説明

筒内圧センサ

【課題】構造が簡素であり、交換が容易であり、温度の影響が避けられる筒内圧センサを提供する。
【解決手段】ピストン12が収容されたシリンダ13の外殻であるシリンダライナ14の外側に冷却水流路15を隔ててシリンダブロック16を有するエンジン11に取り付けられてシリンダ13内の気圧である筒内圧を検出する筒内圧センサ1であって、シリンダブロック16の外側からシリンダブロック16を貫通してシリンダライナ14に当接され、筒内圧によって変位するプッシュロッド2と、シリンダブロック16の外側でプッシュロッド14の変位を検出する変位センサとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造が簡素であり、交換が容易であり、温度の影響が避けられる筒内圧センサに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃焼効率を高めるためには、燃料の噴射タイミングや噴射圧力を適切に制御することが望ましい。このような制御に用いる要素の一つである筒内圧を検出するために、内燃機関に筒内圧センサを設ける必要がある。筒内圧センサによって内燃機関の筒内圧が正確に検出されると、内燃機関がより適切に制御できるようになる。例えば、内燃機関のクローズドループコントロールが可能となり、内燃機関の劣化の補正も可能となる。特に、ディーゼルエンジンの場合は、筒内圧を、噴射系の経年変化による噴射量の変化の補正に用いることができ、燃費や排気ガスに関する測定値の補正にも応用できる。また、筒内圧により、予混合燃焼と通常燃焼との切り替えやハイブリッド車の動力切り替えのつながりを、より滑らかに制御することができる。筒内圧は、米国の法規に規定されているミスファイヤー診断にも利用できる。
【0003】
従来技術として、シリンダ内に圧力センサを挿入する筒内圧センサが知られている。
【0004】
また、グロープラグや点火プラグに圧力センサを組み込んだ筒内圧センサが知られている。
【0005】
また、シリンダの外殻であるシリンダライナに歪みゲージを取り付けて、シリンダライナの歪みを検出し、シリンダライナの歪みから筒内圧を導出する筒内圧センサが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−162693号公報
【特許文献2】特開平8−50072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、シリンダ内に圧力センサを挿入すると、シリンダ内の表面積が拡大する結果を招き、かつ、熱効率の見地からは、発生した熱エネルギが圧力センサに奪われて熱効率が低下することになるので、好ましくない。
【0008】
グロープラグや点火プラグに圧力センサを組み込むと、エンジンの構造が複雑になり、かつ、エンジンの耐久性・信頼性が損なわれるので、好ましくない。
【0009】
これら2種の筒内圧センサに比べると、シリンダライナに歪みゲージを取り付けた筒内圧センサは、エンジンの構造や特性には影響はないものの、歪みゲージを冷却水から防水する構造が複雑となり、かつ、歪みゲージの故障時の交換が困難であり、かつ、歪みゲージの特性がエンジン温度や冷却水温度に依存して変動するので、好ましくない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、構造が簡素であり、交換が容易であり、温度の影響が避けられる筒内圧センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、ピストンが収容されたシリンダの外殻であるシリンダライナの外側に冷却水流路を隔ててシリンダブロックを有するエンジンに取り付けられて前記シリンダ内の気圧である筒内圧を検出する筒内圧センサであって、前記シリンダブロックの外側から前記シリンダブロックを貫通して前記シリンダライナに当接され、筒内圧によって変位するプッシュロッドと、前記シリンダブロックの外側で前記プッシュロッドの変位を検出する変位センサとを備えたものである。
【0012】
前記変位センサは、前記プッシュロッドの前記シリンダブロックの外側に向いた一端と前記シリンダブロックに対して固定された支持部材との間に、歪みセンサが圧接させて配置され、前記歪みセンサが検出する歪みが前記プッシュロッドの変位を表してもよい。
【0013】
前記変位センサは、前記プッシュロッドの前記シリンダブロックの外側に向いた一端に発電機の可動子が圧接され、前記発電機の固定子が前記シリンダブロックに対して固定され、前記発電機が発生する電力が前記プッシュロッドの変位を表してもよい。
【0014】
前記変位センサは、前記プッシュロッドの前記シリンダブロックの外側に向いた一端と前記シリンダブロックに対して固定された支持部材との間に、圧電センサが圧接させて配置され、前記圧電センサが電気的に検出する圧力が前記プッシュロッドの変位を表してもよい。
【0015】
前記変位センサは、前記プッシュロッドの前記シリンダブロックの外側に向いた一端に第一の電極板が圧接され、前記第一の電極板に対向する第二の電極板が前記シリンダブロックに対して固定され、前記第一の電極板と前記第二の電極板間の静電容量が前記プッシュロッドの変位を表してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0017】
(1)構造が簡素となる。
【0018】
(2)交換が容易となる。
【0019】
(3)温度の影響が避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の筒内圧センサが取り付けられたエンジンの部分断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態を示す筒内圧センサの断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態を示す筒内圧センサの断面図である。
【図4】本発明の第三実施形態を示す筒内圧センサの断面図である。
【図5】本発明の第四実施形態を示す筒内圧センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0022】
図1に示されるように、本発明の筒内圧センサ1が適用されるエンジン11は、ピストン12がシリンダ13に収容され、そのシリンダ13の外殻であるシリンダライナ14の外側に冷却水流路(ウォータジャケット)15を隔ててシリンダブロック16を有する。シリンダブロック16には、このエンジン11に筒内圧センサ1を取り付けるための座17がシリンダブロック16から外方に突き出るように形成される。座17は、シリンダ13の頂部とピストン12の上死点との間の範囲内に設けられる。座17の中央には、シリンダブロック16を貫通してシリンダブロック16の外から冷却水流路15に抜けるネジ穴18が形成されている。
【0023】
本発明の筒内圧センサ1は、ネジ穴18に螺合するネジ3と、ネジ3を回転させるためのヘッド4とを備え、ネジ3をネジ穴18に螺合させることによってエンジン11に取り付けられる。ヘッド4には、プッシュロッド2の変位を検出する基準面を形成するセンサベース5が固定される。センサベース5には、図示しない配線コネクタを嵌合させるためのコネクタキャップ6が一体的に形成される。
【0024】
筒内圧センサ1は、シリンダブロック16の外側からシリンダブロック16を貫通してシリンダライナ14に当接されるプッシュロッド2と、シリンダブロック16の外側でプッシュロッド2の変位を検出する変位センサ(図示せず;図2以下参照)とを備える。プッシュロッド2は、シリンダ13の直径の延長に沿って延びている。シリンダライナ14がシリンダ13の直径方向に変位すると、プッシュロッド2がシリンダ13の直径の延長に沿う方向に変位するようになっている。シリンダ13内の気圧である筒内圧によってシリンダライナ14がシリンダ13の直径方向に変位するので、プッシュロッド2の変位からシリンダ13内の気圧である筒内圧を検出することができる。
【0025】
図2に示されるように、本発明の第一実施形態では、筒内圧センサ1に用いる変位センサ201は、プッシュロッド2のシリンダブロック16の外側に向いた一端とシリンダブロック16に対して固定された支持部材202としてのセンサベース5との間に、歪みセンサ(歪みゲージ)203が圧接させて配置される。変位センサ201は、歪みセンサ203が検出する歪みがプッシュロッド2の変位を表すようになっている。
【0026】
詳しく述べると、筒内圧センサ1のネジ3の中心には、プッシュロッド2を変位自在に保持するプッシュロッド通路7が形成されている。プッシュロッド通路7内にプッシュロッド2が挿通される。ヘッド4を回転させてネジ3を図1のネジ穴18に螺合させることで、筒内圧センサ1がシリンダブロック16に固定されると共に、プッシュロッド2の先端がシリンダライナ14に当接される。
【0027】
ヘッド4には、ヘッド4の基端からヘッド4の内部に凹んだセンサ室204が形成される。支持部材202(センサベース5)は、センサ室204の開口部を塞ぐようにセンサ室204の開口部に固定される。歪みセンサ203は、片面がこの支持部材202に固定される。歪みセンサ203には、コネクタキャップ6内に突き抜けた2つの端子8が電気的に接続されている。
【0028】
歪みセンサ203とプッシュロッド2に挟み込まれるように、センサ室204内を変位可能な押さえ板205が支持部材202に対向して設けられる。押さえ板205と支持部材202との間に、押さえ板205の変位によって伸縮されるコイルばね(スプリング)206が挿入される。
【0029】
支持部材202が歪みセンサ203の片面に接し、歪みセンサ203の反対面に押さえ板205が接し、押さえ板205と支持部材202との間にコイルばね206が挿入されているので、プッシュロッド2の変位による力は、押さえ板205を介し、歪みセンサ203とコイルばね206により受けられる。同時に、プッシュロッド2はコイルばね206のばね力によりシリンダライナ14に圧接される。
【0030】
図2の変位センサ201を用いた筒内圧センサ1の動作を図1及び図2により説明する。
【0031】
ピストン12がシリンダ13内を圧縮の方向に移動し、ピストン12が上死点の近傍(適切な進角の位置)にあるとき、シリンダ13内で圧縮されていた混合気が点火(ガソリンエンジンの場合)又はシリンダ13内の高圧吸気中に噴射された燃料が着火(ディーゼルエンジンの場合)する。シリンダ13内で発生する爆発により、筒内圧が急激に上昇する。このため、シリンダ13の頂部とピストン12の間でシリンダライナ14がわずかに拡大変形する。これによるシリンダライナ14のシリンダ13の直径方向の変位は、シリンダライナ14に当接されているプッシュロッド2に伝達される。プッシュロッド2は、シリンダ13の直径の延長に沿う方向に変位する。
【0032】
プッシュロッド2の変位による力は、押さえ板205を介して歪みセンサ203に伝達される。歪みセンサ203では歪みに応じて電気抵抗値が変化する。
【0033】
歪みセンサ203に生じる歪みによる電気信号は、端子8より図示しない処理回路に送信される。処理回路では、歪みセンサ203の電気信号に基づいて筒内圧を検出する。筒内圧と歪みセンサ203の電気信号との関係は、あらかじめ実験により求めておき、ECM(デジタル制御装置)等にマップを設定しておくとよい。
【0034】
以上説明したように、本発明の筒内圧センサ1では、シリンダブロック16の外側からシリンダブロック16を貫通してシリンダライナ14に当接されるプッシュロッド2を備えるため、プッシュロッド2が筒内圧によって変位する。変位センサ201により、シリンダブロック16の外側でプッシュロッド2の変位を検出することで筒内圧が検出できる。
【0035】
上記構成によれば、変位センサ201は、冷却水流路15よりも外側のシリンダブロック16の外側に設置されるので、冷却水に浸漬されることがなく、変位センサ201を防水する必要がなくなり、筒内圧センサ1の構造が簡素となる。
【0036】
上記構成によれば、変位センサ201は、シリンダブロック16の外側に取り付けられているので、変位センサ201が故障した場合でも、交換が簡単である。また、プッシュロッド2がネジ3内のプッシュロッド通路7に保持されているため、筒内圧センサ1を座17に取り付けるというシリンダブロック16の外での作業により、プッシュロッド2をシリンダブロック16に覆われているシリンダライナ14に当接させることができることになり、筒内圧センサ1の着脱の作業が容易である。
【0037】
上記構成によれば、変位センサ201は、シリンダブロック16の外側に位置するので、エンジン温度や冷却水温度からの影響が避けられ、変位センサ201の特性がエンジン温度や冷却水温度に依存して変動することがない。
【0038】
次に、筒内圧センサ1に用いる変位センサの他の実施形態を説明する。
【0039】
図3に示されるように、本発明の第二実施形態では、筒内圧センサ1に用いる変位センサ301は、プッシュロッド2のシリンダブロック16の外側に向いた一端2aに発電機の可動子302が圧接され、発電機の固定子303がシリンダブロック16に対して固定される。変位センサ301は、発電機が発生する電力がプッシュロッド2の変位を表すようになっている。
【0040】
詳しく述べると、筒内圧センサ1のネジ3の中心には、プッシュロッド2を変位自在に保持するプッシュロッド通路7が形成されている。プッシュロッド通路7内にプッシュロッド2が挿通される。ヘッド4を回転させてネジ3を図1のネジ穴18に螺合させることで、筒内圧センサ1がシリンダブロック16に固定されると共に、プッシュロッド2の先端がシリンダライナ14に当接される。
【0041】
ヘッド4には、ヘッド4の基端からヘッド4の内部に凹んだセンサ室304が形成される。センサベース5は、センサ室304に埋め込まれてヘッド4に固定される。固定子303は、センサベース5内に収容されてセンサベース5に固定される。可動子302は、固定子303に近接し、プッシュロッド2の変位の方向に変位自在に保持される。
【0042】
可動子302とプッシュロッド2に挟み込まれるように、変位可能な押さえ板305がセンサベース5に対向して設けられる。可動子302とセンサベース5との間には、押さえ板305及び可動子302の変位によって伸縮されるコイルばね(スプリング)306が挿入されている。プッシュロッド2は、押さえ板305及び可動子302を介し、コイルばね306のばね力によりシリンダライナ14に圧接される。
【0043】
ここでは、可動子302が永久磁石で構成され、固定子303が永久磁石の周囲に巻かれた巻線で構成される。巻線には、コネクタキャップ6内に突き抜けた2つの端子8が電気的に接続される。
【0044】
図3の変位センサ301を用いた場合、プッシュロッド2の変位は、押さえ板305を介して可動子302に伝達される。発電機の可動子302である永久磁石の変位速度に応じて発電機の固定子303である巻線に誘導電流が生じる。誘導電流は、端子8より図示しない処理回路に送信される。処理回路では、発電機の電気信号に基づいて筒内圧を検出する。筒内圧と発電機の電気信号との関係は、あらかじめ実験により求めておき、ECM等にマップを設定しておくとよい。
【0045】
このように、変位センサ301を用いた場合でも、シリンダブロック16の外側でプッシュロッド2の変位を検出することで筒内圧が検出できる。これにより、変位センサ201を用いた場合と同様の作用効果が得られる。
【0046】
図4に示されるように、本発明の第三実施形態では、筒内圧センサ1に用いる変位センサ401は、プッシュロッド2のシリンダブロック16の外側に向いた一端2aとシリンダブロック16に対して固定された支持部材402としてのセンサベース5との間に、圧電センサ403が圧接させて配置される。変位センサ401は、圧電センサ403が電気的に検出する圧力がプッシュロッド2の変位を表すようになっている。
【0047】
詳しく述べると、筒内圧センサ1のネジ3の中心には、プッシュロッド2を変位自在に保持するプッシュロッド通路7が形成されている。プッシュロッド通路7内にプッシュロッド2が挿通される。ヘッド4を回転させてネジ3を図1のネジ穴18に螺合させることで、筒内圧センサ1がシリンダブロック16に固定されると共に、プッシュロッド2の先端がシリンダライナ14に当接される。
【0048】
ヘッド4には、ヘッド4の基端からヘッド4の内部に凹んだセンサ室404が形成される。支持部材402(センサベース5)は、センサ室404に埋め込まれてヘッド4に固定される。
【0049】
圧電センサ403は、圧電素子405が片側電極406及び反対側電極407で挟まれた構造を有する。プッシュロッド2は片側電極406に圧接され、反対側電極407は支持部材402に固定される。片側電極406及び反対側電極407には、コネクタキャップ6内に突き抜けた2つの端子8が電気的に接続される。
【0050】
センサ室404からネジ3の内部に凹ませてスプリング室408が形成される。スプリング室408内には、片側電極406に対向するように、プッシュロッド2に固定されたフランジ板409が設けられる。フランジ板409と片側電極406との間には、フランジ板409の変位によって伸縮されるコイルばね(スプリング)410が挿入される。プッシュロッド2は、コイルばね410のばね力によりシリンダライナ14に圧接される。
【0051】
図4の変位センサ401を用いた場合、プッシュロッド2の変位は、圧電素子405の片側電極406に伝達される。圧電センサ403では、片側電極406及び反対側電極407で挟まれた圧電素子405に電圧が生じる。片側電極406と反対側電極407の電気信号は、端子8より図示しない処理回路に送信される。処理回路では、圧電センサ403の電気信号に基づいて筒内圧を検出する。筒内圧と圧電センサ403の電気信号との関係は、あらかじめ実験により求めておき、ECM等にマップを設定しておくとよい。
【0052】
このように、変位センサ401を用いた場合でも、シリンダブロック16の外側でプッシュロッド2の変位を検出することで筒内圧が検出できる。これにより、変位センサ201を用いた場合と同様の作用効果が得られる。
【0053】
図5に示されるように、本発明の第四実施形態では、筒内圧センサ1に用いる変位センサ501は、プッシュロッド2のシリンダブロック16の外側に向いた一端2aに第一の電極板502が圧接され、第一の電極板502に対向する第二の電極板503がセンサベース5に固定されることでシリンダブロック16に対して固定される。変位センサ501は、第一の電極板502と第二の電極板503間の静電容量がプッシュロッド2の変位を表すようになっている。
【0054】
詳しく述べると、筒内圧センサ1のネジ3の中心には、プッシュロッド2を変位自在に保持するプッシュロッド通路7が形成されている。プッシュロッド通路7内にプッシュロッド2が挿通される。ヘッド4を回転させてネジ3を図1のネジ穴18に螺合させることで、筒内圧センサ1がシリンダブロック16に固定されると共に、プッシュロッド2の先端がシリンダライナ14に当接される。
【0055】
ヘッド4には、ヘッド4の基端からヘッド4の内部に凹んだセンサ室504が形成される。センサベース5は、センサ室504に埋め込まれてヘッド4に固定される。
【0056】
センサベース5には、プッシュロッド2に臨む側にギャップ室505が形成される。ギャップ室505内には、第一の電極板502に面で接する第一の絶縁板506と、第二の電極板503に面で接する第二の絶縁板507と、第一の絶縁板506と第二の絶縁板507間に挿入された非導体からなるスプリング508が収容される。スプリング508は、コイルばねに限らず、例えば、シリコンブロックでもよい。プッシュロッド2は、スプリング508のばね力によりシリンダライナ14に圧接される。第一の電極板502は、センサベース5に対して可動であり、プッシュロッド2に圧接される。第二の電極板503は、センサベース5に固定されることでシリンダブロック16に対して固定される。第一の電極板502及び第二の電極板503には、それぞれコネクタキャップ6内に突き抜けた2つの端子8が電気的に接続されている。
【0057】
図5の変位センサ501を用いた場合、プッシュロッド2の変位により、第一の電極板502が変位する。第一の電極板502と第二の電極板503間の距離が変化することにより、第一の電極板502と第二の電極板503間の静電容量が変化する。これら2つの電極板502,503による電気信号は、端子8より図示しない処理回路に送信される。処理回路では、電極板502,503による電気信号に基づいて筒内圧を検出する。筒内圧と電極板502,503による電気信号との関係は、あらかじめ実験により求めておき、ECM等にマップを設定しておくとよい。
【0058】
このように、変位センサ501を用いた場合でも、シリンダブロック16の外側でプッシュロッド2の変位を検出することで筒内圧が検出できる。これにより、変位センサ201を用いた場合と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0059】
1 筒内圧センサ
2 プッシュロッド
3 ネジ
4 ヘッド
5 センサベース
6 コネクタキャップ
7 プッシュロッド通路
8 端子
11 エンジン
12 ピストン
13 シリンダ
14 シリンダライナ
15 冷却水流路
16 シリンダブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンが収容されたシリンダの外殻であるシリンダライナの外側に冷却水流路を隔ててシリンダブロックを有するエンジンに取り付けられて前記シリンダ内の気圧である筒内圧を検出する筒内圧センサであって、
前記シリンダブロックの外側から前記シリンダブロックを貫通して前記シリンダライナに当接され、筒内圧によって変位するプッシュロッドと、
前記シリンダブロックの外側で前記プッシュロッドの変位を検出する変位センサとを備えたことを特徴とする筒内圧センサ。
【請求項2】
前記変位センサは、前記プッシュロッドの前記シリンダブロックの外側に向いた一端と前記シリンダブロックに対して固定された支持部材との間に、歪みセンサが圧接させて配置され、前記歪みセンサが検出する歪みが前記プッシュロッドの変位を表すことを特徴とする請求項1記載の筒内圧センサ。
【請求項3】
前記変位センサは、前記プッシュロッドの前記シリンダブロックの外側に向いた一端に発電機の可動子が圧接され、前記発電機の固定子が前記シリンダブロックに対して固定され、前記発電機が発生する電力が前記プッシュロッドの変位を表すことを特徴とする請求項1記載の筒内圧センサ。
【請求項4】
前記変位センサは、前記プッシュロッドの前記シリンダブロックの外側に向いた一端と前記シリンダブロックに対して固定された支持部材との間に、圧電センサが圧接させて配置され、前記圧電センサが電気的に検出する圧力が前記プッシュロッドの変位を表すことを特徴とする請求項1記載の筒内圧センサ。
【請求項5】
前記変位センサは、前記プッシュロッドの前記シリンダブロックの外側に向いた一端に第一の電極板が圧接され、前記第一の電極板に対向する第二の電極板が前記シリンダブロックに対して固定され、前記第一の電極板と前記第二の電極板間の静電容量が前記プッシュロッドの変位を表すことを特徴とする請求項1記載の筒内圧センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−163926(P2011−163926A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26855(P2010−26855)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】