説明

筋ジストロフィー治療用化合物

式(I)の化合物は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療又は予防において有用である:
【化1】


(式中、R1、R2、R3、及びnは、本明細書において規定されている。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容は引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、2008年5月22日に出願された英国特許出願第GB0809314.8号の優先権を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを含む筋ジストロフィー及び関連状態の治療のための化合物、それらの化合物を含有する組成物、及びそれらの使用法が、本明細書において提供される。同じく、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを含む筋ジストロフィー及び関連状態の治療方法が、本明細書において提供される。
【背景技術】
【0003】
(背景)
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、150年以上も前にフランス人の神経学者Duchenne de Boulogneにより最初に報告され、その後命名された、筋肉機能の進行性の劣化を付随する、一般的遺伝性神経筋疾患である。DMDは、ジストロフィン遺伝子の変異により引き起こされる、男性が3,500名に1名の割合で冒されるX染色体連鎖劣性障害として特徴付けられる。本遺伝子は、ヒトゲノムにおいて最大であり、DNA 2.6Mbpを包含し、かつ79個のエキソンを含む。ジストロフィン変異のほぼ60%は、下流のフレームシフトエラーにつながる大きい挿入又は欠失であるのに対し、ほぼ40%は、点変異又は小さいフレームシフト再編成である。DMD患者の圧倒的多数は、ジストロフィンタンパク質を欠いている。ベッカー型筋ジストロフィーは、ジストロフィンタンパク質の量の減少又はサイズの変化により引き起こされる、DMDのはるかに軽症の型である。DMDの高い発生率(精子又は卵子10,000につき1)は、遺伝子スクリーニングは本疾患を決して排除せず、そのため有効な治療が非常に望ましいことを意味する。
【0004】
いくつかの天然の及び遺伝子操作されたDMD動物モデルが存在し、前臨床試験の柱となっている(Allamandらの論文、「筋ジストロフィーの動物モデル:治療法開発のための有益な道具(Animal models for muscular dystrophy: valuable tools for the development of therapies)」、Hum. Mol. Genet. 9, 2459-2467 (2000))。マウス、ネコ及びイヌモデルは全てDMD遺伝子に変異を有し、かつヒトにおいて認められるものに類似した生化学的ジストロフィノパチーを示すが、これらは、それらの表現型に関して驚くべき注目に値する変動を示す。ヒトのように、イヌ(筋ジストロフィーのゴールデンレトリバー及びジャーマンショートへアポインター)モデルは、重篤な表現型を有し;これらのイヌは典型的には、心不全で死亡する。イヌは、ヒト疾患の最良の表現型模写をもたらし、かつ前臨床試験のための高度のベンチマークと考えられる。残念なことに、これらの動物の繁殖には、費用がかかりかつ困難であり、臨床の時間経過は同腹子間で変動し得る。
【0005】
mdxマウスは、入手可能性、短い妊娠期間、成熟の時間及び比較的低いコストのために、最も広範に使用されているモデルである(Bulfieldらの論文、「マウスのX染色体連鎖型筋ジストロフィー(mdx)(X chromosome-linked muscular dystrophy (mdx) in the mouse)」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 1189-1192 (1984))。
【0006】
約20年前のDMD遺伝子の発見以降、成功度にばらつきのあるDMD治療が、前臨床動物試験において実現され、その一部はヒトで経過観察されている。現在の治療戦略は、おおまかに3群に分けることができる:第一に、遺伝子療法的アプローチ;第二に、細胞療法;及び最後に、薬理学的療法。遺伝子ベース及び細胞ベースの療法は、特に疾患過程初期に開始された場合、続発する欠損/病理(例えば、拘縮)を個別に補正する必要性を省くという根本的利点をもたらす。残念ながら、これら方法は、多くの技術的困難に直面している。ウイルスベクター、筋芽細胞及び新たに合成されたジストロフィンに対する免疫学的反応が、毒性、安定した発現の欠如及び送達の難しさに加え、報告されている。
【0007】
筋ジストロフィーの治療のための薬理学的アプローチは、喪失された遺伝子及び/又はタンパク質のいずれかを送達するようにはデザインされていない点が、遺伝子ベース及び細胞ベースのアプローチとは異なる。概して、薬理学的戦略は、炎症を軽減し、カルシウムホメオスタシスを改善し、かつ筋前駆体の増殖又は拘束を増大することなどにより、表現型を改善することを企て、薬物/分子を使用する。これらの戦略は、全身への送達が容易であり、かつベクター及び細胞ベースの療法に関連した多くの免疫学的及び/又は毒性の問題点を回避することができるという利点をもたらす。炎症を軽減するためのコルチコステロイド及びクロモグリク酸ナトリウム、カルシウムホメオスタシスを維持するためのダントロレン、並びに筋肉強度を増大するためのクレンブテロールを用いた研究は、有望な結果をもたらしたが、これらの可能性のある療法はいずれも、まだDMD治療において効果を示していない。
【0008】
別の薬理学的アプローチは、アップレギュレーション療法である。アップレギュレーション療法は、欠損遺伝子を置き換えるための代替遺伝子の発現の増加を基にしており、かつ予め存在しないタンパク質に対する免疫応答が開始された場合に特に恩恵がある。ジストロフィンの常染色体パラログであるユートロフィンのアップレギュレーションが、DMDの可能性のある療法として提唱されている(Perkinsらの論文、Neuromuscul Disord., S1: S78-S89(2002);Khuranaらの論文、Nat. Rev. Drug Discov. 2:379-390 (2003))。トランスジェニックmdxマウスにおいてユートロフィンが過剰発現された場合、これは、筋細胞の筋繊維鞘に局在化し、かつジストロフィン関連タンパク質複合体(DAPC)の成分を貯蔵し、このことは、ジストロフィーの発症を妨げ、次に骨格筋の機能改善につながる。イヌにおけるユートロフィンのアデノウイルスによる送達が、病理進行を妨害することが示されている。マウスモデルにおける誕生直後の増大したユートロフィン発現の開始は、有効であることができ、かつユートロフィンが遍在的に発現された場合に毒性は認められず、このことはヒトへの本療法の転換を有望なものとしている。病理進行を低下するのに十分なレベルにまでの内在性ユートロフィンのアップレギュレーションは、小型の拡散性化合物の送達により達成されるであろう。
【0009】
より以前の出願であるPCT/GB2007/050055、PCT/GB2007/050056、英国特許出願第0617739.8号、英国特許出願第0619282.7号、英国特許出願第0623985.9号、英国特許出願第0617740.6号、英国特許出願第0619283.5号、英国特許出願第0714303.5号、及び英国特許出願第0803906.7号において、本発明者らは、予測的スクリーニング(predictive screens)で内在性ユートロフィンをアップレギュレーションし、その結果DMDの治療に有用であることができる化合物を開示した。
【発明の概要】
【0010】
(概要)
DMDを含む筋ジストロフィー及び関連状態の治療のための化合物、それらの化合物を含有する組成物、及びそれらの使用法が、本明細書において提供される。一実施態様において、内在性ユートロフィンをアップレギュレートし、かつDMDを含む筋ジストロフィーの治療において有用である化合物が、本明細書において提供される。
【0011】
一実施態様において、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療又は予防において使用するための、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグが、本明細書において提供される:
【化1】

(式中、R1、R2、R3、及びnは、本明細書の別所において規定されている。)。
【0012】
ある実施態様において、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグが、本明細書において提供される。
【0013】
エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、又は2種以上のジアステレオマーの混合物を含む、式(I)の化合物;又は、それらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、若しくはプロドラッグを;1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤と組合せて含有する医薬組成物も、本明細書において提供される。
【0014】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療又は予防の方法も、本明細書において提供される。一実施態様において、本方法は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の1種以上の症状を治療、予防、又は改善する。一実施態様において、本方法は、式(I)の化合物の有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含む。別の実施態様において、本方法は、式(I)の化合物の医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、又はプロドラッグの有効量を、それを必要とする患者へ投与することを含む。
【0015】
一実施態様において、式(I)の化合物は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質を治療又は予防するために使用される。別の実施態様において、式(I)の化合物は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーの治療又は予防において使用される。別の実施態様において、式(I)の化合物は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療又は予防において使用される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
(A. 定義)
別に規定されない限りは、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は全て、一般に、本開示が属する技術分野の業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に示された開示の理解を促進するために、以下にいくつかの用語を規定する。
【0017】
本明細書において使用される用語「C1-C6アルキル」は、別に特定されない限り、炭素原子1〜6個を有する、任意に置換された線状又は分枝した飽和炭化水素鎖をいう。一実施態様において、任意の置換基は、ハロである。例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、n-ヘキシル、トリフルオロメチル、及び1,2-ジクロロエチルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0018】
本明細書において使用される用語「C1-C5アルキル」、「C1-C4アルキル」及び「C1-C10アルキル」は、別に特定されない限り、それらが各々、炭素原子1〜5個、1〜4個、及び1〜10個を含むこと以外は、これらは同様の意味を有する。
【0019】
本明細書において使用される用語「C3-C7シクロアルキル」は、別に特定されない限り、環炭素原子3〜7個を有する、任意に置換された完全に飽和された炭素環式環をいう。例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本明細書において使用される用語「アルキレン」は、別に特定されない限り、線状又は分枝した飽和の二価の炭化水素ラジカルをいい、ここでアルキレンは、本明細書に説明されたように任意に置換されてよい。用語「アルキレン」は、別に特定されない限りは、線状及び分枝した両方のアルキレンを包含している。ある実施態様において、アルキレンは、炭素原子1〜20個(C1-20)、1〜15個(C1-15)、1〜10個(C1-10)、1〜6個(C1-6)、若しくは1〜5個(C1-5)を有する線状の飽和の二価の炭化水素ラジカル、又は炭素原子3〜20個(C3-20)、3〜15個(C3-15)、3〜10個(C3-10)、3〜6個(C3-6)、若しくは3〜5個(C3-5)を有する分枝した飽和の二価の炭化水素ラジカルである。本明細書において使用される線状C1-6及び分枝したC3-6アルキレン基は、「低級アルキレン」とも称される。アルキレン基の例は、メチレン、エチレン、プロピレン(全ての異性体型を含む)、n-プロピレン、イソプロピレン、ブチレン(全ての異性体型を含む)、n-ブチレン、イソブチレン、t-ブチレン、ペンチレン(全ての異性体型を含む)、及びヘキシレン(全ての異性体型を含む)を含むが、これらに限定されるものではない。例えばC1-6アルキレンは、炭素原子1〜6個の線状の飽和された二価の炭化水素ラジカル、又は炭素原子3〜6個の分枝した飽和された二価の炭化水素ラジカルをいう。
【0021】
本明細書において使用される用語「炭素環式」は、別に特定されない限り、全ての環原子が炭素原子である、任意に置換された環システムをいう。
【0022】
本明細書において使用される用語「複素環式」は、別に特定されない限り、1個以上の環原子が、N、O及びSから選択されたヘテロ原子である、任意に置換された環システムをいう。
【0023】
本明細書において使用される炭素環式及び複素環式環システムにおける1個以上の環CH2基は、別に特定されない限り、C=Oにより交換され、環式ケトンを形成することができる。ある実施態様において、1個以上の環CH2基は、C=Oにより交換され、環式アミドを形成する。
【0024】
本明細書において使用される用語「芳香族」は、別に特定されない限り、芳香性を有する、任意に置換された炭素環式又は複素環式環システムをいう。一実施態様において、芳香環は、環を1又は2個、及び環原子を5〜10個有する。二環式システムにおいて、これらの環の1個は、芳香性を有することができる。芳香族環システムの例は、フェニル、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリン、ベンゾジオキシル、ベンゾジオキサン、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、キナゾリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾール、及びイミダゾールの環システムを含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において使用される用語「非芳香族」は、別に特定されない限り、完全に又は部分的に飽和されることができる、任意に置換された炭素環式又は複素環式環システムをいう。一実施態様において、非芳香族環は、単環式であり、かつ環原子4〜7個を有する。非芳香族環システムの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、及びピロリジンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本明細書において使用される炭素環式又は複素環式環システムは、別に特定されない限り、1個以上の-X4R7により任意に置換されており:
ここで、X4は、結合、-NR5-、-S-、-O-、-(CR5R5)q-、-(CR5R5)qO-、-O(CR5R5)q-NR5C(O)-、-NR5C(S)-、-NR5C(O)O-、-NR5SO2-、-NR5C(O)NR5-、-NR5C(S)NR5-、-NR5C(NH)NR5-、-NR5C(NH)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(O)NR5-、-C(S)NR5-、-SO-、-SO2-、-SO2NR5-、-OC(O)NR5-、又は-P(O)OR5-であり;
各R5は、独立してH、又は1個以上のハロにより任意に置換されたC1-C6アルキルであり;
qは、0、1又は2であり;並びに
R7は、H、C1-C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここでアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、各々、1個以上のハロ又は-O(C1-C6アルキル)により任意に置換されており、かつここでシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、各々、1個以上のC1-C6アルキルにより任意に置換されているか;又は
X4が結合である場合、R7は、ハロ、NO2、若しくはCNであることができる。
【0027】
本明細書において使用される芳香族又は非芳香族環システムは、別に特定されない限り、1個以上の-X4R7により任意に置換されており、ここでX4及びR7は本明細書において別所に規定されている。
【0028】
本明細書において使用される用語「シクロアルキル」又は「非芳香族炭素環式」は、別に特定されない限り、環式の飽和された架橋した及び/又は架橋していない一価の炭化水素ラジカルをいい、これは1個以上の-X4R7により任意に置換されることができ、ここでX4及びR7は本明細書において別所に規定されている。ある実施態様において、シクロアルキルは、炭素原子を3〜20個(C3-20)、3〜15個(C3-15)、3〜10個(C3-10)、又は3〜7個(C3-7)有する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、デカリニル、及びアダマンチルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において使用される用語「アリール」又は「芳香族炭素環式」は、別に特定されない限り、単環式芳香族基、及び/又は少なくとも1個の芳香族炭化水素環を含む多環式一価の芳香族基をいう。ある実施態様において、アリールは、環原子を6〜20個(C6-20)、6〜15個(C6-15)、又は6〜10個(C6-10)有する。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル、及びテルフェニルを含むが、これらに限定されるものではない。アリールは同じく、1個の環は芳香族であり、かつ残りの環は飽和、部分的に不飽和、又は芳香族であることができる、二環式又は三環式の炭素環もいい、例えばジヒドロナフチル、インデニル、インダニル、又はテトラヒドロナフチル(テトラリニル)をいう。ある実施態様において、アリールは、1個以上の-X4R7により任意に置換されることができ、ここでX4及びR7は本明細書において別所に規定されている。
【0030】
本明細書において使用される用語「アラルキル」又は「アリール-アルキル」は、別に特定されない限り、アリールにより置換された一価のアルキル基をいう。ある実施態様において、アルキル部分及びアリール部分は、1個以上の置換基により任意に置換されている。
【0031】
本明細書において使用される用語「ヘテロアリール」又は「芳香族複素環式」は、別に特定されない限り、少なくとも1個の芳香環がO、S及びNから独立して選択された1個以上のヘテロ原子を含む、単環式芳香族基、及び/又は少なくとも1個の芳香環を含む多環式芳香族基をいう。ヘテロアリール基の各環は、1個若しくは2個のO原子、1個若しくは2個のS原子、及び/又は1〜4個のN原子を含むことができるが、但し各環のヘテロ原子の総数は4個以下であり、かつ各環は少なくとも1個の炭素原子を含むことを条件とする。ある実施態様において、ヘテロアリールは、環原子5〜20個、5〜15個、又は5〜10個を有する。単環式ヘテロアリール基の例は、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、及びトリアゾリルを含むが、これらに限定されるものではない。二環式ヘテロアリール基の例は、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、チアジアゾロピリミジル、及びチエノピリジルを含むが、これらに限定されるものではない。三環式ヘテロアリール基の例は、アクリジニル、ベンズインドリル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナントリジニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、及びキサンテニルを含むが、これらに限定されるものではない。ある実施態様において、ヘテロアリールは、1個以上の-X4R7により任意に置換されることができ、ここでX4及びR7は本明細書において別所に規定されている。
【0032】
本明細書において使用される用語「非芳香族ヘテロシクリル」又は「非芳香族複素環式」は、別に特定されない限り、1個以上の非芳香環原子は、O、S、又はNから独立して選択されたヘテロ原子であり;残りの環原子は、炭素原子である、単環式非芳香環システム、及び/又は少なくとも1個の非芳香環を含む多環式環システムをいう。ある実施態様において、ヘテロシクリル又は複素環式基は、環原子を3〜20個、3〜15個、3〜10個、3〜8個、4〜7個、又は5〜6個有する。ある実施態様において、ヘテロシクリルは、単環式、二環式、三環式、又は四環式環システムであり、これは、縮合された又は架橋された環システムを含んでよく、かつここで窒素原子又は硫黄原子は任意に酸化されてよく、窒素原子は任意に四級化されてよく、かつ一部の環は、部分的又は完全に飽和されるか、又は芳香族であってよい。ヘテロシクリルは、任意のヘテロ原子又は炭素原子で、主構造に結合されてよく、これは安定した化合物の形成をもたらす。このような複素環式ラジカルの例は、アゼピニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサジニル、β-カルボリニル、クロマニル、クロモニル、シンノリニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ジヒドロベンズイソオキサジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジオキソラニル、1,4-ジチアニル、フラノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアモルホリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロキノリニル、及び1,3,5-トリチアニルを含むが、これらに限定されるものではない。ある実施態様において、複素環式も、1個以上の-X4R7により任意に置換されることができ、ここでX4及びR7は本明細書において別所に規定されている。
【0033】
本明細書において使用される用語「ハロ」は、別に特定されない限り、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードをいう。
【0034】
本明細書において使用される好適な医薬として及び獣医学的に許容し得る塩は、別に特定されない限り、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、及び他の金属塩などの塩基付加塩、更にはコリン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、エチルジアミン、及び他の公知の塩基付加塩を含む。
【0035】
好適であるならば医薬として及び獣医学的に許容し得る塩は、有機酸の塩、特にカルボン酸の塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、パントテン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、酪酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、シュウ酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、ニコチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロプリオ酸塩、酒石酸塩、ラクトビオン酸塩、ピボル酸塩、ショウノウ酸塩、ウンデカン酸塩、及びコハク酸塩;有機スルホン酸の塩、例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-クロロベンゼンスルホン酸塩及びp-トルエンスルホン酸塩など;並びに、無機酸の塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、ヘミ硫酸塩、チオシアン酸塩、過硫酸塩、リン酸塩及びスルホン酸塩などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0036】
医薬として又は獣医学的に許容し得ない塩も、中間体として依然価値があることがある。
【0037】
本明細書において使用される用語「プロドラッグ」は、別に特定されない限り、インビボにおいて式(I)の活性親薬物を放出する任意の共有結合された化合物をいう。
【0038】
キラル中心又は他の異性体中心の形が本明細書に提供された化合物に存在する場合、エナンチオマー及びジアステレオマーを含む、ひとつ又は複数のそのような異性体の全ての形が、本開示の範囲内であることが意図されている。キラル中心を含む本明細書において提供された化合物は、ラセミ混合物、エナンチオリッチな混合物として使用されることができ、又はこのラセミ混合物は、公知の技術を用い分離することができ、個々のエナンチオマーは単独で使用することができる。
【0039】
本明細書において使用される用語「被験体」は、別に特定されない限り、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、又はマウスを含むが、これらに限定されるものではない動物をいう。用語「被験体」及び「患者」は、本明細書において、例えば、ヒト被験体のような哺乳類の被験体に関して、一実施態様においてはヒトに関して、互換的に使用される。
【0040】
本明細書において使用される用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、別に特定されない限り、障害、疾患、若しくは状態を、又は障害、疾患、若しくは状態に関連した1種以上の症状の軽減又は抑止;又は、その障害、疾患、若しくは状態それ自身の原因(複数)の軽減又は根絶を含むことを意味する。
【0041】
本明細書において使用される用語「予防する」、「予防している」及び「予防」は、別に特定されない限り、障害、疾患、若しくは状態、及び/又はその随伴症状の開始を遅延及び/又は排除する方法;被験体が障害、疾患、又は状態を獲得するのを妨害する方法;被験体の障害、疾患、又は状態を獲得するリスクを低下する方法を意味する。
【0042】
本明細書において使用される用語「治療的有効量」は、別に特定されない限り、投与された場合に、治療される障害、疾患、若しくは状態の1種以上の症状の発症を予防するか、又はそれらをある程度軽減するのに十分である化合物の量を含むことを意味する。用語「治療的有効量」は、研究者、獣医師、医師、又は臨床家により求められる、生物学的分子(例えば、タンパク質、酵素、RNA、又はDNA)、細胞、組織、体系、動物、又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘起するのに十分な化合物の量もいう。
【0043】
本明細書において使用される用語「医薬として許容し得る担体」、「医薬として許容し得る賦形剤」、「生理的に許容し得る担体」、又は「生理的に許容し得る賦形剤」は、別に特定されない限り、医薬として許容し得る物質、組成物、又はビヒクル、例えば液体若しくは固形の充填剤、希釈剤、溶媒、又は封入物質などをいう。一実施態様において、各成分は、医薬製剤の他の成分と相溶性があり、かつ妥当なベネフィット/リスク比と釣り合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、又は他の問題点若しくは合併症を伴わずに、ヒト及び動物の組織又は臓器との接触における使用に適しているという意味で、「医薬として許容し得る」。Remingtonの文献「薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、Lippincott Williams & Wilkins、フィラデルフィア、PA、2005年;「医薬賦形剤便覧(Handbook of Pharmaceutical Excipients)」、第5版、Roweら編集、The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association、2005年;及び、「医薬添加剤便覧(Handbook of Pharmaceutical Additives)」、第3版、Ash及びAsh編集、Gower Publishing Company、 2007年;「医薬予備製剤及び製剤(Pharmaceutical Preformulation and Formulation)」、第2版、Gibson編集、CRC Press LLC、ボカラトン、Fl、2009年を参照されたい。
【0044】
本明細書において使用される用語「約」又は「ほぼ」は、別に特定されない限り、当業者により決定された特定値に関して許容し得る誤差を意味し、これは一部その値が測定又は決定される方法によって左右される。ある実施態様において、用語「約」又は「ほぼ」は、1、2、3又は4標準偏差内であることを意味する。ある実施態様において、用語「約」又は「ほぼ」は、所与の値又は範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内であることを意味する。
【0045】
本明細書において使用される用語「活性成分」及び「活性物質」は、別に特定されない限り、状態、障害又は疾患の1種以上の症状を治療、予防、又は改善するために被験体へ、単独で、又は1種以上の医薬として許容し得る賦形剤と組合せて投与される化合物をいう。本明細書において使用される「活性成分」及び「活性物質」は、本明細書に説明された化合物の光学活性異性体であってよい。
【0046】
本明細書において使用される用語「薬物」「治療用物質」及び「化学療法薬」は、別に特定されない限り、状態、障害、又は疾患の1種以上の症状を治療、予防、又は改善するために被験体に投与される、化合物、又はそれらの医薬組成物をいう。
【0047】
ある実施態様において、「光学活性」及び「エナンチオマー活性」とは、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上もエナンチオ過剰である、分子の集積をいう。ある実施態様において、本化合物は、問題のラセミ体の総重量を基に、所望のエナンチオマーを約95%又はそれよりも多く、及び余り好ましくないエナンチオマーを約5%又はそれよりも少なく含有する。
【0048】
光学活性化合物の説明において、接頭文字R及びSは、そのキラル中心(複数)の周りの分子の絶対配置を示すように使用される。(+)及び(-)は、化合物の旋光度を、すなわち偏光面が光学活性化合物により回転される方向を示すように使用される。接頭文字(-)は、化合物が、左旋性である、すなわち化合物が、偏光面を左側若しくは反時計回りに回転することを示す。接頭文字(+)は、化合物が、右旋性である、すなわち化合物が、偏光面を右側若しくは時計回りに回転することを示す。しかし、旋光の印(+)及び(-)は、その分子の絶対配置R及びSには関係しない。
【0049】
本明細書において使用される用語「溶媒和物」は、別に特定されない限り、非共有的分子間力により結合された溶媒を化学量論的量又は非化学量論的量更に含有する、本明細書において提供された化合物又はそれらの塩をいう。この溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0050】
(B. 化合物)
デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療又は予防において使用するための、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグが、本明細書において提供される:
【化2】

(式中、
R1は、任意に置換された5〜10員の単環式又は二環式の芳香族炭素環式環システム、任意に置換された5〜10員の非芳香族炭素環式環システム、任意に置換された5〜10員の単環式若しくは二環式の芳香族複素環式環システム、又は任意に置換された5〜10員の非芳香族複素環式環システムであり;
R2は、R6、SO2R6、又はLSO2R6であり;
各R3は、独立してハロ、CN、NO2、OH、SH、NH2、C1-C4アルキル、又は-O(C1-C4アルキル)であり;
R6は、(i)1個以上のハロ、-OH、-O(C1-C6アルキル)、又は任意に置換された5〜10員の単環式又は二環式の芳香族若しくは5〜10員の非芳香族の炭素環式若しくは複素環式環システムにより任意に置換されたC1-C10アルキル;又は、(ii)任意に置換されたC3-C7シクロアルキル:であり;
Lは、C1-C5アルキレンであり;
nは、0、1、2、又は3である。)。
【0051】
ある実施態様において、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグが、本明細書において提供される。
【0052】
一実施態様において、R1は、任意に置換された5〜10員の単環式又は二環式の芳香族炭素環式環システムである。別の実施態様において、R1は、任意に置換された5〜10員の単環式又は二環式の芳香族複素環式環システムである。別の実施態様において、R1は、任意に置換された単環式芳香族炭素環式環システムである。別の実施態様において、R1は、任意に置換された二環式芳香族炭素環式環システムである。別の実施態様において、R1は、任意に置換された単環式芳香族複素環式環システムである。別の実施態様において、R1は、任意に置換された二環式の芳香族複素環式環システムである。別の実施態様において、R1は、任意に置換された5〜10員の非芳香族炭素環式環システムである。別の実施態様において、R1は、任意に置換された5〜10員の非芳香族複素環式環システムである。
【0053】
一実施態様において、R1は、置換されない芳香族炭素環式環システムである。別の実施態様において、R1は、1個以上のハロ置換基により任意に置換された芳香族炭素環式環システムである。ある実施態様において、R1は、1個以上のハロにより任意に置換されたフェニル又はナフチルである。別の実施態様において、R1は、1個以上のハロにより任意に置換されたフェニルである。別の実施態様において、R1は、1個以上のハロにより任意に置換されたナフチルである。別の実施態様において、R1は、置換されないフェニルである。別の実施態様において、R1は、置換されないナフチルである。別の実施態様において、R1は、1個以上のクロロにより任意に置換されたフェニル又はナフチルである。別の実施態様において、R1は、1個以上のクロロにより任意に置換されたフェニルである。別の実施態様において、R1は、1個以上のクロロにより任意に置換されたナフチルである。別の実施態様において、R1は、2個のクロロ置換基により置換されたフェニルである。R1の具体例は、ナフタレン-2-イル、フェニル、3,4-ジクロロフェニル及び2,3-ジクロロフェニルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0054】
一実施態様において、R2はR6である。別の実施態様において、R2は、SO2R6である。別の実施態様において、R2は、LSO2R6である。
【0055】
一実施態様において、R6は、1個以上のハロ、-OH、-O(C1-C6アルキル)、又は任意に置換された5〜10員の単環式又は二環式の芳香族若しくは5〜10員の非芳香族の炭素環式若しくは複素環式環システムにより任意に置換されたC1-C10アルキルである。別の実施態様において、R6は、任意に置換されたC3-C7シクロアルキルである。別の実施態様において、R6は、1個以上のハロにより任意に置換されたC1-C10アルキルである。別の実施態様において、R6は、1個以上の-OHにより任意に置換されたC1-C10アルキルである。別の実施態様において、R6は、1個以上の-O(C1-C6アルキル)により任意に置換されたC1-C10アルキルである。別の実施態様において、R6は、任意に置換された5〜10員の単環式又は二環式芳香族炭素環式環システムにより任意に置換されたC1-C10アルキルである。別の実施態様において、R6は、任意に置換された5〜10員の単環式又は二環式芳香族複素環式環システムにより任意に置換されたC1-C10アルキルである。別の実施態様において、R6は、任意に置換された5〜10員の非芳香族炭素環式環システムにより任意に置換されたC1-C10アルキルである。別の実施態様において、R6は、任意に置換された5〜10員の非芳香族複素環式環システムにより任意に置換されたC1-C10アルキルである。
【0056】
一実施態様において、R2は、1個以上のハロにより任意に置換されたC1-C10アルキルである。別の実施態様において、R2は、1個以上のハロにより任意に置換された線状又は分枝したC1-C6アルキルである。別の実施態様において、R2は、1個以上のフルオロにより任意に置換された線状又は分枝したC1-C6アルキルである。別の実施態様において、R2は、1個以上のフェニルにより任意に置換されたC1-C10アルキルである。R2の具体例は、1個以上のハロ置換基、例えばフルオロ、又はフェニルにより任意に置換されてよい、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルを含むが、これらに限定されるものではない。他のR2の例は、3,3,3-トリフルオロ-プロピル及びベンジルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0057】
一実施態様において、R2は、任意に置換されたC3-C7シクロアルキルである。別の実施態様において、R2は、任意に置換されたシクロペンチル又はシクロヘキシルである。R2の具体例は、シクロペンチル及びシクロヘキシルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0058】
ある実施態様において、nは0であり、かつR3は存在しない。別の実施態様において、nは1である。別の実施態様において、nは2である。別の実施態様において、nは3である。
【0059】
一実施態様において、Lは、C1-C5アルキレンである。
【0060】
一実施態様において、R3は、ハロである。別の実施態様において、R3は、CNである。別の実施態様において、R3は、NO2である。別の実施態様において、R3は、OHである。別の実施態様において、R3は、SHである。別の実施態様において、R3は、NH2である。別の実施態様において、R3は、C1-C4アルキルである。別の実施態様において、R3は、-O(C1-C4アルキル)である。
【0061】
R1、R2、R3、R5、R6、R7、X4、L、q、及びnの任意の組合せが、本開示により包含されており、かつ具体的に本明細書において提供される。
【0062】
一実施態様において、式(I)の化合物の具体例は、以下の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグを含むが、これらに限定されるものではない:
1. 5-ベンジル-2-フェニル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化3】

2. 5-エチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化4】

3. 5-メチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化5】

4. 2-(ナフタレン-2-イル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化6】

5. 5-ブチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化7】

6. 5-ベンジル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化8】

7. 5-イソプロピル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化9】

8. 2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化10】

9. 2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化11】

10. 2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化12】

11. 5-シクロペンチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化13】

12. 5-シクロペンチル-2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化14】

13. 2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化15】

14. 5-シクロペンチル-2-(2,3-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化16】

15. 2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
【化17】

16. 2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン。
【化18】

【0063】
式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、又はプロドラッグが本明細書において提供される。
【0064】
具体例は、以下の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、又はプロドラッグを含むが、これらに限定されるものではない:
5-エチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-メチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(ナフタレン-2-イル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-ブチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-ベンジル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-イソプロピル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-シクロペンチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-シクロペンチル-2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-シクロペンチル-2-(2,3-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン。
【0065】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療又は予防のための作用物質の調製における、式(I)の化合物の使用も、本明細書において提供される。
【0066】
(C. 化合物の合成)
一実施態様において、式(I)の化合物の製造方法が、本明細書において提供される。式(I)の化合物は、市販の出発材料から、下記の方法を用い、合成することができる。
【0067】
式(I)の化合物は、式(II)の化合物:
【化19】

(式中、R1、R3、及びnは、本明細書の別所において規定されている)の、式(III)の化合物:
R2-X (III)
(式中、R2は、本明細書の別所において規定されており;かつ、Xは、ハロ、例えばブロモ又はヨードである)との反応により、反応することにより調製することができる。
【0068】
一実施態様において、R2がアルキルである場合、Xはブロモであることができる。別の実施態様において、R2がシクロアルキルである場合、Xはヨードであることができる。この反応は、水酸化ナトリウムのような水性塩基の存在下で、一般に温度15〜30℃、例えば25℃で実行することができる。
【0069】
一実施態様において、R2がハロアルキル、例えば3,3,3-トリフルオロプロピルである場合、Xはヨードであることができる。この反応は、塩基性条件下で実行することができる。一部の実施態様において、この反応は、水素化ナトリウムのような塩基の存在下で、ジメチルホルムアミドのような極性有機溶媒中で実行することができる。一部の実施態様において、この反応は、高温、例えば80〜150℃で実行される。
【0070】
式(III)の化合物は、容易に入手可能であるか、又は当業者に公知である方法により調製することができる。
【0071】
式(II)の化合物は、一般式(IV)の化合物:
R1-COOH (IV)
(式中、R1は本明細書の別所において規定されている)を、式(V)の3,4-ジアミノピリジン:
【化20】

(式中、R3及びnは本明細書の別所において規定されている)と反応することにより、調製することができる。
【0072】
この反応は、ポリリン酸のような酸性脱水剤の存在下、高温、例えば150〜200℃で実行することができる。
【0073】
一般式(IV)及び(V)の化合物は公知であり、かつ容易に入手可能であるか、又は当業者に公知の方法により調製することができるかのいずれかである。
【0074】
ここに説明された合成において、当業者に公知のように、好適な保護基を使用することができる。当業者は、適当な保護基、並びにそのような保護基を導入及び除去するための条件を選択することができるであろう。保護基に関する情報は、「有機合成における保護基(Protecting Groups in Organic Synthesis)」(Theodora W. Greene及びPeter G. M. Wuts、John Wiley & Sons Inc.発行)において入手可能である。
【0075】
(D. 医薬組成物)
一実施態様において、DMDの治療に使用するための式(I)の化合物は、医薬組成物の形で投与される。式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグ;及び、1種以上の医薬として許容し得る賦形剤を含有する医薬組成物が、本明細書において提供される。
【0076】
一実施態様において、本医薬組成物は、式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩を、80重量%未満、50重量%未満、20重量%未満、又は0.1〜20重量%、医薬として許容し得る希釈剤又は担体と混合して、含有する。
【0077】
一実施態様において、これらの成分を混合することを含む、そのような医薬組成物の製造方法が、本明細書において提供される。
【0078】
一実施態様において、医薬製剤、組成物、及び好適な希釈剤又は担体の例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:
静脈内注射又は注入のためには−精製水又は食塩水;
吸入組成物のためには−粗末乳糖;
錠剤、カプセル剤及び糖衣錠のためには−微晶質セルロース、リン酸カルシウム、珪藻土、乳糖、デキストロース又はマンニトールのような糖類、タルク、ステアリン酸、デンプン、炭酸水素ナトリウム及び/又はゼラチン;
坐剤のためには−天然油又は硬化油又はワックス。
【0079】
一実施態様において、本化合物は、例えば静脈内注入において、水溶液中で使用され、本化合物を含有する医薬組成物は、1種以上の賦形剤を更に含有することができる。ある実施態様において、賦形剤は、キレート剤又は金属イオン封鎖剤、抗酸化剤、張度調節剤、pH調節剤及び緩衝剤を含むが、これらに限定されるものではない。
【0080】
一実施態様において、式(I)の化合物を含有する溶液は、望ましいならば、例えば凍結乾燥又は噴霧乾燥により、蒸発させ、使用前に再構成することができる固体組成物を生じることができる。
【0081】
一実施態様において、式(I)の化合物は、溶液として使用されない。一実施態様において、式(I)の化合物は、中央粒子径0.01〜10μmを有する形状である。ある実施態様において、式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、保存剤、安定化剤、及び湿潤剤、可溶化剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースのような水溶性セルロースポリマー、又はプロピレングリコールのような水溶性グリコール、甘味剤及び着色剤及び矯味矯臭剤を更に含有することができる。一実施態様において、本組成物は、持続放出型で製剤することができる。
【0082】
一実施態様において、本医薬組成物は、式(I)の化合物を、調製品全体に対して、約0.01%〜約99.9重量%含有する。ある実施態様において、本医薬組成物は、式(I)の化合物を、調製品全体に対して、約0.1%〜約50重量%含有する。
【0083】
式(I)の化合物、及び医薬として許容し得る賦形剤、補助剤、担体、緩衝液、又は安定剤を含有する医薬組成物が、本明細書において提供される。
【0084】
一実施態様において、医薬として許容し得る賦形剤、補助剤、担体、緩衝液、又は安定剤は、無毒であり、かつ活性成分の効能を妨害しない。担体又は他の物質の正確な性質は、経口、又は皮膚注射、皮下注射若しくは静脈内注射のような注射によることができる、投与経路に応じて変動するであろう。
【0085】
一実施態様において、本医薬組成物は、本明細書において提供された化合物、及び1種以上の医薬として許容し得る賦形剤又は担体を含有する、経口投与用の剤形で提供される。経口投与のために製剤される本明細書において提供される医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、又は液剤の形状であることができる。錠剤は、固形担体又は補助剤を含有することができる。液体医薬組成物は一般に、液体担体、例えば水、石油、動物油若しくは植物油、又は鉱油若しくは合成油を含有する。生理食塩水、デキストロース又は他の糖溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール、若しくはポリエチレングリコールのようなグリコール類を、含むことができる。カプセル剤は、ゼラチンのような固形担体を含むことができる。
【0086】
別の実施態様において、本医薬組成物は、非経口投与用の剤形において、1種以上の医薬として許容し得る賦形剤又は担体と一緒に提供される。医薬組成物が、静脈内注射、皮膚注射又は皮下注射のために製剤される場合、本活性成分は、パイロジェンフリーであり、かつ好適なpH、等張度、及び安定性を有する、非経口的に許容し得る水溶液の形である。当業者は例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、又は乳酸加リンゲル注射液のような、等張ビヒクルを用い、好適な溶液を調製することがよくできる。保存剤、安定剤、緩衝液、抗酸化剤、及び/又は他の添加剤を、必要に応じて含有することができる。
【0087】
更に別の実施態様において、本医薬組成物は、本明細書において提供された化合物、及び1種以上の医薬として許容し得る賦形剤又は担体を含有する、局所投与用の剤形で提供される。
【0088】
本医薬組成物は、遅延型、拡張型(extended)、延長型、持続型、パルス型(pulsatile)、制御型、促進型及び迅速型、標的化型、プログラム型の放出、並びに胃内滞留剤形を含む、修飾された放出型剤形として製剤することもできる。これらの剤形は、当業者に公知の通常の方法及び技術に従い調製することができる(Remington「薬学の科学と実践」、前掲;「修飾された放出の薬物送達技術(Modified-Release Drug Delivery Technology)」、第2版、Rathboneら編集、Marcel Dekker, Inc.、ニューヨーク、NY. 2008年を参照されたい)。
【0089】
本明細書に提供される医薬組成物は、単位剤形又は反復剤形で提供することができる。本明細書において使用される単位剤形は、当該技術分野において公知であるように個別に包装された、ヒト及び動物被験体への投与に適した物理的に個別の単位をいう。各単位投与量は、所望の治療作用を生じるのに十分な活性成分(複数)の予め決定された量を、必要な医薬担体又は賦形剤と会合して含有する。単位剤形の例は、アンプル、シリンジ、並びに個別包装された錠剤及びカプセル剤を含む。単位剤形は、それらの小部分又は複数回で投与されてよい。反復剤形は、隔離された単位剤形で投与されるべき単独の容器に包装された複数の同一の単位剤形である。反復剤形の例は、バイアル、錠剤若しくはカプセル剤の瓶、又は1パイント瓶若しくはガロン瓶を含む。
【0090】
本明細書において提供された医薬組成物は、一気に、又は時間をあけて複数回で投与することができる。正確な用量及び治療期間は、治療される患者の年齢、体重及び状態により変動し、かつ既知の試験プロトコールを使用し実験に基づき、又はインビボ若しくはインビトロ試験若しくは診断データから外挿することにより、決定することができることが理解される。任意の特定の個人のための、具体的投薬計画は、その個人の必要性並びにその製剤を投与しかつ投与を管理する専門家の判断に従い、経時的に調節されなければならないことも、更に理解される。
【0091】
別の実施態様において、本明細書において提供される医薬組成物は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療のための治療薬を1種以上更に含有する。
【0092】
更に別の実施態様において、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療のための、医薬品の製造における式(I)の化合物の使用が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本医薬品は、錠剤、カプセル剤、散剤、又は液剤の形である。ある実施態様において、本医薬品は、本明細書に説明されたように製剤される。
【0093】
(1. 経口投与)
経口投与用の本明細書に提供された医薬組成物は、固形、半固形、又は液体の経口投与剤形で提供することができる。本明細書において使用されるように、経口投与は、口腔内、舌上、及び舌下投与も含む。好適な経口剤形は、錠剤、ファストメルト、チュアブル錠、カプセル剤、丸剤、ストリップス型(strips)、トローチ剤、舐剤、香錠、カシェ剤、ペレット剤、医用チューインガム、バルク散剤、発泡性又は非発泡性散剤又は顆粒剤、口内噴霧、液剤、乳剤、懸濁剤、ウエハー、粒状剤(sprinkle)、エリキシル剤、及びシロップ剤を含むが、これらに限定されるものではない。本医薬組成物は、本活性成分(複数)に加えて、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色移り防止剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁化剤及び分散剤、保存剤、溶媒、非水性液体、有機酸、及び二酸化炭素給源を含むが、これらに限定されるものではない、医薬として許容し得る担体又は賦形剤を1種以上含有することができる。
【0094】
結合剤又は造粒剤は、圧縮後に錠剤が無傷であり続けることを確実にするために、錠剤に凝集性をもたらす。好適な結合剤又は造粒剤は、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、及びアルファ化デンプン(例えばSTARCH 1500)など;ゼラチン;糖類、例えばショ糖、グルコース、デキストロース、糖蜜、及び乳糖など;天然ゴム及び合成ゴム、例えばアカシアゴム、アルギン酸、アルギン酸塩、アイリッシュモスの抽出物、パンワー(panwar)ゴム、ガティーゴム、イサブゴール(isabgol)殻の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビーガム(Veegum)、カラマツアラボガラクタン(larch arabogalactan)、トラガカント末、及びグアーガムなど;セルロース、例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HFC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)など;微晶質セルロース、例えばAVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC社、マーカスフック, PA)など;並びに、それらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。好適な充填剤は、タルク、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、セルロース末、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。本明細書において提供される医薬組成物中の結合剤又は充填剤の量は、製剤の種類により変動し、かつ当業者には容易に認められる。結合剤又は充填剤は、本明細書において提供される医薬組成物中約50〜約99重量%で存在してよい。
【0095】
好適な希釈剤は、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、乳糖、ソルビトール、ショ糖、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、無水デンプン、及び粉砂糖を含むが、これらに限定されるものではない。マンニトール、乳糖、ソルビトール、ショ糖、及びイノシトールのようなある種の希釈剤が十分量存在する場合、これらは、一部の圧縮錠に、咀嚼することにより口内で崩壊することが可能になる特性をもたらすことができる。このような圧縮錠は、チュアブル錠として使用することができる。本明細書において提供される医薬組成物中の希釈剤の量は、製剤の種類により変動し、かつ当業者には容易に認められる。
【0096】
好適な崩壊剤は、寒天;ベントナイト;セルロース、例えばメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースなど;木製品;海綿;陽イオン交換樹脂;アルギン酸;ガム、例えばグアーガム及びビーガムHV;柑橘類パルプ;架橋したセルロース、例えばクロスカルメロースなど;架橋したポリマー、例えばクロスポビドンなど;架橋したデンプン;炭酸カルシウム;微晶質セルロース、例えばデンプングリコール酸ナトリウムなど;ポラクリリンカリウム;デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、アルファ化デンプンなど;クレイ;アリグン(aligns)及び、それらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。本明細書において提供される医薬組成物中の崩壊剤の量は、製剤の種類により変動し、かつ当業者には容易に認められる。本明細書において提供される医薬組成物中の崩壊剤の量は、製剤の種類により変動し、かつ当業者には容易に認められる。本明細書において提供される医薬組成物は、崩壊剤を約0.5〜約15%、又は約1〜約5重量%含有してよい。
【0097】
好適な滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽質鉱油;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;グリコール、例えばベヘン酸グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG)など;ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油を含む、硬化植物油;ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリン酸エチル;寒天;デンプン;リコポジウム;シリカ又はシリカゲル、例えばAEROSIL(登録商標)200(W.R. Grace社、ボルチモア、MD)及びCAR-0-SIL(登録商標)(Cabot社、ボストン、MA);及び、それらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。本明細書において提供される医薬組成物は、滑沢剤を約0.1〜約5重量%含有してよい。
【0098】
好適な流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、CAB-O-SIL(登録商標)(Cabot社、ボストン、MA)、及びアスベスト非含有タルクを含むが、これらに限定されるものではない。好適な着色剤は、承認され、認定された水溶性FD&C色素、及びアルミナ水和物上に懸濁された水不溶性FD&C色素、及びレーキ顔料(color lake)、並びにそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。レーキ顔料は、水溶性色素の重金属の水和酸化物への吸着による組合せであり、これは色素の不溶性型を生じる。好適な香味剤は、果実のような植物から抽出された天然の香料、並びにペパーミント及びサリチル酸メチルのような好ましい風味を引き起こす化合物の合成の配合物を含むが、これらに限定されるものではない。好適な甘味剤は、ショ糖、乳糖、マンニトール、シロップ剤、グリセリン、並びにサッカリン及びアスパルタムのような人工甘味料を含むが、これらに限定されるものではない。好適な乳化剤は、ゼラチン、アカシアゴム、トラガカント、ベントナイト、並びに界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート80(TWEEN(登録商標)80)、及びオレイン酸トリエタノールアミンなどを含むが、これらに限定されるものではない。好適な懸濁化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガム、アカシアゴム、カルボメチルセルロースナトリウム(sodium carbomethylcellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンを含むが、これらに限定されるものではない。好適な保存剤は、グリセリン、メチルパラベン及びプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、及びアルコールを含むが、これらに限定されるものではない。好適な湿潤剤は、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコール、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルを含むが、これらに限定されるものではない。好適な溶媒は、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、及びシロップを含むが、これらに限定されるものではない。乳剤において使用される好適な非水性液体は、鉱油及び綿実油を含むが、これらに限定されるものではない。好適な有機酸は、クエン酸及び酒石酸を含むが、これらに限定されるものではない。好適な二酸化炭素給源は、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含むが、これらに限定されるものではない。
【0099】
多くの担体及び賦形剤が、例え同じ製剤内であっても、いくつかの機能で役立つことは理解されなければならない。
【0100】
経口投与のための本明細書において提供された医薬組成物は、圧縮錠剤、粉薬錠剤、チュアブル舐剤、即溶錠、多重圧縮錠剤、又は腸溶性コーティング錠、糖衣錠又はフィルムコーティング錠として提供することができる。腸溶性コーティング錠は、胃酸の作用に抵抗するが、小腸内で溶解若しくは崩壊するような物質によりコーティングされた圧縮錠剤であり、従って胃の酸性環境から活性成分を保護する。腸溶性コーティングは、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ワックス、シェラック、シェラックアンモニア水溶液、酢酸フタル酸セルロースを含むが、これらに限定されるものではない。糖衣錠は、糖コーティングにより囲まれた圧縮錠剤であり、これは不愉快な味又は臭いを覆い隠し、かつ錠剤を酸化から保護する点で恩恵がある。フィルムコーティング錠は、水溶性物質の薄層又はフィルムにより被覆された圧縮錠剤である。フィルムコーティングは、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、及び酢酸フタル酸セルロースを含むが、これらに限定されるものではない。フィルムコーティングは、糖衣と同じ一般的特徴をもたらす。多重圧縮錠剤は、層状錠剤、及び圧縮コーティング又は乾式コーティングされた錠剤を含む、2回以上の圧縮サイクルにより製造された圧縮錠剤である。
【0101】
これらの錠剤剤形は、粉末化された形、結晶の形、又は顆粒の形の活性成分から、単独で、又は結合剤、崩壊剤、制御放出ポリマー、滑沢剤、希釈剤及び/若しくは着色剤を含む本明細書に説明された担体若しくは賦形剤の1種以上と組合せて、製造することができる。矯味矯臭剤及び甘味剤は、チュアブル錠及び舐剤の製造において、特に有用である。
【0102】
経口投与のための本明細書において提供される医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、又はアルギン酸カルシウムから製造することができる、軟又は硬カプセル剤として提供されることができる。硬ゼラチンカプセル剤は、乾式充填カプセル剤(DFC)としても公知であるが、これは2つの区画からなり、一方は他方にかぶさっており(slip over)、従って活性成分を完全に封じ込めている。弾性軟カプセル剤(SEC)は、グリセリン、ソルビトール又は同様のポリオールの添加により可塑化されている、ゼラチンシェルのような、柔軟な球形のシェルである。軟ゼラチンシェルは、微生物の増殖を防止するために、保存剤を含有することができる。好適な保存剤は、本明細書において説明されたものであり、メチル-及びプロピル-パラベン、及びソルビン酸を含む。本明細書において提供された液体、半固形、及び固形の剤形は、カプセル内に封入することができる。好適な液体及び半固形剤形は、炭酸プロピレン、植物油又はトリグリセリド中の溶液及び懸濁液を含む。このような溶液を含有するカプセル剤は、米国特許第4,328,245号;第4,409,239号;及び、第4,410,545号に開示されたように製造することができる。これらのカプセル剤は、活性成分の溶解を修飾又は持続するために、当業者により公知のようにコーティングすることもできる。
【0103】
経口投与のための本明細書において提供される医薬組成物は、乳剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、及びシロップ剤を含む、液体及び半固形の剤形で提供することができる。乳剤は、ひとつの液体が、他方の液体全体に小型球形の形で分散されていて、これは水中油型又は油中水型であることができる、二相システムである。乳剤は、医薬として許容し得る非水性の液体又は溶媒、乳化剤、及び保存剤を含有することができる。懸濁剤は、医薬として許容し得る懸濁化剤及び保存剤を含有することができる。アルコール水溶液は、医薬として許容し得るアセタール、例えば低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール、例としてアセトアルデヒドジエチルアセタール;並びに、ヒドロキシル基を1個以上有する水混和性溶媒、例えばプロピレングリコール及びエタノールを含有することができる。エリキシル剤は、透明な、甘い、水性アルコール溶液である。シロップ剤は、例えばショ糖のような糖の濃い水溶液であり、保存剤も含有することができる。液体剤形に関して、例えばポリエチレングリコール中の溶液が、投与にとって都合良く測定されるよう、十分量の医薬として許容し得る液体担体、例えば水により希釈されている。
【0104】
他の有用な液体及び半固形の剤形は、本明細書において提供された活性成分(複数)、並びに1,2-ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテルを含む、ジアルキル化されたモノ又はポリ-アルキレングリコールを含有するものを含むが、これらに限定されるものではなく、ここで350、550及び750はポリエチレングリコールのおよその平均分子量をいう。これらの製剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、亜硫酸水素塩、メタ亜硫酸水素ナトリウム、チオジプロピオン酸及びそのエステル、並びにジチオカルバメートなどの抗酸化剤の1種以上を更に含有することができる。
【0105】
経口投与のための本明細書において提供された医薬組成物は、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、又はナノシステムの形で提供することもできる。ミセル剤形は、米国特許第6,350,458号に開示されたように調製することができる。
【0106】
経口投与のための本明細書において提供された医薬組成物は、液体剤形に再構成することができる、非発泡性又は発泡性の顆粒剤及び散剤として提供することができる。非発泡性顆粒剤又は散剤において使用される医薬として許容し得る担体及び賦形剤は、希釈剤、甘味料、及び湿潤剤を含むことができる。発泡性顆粒剤又は散剤において使用される医薬として許容し得る担体及び賦形剤は、有機酸及び二酸化炭素給源である。
【0107】
着色剤及び矯味矯臭剤は、本明細書において提供された全ての剤形において使用することができる。
【0108】
経口投与のための本明細書において提供された医薬組成物は、即時放出剤形、又は遅延型、持続型、パルス型、制御型、標的化型、及びプログラム型の放出を含む修飾された放出剤形として製剤することができる。
【0109】
(2. 非経口投与)
本明細書において提供された医薬組成物は、局所又は全身投与のために、注射、注入、又は植込みにより、非経口的に投与することができる。ここで使用される非経口投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑液嚢内、膀胱内、及び皮下投与を含む。
【0110】
非経口投与のための本明細書において提供された医薬組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノシステム、及び注射前に液体中での溶液又は懸濁液に適している固形の形状を含む、非経口投与に適している任意の剤形に製剤することができる。このような剤形は、薬化学の業者に公知の従来の方法に従い調製することができる(Remingtonの「薬学の科学と実践」、前掲を参照されたい)。
【0111】
非経口投与のために意図された医薬組成物は、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の増殖に対する抗微生物剤又は保存剤、安定剤、溶解度増強剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化剤及び分散剤、湿潤剤又は乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤、凍結防止剤、水解防止剤、増粘剤、pH調節剤、及び不活性ガスを含むが、これらに限定されるものではない、医薬として許容し得る担体及び賦形剤を1種以上含有することができる。
【0112】
好適な水性ビヒクルは、水、食塩水、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース及び乳酸加リンゲル注射液を含むが、これらに限定されるものではない。好適な非水性ビヒクルは、植物起源の不揮発性油、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ペパーミント油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、硬化植物油、硬化ダイズ油、及びココナツ油の中鎖トリグリセリド、ヤシの実油を含むが、これらに限定されるものではない。好適な水混和性のビヒクルは、エタノール、1,3-ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコール300及びポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、及びジメチルスルホキシドを含むが、これらに限定されるものではない。
【0113】
好適な抗微生物剤又は保存剤は、フェノール、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム(例えば塩化ベンゼトニウム)、メチル-及びプロピル-パラベン、並びにソルビン酸を含むが、これらに限定されるものではない。好適な等張化剤は、塩化ナトリウム、グリセリン、及びデキストロースを含むが、これらに限定されるものではない。好適な緩衝剤は、リン酸塩及びクエン酸塩を含むが、これらに限定されるものではない。好適な抗酸化剤は、亜硫酸水素塩及びメタ亜硫酸水素ナトリウムを含む、本明細書において説明されているものである。好適な局所麻酔薬は、塩酸プロカインを含むが、これらに限定されるものではない。好適な懸濁剤及び分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンを含む本明細書において説明されているものである。好適な乳化剤は、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート80、及びオレイン酸トリエタノールアミンを含む、本明細書に説明されているものである。好適な金属イオン封鎖剤又はキレート剤は、EDTAを含むが、これらに限定されるものではない。好適なpH調節剤は、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、及び乳酸を含むが、これらに限定されるものではない。好適な錯化剤は、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル7-β-シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標), CyDex, Lenexa, KS)を含むシクロデキストリン類を含むが、これらに限定されるものではない。
【0114】
本明細書において提供された医薬組成物が、反復用量投与のために製剤される場合、この反復用量非経口製剤は、静細菌性又は静真菌性濃度で、抗微生物剤を含有しなければならない。全ての非経口製剤は、当該技術分野において公知かつ実践されるように、無菌でなければならない。
【0115】
一実施態様において、非経口投与のための医薬組成物は、そのまま使用することができる無菌の溶液として提供される。別の実施態様において、本医薬組成物は、使用前にビヒクルにより再構成される、凍結乾燥された散剤及び皮下注射用錠剤(hypodermic tablet)を含む無菌の乾燥した可溶性製品として提供される。更に別の実施態様において、本医薬組成物は、そのまま使用することができる無菌の懸濁剤として提供される。更に別の実施態様において、本医薬組成物は、使用前にビヒクルにより再構成される、無菌の乾燥した不溶性製品として提供される。更に別の実施態様において、本医薬組成物は、そのまま使用することができる無菌の乳剤として提供される。
【0116】
非経口投与のための本明細書において提供された医薬組成物は、即時放出剤形、又は遅延型、持続型、パルス型、制御型、標的化型、及びプログラム型の放出を含む修飾された放出剤形として製剤することができる。
【0117】
非経口投与のために本明細書において提供された医薬組成物は、植込み型デポ剤として投与するために、懸濁液、固形、半固形、又はチキソトロピー型液体として製剤することができる。一実施態様において、本明細書において提供された医薬組成物は、体液中に不溶性であるが、それを通り本医薬組成物中の活性成分を拡散させることができる外側ポリマーメンブレンにより取り囲まれている、固形の内部マトリックス中に分散される。
【0118】
好適な内部マトリックスは、ポリメチルメタクリレート、ポリブチル-メタクリレート、可塑化された又はされないポリ塩化ビニル、可塑化されたナイロン、可塑化されたポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えばアクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋したポリビニルアルコール、及び架橋した部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0119】
好適な外側ポリマーメンブレンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルの酢酸ビニルとのコポリマー、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、及びエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーを含むが、これらに限定されるものではない。
【0120】
(3. 局所投与)
本明細書において提供された医薬組成物は、皮膚、開口部(orifice)、又は粘膜に局所投与することができる。本明細書において使用される局所投与は、皮(内)、結膜、角膜内、眼球内、眼内、耳内、経真皮、経鼻、経膣、尿道、呼吸器、及び直腸投与を含む。
【0121】
本明細書において提供された医薬組成物は、乳剤、液剤、懸濁剤、クリーム剤、ゲル剤、ヒドロゲル、軟膏剤、ダスティングパウダー、包帯剤、エリキシル剤、ローション、懸濁剤、チンキ剤、泥膏剤、泡剤、フィルム、エアゾール、潅注液、噴霧剤、坐剤、救急絆、及び皮膚貼付剤を含む、局部又は全身作用のための局所投与に適した任意の剤形に製剤することができる。本明細書において提供された医薬組成物の局所用製剤は、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、ナノシステム、及びそれらの混合物も含むことができる。
【0122】
本明細書において提供された局所用製剤に適した医薬として許容し得る担体及び賦形剤は、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の増殖に対する抗微生物剤又は保存剤、安定剤、溶解度増強剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化剤及び分散剤、湿潤剤又は乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤、浸透増強剤、凍結防止剤、水解防止剤、増粘剤、及び不活性ガスを含むが、これらに限定されるものではない。
【0123】
本医薬組成物は、電気穿孔法、イオントフォレシス、フォノフォレシス、ソノフォレシス、又は微細針若しくは無針注射、例えばPOWDERJECT(商標)(Chinos社、エメリービル、CA)、及びBIOJECT(商標)(Bioject Medical Technologies社、ツアラチン、OR)により、局所投与することもできる。
【0124】
本明細書において提供された医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、及びゲル剤の形で投与することができる。好適な軟膏用ビヒクルは、豚脂、安息香酸豚脂、オリーブ油、綿実油、及び他の油類、白色ワセリンを含む、油性又は炭化水素ビヒクル;親水ワセリン、ヒドロキシステアリン硫酸(hydroxystearin sulfate)、及び加水ラノリンなどの、乳化ビヒクル又は吸収ビヒクル;親水性軟膏のような、水除去可能なビヒクル;様々な分子量のポリエチレングリコールを含む、水溶性軟膏ビヒクル;セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリン、及びステアリン酸を含む、油中水(W/O)型乳剤又は水中油(O/W)型乳剤のいずれかの、乳剤ビヒクルを含む(Remingtonの「薬学の科学と実践」、前掲を参照されたい)。これらのビヒクルは、緩和剤であるが、一般に抗酸化剤及び保存剤の添加が必要である。
【0125】
好適なクリーム基剤は、水中油型又は油中水型である。好適なクリーム用ビヒクルは、水で洗浄可能であってよく、かつ油相、乳化剤、及び水相を含む。この油相は、「内側」相とも称され、これは一般にワセリン及びセチルアルコール又はステアリルアルコールなどの脂肪族アルコールから構成される。水相は通常、容積が油相を上回るが、必ずしもではなく、一般に保湿剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、又は両性の界面活性剤であってよい。
【0126】
ゲル剤は、半固形の懸濁液型システムである。単相ゲル剤は、液体担体全体に実質的に均一に分布された有機高分子を含む。好適なゲル化剤は、架橋したアクリル酸ポリマー、例えばカルボマー、カルボキシポリアルキレン、及びCARBOPOL(登録商標)など;親水性ポリマー、例えばポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、及びポリビニルアルコールなど;セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びメチルセルロースなど;ガム、例えばトラガカントガム及びキサンタンガムなど;アルギン酸ナトリウム;及びゼラチンを含むが、これらに限定されるものではない。均一なゲル剤を調製するために、アルコール又はグリセリンなどの分散剤を添加することができるか、あるいはゲル化剤は、粉砕、機械混合、及び/又は攪拌により分散することができる。
【0127】
本明細書において提供された医薬組成物は、坐剤、ペッサリー、ブジー、湿布剤又はパップ剤、泥膏剤、散剤、包帯剤、クリーム剤、硬膏剤、避妊具、軟膏剤、液剤、乳剤、懸濁剤、タンポン、ゲル剤、泡剤、噴霧剤、又は浣腸の形状で、経直腸、経尿道、経膣又は膣周囲に投与することができる。これらの剤形は、前掲のRemingtonの「薬学の科学と実践」に説明されたような、通常の方法を用いて、製造することができる。
【0128】
直腸、尿道、及び膣用坐剤は、体の開口部へ挿入するための固体であり、これは常温では固形物であるが、体温で軟化し、開口部内側で活性成分(複数)を放出する。直腸及び膣用坐剤において利用される医薬として許容し得る担体は、基剤又はビヒクル、例えば本明細書において提供された医薬組成物と製剤した場合に、体温近傍に融解点を生じる硬化剤;並びに、亜硫酸水素塩及びメタ亜硫酸水素ナトリウムを含む本明細書に説明されたような抗酸化剤を含む。好適なビヒクルは、カカオバター(テオブロマ油)、グリセリン-ゼラチン、カルボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨ろう、パラフィン、白色及び黄色ワックス、並びに脂肪酸のモノ-、ジ-及びトリグリセリドとポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びポリアクリル酸などのヒドロゲルの好適な混合物を含むが、これらに限定されるものではない。様々なビヒクルの組合せを使用することもできる。直腸及び膣用坐剤は、圧縮又は成形により調製することができる。直腸及び膣用坐剤の典型的重量は、約2〜約3gである。
【0129】
本明細書において提供された医薬組成物は、液剤、懸濁剤、軟膏剤、乳剤、ゲル形成溶液、溶液のための散剤、ゲル剤、眼内挿入物(ocular insert)、及びインプラントの形で、眼内に投与することができる。
【0130】
本明細書において提供された医薬組成物は、鼻腔内、又は気道への吸入により、投与することができる。本医薬組成物は、加圧容器、ポンプ、スプレー、細かい霧を作るために電気流体力学を使用するアトマイザーのようなアトマイザー、又はネブライザーを用い、単独で又は好適な噴射剤、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタン若しくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンなどと組合せて、エアゾール又は送達用溶液の形で提供することができる。本医薬組成物は、吹送のための乾燥散剤として、単独で又は例えば乳糖若しくはリン脂質などの不活性担体と組合せて;並びに、点鼻薬として提供することもできる。鼻腔内使用のための散剤は、キトサン又はシクロデキストリンを含む生体接着剤を含有することができる。
【0131】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、又はネブライザーで使用するための溶液又は懸濁液は、本明細書において提供された活性成分の分散、可溶化若しくは延長された放出のために、エタノール、水性エタノール、又は好適な代用物質;溶媒としての噴射剤;及び/又は、界面活性剤、例えばトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、若しくはオリゴ乳酸などを含むように製剤することができる。
【0132】
本明細書において提供された医薬組成物は、約50μm以下、又は約10μm以下のような、吸入による送達に適したサイズに微小化することができる。そのようなサイズの粒子は、例えば、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング、高圧ホモジナイゼーション、又は噴霧乾燥などの、当業者に公知の粉砕法を用いて調製することができる。
【0133】
吸入器又は吹送器で使用するためのカプセル、ブリスター、及びカートリッジは、本明細書において提供された医薬組成物の散剤混合物;乳糖又はデンプンなどの好適な散剤基剤;及び、l-ロイシン、マンニトール、又はステアリン酸マグネシウムなどの性能改良剤(performance modifier)を含有するように、製剤することができる。この乳糖は、無水であるか、又は一水和物の形であってよい。他の好適な賦形剤又は担体は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、ショ糖、及びトレハロースを含むが、これらに限定されるものではない。吸入/鼻腔内投与のための本明細書において提供された医薬組成物は、好適な香料、例えばメントール及びレボメントール;並びに/又は、甘味料、例えばサッカリン及びサッカリンナトリウムを更に含有することができる。
【0134】
局所投与のための本明細書において提供された医薬組成物は、即時放出されるか、又は遅延型、持続型、パルス型、制御型、標的化型、及びプログラム型の放出を含む修飾されて放出されるように製剤することができる。
【0135】
(4. 修飾された放出)
本明細書において提供された医薬組成物は、修飾された放出剤形として製剤することができる。本明細書において使用される用語「修飾された放出」とは、活性成分(複数)の放出の速度又は場所が、同じ経路で投与された場合に、即時型剤形のものとは異なるような剤形をいう。修飾された放出剤形は、遅延型、拡張型、延長型、持続型、パルス型、制御型、促進型及び迅速型、標的化型、プログラム型の放出、並びに胃内滞留剤形を含むが、これらに限定されるものではない。修飾された放出剤形の中の医薬組成物は、当業者に公知の様々な修飾された放出装置及び方法を用いて調製することができ、これはマトリックス制御型放出装置、浸透圧制御型放出装置、多粒子制御型放出装置、イオン交換樹脂、腸溶性コーティング、多層コーティング、ミクロスフェア、リポソーム、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。活性成分(複数)の放出速度は、活性成分(複数)の粒子サイズ及び多形を変動することによっても修飾することができる。
【0136】
修飾された放出の例は、以下の米国特許に開示されたものを含むが、これらに限定されるものではない:3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;4,008,719;5,674,533;5,059,595;5,591,767;5,120,548;5,073,543;5,639,476;5,354,556;5,639,480;5,733,566;5,739.108;5,891,474;5,922,356;5,972,891;5,980,945;5,993,855;6,045,830;6,087,324;6,113,943;6,197,350;6,248,363;6,264,970;6,267,981;6,376,461;6,419,961;6,589,548;6,613,358;及び、6,699,500。
【0137】
((a)マトリックス制御型放出装置)
修飾された放出剤形中の本明細書において提供された医薬組成物は、当業者に公知のようにマトリックス制御型放出装置を使用し製造することができる(Takedaらの文献、「制御された薬物送達の事典(Encyclopedia of Controlled Drug Delivery)」、第2巻、Mathiowits編集、Wiley, 1999を参照されたい)。
【0138】
ある実施態様において、修飾された放出剤形中の本明細書において提供された医薬組成物は、多糖及びタンパク質のような、合成ポリマー、及び天然ポリマー及び誘導体を含むが、これらに限定されるものではない、水性膨潤性、侵食性又は可溶性のポリマーである、侵食性マトリックス装置を用い製剤される。
【0139】
侵食性マトリックスの形成に有用な材料は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:キチン、キトサン、デキストラン、及びプルラン;アガーガム、アラビアゴム、カラヤゴム、ローカストビーンガム、トラガカントゴム、カラゲナン、ガティガム、グアーガム、キサンタンガム、及びスクレログルカン;デンプン、例えばデキストリン及びマルトデキストリンなど;親水コロイド、例えばペクチンなど;ホスファチド、例えばレシチンなど;アルギン酸塩;アルギン酸プロピレングリコールエステル;ゼラチン;コラーゲン;セルロース誘導体、例えばエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、酢酸トリメリト酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAT)、及びエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)など;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセテート;グリセロール脂肪酸エステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリル酸又はメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)、Rohm America社、ピスカタウェイ、NJ);ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート);ポリラクチド; L-グルタミン酸及びL-グルタミン酸エチルのコポリマー;分解可能な乳酸−グリコール酸コポリマー;ポリ-(D)-(-)-3-ヒドロキシ酪酸;及び、他のアクリル酸誘導体、例えばメタクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、及びメタクリル酸(トリメチルアミノエチル)クロリドのホモポリマー及びコポリマー。
【0140】
ある実施態様において、本明細書において提供された医薬組成物は、非侵食性マトリックス装置により製剤される。活性成分(複数)は、不活性マトリックス中に溶解又は分散され、かつ一旦投与されると、その不活性マトリックスを通じた拡散により主に放出される。非侵食性マトリックス装置としての使用に適した物質は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:不溶性プラスチック類、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、塩化ビニルの酢酸ビニルとのコポリマー、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレン、ポリエチレンテレフタラートイオノマー、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、エチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、ポリ塩化ビニル、可塑化されたナイロン、可塑化されたポリエチレンテレフタラート、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、及びシリコンカーボネートコポリマーなど;親水性ポリマー類、例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン、及び架橋した部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル;並びに、脂肪化合物類、例えばカルナバワックス、微晶質ワックス、及びトリグリセリド。
【0141】
マトリックス制御型放出システムにおいて、所望の放出速度論は、例えば、使用されるポリマーの種類、ポリマー粘度、ポリマー及び/又は活性成分(複数)の粒子サイズ、活性成分(複数)対ポリマーの比、並びに該組成物中の他の賦形剤又は担体により、制御することができる。
【0142】
修飾された放出剤形内の本明細書において提供された医薬組成物は、直接圧縮、乾式又は湿式造粒とそれに続く圧縮、及び溶融造粒とそれに続く圧縮を含む、当業者に公知の方法により調製することができる。
【0143】
((b)浸透圧制御型放出装置)
修飾された放出剤形内の本明細書において提供された医薬組成物は、1-チャンバーシステム、2-チャンバーシステム、非対称メンブレン技術(AMT)、及び押出コアシステム(ECS)を含むが、これらに限定されるものではない、浸透圧制御型放出装置を使用し、製造することができる。一般にそのような装置は、少なくとも2つの成分を有する:(a)活性成分を含む、コア;及び、(b)コアを封入している、少なくとも1個の送達ポートを持つ半透膜。半透膜は、送達ポート(複数)を通り押出すことにより、薬物の放出を引き起こすために、使用の水性環境からコアへの水の流入を制御する。
【0144】
本浸透圧装置のコアは、活性成分(複数)に加え、使用環境から装置のコアへの水の輸送のための駆動力を引き起こす浸透物質を、任意に含有する。浸透物質のひとつの種類は、水性膨潤性親水性ポリマーであり、これは「オスモポリマー」及び「ヒドロゲル」とも称される。浸透物質として好適な水性膨潤性親水性ポリマーは、以下を含むが、これらに限定されるものではない:親水性ビニル及びアクリル系ポリマー、多糖類、例えばアルギン酸カルシウム、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋したPVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、例えばメタクリル酸メチル及び酢酸ビニルなどの疎水性モノマーとのPVA/PVPコポリマー、大型PEOブロックを含有する親水性ポリウレタン、クロスカルメロースナトリウム、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム、及びデンプングリコール酸ナトリウム。
【0145】
浸透物質の他の種類は、オスモゲンであり、これは水の吸収(imbibe)が、周囲のコーティングの障壁を越えて浸透圧勾配に影響を及ぼすことを可能にする。好適なオスモゲンは、以下を含むが、これらに限定されるものではない:無機塩、例えば硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウム;糖類、例えばデキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、乳糖、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、ショ糖、トレハロース、及びキシリトール;有機酸、例えばアスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p-トルエンスルホン酸、コハク酸、及び酒石酸;尿素;並びに、それらの混合物。
【0146】
様々な溶解速度の浸透物質は、いかに迅速に活性成分(複数)が、剤形から最初に送達されるかに影響するように使用することができる。例えば、MANNOGEM(商標)EZ(SPI Pharma社, Lewes, DE)のような非晶質糖類を使用し、所望の治療作用を即座に生じるように、最初の2、3時間でより迅速な送達を提供し、かつ長期間にわたり所望のレベルの治療作用及び予防作用を維持するように、残りの量を徐々に連続して放出することができる。この場合、活性成分(複数)は、代謝されかつ排泄される活性成分の量を代替する速度で、放出される。
【0147】
このコアは、その剤形の性能を増強するか、又は安定性若しくはプロセシングを促進するために、本明細書に説明されたように、多種多様な他の賦形剤及び担体を含有することもできる。
【0148】
半透膜の形成に有用な物質は、生理的に関連のあるpHで水透過性及び水不溶性であるか、又は架橋のような化学的変更により水不溶性となり易い、様々な等級のアクリル系、ビニル系、エーテル系、ポリアミド系、ポリエステル系及びセルロース系誘導体を含む。コーティングの形成において有用な好適なポリマーの例は、以下を含む:可塑化された、可塑化されない、及び強化された酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、CAプロピオネート、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAエチルカルバメート、CAP、CAメチルカルバメート、CAスクシネート、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、CAジメチルアミノアセテート、CAエチルカーボネート、CAクロロアセテート、CAエチルオキサレート、CAメチルスルホネート、CAブチルスルホネート、CAp-トルエンスルホネート、アガーアセテート、アミローストリアセテート、βグルカンアセテート、βグルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、ローカストビーンガムのトリアセテート、ヒドロキシル化されたエチレン−酢酸ビニル、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸及びエステル並びにポリ(メタクリル)酸及びエステル並びにそれらのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリハロゲン化ビニル、ポリビニルエステル及びエーテル、天然ワックス、及び合成ワックス。
【0149】
半透膜は、米国特許第5,798,119号に開示されたような、孔が実質的にガスにより満たされ、かつ水性媒体により湿っていないが水蒸気を透過可能である、疎水性微小孔性膜であることもできる。このような疎水性であるが水蒸気透過性の膜は典型的には、疎水性ポリマー、例えばポリアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリハロゲン化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステル及びエーテル、天然ワックス、及び合成ワックス。
【0150】
半透膜の送達ポート(複数)は、機械的又はレーザードリル孔開けにより、コーティング後に形成することができる。送達ポート(複数)は、水溶性物質のプラグの侵食によるか、又はコア中の窪み上の膜の比較的薄い部分の破断により、現場で形成することもできる。加えて送達ポートは、米国特許第5,612,059号及び第5,698,220号に開示された型の非対称膜コーティングの場合のように、コーティングプロセス時に形成することができる。
【0151】
放出された活性成分(複数)の総量及び放出速度は、半透膜の厚さ及び多孔度、コアの組成、並びに送達ポートの数、サイズ及び位置により、実質的に変更することができる。
【0152】
浸透圧制御された放出剤形中の医薬組成物は、その製剤の性能又はプロセシングを促進するために、本明細書に説明されたような追加の通常の賦形剤又は担体を更に含有することができる。
【0153】
本浸透圧制御された放出剤形は、当業者に公知の通常の方法及び技術により、調製することができる(Remingtonの文献、「薬学の科学と実践」、前掲;Santus及びBakerの論文、J. Controlled Release, 1195, 35, 1-21;Vermaらの文献、「創薬及び製薬工業(Drug Development and Industrial Pharmacy)」、2010, 26, 695-709;Vermaらの論文、J. Controlled Release, 2002, 79, 7-27を参照されたい)。
【0154】
ある実施態様において、本明細書において提供された医薬組成物は、活性成分(複数)及び他の医薬として許容し得る賦形剤又は担体を含有するコアをコーティングしている非対称浸透膜を含む、AMT制御された放出剤形として製剤される。米国特許第5,612,059号及び国際公開公報第WO 2002/17918号を参照されたい。このAMT制御された放出剤形は、直接圧縮、乾式造粒、湿式造粒、及び浸漬コーティング法を含む、当業者に公知の通常の方法及び技術に従い調製することができる。
【0155】
ある実施態様において、本明細書において提供された医薬組成物は、活性成分(複数)、ヒドロキシルエチルセルロース、及び他の医薬として許容し得る賦形剤又は担体を含有するコアをコーティングしている浸透膜を含む、ESC制御された放出剤形として製剤される。
【0156】
((c)多粒子制御型放出装置)
修飾された放出剤形中の本明細書において提供された医薬組成物は、直径が約10μm〜約3mm、約50μm〜約2.5mm、又は約100μm〜約1mmの範囲の、非常に多数の粒子、顆粒、又はペレットを含む、多粒子制御放出装置として製造することができる。このような多粒子は、湿式及び乾式造粒、押出/球形化、ローラー圧縮、溶融-凝固、及び種コアの噴霧-コーティングによるものを含む、当業者に公知のプロセスにより作製することができる。例えば、「多粒子経口薬物送達(Multiparticulate Oral Drug Delivery)」、Marcel Dekker:1994年;及び、「医薬ペレット化技術(Pharmaceutical Pelletization Technology)」、Marcel Dekker: 1989年を参照されたい。
【0157】
本明細書に説明された他の賦形剤又は担体は、多粒子のプロセシング及び形成を補助するために、医薬組成物と配合することができる。得られる粒子はそれ自身、多粒子装置を構成するか、又は腸溶性ポリマー、水膨潤性及び水可溶性ポリマーなどの様々なフィルム-形成物質によりコーティングすることができる。多粒子は、カプセル剤又は錠剤として更に加工処理することができる。
【0158】
((d) 標的化された送達)
本明細書において提供された医薬組成物は、治療される被験体の体の特定の組織、受容体、又は他の領域に標的化されるように製剤することもでき、これはリポソーム-、再シール形成(resealed)赤血球-、及び抗体-ベースの送達システムを含む。例は、米国特許第6,316,652号;第6,274,552号;第6,271,359号;第6,253,872号;第6,139,865号;第6,131,570号;第6,120,751号;第6,071,495号;第6,060,082号;第6,048,736号;第6,039,975号;第6,004,534号;第5,985,307号;第5,972,366号;第5,900,252号;第5,840,674号;第5,759,542号;及び、第5,709,874号に開示されたものを含むが、これらに限定されるものではない。
【0159】
(E. 使用法)
デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療又は予防の方法が、本明細書において提供され、本方法は、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグの有効量を、それが必要な患者へ投与することを含む。
【0160】
一実施態様において、式(I)の化合物の投与量は、年齢、体重、全身の健康状態、食事、投与時間、投与法、クリアランス率、併用薬、患者が治療される疾患のレベル、及び他の要因を考慮し、決定される。投与量は、標的疾患、状態、投与の被験体、投与法などに応じて変動する。
【0161】
一実施態様において、式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに罹患した患者におけるそのような疾患の治療のための治療薬として、経口投与される。一実施態様において、本化合物約0.01mg〜約10gが投与される。別の実施態様において、本化合物約0.1mg〜約100mgが投与される。一実施態様において、本化合物は、1日1回投与量で投与される。別の実施態様において、本化合物は、1日2又は3回量で投与される。
【0162】
一実施態様において、デュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーの治療又は予防の方法が、本明細書において提供され、この方法は、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグの有効量を、それが必要な患者へ投与することを含む。
【0163】
一実施態様において、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質に関連した障害又は症状を治療、予防、及び/又は管理する方法が本明細書において提供され、この方法は、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグの有効量を、それが必要な患者へ投与することを含む。
【0164】
別の実施態様において、デュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーに関連した障害又は症状を治療、予防、及び/又は管理する方法が本明細書において提供され、この方法は、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグの有効量を、それが必要な患者へ投与することを含む。
【0165】
一実施態様において、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療、予防、及び/又は管理する方法が本明細書において提供される。別の実施態様において、ベッカー型筋ジストロフィーを治療、予防、及び/又は管理する方法が本明細書において提供される。別の実施態様において、悪液質を治療、予防、及び/又は管理する方法が本明細書において提供される。
【0166】
一実施態様において、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療のための医薬品の製造における、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグの使用が、本明細書において提供される。別の実施態様において、デュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーの治療のための医薬品の製造における、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグの使用が、本明細書において提供される。別の実施態様において、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療のための医薬品の製造における、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグの使用が、本明細書において提供される。別の実施態様において、ベッカー型筋ジストロフィーの治療のための医薬品の製造における、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグの使用が、本明細書において提供される。別の実施態様において、悪液質の治療のための医薬品の製造における、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグの使用が、本明細書において提供される。
【0167】
一実施態様において、本方法は、式(I)の化合物の組成物の治療的又は予防的有効量を被験体(例えばヒト)へ投与することを含む。一実施態様において、被験体はヒトである。別の実施態様において、被験体は哺乳類である。更に別の実施態様において、被験体は、非ヒト霊長類、畜牛のような家畜、スポーツ用動物、又はウマ、イヌ若しくはネコなどのペットである。
【0168】
一部の実施態様において、化合物の活性は、本明細書別所記載の機能アッセイにより評価することができる。ある実施態様において、本明細書において提供された化合物の有効濃度は、0.1nM未満、1nM未満、10nM未満、100nM未満、1μM未満、10μM未満、100μM未満、又は1mM未満である。別の実施態様において、化合物の活性は、本明細書別所記載のように様々な技術で認められた動物モデルにおいて評価することができる。
【0169】
一部の実施態様において、本明細書において提供された化合物は、化合物の活性の測定、及びデュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療におけるそれらの有効性の推定に使用することができる、少なくとも1種のモデルにおいて活性がある。例えば、このモデルがデュシェンヌ型筋ジストロフィーに関するものである場合、本化合物は、例えばmdxマウスモデルにおいて、ビヒクルと比べ、活性がある。一部の実施態様において、本明細書において提供された化合物は、用量依存型で活性がある。一部の実施態様において、本明細書において提供された化合物は、治療動物と、ビヒクルで処置された動物の間で、測定されたエンドポイントにおいて類似した相違を生じる。
【0170】
治療される障害、疾患又は状態、及び被験体の状態に応じて、本明細書において提供された化合物又は医薬組成物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内の注射又は注入、皮下注射、又はインプラント)、吸入、経鼻、経膣、経直腸、舌下、又は局所(例えば、経真皮又は局部)投与経路により、投与することができ、かつ好適な剤形中、単独で、又は各投与経路に適した医薬として許容し得る賦形剤、担体、補助剤、及びビヒクルと一緒に、製剤することができる。同じく、活性成分が予め決定された期間にわたり放出されるデポ剤における本明細書において提供された化合物又は医薬組成物の投与も提供される。
【0171】
本明細書に説明された障害、疾患又は状態の1種以上の症状の治療、予防、又は改善において、好適な用量レベルは一般に、約0.001〜約1000mg/kg被験体体重/日(mg/kg/日)、約0.001〜約300mg/kg/日、約0,001〜約100mg/kg/日、約0.01〜約75mg/kg/日、約0.1〜約50mg/kg/日、約0.5〜約25mg/kg/日、又は約1〜約20mg/kg/日の範囲であり、これは単回投与量又は反復投与量で投与することができる。この範囲内で、用量は、約0.005〜約0.05、約0.05〜約0.5、約0.5〜約5.0、約1〜約15、約1〜約20、又は約1〜約50mg/kg/日の範囲であることができる。
【0172】
一実施態様において、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の1種以上の症状の治療、予防又は改善において、好適な用量レベルは、0.001mg/kg/日未満、0.01mg/kg/日未満、0.1mg/kg/日未満、0.5mg/kg/日未満、1mg/kg/日未満、5mg/kg/日未満、10mg/kg/日未満、15mg/kg/日未満、20mg/kg/日未満、25mg/kg/日未満、50mg/kg/日未満、75mg/kg/日未満、100mg/kg/日未満、200mg/kg/日未満、500g/kg/日未満、又は1g/kg/日未満である。
【0173】
経口投与に関して、本明細書において提供された医薬組成物は、治療される患者への用量の症状による調節のために、本活性成分を約1.0〜約1,000mg、一実施態様において、本活性成分を約1、約5、約10、約15、約20、約25、約50、約75、約100、約150、約200、約250、約300、約400、約500、約600、約750、約800、約900、及び約1,000mg含有する錠剤の形で製剤することができる。本医薬組成物は、1回、2回、3回、及び4回/日を含む、1〜4回/日の投薬計画で投与することができる。
【0174】
しかし、いずれか特定の患者に関する具体的投与量レベル及び投薬頻度は、変動することができ、かつ利用される具体的化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用時間の長さ、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与様式及び時間、排泄経路、併用薬、特定の状態の重症度、及び宿主が受けている治療を含む、様々な要因によって左右されることは理解されるであろう。
【0175】
別の実施態様において、本明細書において提供された化合物、例えば式(I)の化合物、それらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体又はプロドラッグは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療、予防又は改善において有用である他の作用物質又は療法と組合せるか若しくは併用することができる。好適な他の治療的物質は、例えばプレドニソン及びデフラザコートなどのコルチコステロイドを含むが、これらに限定されるものではない。ある実施態様において、本明細書において提供された化合物と組合せて使用することができる他の療法は、物理療法、遺伝子治療、又は装具(brace)や車いすなどの矯正器具を含むが、これらに限定されるものではない。
【0176】
そのような他の作用物質又は薬物は、それらについて通常使用される経路及び量で、本明細書において提供された化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグと同時又は逐次投与することができる。本明細書において提供された化合物が1種以上の他の薬物と同時に使用される場合、本明細書において提供された化合物に加えそのような他の薬物を含有する医薬組成物を、利用することができるが、必ずしもではない。従って、本明細書において提供された医薬組成物は、本明細書において提供された化合物に加え、1種以上の他の活性成分又は治療的物質も含有するものを含む。
【0177】
本明細書において提供された化合物の第二の活性成分に対する重量比は、変動することができ、かつ各成分の有効量に応じて左右されるであろう。一般に、各々の有効量が使用される。従って例えば、本明細書において提供された化合物がコルチコステロイドと組合せられる場合、本化合物のコルチコステロイドに対する重量比は、約1,000:1〜約1:1,000、約200:1〜約1:200、約100:1〜約1:100、又は約10:1〜約1:10を変動することができる。本明細書において提供された化合物と他の活性成分の組合せも一般に、前述の範囲内であるが、各場合において、各活性成分の有効量が使用されるべきである。
【0178】
本明細書において提供された化合物は、当業者に周知の包装材を使用する製造品としても提供することができる。例えば米国特許第5,323,907号;第5,052,558号;及び、第5,033,252号を参照されたい。医薬用包装材の例は、ブリスターパック、瓶、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、並びに選択された製剤及び意図された投与及び治療の様式に適した任意の包装材を含むが、これらに限定されるものではない。
【0179】
医療従事者により使用される場合に、適量の活性成分を被験体へ簡単に投与することができるキットも、本明細書において提供される。ある実施態様において、本明細書において提供されたキットは、容器及び本明細書において提供された化合物の剤形を含む。
【0180】
ある実施態様において、本キットは、本明細書に説明された1種以上他の治療的物質(複数)を含む容器内に、本明細書において提供された化合物又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体若しくはプロドラッグの剤形の入った容器を備える。
【0181】
本明細書において提供されたキットは、活性成分の投与に使用される装置を更に備えることができる。そのような装置の例は、注射器、無針注射器、点滴バッグ、パッチ、及び吸入器を含むが、これらに限定されるものではない。
【0182】
本明細書において提供されたキットは、1種以上の活性成分を投与するために使用することができる医薬として許容し得るビヒクルを更に含むことができる。例えば、活性成分が、非経口投与のために再構成されなければならない固形形状で提供される場合、このキットは、その中にこの活性成分が溶解し、非経口投与に適している粒子を含まない無菌の溶液を形成することができる、好適なビヒクルの密閉容器を備えることができる。医薬として許容し得るビヒクルの例は、非限定的に、米局方注射用水、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、並びに乳酸加リンゲル注射液を含む、水性ビヒクル;非限定的に、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールを含む、水混和性ビヒクル;並びに、非限定的に、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルを含む、非水性ビヒクルを含むが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0183】
(実施例)
ある実施態様が、以下の非限定的実施例により例証される。
【0184】
HPLC-UV-MSは、Glison 321 HPLC上で行い、検出は、Gilson 170 DAD及びエレクトロスプレーイオン化モードで操作するFinnigan AQA質量分析計により行った。使用したHPLCカラムは、Phenomenex Gemini C18 150×4.6mmであった。
【0185】
分取的HPLCを、Gilson 321上で行い、検出をGilson 170 DADで行った。画分は、Gilson 215フラクションコレクター又はDionex Ultimate 3000システムを用いて収集した。使用した分取的HPLCカラムは、Phenomenex Gemini C18 150×10mmであり、かつ移動相はアセトニトリル/水であった。
【0186】
1H NMRスペクトルを、300MHzで操作するBruker装置上で記録した。NMRスペクトルは、CDCl3溶液として得(ppmで記録)、参照標準としてクロロホルム(7.23ppm)又はDMSO-D6(2.50ppm)を使用した。多重線ピークが報告された場合、以下の略号を使用した:s(1重線)、d(2重線)、t(3重線)、m(多重線)、br(広幅化)、dd(二重の2重線)、dt(二重の3重線)、td(三重の2重線)。カップリング定数が示される場合は、ヘルツ(Hz)で報告される。
【0187】
カラムクロマトグラフィーは、フラッシュクロマトグラフィー(40〜65μmシリカゲル)によるか、又は自動精製システム(Biotage(登録商標)のSP1(商標)精製システム、又はISCO Companion)を使用するかのいずれかで行った。マイクロウェーブ内の反応は、Initiator 8(商標)(Biotage)又はExplorer 48(CEM)において行った。
【0188】
使用した略号は、DMSO(ジメチルスルホキシド)、HATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸)、HCl(塩酸)、MgSO4(硫酸マグネシウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、NaHCO3(炭酸水素ナトリウム)、STAB(水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム)、THF(テトラヒドロフラン)である。
【0189】
(実施例1)
(5-ベンジル-2-フェニル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物1)の調製)
(A. 2-フェニル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン)
3,4-ジアミノピリジン(4.0g, 3.7mmol)、安息香酸(4.477g, 3.7mmol)及びポリリン酸(100g)の混合物を、攪拌しながら、190℃で3時間加熱した。この反応混合物を、25℃に冷却し、氷/水に注ぎ、かつこの混合液を、固形Na2CO3の添加により中和した。粗生成物を、濾過により収集し、水で洗浄し、最終生成物を得た(3.467g, 17.76mmol, 収率48%)。
【化21】

【0190】
(B. 5-ベンジル-2-フェニル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物1))
2-フェニル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(240mg, 1.23mmol)を、DMF(5mL)に溶解し、かつ水(75μL)に溶解した水酸化ナトリウム(75mg, 1.85mmol)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。臭化ベンジル(176μL, 1.48mmol)を添加し、反応混合物を外界温度で16時間攪拌した。反応混合物を、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出液を真空で減量し、粗生成物を得、これを酢酸エチル及び40-60石油エーテルから再結晶し、標題化合物を得た(109mg, 0.38mmol, 収率31%)。
【化22】

【0191】
(実施例2)
(2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物13)の調製)
(A. 2-(2,3-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン)
3,4-ジアミノピリジン(2.0g, 18,35mmol)、2,3-ジクロロ安息香酸(3.505g, 18.35mmol)及びポリリン酸(48g)の混合物を、攪拌しながら、190℃で3時間加熱した。この反応混合物を、25℃に冷却し、氷/水に注ぎ、かつこの混合液を、固形Na2CO3の添加により中和した。粗生成物を、濾過により収集し、水で洗浄し、標題化合物を得た(3.317g, 12.56mmol, 収率70%)。
【化23】

【0192】
(B. 2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物13))
2-(2,3-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(320mg, 1.21mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、かつ水(0.4mL)に溶解した水酸化ナトリウム(291mg, 7.27mmol)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。2-ヨードプロパン(723μL, 7.27mmol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間攪拌した。水(70mL)及び酢酸エチル(70mL)を添加し、この有機抽出液を水(2×60mL)及びブライン(60mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。酢酸エチル及び石油エーテルから再結晶し、標題化合物を得た(83mg, 0.21mmol, 収率22%)。
【化24】

【0193】
(実施例3)
(2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物15)の調製)
2-(2,3-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(320mg, 1.21mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、かつ水(0.4mL)に溶解した水酸化ナトリウム(291mg, 7.27mmol)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。1-ブロモプロパン(660μL, 7.27mmol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間攪拌した。水(70mL)及び酢酸エチル(70mL)を添加し、この有機抽出液を水(2×60mL)及びブライン(60mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、油状物を得た。酢酸エチル及び石油エーテルから再結晶し、所望の生成物を得た(78mg, 0.25mmol, 収率21%)。
【化25】

【0194】
(実施例4)
(5-シクロペンチル-2-(2,3-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物14)の調製)
2-(2,3-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(320mg, 1.21mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、かつ水(0.4mL)に溶解した水酸化ナトリウム(291mg, 7.27mmol)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。ヨウ化シクロペンチル(841μL, 7.27mmol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間攪拌した。水(70mL)及び酢酸エチル(70mL)を添加し、この有機抽出液を水(2×60mL)及びブライン(60mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。酢酸エチル及び石油エーテルから再結晶し、所望の生成物を得た(182mg, 0.55mmol, 収率45%)。
【化26】

【0195】
(実施例5)
(2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物10)の調製)
(A. 2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン)
3,4-ジアミノピリジン(2.5g, 22.94mmol)、3,4-ジクロロ安息香酸(4.374g, 22.90mmol)及びポリリン酸(60g)の混合物を、攪拌しながら、190℃で3時間加熱した。この反応混合物を、25℃に冷却し、氷/水に注ぎ、かつこの混合液を、固形Na2CO3の添加により中和した。粗生成物を、濾過により収集し、水で洗浄し、所望の生成物を得た(3.994g, 15.12mmol, 収率66%)。
【化27】

【0196】
(B. 2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物10))
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(320mg, 1.21mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、かつ水(0.4mL)に溶解した水酸化ナトリウム(291mg, 7.27mmol)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。ヨウ化メチル(454μL, 7.27mmol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間攪拌した。水(70mL)及び酢酸エチル(70mL)を添加し、この有機抽出液を水(2×60mL)及びブライン(60mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。酢酸エチル及び石油エーテルから再結晶し、標題化合物を得た(155mg, 0.56mmol, 収率46%)。
【化28】

【0197】
(実施例6)
(2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物9)の調製)
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(320mg, 1.21mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、かつ水(0.4mL)に溶解した水酸化ナトリウム(291mg, 7.27mmol)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。1-ブロモプロパン(661μL, 7.27mmol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間攪拌した。水(70mL)及び酢酸エチル(70mL)を添加し、この有機抽出液を水(2×60mL)及びブライン(60mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。酢酸エチル及び石油エーテルから再結晶し、所望の化合物を得た(142mg, 0.46mmol, 収率38%)。
【化29】

【0198】
(実施例7)
(2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物8)の調製)
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(320mg, 1.21mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、かつ水(0.4mL)に溶解した水酸化ナトリウム(291mg, 7.27mmol)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。2-ヨードプロパン(732μL, 7.27mmol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間攪拌した。水(70mL)及び酢酸エチル(70mL)を添加し、この有機抽出液を水(2×60mL)及びブライン(60mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。酢酸エチル及び石油エーテルから再結晶し、所望の生成物を得た(236mg, 0.77mmol, 収率64%)。
【化30】

【0199】
(実施例8)
(5-シクロペンチル-2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物12)の調製)
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(260mg, 0.98mmol)を、DMF(7mL)に溶解し、かつ水(0.35mL)に溶解した水酸化ナトリウム(236mg, 5.91mmol)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。ヨウ化シクロペンチル(684μL, 5.91mmol)を添加し、反応混合物を25℃で16時間攪拌した。水(70mL)及び酢酸エチル(70mL)を添加し、この有機抽出液を水(2×60mL)及びブライン(60mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。酢酸エチル及び石油エーテルから再結晶し、標題化合物を得た(57mg, 0.17mmol, 収率18%)。
【化31】

【0200】
(実施例9)
(2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物16)の調製)
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(1.60g, 6.06mmol)を、DMF(50mL)中に溶解し、鉱油中の60%水素化ナトリウム(631mg, 15.8mmol)を添加し、この混合物を30分間攪拌した。1-ヨード-3,3,3-トリフルオロプロパン(3.55mL, 30.3mmol)を添加し、反応混合物を100℃で16時間攪拌した。追加の1-ヨード-3,3,3-トリフルオロプロパン(355μL, 3.0mmol)を添加し、この混合物を120℃で2時間攪拌した。この反応混合液を、酢酸エチル(140mL)で希釈し、沈殿物を濾過により除去し、その後水(2×100mL)で洗浄した。有機抽出液を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空で濃縮し、粗生成物(1.256g)を得た。この粗生成物を、ジクロロメタン中のメタノールの5〜10%勾配を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物(661mg)を得、これは残留ジメチルホルムアミドを含んでいた。次にこれを、酢酸エチル(100mL)に溶解し、かつ水(5×50mL)、次にブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空で濃縮し、生成物(532mg)を得、これは不純物を少量含有していた。次にこれを、ジクロロメタン中の5%メタノールであるアイソクラチック溶媒システムを用いる、カラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物を得た(265mg, 0.74mmol, 収率12%)。
【化32】

【0201】
(実施例10)
(5-メチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物3)の調製)
(A. 2-(ナフタレン-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン)
3,4-ジアミノピリジン(6.0g, 5.5mmol)、2-ナフトエ酸(9.479g, 5.5mmol)及びポリリン酸(150g)の混合物を、攪拌しながら、190℃で3時間加熱した。この反応混合物を、25℃に冷却し、氷/水に注ぎ、かつこの混合液を、固形Na2CO3の添加により中和した。粗生成物を、濾過により収集し、水で洗浄し、標題化合物を得た(5.523g, 0.023mol, 収率41%)。
【化33】

【0202】
(B. 5-メチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン)
2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(240mg, 0.98mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、かつ水(0.3mL)に溶解した水酸化ナトリウム(118mg, 2.94mmol)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。ヨウ化メチル(185μL, 2.94mmol)を添加し、反応混合物を外界温度で16時間攪拌した。水(25mL)を添加し、形成された沈殿物を濾過し、水で洗浄した。粗生成物を、真空炉で16時間乾燥し、次に酢酸エチル及び石油エーテルで再結晶し、標題化合物を得た(65.2mg, 0.25mmol, 収率26%)。
【化34】

【0203】
(実施例11)
(5-エチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物2)の調製)
2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(240mg, 0.98mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、かつ水(0.15mL)に溶解した水酸化ナトリウム(59mg, 1.47mmol)を添加し、この混合物を20分間攪拌した。臭化エチル(88μL, 1.17mmol)を添加し、反応混合物を外界温度で16時間攪拌した。水(25mL)及び酢酸エチル(25mL)を添加し、この有機抽出液を水(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。酢酸エチル及び石油エーテルから再結晶し、標題化合物を得た(72mg, 0.26mmol, 収率27%)。
【化35】

【0204】
(実施例12)
(2-(ナフタレン-2-イル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物4)の調製)
2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(400mg, 1.62mmol)を、DMF(6mL)に溶解し、かつ水(0.25mL)に溶解した水酸化ナトリウム(194mg, 4.86mmol)を添加し、この混合物を30分間攪拌した。1-ブロモプロパン(442μL, 4.86mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。水(30mL)及び酢酸エチル(30mL)を添加し、この有機抽出液を水(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。クロロホルム及び石油エーテルから再結晶し、標題化合物を得た(28mg, 0.10mmol, 収率6%)。
【化36】

【0205】
(実施例13)
(5-ブチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物5)の調製)
2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(400mg, 1.62mmol)を、DMF(6mL)に溶解し、かつ水(0.25mL)に溶解した水酸化ナトリウム(194mg, 4.86mmol)を添加し、この混合物を30分間攪拌した。1-ブロモブタン(522μL, 4.86mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。水(30mL)を添加し、形成された沈殿物を濾過し、水(50mL)で洗浄した。粗生成物を、真空炉で乾燥し、次にクロロホルム及び石油エーテルから再結晶し、標題化合物を得た(148mg, 0.49mmol, 収率30%)。
【化37】

【0206】
(実施例14)
(5-ベンジル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物6)の調製)
2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(1.0g, 4.06mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、かつ水(0.60mL)に溶解した水酸化ナトリウム(487mg, 12.18mmol)を添加し、この混合物を30分間攪拌した。臭化ベンジル(1446μL, 12.18mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。水(30mL)及び酢酸エチル(30mL)を添加し、この有機抽出液を水(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。クロロホルム及び石油エーテルから再結晶し、標題化合物を得た(20mg, 0.06mmol, 収率2%)。
【化38】

【0207】
(実施例15)
(5-イソプロピル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物7)の調製)
2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(600mg, 2.43mmol)を、DMF(8mL)に溶解し、かつ水(0.35mL)に溶解した水酸化ナトリウム(292mg, 7.29mmol)を添加し、この混合物を30分間攪拌した。2-ヨードプロパン(725μL, 7.29mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。水(80mL)及び酢酸エチル(80mL)を添加し、この有機抽出液を水(2×80mL)及びブライン(80mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。クロロホルム及び石油エーテルから再結晶し、標題化合物を得た(100mg, 0.35mmol, 収率14%)。
【化39】

【0208】
(実施例16)
(5-シクロペンチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(化合物11)の調製)
2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(260mg, 1.06mmol)を、DMF(7mL)に溶解し、かつ水(0.35mL)に溶解した水酸化ナトリウム(254mg, 6.34mmol)を添加し、この混合物を30分間攪拌した。ヨウ化シクロペンチル(733μL, 6.34mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。水(60mL)及び酢酸エチル(60mL)を添加し、この有機抽出液を水(2×60mL)及びブライン(60mL)で洗浄し、乾燥し、真空で濃縮し、粗固形物を得た。酢酸エチル及び石油エーテルから再結晶し、所望の生成物を得た(111.5mg, 0.36mmol, 収率34%)。
【化40】

【0209】
(実施例17)
DMDの治療に使用するための式(I)の化合物の潜在活性は、以下の予測アッセイにおいて明らかにすることができる。
【0210】
(ルシフェラーゼレポーターアッセイ(マウスH2K細胞))
本スクリーニングに使用した細胞株は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子に連結された第一の非翻訳エキソンを含むユートロフィンAプロモーターの〜5kb断片を含むプラスミドにより、安定してトランスフェクションされた、不死化されたmdxマウスH2K細胞株である。
【0211】
低温及びインターフェロン含有培地の条件下で、これらの細胞は、筋芽細胞であり続ける。これらを、96ウェルプレートに播種し、かつ化合物の存在下で3日間培養した。次にルシフェラーゼのレベルを、細胞溶解、及びプレートルミノメーターを利用する、発現されたルシフェラーゼ遺伝子から放出される光の測定により決定する。
【0212】
(96ウェルプレートのルシフェラーゼアッセイ)
H2K/mdx/Utro Aレポーター細胞株を、96ウェルプレート(Falcon 353296、乳白色)に、通常の増殖培地190μl中に、密度約5000個細胞/ウェルで播種した。次にこれらのプレートを、10%CO2の存在下で、33℃で24時間インキュベーションした。
【0213】
化合物は、希釈した化合物10μlを各ウェルに添加することにより、投与し、最終濃度10μMとした(異なる最終濃度が必要な場合は、それに従い添加される化合物溶液の量を修正した)。その後プレートを、更に48時間インキュベーションした。次に製造業者のプロトコール(Promega Steady-Gloルシフェラーゼアッセイシステム(E2520))に従い、細胞をその場で溶解した。次に、プレートルミノメーター(Victor 1420)を利用し、10秒間カウントした。
【0214】
(化合物貯蔵)
スクリーニングのための化合物は、必要になるまで、100%DMSO中の10mMストック液として、-20℃で貯蔵した。
【0215】
(結果)
生物活性は、マウスH2K細胞におけるルシフェラーゼレポーターアッセイを用い評価し、かつ結果を表1に示し、これは被験化合物溶液の濃度もμMで列記している。
【表1】

【0216】
表1の結果は、以下のように分類される:
+ 対照に対し最大200%
++ 対照に対し201%〜300%
+++ 対照に対し301%〜400%
++++ 対照に対し401%以上
【0217】
表1の結果は、例証された化合物は全て、ルシフェラーゼレポーターアッセイにおける活性が、対照に比べ増加したことを示している。
【0218】
先に示した例は、当業者に、請求された実施態様の実行及び使用の方法の、完全な開示及び説明を示すために提供されており、本明細書に開示されたものの範囲を制限することを意図するものではない。当業者に明らかである変更は、以下の「特許請求の範囲」の範囲内であることが意図されている。
【0219】
本明細書に引用された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、そのような刊行物、特許、及び特許出願の各々が具体的かつ個別に引用により本明細書中に組み込まれていることが示されるように、引用により本明細書中に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療又は予防のための医薬品の製造における、式(I)の化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、若しくはプロドラッグの使用:
【化1】

(式中、
R1は、任意に置換された5〜10員の単環式又は二環式の芳香族炭素環式環システム、任意に置換された5〜10員の非芳香族炭素環式環システム、任意に置換された5〜10員の単環式若しくは二環式の芳香族複素環式環システム、又は任意に置換された5〜10員の非芳香族複素環式環システムであり;
R2は、R6、SO2R6、又はLSO2R6であり;
各R3は、独立してハロ、CN、NO2、OH、SH、NH2、C1-C4アルキル、又は-O(C1-C4アルキル)であり;
R6は、(i)1個以上のハロ、-OH、-O(C1-C6アルキル)、又は任意に置換された5〜10員の単環式又は二環式の芳香族若しくは5〜10員の非芳香族の炭素環式若しくは複素環式環システムにより任意に置換されたC1-C10アルキル;又は、(ii)任意に置換されたC3-C7シクロアルキル:であり;
Lは、C1-C5アルキレンであり;
nは、0、1、2、又は3である。)。
【請求項2】
前記R1が、任意に置換された5〜10員の単環式又は二環式の芳香族炭素環式又は複素環式環システムである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記R1が、非置換であるか、又は1個以上のハロにより置換されている、任意に置換された芳香族炭素環式環システムである、請求項2記載の使用。
【請求項4】
前記R1が、1個以上のハロにより任意に置換されたフェニル又はナフチルである、請求項3記載の使用。
【請求項5】
前記R1が、1個以上のクロロにより任意に置換されたフェニル又はナフチルである、請求項4記載の使用。
【請求項6】
前記R1が、ナフタレン-2-イル、フェニル、3,4-ジクロロフェニル、又は2,3-ジクロロフェニルである、請求項5記載の使用。
【請求項7】
前記R2がR6である、請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
前記R2が、1個以上のハロ、若しくは任意に置換された5〜10員の芳香族環システムにより任意に置換されたC1-C6アルキル;又は、任意に置換されたシクロペンチル若しくはシクロヘキシルである、請求項7記載の使用。
【請求項9】
前記R2が、1個以上のハロ又はフェニルにより任意に置換されてよいメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、若しくはイソプロピルであるか;又は、R2が、シクロペンチル若しくはシクロヘキシルである、請求項8記載の使用。
【請求項10】
前記R2が、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソプロピル、シクロペンチル、ベンジル、又は3,3,3-トリフルオロ-プロピルである、請求項9記載の使用。
【請求項11】
前記nが0である、請求項1〜10のいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
前記化合物が、下記化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体若しくはプロドラッグである、請求項1記載の使用:
5-ベンジル-2-フェニル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-エチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-メチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(ナフタレン-2-イル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-ブチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-ベンジル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-イソプロピル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-シクロペンチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-シクロペンチル-2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-シクロペンチル-2-(2,3-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;又は
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン。
【請求項13】
前記化合物が、以下である、化合物、又はそれらの互変異性体、エナンチオマー、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、複合体、又はプロドラッグ:
5-エチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-メチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(ナフタレン-2-イル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-ブチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-ベンジル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-イソプロピル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-シクロペンチル-2-(ナフタレン-2-イル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-シクロペンチル-2-(3,4-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
5-シクロペンチル-2-(2,3-ジクロロフェニル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;
2-(2,3-ジクロロフェニル)-5-プロピル-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン;又は
2-(3,4-ジクロロフェニル)-5-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン。
【請求項14】
請求項13記載の化合物、及び医薬として許容し得る賦形剤を含有する、医薬組成物。
【請求項15】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、又は悪液質の治療のための医薬品の製造における、請求項13記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−520934(P2011−520934A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509900(P2011−509900)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003645
【国際公開番号】WO2009/141159
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(310013956)ビオマリン アイジーエー リミテッド (8)
【Fターム(参考)】