールの測定)の精度に及ぼす影響は、解決される必要がある問題である。本出願の文脈では、解決される必要がある問題は、後方散乱及び選択性を意味し、又は、同様の挙動の他の成分からの干渉なしに混合物又は媒質において特定の検体を測定するために方法を使用することができる程度を意味することができる。
【0120】
すなわち、雑音の主な原因は、血中のエタノールの完全な痕跡を持つ訳ではない光散乱である。ヒトの皮膚は、幾つかの層、すなわち表皮、真皮及び皮下組織を有する。各層はそれ独自の波長依存吸収及び散乱特性を有する。光は皮膚に浸透し、血液と相互作用し、外に出るときには前方散乱及び後方散乱を受ける。試料毎の照射及び収集に関して皮膚が一定の角度でないときに、更なる複雑さが生じる。手の部分の位置も問題となり得る。したがって、システムは、光結合を使用し、屈折率の差を減少させ、及び/又は、検体を含む組織に達する前に散乱される任意の光の検出を減少又は除去することによって、初期光散乱の量を減少させ又は除去すべきである。
【0121】
更に、検体を含む組織に達した後に反射される光の検出に関して、分光分析から生じるスペクトルデータが、試料の同定、構造、濃度又は組成に関する多く詳細な情報を提供する。スペクトルデータは、光子の放出、散乱又は吸収による、検出されて記録された分子のエネルギー変化に由来する。特に、分子種中の原子は、平均距離付近を往来して振動する。適切なエネルギーでの原子による光の吸収が原子を励起し、原子を一層高い振動レベルに上げる。励起状態への原子の励起は、特定の離散エネルギーレベルでのみ生じ、このレベルは、その特定の分子に特徴的である。赤外吸収分光法は、このタイプの分析を行うのに特に有用である。吸収分光法では、様々な波長での入射放射の正味の吸収が測定される。しかし、システムは、特定の検体のレベルを検出し、その検体と、同様の特性を有する可能性がある他の検体とを区別することができるべきである。
【0122】
想定されるように、上述の問題を解決するために、NIR反射率測定器が開発されており、上で一層詳細に説明した照射源と分光計とを含む。この計器は、約1300nm〜約2400nm、より特定的には約1400nm〜約1500nm、約1650nm〜約1750nm、及び/又は約2200nm〜約2400nmの範囲の特定波長での近赤外放射を利用した。一つの実施の形態では、約1450nmでの特定波長帯域が利用される。これらの波長範囲は、組織中に存在するアルコール及び他の有機分子を含む広い範囲の化学種に関する合成帯域及び倍音帯を含むので、非侵襲性アルコール測定を行うのに一番興味深いものである。エタノールのNIRスペクトルは、アルコール及び他の有機分子のC−Hベンド及びC−Hストレッチの帯域、及び/又はアルコール及び他の有機分子のO−Hベンド及びO−Hストレッチの合成帯域により、これらの波長範囲内で顕著な特徴を有する。
【0123】
また、組織散乱の効果は波長と共に増加するので、これらの波長範囲は、より高い波長領域と比較されるとき、組織散乱効果によって影響されないはずである。これは、散乱効果がヒト被験者内及び被験者間で実質的なスペクトル変動を引き起こす可能性があるので、組織測定において重要な意味合いを持つ。
【0124】
図6を参照すると、800nm〜2400nmの範囲の特定波長での、1mmサンプリング経路を有する100%エタノールのスペクトルが、リサーチグレードのNIR分光計を使用して収集された。図6から導き出すことができるように、約1300nm〜約2400nmの範囲の特定波長が興味深い。また、約1400nm〜約1500nm、約1650nm〜約1750nm、及び/又は約2200nm〜約2400nmの範囲の特定波長が特に興味深い。
【0125】
図7においてリサーチグレードのNIR分光計のデータによって示されるように、リサーチグレードのNIR分光計は、約1400nm〜約1500nmの範囲の特定波長で、水中の0.10%、0.08%、0.06%及び0.04%エタノールを区別することが可能である。図7から導き出すことができるように、約1450nmでの特定波長帯域が特に興味深い。
【0126】
更に、図8及び図9に示すように、リサーチグレードのNIR分光計は、約1650nm〜約1750nmの範囲の特定波長で、かつ約2200nm〜約2400nmの範囲の特定波長で、水中の0.10%、0.08%、0.06%及び0.04%エタノールを区別することが可能である。図8及び図9において、約1700nm及び約2300nmでの特定波長帯域が特に興味深い。
【0127】
エタノール感度と、一層重要にはエタノール選択性とを調べるために、エタノール、ブドウ糖、クレアチニン、尿素、水及びマイクロスフェアを含む試料が構成されるべきである。マイクロスフェア(例えば、ポリスチレンマイクロスフェア)は、赤血球の強度と同様の強度の反射率信号を生み出す光散乱媒体を提供する。したがって、試料は、様々な環境下で血液を模擬する条件を提供する。対象の検体、例えばエタノールの濃度範囲、及び場合によっては干渉する検体の濃度範囲は、健康な被験者集団(すなわちヒト及び/又は生物学的範囲)で観察されるものを反映すべきである。次いで、その濃度の試料の全領域が、適切なレベルのラテンハイパーキューブなど適切な統計モデリングを使用して減少されるべきである。一つの実施の形態では、管理可能な試料サイズと共に最大の検体間相関を提供するよう、1組の7レベルラテンハイパーキューブ設計が使用される。
【0128】
次いで、強度スペクトルが様々な濃度の試料から(又は生体外で)収集される。次いで、収集されたスペクトルが、適切なエタノール分析のために必要とされる波長範囲と除去することができる波長範囲とを決定するために分析される。次いで、エタノールに関して統計モデリング及び設計を妥当性検査するために、ヒト(又は生体内)試験が行われるべきであり、モデルは、好ましくはプラス又はマイナス0.02%、より好ましくはプラス又はマイナス0.01%の精度で、約0.05%に下がるまで血中のエタノールを検出することができるべきである。
【0129】
次いで、データを分析するための妥当性検査された統計モデルが、センサのためのスペクトルバンドを提供する。本発明の一つの実施の形態に従って想定されるように、NIR範囲内の3つの非重畳波長領域が利用される。各波長領域は、3つ〜4つの非重畳サブバンドを有するべきである。これらの波長帯域はそれぞれ約25nmの帯域幅を有する。
【0130】
図10Aは、本発明の一つの実施の形態による光学物質検出器の構成を示す。より詳細には、検出器は、(複数の色付きの光線として示される)複数の波長帯域を有する光ビームを提供するための光源(コリメートされたブロードバンドIR源)を含む。光ビームは、所望の又は特定の波長帯域(又はサブバンド)を分離するようになされたフィルタに向けられる。次いで、分離された光ビームが集光レンズに向けられ、入力ファイバ束(又はプラスチック光導波路又は適切な光導波路)を通ってガラスプラットフォーム(又は指クレイドルもしくは人差し指スラブ)に進むが、ガラスプラットフォームには試験試料(例えば、指や、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び頭からなる群から選択される末端部)が置かれている。一つの実施の形態では、ガラスプラットフォームは、鏡面反射光(すなわち、試験試料の皮膚内に浸透しなかった光)を減少させる又は除去するために、試験試料の屈折率に対応する(又は同一もしくは実質的に同一の)屈折率を有する。更に、ガラスプラットフォームを、好ましくは非反射コーティングを有する厚さ1mmの溶融シリカガラスから形成することができる。試験試料(例えば指)から反射された(又は拡散反射された)光ビームは、ガラスプラットフォームに結合された集光器ファイバ束(又はプラスチック光導波路若しくは適切な光導波路)によって収集される。次いで、試験試料から拡散反射されて戻され、集光器ファイバによって収集された光(又は光強度)を検出するために検出器が使用される。
【0131】
代わりに、図10Bは、本発明の別の実施の形態による光学物質検出器構成を示す。より詳細には、ここでは、検出器は、複数の波長帯域を有する光ビーム(複数の光線として示される)を提供するための光源1200を含む。光ビームは、試験試料1210(例えば、指や、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び頭からなる群から選択される末端部)に向けられる。一つの実施の形態では、光源1200は、光ビームを集束又は発するために放物面又は楕円反射器を有する。試験試料(例えば指)から反射された(又は拡散反射された)光ビームは、所望の又は特定の波長帯域(又はサブバンド)を分離するようになされたフィルタ1220に通される。次いで、試験試料から拡散反射されて戻されて、フィルタ1220によってフィルタ処理された光(又は光強度)を検出するために、検出器1230(例えば、単一のブロードバンド検出器)が使用される。したがって、図10Bにおいては、フィルタ1220は、光源1200よりも検出器1230に近い距離に配設されるように図示される。ここで、図10Bでは、光源1200からの光ビームは、試料1210から反射されて戻されるまでフィルタ処理されない(すなわち、フィルタ1220が検出器端部にある)ので、比較的多量の光が試料1210に向けられ、試料1210から拡散反射されて戻される。
【0132】
しかし、本発明は、図10A及び10Bのフィルタ配置の実施の形態に限定されない。例えば、波長選択性を高めるため及び/又は信号対雑音比を低減するために、本発明の実施の形態は、光源端部に配設される第1のフィルタ(例えば、図10Aのフィルタ)と、検出器端部に配設される第2のフィルタ(例えば、フィルタ1220)とを構成することを想定する。
【0133】
一つの実施の形態では、光源は、タングステンハロゲンランプなどの白熱光源、キセノンアークランプ、水銀アークランプ、LED及び/又はダイオードレーザであってよく、豊富なIRを有する。一つの実施の形態では、光源は、狭帯域通過光学フィルタを使用するフィルタ処理の前にコリメートされる。所望の又は特定の波長帯域(又はサブバンド)を分離するようになされるフィルタは、様々なフィルタを所定位置に導くように回転させることができるフィルタホイールの一部であってよい。これは、複数の波長帯域からデータを収集することを可能にする。集光レンズ光学系が使用されて、光を光学組織(例えば指)に搬送するファイバ内に光を集束する。収集器ファイバは、組織から散乱信号を収集して検出器に送る。
【0134】
また、リングタイプの光導波路、直線タイプの光導波路、分岐タイプの光導波路などの様々な適切なタイプのファイバ束が使用され得る。更に、本発明の一つの実施の形態は、ファイバ束を使用するのではなく、プラスチック光導波路など他の適切なタイプの光導波路の使用を想定する。
【0135】
一つの実施の形態では、光学物質検出器は、ハロゲンランプを含む光源と、構成された波長フィルタリングシステムを有していて試験試料(例えば、試験試料の一領域)を照射するハロゲンランプに取り付けられた光ファイバ束とを備えている。波長フィルタリングシステムは、干渉、帯域通過、吸収、ダイクロイック、モノクロメータ回折格子など、様々な適切なタイプのフィルタを含むことができる。一つの実施の形態による波長フィルタリングシステムは、光源よりも検出器(例えば、単一のブロードバンド検出器)に近い距離に配設される。所望の波長帯域が検出器に反射されて戻される。統計モデリング分析を含む評価により、試験試料の血中アルコール濃度(BAC)が、車両を操作するための法定制限に関して決定され、BACが法定制限範囲内にない場合に車両は使用不可にされる。一つの実施の形態では、統計モデリングは、適切なレベルのラテンハイパーキューブである。しかし、本発明はそれによって限定されない。例えば、或る時間での複数の統計変量の観察及び分析を含む処置の集合を記述するために使用することができる統計学における任意の適切な多変量統計又は多変量統計分析を使用することができる。
【0136】
本発明の別の実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の非侵襲性及び/又は生体内試験のための、赤外(IR)又は近IR波長範囲の特定(単一)の波長帯域での光源(例えば、ダイオードレーザ)とブロードバンド検出器とを提供する。物質は、アルコール、より具体的にはエタノールであってよく、組織は人の血液を含むことができる。
【0137】
より詳細には、図11は、800〜2400nmのエタノール及び水の光吸収を示す。したがって、本発明の一つの実施の形態は、エタノールと水との光吸収の差を利用する非侵襲性及び/又は生体内エタノール試験のための光学的方法を提供する。血液は主に水によって形成されているので、血中のエタノールの濃度を決定することができる。吸収分光法の全ての様式と同様に、特定波長での吸光の量を使用して、溶媒中の化学化合物を能動的に同定する。所与の部分の水とエタノールは、幾つかの波長で、それと等価の水のみの部分よりも光を吸収しない。他の波長では、この現象が逆になり、エタノールと水との混合物の方が多くの光を吸収する。
【0138】
図12に示すように、幾つかの異なる波長で、様々な技術を使用してこれらの測定を行うことが可能である。本発明の一つの実施の形態では、約1000nmでの波長、約1310nmでの波長、約1550nmでの波長及び/又は約1900nmでの波長が、エタノールが水よりも高い透過性を有する(低い吸収性を有する)領域(又は域)として選択された。約904nm、約1700nm及び約2300nmでのスペクトル領域も、エタノールが水よりも低い透過性を有する領域(又は域)として選択された。
【0139】
図13を参照すると、上述された処置を行うために使用され得る技術の第1の特徴は、照射形式、すなわち狭帯域又はブロードバンドである。ほとんどの吸収分光法技術は、白色光又はブロードバンド光源を使用し、次いで、光をスペクトルビンに「選別」するために干渉計又は回折格子を使用する。これらのシステムは、ファイバを用いて又は直接的に(図13及び図14)照射のために指に結合する幾つかの共通の要素と、線形CCDアレイ又はフォトダイオード検出器から構成される最終光学信号検出技術とを有する。
【0140】
より詳細には、図13は照射が左手側にあることを示す。ここで、照射は、自立型の光源、電球、黒体など110a又は遠隔光源110bに結合されたファイバから提供される。光源110a、110bの右にコリメートレンズ130があり、コリメートレンズ130は、光が指(例えば中指)140を通って又は指に入って再結像レンズ150まで横切るときに光を平行にし、レンズ150は、回折格子分光計又は何らかのタイプの干渉計に接続されたファイバ120a、120bに「サンプリングビーム」を集束する。
【0141】
図14は、本発明の一つの実施の形態による一体型指紋スクリーンを有する指センサの概略図を示す。2つのポート(光ファイバポート)を、ファイバ結合光学系又は直接検出(すなわち、ブロードバンド検出器又はInGaAs検出器をポートの一方に直接設置することができる)のために使用することができ、光源からの(例えば、光ポートのもう一方を介する)光を例えば拡散反射率によって検出できるようにする。すなわち、図14で、光の入射ビームを、指の第1の側から指の第2の側に向けさせることができ、ブロードバンド検出器は、組織の一部分を透過されて指の第1の側へ向かうように反射される入射光ビームの部分を測定するように構成されることができる。また、例えば温度、表面汚染などの他のセンサを、このユニットの底部に設置することもできる。
【0142】
図15は、本発明の一つの実施の形態に従って想定される、トランスインピーダンス増幅器及び熱制御を有するフォトダイオードの概略図である。フォトダイオード検出器の概略図は実在の検出器システムを示す。InGaAs又はSiフォトダイオードがトランスインピーダンス増幅器に結合される。一体型サーミスタによって温度を監視しながら、検出器を熱電冷却する。しかし、本発明はそれに限定されない。例えば、検出器(又は赤外線検出器)としてInGaAs検出器を使用するのでなく、本発明の他の実施の形態は、PbS検出器、PbSe検出器、InAs検出器、InSb検出器、HgCdTe検出器などを使用することもできる。
【0143】
上で論じたように、吸収分光法を使用して、以下の式によって示される通常はベールの法則と呼ばれるランバート・ベールの法則の適用によって物質を定量的に同定することができる。
【0144】
【数2】
【0145】
ここで、物質Aの量は、吸収体の前後での波長の関数として、強度Iの比のlogに比例する。これは更に、質量経路d及び吸収係数αの関数である。これらの量は全て波長依存であり、したがって、通常の手法は、800〜2400nmをカバーする図11に見られるように、多くの波長にわたってスペクトル測定を行う。しかし、手近な課題は、触知的接触によってヒト中のエタノールの存在を検出することができるセンサシステムを作製するために吸収スペクトルのこれらの差を利用することであった。酒気帯びは、小さなレベルのエタノール、例えば0.05%以上の血中アルコール濃度(BAC)から生じる可能性があるので、検出要件は、そのような濃度を検出することが可能であるべきである。
【0146】
一つの手法では、2300nmでの干渉計が光の選別のために使用された。この手法では、検出に関する時間変調信号を生成する2ビーム干渉パターンを生成するために可動ミラーが使用される。本発明の一つの実施の形態では、代替の干渉計が想定された。この代替の干渉計すなわち空間ヘテロダイン分光計(SHS)では、SHSは、時間変化干渉パターンの代わりに、InGaAsアレイ検出器に結像される空間的に変化する干渉パターンを生成する。
【0147】
より詳細には、図16は、ファイバが使用されて、光ファイバを介してSHSを「指スロット」に結合するSHS概略図を示す。ビームスプリッタ(BS)と、回折格子1及び回折格子2とによって経路長の差が生成され、回折格子G1及びG2はそれぞれ、検出器に直線干渉縞を生成した。信号を強度対波長に変換するためにFFTが使用される。
【0148】
一般的な光サンプリング/選別技法は、光の特定波長を伝送するように設計された光ファイバを使用する。異なる波長での光路サンプリングにおいてフィルタを変更するために、回転ホイール又はスライダを使用することができる。図18は、異なる波長での光路サンプリングにおいてフィルタを変更するために使用することができるフィルタスライダを示す。代わりに、調整可能なフィルタの代替となるように静的フィルタを使用することができる。静的フィルタは、印加電圧を変えることによってその透過波長を変えることができるフィルタである。どちらの場合も、光結合は図17に示すものと同じである。すなわち、図17は、光をサンプリングするための調整可能又は静的なフィルタの使用を示す。入力ファイバは指からの光をフィルタに結合する。フィルタ処理後、「選別された」光がフォトダイオード検出器に集束される。
【0149】
本発明の一つの実施の形態は回折格子分光計を含む。図19を参照すると、分光計は光ファイバ分光計として示され、第1のミラー(集束ミラー)と、第2のミラー(コリメートミラー)と、回折格子(回折格子)と、スリット(スリット、モードストリッパ)と、コネクタ(SMAコネクタ)と、検出器(検出器)とを有する。これらは全て光学ベンチに結合される。ここで、検出器は、InGaAsフォトダイオードの線形アレイを有する線形InGaAsアレイ検出器である。しかし、本発明はそれに限定されず、高い信号対雑音比を有する任意の様々な適切な分光計が使用されてよい。ここで、ブロードバンドファイバ結合光源が、様々なエタノール濃度の様々な溶液で充填されたキュベットを照射するために使用された。1100nm〜1700nmの全スペクトルが収集され、その一部が図20及び図21に示される。1280nm〜1320nmの波長範囲を有する図21における分光計データによって示されるように、図19の分光計は1%〜40%を区別することが可能であるが、0%〜1%を区別するのに十分な分解能は有さない。すなわち、エタノール検出が実現されたが、酒気帯びの個人の体内で見つかる0〜0.1%レベルを検出するのに十分には正確ではなかった。
【0150】
システム感度を改良するために、ハイブリッドの実施の形態が想定された。すなわち、システム感度を高めるために、狭帯域レーザが代替光源として選択され、操作するのに適切な波長域を識別するためにブロードバンド源試験から収集されたデータを使用する。すなわち、想定されるように、本発明の一つの実施の形態は、約1310nm帯域にあるダイオードレーザを含む。ここで、1310nm帯域でのダイオードレーザが源を照射するために使用され、NIR分光計がエタノール痕跡を検出して分離する。図22は、この実施の形態のフルスペクトルレーザ照射を示す。図23は、約1310nmでの、観察された強度に対するエタノール濃度の統計的には無効であるが興味深い測定を示すNIR分光計データを示す。すなわち、図22及び図23のNIR分光計観察は、統計的には有意でなかった。したがって、より正確な方法が必要とされた。
【0151】
したがって、エタノール検出は図19の回折格子分光計によって実現されたが、酒気帯びの個人の体内で見られる0%〜0.1%レベルを検出するのに足るほど正確ではなかった。究極的には成功していないが、これらの観察値は、エタノールを検出するために狭帯域源(又は狭帯域光源)の使用を利用することができることを示した。
【0152】
更に、狭帯域源の場合に、分光計が雑音源であることが認識された。したがって、本発明の別の実施の形態では、分光計が、ブロードバンド検出器又は単一の直径3mmのInGaAsフォトダイオード検出器(EOシステム)で置き換えられた。直径3mmのInGaAsフォトダイオード検出器は極めて低い雑音を有し、熱電(TE)冷却される。これは、検出器と光源とを含む極めて単純な検出システムを形成し、光選別が必要とされなかった。
【0153】
狭帯域源の使用は、任意のサンプル後の光選別技法、分光計及び/又はフォトダイオード検出器の線形アレイの必要性をなくす。すなわち、考察中の試料が、レーザ又はモノクロメータからの単色及び狭帯域(典型的には数ナノメートル幅)の光を用いて照射される。単一のブロードバンド検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)が、試料を透過された光の量を測定するために使用される。試験下の試料中の「吸収体種」の量は、
【0154】
【数3】
【0155】
を使用して計算される。ここで、I0は試料の入射照射であり、Iは観察される透過強度であり、αは波長の関数としての吸収係数であり、Lは質量経路長である。試料の光プロービングは、試料を通る照射、又は均一であり標準的な体積の照射を必要とし、関与する試料に依存して透過及び/又は反射技法を使用することができる。
【0156】
また、図24A、図24B及び図24Cは、狭帯域照射とフォトダイオード検出器とを使用する試料検査方法を示す。図24A、図24B及び図24Cは、組織(例えば指)の透過、反射及び可変経路長を示す。コリメート及び再結像光学系が使用されて、光源からの光を平行にし、コリメートされたビームを、試料通過後にフォトダイオード上に結像する。
【0157】
より詳細には、図24Aは、組織を透過した入射光ビームの部分の質量経路長を2倍にするためにミラーに当たるように光源(ランプ)から導かれた入射光ビームを示す。(例えば、赤血球による)光散乱の影響により、図24Aでのこのミラー反射透過手法は、血液又は指試料と共に使用するには適していないことがあるが、それでも、この手法は他の比較的低い光散乱の試料(例えば尿、唾液、水など)には適切である。
【0158】
図24Bは、光源(ランプ)から組織の第1の側に向かう入射光ビームと、組織の第2の側から組織を透過された入射光ビームの部分を測定するように構成されたブロードバンド検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)とを示す。図24Bにおいて、第2の側は第1の側と反対である。やはり、(例えば、赤血球による)光散乱の影響により、図24Bにおけるこの直接透過手法は、血液又は指試料と共に使用するには適していないことがあるが、それでも、この手法は他の比較的低い光散乱の試料(例えば尿、唾液、水など)には適切である。
【0159】
図24Cは、組織の第1の側から組織の第2の側に向かう入射光ビームと、組織の一部を透過して組織の第1の側へ向かうように反射される入射光ビームの部分を測定するように構成されたブロードバンド検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)とを示す。図24Cにおいて、例えば比較的大きいサンプリング表面積により、この拡散反射率手法は、(例えば、赤血球による)光散乱を伴う場合でさえ、血液又は指試料と共に使用するのに適する可能性が高く、また、他の比較的低い光散乱の試料(例えば尿、唾液、水など)に関しても機能する。
【0160】
また、一つの実施の形態では、狭帯域源を用いた吸収分光法が、モノクロメータを用いて行われ、このモノクロメータは、本質的には、入力及び出口スリットを有する回折格子分光計である。図25はモノクロメータの詳細な動作原理を示す。すなわち、図25において、光(A)が入口スリット(B)に集束され、湾曲ミラー(C)によってコリメートされる。コリメートされたビームは、回転する回折格子(D)によって回折され、分散されたビームは第2のミラー(E)によって出口スリット(F)に再び集束される。各波長の光が、スリットで異なる位置に集束され、スリットを透過される波長(G)は、回折格子の回転角に依存する。図25のスキャニングモノクロメータは、エタノール検出の問題に関しては機能するが、その大きさ及び機械的な運動は、車両をベースとするエタノール検出のための光源としては、このモノクロメータを実用的でないものにする。
【0161】
したがって、本発明の実施の形態は、エタノール検出のための機能強化されたシステム及び方法を提供する。ここで、エタノールセンサは、照射用のダイオードレーザと、受信機としてのInGaAsフォトダイオードとを使用する。このシステムは、完全に又は実質的に受動型であるが、システム温度を変えることによってレーザが調整可能であるので、スペクトル鋭敏さを維持する。最初に、1310nm付近のスペクトル領域が選択された。これは、エタノールと水との間で吸収に関して大きな差を有し、遠隔通信産業のために開発されたレーザに利用しやすいからである。ダイオードレーザは、ダブルヘテロ構造レーザダイオード、量子井戸レーザダイオード、分布帰還型レーザダイオード、垂直共振器型の面発光レーザ(VCSEL)ダイオード及び垂直外部共振器型の面発光レーザ(VECSEL)ダイオードからなる群から選択されるダイオードから構成されることができる。
【0162】
図26を参照すると、本発明の一つの実施の形態によるエタノールセンサ装置は、一体型の熱電冷却器(TEC)とPID温度制御装置に接続されたサーミスタモニタと共に取り付けられたダイオードレーザと、レーザダイオードドライバシステムとを含む。更に、センサは、ダイオードレーザと質量経路を増加するようになされたキュベットとの間のコリメート及びビーム拡大光学系を含み得る。ここで、キュベットは、ダイオードレーザとブロードバンド検出器(例えば、単一のInGaAsフォトダイオード検出器)との間に配置される。すなわち、比較として、上述されたハイブリッド手法では、ブロードバンド検出器は、NIR分光計の入口ポートに取り付けられた光ファイバ結合ケーブルで置き換えられる。
【0163】
より詳細には、本発明の一つの実施の形態によるエタノールセンサは、一体型サーミスタ及びTE冷却器を有するレーザダイオードを含む。定電力出力モードでレーザダイオードを操作するために、レーザダイオードドライバが使用された。レーザダイオードは、185.6mmパッケージでのAlGaAsレーザであり、これは、1310nmの公称波長及び10mWのCW光出力で、安定なシングルモード横モード振動を提供する。1310nmの出力波長が実現されるまで温度に関してレーザダイオードを調整するために、分光計が使用された。1310nm出力を維持するためのレーザダイオードの温度は、TE温度制御装置を使用して0.002℃の精度で制御された。
【0164】
レーザダイオード放出面から約1焦点距離で直径25.4mmのF/1平凸レンズが使用されて、コリメート光のビームを生成する。このビームは、次いで、オパールガラスの2つの直径25.4mmの部片によって拡散される。これは、直径が約10mmのほぼ完全拡散の照射源を生成する。減光フィルタを使用して、必要に応じて照射強度を低減することができる。一体にエポキシ接着された2つの10mmキュベットホルダが、20mm試料経路長で水/エタノール混合物を保持するために使用される。両方のキュベットが、キュベットホルダにクランプされる。
【0165】
キュベットに試料を通した後、コリメート/拡散された光が、3mmInGaAsフォトダイオード検出器の活性面に入射する。一体型TE冷却及びデュアルゲインFETトランスインピーダンス増幅器が、サンプル後に光強度を測定するために使用される。この検出器は、−30℃で作動されるとき、1310nmで0.9A/Wの応答性を持ち2.0×10−14W/(Hz)1/2よりも小さいNEPを有する。16ビットのナショナルインスツルメントDAQカードを使用して検出器の出力を監視し、得られたデータを更なる分析のためにデジタル化する。
【0166】
以下のベンチ試験は本発明を一層詳細に説明する。しかし、本発明は、これらのベンチ試験によって限定されない。
後者のベンチ試験システムの構成要素及び構成は、時間と共に、また様々な波長で使用されるときに変更されたが、システムは、一般に、レーザモジュール(その波長は、内部ダイオードの交換によって変更され、その後に温度制御によって微調整されることができる)と、コリメート光学系と、拡散光学系と、集束光学系と、減光フィルタと、アパーチャと、試料を所定位置に堅く保持するための区域と、安定化のための熱電冷却器を備えて動作されるブロードバンド又は高性能フォトダイオード検出器と、デュアルゲインFET入力トランスインピーダンス増幅器と、バイポーラ電源とを含む。
【0167】
ベンチ試験システム試験期間に留意すべきは、移動又は絶対位置の変化の可能性から試料を完全に切り離す必要性と、システム内の任意の振動が測定強度の変化を与えないように、フォトダイオードの開いているアパーチャのサイズを十分に超える(オーバーフィルする)ように光ビームサイズを拡張する必要性とであった。また、安定性を保つ(振動しない)ように、レーザが一般にその出力範囲の中央に向かう「スイートスポット」で動作される必要があることも、試験期間に明らかになった。更に、レーザは、定電流とは対照的に、定電力モードで操作されなければならなかった。
【0168】
試料の潜在的な相互汚染は、各濃度に関して専用のシリンジ及びビーカーを使用することによって回避された。個々の試料中の温度勾配によって引き起こされる潜在的なばらつきは、同じ試料濃度の大きなサイズのサブセットを使用するのとは対照的に、各濃度の同じ部分を再使用することによって回避された。
【0169】
初期エタノールの部分は、0.1%volから40%volまで変化する濃度で調製された。図27は各試料に関する1310nmでの透過強度を示す。初期結果はベールの法則と驚くべき相関を示す。しかし、図28は、0〜0.1%領域(又は域)に関する結果がベールの法則に対応せず、実際には、使用するには雑音が多すぎたことを示す。すなわち、図27は1310nmでのエタノール測定値0〜40%を示す。計算された誤差バーは、プロットするには小さすぎた。しかし、図28は、1σ誤差バーと共に低濃度のエタノール測定値を示す。これらの結果は統計的には有効でない。
【0170】
試料ホルダを再設計し、コリメート光学系を変えて、より振動を受けにくいシステムを作製した後、図29に示される新たなデータが収集された。図29は、1310nm帯域での統計的に有意なエタノール測定値を示す。0.05%での異常な挙動(非ベール)はアーティファクトではなく、実際の非線形現象である。
【0171】
図29におけるデータは、1310nmレーザ光に対するエタノールの明らかな非線形応答を示す。この劇的な効果は、0.1%未満のアルコール含有量を同定するために使用することができる。0%エタノールを高濃度のエタノール(0.1%)から明確に区別するためには、追加の改良策を使用すべきである。すなわち、更なる体系的な改良のために、第2の波長での吸収測定が使用される。
【0172】
この分光技法の潜在的な効果が1310nm帯域で示されたが、1310nm帯域での応答の非線形性質により、正確な特定のためには、第2の波長での同じ試料の同時測定が行われるべきである。
【0173】
要するに、スペクトルのNIR領域中での、特に1310nmでのエタノールの極めて非線形の吸収は、0.05%以上のBACに相応するエタノールの量を同定するために使用され得ることが実証された。1つの注意点は、0%及び0.1%でのエタノールの定量測定を向上させるために第2の波長を使用すべきであることである。第2の波長領域(又は域)での更なるエタノール吸収は、前に使用された1310nm領域(又は域)でのものとは僅かに異なる光吸収を有するはずである。任意の光分散技法を用いずにエタノールを検出するために、狭帯域源としてダイオードレーザを使用する効果も実証された。溶液中及び生体内での少量のエタノールを検出するために、2つ以上のダイオードレーザと単一の冷却型及び増幅型InGaAsフォトダイオードとを利用する「エタノールセンサ」を構成することを可能なはずである。
【0174】
前述のことに鑑みて、かつ本発明の一つの実施の形態で想定されるように、物質センサデバイスは、一方が1310nm帯域であり、もう一方が別の波長帯域である2つのレーザを含み、これらのレーザはファイバミキサを介して一体に結合される。図30に示すように、各レーザは、一体型の光ファイバピグテールを有する14ピン「バタフライ」パッケージ内に収納される。レーザユニットは、レーザダイオードと、レーザ出力を監視するための一体型フォトダイオードと、レーザ温度を安定化するためのサーミスタ及びTECとから構成される。また、「指スライド」にあるファイバコリメート光学系が、指に入射する光をコリメートするために含まれ、次いで、指の後の光学系が使用されて、コリメートされたビームを、一体型の温度制御を備える一体型InGaAsフォトダイオード/前置増幅器システムに再結像する。12ビットDACが、アナログフォトダイオード出力を、任意の数のマイクロコントローラ/マイクロプロセッサによってアクセス可能なデジタル「ワード」にデジタル化するために設けられる。
【0175】
より詳細には、図30は、一体型の光ファイバピグテールを有するバタフライパッケージダイオードレーザの概略図を示し、図31は、それぞれ異なる波長での、ピグテールを有する2つのダイオードレーザを示す。図31で、レーザは、ファイバミキサを介して単一のファイバに混合される。
【0176】
想定されるように、本発明の一つの実施の形態による物質センサシステム全体は、マイクロコントローラによって監視されて制御される。一つの実施の形態では、このシステムは、ゴー/ノーゴー(GO/NO−GO)デバイスであるように設計され、BACの精密な尺度ではない。したがって、システムは、更に、デバイス有効性を保証するために統計モデルを含み得る。
【0177】
また、前述のことに鑑みて、また想定されるように、本発明の適切な実施の形態は、車、ボート、飛行機、バス、重機又は入口点のいずれであれ、酒気帯びの個人が車両又は他のデバイスを操作するのを妨げるために設計されたシステムを提供する。更に、本発明の適切な実施の形態は、盗難を減らすためのシステムを提供する。生物測定指紋スキャニング技法の使用によって、システムは、非認証の個人がモータ駆動車両を操作するのを妨げる盗難抑止として設計される。1つの代表的な実施の形態は、酒気帯びに関してシステムにより試験された人が実際に車両の運転者であることを検証するようになされたシステムを提供する。
【0178】
更に、本発明の適切な実施の形態は、運転者がDUIを行う危険、アルコール関連の事故で車両を損壊する危険及び/又は盗難を低減するために、貸自動車の全車両に適用することができる。
【0179】
本発明の他の実施の形態は、航空機(例えば、ハイジャックの危険及び/又は他の適切な航空の危険を低減するため)、大量輸送車両(例えば、バス、機関車、トローリーバス、タクシーなど。車両の操作者が飲酒しておらず、又はその車両の認可された操作者であることを保証するため)、船舶(例えば、ボート、貨物船、客船、タンカー、外洋船など)、及び/又は産業機器(例えば、ダンプトラック、クレーン、トラクタ、フォークリフトなどの建設用重機、コンベアシステム、大型機械、プレスなどの産業機械、及びヒト/操作者のミスにより命が失われ得る又は財産が損なわれ得る大型産業機器の任意の他の適切な機器)に適用されることができる。
【0180】
更に、本発明の幾つかの実施の形態は、(例えば、タイムクロックと組み合わせて)建造物のセキュリティを向上及び/又は保証するために使用され得る。これらの実施の形態は、建造物に又は建造物内の部屋に個人が入るのを許可するために認証(例えば、指紋認証)を利用し、及び/又は違法若しくは規制物質の検出を含むようになされて、セキュリティ違反、産業事故及び作業者の酒気帯びが事故を引き起こす可能性がある他の事件を防止する。
【0181】
より詳細には、図32は、本発明の幾つかの実施の形態による、第三者に与えられた車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムのブロック図を示す。図32に示すように、システム1000は、制御モジュール(又はシステム制御装置)1016、生体認証装置(又は指紋検出器)1012、物質検出センサ(又は検出デバイス若しくはアルコールレベル検出器)1014及び/又は身分証明ボード1018を含む。生体認証装置1012はバスを介して(例えば、I2C Commを介して)制御モジュール1016に結合され、身分証明ボード1018もバスを介して(例えば、I2C Commを介して)制御モジュール1016に結合される。物質検出センサ1014は、使用者(例えば、第三者、人、操作者など)の物質レベルをバスを介して(例えば、I2C Commを介して)制御モジュール1016に提供するようになされた物質検出センサであってよい。ここで、制御モジュール1016は、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合、又は操作者が認証装置1012によって認証されない場合、車両に運転制約を通信するようになされる。
【0182】
また、本発明の一つの実施の形態では、物質レベルが操作者の末端部で決定され、また、操作者は末端部で認証され、末端部は指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び/又は頭からなる群から選択される。
【0183】
一つの実施の形態では、制御モジュール1016は、更に、操作者が認証装置1012によって認証されていて操作者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するために車両と通信するようになされる。
【0184】
一つの実施の形態では、物質検出センサ1014は操作者中のアルコールレベルを検出するようになされる。ここで、物質検出センサ1014はブロードバンド検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)を含み得る。更に、物質検出センサは、ブロードバンド検出器に向けて特定波長での光ビームを発するように構成されたダイオードレーザを備えてもよい。
【0185】
更に、図32は、制御モジュール1016が、ユーザカウントスイッチ、プログラムモードスイッチ、較正モードスイッチ及び表示装置に結合され、身分証明ボード1018が車両バス及び他の車両システムに結合されることを示す。
【0186】
図33は、本発明の幾つかの実施の形態による、第三者に与えられる車両を制御するため、ヒトの組織中の物質の濃度の生体内測定のため、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図を示す。図33に示すように、システム論理は較正モード又は実行モードで動作することができる。較正モードでは、システム論理は、較正スイッチがオンに切り換えられているかどうかを決定する。較正スイッチがオンに切り換えられている場合、ブロック1021で、システム論理は、ユーザカウントスイッチ数(変更することができる)を表示する。ブロック1022で、システム論理はユーザカウント識別番号を読み取る。ブロック1023で、システム論理は指センサ識別をポーリングし、永続メモリ(例えば、EEprom)に記憶する。ブロック1024で、システム論理はアルコール検出センサを読み取り、ユーザ(例えば、第三者、ヒト、操作者など)に関する参照として永続メモリに読取値を記憶し、ブロック1025で実行モードに戻る。
【0187】
実行モードでは、ブロック1031で、システム論理は指紋センサをポーリングする。ここで、ユーザの指が指紋センサ上にない場合、システム論理はブロック1031に戻る。ユーザの指が指紋センサ上にある場合、システム論理は、ブロック1032で、永続メモリからユーザの識別を決定する。次いで、システム論理はユーザが認識されるかどうかを決定する。ユーザが認識されない場合、システム論理はブロック1033で車両を使用不可にする。ユーザが認識される場合、論理はブロック1034でアルコール検出を開始する。
【0188】
BAC制限が超えられる場合、システム論理はシステムオーバーライドがオンであるかどうかを決定する。システムオーバーライドがオンでない場合、システム論理はブロック1033に移り、車両を使用不可にする。対照的に、システムオーバーライドがオンである場合、又はBAC制限が超えられていない場合、システム論理は、ブロック1035で、このデータをログし、ブロック1036で、車両が始動するのを可能にする。
【0189】
図34は、本発明の幾つかの実施の形態による、第三者に与えられる車両を制御するため、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のため、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるための別のシステムのブロック図を示す。図34に示すように、システム2000は、制御モジュール(又はシステム制御装置)2016、生体認証装置(又は指紋検出器)2012、物質検出センサ(又は検出デバイス若しくはアルコールレベル検出器)2014及び/又は身分証明ボード2018を含む。生体認証装置2012はバスを介して(例えば、I2C Commを介して)制御モジュール2016に結合され、身分証明ボード2018もバス(例えば、I2C Comm)を介して制御モジュール2016に結合される。物質検出センサ2014は、第1のレーザ制御通信ライン(Laser#1−Control)、第2のレーザ制御通信ライン(Laser#2−Control)、検出器通信ライン(Detector Out)、第1の温度通信ライン(Temp#1)及び第2の温度通信ライン(Temp#2)を有するバスを介して、ユーザ(例えば、第三者、人、操作者など)中の物質レベルを制御モジュール2016に提供するようになされた物質検出センサであってよい。ここで、制御モジュール2016は、操作者中の物質レベルが許容レベルを超える場合、又は操作者が認証装置2012によって認証されない場合に車両に運転制約を通信するようになされる。
【0190】
また、本発明の一つの実施の形態では、物質レベルが操作者の末端部で決定され、また、操作者が末端部で認証され、末端部は、指、親指、足指、耳、手のひら、足裏、足、手及び/又は頭からなる群から選択される。
【0191】
一つの実施の形態では、更に、制御モジュール2016は、操作者が認証装置2012によって認証されていて操作者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するように、車両と通信するようになされる。
【0192】
一つの実施の形態では、物質検出センサ2014は操作者中のアルコールレベルを検出するようになされる。ここで、物質検出センサ2014は、上で説明されたようにブロードバンド検出器(例えば、単一のフォトダイオード検出器)を含む。更に、物質検出センサは、ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発する」ように構成された第1のダイオードレーザと、ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザとを含み得る。ここで、ブロードバンド検出器は、検出器通信ライン(Detector Out)を介して制御モジュール2016の16ビットアナログ/デジタル(A/D)インターフェースに結合される。第1のダイオードレーザは、第1のレーザ制御通信ライン(Laser#1−Control)を介して制御モジュール2016の入出力(I/O)インターフェースに結合され、また第1の温度通信ライン(Temp#1)を介して制御モジュール2016の16ビットA/Dインターフェースに結合され、第2のダイオードレーザは、第2のレーザ制御通信ライン(Laser#2−Control)を介して制御モジュール2016のI/Oインターフェースに結合され、また第2の温度通信ライン(Temp#2)を介して制御モジュール2016の16ビットA/Dインターフェースに結合される。
【0193】
更に、図34は、システム制御装置1010が、ユーザカウントスイッチ、プログラムモードスイッチ、較正モードスイッチ、従者モードスイッチ及び表示装置に結合され、身分証明ボードが車両バス及び他の車両システムに結合されることを示す。
【0194】
図35、図36、図37及び図38は、本発明の幾つかの実施の形態による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図を示す。図35に示すように、システム論理は、較正モード3100、実行モード3300又は従者モード3200で動作することができる主ループ3000を有する。図35の主ループ3000に示されるように、システム論理は、較正スイッチがオンに切り換えられているかどうかを決定する。図35及び図36に示すように、較正スイッチがオンに切り換えられている場合、システム論理は較正モード3100に進み、ブロック3121で、最初にユーザカウントスイッチ数(変更することができる)を表示する。図36を参照すると、ブロック3122で、システム論理はユーザカウント識別番号を読み取る。ブロック3123で、システム論理は指センサ識別をポーリングする。ブロック3124で、システム論理はアルコール検出センサを読み取る。次いで、システム論理は、プログラムスイッチが押されているかどうかを決定する。プログラムスイッチが押されている場合、システム論理は、ブロック3125で、カウント読み取りによって指示された永続メモリ位置(EEprom位置)に指紋及びアルコール検出値を記憶し、ブロック3126で主ループ3000に戻る。
【0195】
再び図35を参照すると、主ループ3000で、較正スイッチがオンに切り換えられていない場合、システム論理は、従者スイッチがオンに切り換えられているかどうかを決定する。図35及び図37に示すように、従者スイッチがオンに切り換えられている場合、システム論理は従者モード3200に進み、ブロック3141で、車両の最高速度を毎時10マイル(MPH))に設定し、ブロック3142で車両が始動するのを可能にし、主ループ3000に戻る。
【0196】
再び図35を参照すると、主ループ3000で、従者スイッチがオンに切り換えられていない場合、システム論理はブロック3001で指紋センサをポーリングし、指が指紋センサ上にあるかどうかを決定する。図35及び図38を参照すると、ユーザの指が指紋センサ上にある場合、システム論理は、ブロック3332で、永続メモリからユーザの識別を決定する。
【0197】
次いで、システム論理はユーザが認識されるかどうかを決定する。ユーザが認識されない場合、システム論理はブロック3333で車両を使用不可にする。ユーザが認識される場合、論理はアルコール検出を開始する。すなわち、システム論理はブロック3351で第1のレーザをオンに切り換え、ブロック3352で待機時間遅延(例えば約2〜約3ms)を提供する。次いで、ブロック3353で、システム論理は検出器出力サンプルをデジタル化し、複数のサンプル(例えば、約10サンプル)を平均化して、この平均の第1のレーザ値を記憶する。更に、図38に示すように、システム論理はブロック3354で第2のレーザをオンに切り換え、ブロック3355で待機時間遅延(例えば約2〜約3ms)を提供する。次いで、ブロック3356で、システム論理は検出器出力サンプルをデジタル化し、複数のサンプル(例えば、約10サンプル)を平均化して、この平均の第2のレーザ値を記憶する。
【0198】
次いで、図38に示すように、システム論理は、第1のレーザ値又は第2のレーザ値がBACしきい値よりも大きいかどうかを決定する。BACしきい値が超えられない場合、システム論理は主ループ3000に戻る。BACしきい値が超えられる場合、システム論理はBAC制限が超えられるかどうかを決定する。BAC制限が超えられる場合、システム論理は、システムオーバーライドがオンであるかどうかを決定する。システムオーバーライドがオンでない場合、システム論理はブロック3333に移り、車両を使用不可にする。対照的に、システムオーバーライドがオンである、又はBAC制限が超えられていない場合、システム論理はブロック3335でこのデータをログし、ブロック3336で車両が始動するのを可能にし、主ループ3000に戻る。
【0199】
再び図35を参照すると、主ループ3000で、指が指紋センサ上にない場合、システム論理は、第1のレーザの温度センサからの値が第1のしきい値よりも大きいかどうかを決定する。値が第1のしきい値よりも大きい場合、システム論理は第1のレーザTECをオンに切り換えて第1のレーザを冷却する。値が第1のしきい値以下である場合、システム論理は、第2のレーザの温度センサからの値が第2のしきい値よりも大きいかどうかを決定する。値が第2のしきい値よりも大きい場合、システム論理は第2のレーザTECをオンに切り換えて第2のレーザを冷却する。値が第2のしきい値以下である場合、主ループ3000の開始点に戻る。
【0200】
前述のことに鑑みて、本発明の実施の形態は、人の組織中の物質の濃度の非侵襲性及び/又は生体内試験のための特定波長帯域での光源を提供し、非侵襲性及び/又は生体内物質分析のための2つ以上の特定波長帯域を提供し、人の組織中の物質の濃度の比較及び/又は測定に関するベース読取り及び後続の読取りを提供し、同時及び/又は実質的に同時の認証と物質評価のために生物測定センサを物質センサと近位位置で結合し、及び/又は第三者(例えば従者)に与えられる車両を制御するための方法及びシステムを提供する。本発明の一つの実施の形態では、光学物質検出器は、光源(例えば、ハロゲンランプ)と、構成された波長フィルタリングシステムにより試験試料(例えば、試験試料の一領域)を照射するためにハロゲンランプに取り付けられた光ファイバ束とを含む。所望の波長帯域が検出器に反射されて戻される。統計モデリング分析を含む評価により、試験試料の血中アルコール濃度(BAC)が、車両を操作するための法定制限に関して決定され、BACが法定制限範囲内にない場合、車両が使用不可にされる。
【0201】
上記のことから理解されるように、本明細書で説明される様々な構造及び機能は、様々な装置(例えば、撮像デバイス、監視デバイスなど)に組み込まれ、様々な形で実装され得る。撮像及び/又は監視デバイスの様々な実施の形態は、様々なハードウェア及びソフトウェア処理コンポーネントを含み得る。幾つかの実施の形態では、処理装置、制御装置、状態機械及び/又は論理などのハードウェアが、説明されたコンポーネント又は回路を実装するために使用され得る。幾つかの実施の形態では、1つ又は複数の処理デバイス上で動作するソフトウェア又はファームウェアなどのコードが、説明された操作又はコンポーネントの1つ又は複数を実装するために使用され得る。
【0202】
幾つかの例示的な実施の形態に関連して本発明を説明してきたが、理解されるように、本発明は開示された実施の形態に限定されず、逆に、頭記の特許請求の範囲及びその等価箇所の精神及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び等価構成を網羅するように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】本発明の一つの実施の形態の態様による、運転者カード識別システム及び/又は車両の操作者(又は運転者)による車両の使用(又は非認可使用)を妨げるシステムのブロック図である。
【図2】本発明の一つの実施の形態の態様による、運転者カード識別システム及び/又は車両の操作者(又は運転者)による車両の使用(又は非認証使用)を妨げるシステムに関連付けられるプロセスブロックの流れ図である。
【図3】本発明の一つの実施の形態の態様によるバイザー取付け式の生物測定デバイスを示す図である。
【図4】本発明の一つの実施の形態の態様による、機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスのブロック図である。
【図4A】本発明の一つの実施の形態の態様による、図4の機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスを含む車両のブロック図である。
【図4B】本発明の一つの実施の形態の態様による、図4の機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスを含むタイムクロックシステムのブロック図である。
【図5】本発明の別の実施の形態の態様による、機能強化された生物測定及び物質検出システム及びデバイスのブロック図である。
【図6】本発明の一つの実施の形態の態様による、リサーチグレードのNIR分光計を使用して収集された800nm〜2400nmの範囲の特定波長での100%エタノールのスペクトルを示す図である。
【図7】本発明の一つの実施の形態の態様による、リサーチグレードのNIR分光計を使用して収集された1400nm〜1500nmの範囲の特定波長での水中の0.10%、0.08%、0.06%及び0.04%エタノールのスペクトルを示す図である。
【図8】本発明の一つの実施の形態の態様による、リサーチグレードのNIR分光計を使用して収集された1650nm〜1750nmの範囲の特定波長での水中の0.10%、0.08%、0.06%及び0.04%エタノールのスペクトルを示す図である。
【図9】本発明の一つの実施の形態の態様による、リサーチグレードのNIR分光計を使用して収集された2200nm〜2400nmの範囲の特定波長での水中の0.10%、0.08%、0.06%及び0.04%エタノールのスペクトルを示す図である。
【図10A】本発明の一つの実施の形態による光学物質検出器構成を示す図である。
【図10B】本発明の別の実施の形態による光学物質検出器構成を示す図である。
【図11】本発明の一つの実施の形態の態様による、800〜2400nmのエタノール及び水の光吸収を示す図である。
【図12】本発明の一つの実施の形態の態様による、使用することができる様々な技術のブロック図である。
【図13】本発明の一つの実施の形態の態様による光源、コリメートレンズ、指、再結像レンズ及びファイバを示す図である。
【図14】本発明の一つの実施の形態の態様による一体型の指紋スクリーンを有する指センサの概略図である。
【図15】本発明の一つの実施の形態の態様に従って想定される、トランスインピーダンス増幅器及び熱制御を有するフォトダイオードの概略図である。
【図16】本発明の一つの実施の形態の態様による、光ファイバを介してSHSを「指スロット」に結合するためにファイバが使用されるSHS概略図である。
【図17】本発明の一つの実施の形態の態様による、光をサンプルするための調整可能又は静的なフィルタの使用を示す図である。
【図18】本発明の一つの実施の形態の態様による、異なる波長での光路サンプリングにおいてフィルタを変更するために使用することができるフィルタスライダを示す図である。
【図19】本発明の一つの実施の形態の態様による分光計を示す図である。
【図20】本発明の一つの実施の形態の態様による1100nm〜1700nmのスペクトルの部分を示す図である。
【図21】本発明の一つの実施の形態の態様による1100nm〜1700nmのスペクトルの部分を示す図である。
【図22】本発明の一つの実施の形態の態様によるフルスペクトルレーザ照射を示す図である。
【図23】本発明の一つの実施の形態の態様による、約1310nmでの、観察された強度に対するエタノール濃度の統計的には無効であるが興味深い測定を示すNIR分光計データを示す図である。
【図24A】本発明の一つの実施の形態の態様による狭帯域照射及びフォトダイオード検出器を使用する試料検査方法を示す図である。
【図24B】本発明の一つの実施の形態の態様による狭帯域照射及びフォトダイオード検出器を使用する試料検査方法を示す図である。
【図24C】本発明の一つの実施の形態の態様による狭帯域照射及びフォトダイオード検出器を使用する試料検査方法を示す図である。
【図25】本発明の一つの実施の形態の態様によるモノクロメータの詳細な動作原理を示す図である。
【図26】本発明の一つの実施の形態の態様によるエタノールセンサ装置を示す図である。
【図27】本発明の一つの実施の形態の態様による、試料に関する約1310nmでの透過強度を示す図である。
【図28】本発明の一つの実施の形態の態様による、ベールの法則に対応しなかった0〜0.1%領域に関する結果を示す図である。
【図29】本発明の一つの実施の形態の態様による、ベールの法則に対応しなかった0〜0.1%領域に関する結果を示す図である。
【図30】本発明の一つの実施の形態の態様による、一体型の光ファイバピグテールを有するバタフライパッケージダイオードレーザの概略図である。
【図31】本発明の一つの実施の形態の態様による、それぞれ異なる波長での、ピグテールを有する2つのダイオードレーザを示す図である。
【図32】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステムのブロック図である。
【図33】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図である。
【図34】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるための別のシステムのブロック図である。
【図35】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図である。
【図36】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図である。
【図37】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図である。
【図38】本発明の一つの実施の形態の態様による、第三者に与えられる車両を制御するための、人の組織中の物質の濃度の生体内測定のための、及び/又は車両の操作者による車両の使用を妨げるためのシステム論理のプロセスブロックの流れ図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第三者に与えられる車両を制御するためのシステムであって、
システム制御装置と、
前記システム制御装置に結合されたモード表示デバイスと、
前記システム制御装置に結合された認証装置と
を備え、
前記システム制御装置が、認可された運転者による前記モード表示デバイスの作動時に、前記認可された運転者による前記モード表示デバイスの作動停止まで、前記車両に運転制約を通信するようになされ、
前記システム制御装置が、前記認可された運転者が前記認証装置によって認証されていない限り、前記モード表示デバイスの作動及び作動停止を制約するようになされ、
前記運転制約が、始動の回数の制限、速度の制限、加速度の制限、時間の制限、距離の制限、ギアの制限、場所の制限及びそれらの組合せからなる群から選択される制限を備えるシステム。
【請求項2】
更に、前記システム制御装置に結合され、前記システム制御装置に第三者中の物質レベルを提供するようになされた物質検出デバイスを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システム制御装置が、更に、第三者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するように前記車両と通信するようになされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システム制御装置が、更に、第三者中の物質レベルが許容レベルを超える場合に前記車両に別の運転制約を通信するようになされている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記運転制約が、前記車両の最高速度を制限するように前記車両の車両バスを介して送信されるようになされたコマンドを備え、前記別の運転制約が、前記車両が始動するのを阻止するように前記車両の前記車両バスを介して送信されるようになされたコマンドを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記物質検出デバイスがブロードバンド検出器を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記物質検出デバイスが、更に、前記ブロードバンド検出器に向けて特定波長帯域での光ビームを発するように構成された光源を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記特定波長帯域が約1300nm〜約2400nmの範囲内にある、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記範囲が、約1400nm〜約1500nmの第1の範囲、約1650nm〜約1750nmの第2の範囲及び約2200nm〜約2400nmの第3の範囲からなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記特定波長帯域が約1450nmにある、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記ブロードバンド検出器が単一の検出器である、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記単一の検出器がInGaAs検出器である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記物質検出デバイスが、ブロードバンド検出器と、前記ブロードバンド検出器に向けて導かれる第1の特定波長帯域での第1の光ビームと、前記ブロードバンド検出器に向けて導かれる第2の特定波長帯域での第2の光ビームとを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の特定波長帯域が、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にあり、前記第2の特定波長帯域が、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ブロードバンド検出器が単一の検出器である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記単一の検出器がInGaAs検出器である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の特定波長帯域が、約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、前記第2の特定波長帯域が、約1650nm〜約1750nmの範囲内にある、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の特定波長帯域が、約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、前記第2の特定波長帯域が、約2200nm〜約2400nmの範囲内にある、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記物質検出デバイスが、ブロードバンド検出器と、前記ブロードバンド検出器に向けて導かれる第1の特定波長帯域での第1の光ビームと、前記ブロードバンド検出器に向けて導かれる第2の特定波長帯域での第2の光ビームと、前記ブロードバンド検出器に向けて導かれる第3の特定波長帯域での第3の光ビームとを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項20】
前記ブロードバンド検出器が単一の検出器である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の特定波長帯域が、約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、前記第2の特定波長帯域が、約1650nm〜約1750nmの範囲内にあり、前記第3の特定波長帯域が、約2200nm〜約2400nmの範囲内にある、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の特定波長帯域が約1450nmにある、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
更に、前記第1の光ビーム、前記第2の光ビーム及び前記第3の光ビームを提供するように構成された光源を備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
更に、前記光源と前記ブロードバンド検出器との間に配設され、前記ブロードバンド検出器に前記第1の特定波長帯域、前記第2の特定波長帯域及び前記第3の特定波長帯域での前記第1の光ビーム、前記第2の光ビーム及び前記第3の光ビームを提供するようになされたフィルタリングシステムを備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記物質検出デバイスが、PbS検出器、PbSe検出器、InAs検出器、InGaAs検出器、InSb検出器及びHgCdTe検出器からなる群から選択される単一のブロードバンド検出器と、前記単一のブロードバンド検出器に特定波長での光ビームを発するようになされた光源とを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項26】
更に、前記光源と前記単一のブロードバンド検出器との間に配設され、前記単一のブロードバンド検出器に特定波長帯域での光ビームを提供するようになされた波長フィルタリングシステムを備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記波長フィルタリングシステムが、前記光源よりも前記単一のブロードバンド検出器に近い距離に配設される、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
更に、前記光源と前記単一のブロードバンド検出器とに結合されたプラットフォームを備え、前記プラットフォームが、操作者の末端部の表面に接触するように構成され、前記操作者の末端部の前記表面の屈折率に実質的に等しい屈折率を有する、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記物質検出デバイスが、ブロードバンド検出器と、前記ブロードバンド検出器に向けて特定波長での光ビームを発するように構成されたダイオードレーザとを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項30】
前記特定波長が約1310nmにある、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記ブロードバンド検出器が単一のフォトダイオード検出器である、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記物質検出デバイスが、ブロードバンド検出器と、前記ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、前記ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザとを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1の特定波長が、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にあり、前記第2の特定波長が、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記物質検出デバイスが、ブロードバンド検出器と、前記ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、前記ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザと、前記ブロードバンド検出器に向けて第3の特定波長での光ビームを発するように構成された第3のダイオードレーザとを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項35】
前記運転制約が、更に、作動可能な付属品の制限、開放可能なコンパートメントの制限及びそれらの組合せからなる群から選択される別の制限を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項36】
コントロールパネルが、更に、前記制限が超えられている場合に、指定された個人に遠隔で通知するために携帯電話にメッセージを送信するようになされている、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記コントロールパネルが、更に、前記認可された運転者が前記車両の制御を再設定するときに前記制限が超えられている場合に、前記認可された運転者に通知するために警告を発するようになされている、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
第三者が従者である、請求項1に記載のシステム。
【請求項1】
第三者に与えられる車両を制御するためのシステムであって、
システム制御装置と、
前記システム制御装置に結合されたモード表示デバイスと、
前記システム制御装置に結合された認証装置と
を備え、
前記システム制御装置が、認可された運転者による前記モード表示デバイスの作動時に、前記認可された運転者による前記モード表示デバイスの作動停止まで、前記車両に運転制約を通信するようになされ、
前記システム制御装置が、前記認可された運転者が前記認証装置によって認証されていない限り、前記モード表示デバイスの作動及び作動停止を制約するようになされ、
前記運転制約が、始動の回数の制限、速度の制限、加速度の制限、時間の制限、距離の制限、ギアの制限、場所の制限及びそれらの組合せからなる群から選択される制限を備えるシステム。
【請求項2】
更に、前記システム制御装置に結合され、前記システム制御装置に第三者中の物質レベルを提供するようになされた物質検出デバイスを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システム制御装置が、更に、第三者中の物質レベルが許容レベルを超えない場合に車両が始動するのを許可するように前記車両と通信するようになされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システム制御装置が、更に、第三者中の物質レベルが許容レベルを超える場合に前記車両に別の運転制約を通信するようになされている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記運転制約が、前記車両の最高速度を制限するように前記車両の車両バスを介して送信されるようになされたコマンドを備え、前記別の運転制約が、前記車両が始動するのを阻止するように前記車両の前記車両バスを介して送信されるようになされたコマンドを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記物質検出デバイスがブロードバンド検出器を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記物質検出デバイスが、更に、前記ブロードバンド検出器に向けて特定波長帯域での光ビームを発するように構成された光源を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記特定波長帯域が約1300nm〜約2400nmの範囲内にある、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記範囲が、約1400nm〜約1500nmの第1の範囲、約1650nm〜約1750nmの第2の範囲及び約2200nm〜約2400nmの第3の範囲からなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記特定波長帯域が約1450nmにある、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記ブロードバンド検出器が単一の検出器である、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記単一の検出器がInGaAs検出器である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記物質検出デバイスが、ブロードバンド検出器と、前記ブロードバンド検出器に向けて導かれる第1の特定波長帯域での第1の光ビームと、前記ブロードバンド検出器に向けて導かれる第2の特定波長帯域での第2の光ビームとを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の特定波長帯域が、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にあり、前記第2の特定波長帯域が、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ブロードバンド検出器が単一の検出器である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記単一の検出器がInGaAs検出器である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の特定波長帯域が、約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、前記第2の特定波長帯域が、約1650nm〜約1750nmの範囲内にある、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の特定波長帯域が、約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、前記第2の特定波長帯域が、約2200nm〜約2400nmの範囲内にある、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記物質検出デバイスが、ブロードバンド検出器と、前記ブロードバンド検出器に向けて導かれる第1の特定波長帯域での第1の光ビームと、前記ブロードバンド検出器に向けて導かれる第2の特定波長帯域での第2の光ビームと、前記ブロードバンド検出器に向けて導かれる第3の特定波長帯域での第3の光ビームとを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項20】
前記ブロードバンド検出器が単一の検出器である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の特定波長帯域が、約1400nm〜約1500nmの範囲内にあり、前記第2の特定波長帯域が、約1650nm〜約1750nmの範囲内にあり、前記第3の特定波長帯域が、約2200nm〜約2400nmの範囲内にある、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の特定波長帯域が約1450nmにある、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
更に、前記第1の光ビーム、前記第2の光ビーム及び前記第3の光ビームを提供するように構成された光源を備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
更に、前記光源と前記ブロードバンド検出器との間に配設され、前記ブロードバンド検出器に前記第1の特定波長帯域、前記第2の特定波長帯域及び前記第3の特定波長帯域での前記第1の光ビーム、前記第2の光ビーム及び前記第3の光ビームを提供するようになされたフィルタリングシステムを備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記物質検出デバイスが、PbS検出器、PbSe検出器、InAs検出器、InGaAs検出器、InSb検出器及びHgCdTe検出器からなる群から選択される単一のブロードバンド検出器と、前記単一のブロードバンド検出器に特定波長での光ビームを発するようになされた光源とを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項26】
更に、前記光源と前記単一のブロードバンド検出器との間に配設され、前記単一のブロードバンド検出器に特定波長帯域での光ビームを提供するようになされた波長フィルタリングシステムを備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記波長フィルタリングシステムが、前記光源よりも前記単一のブロードバンド検出器に近い距離に配設される、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
更に、前記光源と前記単一のブロードバンド検出器とに結合されたプラットフォームを備え、前記プラットフォームが、操作者の末端部の表面に接触するように構成され、前記操作者の末端部の前記表面の屈折率に実質的に等しい屈折率を有する、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記物質検出デバイスが、ブロードバンド検出器と、前記ブロードバンド検出器に向けて特定波長での光ビームを発するように構成されたダイオードレーザとを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項30】
前記特定波長が約1310nmにある、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記ブロードバンド検出器が単一のフォトダイオード検出器である、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記物質検出デバイスが、ブロードバンド検出器と、前記ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、前記ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザとを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1の特定波長が、エタノールが水よりも低い吸収性を有する波長にあり、前記第2の特定波長が、エタノールが水よりも高い吸収性を有する波長にある、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記物質検出デバイスが、ブロードバンド検出器と、前記ブロードバンド検出器に向けて第1の特定波長での光ビームを発するように構成された第1のダイオードレーザと、前記ブロードバンド検出器に向けて第2の特定波長での光ビームを発するように構成された第2のダイオードレーザと、前記ブロードバンド検出器に向けて第3の特定波長での光ビームを発するように構成された第3のダイオードレーザとを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項35】
前記運転制約が、更に、作動可能な付属品の制限、開放可能なコンパートメントの制限及びそれらの組合せからなる群から選択される別の制限を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項36】
コントロールパネルが、更に、前記制限が超えられている場合に、指定された個人に遠隔で通知するために携帯電話にメッセージを送信するようになされている、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記コントロールパネルが、更に、前記認可された運転者が前記車両の制御を再設定するときに前記制限が超えられている場合に、前記認可された運転者に通知するために警告を発するようになされている、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
第三者が従者である、請求項1に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公表番号】特表2009−526707(P2009−526707A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555262(P2008−555262)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/003050
【国際公開番号】WO2007/094988
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508245493)オール・プロテクト・エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/003050
【国際公開番号】WO2007/094988
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508245493)オール・プロテクト・エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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