説明

管挿入治具

【課題】パネル筒体の端部からU字状配管を挿入する際に、パネル筒体の端部のエッジでU字状配管が傷つかないようにするための管挿入治具を提供することを目的とする。
【解決手段】互いに対向する一対のガイド部37cが軸方向Lに延在するパネル筒体37の内部に、熱媒体が通過する樹脂製のU字状配管39を収容する際に用いる輻射パネル装置製造用の管挿入治具1であって、パネル筒体37の上端部37fに対向した状態で設置される治具本体3を備え、治具本体3には、一対のガイド部37c間に向けてU字状配管39の挿入を案内するガイド孔7が形成されており、ガイド孔7は、一対のガイド部37c間の間隔Dbよりも狭い幅Daを有して設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射暖房や放射冷房を行う輻射パネル装置のパネル筒体の内部に熱媒体が通過するU字状配管を収容する際に用いる管挿入治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輻射パネル装置として、内部に熱媒体を流通させる流路を有する複数のパネルが並設されたものが知られている。この輻射パネル装置では、複数のパネルと別途設置される熱源との間で熱媒体を循環させることによって各パネルに輻射機能を持たせ、これらのパネルによる輻射暖房及び輻射冷房によって居室などの空調を行う。例えば、特許文献1に記載された輻射パネル装置は、中空のパネル筒体の内部に熱媒体流通路となるU字配管を配設し、当該熱媒体流通路と熱源との間で熱媒体を循環させることによって、各パネルに熱輻射機能を持たせることができる技術が開示されている。この種のパネル筒体は、通常、強度確保の観点や製造コストの観点から所定の長さに切断した金属製の押出し成形品からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−228959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の如く押出し成形品からなるパネル筒体は、端面が切断面であるためにエッジが立ってしまっている。配管は、パネル筒体の一方の端部から挿入されるが、挿入の際に配管が切断面に接触し易いため、エッジが立っていると、挿入する際に配管の長手方向に亘って傷が入ってしまうことが考えられる。
【0005】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、パネル筒体の端部からU字状配管を挿入する際に、パネル筒体の端部のエッジでU字状配管が傷つかないようにするための管挿入治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、互いに対向する一対のガイド部が軸方向に延在するパネル筒体の内部に、熱媒体が通過する樹脂製のU字状配管を収容する際に用いる輻射パネル装置製造用の管挿入治具であって、パネル筒体の一方の端部に対向した状態で設置される治具本体を備え、治具本体には、一対のガイド部間に向けてU字状配管の挿入を案内するガイド孔が形成されており、ガイド孔は、一対のガイド部間の間隔よりも狭い幅を有して開設されていることを特徴とする。
【0007】
管挿入治具の治具本体は、パネル筒体の一方の端部に対向した状態で設置される。治具本体にはガイド孔が形成されており、U字状配管は、ガイド孔を通され、パネル筒体の一対のガイド部間に挿入されるが、ここで、ガイド孔は、一対のガイド部間の間隔よりも狭い幅を有する。従って、U字状配管は、ガイド孔挿通後、少なくともパネル筒体の端部を通過する際には治具本体の干渉によって広がりが抑えられる。つまり、U字状配管は、パネル筒体のガイド部の端部近傍では、対向する管路部同士の広がり幅は一対のガイド部間の間隔よりも小さくなり、ガイド部に当接することがない。その結果、ガイド部の端部においてエッジが立っていたとしても、そのエッジにU字状配管が接触することがなくなり、U字状配管を傷つけずにパネル筒体の内部に収納でき、U字状配管、さらには輻射パネル装置の耐久性の向上に有効である。
【0008】
さらに、本発明に係る管挿入治具は、治具本体をパネル筒体に仮止めする仮止め部を備えると好適である。この構成では、パネル筒体に治具本体を仮止めできるため、パネル筒体に対して治具本体を安定させた状態でU字状配管を挿入できる。
【0009】
さらに、治具本体には複数のガイド孔が設けられ、複数のガイド孔は、並設された複数のパネル筒体を備えた輻射パネル装置の複数のパネル筒体に対応する位置に設けられていると好適である。この構成によれば、単一の管挿入治具により、複数のパネル筒体に連続的に、または同時にU字状配管を傷つけることなく挿入することができる。
【0010】
さらに、治具本体が木材により形成されていると好適である。この構成によれば、樹脂製のU字状配管に対して、鉄などの金属に比べて治具本体が極端に硬いものとはならないので、U字状配管を挿入する際に治具本体に強い押圧力等を付与しながら接触することになっても、U字状配管に傷が入ってしまうことを抑制できる。
【0011】
また、本発明は、互いに対向する一対のガイド部が軸方向に延在するパネル筒体と、パネル筒体の内部に収容され、且つ熱媒体が通過する樹脂製のU字状配管とを備えた輻射パネル装置の製造方法であって、管挿入治具の治具本体には、一対のガイド部間に向けてU字状配管の挿入を案内するガイド孔が形成されており、ガイド孔は、一対のガイド部間の間隔よりも狭い幅を有して開設されており、治具本体を、パネル筒体の一方の端部に対向した状態で設置する治具設置工程と、治具設置工程によって所定位置に設置された治具本体のガイド孔からU字状配管を挿入してパネル筒体の内部にU字状配管を収容する配管挿入工程と、を備えることを特徴とする。本発明によれば、パネル筒体の端部においてガイド部にエッジが立っていたとしても、そのエッジに接触することがなくなり、U字状配管を傷つけずにパネル筒体の内部に収納できる。その結果、U字状配管、さらには輻射パネル装置の耐久性の向上に有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パネル筒体の端部からU字状配管を挿入する際に、パネル筒体の端部のエッジでU字状配管が傷つかないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】輻射パネル装置の一例を示す斜視図である。
【図2】輻射パネル装置のパネル筒体の上端部を拡大して示す斜視図である。
【図3】パネル筒体にU字状配管が挿入された状態を示し、パネル筒体の下部を破断して示す断面図である。
【図4】管挿入治具の平面図である。
【図5】管挿入治具のガイド孔を拡大して示す平面図である。
【図6】管挿入治具をパネル筒体に設置する工程を示す斜視図である。
【図7】管挿入治具を介してU字状配管をパネル筒体内に挿入する工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。最初に、本施形態に係る管挿入治具1を用いて製造された輻射パネル装置30の一例について説明する。
【0015】
図1に示されるように、輻射パネル装置30は、水などの熱媒体を循環させて室内の冷暖房を行う冷暖房装置50に組み込まれている。輻射パネル装置30は、例えば、室内の一角に設置したもので、複数のパネルユニット31を有し、それらが等間隔に整列し、列の両脇には支柱となる端部パネル体32が立設されている。端部パネル体32は、床から天井まで届く長さを有している。
【0016】
パネルユニット31、及び端部パネル体32の上端は天井に埋設されたブリッジ部33に直接固定されている。端部パネル体32の下端はL字形のブラケットにより床に固定されている。また、隣接する各パネルユニット31同士、及びパネルユニット31と端部パネル体32とは、連結部材34により互いに連結されている。さらに、各パネルユニット31の下方には、上方が開放された溝状の結露受け35が設けられており、結露受け35は排水口に連通している。結露受け35は、パネルユニット31の表面に発生する結露水を受け止め、溝の底部に設けた排水口より床下に排水する。
【0017】
パネルユニット31は、パネル筒体37と、パネル筒体37の内部に収容されたU字状配管39とを備えている。U字状配管39はブリッジ部33上に配置されたヘッダ管(図示省略)で合流し、さらに、熱媒体循環用の管路を介して熱媒体の循環装置や熱交換装置に接続されている。このように構成された冷暖房装置50は、熱媒体を室温より低温に冷却して循環させることで、人体や床、壁、天井等の熱を吸収して冷房として機能し、熱媒体を室温より高温に加熱して循環させることで、人体や床、壁、天井等を直接暖め暖房として機能する。
【0018】
次に、図2、及び図3を参照してパネルユニット31について、更に詳しく説明する。パネルユニット31は、縦長のパネル筒体37と、パネル筒体37の内部に収容されたU字状配管39とを備えている。パネル筒体37は向かい合う一組の壁部37aを有する。壁部37a同士の間にはU字状配管39が挿入される空間が形成され、さらに、壁部37a同士は先細形状となるように一体化して略凸レンズ状をなす。パネル筒体37の外壁面にはパネル筒体37の長手方向に沿った突条部37bが複数形成されている。
【0019】
U字状配管39は断面円形の管であり、熱媒体が流入する側の直線状の往路部39aと、熱媒体が流出する側の直線状の復路部39bと、往路部39aと復路部39bとを接続する略U字状の屈曲部39cとを備えている。屈曲部39cには、パイプ保持具39dが組み付けられている。パイプ保持具39dは、屈曲部39cに係止されて往路部39aと復路部39bとの根元を保持し、捩れを抑止して形状の安定性を維持する。その結果、U字状配管39をパネル筒体37内に挿入する際の作業性が向上する。往路部39aと復路部39bとは略並行に延在し、往路部39aを通過する熱媒体は、屈曲部39cで180度反転して復路部39bに至る。
【0020】
パネル筒体37の内部には、断面半円弧状で、且つパネル筒体37の長手方向(軸方向)Lに沿って延在する一対のガイド部37cが設けられている。一対のガイド部37cは、それぞれ往路部39aまたは復路部39bに摺接してU字状配管39の挿入を案内する。また、パネル筒体37の内部には、挿入後のU字状配管39を保持する一対のパイプ押え材38が差し込まれるように設置されている。パイプ押え材38は、長尺で、且つ断面円弧状の部材であり、ガイド部37cとの間でU字状配管39の往路部39aまたは復路部39bを挟み、所定位置にU字状配管39を保持する。
【0021】
パネル筒体37、及びパイプ押え材38は、アルミニウムの押出成形によって形成される。さらに、パネル筒体37は、押出成形によって形成された筒状部材の両端が切断されて開口が形成されているため、特に、ガイド部37cの端部にはエッジが立ち、鋭く尖った状態にある。
【0022】
パネル筒体37の開放された上端及び下端には開口を塞ぐキャップ部41,42がねじ止めされている。上端側のキャップ部41には、U字状配管39の往路部39a、及び復路部39bの各上部が挿通する通し孔41aが二箇所に形成されている。なお、U字状配管39の往路部39a、及び復路部39bの各上部はブリッジ部33を貫通し、上方に配置されたヘッダ管に接続されている。
【0023】
図4、及び図5に示されるように、本実施形態に係る管挿入治具1は、例えば上述の輻射パネル装置製造用の部材であり、具体的には、パネル筒体37にU字状配管39を挿入する際に使用される(図6、及び図7参照)。
【0024】
管挿入治具1は、木製で矩形板状の治具本体3と、治具本体3をパネル筒体37の端部37fに設置するための締結部(仮止め部)5とを備えている。パネル筒体37の端部37fには、キャップ部41をねじ止めするための受け孔37dが形成されており、締結部5は、例えば、治具本体3において受け孔37dに対応する挿通孔5a、及び挿通孔5aに差し込まれて受け孔37dにねじ込まれるビス5bなどからなる。
【0025】
治具本体3には、U字状配管39を受け入れ、パネル筒体37内の一対のガイド部37c間に向けてU字状配管39の挿入を案内するガイド孔7が形成されている。ガイド孔7は、パネル筒体37の内壁面の輪郭に沿った縦長の形状をなし、特に、縦方向(一対のガイド部37cの対向方向)の幅Daが、パネル筒体37の一対のガイド部37c間の間隔Dbよりも狭くなるように形成されている。
【0026】
ガイド孔7は、等間隔で複数形成されている。ガイド孔7同士の間隔は、複数のパネル筒体37が並設された上述の輻射パネル装置30における複数のパネル筒体37の配置に対応している。従って、例えば、複数のパネル筒体37を、輻射パネル装置30における実際の配置に対応して等間隔に並べ、その状態でパネル筒体37の上端に治具本体3を設置することで、各ガイド孔7の位置合わせが完了した状態となり、ガイド孔7それぞれがパネル筒体37の内部に連通するように重なる。
【0027】
なお、治具本体3をパネル筒体37に仮止めするための締結部5は、仮止めした際の安定性も考慮し、治具本体3の四隅に近い四箇所にバランス良く配置されている。具体的には、複数のガイド孔7のうち、両外側である左側のガイド孔7、及び右側のガイド孔7に対して、左側のガイド孔7を挟むように一対の挿通孔5aが設けられ、同様に右側のガイド孔7を挟むように一対の挿通孔5aが設けられている。各挿通孔5aにはビス5bが挿通され、そのビス5bがパネル筒体37の受け孔37dにねじ込まれることで治具本体3はパネル筒体37に締結されて仮止めされる。
【0028】
次に、図6、及び図7を参照して、管挿入治具1を使用した輻射パネル装置30の組み立て方(製造方法)について説明する。最初にU字状配管39の形成について説明する。U字状配管39を形成する際には、まず、一本の樹脂製のパイプにパイプ保持具39dを係止させ、パイプ保持具39dを中心にパイプを折り曲げるように湾曲させ、両側をパイプ保持具39dに組みつけてU字状配管39を形成する。この状態において、パイプ保持具39dに係止された管路部は、U字状配管39の屈曲部39cとなり、屈曲部39cに連絡する一方側の管路部は往路部39aとなり、他方側の管路部は復路部39bとなる。
【0029】
次に、パネル筒体配置工程を実行する。パネル筒体37は、アルミニウムの押出成形によって形成された筒状体を所定の長さで切断されて形成されている。パネル筒体配置工程では、パネル筒体37を寝かせ(横置きし)、さらに、パネル筒体37の内部に設けた一対のガイド部37cが上下となるように立てる。本実施形態では、複数のパネル筒体37を同様の状態で横方向(水平方向)に沿って等間隔に並べる。複数のパネル筒体37を等間隔で並べる際には、例えば、複数のパネル筒体37が寝た状態で、且つ立つように支える専用の仮置き治具(図示省略)などを利用することができる。
【0030】
次に、管挿入治具1の設置工程を実行する。複数のパネル筒体37の両方の端部のうち、特に、輻射パネル装置30の上側となる端部(以下、「上端部」という)37fは揃っており、略同一平面上に等間隔で並んでいる。設置工程では、管挿入治具1の治具本体3を複数のパネル筒体37の上端部37fに対向した状態で設置する。具体的には、複数のガイド孔7それぞれが、複数のパネル筒体37それぞれに重なるように治具本体3の裏面をパネル筒体37の上端部37fに当接させる。
【0031】
なお、本実施形態では、治具本体3に面する複数のパネル筒体37のうち、左右の端に位置するパネル筒体37に対し、締結部5のビス5bを締め付けて治具本体3を仮止めしている。この仮止めにより、必然的に複数のガイド孔7それぞれが複数のパネル筒体37それぞれに位置合わせされた状態となり、その後の作業性が向上する。
【0032】
次に、配管挿入工程を実行する。配管挿入工程では、設置工程によって所定位置に設置された治具本体3のガイド孔7から、U字状配管39を挿入してパネル筒体37の内部にU字状配管39を収容する。具体的には、パネル筒体37に仮止めされた治具本体3に対して、U字状配管39を屈曲部39c側からガイド孔7に差し入れ、そのままパネル筒体37の内部まで挿入する。屈曲部39cがパネル筒体37の内部の所定位置まで達すると仮止めされた管挿入治具1を外し、ガイド孔7からU字状配管39を引き抜く。
【0033】
次に、ユニット組み付け工程を実行する。ユニット組み付け工程では、パネル筒体37の内部に一対のパイプ押え材38を取り付ける。パイプ押え材38には、事前に面取り加工が施されている。一対のパイプ押え材38は、パネル筒体37の上端部37fの開口からパイプ保持具39dに当接するまで挿入され、ガイド部37cとの間でU字状配管39の往路部39a、または復路部39bを挟むように保持する。パイプ押え材38を所定位置に設置することで、U字状配管39の縒れや捩れを防ぐことができる。
【0034】
次に、U字状配管39の往路部39a、及び復路部39bの端部をキャップ部41の通し孔41aに通し、さらに、ブリッジ部33に形成された孔33aにも通す。次に、キャップ部41をパネル筒体37の開口を塞ぐように配置し、ブリッジ部33とパネル筒体37の上端部(一方の端部)37fとの間でキャップ部41を挟み、ねじ33bによってパネル筒体37をブリッジ部33にねじ止めする。また、パネル筒体37の下端部(他方の端部)もキャップ部42をねじ止めして開口を塞ぎ、パネルユニット31が完成する。
【0035】
ユニット組み付け工程と同時に、またはユニット組み付け工程の前に端部パネル体組み付け工程を実行する。端部パネル体組み付け工程では、例えば、端部パネル体32の上端をブリッジ部33に直接固定し、左右の端部パネル体32の下端を床に固定する。なお、ユニット組み付け工程、及び端部パネル体組み付け工程の実行に合わせて、隣接する各パネルユニット31同士、及びパネルユニット31と端部パネル体32とを連結部材34により互いに連結し、輻射パネル装置30が完成する。
【0036】
ユニット組み付け工程や端部パネル体組み付け工程と同時に、また、各工程の後で配管接続工程を実行する。ここで、U字状配管39の往路部39a、及び復路部39bの端部はブリッジ部33を貫通しており、この端部を、継手部材を介してヘッダ管に接続する。輻射パネル装置30に接続されたヘッダ管は、熱媒体の循環回路を形成すべく熱媒体の循環装置や熱交換装置に接続されており、その結果として冷暖房装置50が完成する。
【0037】
以上、本実施の形態に係る管挿入治具1では、治具本体3のガイド孔7は一対のガイド部37c間の間隔Dbよりも狭い幅Daを有する。従って、U字状配管39は、ガイド孔7に挿通後、少なくともパネル筒体37の上端部37fを通過する際には治具本体3の干渉によって広がりが抑えられる。つまり、U字状配管39は、パネル筒体37のガイド部37cの上端部37f近傍では、対向する往路部39aと復路部39bとの広がり幅は一対のガイド部37c間の間隔Dbよりも小さくなり、ガイド部37cに当接することがない。その結果、ガイド部37cの上端部37fにおいてエッジが立っていたとしても、そのエッジにU字状配管39が接触することがなくなり、U字状配管39を傷つけずにパネル筒体37の内部に収納でき、U字状配管39、さらには輻射パネル装置30の耐久性の向上に有効である。
【0038】
また、本実施形態に係る管挿入治具1は締結部5を備えているので、治具本体3をパネル筒体37に仮止めでき、パネル筒体37に対して治具本体3を安定させた状態でU字状配管39を挿入できる。さらに、締結部5を備えるので、例えば、治具本体3を手で持ち、ガイド孔7とパネル筒体37とを位置合わせしながらU字状配管39を挿入する場合に比べて作業負担が低減され、また、ガイド孔7とパネル筒体37とのズレも無くなって作業性が向上する。
【0039】
また、治具本体3には複数のガイド孔7が設けられ、複数のガイド孔7は、輻射パネル装置30の複数のパネル筒体37に対応する位置に設けられている。したがって、単一の管挿入治具1により、複数のパネル筒体37に連続的に、または同時にU字状配管39を傷つけることなく挿入することができる。
【0040】
また、治具本体3は木材により形成されているため、樹脂製のU字状配管39に対して、鉄などの金属に比べて治具本体3が極端に硬いものとはならない。従って、U字状配管39を挿入する際に治具本体3に強い押圧力等を付与しながら接触することになっても、U字状配管39に傷が入ってしまうことを抑制できる。
【0041】
また、上記の輻射パネル装置30の製造方法では、管挿入治具1の治具本体3を、パネル筒体37の上端部37fに対向した状態で設置する治具設置工程と、治具設置工程によって所定位置に設置された治具本体3のガイド孔7からU字状配管39を挿入してパネル筒体37の内部にU字状配管39を収容する配管挿入工程と、を備える。この製造方法によれば、パネル筒体37の上端部37fにおいてガイド部37cにエッジが立っていたとしても、そのエッジにU字状配管39が接触することがなくなり、U字状配管39を傷つけずにパネル筒体37の内部に収納できる。その結果、U字状配管39、さらには輻射パネル装置30の耐久性の向上に有効である。
【0042】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態のみに限定されない。例えば、上記の実施形態では、管挿入治具の治具本体に複数のガイド孔が形成されていたが、単一のガイド孔のみが形成された態様であってもよく、この態様の場合、例えば、一対の仮止め部をガイド孔を挟む位置にも配置して仮止め時のバランスをとるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る管挿入治具を利用して製造された輻射パネル装置は、戸建住宅や集合住宅だけでなく、事務所ビルや公共建物にも利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…管挿入治具、3…治具本体、5…締結部(仮止め部)、7…ガイド孔、30…輻射パネル装置、37…パネル筒体、37c…ガイド部、37f…パネル筒体の上端部(一方の端部)、39…U字状配管、Da…ガイド部の幅、Db…一対のガイド部の間隔、L…軸方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対のガイド部が軸方向に延在するパネル筒体の内部に、熱媒体が通過する樹脂製のU字状配管を収容する際に用いる輻射パネル装置製造用の管挿入治具であって、
前記パネル筒体の一方の端部に対向した状態で設置される治具本体を備え、
前記治具本体には、前記一対のガイド部間に向けて前記U字状配管の挿入を案内するガイド孔が形成されており、
前記ガイド孔は、前記一対のガイド部間の間隔よりも狭い幅を有して設けられていることを特徴とする管挿入治具。
【請求項2】
前記治具本体を前記パネル筒体に仮止めする仮止め部を更に備えることを特徴とする請求項1記載の管挿入治具。
【請求項3】
前記治具本体には複数の前記ガイド孔が設けられ、
複数の前記ガイド孔は、並設された複数の前記パネル筒体を備えた前記輻射パネル装置の前記複数のパネル筒体に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の管挿入治具。
【請求項4】
前記治具本体は木材により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の管挿入治具。
【請求項5】
互いに対向する一対のガイド部が軸方向に延在するパネル筒体と、前記パネル筒体の内部に収容され、且つ熱媒体が通過する樹脂製のU字状配管とを備えた輻射パネル装置の製造方法であって、
管挿入治具の治具本体には、前記一対のガイド部間に向けて前記U字状配管の挿入を案内するガイド孔が形成されており、前記ガイド孔は、前記一対のガイド部間の間隔よりも狭い幅を有して設けられており、
前記治具本体を、前記パネル筒体の一方の端部に対向した状態で設置する設置工程と、
前記設置工程によって所定位置に設置された前記治具本体の前記ガイド孔から前記U字状配管を挿入して前記パネル筒体の内部に前記U字状配管を収容する配管挿入工程と、を備えることを特徴とする輻射パネル装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−242010(P2012−242010A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113705(P2011−113705)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】