説明

管内ライニング層の存否判定装置

【課題】金属製の管を保持する形態の変化や、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さの変化に拘わらず、ライニング層の存否を精度よく判定できる管内ライニング層の存否判定装置を提供する。
【解決手段】管3の内面に施工される樹脂製のライニング層Nが存在するか否かを判定する判定手段が、打撃体2にて管3が叩かれた後に振動検出手段4にて検出される振動周波数のうちの、ライニング層Nが存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい特定周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報に基づいて、打撃体2にて叩かれた後の設定判定時間内の最大値、及び、設定判定時間についての積分値を求めて、積分値を最大値にて正規化した判定値の大きさに基づいて管3の内面に樹脂製のライニング層Nが存在するか否かを判定するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動付与用の打撃体にて叩かれる金属製の管の振動を検出する振動検出手段、及び、その振動検出手段の検出情報に基づいて、前記管の内面に施工される樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定する判定手段が備えられた管内ライニング層の存否判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる管内ライニング層の存否判定装置は、一般家庭に都市ガスを供給するガス管等の金属製の管の内面に、樹脂製のライニング層が存在するか否かを、金属製の管が配管された状態のままで、その管を破断することなく判定するものである。
【0003】
このような管内ライニング層の存否判定装置の従来例として、判定手段が、振動付与用の打撃体にて叩かれる金属製の管の振動を検出する振動検出手段にて検出される振動周波数のうちの、ライニング層の存在により減衰が認められる周波数(例えば、15KHz〜20KHz)について、その振動強度(振動の大きさ)の減衰状態に基づいて樹脂製ライニング層の存否を判定するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、特許文献1には、振動付与用の打撃体としての鋼球を、中間部が開口されたくの字状の案内管にて金属製の管の表面に向けて自由落下させるように案内して、中間部の開口を通して鋼球を金属製の管の表面に衝突させるようにし、そして、金属製の管の表面に衝突したのちの鋼球を、引き続き、案内管にて金属製の管から離れた位置に案内するようにして、管を叩くことが記載されている。
つまり、管を叩く強さの一定化を図ることが記載されている。
【0005】
ちなみに、特許文献1には、ライニング層の存在により減衰が認められる周波数の振動強度の減衰状態に基づいて樹脂製ライニング層の存否を判定することについて、詳細な説明はないが、樹脂製ライニング層が存在していると、存在しない場合よりも短時間で振動強度が減衰すると説明されている。
また、この特許文献1には、ライニング層の存在により減衰が認められる周波数の振動強度に着目して、振動強度に閾値を設けて、その閾値よりも振動強度が高いか低いかを判定して、樹脂製ライニング層の存否を判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−243934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩いたときの管の振動状態は、その金属製の管を保持する形態が異なれば、異なるものとなる。つまり、振動し易い状態で保持されていれば、管は大きく振動することになり、振動し難い状態で保持されていれば、管は小さな振動を生じることになる。
そして、金属製の管が種々の設置箇所に配管された状態においては、その設置箇所ごとに、金属製の管を保持する形態が種々変化するものとなる。
このため、管内ライニング層の存否判定装置においては、金属製の管を保持する形態が変化しても、ライニング層の存否を精度よく判定できるようにする必要がある。
【0008】
また、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩いたときの管の振動状態は、振動付与用の打撃体にて叩く強さが異なれば、異なるものとなる。つまり、強く叩けば管は大きく振動することになり、弱く叩けば、管は小さな振動を生じることになる。
このため、管内ライニング層の存否判定装置においては、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さが変化することがあっても、ライニング層の存否を精度よく判定できるようにする必要がある。
ちなみに、従来の管内ライニング層の存否判定装置においては、振動付与用の打撃体としての鋼球を、中間部が開口されたくの字状の案内管にて案内しながら、金属製の管を叩くようにすることにより、叩く強さの変動を抑制するようにしているが、くの字状の案内管の姿勢の変化等により、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さが変動するものとなる。
【0009】
要するに、管内ライニング層の存否判定装置においては、金属製の管を保持する形態の変化や、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さの変化に拘わらず、ライニング層の存否を精度よく判定できるようにすることが望まれるものである。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、金属製の管を保持する形態の変化や、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さの変化に拘わらず、ライニング層の存否を精度よく判定できる管内ライニング層の存否判定装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の管内ライニング層の存否判定装置の第1特徴構成は、
振動付与用の打撃体にて叩かれる金属製の管の振動を検出する振動検出手段、及び、その振動検出手段の検出情報に基づいて、前記管の内面に施工される樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定する判定手段が備えられたものにおいて、
前記判定手段が、前記打撃体にて前記管が叩かれた後に前記振動検出手段にて検出される振動周波数のうちの、前記ライニング層が存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい特定周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報に基づいて、前記打撃体にて叩かれた後の設定判定時間内の最大値、及び、前記設定判定時間についての積分値を求めて、前記積分値を前記最大値にて正規化した判定値の大きさに基づいて前記管の内面に樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定するように構成されている点を特徴とする。
【0012】
すなわち、打撃体にて叩かれた後に振動検出手段にて検出される振動周波数のうちの、ライニング層が存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい特定周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報に基づいて、判定手段が、打撃体にて叩かれた後の設定判定時間内の最大値、及び、設定判定時間についての積分値を求めることになる。
【0013】
そして、判定手段が、積分値を最大値にて正規化した判定値の大きさに基づいて管の内面に樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定することになる。
ちなみに、積分値を最大値にて正規化するには、例えば、積分値を最大値にて除算することにより行うことになる。
【0014】
つまり、特定周波数の振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報における、打撃体にて叩かれた後の設定判定時間についての積分値は、ライニング層が存在する場合にはライニング層が存在しない場合よりも小さな値となる傾向を示すものである。
また、特定周波数の振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報における、打撃体にて叩かれた後の設定判定時間内の最大値は、ライニング層の存否によっては変化せずに、金属製の管を保持する形態が振動し易い形態であれば大きくなり、また、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さが強いほど大きくなる傾向を示すものである。
【0015】
したがって、積分値を最大値にて正規化した判定値は、ライニング層の存否によって変化する値であり、しかも、金属製の管を保持する形態の変化や、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さの変化による影響が減少された値となるから、この判定値に基づいて、ライニング層の存否を判定することにより、金属製の管を保持する形態の変化や、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さの変化に拘わらず、ライニング層の存否を精度良く判定することが可能となるのである。
【0016】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、金属製の管を保持する形態の変化や、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さの変化に拘わらず、ライニング層の存否を精度よく判定できる管内ライニング層の存否判定装置を提供できる。
【0017】
本発明の管内ライニング層の存否判定装置の第2特徴構成は、
振動付与用の打撃体にて叩かれる金属製の管の振動を検出する振動検出手段、及び、その振動検出手段の検出情報に基づいて、前記管の内面に施工される樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定する判定手段が備えられたものにおいて、
前記判定手段が、前記打撃体にて前記管が叩かれた後に前記振動検出手段にて検出される振動周波数のうちの、前記ライニング層が存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい高域側の設定周波数域及び前記ライニング層が存在するときと存在しないときとの減衰度合いの差が小さい低域側の設定周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す高域側振動情報及び低域側振動情報に基づいて、前記高域側振動情報における前記打撃体にて叩かれた後の設定判定時間についての高域側積分値と、前記低域側振動情報における前記打撃体にて叩かれた後の前記設定判定時間についての低域側積分値を求めて、前記高域側積分値を前記低域側積分値にて正規化した判定値の大きさに基づいて前記管の内面に樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定するように構成されている点を特徴とする。
【0018】
すなわち、打撃体にて叩かれた後に振動検出手段にて検出される振動周波数のうちの、ライニング層が存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい高域側の設定周波数域及びライニング層が存在するときと存在しないときとの減衰度合いの差が小さい低域側の設定周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す高域側振動情報及び低域側振動情報に基づいて、判定手段が、高域側振動情報における打撃体にて叩かれた後の設定判定時間についての高域側積分値と、低域側振動情報における打撃体にて叩かれた後の設定判定時間についての低域側積分値を求めることになる。
【0019】
そして、判定手段が、高域側積分値を低域側積分値にて正規化した判定値の大きさに基づいて管の内面に樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定することになる。
ちなみに、高域側積分値を低域側積分値にて正規化するには、例えば、低域側積分値を高域側積分値にて除算することにより行うことになる。
【0020】
つまり、高域側振動情報における打撃体にて叩かれた後の設定判定時間についての高域側積分値は、ライニング層が存在する場合にはライニング層が存在しない場合よりも小さな値となる傾向を示すものである。
また、低域側振動情報における打撃体にて叩かれた後の設定判定時間についての低域側積分値は、ライニング層の存否によって変化せずに、金属製の管を保持する形態が振動し易い形態であれば大きくなり、また、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さが強いほど大きくなる傾向を示すものである。
【0021】
したがって、高域側積分値を低域側積分値にて正規化した判定値は、ライニング層の存否によって変化する値であり、しかも、金属製の管を保持する形態の変化や、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さの変化による影響が減少された値となるから、この判定値に基づいて、ライニング層の存否を判定することにより、金属製の管を保持する形態の変化や、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さの変化に拘わらず、ライニング層の存否を精度良く判定することが可能となるのである。
【0022】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、金属製の管を保持する形態の変化や、振動付与用の打撃体にて金属製の管を叩く強さの変化に拘わらず、ライニング層の存否を精度よく判定できる管内ライニング層の存否判定装置を提供できる。
【0023】
本発明の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記設定判定時間が、前記打撃体にて前記管が叩かれてから設定待機時間が経過した時点を開始時点とするように定められている点を特徴とする。
【0024】
すなわち、打撃体にて管が叩かれてから設定待機時間が経過した時点が、設定判定時間の開始時点となる。
このように、打撃体にて管が叩かれてから設定待機時間が経過した時点を設定判定時間の開始時点とすることにより、打撃体にて管が叩かれた直後に発生するノイズ成分を含まない情報を用いて判定値を求めることができるものとなり、その結果、ライニング層の存否を一層的確に判定することができる。
【0025】
つまり、打撃体にて叩かれた直後の管の振動は、例えば、打撃体の接触等の種々の影響により、乱れた振動状態となるため、打撃体にて管が叩かれた直後に振動検出手段にて検出された情報には、打撃体にて叩かれた直後の管の乱れた振動に起因するノイズ成分を含む虞があるが、設定判定時間の開始時点を、打撃体にて管が叩かれてから設定待機時間が経過した時点とすることにより、打撃体にて管が叩かれた直後に発生するノイズ成分を含まない情報を用いて判定値を求めることができる。
【0026】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1又は第2特徴構成による作用効果に加えて、打撃体にて管が叩かれた直後に発生するノイズ成分を含まない情報を用いて判定値を求めることにより、ライニング層の存否を一層的確に判定することができる管内ライニング層の存否判定装置を提供できる。
【0027】
本発明の第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
前記判定手段が、前記判定値が予め設定したライニング層存在用判定範囲であると、前記ライニング層が存在すると判定し、かつ、前記判定値が予め設定したライニング層不存在用判定範囲であると、前記ライニング層が存在しないと判定するように構成されている点を特徴とする。
【0028】
すなわち、判定手段が、判定値が予め設定したライニング層存在用判定範囲であると、ライニング層が存在すると判定し、また、判定値が予め設定したライニング層不存在用判定範囲であると、ライニング層が存在しないと判定することになる。
【0029】
つまり、ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲を、予め実験等により求めて定めることにより、ライニング層の存否を一層精度よく判定することができるのである。
【0030】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第1〜第3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、ライニング層の存否を一層精度よく判定することができる管内ライニング層の存否判定装置を提供できる。
【0031】
本発明の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲として、前記管の口径の変化に合わせて予め設定した複数種の前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲のうちの1つを選択して設定する判定範囲選択手段が設けられ、
前記判定手段が、前記判定範囲選択手段にて選択された前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲に基づいて、前記ライニング層の存否を判定するように構成されている点を特徴とする。
【0032】
すなわち、ライニング層の存否を判定する際には、予め、判定範囲選択手段によって、管の口径の変化に合わせて予め設定した複数種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲のうちの1つを、判定する管の口径に合わせて選択する。
そして、判定手段が、判定範囲選択手段にて選択されたライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲に基づいて、ライニング層の存否を判定する。
【0033】
つまり、管の振動状態は、管の口径の変化によって固有振動数が変化する等により、管の口径の変化によって変化するものとなるため、判定対象とする異なる口径の管の夫々について、ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲を、予め実験等により求めて定めることにより、口径の異なる管の夫々に応じたライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲を用いて、ライニング層の存否を適正に判定することができる。
【0034】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第4特徴構成による作用効果に加えて、口径の異なる管についてのライニング層の存否を適切に判定することができる管内ライニング層の存否判定装置を提供できる。
【0035】
本発明の第6特徴構成は、上記第4又は第5特徴構成に加えて、
前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲として、前記打撃体にて前記管を叩く強さの変化に合わせて複数種の前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲が予め設定され、
前記判定手段が、前記打撃体にて前記管が叩かれた後に前記振動検出手段にて検出される検出情報に基づいて判定した前記打撃体にて前記管を叩く強さに応じて、複数種の前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲のうちから、判定に使用する前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲を選択するように構成されている点を特徴とする。
【0036】
すなわち、ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲として、打撃体にて管を叩く強さの変化に合わせて複数種の前記ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲が予め設定されている。
そして、判定手段が、打撃体にて管が叩かれた後に振動検出手段にて検出される検出情報に基づいて判定した打撃体にて管を叩く強さに応じて、複数種の前記ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲のうちから、判定に使用するライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲を選択して、その選択したライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲に基づいて、ライニング層の存否を判定することになる。
【0037】
つまり、正規化された判定値を求めることにより、打撃体にて管を叩く強さの影響を減少させることができるが、例えば、作業者が棒状の打撃体を把持して、管を叩く場合においては、打撃体にて管を叩く強さが大きく変動する等、打撃体にて管を叩く強さが大きく変動すると、単に正規化された判定値を求めるだけでは、打撃体にて管を叩く強さの影響を十分に減少させることができず、ライニング層の存否を十分に精度良く判定できない虞がある。
【0038】
このため、打撃体にて管を叩く強さを変化させた場合の夫々について、ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲を、予め実験等により求めて定めておくことにより、打撃体にて管を叩く強さに応じたライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲を用いて、ライニング層の存否を判定することにより、打撃体にて管を叩く強さが大きく変動しても、ライニング層の存否を適正に判定することができる。
【0039】
要するに、本発明の第6特徴構成によれば、上記第4又は第5特徴構成による作用効果に加えて、打撃体にて管を叩く強さが大きく変化する場合にも、ライニング層の存否を適切に判定することができる管内ライニング層の存否判定装置を提供できる。
【0040】
本発明の第7特徴構成は、上記第1〜第6特徴構成のいずれかに加えて、
手持ち支持部を備えた携帯型のケーシングに、前記判定手段及びその判定手段の判定結果を表示する表示部が備えられ、
前記振動検出手段から延びる通信線を着脱自在に接続する接続部が、前記ケーシングに設けられている点を特徴とする。
【0041】
すなわち、携帯型のケーシングを判定対象とする金属製の管の配管箇所に運んで、判定対象とする金属製の管についてのライニング層の存否を判定できるのである。
また、ケーシングを運搬する際に、振動検出手段から延びる通信線をケーシングの接続部から外して、振動検出手段をケーシングとは切り離した状態で、ケーシングを運ぶようにすることにより、ケーシングの運搬を良好に行えるものとなる。
【0042】
そして、振動検出手段から延びる通信線をケーシングの接続部に接続して、判定対象とする金属製の管を打撃体にて叩いたときの振動を振動検出手段にて検出すれば、ケーシングに装備した判定手段が、ライニング層の存否を判定して、その判定結果をケーシングに装備した表示部にて表示させることになる。
【0043】
したがって、一般家庭の夫々におけるガス管が配管されている箇所等、金属製の管が配管されている各所に、ケーシング及び振動検出手段を運搬して、その各所において、ランニング層の存否を判定することを良好に行えるものとなる。
【0044】
要するに、本発明の第7特徴構成によれば、上記第1〜第6特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、一般家庭の夫々におけるガス管が配管されている箇所等、金属製の管が配管されている各所において、ランニング層の存否を判定することを良好に行える管内ライニング層の存否判定装置を提供できる。
【0045】
本発明の第8特徴構成は、上記第7特徴構成に加えて、
前記判定手段が、前記打撃体にて叩かれた後に前記振動検出手段にて検出される検出情報に基づいて、前記打撃体にて前記管を叩く強さを判定するように構成され、
前記ケーシングに、前記判定手段にて判定された前記打撃体にて前記管を叩く強さを表示する強さ表示手段が設けられている点を特徴とする。
【0046】
すなわち、判定対象とする金属製の管を打撃体にて叩いてランニング層の存否を判定したときに、強さ表示手段にて、打撃体にて管を叩く強さが表示されることになる。
【0047】
このように、打撃体にて管を叩く強さが表示されるから、打撃体にて管を叩く強さが弱過ぎる場合や、強過ぎる場合には、再度、叩く強さを調整しながら打撃体にて管を叩くようにして、ライニング層の存否を判定することができる。
【0048】
要するに、本発明の第8特徴構成によれば、上記第7特徴構成による作用効果に加えて、打撃体にて管を叩く強さを適正な強さにして、ライニング層の存否を良好に判定することができる管内ライニング層の存否判定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】管内ライニング層の存否判定装置の正面図
【図2】使用状態を示す概略側面図
【図3】第1実施形態の制御構成を示すブロック図
【図4】第1実施形態の信号処理状態を示す説明図
【図5】第1実施形態の判定値の判断基準を示す表
【図6】制御作動を示すフローチャート
【図7】第2実施形態の制御構成を示すブロック図
【図8】第2実施形態の信号処理状態を示す説明図
【図9】32Aの鋼管についての実験データを示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、管内ライニング層の存否判定装置は、吊り下げ式の手持ち支持部1Aを備えた携帯型のケーシング1と、振動付与用の打撃体としての棒状体2にて叩かれる金属製の管3の振動を検出する振動検出手段としてのマイクロフォン4とを備えている。
【0051】
マイクロフォン4は、コンデンサマイクを用いて構成されるものであって、それから延びる通信線4Aが、ケーシング1の接続部5に着脱自在に接続されている。
また、マイクロフォン4には、装着用の磁石6が設けられ、その磁石6を金属製の管3に磁力にて取付けることにより、マイクロフォン4を管3に装着できるように構成されている。
【0052】
そして、本実施形態の管内ライニング層の存否判定装置は、図2に示すように、一般家庭において、建物の壁面に設置されるガス供給管Kを、判定対象の金属製の管3として、管3の内面に施工される樹脂製のライニング層Nが存在するか否かを判定するのに使用されることになる。
説明を加えると、ガス供給管Kは、ガスメータGに接続される部分が、管止め具7にて建物の壁面等に止着されることになるが、ガス供給管Kにおける隣接する止め具7の間に位置する管部分を、判定対象の金属製の管3として、その管部分にマイクロフォン4を装着して、ライニング層Nの存否を判定することになる。
尚、図2において、8はガスコックである。
【0053】
また、本実施形態では、判定対象のガス供給管Kとして、外径34mm、肉厚3.2mmの管(以下、呼び径が25Aの管と略称)と、外径42.7mm、肉厚3.5mmの管(以下、呼び径が32Aの管と略称)とが存在する場合を説明する。
【0054】
ケーシング1の内部には、図3に示すように、高域フィルタ9、アナログ信号をディジタル信号に変換する信号変換器10、及び、マイクロコンピュータを用いて構成された制御部11が装備されている。
【0055】
高域フィルタ9は、マイクロフォン4にて検出される検出信号のうちの、設定高周波数域の信号を選択して、信号変換器10に出力するように構成されている。
そして、設定高周波域は、棒状体2にて判定対象の管3が叩かれた後にマイクロフォン4にて検出される振動周波数のうちの、ライニング層Nが存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい特定周波数域であり、本実施形態においては、7.1〜12KHzの範囲に設定されている。
【0056】
ちなみに、図9は、呼び径が32Aの管を打撃体にて叩いた後の振動状態を示すものであり、(a)が、ライニング層Nが存在する場合を例示するものであり、(b)が、ライニング層Nが存在しない場合を例示するものである。
そして、高周波として太線で示す線が、ライニング層Nが存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい特定周波数域(7.1〜12KHz)の振動状態を示すものである。
ちなみに、低周波として細線で示す線は、ライニング層Nが存在するときと存在しないときとの減衰度合いの差が小さい特定周波数域(0.6〜1.2KHz)の振動状態を示すものである。
【0057】
信号変換器10は、高域フィルタ9からのアナログ信号を設定サンプリング周期にてサンプリングしてディジタル信号に変換し、そのディジタル信号を制御部11に出力するように構成されている。
設定サンプリング周期は、棒状体2にて叩かれた判定対象の管3の振動状態を適切に解析できる周期に定められるものであって、本実施形態においては、2μ秒に設定されている。
ちなみに、信号変換器10からの信号は、設定高周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報に対応することになる。
【0058】
制御部11は、図4に示すように、設定高周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報に基づいて、棒状体2にて叩かれた後の設定判定時間Ts内の最大値Q、及び、設定判定時間Tsについての積分値Wを求めて、積分値Wを最大値Qにて正規化した判定値Zの大きさに基づいて管3の内面に施工される樹脂製のライニング層Nが存在するか否かを判定するように構成されている。
つまり、本実施形態においては、振動検出手段としてのマイクロフォン4の検出情報に基づいて、管3の内面に施工されるライニング層Nの存否を判定する判定手段が、制御部11を主要部として構成されている。
【0059】
そして、本実施形態においては、制御部11は、積分値Wを最大値Qにて正規化した判定値Zとして、積分値Wを最大値Qにて除算した値を求めるように構成されている。
また、制御部11は、図5に示すように、判定値Zが予め設定したライニング層存在用判定範囲であると、ライニング層Nが存在すると判定し、かつ、判定値Zが予め設定したライニング層不存在用判定範囲であると、ライニング層Nが存在しないと判定するように構成されている。
【0060】
上述した設定判定時間Tsは、棒状体2にて管3が叩かれてから設定待機時間Tmが経過した時点を開始時点とするように定められている。尚、この設定待機時間Tmは、棒状体2に管3が叩かれた直後に発生するノイズ成分を含まないようにするための時間であるが、その目安としては、設定高周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報における最大値を超えた時間とすることが好ましい。
【0061】
設定判定時間Tsを定めることについて説明を加えると、制御部11は、信号変換器10からの信号を、新たな信号が入力されると最古の信号を削除して記憶する形態で、設定個数分(例えば、5000個)を記憶している。
そして、制御部11は、図4に示すように、信号変換器10から新たな信号が入力される毎に、その信号の大きさが設定判別値Rよりも大きいか否かを判別し、設定判別値Rよりも大きいときには、棒状体2にて管3が叩かれた状態であるとして、記憶している信号を遡って信号がゼロに相当する設定小範囲となる時点を、開始基準時点Toとして求める。
【0062】
そして、制御部11は、開始基準時点Toから、設定待機時間Tm及び設定判定時間Tsを加えた時間が経過するまで、信号変換器10からの信号を入力し、その後、設定判定時間Ts内の信号に基づいて、上述の如く、最大値Q、及び、積分値Wを求めて、積分値Wを最大値Qにて正規化した判定値Zの大きさに基づいて管3の内面に樹脂製のライニング層Nが存在するか否かを判定することになる。
ちなみに、本実施形態においては、設定待機時間Tmが、例えば、2msに設定され、また、設定判定時間Tsが、例えば、4msに設定されている。
【0063】
さらに、本実施形態においては、ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲として、図5に示すように、管3の口径の変化に合わせて、つまり、呼び径が25Aの管と呼び径が32Aの管とに合わせて、2種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲が予め設定され、それら2種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲のうちの1つを選択して設定する判定範囲選択手段としての選択スイッチ12が、図1に示すように、ケーシング1に設けられている。
【0064】
したがって、制御部11が、選択スイッチ12にて選択されたライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲に基づいて、ライニング層Nの存否を判定するように構成されている。
【0065】
加えて、本実施形態においては、ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲として、棒状体2にて管3を叩く強さの変化に合わせて複数種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲が予め設定されている。
つまり、図5に示すように、呼び径が25Aの管と呼び径が32Aの管とに合わせて設定される、2種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲の夫々について、棒状体2にて管3を叩く強さとしての、4段階の強さL1〜L4の変化に合わせて、4種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲が予め設定されている。
【0066】
そして、制御部11が、棒状体2にて管3が叩かれた後にマイクロフォン4にて検出される検出情報に基づいて棒状体2にて管3を叩く強さを判定し、その判定した4段階の叩く強さL1〜L4に応じて、4種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲のうちから、判定に使用するライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲を選択するように構成されている。
ちなみに、本実施形態においては、棒状体2にて管3を叩く強さを、上述の最大値Qにて判定するように構成されている。
【0067】
また、制御部11は、棒状体2にて管3を叩く強さが、予め設定した上記の4段階の強さL1〜L4から外れている場合、つまり、4段階の強さL1〜L4の範囲よりも弱い場合や強い場合には、判定値Zを求めて、ランニング層Nの存否を求める処理を実行しないように構成されている。
【0068】
さらに、図1に示すように、ケーシング1に、制御部11の判定結果を表示する表示部として、ライニング層Nが存在するときに点灯する存在ランプ13A及びライニング層Nが存在しないときに点灯する非存在ランプ13Bが設けられている。
また、ケーシングには、液晶表示部14、及び、制御部11にて判定された棒状体2にて管3を叩く強さを表示する強さ表示手段としての強さ表示部15が設けられている。
【0069】
液晶表示部14は、制御部11が求めた、最大値Q、積分値W、及び、判定値Zを数値表示するように構成されている。
【0070】
強さ表示部15は、叩く強さに応じて点灯する6個の点灯ランプ15a〜15fを備えるものであり、15b〜15eが、上述の4段階の叩く強さL1〜L4に対応するものであり、15aが、叩く強さが4段階の叩く強さL1〜L4の範囲よりも弱いときに点灯する点灯ランプであり、15fが、叩く強さが4段階の叩く強さL1〜L4の範囲よりも強いときに点灯する点灯ランプである。
【0071】
また、ケーシング11には、図1に示すように、制御部11が記憶している設定個数分(例えば、5000個)のデータを削除するリセット指令を指令するためのリセットスイッチ16、及び、電源スイッチ17が設けられている。
【0072】
次に、制御部11の制御作動について、図6に示すフローチャートに基づいて説明を加える。
電源スイッチ17の入り操作により起動されると、先ず、リセットスイッチ16の操作により、リセットが指令されたか否かを判断し(#1)、リセットが指令されている場合には、記憶している設定個数分(例えば、5000個)のデータを削除するリセット処理を実行する(#2)。
【0073】
#1にて、リセットが指令されていないと判断したときや、#2のリセット処理を実行した後は、信号変換器10からの信号の入力タイミングであるか否かを判断し(#3)、入力タイミングでないときには、#1の処理に移行する。
#3にて入力タイミングであると判断したときは、信号変換器10からの新たな信号を記憶し、且つ、記憶している信号の個数が設定個数分(例えば、5000個)に達している場合には、最古の信号を削除する入力処理を実行する(#4)。
【0074】
#4の入力処理を実行した後は、測定フラグが「ON」であるか否かを判断し(#5)、測定フラグが「ON」でない場合には、信号変換器10からの新たな信号の大きさが設定判別値Rよりも大きいか否かを判別する(#6)。
【0075】
#6にて、信号変換器10からの新たな信号の大きさが設定判別値Rよりも大きいと判断した場合には、測定フラグを「ON」に設定し(#7)、信号変換器10からの新たな信号の大きさが設定判別値Rよりも大きくないと判断した場合には、#1の処理に移行する。
【0076】
#5にて、測定フラグが「ON」であると判断した場合や、#7にて測定フラグを「ON」に設定する処理を実行した後は、ランニング層Nの存否を判定するための判定用データの入力済みであるか否かを判断する(#8)。
つまり、#6にて、信号変換器10からの新たな信号が設定判別値Rよりも大きいと判断したときには、棒状体2にて管3が叩かれた状態であるとして、記憶している信号を遡って信号がゼロに相当する設定小範囲となる時点を、開始基準時点Toとして求め、そして、その開始基準時点Toから、設定待機時間Tm及び設定判定時間Tsを加えた時間が経過するまで、信号変換器10からの信号を入力し、開始時点Toから、設定待機時間Tm及び設定判定時間Tsを加えた時間が経過すると、判定用データの入力済みであると判断する。
【0077】
#8にて、判定用データの入力済みでないと判断したときには、#1の処理に移行し、また、判定用データの入力済みであると判断したときには、設定判定時間Ts内の信号に基づいて、最大値Q及び積分値Wを求める処理を実行する(#9)。
【0078】
#9にて、最大値Q及び積分値Wを求める処理を実行した後は、棒状体2にて管3を叩く強さとしての最大値Qが、予め設定したL1〜L4の範囲内であるか否かを判断し(#10)、最大値Qが予め設定したL1〜L4の範囲内である場合には、積分値Wを最大値Qにて正規化した判定値Zを求める判定値演算処理を実行する(#11)。
【0079】
#11の判定値演算処理を実行したのちは、棒状体2にて管3を叩く強さとしての最大値Q、及び、呼び径が25Aの管と呼び径が32Aの管とを選択する選択スイッチ12の選択情報に基づいて、ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲を定めて、判定値Zが、定めたライニング層存在用判定範囲とライニング層不存在用判定範囲とのいずれであるかを判定する判定処理を実行する(#12)。
【0080】
#12の判定処理を実行した後は、表示処理を実行する(#13)。
この表示処理は、ライニング層Nが存在するときには存在ランプ13Aを点灯し、ライニング層Nが存在しないときに非存在ランプ13Bを点灯させることになる。
また、液晶表示部14にて、最大値Q、積分値W、及び、判定値Zを数値表示することになる。
さらに、強さ表示部15における6個の点灯ランプ15a〜15fのうちの4つの点灯ランプ15b〜15dを、叩く強さに応じて点灯させることになる。
【0081】
また、#10にて、棒状体2にて管3を叩く強さとしての最大値Qが、予め設定したL1〜L4の範囲内でないと判断した場合にも、#12の判定処理を実行することになる。
この場合においては、液晶表示部14にて、最大値Q、及び、積分値Wを数値表示することになり、強さ表示部15における6個の点灯ランプ15a〜15fのうちの2つの点灯ランプ15a、15fを、叩く強さに応じて点灯させることになる。
尚、存在ランプ13Aや非存在ランプ13Bを点灯させることや、液晶表示部14にて判定値Zを数値表示することは行われない。
【0082】
#13の表示処理を実行した後は、測定フラグを「OFF」に設定する処理を実行し(#14)、その後、#1の処理に移行することになる。
【0083】
以下、本実施形態の管内ライニング層の存否判定装置を用いて、一般家庭に設置されるガス供給管Kを、判定対象の管3として、ライニング層Nの存否を判定する処理手順について説明する。
先ず、マイクロフォン4を判定対象の管3に装着し、次に、電源スイッチ17を入りに操作する。
また、判定対象の管3の口径に合わせて、選択スイッチ12を操作する。
【0084】
この状態において、棒状体2にて判定対象の管3を適正な強さで叩くようにすれば、ライニング層Nの存否の判定結果が表示されることになる。
尚、棒状体2にて判定対象の管3を叩く強さが適正でない場合には、ライニング層Nの存否の判定結果が表示されないが、強さ表示部15における6個の点灯ランプ15a〜15fの点灯状態を確認して、叩く強さを適正な強さになるように調整しながら、棒状体2にて判定対象の管3を再度叩くようにする。
そして、棒状体2にて判定対象の管3を適正な強さで叩くようにすれば、ライニング層Nの存否の判定結果が表示されることになる。
【0085】
上述の如く、この第1実施形態においては、積分値Wを最大値Qにて正規化した判定値Zとして、積分値Wを最大値Qにて除算した値を求める場合を例示したが、正規化する構成は種々変更できる。
例えば、最大値Qの平均的な基準値を予め定めておき、最大値Qを基準値にて除算して求めた補正値を、積分値Wに乗算する形態で正規化してもよく、また、最大値Qを積分値Wにて除算して正規化するようにしてもよい。
【0086】
また、この第1実施形態においては、振動検出手段としてのマイクロフォン4の検出信号を高域フィルタ9にてフィルタリング処理して、信号変換器10にてディジタル信号に変換する場合を例示したが、マイクロフォン4の検出信号を全波整流したのち、フィルタイリング処理する形態で実施してもよい。
【0087】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明する。
この第2実施形態は、ライニング層Nの存否を判定する別の構成を示すものであって、第1実施形態と同様な構成については説明を省略する。
【0088】
図7に示すように、ケーシング1には、低域フィルタ18A、高域フィルタ18B、低域フィルタ18Aからのアナログ信号をディジタル信号に変換する第1信号変換器19A、及び、高域フィルタ18Bからのアナログ信号をディジタル信号に変換する第2信号変換器19Bが装備され、さらに、第1実施形態と同様に、マイクロコンピュータを用いて構成された制御部11が装備されている。
【0089】
高域フィルタ18Bは、マイクロフォン4にて検出される検出信号のうちの、設定高周波数域の信号を選択して、第2信号変換器19Bに出力するように構成されている。
そして、設定高周波域は、棒状体2にて判定対象の管3が叩かれた後にマイクロフォン4にて検出される振動周波数のうちの、ライニング層Nが存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい特定周波数域であり、第1実施形態と同様に、7.1〜12KHzの範囲に設定されている。
【0090】
低域フィルタ18Aは、マイクロフォン4にて検出される検出信号のうちの、設定低周波数域の信号を選択して、第1信号変換器19Aに出力するように構成されている。
そして、設定低周波域は、棒状体2にて判定対象の管3が叩かれた後にマイクロフォン4にて検出される振動周波数のうちの、ライニング層Nが存在するときと存在しないときとの減衰度合いが小さい特定周波数域であり、0.6〜1.2KHzの範囲に設定されている。
【0091】
ちなみに、第1実施形態においても記載した通り、図9は、呼び径が32Aの管を打撃体にて叩いた後の振動状態を示すものであり、(a)が、ライニング層Nが存在する場合を例示するものであり、(b)が、ライニング層Nが存在しない場合を例示するものである。
そして、高周波として太線で示す線が、ライニング層Nが存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい設定高周波数域(7.1〜12KHz)の振動状態を示すものである。
また、低周波として細線で示す線が、ライニング層Nが存在するときと存在しないときとの減衰度合いの差が小さい設定低周波数域(0.6〜1.2KHz)の振動状態を示すものである。
【0092】
第1信号変換器19A及び第2信号変換器19Bは、低域フィルタ18A及び高域フィルタ18Bからのアナログ信号を設定サンプリング周期にてサンプリングしてディジタル信号に変換し、そのディジタル信号を制御部11に出力するように構成されている。
設定サンプリング周期は、棒状体2にて叩かれた判定対象の管3の振動状態を適切に解析できる周期に定められるものであって、第1実施形態と同様に、2μ秒に設定されている。
ちなみに、第1信号変換器19Aからの信号は、設定低周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す低域側振動情報に対応し、第2信号変換器19Bからの信号は、設定高周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す高域側振動情報に対応することになる。
【0093】
制御部11は、図8に示すように、設定高周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報に基づいて、その高域側振動情報における棒状体2にて叩かれた後の設定判定時間Tsについての高域側積分値W2を求め、また、設定低周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す低域側振動情報に基づいて、その低域側振動情報における棒状体2にて叩かれた後の設定判定時間Tsについての低域側積分値W1を求め、そして、高域側積分値W2を低域側積分値W1にて正規化した判定値Zの大きさに基づいて管3の内面に樹脂製のライニング層Nが存在するか否かを判定するように構成されている。
つまり、本実施形態においては、振動検出手段としてのマイクロフォン4の検出情報に基づいて、管3の内面に施工されるライニング層Nの存否を判定する判定手段が、制御部11を主要部として構成されている。
【0094】
ちなみに、制御部11は、高域側積分値W2及び低域側積分値W1を求めることに加えて、設定高周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報に基づいて、その高域側振動情報における棒状体2にて叩かれた後の設定判定時間Ts内の高域側最大値Q2を求め、また、設定低周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す低域側振動情報に基づいて、その低域側振動情報における棒状体2にて叩かれた後の設定判定時間Ts内の低域側最大値Q1を求めるように構成されている。
【0095】
また、設定判定時間Tsが、棒状体2にて管3が叩かれてから設定待機時間Tmが経過した時点を開始時点とするようにするように定められている。
説明を加えると、制御部11は、第1実施形態と同様に、第1信号変換器19A及び第2信号変換器19Bからの信号を、新たな信号が入力されると最古の信号を削除して記憶する形態で、設定個数分(例えば、5000個)を記憶している。
【0096】
制御部11は、図8に示すように、第2信号変換器19Bから新たな信号が入力される毎に、その信号の大きさが設定判別値Rよりも大きいか否かを判別し、設定判別値Rよりも大きいときには、棒状体2にて管3が叩かれた状態であるとして、記憶している信号を遡って信号がゼロに相当する設定小範囲となる時点を、開始基準時点Toとして求める。
【0097】
そして、制御部11は、開始基準時点Toから、設定待機時間Tm及び設定判定時間Tsを加えた時間が経過するまで、第1信号変換器19A及び第2信号変換器19Bからの信号を入力し、その後、第1信号変換器19A及び第2信号変換器19Bからの信号の夫々についての設定判定時間Ts内の信号に基づいて、上述の如く、低域側積分値W1、及び、高域側積分値W2求めて、高域側積分値W2を低域側積分値W1にて正規化した判定値Zの大きさに基づいて管3の内面に樹脂製のライニング層Nが存在するか否かを判定することになる。
ちなみに、本実施形態においては、設定待機時間Tmが、例えば、3msに設定され、また、設定判定時間Tsが、例えば、4msに設定されている。
【0098】
本実施形態においては、制御部11は、高域側積分値W2を低域側積分値W1にて正規化した判定値Zとして、低域側積分値W1を高域側積分値W2にて除算した値を求めるように構成されている。
そして、制御部11は、判定値Zが予め設定したライニング層存在用判定範囲(例えば、Zが1.375より大)であると、ライニング層Nが存在すると判定し、かつ、判定値Zが予め設定したライニング層不存在用判定範囲(例えば、Zが0.938より小)であると、ライニング層Nが存在しないと判定するように構成されている。
【0099】
また、制御部11が、棒状体2にて管3が叩かれた後にマイクロフォン4にて検出される検出情報に基づいて棒状体2にて管3を叩く強さを判定し、棒状体2にて管3を叩く強さが、予め設定した上記の4段階の強さL1〜L4から外れている場合、つまり、4段階の強さL1〜L4の範囲よりも弱い場合や強い場合には、判定値Zを求めて、ランニング層Nの存否を求める処理を実行しないように構成されている。
ちなみに、本実施形態においては、棒状体2にて管3を叩く4段階の強さL1〜L4を、上述の高域側最大値Q2にて判定するように構成されている。
【0100】
そして、本実施形態においては、第1実施形態と同様に、ケーシング1に、制御部11の判定結果を表示する表示部として、ライニング層Nが存在するときに点灯する存在ランプ13A及びライニング層Nが存在しないときに点灯する非存在ランプ13Bが設けられている。
また、ケーシングには、第1実施形態と同様に、液晶表示部14、及び、制御部11にて判定された棒状体2にて管3を叩く強さを表示する強さ表示手段としての強さ表示部15が設けられている。
【0101】
液晶表示部14は、制御部11の指令に基づいて、低域側最大値Q1、高域側最大値Q2、低域側積分値W1、高域側積分値W2、及び、判定値Zを数値表示するように構成されている。
【0102】
強さ表示部15は、叩く強さに応じて点灯する6個の点灯ランプ15a〜15fを備えるものであり、15b〜15eが、上述の叩く強さL1〜L4に対応するものであり、
15aが、叩く強さが4段階の叩く強さL1〜L4の範囲よりも弱いときに点灯する点灯ランプであり、15fが、叩く強さが4段階の叩く強さL1〜L4の範囲よりも強いときに点灯する点灯ランプである。
【0103】
この第2実施形態における制御部11の制御作動は、第1実施形態の制御作動と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0104】
以下、この第2実施形態の管内ライニング層の存否判定装置を用いて、一般家庭に設置されるガス供給管Kを、判定対象の管3として、ライニング層Nの存否を判定する処理手順について説明する。
先ず、マイクロフォン4を判定対象の管3に装着し、次に、電源スイッチ17を入りに操作する。
【0105】
この状態において、棒状体2にて判定対象の管3を適正な強さで叩くようにすれば、ライニング層Nの存否の判定結果が表示されることになる。
尚、棒状体2にて判定対象の管3を叩く強さが適正でない場合には、ライニング層Nの存否の判定結果が表示されないが、強さ表示部15における6個の点灯ランプ15a〜15fの点灯状態を確認して、叩く強さを適正な強さになるように調整しながら、棒状体2にて判定対象の管3を再度叩くようにする。
そして、棒状体2にて判定対象の管3を適正な強さで叩くようにすれば、ライニング層Nの存否の判定結果が表示されることになる。
【0106】
この第2実施形態を実施する際に、第1実施形態と同様に、ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲として、管3の口径の変化に合わせて、つまり、呼び径が25Aの管と呼び径が32Aの管とに合わせて、2種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲が予め設定しておき、それら2種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲のうちの1つを選択して設定する判定範囲選択手段を設けて、制御部11が、選択されたライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲に基づいて、ライニング層Nの存否を判定するように構成してもよい。
【0107】
さらに、この第2実施形態を実施する際に、第1実施形態と同様に、ライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲として、棒状体2にて管3を叩く強さの変化に合わせて、複数種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲を予め設定しておき、そして、制御部11が、棒状体2にて管3が叩かれた後にマイクロフォン4にて検出される検出情報に基づいて棒状体2にて管3を叩く強さを判定し、その叩く強さに応じて、複数種のライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲のうちから、判定に使用するライニング層存在用判定範囲及びライニング層不存在用判定範囲を選択するように構成してもよい。
【0108】
上述の如く、この第2実施形態においては、高域側積分値W2を低域側積分値W1にて正規化した判定値Zとして、低域側積分値W1を高域側積分値W2にて除算した値を求める場合を例示したが、正規化する構成は種々変更できる。
例えば、低域側積分値W1の平均的な基準値を予め定めておき、低域側積分値W1を基準値にて除算して求めた補正値を、高域側積分値W2に乗算する形態で正規化してもよく、また、高域側積分値W2を低域側積分値W1にて除算して正規化してもよい。
【0109】
また、この第2実施形態においては、振動検出手段としてのマイクロフォン4の検出信号を低域フィルタ18A及び高域フィルタ18Bにてフィルタリング処理して、第1信号変換器19A及び第2信号変換器19Bにてディジタル信号に変換する場合を例示したが、マイクロフォン4の検出信号を全波整流したのち、フィルタイリング処理する形態で実施してもよい。
【0110】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ)上記第1実施形態及び第2実施形態においては、判定対象の管として、外径34mm、肉厚3.2mmの管(呼び径が25Aの管)と、外径42.7mm、肉厚3.5mmの管(呼び径が32Aの管)とが存在する場合を例示したが、その他の口径の管を対象として判定するようにしてもよい。
【0111】
(ロ)上記第1実施形態及び第2実施形態においては、ライニング層の存否の判定結果を表示する表示部として、ライニング層が存在すると点灯する点灯ランプとライニング層が存在しないと点灯する点灯ランプとを用いて表示する場合を例示したが、表示部の構成は各種変更できる。
【0112】
(ハ)上記第1実施形態及び第2実施形態においては、打撃付与用の打撃体として、作業員が手持ち支持する棒状体を例示したが、案内管にて案内されながら落下する鋼球を打撃体として用いるようにする等、種々の打撃体を用いることができるものである。
【0113】
(ニ) 上記第1実施形態及び第2実施形態においては、設定判定時間が、打撃体にて管が叩かれてから設定待機時間が経過した時点を開始時点とするように定められる場合を例示したが、打撃体にて管が叩かれた時点を開始時点とする形態で設定判定時間を定める形態で実施してもよい。
【0114】
(ホ)上記第1実施形態及び第2実施形態においては、振動検出手段として、マイクロフォンを例示したが、レーザー測距計にて、管の表面の変位を計測する等、管の振動を検出できる構成であれば、種々のセンサを利用できる。
【符号の説明】
【0115】
1 ケーシング
2 打撃体
3 管
4 振動検出手段
11 判定手段
13A 表示部
13B 表示部
15 強さ表示手段
Q 最大値
W 積分値
W1 低域側積分値
W2 高域側積分値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動付与用の打撃体にて叩かれる金属製の管の振動を検出する振動検出手段、及び、その振動検出手段の検出情報に基づいて、前記管の内面に施工される樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定する判定手段が備えられた管内ライニング層の存否判定装置であって、
前記判定手段が、前記打撃体にて前記管が叩かれた後に前記振動検出手段にて検出される振動周波数のうちの、前記ライニング層が存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい特定周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す振動情報に基づいて、前記打撃体にて叩かれた後の設定判定時間内の最大値、及び、前記設定判定時間についての積分値を求めて、前記積分値を前記最大値にて正規化した判定値の大きさに基づいて前記管の内面に樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定するように構成されている管内ライニング層の存否判定装置。
【請求項2】
振動付与用の打撃体にて叩かれる金属製の管の振動を検出する振動検出手段、及び、その振動検出手段の検出情報に基づいて、前記管の内面に施工される樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定する判定手段が備えられた管内ライニング層の存否判定装置であって、
前記判定手段が、前記打撃体にて前記管が叩かれた後に前記振動検出手段にて検出される振動周波数のうちの、前記ライニング層が存在するときの方が存在しないときよりも減衰度合いが大きい高域側の設定周波数域及び前記ライニング層が存在するときと存在しないときとの減衰度合いの差が小さい低域側の設定周波数域についての振動の大きさの時系列的な変化を示す高域側振動情報及び低域側振動情報に基づいて、前記高域側振動情報における前記打撃体にて叩かれた後の設定判定時間についての高域側積分値と、前記低域側振動情報における前記打撃体にて叩かれた後の前記設定判定時間についての低域側積分値を求めて、前記高域側積分値を前記低域側積分値にて正規化した判定値の大きさに基づいて前記管の内面に樹脂製のライニング層が存在するか否かを判定するように構成されている管内ライニング層の存否判定装置。
【請求項3】
前記設定判定時間が、前記打撃体にて前記管が叩かれてから設定待機時間が経過した時点を開始時点とするように定められている請求項1又は2記載の管内ライニング層の存否判定装置。
【請求項4】
前記判定手段が、前記判定値が予め設定したライニング層存在用判定範囲であると、前記ライニング層が存在すると判定し、かつ、前記判定値が予め設定したライニング層不存在用判定範囲であると、前記ライニング層が存在しないと判定するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の管内ライニング層の存否判定装置。
【請求項5】
前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲として、前記管の口径の変化に合わせて予め設定した複数種の前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲のうちの1つを選択して設定する判定範囲選択手段が設けられ、
前記判定手段が、前記判定範囲選択手段にて選択された前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲に基づいて、前記ライニング層の存否を判定するように構成されている請求項4に記載の管内ライニング層の存否判定装置。
【請求項6】
前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲として、前記打撃体にて前記管を叩く強さの変化に合わせて複数種の前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲が予め設定され、
前記判定手段が、前記打撃体にて前記管が叩かれた後に前記振動検出手段にて検出される検出情報に基づいて前記打撃体にて前記管を叩く強さを判定し、その判定した前記打撃体にて前記管を叩く強さに応じて、複数種の前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲のうちから、判定に使用する前記ライニング層存在用判定範囲及び前記ライニング層不存在用判定範囲を選択するように構成されている請求項4又は5に記載の管内ライニング層の存否判定装置。
【請求項7】
手持ち支持部を備えた携帯型のケーシングに、前記判定手段及びその判定手段の判定結果を表示する表示部が備えられ、
前記振動検出手段から延びる通信線を着脱自在に接続する接続部が、前記ケーシングに設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の管内ライニング層の存否判定装置。
【請求項8】
前記判定手段が、前記打撃体にて叩かれた後に前記振動検出手段にて検出される検出情報に基づいて、前記打撃体にて前記管を叩く強さを判定するように構成され、
前記ケーシングに、前記判定手段にて判定された前記打撃体にて前記管を叩く強さを表示する強さ表示手段が設けられている請求項7記載の管内ライニング層の存否判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−32176(P2012−32176A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169582(P2010−169582)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】