説明

等速ジョイント、等速ジョイント用樹脂ブーツ、等速ジョイント用樹脂ブーツの製造方法

【課題】樹脂ブーツを使用する等速ジョイントのコストを低減させる。
【解決手段】等速ジョイント用樹脂ブーツ1は、円筒形状の大径部2と、円筒形状の小径部6と、大径部2と小径部6を連結する蛇腹状の中間部4とからなり、大径部2の内径は大径部2を取り付ける第一部材の外径よりも小さく、小径部6の内径は小径部6を取り付ける第二部材の外径よりも小さい樹脂成形体に、電子線を照射して架橋した後、加熱された拡径装置を使用して、大径部2の内径を第一部材の外径より大きく、小径部6の内径を第二部材の外径より大きく拡径させ、大径部2および小径部6に熱収縮性を付与してある。この樹脂ブーツ1は、大径部2を等速ジョイント外輪に取り付け、小径部6をシャフトに取り付けた後、加熱収縮させて固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は等速ジョイント、等速ジョイント用樹脂ブーツ、等速ジョイント用樹脂ブーツの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に、ボールタイプの、角度変位だけ可能な固定式等速ジョイントの例を示す。この等速ジョイントは、外側継手部材としての外輪10と、内側継手部材としての内輪20と、トルク伝達部材としての複数のボール30と、ボール30を保持するためのケージ32を主要な構成要素としている。
【0003】
外輪10はマウス部12とステム部18とからなり、ステム部18に形成したスプライン(またはセレーション、以下同じ)軸部で原動軸または従動軸とトルク伝達可能に接続するようになっている。マウス部12はベル型で、球面状の内周面14を有し、円周方向に等間隔に、軸線と平行に延びる円弧状のボール溝16が形成してある。
【0004】
内輪20は軸心部にスプライン孔22を有し、シャフト(従動軸または原動軸)28とトルク伝達可能に接続してある。内輪20は球面状の外周面24を有し、円周方向に等間隔に、軸線と平行に延びる円弧状のボール溝26が形成してある。
【0005】
外輪10のボール溝16と内輪20のボール溝26は対をなし、各対のボール溝16、26間に1個ずつボール30が組み込んである。ボール30はケージ32のポケット34に収容され、ケージ32によってすべてのボール30が同一平面に保持される。
【0006】
ケージ32は外輪10と内輪20との間に介在し、ケージ32の外周面36と外輪10の内周面14、ケージ32の内周面38と内輪20の外周面24は、それぞれ、適当なすきまをもって球面接触している。
【0007】
等速ジョイントは、内部に充填したグリース等の潤滑剤が漏洩するのを防止するため、ブーツ50を装着して使用するのが一般的である。図5では、ブーツ50は、円筒形状の大径部52と、円筒形状の小径部54と、大径部52と小径部54を連結する蛇腹状の中間部56とからなり、大径部52を外輪10の開口端部に取り付け、小径部54をシャフト28に取り付けてある。ブーツ50の大径部52と外輪10との固定は、大径部52の外周に金属製のブーツバンド58を締め付けることによって行なわれる。同様に、ブーツ50の小径部54とシャフト28との固定は、小径部54の外周に金属製のブーツバンド60を締め付けることによって行なわれる。
【0008】
樹脂ブーツ用のブーツバンドの一例が特許文献1に開示されている。このブーツバンドは、図6に示すように、帯状の金属製のバンド62を両端部が互いに重なるようにして円形に折り曲げ、そのバンド62の内側重なり部分64に設けた複数の突起66を外側重なり部分68に形成した貫通孔70に進入させて円形の状態を保持し、外側重なり部分64に形成した突起72をかしめて円形のバンド62を縮径させることによりブーツ60を締め付けるようにしている。
【0009】
ここで、代表的なゴムブーツ用のブーツバンドについて述べると、図7(A)に示すように、ブーツバンド74は、バンド部材76と、スティック78と、バックル80とで成り立っている。バンド部材76はリボン状の薄鋼板をリング状に成形したもので、両端部を引き揃えてスティック支持部76aとしてある。このスティック支持部76aに円弧状のスティック78を固定してある。バックル80はバンド部材76の内周面または外周面に固定した板材の両端を折り曲げたものである。たとえばシャフト82にゴムブーツ84を取り付け、その上からブーツバンド74を装着し、スティック78の外端部を内端部78aを支点として矢印Fの方向に倒してバンド部材76の上に重ね合わせた後、バックル80の先端部を内側に折り曲げることによってスティック78をバンド部材76にかしめ付ける。図7(B)はこの状態を示している。述べたところから了解されるとおり、ゴムブーツ用のブーツバンド1は構成が簡単なうえにワンタッチバンドとも呼ばれるとおり装着も容易である。なお、バンド部材76は切れ目のないリング状であることから、等速ジョイントを組み付ける前にバンド部材76を通しておく必用がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−159108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
等速ジョイント用ブーツのうち、樹脂ブーツはゴムブーツに比べて非常に硬く、また、薄肉に成形されるため、上に述べたように、ジョイント外輪およびシャフトに固定するために非常に剛性の高いブーツバンドを用いて締め付けている。このため、ブーツバンドのかしめ工程では専用治具が必要で、しかも、作業は非常に煩雑なものであった。
【0012】
また、ジョイント外輪およびシャフトのブーツ取付部にはブーツ固定のための突起を設ける必要があった(図5参照)。このため、これらの突起部の最外径と等しいかそれよりも大きな外径のシャフト素材が必要であり、しかも、他の部分を削って突起を形成するための切削加工に長時間を要することから、ゴムブーツ装着用のシャフトに比べてコスト高となっていた。
【0013】
そこで、この発明の目的は、樹脂ブーツを使用する等速ジョイントのコストを低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、ブーツに熱収縮性を与えておき、取り付けた後に加熱して収縮させることによって課題を解決したものである。すなわち、この発明の等速ジョイント用樹脂ブーツは、円筒形状の大径部と、円筒形状の小径部と、大径部と小径部を連結する蛇腹状の中間部とからなり、大径部の内径は大径部を取り付ける第一部材の外径よりも小さく、小径部の内径は小径部を取り付ける第二部材の外径よりも小さい樹脂成形体に、電子線を照射して架橋した後、加熱された拡径装置を使用して、大径部の内径を第一部材の外径より大きく、小径部の内径を第二部材の外径より大きく拡径させたことを特徴とする(請求項1)。この等速ジョイント用樹脂ブーツは、大径部および小径部に熱収縮性が付与されるため、大径部と小径部をそれぞれ等速ジョイント外輪とシャフトに取り付け、加熱収縮させることによって固定することができる(請求項7)。
【0015】
電子線架橋とは、未架橋の樹脂成形体に5〜40MRadの電子線を照射して架橋する方法である。その後加熱しながら拡径することで、拡径前の寸法を形状記憶させておく。拡径品を再度加熱すると拡径前の寸法に戻ろうとするため収縮することになる。この熱収縮性を樹脂ブーツに付与し、大径部を等速ジョイント外輪に、小径部をシャフトに、それぞれ取り付けて、加熱収縮させることにより、等速ジョイント外輪およびシャフトに固定する。さらに、各固定部を金属製のブーツバンドで締め付けるが、この場合にはゴムブーツ用のブーツバンドをそのまま使用することができる(請求項6)。
【0016】
シャフトには突起が不要になり、したがって、ゴムブーツ用シャフトがそのまま使用できる。つまり、この電子線架橋樹脂ブーツを使用することで、ゴムブーツと同様の組立工数、組立コストおよびシャフト材料コスト、加工コストとすることができる。
【0017】
ブーツを構成する樹脂としては熱可塑性ポリエステルエラストマーが好ましい(請求項2)。具体例としては、東レ・デュポン株式会社のハイトレル(登録商標)を挙げることができる。ハイトレルはPBT(ポリブチレンテレフタレート)とポリエーテルであるPTMG(ポリテトラメチレングリコール)を有する熱可塑性ポリエステルエラストマーである。必要に応じて過酸化物架橋剤やシラン架橋材などの架橋財、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)などの架橋助剤(請求項3)、ワックスなどの潤滑剤(請求項4)などを適宜添加することができる。このような樹脂材料を使用して、プレスブロー法などのブロー成形法で所望形状の樹脂ブーツに成形することができる(請求項5、請求項9)。プレスブロー成形は、製品の外側を金型と接触させ、内側には空気を充満してびんのような中空体を製造する方法である。
【0018】
請求項6の発明は等速ジョイントであって、原動軸または従動軸とトルク伝達可能に接続する外側継手部材と、従動軸または原動軸とトルク伝達可能に接続する内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在してトルクを伝達するトルク伝達部材を有し、請求項1から5のいずれか1項の等速ジョイント用樹脂ブーツを組み付けてゴムブーツ用金属製ブーツバンドで固定したことを特徴とするものである。等速ジョイントの種類はとくに問わない。あらゆる種類の等速ジョイントに適用することができる。
【0019】
請求項8の発明は、等速ジョイント用樹脂ブーツの製造方法であって、円筒形状の大径部と、円筒形状の小径部と、大径部と小径部を連結する蛇腹状の中間部とからなり、大径部の内径は大径部を取り付ける第一部材の外径よりも小さく、小径部の内径は小径部を取り付ける第二部材の外径よりも小さい樹脂成形体を得、前記樹脂成形体に電子線を照射して架橋した後、加熱された拡径装置を使用して、大径部の内径を第一部材の外径より大きく、小径部の内径を第二部材の外径より大きく拡径させ、大径部および小径部に熱収縮性を付与したことを特徴とする。
【0020】
すなわち、樹脂ブーツは、大径部内径が等速ジョイント外径より小さく、小径部内径がシャフト径より小さくなるように成形し、全体に電子線を照射して架橋する。その後、所望温度に温調された拡径装置で直径を拡径し、大径部内径をジョイント外輪外径より大きく、小径部内径をシャフト径より大きくする。このようにして、樹脂ブーツの大径部および小径部に熱収縮性を付与する。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、あらかじめブーツに熱収縮性を付与してあるため、大径部を外側継手部材(等速ジョイント外輪)に取り付け、小径部をシャフトに取り付けた後、大径部と小径部を加熱するだけで固定することができる。したがって、従来樹脂ブーツ用シャフトに設けていた突起が不要になり、したがって、ゴムブーツ用シャフトがそのまま使用できる。また、締め付け用の金属製のブーツバンドとして、ゴムブーツ用のブーツバンドをそのまま使用することができる。このように、この発明の等速ジョイント用樹脂ブーツを使用することで、ゴムブーツと同様の組立工数、組立コストおよびシャフト材料コスト、加工コストとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に従ってこの発明の実施の形態を説明する。
図1に示す樹脂ブーツ1は、大径部2と、中間部4と、小径部6とからなっている。大径部2はジョイント外輪(外側継手部材)の開口端部に取り付けるための部分で、円筒形状の内周面を有し、外周にはブーツ溝2aが形成してある。小径部6はシャフトに取り付けるための部分で、円筒形状の内周面を有し、外周にはブーツ溝6aが形成してある。大径部2と小径部6は蛇腹状をした中間部4によって連結されている。中間部の形状については、蛇腹を構成する山と谷の数や形状などに関して種々のタイプが知られている。
【0023】
樹脂ブーツ1は例えばプレスブロー成形によって成形することができる。プレスブロー成形は、製品の外側を金型と接触させ、内側には空気を充満してびんのような中空体を製造する方法である。
同じくブロー成形法の一種であるダイレクトブロー法やインジェクションブロー法を採用することも可能である。また、特殊な金型を用いるが、インジェクション(射出)成形法でも成形することができる。
【0024】
樹脂ブーツ1を構成する樹脂材料としては、PBT(ポリブチレンテレフタレート)とポリエーテルであるPTMG(ポリテトラメチレングリコール)を有する熱可塑性ポリエステルエラストマーを採用することができる。そのような熱可塑性ポリエステルエラストマーの一例として、東レ・デュポン株式会社のハイトレル(登録商標)を挙げることができる。
【0025】
熱可塑性ポリエステルエラストマーに、必要に応じて、過酸化物架橋剤やシラン架橋材などの架橋財、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)などの架橋助剤、ワックスなどの潤滑剤、その他の添加剤を適宜添加することができる。
【0026】
樹脂ブーツ1は、樹脂を成形して得た樹脂成形体の状態で、大径部2の内径はジョイント外輪の外径より小さく、小径部6の内径はシャフト径より小さくなるように設定する。その樹脂ブーツ1に全体に電子線を照射して架橋する(図2参照)。その後、図3に示すように、例えば160℃に温調された拡径装置8を用いて大径部2と小径部6を拡径させる。大径部2の内径をジョイント外輪外径より大きく、小径部6の内径をシャフト径より大きくする。図3は、小径部6の内径をd1からd2に拡大する場合の例である。このようにして、樹脂ブーツ1の大径部2および小径部6に熱収縮性を付与する。
【0027】
上記の160℃という加工温度は拡径装置8側から決めたものである。すなわち、170℃以上では焼入れした鋼製の拡径装置が鈍って硬度が低下するためである。一方、加工温度を低くすると加工時間が長くなる。これらのことを考慮すると、焼入れした鋼製の拡径装置を使用する場合、加工温度は140〜160℃程度、加工時間は15分〜1時間程度が適当である。
【0028】
なお、電子線架橋とは、未架橋の樹脂成形体に5〜40MRadの電子線を照射して架橋する方法である。その後加熱しながら拡径することで、拡径前の寸法を形状記憶させておく。拡径品を再度加熱すると拡径前の寸法に戻ろうとするため収縮することになる。この熱収縮性を樹脂ブーツ1のバンド溝2a、6a(図1参照)部分に付与し、その樹脂ブーツ1をジョイント外輪およびシャフトに組み付けた後、加熱収縮させて固定する。図4(A)は小径部6にシャフト28を挿入させた状態を示し、図4(B)は小径部6を加熱収縮させた状態を示す。さらに、バンド溝2a、6aに金属製のブーツバンドを取り付けて締め付ける。この場合、ゴムブーツ用のブーツバンドを使用することができる。
【0029】
シャフト28には突起が不要になり、このことでゴムブーツ用シャフトが使用できる。つまり、この電子線架橋樹脂ブーツ1を使用することで、ゴムブーツと同様の組立工数、組立コストおよびシャフト材料コスト、加工コストとすることができる。
【0030】
実施例
ハイトレル4797(東レ・デュポン株式会社)を使用してプレスブロー成形により図1に示す樹脂ブーツ1を成形した。大径部2は内径68mm、肉厚0.8mm、小径部6は内径16mm、肉厚0.8mmであった。
この樹脂ブーツ1に対し、10Mradの電子線をブーツ全体に照射した。図2に小径部6の電子線照射過程を示す。
【0031】
次に、拡径装置を使用して、大径部2の内径を75mmに、小径部6の内径を21mmに拡径した。図3に拡径装置8による小径部6の拡径操作を示す。
拡径後、大径部2を等速ジョイント外輪のブーツ固定部に取り付け、小径部6をシャフトのブーツ固定部に取り付けた。等速ジョイント外輪のブーツ固定部外径は73mm、シャフトのブーツ固定部外径は19mmであった。なお、等速ジョイント外輪およびシャフトのブーツ取付部は突起(図5参照)のない平坦面であった。
【0032】
上記樹脂ブーツ1を、温度160℃、時間15分、収縮後厚み0.9mmという加工条件で加熱収縮させた。その後、ゴムブーツ用の金属製ブーツバンドで樹脂ブーツ1を固定し、評価用等速ジョイントを組み立てた。
そして、この評価用等速ジョイントを作動角40°で低温耐久試験機に取り付け、−40℃雰囲気下に5時間放置後、テスト開始30sec以内に400rpmまで回転数を上げた。その後、観察した結果、ブーツ固定部でのズレなどは認められなかった。
【0033】
比較例
実施例と同一の等速ジョイントおよびシャフトを用い、通常の樹脂ブーツ(材料:ハイトレル、大径部内径:72.8mm、小径部内径:18.8mm)を装着し、ゴムブーツ用の金属製ブーツバンドで締め付けて固定した。この金属製ブーツバンドも実施例で使用したのと同じものである。作動角40°で低温耐久試験機に取り付け、−40℃雰囲気下に5時間放置後、テスト開始30sec以内に400rpmまで回転数を上げた。その後、観察した結果、大径部および小径部いずれもズレており、樹脂ブーツ形状も異常変形が確認された。
【0034】
以上説明したところから明らかなように、等速ジョイント用樹脂ブーツ1は、あらかじめ熱収縮性を付与してあるため、大径部2を外側継手部材(等速ジョイント外輪)10に取り付け、小径部6をシャフト28に取り付けた後、大径部2と小径部4を加熱するだけで固定することができる。したがって、従来樹脂ブーツ用シャフトに設けていた突起(図5参照)が不要になり、その結果、ゴムブーツ用シャフト(図示省略)がそのまま使用できる。また、締め付け用の金属製のブーツバンドとして、図6に示した樹脂ブーツ用ブーツバンドではなく、図7に示すようなゴムブーツ用のブーツバンド74を使用することができる。この等速ジョイント用樹脂ブーツ1を使用することで、樹脂ブーツであるにも拘らず、ゴムブーツと同様の組立工数、組立コストおよびシャフト材料コスト、加工コストとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例を示す等速ジョイント用樹脂ブーツの縦断面図である。
【図2】電子線照射過程を示す小径部の模式的断面図である。
【図3】小径部の拡径過程を示す断面図である。
【図4】(A)は小径部にシャフトを挿入した状態の断面図、(B)は小径部を熱収縮させた状態の断面図である。
【図5】従来の技術を示す樹脂ブーツを装着した等速ジョイントの縦断面図である。
【図6】従来の技術を示すブーツバンド付近の横断面図である。
【図7】(A)はゴムブーツ用ブーツバンドの斜視図、(B)は装着した状態における断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 等速ジョイント用樹脂ブーツ
2 大径部
2a ブーツ溝
4 中間部
6 小径部
6a ブーツ溝
8 拡径装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の大径部と、円筒形状の小径部と、大径部と小径部を連結する蛇腹状の中間部とからなり、大径部の内径は大径部を取り付ける第一部材の外径よりも小さく、小径部の内径は小径部を取り付ける第二部材の外径よりも小さい樹脂成形体に、電子線を照射して架橋した後、加熱された拡径装置を使用して、大径部の内径を第一部材の外径より大きく、小径部の内径を第二部材の外径より大きく拡径させ、大径部および小径部に熱収縮性を付与した、等速ジョイント用樹脂ブーツ。
【請求項2】
前記樹脂は熱可塑性ポリエステルエラストマーであることを特徴とする請求項1の等速ジョイント用樹脂ブーツ。
【請求項3】
前記樹脂は架橋助剤が添加してある請求項1または2の等速ジョイント用樹脂ブーツ。
【請求項4】
前記樹脂はワックスが添加してある請求項1から3のいずれか1項の等速ジョイント用樹脂ブーツ。
【請求項5】
前記樹脂成形体はブロー成形法で成形した請求項1から4のいずれか1項の等速ジョイント用樹脂ブーツ。
【請求項6】
原動軸または従動軸とトルク伝達可能に接続する外側継手部材と、従動軸または原動軸とトルク伝達可能に接続する内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在してトルクを伝達するトルク伝達部材を有し、
請求項1から5のいずれか1項の等速ジョイント用樹脂ブーツを組み付けてゴムブーツ用金属製ブーツバンドで固定した等速ジョイント。
【請求項7】
等速ジョイント用樹脂ブーツの大径部を外側継手部材に取り付け、小径部を内側継手部材と接続したシャフトに取り付け、加熱収縮させることにより固定した請求項6の等速ジョイント。
【請求項8】
円筒形状の大径部と、円筒形状の小径部と、大径部と小径部を連結する蛇腹状の中間部とからなり、大径部の内径は大径部を取り付ける第一部材の外径よりも小さく、小径部の内径は小径部を取り付ける第二部材の外径よりも小さい樹脂成形体を得、
前記樹脂成形体に電子線を照射して架橋した後、
加熱された拡径装置を使用して、大径部の内径を第一部材の外径より大きく、小径部の内径を第二部材の外径より大きく拡径させ、大径部および小径部に熱収縮性を付与した、等速ジョイント用樹脂ブーツの製造方法。
【請求項9】
前記樹脂成形体をブロー成形法で成形する請求項8の等速ジョイント用樹脂ブーツの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−226616(P2011−226616A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98904(P2010−98904)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】