説明

管状部材の検査用治具

【課題】取り扱いが容易であり、管状部材の検査を少ない工費、工期、及び労力で行うことを可能にする検査用治具を提供する。
【解決手段】本発明の検査用治具10は、タンク本体14の内外を連通する管状部材12をタンク本体14の内部側で密閉する内閉鎖部材19と、管状部材12に検査用流体を流入させるための流入口39を有しかつ管状部材12をタンク本体14の外部側で密閉する外閉鎖部材20と、管状部材12に挿入されるとともに、長手方向の一端部に内閉鎖部材19が連結され、長手方向の他端部に外閉鎖部材20が着脱可能に連結される連結部材21と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに設けられるノズル等の管状部材に対して漏洩検査を行うために使用される検査用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
気体や液体等の流体を扱う工場やプラント等の施設には、流体を収容するためのタンクが設置されており、このタンクは、施工時に耐圧漏洩検査が実施される。また、運転後、タンクの補修が行なわれたときにも同様の検査が実施される。この耐圧漏洩検査として、タンク内に水を充満させて漏れや変形の有無を検査する水張り検査が知られている。
【0003】
しかし、この水張り検査は、タンクの容量と同じ大量の水が必要であり、また検査後にタンクの内部を乾燥させるために長時間を要する。さらに、タンクの補修後に検査を行う場合、タンクの内部に足場が組まれていると、足場を解体しタンクから撤去するという作業も必要となる。したがって、この水張り検査は、多大な工費、工期、及び労力が必要であった。
また、従来は、タンクのノズルのようなごく一部だけを補修した場合であっても、タンク全体の水張り検査を行っていたので、非常に不経済であった。
【0004】
一方、下記特許文献1には、タンクのノズルに接続された配管の耐圧検査用として用いることができる治具が開示されている。この治具は、タンクの内部側におけるノズルの端部を密閉するものであり、タンクの内部側におけるノズルの端部に挿入されるシール用ゴム袋と、当該端部の外周面に形成された雄ネジに螺合して取り付けられるキャップと、キャップに連結されこのキャップと共同してゴム袋の管軸方向の膨張を阻止する押さえ板と、ゴム袋に接続された空気チューブと、空気チューブを介してゴム袋に気体を供給する空気ボンベと、キャップに接続されたフレキシブルワイヤと、フレキシブルワイヤを介してキャップに駆動力を伝える駆動源と、を備えている。
【0005】
そして、ノズルに接続された配管の耐圧検査を行うには、フレキシブルワイヤを介して駆動源の回転動力をキャップに伝え、このキャップを配管の雄ネジに螺合するとともに、空気チューブを介して空気ボンベからゴム袋に気体を送ることによって配管の端部を密閉する。そして、配管内に水を満たして所定の水圧を加え、これによる影響を確認することによって検査が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭63−39622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
タンクのノズルを補修した後、特許文献1に記載のような技術を用いてノズルを密閉し、ノズルのみに対して検査を行えば、タンク全体に対する水張り検査を行わなくても済み、検査に要する工費、工期、及び労力を大幅に削減することが可能になると考えられる。
しかしながら、特許文献1の技術は、ノズルに雄ネジが形成されていない既設のタンクには治具を適用することができない。また、駆動源や空気ボンベはタンクの外に設置しなければならないので、これらをタンク内のキャップやゴム袋に接続するために非常に長いフレキシブルワイヤや空気チューブが必要となる。そのため、治具自体の取り扱いも煩雑になる。
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、取り扱いが容易であり、管状部材の検査を少ない工費、工期、及び労力で行うことを可能にする管状部材の検査用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る管状部材の検査用治具は、タンク本体の内外を連通する管状部材を前記タンク本体の内部側で密閉する内閉鎖部材と、
前記管状部材に検査用流体を流入させるための流入口を有し、かつ前記管状部材を前記タンク本体の外部側で密閉する外閉鎖部材と、
前記管状部材に挿入されるとともに、長手方向の一端部に前記内閉鎖部材が連結され、長手方向の他端部に前記外閉鎖部材が着脱可能に連結される連結部材と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明の検査用治具は、内閉鎖部材によってタンク本体の内部側で管状部材を密閉し、外閉鎖部材によってタンク本体の外部側で管状部材を密閉し、外閉鎖部材に形成された流入口から検査用流体を流入させることによって、管状部材からの流体の漏洩の有無を検査することができる。したがって、タンク全体の水張り検査を行わなくても、管状部材のみを対象として検査を行うことができる。したがって、当該検査を少ない工費、工期、及び労力で行うことができる。
【0011】
そして、本発明の検査用治具は、タンク本体の内部側に内閉鎖部材を配置しつつ管状部材に連結部材を挿入し、この連結部材の端部を外閉鎖部材に連結することによって容易に管状部材に装着することができる。また、本発明の検査用治具は、内閉鎖部材と外閉鎖部材と連結部材とから非常に簡単な構成とすることができ、特許文献1のようにタンク内外にフレキシブルワイヤや空気チューブを配索する必要もなく、容易に取り扱うことができる。また、内閉鎖部材は、連結部材を介して外閉鎖部材に連結されるので、当該内閉鎖部材を取り付けるために管状部材に加工を施す必要がなく、よって既設のタンクに対しても本発明の検査用治具を適用することが可能となる。
【0012】
(2)前記連結部材が、第1連結部を有し、前記外閉鎖部材が、前記第1連結部に連結されるとともに、当該連結に伴って前記連結部材を前記管状部材の管軸方向へ移動させる第2連結部を有し、前記内閉鎖部材が、前記第1連結部と前記第2連結部との連結に伴う前記連結部材の移動によって密閉部位に圧接されるシール部材を有していることが好ましい。
この構成によれば、連結部材の第1連結部と外閉鎖部材の第2連結部とを連結すると同時に、内閉鎖部材のシール部材を密閉部位に圧接することができる。
【0013】
(3)前記第1連結部と前記第2連結部とは、互いに螺合可能なネジからなることが好ましい。
これにより、第1連結部と第2連結部との連結で連結部材を管軸方向に移動させる構成を容易に実現することができる。
【0014】
(4)前記内閉鎖部材は、前記タンク本体の内部側における前記管状部材の端面に対向する押さえ部材と、当該押さえ部材と前記端面との間に介装される前記シール部材と、を有していることが好ましい。
このような構成によって、タンク本体の内部側における管状部材の端部を内閉鎖部材によって直接的に密閉することができる。
【0015】
(5)前記内閉鎖部材は、一側部が開口した椀形状に形成され、かつ前記タンク本体の内部側において前記管状部材の端部をその周囲も含めて被覆する被覆部材と、この被覆部材の開口端面と前記タンク本体の内面との間に介装される前記シール部材と、を有していることが好ましい。
この構成によれば、タンク本体の内部側における管状部材の端部をその周囲を含めて内閉鎖部材によって密閉することができる。そのため、例えば、管状部材とタンク本体との接合部(溶接部)に対しても漏洩の有無を検査することができる。
【0016】
(6)前記内閉鎖部材は、前記管状部材の内周面に嵌合し、かつ前記第1連結部と前記第2連結部との連結に伴う前記連結部材の移動によって管軸方向に圧縮されて前記管状部材の内周面に圧接される前記シール部材を有していることが好ましい。
この構成によれば、内閉鎖部材のシール部材が管状部材の内周面に嵌合されるので、タンク本体の外部側から管状部材の内部にシール部材を挿入することが可能となる。したがって、シール部材を管状部材に装着するためにタンク本体の内部に作業者が入り込む必要が無く、検査用治具の装着をより容易に行うことができる。
【0017】
(7)前記タンク本体の外部側における前記管状部材の端部には、部品取付用のフランジ部が設けられており、前記外閉鎖部材は、前記フランジ部に連結される被連結部を有していることが好ましい。
管状部材に配管や圧力計等の他の部品を装着するためのフランジ部が設けられている場合には、外閉鎖部材にフランジ部に連結される被連結部を設けることによって、管状部材に対して外閉鎖部材を取り付けるための加工が不要となる。したがって、既設のタンクに対して本発明の検査用治具を適用することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の検査用治具によれば、取り扱いが容易であり、管状部材の検査を少ない工費、工期、及び労力で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る検査用治具が装着されたタンクの正面図である。
【図2】検査用治具の断面図である。
【図3】分解された検査用治具の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る検査用治具の断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る検査用治具の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る検査用治具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る検査用治具10が装着されたタンク11の正面図である。タンク11は、高圧ガスや液化ガス等の気体や液体を収容することが可能であり、タンク本体14と、このタンク本体14の外周面に設けられたノズル(管状部材)12と、マンホール13とを備えている。ノズル12は、例えば、配管や圧力計を装着するために使用される。マンホール13は、作業者がタンク本体14の内部に入るために使用される。
【0021】
図2は、検査用治具10の断面図、図3は、分解された検査用治具10の断面図である。
本発明の検査用治具10は、例えば、ノズル12の外周面を補修した場合等に、その補修部分100からの漏洩の有無を検査するためにノズル12に対して装着される。ノズル12は、その下端部がタンク本体14に形成された取付孔15に挿入され、タンク本体14の内部に僅かに突出している。ノズル12の外周面とタンク本体14の内面及び外面とは溶接部16によって接合されている。またノズル12は、下部側が厚肉で上部側が薄肉に形成され、上端部には径方向外方に突出するフランジ部17が形成されている。このフランジ部17は、運転時に配管や圧力計等を接続するために用いられる。
【0022】
検査用治具10は、タンク本体14の内部側からノズル12を閉鎖する内閉鎖部材19と、タンク本体14の外部側からノズル12を閉鎖する外閉鎖部材20と、内閉鎖部材19と外閉鎖部材20とを連結する連結部材21とを有している。内閉鎖部材19は、ノズル12の下端面と略同じ外径の円板状の押さえ板(押さえ部材)22と、ゴム等の弾性材料から円環状に形成され、押さえ板22とノズル12の下端面との間をシールするシール部材23とを備えている。
【0023】
連結部材21は、上下方向に長い棒状の部材であり、その外周面の全体に雄ネジ部(第1連結部)24が設けられている。すなわち、連結部材21は、実質的に長尺の寸切りボルトによって構成されている。そして、連結部材21の下端部は押さえ板22に溶接等によって固定されている。
【0024】
外閉鎖部材20は、ノズル12の上端部に取り付けられる本体部26と、本体部26の上端を閉鎖する閉止板27と、連結部材21を外閉鎖部材20に連結するための締結ナット28と、ノズル12と本体部26との間をシールするシール部材29と、本体部26と閉止板27との間をシールするシール部材30とを有している。シール部材29とシール部材30とは、いずれもゴム等の弾性材料から円環状に形成され、互いに同一の部品を使用することができる。
【0025】
本体部26は、第1筒部31と、中間板32と、第2筒部33とからなる。第1筒部31は、ノズル12と略同じ内径の筒形状に形成されている。また、第1筒部31の下端部には径方向外方に突出するフランジ部(被連結部)34が形成されている。そして、ノズル12の上端に形成されたフランジ部17と第1筒部31のフランジ部34とを対向させ、両者の間にシール部材29を介装し、フランジ部17とフランジ部34とをボルト36及びナット37からなる締結具によって締結することで、第1筒部31がノズル12にシールされた状態で連結される。
【0026】
また、第1筒部31において、フランジ部34よりも上側には、第1筒部31に連通する流入管39が略水平方向に設けられている。この流入管39から第1筒部31を介してノズル12内に検査用流体を導入することができる。
なお、図2において、流入管39とボルト36及びナット37とは、同一平面状に位置するように記載されているが、実際には、ボルト36をフランジ部17及びフランジ部34に挿入することができるように周方向において位置がずらされている。
【0027】
中間板32は、第1筒部31の上端に溶接等によって固定されている。この中間板32には、連結部材21を挿通することができる挿通孔41が形成されている。
第2筒部33は、第1筒部31よりもやや内径及び外径が大きな筒形状に形成されている。第2筒部33の下端は、中間板32の上面に溶接等によって固定されている。第2筒部33の上端には、径方向外方へ突出するフランジ部42が設けられている。
【0028】
閉止板27は、フランジ部42と略同形状の円板状に形成されている。そして、閉止板27をフランジ部42に対向させ、両者間にシール部材30を介装した状態で閉止板27とフランジ部42とをボルト44及びナット45からなる締結具によって締結することで、閉止板27が本体部26にシールされた状態で連結される。
締結ナット28は、第2筒部33内に配置されており、内部に雌ネジ部(第2連結部)を有している。そして、締結ナット28は、中間板32の挿通孔41に挿通された連結部材21の上端部に螺合し、外閉鎖部材20と連結部材21とを着脱可能に連結する。
【0029】
以上の構成を有する検査用治具10を用いたノズル12の耐圧漏洩検査について説明する。まず、一体化された内閉鎖部材19及び連結部材21をタンク本体14の内部に持ち込み、連結部材21をノズル12の内部に挿入し、押さえ板22とノズル12の下端面とをシール部材23を介して対向させる。
【0030】
一方、タンク本体14の外部側においては、外閉鎖部材20における本体部26と閉止板27とを予め分解しておき、当該本体部26をノズル12のフランジ部17上にシール部材29を介して載せておく。そして、ノズル12の内部に挿入された連結部材21の上端部を中間板32の挿通孔41に挿通し、連結部材21に締結ナット28を仮止めする。また、ノズル12のフランジ部17と本体部26のフランジ部34とをボルト36及びナット37によって仮止めする。
【0031】
次に、本体部26の上側から締結ナット28を締め付けることによって、連結部材21を本体部26に相対して上方へ移動させ、押さえ板22とノズル12との間に介装されたシール部材23を圧縮し、同時に、フランジ部17とフランジ部34との間に介装されたシール部材29も圧縮する。さらに、ボルト36とナット37とを締め付けることによってもシール部材29を圧縮する。これによって、内閉鎖部材19とノズル12との間、及び、ノズル12と本体部26との間がそれぞれシールされた状態となる。なお、締結ナット28と連結部材21との螺合のみによって本体部26とノズル12との間がシール部材29によって十分にシールされる場合には、ボルト36及びナット37を省略することも可能である。
【0032】
次に、本体部26のフランジ部42と閉止板27との間にシール部材30を介装した状態で両者をボルト44及びナット45によって締結する。これによって本体部26と閉止板27とがシールされた状態で連結される。
以上により、ノズル12は、タンク本体14の内部側からも外部側からも密閉された状態となる。そして、流入管(流入口)39から検査用流体を所定の圧力で供給し、所定の時間圧力が保持されているかどうかを調べることによってノズル12から漏洩の有無を検査することができる。
【0033】
なお、流入管39から流入される検査用流体は、特に限定されないが、例えば窒素を使用することができる。また、ノズル12に付与する圧力は、例えば0.01〜10.00MPaGとすることができる。検査用流体として窒素を用いる場合、例えば1.13MPaGの圧力で供給することができる。
【0034】
以上、説明したように本実施の形態の検査用治具10は、タンク11のノズル12に対する部分的な検査を可能にする。そのため、タンク全体に対して水張り検査を行う必要がなくなり、検査に要する工期や工費、労力を大幅に削減することができる。
また、検査用治具10は、内閉鎖部材19及び連結部材21をタンク本体14の内部側から装着する必要はあるものの、連結部材21と外閉鎖部材20との連結はタンク11の外部側から行うことができる。したがって、ノズル12に対する検査用治具10の装着を容易に行うことができる。
【0035】
さらに、検査用治具10を装着するためにノズル12には何ら加工を行う必要がないので、本実施の形態の検査用治具10は、既設のタンク11の検査のためにも使用することができる。
【0036】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る検査用治具10の断面図である。
本実施の形態の検査用治具10は、内閉鎖部材19の構造が第1の実施の形態とは異なっている。すなわち、本実施の形態の内閉鎖部材19は、第1の実施の形態の押さえ板22(図2参照)の代わりに、一側部が開口する椀形状に形成された被覆部材48を備えている。具体的に、この被覆部材48は、底壁46と、この底壁46の外周から立ち上がる周壁47とを有している。そして、被覆部材48は、タンク本体14の内部に突出するノズル12の端部をその周囲を含んで被覆するように配置される。また、本実施の形態のシール部材23は、被覆部材48の周壁47の端面と、タンク本体14の内面との間に介装される。なお、被覆部材48の周壁47の端面は、タンク本体14の内面形状に沿った形状に形成される。したがって、例えば、タンク本体14の内面が湾曲している場合には、周壁47の端面もその形状に沿った湾曲形状に形成される。
【0037】
本実施の形態の場合、タンク本体14の内部側におけるノズル12の端部だけでなく、その周囲を含めて被覆部材48及びシール部材23によって密封することができる。そのため、ノズル12とタンク本体14との接合部(溶接部16)からの流体の漏洩の有無をも検査することができる。
【0038】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る検査用治具10の断面図である。
上述の第1、第2の実施の形態の検査用治具10は、内閉鎖部材19及び連結部材21をタンク本体14の内部から装着する必要があった。しかしながら、第3の実施の形態の検査用治具10は、内閉鎖部材19及び連結部材21をタンク本体14の外部側から装着することが可能なように構成されている。
【0039】
具体的に、本実施の形態の内閉鎖部材19は、ノズル12の内周面に嵌合されるシール部材23と、このシール部材23を上下から挟持する上挟持板52及び下挟持板53と、上挟持板52に連結された支持筒(支持部材)54と、を備えている。シール部材23は、ゴム等の弾性材料から略円筒形状に形成されており、管状部材12の内径と略同じか若干小さい外径を有している。下挟持板53は、連結部材21の下端部に溶接等によって固定されている。また、支持筒54は、連結部材21の外周面に嵌合されている。支持筒54の上端は、締結ナット28の下側に装着された座金(規制部材)55によって上方への移動が規制されている。上挟持板52とシール部材23の中央部には連結部材21が貫通している。
【0040】
本実施の形態では、外閉鎖部材20の中間板32の挿通孔41に予め連結部材21を挿通し、連結部材21に締結ナット28を仮止めしておき、タンク本体14の外部側からノズル12内に内閉鎖部材19と連結部材21とを挿入する。そして、本体部26をノズル12に連結したのち、締結ナット28を締め付けることによって上下の挟持板52,53の間隔を狭める。これにより、シール部材23が上挟持板52と下挟持板53とによって上下方向(管軸方向)に圧縮され、水平方向に膨張してノズル12の内周面に圧接される。これにより、内閉鎖部材19によってタンク本体14の内部側におけるノズル12の端部を密封状態に閉鎖することができる。
【0041】
本実施の形態は、作業者がタンク本体14の内部に入ることなく検査用治具10をノズル12に装着することができる。したがって、検査用治具10の装着がより容易となり、検査に要する時間や労力をより少なくすることができる。
【0042】
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る検査用治具10の断面図である。
本実施の形態は、上述の第3の実施の形態と同様に、検査用治具10をタンク本体14の外部側から装着することができるように構成したものである。
本実施の形態の内閉鎖部材19は、第3の実施の形態と同様に、ノズル12の内周面に嵌合されるシール部材23を備えている。このシール部材23は、連結部材21の下端部に回転可能に連結されている。ノズル12の下端部には、シール部材23の下面外周部を下側から受ける突縁部56が形成されている。
【0043】
また、外閉鎖部材20における締結ナット28は、中間板32の上面に溶接等によって固定されている。また、連結部材21の上端部には、当該連結部材21を回すための工具58が嵌合する被嵌合部59が形成されている。
【0044】
本実施の形態では、予め外閉鎖部材20の中間板32の挿通孔41に連結部材21の上端部を挿通し、締結ナット28に仮止めしておく。そして、内閉鎖部材19及び連結部材21をタンク11の外部側からノズル12内に挿入する。その後、工具58を用いて連結部材21を回すことで、当該連結部材21を下方へ移動させ、シール部材23をノズル12の突縁部56に圧接させる。
【0045】
したがって、本実施の形態においても、作業者がタンク11の内部に入ることなく検査用治具10をノズル12に装着することができる。したがって、検査用治具10の装着がより容易となり、検査に要する時間や労力を少なくすることができる。
ただし、本実施の形態では、ノズル12に突縁部56を予め形成しておかなければならず、その分、タンク11の製造コストが増大する。したがって、この点においては、上記第3の実施の形態の方がより有利である。
【0046】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、本発明は、図1に示されるような円筒型のタンクに限らず、球形等の他の形状のタンクのノズル(管状部材)に対しても使用することができる。
また、外閉鎖部材20と連結部材21との連結は、雄ネジ部と雌ネジ部(締結ナット28)によって行われているが、当該連結によって連結部材21を上下方向に移動させることができれば、他の構成(例えばレバー操作によって連結部材を引き上げつつ外閉鎖部材20に固定する構成等)を採用することもできる。
また、ノズル12のフランジ部17と外閉鎖部材20のフランジ部34との連結、本体部26のフランジ部42と閉止板27との連結は、ボルト36,44やナット37,45からなる締結具に代えて、クランプ具を使用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
10: 検査用治具
11: タンク
12: ノズル
19: 内閉鎖部材
20: 外閉鎖部材
21: 連結部材
23: シール部材
24: 雄ネジ部(第1ネジ部)
28: 締結ナット(第2ネジ部)
34: フランジ部(被連結部)
39: 流入管(流入口)
48: 被覆部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク本体の内外を連通する管状部材を前記タンク本体の内部側で密閉する内閉鎖部材と、
前記管状部材に検査用流体を流入させるための流入口を有し、かつ前記管状部材を前記タンク本体の外部側で密閉する外閉鎖部材と、
前記管状部材に挿入されるとともに、長手方向の一端部に前記内閉鎖部材が連結され、長手方向の他端部に前記外閉鎖部材が着脱可能に連結される連結部材と、を備えていることを特徴とする管状部材の検査用治具。
【請求項2】
前記連結部材が、第1連結部を有し、
前記外閉鎖部材が、前記第1連結部に連結されるとともに、当該連結に伴って前記連結部材を前記管状部材の管軸方向へ移動させる第2連結部を有し、
前記内閉鎖部材が、前記第1連結部と前記第2連結部との連結に伴う前記連結部材の移動によって密閉部位に圧接されるシール部材を有している、請求項1に記載の管状部材の検査用治具。
【請求項3】
前記第1連結部と前記第2連結部とが、互いに螺合可能なネジによって構成されている請求項2に記載の管状部材の検査用治具。
【請求項4】
前記内閉鎖部材が、前記タンク本体の内部側における前記管状部材の端面に対向する押さえ部材と、当該押さえ部材と前記端面との間に介装される前記シール部材と、を有している、請求項2又は3に記載の管状部材の検査用治具。
【請求項5】
前記内閉鎖部材が、一側部が開口した椀形状に形成され、かつ前記タンク本体の内部側において前記管状部材の端部をその周囲も含めて被覆する被覆部材と、この被覆部材の開口端面と前記タンク本体の内面との間に介装される前記シール部材と、を有している、請求項2又は3に記載の管状部材の検査用治具。
【請求項6】
前記内閉鎖部材は、前記管状部材の内周面に嵌合し、かつ前記第1連結部と前記第2連結部との連結に伴う前記連結部材の移動によって管軸方向に圧縮されて前記管状部材の内周面に圧接される前記シール部材を有している請求項2又は3に記載の管状部材の検査用治具。
【請求項7】
前記タンク本体の外部側の前記管状部材の端部には、部品取付用のフランジ部が設けられており、前記外閉鎖部材は、前記フランジ部に連結される被連結部を有している請求項1〜6のいずれかに記載の管状部材の検査用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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