説明

算定装置、ネットワークシステム、算定方法及び算定プログラム

【課題】ISP間で流通する不要データの量を減少させること。
【解決手段】実施の形態に係る算定装置は、インターネット接続サービスを提供する第1のプロバイダと第2のプロバイダとの間で課される課金金額を算定する算定装置であって、第1のプロバイダによって提供される第1の通信網が第2のプロバイダによって提供される第2の通信網から受け付けたデータのうち、第1のプロバイダと第2のプロバイダとの間で予め不要であることが決められているデータである不要受信データの量を算出し、算出した不要受信データの量が多いほど、第1のプロバイダが第2のプロバイダに課す課金金額を高く算定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、算定装置、ネットワークシステム、算定方法及び算定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インターネット接続サービスを提供するISP(Internet Services Provider)は、利用者間で送受される電子メールを中継するメールサービスを提供することが多い。例えば、ISPは、利用者端末から電子メールを受信し、かかる電子メールの宛先となる利用者端末が自通信網に接続されている場合には、利用者端末に電子メールを送信し、宛先となる利用者端末が自通信網に接続されていない場合には、他のISPを経由して、電子メールを送信する。
【0003】
このような電子メールには、「迷惑メール」や「スパムメール」と呼ばれる電子メールも存在する。迷惑メールは、悪意のあるメール送信者によって不特定多数に送信されることが多く、メール受信者に被害を与えることが多い。例えば、迷惑メールは、メール受信者の利用者端末をコンピュータウィルスに汚染させる場合がある。
【0004】
そこで、ISPには、迷惑メール対策を行っているISPも存在する。具体的には、迷惑メール対策を行っているISPは、利用者端末や他のISPから受信した電子メールを宛先となる利用者端末に送信する場合に、かかる電子メールが迷惑メールであるか否かを判定し、迷惑メールでない電子メールを利用者端末に送信する。これにより、ISPは、メールサービスのサービス向上を図ることが可能になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“CentMail: Rate Limiting via Certified Micro-Donations”、[online]、[平成23年1月28日検索]、インターネット<http://centmail.net/centmail.pdf>
【非特許文献2】“Bonded Sender Program”、[online]、[平成23年1月28日検索]、インターネット<http://www.ironport.com/pdf/bsp_datasheet.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いくつかのISPが迷惑メール対策を行った場合であっても、迷惑メールを中継するISPも存在するので、ISP間で多くの迷惑メールが流通しているという問題がある。具体的には、悪意のあるISPは、悪意のある利用者から利用料金を徴収することができるので、迷惑メール対策を行わない場合がある。このような悪意のあるISPが存在すると、迷惑メール対策を行っているISPにも多くの迷惑メールが流通する。
【0007】
なお、上記では、ISP間で流通するデータとして電子メールを例に挙げて、ISP間で多くの迷惑メールが流通するという問題について説明したが、かかる問題は迷惑メール以外にも生じる。具体的には、ISP間では電子メール以外にも動画データや画像データ等の各種データが流通するが、双方のISPにとって不要となる多くの不要データがISP間で流通しているという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ISP間で流通する不要データの量を減少させることができる算定装置、ネットワークシステム、算定方法及び算定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態は、一つの態様において、インターネット接続サービスを提供する第1のプロバイダと第2のプロバイダとの間で課される課金金額を算定する算定装置であって、前記第1のプロバイダによって提供される第1の通信網が前記第2のプロバイダによって提供される第2の通信網から受け付けたデータのうち、前記第1のプロバイダと前記第2のプロバイダとの間で予め不要であることが決められているデータである不要受信データの量を算出する算出部と、前記算出部によって算出された不要受信データの量が多いほど、前記第1のプロバイダが前記第2のプロバイダに課す課金金額を高く算定する算定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る算定装置、ネットワークシステム、算定方法及び算定プログラムは、ISP間で流通する不要データの量を減少させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1に係るネットワークシステムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施例1における算定装置による付加料金の算定処理の一例を説明するための図である。
【図3】図3は、実施例1における算定装置の構成例を示す図である。
【図4】図4は、実施例1における判定条件記憶部の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施例1における迷惑メール数記憶部の一例を示す図である。
【図6】図6は、実施例1における算定条件記憶部の一例を示す図である。
【図7】図7は、不要データトランジット次数に応じた付加料金の変動量を示す図である。
【図8】図8は、実施例1における付加料金記憶部の一例を示す図である。
【図9】図9は、実施例1における算定装置による迷惑メール数の算出処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、実施例1における算定装置による付加料金の算定処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、実施例1における付加課金制度の導入例を示す図である。
【図12】図12は、実施例1における付加課金制度の導入例を示す図である。
【図13】図13は、算定プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る算定装置、ネットワークシステム、算定方法及び算定プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
[実施例1に係るネットワークシステムの構成]
まず、図1を用いて、実施例1に係るネットワークシステムについて説明する。図1は、実施例1に係るネットワークシステム1の構成例を示す図である。図1に示した例では、ネットワークシステム1には、通信網10−1〜10−6が含まれる。
【0014】
通信網10−1〜10−6の各々は、異なるISPによって提供されるものとする。例えば、通信網10−1を提供するISPは、通信網10−2〜10−6を提供する各ISPと異なり、通信網10−2を提供するISPは、通信網10−1、10−3〜10−6を提供する各ISPと異なる。なお、以下では、「通信網10−n」を提供するISPを、「ISP10p−n」と表記する場合がある。例えば、通信網10−1を提供するISPを「ISP10p−1」と表記し、通信網10−2を提供するISPを「ISP10p−2」と表記する場合がある。
【0015】
また、図1に例示したネットワークシステム1では、2つの通信網がピアリング又はトランジットによって接続される。図1では、両端に四角形が付与された直線により結ばれた2つの通信網がピアリングにより接続され、一端に黒丸が付与された直線により結ばれた2つの通信網がトランジットにより接続されていることを示す。なお、実施例1では、接続形態がピアリングである場合には、双方のISP間で接続料金を課金することはないものとする。また、接続形態がトランジットである場合には、一方のISPが他方のISPに接続料金を定期的に課金するものとする。このとき、図1に示した例では、黒丸が付与された直線の一端と接続された通信網のISPが、黒丸が付与されていない直線の他端と接続された通信網のISPに接続料金を課金するものとする。
【0016】
例えば、通信網10−1と通信網10−4とは、ピアリングにより相互接続されており、通信網10−1のISP10p−1と通信網10−4のISP10p−4とは、互いに接続料金を課金しない。また、通信網10−1と通信網10−2とは、トランジットにより接続されており、通信網10−1のISP10p−1が、通信網10−2のISP10p−2に接続料金を定期的に課金する。言い換えれば、ISP10p−2は、ISP10p−1に対して接続料金を定期的に支払う。また、通信網10−2と通信網10−3とは、トランジットにより接続されており、ISP10p−2がISP10p−3に接続料金を定期的に課金する。
【0017】
なお、図1では図示することを省略したが、通信網10−3及び10−6は、インターネットサービスを利用する利用者端末と接続されているものとする。すなわち、図1に示した例では、ISP10p−3及び10p−6は、他のISPに接続料金を課金することはないものとする。
【0018】
ここで、図1に例示した通信網間では、各々の通信網を提供する各ISPにとって不要となるデータである不要データが流通する場合がある。なお、ここで言う「不要データ」とは、通信網が接続された双方のISP間で予め締約されたデータであり、例えば、迷惑メールと呼ばれている電子メールや、双方のISPにとって不要となる動画データや画像データ等を示す。
【0019】
実施例1におけるネットワークシステム1では、互いに接続された通信網間で不要データが流通した場合に、一方のISPが他方のISPに対して、かかる不要データの量に応じて、接続料金とは別に所定の料金(以下、「付加料金」と表記する場合がある)を課金する。具体的には、一方のISPが提供する通信網が、他方のISPが提供する通信網から不要データを受信した場合には、一方のISPは、かかる不要データの量が多いほど高い付加料金を算定し、算定した付加料金を他方のISPに課金する。
【0020】
以下に、通信網10−1等に含まれる各装置の説明とともに、かかる付加料金の課金について具体的に説明する。なお、通信網10−1、10−2、10−4及び10−5は、同様の構成を有するので、ここでは通信網10−1について主に説明する。
【0021】
図1に例示するように、通信網10−1には、サービス提供装置11−1と、課金装置12−1と、算定装置100−1とが含まれる。サービス提供装置11−1は、各種サービスを提供するサーバであり、インターネット接続サービスや、電子メール等の各種データの中継する中継サービス等を提供する。例えば、サービス提供装置11−1は、通信網10−2内のサービス提供装置11−2との間で電子メールを送受したり、通信網10−4内のサービス提供装置11−4との間で電子メールを送受したりする。
【0022】
なお、実施例1における不要データは、ISP間で送受信されるデータのうち不要であるデータを示すので、かかる不要データには、例えば、中継処理を行うISPが他のISPやユーザ端末等から受け付けたデータを隣接するISPに送り出すデータも含まれる。すなわち、一方のISPが他方のISPから受信した不要データには、単に中継された不要データでも含まれ、一方のISPが他方のISPに送信した不要データには、単に中継された不要データでも含まれる。
【0023】
課金装置12−1は、所定の期間(例えば、1ヶ月)毎に、通信網10−1と接続された他の通信網を提供するISPに対して課金を行う。図1に示した例では、通信網10−1と通信網10−4とがピアリングにより接続されているので、課金装置12−1は、通信網10−4を提供するISP10p−4に対して接続料金を課金することはない。ただし、実施例1における課金装置12−1は、接続料金とは別に、算定装置100−1によって算定された付加料金をISP10p−4に課金する。例えば、課金装置12−1は、算定装置100−1によって算定された付加料金を課金金額として、かかる課金金額を示す情報を通信網10−4内の課金装置12−4に通知することで、ISP10p−4に課金金額を課金する。なお、算定装置100−1による付加料金の算定処理については後述する。
【0024】
また、図1に示した例では、通信網10−1と通信網10−2とがトランジットにより接続されているので、課金装置12−1は、通信網10−2を提供するISP10p−2に対して接続料金を課金する。具体的には、課金装置12−1は、通信網10−1と通信網10−2との間で送受されたデータの量に基づいて、接続料金を算定する。さらに、実施例1における課金装置12−1は、かかる接続料金に加えて、算定装置100−1によって算定された付加料金をISP10p−2に課金する。例えば、課金装置12−1は、算定装置100−1によって算定された付加料金を接続料金に加算又は減算し、加算後又は減算後の料金を課金金額として、かかる課金金額を示す情報を通信網10−2内の課金装置12−2に通知することで、ISP10p−2に課金金額を課金する。
【0025】
算定装置100−1は、所定の期間(例えば、1ヶ月)毎に、通信網10−1と他の通信網との間で送受される不要データに基づいて付加料金を算定し、算定した付加料金を示す付加料金情報を課金装置12−1に通知する。
【0026】
具体的には、実施例1における算定装置100−1は、通信網10−1が他の通信網とピアリングによって接続されている場合には、通信網10−1が他の通信網から受信した不要データの量に基づいて、ISP10p−1が他の通信網を提供するISPに課金する付加料金を算定する。このとき、算定装置100−1は、通信網10−1が受信した不要データの量が多いほど、高い付加料金を算定する。
【0027】
このように付加料金を算定する理由について説明すると、通信網10−1は、他の通信網から不要データを受信した場合には、他の通信網から被害を受けていると考えられる。そして、通信網10−1が受ける被害は、他の通信網から多くの不要データを受信するほど大きくなると考えられる。そこで、算定装置100−1は、通信網10−1が他の通信網から受けている被害の代償として、通信網10−1が他の通信網から受信した不要データの量が多いほど、他の通信網を提供するISPに課金する付加料金を高く算定する。
【0028】
図1に示した例では、通信網10−1と通信網10−4とがピアリングにより接続されている。したがって、算定装置100−1は、通信網10−1が通信網10−4から受信した不要データの量が多いほど、ISP10p−4がISP10p−1に支払う付加料金を高く算定する。
【0029】
また、算定装置100−1は、通信網10−1が他の通信網とトランジットによって接続されている場合には、通信網10−1が他の通信網から受信した不要データの量に基づいて、他のISPがISP10p−1に支払う付加料金を算定するとともに、通信網10−1が他の通信網に送信した不要データの量に基づいて、ISP10p−1が他のISPに支払う付加料金を算定する。このとき、算定装置100−1は、通信網10−1が受信した不要データの量が多いほど、他のISPがISP10p−1に支払う付加料金を高く算定し、通信網10−1が送信した不要データの量が多いほど、ISP10p−1が他のISPに支払う付加料金を高く算定する。
【0030】
このように付加料金を算定する理由について説明すると、上記の通り、通信網10−1は、他の通信網から不要データを受信した場合には、他の通信網から被害を受けていると考えられる。そこで、算定装置100−1は、上記と同様に、通信網10−1が他の通信網から受けている被害の代償として、通信網10−1が他の通信網から受信した不要データの量が多いほど、他の通信網を提供するISPに課金する付加料金を高く算定する。また、通信網10−1は、他の通信網に不要データを送信した場合には、他の通信網に被害を与えていると考えられる。そこで、算定装置100−1は、通信網10−1が他の通信網に与えている被害の代償として、通信網10−1が他の通信網に送信した不要データの量が多いほど、ISP10p−1が他のISPに支払う付加料金を高く算定する。
【0031】
図1に示した例では、通信網10−1と通信網10−2とがトランジットにより接続されている。したがって、算定装置100−1は、通信網10−1が通信網10−2から受信した不要データの量が多いほど、ISP10p−1がISP10p−2に課金する付加料金を高く算定する。また、算定装置100−1は、通信網10−1が通信網10−2に送信した不要データの量が多いほど、ISP10p−1がISP10p−2に支払う付加料金を高く算定する。
【0032】
ここで、実施例1における算定装置100−1による算定処理が通信網間の接続形態によって異なる理由について説明する。実施例1では、接続形態がピアリングである場合には、通信網が接続された双方のISP間では接続料金の課金がないことを前提としている。このため、接続形態がピアリングである場合には、ピアリングにより通信網が接続されている双方のISPの一方が、不要データに応じた付加料金を課金すればよい。実施例1では、接続形態がピアリングである場合には、双方のISPが、受信した不要データに基づいて付加料金を算定し、算定した付加料金を他方のISPに課金するものとする。
【0033】
図1に示した例では、通信網10−1と通信網10−4とがピアリングにより接続されている。したがって、ISP10p−1の算定装置100−1は、通信網10−1が通信網10−4から受信した不要データの量に基づいて、ISP10p−1がISP10p−4に課金する付加料金を算定する。同様に、ISP10p−4の算定装置100−4は、通信網10−4が通信網10−1から受信した不要データの量に基づいて、ISP10p−4がISP10p−1に課金する付加料金を高く算定する。
【0034】
一方、実施例1では、接続形態がトランジットである場合には、一方のISPが他方のISPに接続料金を定期的に課金することを前提としている。図1に示した例では、通信網10−1のISP10p−1が通信網10−2のISP10p−2に接続料金を定期的に課金する。このとき、ISP10p−2がISP10p−1に不要データに応じた付加料金を課金すると、課金形態等が複雑になる。また、ISP10p−1が、不要データに応じた付加料金を接続料金と異なるタイミングでISP10p−2に課金しても、課金形態等が複雑になる。
【0035】
そこで、実施例1では、一方のISPが他方のISPに接続料金を課金している場合には、一方のISPが、双方のISP間で流通した不要データの量に基づいて付加料金を算定し、算定した付加料金を加算又は減算した接続料金を他方のISPに課金するものとする。図1に示した例では、ISP10p−1の算定装置100−1は、通信網10−1が通信網10−2から受信した不要データの量が多いほど、ISP10p−2に課金する接続料金を増額し、通信網10−1が通信網10−2に送信した不要データの量が多いほど、ISP10p−2に課金する接続料金を減額する。
【0036】
このように、実施例1では、接続形態がピアリングである場合には、双方のISPが付加料金を課金する。したがって、ISP10p−1の算定装置100−1は、ISP10p−4に課金する付加料金を算定する際に、通信網10−1が通信網10−4から受信した不要データを用いる。また、実施例1では、接続形態がトランジットである場合には、不要データの量に応じて算定される付加料金を接続料金とともに課金する。したがって、ISP10p−2に接続料金を課金するISP10p−1の算定装置100−1は、不要データに応じた付加料金を算定する際に、通信網10−1が通信網10−2から受信した不要データと、通信網10−1が通信網10−2に送信した不要データとの双方を用いる。
【0037】
次に、図2に示す例を用いて、上述した算定装置100−1による付加料金の算定処理について説明する。図2は、実施例1における算定装置100−1による付加料金の算定処理の一例を説明するための図である。なお、図2では、トランジットにより接続されている通信網10−1及び通信網10−2を例に挙げて、算定装置100−1による算定処理について説明する。
【0038】
図2の左側の状態において、通信網10−1は、所定の期間に、不要データでないデータである正当データを通信網10−2に送信したものとする。図2では、所定の期間に通信網10−1から通信網10−2に送信された正当データ量が「T1」であることを示している。また、通信網10−2は、所定の期間に、データ量が「T2」である正当データを通信網10−1に送信したものとする。ここでは、所定の期間に、通信網10−1と通信網10−2との間で不要データが送受されていないものとする。
【0039】
かかる場合に、通信網10−1内の課金装置12−1は、データ「T1」及び「T2」に基づいて、ISP10p−2に課金する接続料金「F1」を算定する。例えば、算定装置100−1は、以下の式(1)により、接続料金「F1」を算定する。
【0040】
F1=α1(T1+T2)α2 ・・・ (1)
【0041】
上記式(1)のうち、「α1」は、トランジット係数を示し、「α2」は、トランジット次数を示す。トランジット係数「α1」及びトランジット次数「α2」は、ISP10p−1とISP10p−2との間で予め決められる。課金装置12−1は、上記式(1)を用いた場合には、データ「T1」とデータ「T2」との和が大きいほど、高い接続料金を算定する。このようにして、課金装置12−1は、ISP10p−2に定期的に課金する課金金額「F1」を算定する。
【0042】
続いて、図2の右側の状態では、上記例と同様に、通信網10−1は、所定の期間にデータ量が「T1」である正当データを通信網10−2に送信しており、通信網10−2は、データ量が「T2」である正当データを通信網10−1に送信している。そして、通信網10−1内の算定装置100−1は、上記例と同様に、ISP10p−1がISP10p−2に課金する接続料金「F1」を算定する。
【0043】
さらに、図2の右側の状態では、通信網10−1は、データ量が「U1」である不要データを通信網10−2に送信している。すなわち、通信網10−1は、通信網10−2に不要データを送信することで、通信網10−2に対して被害を与えていると考えられる。このため、算定装置100−1は、かかる被害の代償として、ISP10p−1がISP10p−2に課金する接続料金「F1」を減額するために、不要データの量「U1」に基づいて付加料金を算定する。
【0044】
また、図2の右側の状態では、通信網10−2は、データ量が「U2」である不要データを通信網10−1に送信している。すなわち、通信網10−1は、通信網10−2からデータ量「U2」の不要データを受信しており、通信網10−2から被害を被っていると考えられる。このため、算定装置100−1は、かかる被害の代償として、ISP10p−1がISP10p−2に課金する接続料金「F1」を増額するために、不要データの量「U2」に基づいて付加料金を算定する。
【0045】
例えば、算定装置100−1は、以下の式(2)により、接続料金「F1」を増額又は減額させるための付加料金「F2」を算定する。
【0046】
F2=β1(−U1+U2)β2 ・・・ (2)
【0047】
上記式(2)のうち、「β1」は、不要データトランジット係数を示し、「β2」は、不要データトランジット次数を示す。不要データトランジット係数「β1」及び不要データトランジット次数「β2」は、ISP10p−1とISP10p−2との間で予め決められる。
【0048】
上記式(2)に示すように、通信網10−1から通信網10−2に送信された不要データのデータ量「U1」が、通信網10−1が通信網10−2から受信した不要データのデータ量「U2」よりも多い場合には、算定装置100−1が算定する付加料金「F2」は負の値となる。一方、通信網10−1から通信網10−2に送信された不要データのデータ量「U1」が、通信網10−1が通信網10−2から受信した不要データのデータ量「U2」よりも少ない場合には、算定装置100−1が算定する付加料金「F2」は正の値となる。
【0049】
そして、課金装置12−1は、正当データのデータ量「T1+T2」に基づいて算定した接続料金「F1」に、算定装置100−1により算定された付加料金「F2」を加算することで、ISP10p−2に定期的に課金する課金金額「F1+F2」を算定する。
【0050】
なお、上記の通り、データ量「U1」がデータ量「U2」よりも多い場合には、付加料金「F2」は負の値となるので、課金装置12−1は、ISP10p−2に課金する接続料金「F1」を減額することになる。また、データ量「U1」がデータ量「U2」よりも少ない場合には、付加料金「F2」は正の値となるので、課金装置12−1は、ISP10p−2に課金する接続料金「F1」を増額することになる。
【0051】
上記では、主に通信網10−1に含まれる各種装置について説明したが、通信網10−2、10−4、10−5に含まれる各種装置も、通信網10−1に含まれる各種装置と同様の処理を行う。例えば、通信網10−2内の課金装置12−2は、通信網10−2と通信網10−3との間で送受される正当データのデータ量に基づいて接続料金を算定する。また、通信網10−2内の算定装置100−2は、通信網10−2が通信網10−3から受信した不要データと、通信網10−2が通信網10−3に送信した不要データとに基づいて、付加料金を算定する。
【0052】
また、図1では、通信網10−3及び10−6は、他のISPに課金することがないので、通信網10−3及び10−6に課金装置及び算定装置が含まれない例を示している。ただし、通信網10−3及び10−6にも課金装置及び算定装置が含まれてもよい。
【0053】
このように、実施例1に係るネットワークシステム1は、トランジットにより接続されている通信網間では、一方のISP内の算定装置が、他方のISPに課す課金金額として、正当データの量に応じて接続料金を算定するとともに、不要データの量に応じて、かかる接続料金を増減させる。また、実施例1に係るネットワークシステム1は、ピアリングにより接続されている通信網間では、双方のISPの算定装置が、他方のISPから受信した不要データの量に応じて、他方のISPに課金する付加料金を算定する。
【0054】
これにより、実施例1に係るネットワークシステム1では、不要データを送信するISPに対して付加料金を課金するので、各ISPに対して、不要データの送信を抑止させることができる。言い換えれば、ネットワークシステム1では、各ISPに対して、不要データの送信を抑止するサービス等のアウトバウンド制御を導入させることができる。この結果、実施例1に係るネットワークシステム1は、不要データの流通量を減少させることが可能になる。
【0055】
[実施例1における算定装置の構成]
次に、図1に示した算定装置100−1、100−2、100−4及び100−5について詳細に説明する。なお、以下では、不要データが迷惑メールである場合を例に挙げて、算定装置100−1等による処理について説明する。また、以下では、算定装置100−1、100−2、100−4及び100−5を区別する必要がない場合には、これらを総称して「算定装置100」と表記する場合がある。同様に、通信網10−1〜10−6を区別する必要がない場合には、これらを総称して「通信網10」と表記する場合があり、サービス提供装置11−1〜11−6を区別する必要がない場合には、これらを総称して「サービス提供装置11」と表記する場合があり、課金装置12−1、12−2、12−4及び12−5を区別する必要がない場合には、これらを総称して「課金装置12」と表記する場合がある。
【0056】
まず、図3を用いて、図1に示した算定装置の構成について説明する。図3は、実施例1における算定装置100の構成例を示す図である。図3に例示するように、実施例1における算定装置100は、IF(Interface)部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0057】
IF部110は、他の装置との間で各種データを送受する。例えば、IF部110は、算定装置100が属する通信網が他の通信網から電子メールを受信した場合に、かかる受信メールを受け付ける。また、例えば、IF部110は、算定装置100が属する通信網が他の通信網に電子メールを送信した場合に、かかる送信メールを受信する。また、例えば、IF部110は、算定装置100が属する通信網内の課金装置12に対して付加料金情報を送信する。なお、以下では、算定装置100が属する通信網を「自通信網」と表記する場合がある。
【0058】
記憶部120は、各種情報を記憶する記憶デバイスであり、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。かかる記憶部120は、図3に例示するように、判定条件記憶部121と、迷惑メール数記憶部122と、算定条件記憶部123と、付加料金記憶部124とを含む。
【0059】
判定条件記憶部121は、電子メールが迷惑メールである条件を記憶する。かかる判定条件記憶部121は、後述する判定部131によって、電子メールが迷惑メールであるか否かが判定される際に参照される。
【0060】
図4に、実施例1における判定条件記憶部121の一例を示す。図4に示した例では、判定条件記憶部121は、「判定対象項目」、「判定条件」といった項目を有する。「判定対象項目」は、電子メールに含まれる各種項目のうち、迷惑メールであるか否かが判定される際に用いられる項目を示す。図4では、「判定対象項目」に、電子メールの件名(Subject)や送信元(From)といった項目が記憶される例を示している。また、「判定条件」は、電子メールが迷惑メールである条件を示す。
【0061】
例えば、図4では、電子メールの件名(Subject)が「aaa」である場合には、かかる電子メールが迷惑メールであることを示している。また、図4では、電子メールの件名(Subject)に「bbb」が含まれる場合には、かかる電子メールが迷惑メールであることを示している。また、図4では、電子メールの送信元(From)のドメイン部分が「xxx.xx」である場合や、電子メールの送信元(From)に「yyy」が含まれる場合には、かかる電子メールが迷惑メールであることを示している。
【0062】
なお、判定条件記憶部121に記憶される各種情報は、ISP間で予め決められる。例えば、図4に示した例では、判定条件記憶部121は、ISP10p−1とISP10p−2との間や、ISP10p−1とISP10p−4との間で予め決められた判定条件を記憶する。なお、判定条件記憶部121は、自通信網と接続される他の通信網毎に、異なる判定条件を記憶してもよい。例えば、ISP10p−1とISP10p−2との間で決められた判定条件と、ISP10p−1とISP10p−4との間で決められた判定条件とが異なる場合には、判定条件記憶部121は、通信網10−1と通信網10−2との間で送受される電子メールを判定する際に用いられる判定条件と、通信網10−1と通信網10−4との間で送受される電子メールを判定する際に用いられる判定条件とを別に保持してもよい。
【0063】
また、図4に示した例では、判定条件記憶部121が、電子メールが迷惑メールである条件を記憶する例を示した。言い換えれば、図4では、判定条件記憶部121が、ブラックリスト形式で判定条件を記憶する例を示した。しかし、判定条件記憶部121が記憶する判定条件はこの例に限られない。例えば、判定条件記憶部121は、ホワイトリスト形式として、電子メールが迷惑メールでない条件を記憶してもよい。一例を挙げて説明すると、判定条件記憶部121は、例えば、電子メールの件名(Subject)に「ccc」が含まれる場合には、かかる電子メールが迷惑メールでないことを示す判定条件を記憶してもよいし、電子メールの送信元(From)のドメイン部分が「zzz.zzz」である場合には、かかる電子メールが迷惑メールでないことを示す判定条件を記憶してもよい。
【0064】
図3の説明に戻って、迷惑メール数記憶部122は、自通信網と他の通信網との間で送受された迷惑メールの数を記憶する。かかる迷惑メール数記憶部122は、後述する算出部132によって更新され、後述する算定部133によって参照される。
【0065】
図5に、実施例1における迷惑メール数記憶部122の一例を示す。なお、図5に例示した迷惑メール数記憶部122は、図1に例示した算定装置100−1が有するものとする。図5に示した例では、迷惑メール数記憶部122は、「通信網」、「迷惑メール受信数」、「迷惑メール送信数」といった項目を有する。
【0066】
「通信網」は、算定装置100−1が属する通信網10−1と接続された他の通信網を識別する情報を示す。なお、図5に示した例では、迷惑メール数記憶部122の「通信網」には、通信網を識別する情報として、図1に示した通信網に付した参照符号が記憶されるものとする。例えば、迷惑メール数記憶部122に記憶されている通信網「10−2」は通信網10−2を示し、迷惑メール数記憶部122に記憶されている通信網「10−4」は、通信網10−4を示す。また、「迷惑メール受信数」は、通信網10−1が他の通信網から受信した迷惑メールの数を示す。また、「迷惑メール送信数」は、通信網10−1が他の通信網に送信した迷惑メールの数を示す。
【0067】
例えば、図5では、通信網10−1が通信網10−2から受信した迷惑メールの数が「100000」であり、通信網10−1が通信網10−2に送信した迷惑メールの数が「5000」であることを示している。また、例えば、図5では、通信網10−1が通信網10−4から受信した迷惑メールの数が「2000」であることを示している。なお、通信網10−1と通信網10−4とはピアリングにより接続されているので、実施例1における迷惑メール数記憶部122は、通信網10−1が通信網10−4に送信した迷惑メール送信数を記憶しない。
【0068】
図5に示した例では、迷惑メール数記憶部122が、迷惑メール受信数と、迷惑メール送信数とを別に記憶する例を示したが、迷惑メール数記憶部122は、迷惑メール受信数と迷惑メール送信数とを統合して、迷惑メール送受信数を記憶してもよい。例えば、迷惑メール数記憶部122は、迷惑メール送受信数として、通信網10−1が他の通信網から受信した迷惑メールの数から、通信網10−1が他の通信網に送信した迷惑メールの数を減算した数を記憶してもよい。図5に示した例を用いて説明すると、迷惑メール数記憶部122は、通信網「10−2」に対応付けて、迷惑メール送受信数「+95000」を記憶し、通信網「10−4」に対応付けて、迷惑メール送受信数「+2000」を記憶してもよい。また、例えば、通信網10−1が通信網10−2から受信した迷惑メールの数が「1000」であり、通信網10−1が通信網10−2に送信した迷惑メールの数が「5000」である場合には、迷惑メール数記憶部122は、通信網「10−2」に対応付けて、迷惑メール送受信数「−4000」を記憶してもよい。
【0069】
図3の説明に戻って、算定条件記憶部123は、付加料金の算定条件を記憶する。かかる算定条件記憶部123は、後述する算定部133によって付加料金が算定される際に参照される。
【0070】
図6に、実施例1における算定条件記憶部123の一例を示す。なお、図6に例示した算定条件記憶部123は、図1に例示した算定装置100−1が有するものとする。図6に示した例では、算定条件記憶部123は、「通信網」、「算定条件」といった項目を有する。「通信網」は、図5に示した「通信網」に対応する。「算定条件」は、迷惑メール数に応じて算定される付加料金の算出条件を示す。図5に示した例では、「算定条件」には、付加料金を算定するための式が記憶される。
【0071】
例えば、図6では、ISP10p−1がISP10p−2に課金する付加料金が、「β11×Nβ12」によって算定されることを示している。また、例えば、図6では、ISP10p−1がISP10p−4に課金する付加料金が、「β21×Nβ22」によって算定されることを示している。
【0072】
なお、図6に示した「算定条件」に記憶されている式のうち、「N」は、図5に例示した迷惑メール数記憶部122の迷惑メール受信数から迷惑メール送信数を減算した値を示し、「β11」及び「β21」は、不要データトランジット係数を示し、「β12」及び「β22」は、不要データトランジット次数を示す。不要データトランジット係数「β11」及び不要データトランジット次数「β12」は、ISP10p−1とISP10p−2との間で予め決められ、不要データトランジット係数「β21」及び不要データトランジット次数「β22」は、ISP10p−1とISP10p−4との間で予め決められる。
【0073】
ここで、不要データトランジット次数「β12」及び「β22」は、「1」より大きいことが望ましい。図7を用いて具体的に説明する。図7は、不要データトランジット次数に応じた付加料金の変動量を示す図である。図7に示すように、不要データトランジット次数「β12」及び「β22」が「1」未満である場合には、迷惑メール数「N」が増加するほど、付加料金の増加量が減少する。一方、不要データトランジット次数「β12」及び「β22」が「1」である場合には、迷惑メール数「N」に比例して、付加料金が増大する。また、不要データトランジット次数「β12」及び「β22」が「1」よりも大きい場合には、迷惑メール数「N」が増加するほど、付加料金が指数的に増大する。
【0074】
すなわち、不要データトランジット次数「β12」及び「β22」が「1」よりも大きい場合には、迷惑メール数「N」が増大するほど、付加料金の増大量が大きくなるので、接続先通信網のISPに対する迷惑メールの送信抑止効果が高まる。また、ISP10p−1自身も、接続先の通信網に大量の迷惑メールを送信すると、接続先通信網のISPに高額な付加料金を支払うことになるので、迷惑メールの送信抑止に対する意識が高まる。このようなことから、不要データトランジット次数「β12」及び「β22」が「1」より大きい場合には、迷惑メールの送信抑止効果が高まるので、ネットワークシステム1を流通する迷惑メールの数をより減少させることが可能になる。
【0075】
図3の説明に戻って、付加料金記憶部124は、迷惑メール数に応じて算定された付加料金を示す付加料金情報を記憶する。かかる付加料金記憶部124は、後述する算定部133によって更新され、後述する通知部134によって参照される。
【0076】
図8に、実施例1における付加料金記憶部124の一例を示す。なお、図8に例示した付加料金記憶部124は、図1に例示した算定装置100−1が有するものとする。図8に示した例では、付加料金記憶部124は、「通信網」、「付加料金情報」といった項目を有する。「通信網」は、図5に示した「通信網」に対応する。「付加料金情報」は、迷惑メール数に応じて算定された付加料金を示す。なお、「付加料金情報」に記憶されている値が「+(プラス)」である場合には、ISP10p−1が他のISPに付加料金を課金することを示し、「付加料金情報」に記憶されている値が「−(マイナス)」である場合には、ISP10p−1が他のISPに付加料金を支払うことを示す。
【0077】
例えば、図8では、ISP10p−1がISP10p−2に課金する付加料金が「+F11」であることを示している。すなわち、この例では、ISP10p−1がISP10p−2に課金する接続料金を「F11」だけ増額することを示している。また、例えば、図8では、ISP10p−1がISP10p−4に課金する付加料金が「F12」であることを示している。なお、図8には図示していないが、例えば、付加料金記憶部124が、通信網「10−2」と付加料金情報「−F13」とを対応付けて記憶しているには、ISP10p−1がISP10p−2に課金する接続料金を「F13」だけ減額することを示すことになる。
【0078】
図3の説明に戻って、制御部130は、算定装置100を全体的に制御する制御デバイスであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により実現される。かかる制御部130は、判定部131と、算出部132と、算定部133と、通知部134とを有する。
【0079】
判定部131は、自通信網と他の通信網との間で送受された電子メールが迷惑メールであるか否かを判定する。具体的には、判定部131は、自通信網が他の通信網から電子メールを受信した場合に、かかる電子メールをIF部110から受け付ける。そして、判定部131は、判定条件記憶部121に記憶されている判定条件に基づいて、IF部110から受け付けた受信メールが迷惑メールであるか否かを判定する。
【0080】
また、判定部131は、自通信網が他の通信網に電子メールを送信した場合に、かかる電子メールをIF部110から受け付ける。そして、判定部131は、自通信網と電子メールの送信先通信網とがピアリングにより接続されている場合には、処理を終了する。一方、判定部131は、自通信網と電子メールの送信先通信網とがトランジットにより接続されている場合には、判定条件記憶部121に記憶されている判定条件に基づいて、IF部110から受け付けた送信メールが迷惑メールであるか否かを判定する。
【0081】
例えば、判定条件記憶部121に記憶されている各種情報が図4に示した状態であるものとする。そして、通信網10−1が通信網10−2から、件名「aaa」である電子メールを受信したものとする。かかる場合に、算定装置100−1の判定部131は、通信網10−1が受信した電子メールの件名「aaa」が、判定条件記憶部121の判定対象項目「件名」に対応する判定条件『「aaa」と一致』を満たすので、通信網10−1が通信網10−2から迷惑メールを受信したと判定する。
【0082】
また、上記例において、通信網10−1が通信網10−2から、件名「ccc」である電子メールを受信したものとする。かかる場合に、算定装置100−1の判定部131は、通信網10−1が受信した電子メールの件名「ccc」が、判定条件記憶部121の判定対象項目「件名」に対応する判定条件のいずれも満たさないので、通信網10−1が通信網10−2から迷惑メールでない電子メールを受信したと判定する。
【0083】
なお、判定条件記憶部121がホワイトリスト形式により判定条件を記憶する場合には、判定部131は、通信網10−1によって送受信された電子メールが、判定条件記憶部121に記憶されている判定条件を1つも満たさない場合には、かかる電子メールが迷惑メールであると判定する。言い換えれば、判定部131は、通信網10−1によって送受信された電子メールが、判定条件記憶部121に記憶されている判定条件を1つでも満たす場合には、かかる電子メールが迷惑メールでないと判定する。
【0084】
算出部132は、判定部131によって判定された迷惑メールの数を算出し、算出した迷惑メール数を迷惑メール数記憶部122に格納する。具体的には、算出部132は、判定部131によって受信メールが迷惑メールであると判定された場合には、自通信網に対して電子メールを送信した通信網毎に、迷惑メール数記憶部122の迷惑メール受信数をカウントアップする。また、算出部132は、判定部131によって送信メールが迷惑メールであると判定された場合には、電子メールの送信先である通信網毎に、迷惑メール数記憶部122の迷惑メール送信数をカウントアップする。
【0085】
例えば、判定部131によって通信網10−1が通信網10−2から迷惑メールを受信したと判定された場合には、算出部132は、迷惑メール数記憶部122の通信網「10−2」に対応する迷惑メール受信数をカウントアップする。
【0086】
なお、算出部132は、所定の期間毎に、迷惑メール数記憶部122に記憶されている迷惑メール受信数及び迷惑メール送信数を「0」に更新する。例えば、算出部132は、ISP間において行われる課金が終了した後に、迷惑メール数記憶部122に記憶されている迷惑メール受信数及び迷惑メール送信数を「0」にクリアする。
【0087】
算定部133は、所定の期間(例えば、1ヶ月)毎に、迷惑メール数記憶部122及び算定条件記憶部123を参照して、迷惑メール数に応じた付加料金を算定する。具体的には、算定部133は、迷惑メール数記憶部122に記憶されている通信網毎に、迷惑メール受信数から迷惑メール送信数を減算した迷惑メール数「N」を算出する。そして、算定部133は、通信網毎に算出した迷惑メール数「N」と、算定条件記憶部123の通信網に対応する算定条件とを用いて、迷惑メール数に応じた付加料金を算定する。そして、算定部133は、算定した付加料金を付加料金記憶部124に格納する。
【0088】
例えば、迷惑メール数記憶部122に記憶されている各種情報が図5に示した状態であり、算定条件記憶部123に記憶されている各種情報が図6に示した状態であるものとする。かかる場合に、算定部133は、迷惑メール数記憶部122の通信網「10−2」に対応する迷惑メール受信数「100000」から迷惑メール送信数「5000」を減算することで、迷惑メール数「N」=「95000」を算出する。そして、算定部133は、算定条件記憶部123の通信網「10−2」に対応する算定条件「β11×Nβ12」を取得し、取得した算定条件「β11×Nβ12」の「N」に「95000」を代入することで付加料金を算定する。そして、算定部133は、付加料金記憶部124の通信網「10−2」に対応する付加料金情報に、算定した付加料金を格納する。算定部133は、通信網「10−4」についても同様の処理を行う。
【0089】
通知部134は、所定の期間(例えば、1ヶ月)毎に、算定部133によって算定された付加料金を、自通信網内の課金装置12に通知する。具体的には、通知部134は、付加料金記憶部124に記憶されている通信網と付加料金情報との組合せを取得し、取得した通信網と付加料金情報との組合せを課金装置12に通知する。
【0090】
例えば、付加料金記憶部124に記憶されている各種情報が図8に示した状態であるものとする。かかる場合に、通知部134は、付加料金記憶部124から、「通信網、付加料金情報」の組合せとして「10−2、+F11」と「10−4、+12」を取得し、取得した情報を課金装置12に通知する。これにより、課金装置12は、接続料金に付加料金「F11」を加算した課金金額をISP10p−2に課金する。また、課金装置12は、付加料金「F12」を課金金額として、通信網10−4のISP10p−2に課金する。
【0091】
[実施例1における算定装置による迷惑メール数の算出処理手順]
次に、図9を用いて、実施例1における算定装置100による迷惑メール数の算出処理手順について説明する。図9は、実施例1における算定装置100による迷惑メール数の算出処理手順を示すフローチャートである。
【0092】
図9に示すように、算定装置100の判定部131は、自通信網が他の通信網から電子メールを受信した場合に(ステップS101肯定)、判定条件記憶部121に記憶されている判定条件に基づいて、かかる受信メールが迷惑メールであるか否かを判定する(ステップS102)。
【0093】
そして、算定装置100の算出部132は、判定部131によって受信メールが迷惑メールであると判定された場合には(ステップS102肯定)、かかる電子メールを送信した通信網に対応する迷惑メール数記憶部122の迷惑メール受信数をカウントアップする(ステップS103)。一方、算出部132は、判定部131によって受信メールが迷惑メールでないと判定された場合には(ステップS102否定)、ステップS101の処理に戻る。
【0094】
また、算定装置100の判定部131は、自通信網が他の通信網から電子メールを受信していない場合であっても(ステップS101否定)、自通信網が他の通信網に電子メールを送信した場合には(ステップS104肯定)、自通信網が電子メールの送信先通信網とトランジットにより接続されているか否かを判定する(ステップS105)。そして、判定部131は、自通信網が電子メールの送信先通信網とトランジットにより接続されていない場合には(ステップS105否定)、ステップS101の処理に戻る。
【0095】
一方、判定部131は、自通信網が電子メールの送信先通信網とトランジットにより接続されている場合には(ステップS105肯定)、判定条件記憶部121に記憶されている判定条件に基づいて、送信メールが迷惑メールであるか否かを判定する(ステップS106)。
【0096】
そして、算定装置100の算出部132は、判定部131によって送信メールが迷惑メールであると判定された場合には(ステップS106肯定)、かかる電子メールの送信先の通信網に対応する迷惑メール数記憶部122の迷惑メール送信数をカウントアップする(ステップS107)。一方、算出部132は、判定部131によって送信メールが迷惑メールでないと判定された場合には(ステップS106否定)、ステップS101の処理に戻る。
【0097】
[実施例1における算定装置による付加料金の算定処理手順]
次に、図10を用いて、実施例1における算定装置100による付加料金の算定処理手順について説明する。図10は、実施例1における算定装置100による付加料金の算定処理手順を示すフローチャートである。
【0098】
図10に示すように、算定装置100の算定部133は、付加料金の算定タイミングであるか否かを判定する(ステップS201)。なお、算定タイミングとは、ISP間で課金処理を行うタイミング等を示し、例えば1ヶ月おきに発生する。
【0099】
そして、算定部133は、算定タイミングである場合に(ステップS201肯定)、迷惑メール数記憶部122に記憶されている通信網毎に、迷惑メール受信数から迷惑メール送信数を減算した迷惑メール数「N」を算出する(ステップS202)。
【0100】
続いて、算定部133は、迷惑メール数「N」と、算定条件記憶部123の通信網に対応する算定条件とを用いて、迷惑メール数に応じた付加料金を算定する(ステップS203)。
【0101】
続いて、算定部133は、ステップS203において算定した付加料金を付加料金記憶部124に格納する(ステップS204)。そして、通知部134は、付加料金記憶部124に格納された付加料金を自通信網内の課金装置12に通知する(ステップS205)。これにより、課金装置12は、通知部134から通知された付加料金により増減させた接続料金を他のISPに課金するか、又は、通知部134から通知された付加料金を他のISPに課金する。
【0102】
[実施例1の効果]
上述してきたように、実施例1に係るネットワークシステム1は、算定装置100が、自通信網が他の通信網から受信したデータのうち、ISP間で予め不要であることが決められている不要データの量を算出する。そして、算定装置100が、かかる不要データの量が多いほど、他の通信網を提供するISPに課す課金金額を高く算定する。
【0103】
これにより、実施例1に係るネットワークシステム1では、各ISPに対して、不要データの送信を抑止させることができるので、不要データの送信を抑止するサービス等のアウトバウンド制御を各ISPに導入させることを促進できる。この結果、実施例1に係るネットワークシステム1は、不要データの流通量を減少させることができる。例えば、通信網間がピアリング等により接続されており、ISP間で接続料金の課金が行われていない場合に、ISP間で不要データに応じた付加料金を課金し合うことができる。
【0104】
また、実施例1に係るネットワークシステム1は、算定装置100が、自通信網が他の通信網に送信したデータのうち、ISP間で予め不要であることが決められている不要データの量を算出し、算出した不要データの量が多いほど、他のISPから課される課金金額を高く算定する。
【0105】
これにより、実施例1に係るネットワークシステム1では、各ISPに対して、不要データの送信を抑止させることができるので、不要データの流通量を減少させることができる。例えば、通信網間がトランジット等により接続されており、ISP間で接続料金の課金が行われている場合に、接続料金の課金を行っているISPが、不要データに応じた付加料金を他方のISPに課金するか、又は、不要データに応じた付加料金を他方のISPに支払うことができる。
【0106】
また、実施例1に係るネットワークシステム1は、算定装置100が、一方のISPが他方のISPに接続料金を課金している場合に、自通信網が他の通信網から受信したデータの量が多いほど接続料金を増額し、自通信網が他の通信網に送信したデータの量が多いほど接続料金を減額する。
【0107】
これにより、実施例1に係るネットワークシステム1は、ISPが、接続料金とともに、不要データに応じた付加料金を他のISPに課金することができる。すなわち、実施例1に係るネットワークシステム1は、課金形態を複雑化することなく、付加料金を課金することができる。
【0108】
また、上述してきた実施例1における付加料金の課金制度(以下、「付加課金制度」と表記する場合がある)は、各ISPに導入されやすいという効果を有する。かかる点について、図11及び図12を用いて具体的に説明する。図11及び図12は、実施例1における付加課金制度の導入例を示す図である。
【0109】
図11では、ISP21p〜26pによって提供される通信網の例を示す。ここで、図11に示した例では、ISP21p及び22pが付加課金制度を導入しており、ISP23pが付加課金制度を導入していないものとする。かかる場合に、大量の不要データを送信するような悪性ISPは、付加料金が課金されないISP23pに不要データを送信するようになる。言い換えれば、付加課金制度を導入していないISP23pには、多くの悪性ISPから接続されるようになる。この結果、ISP23pは、ISP24p〜26pに付加料金を課金しない一方で、ISP23pの通信網がISP22pの通信網に大量の不要データを送信することで、ISP22pに高額な付加料金を支払うことになる。このため、ISP23pは、高額な付加料金を支払うという損害を被ることになる。なお、ISP22pは、ISP23pから受信した大量の不要データをISP21pの通信網に送信することで、ISP21pから高額な付加料金を課金されるおそれもある。しかし、ISP22pは、ISP23pに課金した付加料金をISP21pに支払う付加料金に充当できるので、少なくとも損害を被ることはない。
【0110】
このようなことから、ISP23pには、付加課金制度を導入する意識が高まる。そして、図12に示すように、ISP23pが付加課金制度を導入した場合には、ISP24p〜26pは、ISP23pに付加料金を支払うことになる。すなわち、ISP24p〜26pにも付加課金制度を導入する意識が高まるか、又は、迷惑メール対策といったアウトバウンド制御を導入する意識が高まる。
【0111】
このように、実施例1における付加課金制度には、付加料金の課金による損害を避けることを目的として、各ISPに導入されやすいという効果がある。すなわち、実施例1における付加課金制度には、各ISPに普及する可能性が高く、さらに、アウトバウンド制御を導入する意識を高めさせることができる。
【0112】
また、上記の図11及び図12に示した例からも分かるように、実施例1において説明した付加課金制度は、ネットワークシステム内の全てのISPに導入される必要はなく、一部のISPに導入されるだけでも、付加課金制度を導入しているISPや付加課金制度を導入しているISP各々の要求を満たしつつ、かつ、不要データを減少させることができる。
【実施例2】
【0113】
ところで、本発明に係る算定装置、ネットワークシステム、算定方法及び算定プログラムは、上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、実施例2では、本発明に係る算定装置、ネットワークシステム、算定方法及び算定プログラムの他の実施例について説明する。
【0114】
[迷惑メール数]
上記図3では、算定装置100が、迷惑メールの数に基づいて、付加料金を算定する例を示したが、算定装置100は、迷惑メールのサイズに基づいて、付加料金を算定してもよい。一例を挙げて説明すると、通信網10−1内の算定装置100は、通信網10−1が他の通信網から受信した迷惑メールの合計サイズが大きいほど、他の通信網を提供するISPに課金する付加料金を高く算定し、通信網10−1が他の通信網に送信した迷惑メールの合計サイズが大きいほど、他の通信網を提供するISPに支払う付加料金を高く算定する。
【0115】
[迷惑メールの重み付け]
また、上記図3では、算定装置100が、迷惑メールの数に基づいて、付加料金を算定する例を示したが、算定装置100は、迷惑メールの種類に応じて迷惑メールに重み付けをして、迷惑メールに重みに基づいて、付加料金を算定してもよい。
【0116】
[課金金額の算定処理]
また、上記実施例1では、課金装置12が接続料金を算定し、算定装置100が付加料金を算定する例を示したが、算定装置100は、付加料金及び接続料金を算定してもよい。かかる場合には、算定装置100は、正当データに基づいて接続料金を算定するとともに、不要データに基づいて付加料金を算定する。そして、算定装置100は、接続料金に付加料金を加算又は減算し、加算又は減算後の課金金額を課金装置12に通知する。そして、課金装置12は、算定装置100から通知された課金金額を他のISPに課金する。
【0117】
[付加料金の課金タイミング]
また、上記実施例1では、接続形態がトランジットである場合に、一方のISPが、接続料金とともに付加料金を他方のISPに課金する例を示したが、一方のISPは、接続料金と付加料金とを別のタイミングで他方のISPに課金してもよい。
【0118】
[付加料金の算定主体]
また、上記実施例1では、接続形態がピアリングである場合には、双方のISPが、他方のISPから受信した不要データに基づいて付加料金を算定し、算定した付加料金を他方のISPに課金する例を示した。しかし、双方のISPが、他方のISPに送信した不要データに基づいて付加料金を算定し、算定した付加料金を他方のISPに支払ってもよい。または、接続形態がピアリングである場合であっても、接続形態がトランジットである場合と同様に、双方のISPのいずれかが、他方のISPから受信した不要データと、他方のISPに送信した不要データとに基づいて付加料金を算定し、かかる付加料金を他方のISPに課金するか、又は、かかる付加料金を他方のISPに支払ってもよい。
【0119】
[付加料金の算定主体]
また、上記実施例1では、接続形態がトランジットである場合には、接続料金を課金するISPが、他方のISPから受信した不要データと、他方のISPに送信した不要データとに基づいて付加料金を算定し、算定した付加料金を接続料金とともに他方のISPに課金する例を示した。しかし、接続形態がトランジットである場合であっても、接続形態がピアリングである場合と同様に、双方のISPが、他方のISPから受信した不要データに基づいて付加料金を算定し、算定した付加料金を他方のISPに課金してもよい。または、接続形態がトランジットである場合であっても、双方のISPが、他方のISPに送信した不要データに基づいて付加料金を算定し、算定した付加料金を他方のISPに支払ってもよい。
【0120】
[付加料金の算定主体]
また、上記実施例1では、通信網が接続されたISPのいずれか一方が、他方のISPから受信した不要データに基づいて付加料金を算定するか、他方のISPから受信した不要データと他方のISPに送信した不要データとに基づいて付加料金を算定する例を示した。しかし、通信網が接続されたISPの双方が、他方のISPから受信した不要データと他方のISPに送信した不要データとに基づいて付加料金を算定してもよい。かかる場合には、ISPの双方で算定された付加料金が一致する場合に、付加料金の課金処理を行うことができるので、付加料金を偽装することを防止することができる。
【0121】
このように、上記実施例1において説明した付加課金制度は、相互に接続されているISPに注目した場合には、一方のISP−Aと他方のISP−Bとが付加料金を算定する形態は以下に示すパターンが考えられる。
【0122】
(1)パターン1
ISP−A:受信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:受信した不要データから付加料金を算定
(2)パターン2
ISP−A:受信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:送信した不要データから付加料金を算定
(3)パターン3
ISP−A:受信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:受信及び送信した不要データから付加料金を算定
(4)パターン4
ISP−A:受信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:付加料金を算定しない
(5)パターン5
ISP−A:送信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:受信した不要データから付加料金を算定
(6)パターン6
ISP−A:送信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:送信した不要データから付加料金を算定
(7)パターン7
ISP−A:送信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:受信及び送信した不要データから付加料金を算定
(8)パターン8
ISP−A:送信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:付加料金を算定しない
(9)パターン9
ISP−A:受信及び送信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:受信した不要データから付加料金を算定
(10)パターン10
ISP−A:受信及び送信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:送信した不要データから付加料金を算定
(11)パターン11
ISP−A:受信及び送信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:受信及び送信した不要データから付加料金を算定
(12)パターン12
ISP−A:受信及び送信した不要データから付加料金を算定
ISP−B:付加料金を算定しない
(13)パターン13
ISP−A:付加料金を算定しない
ISP−B:受信した不要データから付加料金を算定
(14)パターン14
ISP−A:付加料金を算定しない
ISP−B:送信した不要データから付加料金を算定
(15)パターン15
ISP−A:付加料金を算定しない
ISP−B:受信及び送信した不要データから付加料金を算定
【0123】
上記実施例1において説明した付加課金制度は、上記パターンのうち、パターン12又は15が採用されることが望ましい。例えば、ISP−AとISP−Bとがトランジットにより接続されており、ISP−AがISP−Bに接続料金を課金している場合には、パターン12が採用されることで、ISP−AがISP−Bに接続料金とともに付加料金を課金することができる。また、ISP−BがISP−Aに接続料金を課金している場合には、パターン15が採用されることで、ISP−BがISP−Aに接続料金とともに付加料金を課金することができる。また、例えば、ISP−AとISP−Bとがピアリングにより接続されている場合であっても、パターン12又は15が採用されることで、必要な付加料金を算出することができる。次いで、上記実施例1において説明した付加課金制度は、上記パターンのうち、パターン1又は6が採用されることが望ましい。パターン1又は6が採用された場合には、接続形態がピアリング又はトランジットのいずれであっても必要な付加料金を算出することができる。
【0124】
[算定装置の配置場所]
また、上記実施例1では、ISPが提供する通信網内に算定装置100が配置される例を示したが、算定装置100は、通信網と通信網との間に配置されてもよい。かかる場合には、算定装置100は、通信網間で送受されるデータを監視することで付加料金を算定し、接続された通信網を提供するISPの一方又は双方に付加料金を通知する。
【0125】
[システム構成等]
また、上記実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、図4〜図6、図8等に例示した各種データは、あくまで一例であって任意のデータに変更することができる。
【0126】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図1に例示した課金装置12と算定装置100とは統合されてもよい。また、例えば、図3に例示した判定部131と算出部132とは統合されてもよい。また、例えば、図3に例示した算定装置100内の判定部131や算出部132は、算定装置100が有さずに、サービス提供装置11や課金装置12等が有してもよい。かかる場合には、算定装置100は、サービス提供装置11等によって算出された迷惑メール数を記憶する。
【0127】
[プログラム]
また、上記実施例1に係る算定装置100が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述した算定プログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータが算定プログラムを実行することにより、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。さらに、かかる算定プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録された算定プログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施例1と同様の処理を実現してもよい。以下に、図3に示した算定装置100と同様の機能を実現する算定プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
【0128】
図13は、算定プログラムを実行するコンピュータ1000を示す図である。図13に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
【0129】
メモリ1010は、図13に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、図13に例示するように、ハードディスクドライブ1031に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、図13に例示するように、ディスクドライブ1041に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブに挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、図13に例示するように、例えばマウス1051、キーボード1052に接続される。ビデオアダプタ1060は、図13に例示するように、例えばディスプレイ1061に接続される。
【0130】
ここで、図13に例示するように、ハードディスクドライブ1031は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、開示の技術に係る算定プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1031に記憶される。例えば、図3に例示した判定部131と同様の情報処理を実行する判定手順と、算出部132と同様の情報処理を実行する算出手順と、算定部133と同様の情報処理を実行する算定手順と、通知部134と同様の情報処理を実行する通知手順とが記述されたプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1031に記憶される。
【0131】
また、上記実施例で説明した判定条件記憶部121、迷惑メール数記憶部122、算定条件記憶部123、付加料金記憶部124に記憶されるデータのように、算定プログラムによる情報処理に用いられるデータは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1031に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1031に記憶されたプログラムモジュールやプログラムデータを必要に応じてRAM1012に読み出し、判定手順、算出手順、算定手順、通知手順を実行する。
【0132】
なお、算定プログラムに係るプログラムモジュールやプログラムデータは、ハードディスクドライブ1031に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、算定プログラムに係るプログラムモジュールやプログラムデータは、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1 ネットワークシステム
10 通信網
100 算定装置
110 IF部
120 記憶部
121 判定条件記憶部
122 迷惑メール数記憶部
123 算定条件記憶部
124 付加料金記憶部
130 制御部
131 判定部
132 算出部
133 算定部
134 通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット接続サービスを提供する第1のプロバイダと第2のプロバイダとの間で課される課金金額を算定する算定装置であって、
前記第1のプロバイダによって提供される第1の通信網が前記第2のプロバイダによって提供される第2の通信網から受け付けたデータのうち、前記第1のプロバイダと前記第2のプロバイダとの間で予め不要であることが決められているデータである不要受信データの量を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された不要受信データの量が多いほど、前記第1のプロバイダが前記第2のプロバイダに課す課金金額を高く算定する算定部と
を有することを特徴とする算定装置。
【請求項2】
前記算出部は、
前記第1の通信網が前記第2の通信網に送り出したデータのうち、前記第1のプロバイダと前記第2のプロバイダとの間で予め不要であることが決められているデータである不要送信データの量を算出し、
前記算定部は、
前記算出部によって算出された不要送信データの量が多いほど、前記第2のプロバイダが前記第1のプロバイダに課す課金金額を高く算定する
ことを特徴とする請求項1に記載の算定装置。
【請求項3】
前記算定部は、
前記第1のプロバイダが、前記第1の通信網と前記第2の通信網との接続にかかる接続料金である課金金額を前記第2のプロバイダに課金する場合に、前記算出部によって算出された不要受信データの量と不要送信データの量との差異に基づいて、前記課金金額を増減させる
ことを特徴とする請求項2に記載の算定装置。
【請求項4】
前記算出部は、
前記第1の通信網と前記第2の通信網との間で送受信される電子メールのうち、前記第1のプロバイダと前記第2のプロバイダとの間で予め不要であることが決められている電子メールである迷惑メールの数量を算出し、
前記算定部は、
前記算出部によって算出された迷惑メールの数量に基づいて、前記課金金額を算定する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の算定装置。
【請求項5】
インターネット接続サービスを提供する第1のプロバイダと第2のプロバイダとの間で課される課金金額を算定する算定装置であって、
前記第1のプロバイダによって提供される第1の通信網が前記第2のプロバイダによって提供される第2の通信網に送り出したデータのうち、前記第1のプロバイダと前記第2のプロバイダとの間で予め不要であることが決められているデータである不要送信データの量を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された不要送信データの量が多いほど、前記第2のプロバイダが前記第1のプロバイダに課す課金金額を高く算定する算定部と
を有することを特徴とする算定装置。
【請求項6】
第1のプロバイダによって提供される第1の通信網と、第2のプロバイダによって提供される第2の通信網とを含むネットワークシステムであって、
前記第1の通信網が前記第2の通信網から受け付けたデータのうち、前記第1のプロバイダと前記第2のプロバイダとの間で予め不要であることが決められているデータである不要受信データの量を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された不要受信データの量が多いほど、前記第1のプロバイダが前記第2のプロバイダに課す課金金額を高く算定する算定部と
を有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項7】
インターネット接続サービスを提供する第1のプロバイダと第2のプロバイダとの間で課される課金金額を算定する算定装置で実行される算定方法であって、
前記第1のプロバイダによって提供される第1の通信網が前記第2のプロバイダによって提供される第2の通信網から受け付けたデータのうち、前記第1のプロバイダと前記第2のプロバイダとの間で予め不要であることが決められているデータである不要受信データの量を算出する算出工程と、
前記算出工程において算出された不要受信データの量が多いほど、前記第1のプロバイダが前記第2のプロバイダに課す課金金額を高く算定する算定工程と
を含んだことを特徴とする算定方法。
【請求項8】
コンピュータを請求項1〜5のいずれか一つに記載の算定装置として機能させるための算定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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