説明

管理された身体検査を改良するシステム及び方法

【課題】検査対象者のプライバシーを保護するとともに、検査プロセスの効率ひいては処理量を維持しつつ、セキュリティ検査場で対象者の検査を行うシステム及び方法の提供。
【解決手段】近傍或いは遠隔に位置する検査・撮像システム操作者と画像分析者との間の言葉及び視覚による情報伝達を向上させつつ、最大の危険物検出能力を可能とし、それによって、検査対象者に対する正確で管理された身体検査及び最小限の「ボディーチェック」を可能とする改良されたX線検出システム及び方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には放射エネルギー撮像システムの分野に関し、より具体的には、人間の身体に携帯される隠れた物体を検出するためのシステム及び技術に関する。特に、本発明は、身体検査を行うシステム操作者と画像分析者との間で潜在的な危険物の位置を伝達するための改良された方法及びシステムに関する。更に詳細には、本発明は、潜在的な危険物を携帯する人物に対する正確で管理された「ボディーチェック」即ち身体検査を行うための改良された検査システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、セキュリティシステムが、衣服の下に隠し持たれた密輸品、武器、爆発物並びに他の危険物を検出する能力は限定されている。大型の金属製物体やある種の爆発物の検出には、一般に金属探知機及び化学嗅覚性探知機が使用されるが、こられの装置を用いても検出できない様々な危険物が存在する。プラスチック及びセラミック製の武器によって、セキュリティ担当者が検出しなければならない非金属製物体の種類が増加している。対象者を手で検査することは、時間がかかり、不便であり、特に空港など人が多い場所での標準的な手段としては、概して人々に許容されにくい。
【0003】
X線散乱を用いて、様々な種類の物質を含む物体の画像を生成可能であることは、当業者には周知である。散乱されるX線の強度は、X線を散乱する物質の原子番号に関連する。一般に、原子番号が25より小さい場合、原子番号が増加するほど、X線後方散乱の強度即ちX線反射率が減少する。
【0004】
物体と人間の組織とでX線反射率が異なるため、人体のX線画像の中で物体を視認できる可能性がある。非金属製物体は、一般的に、人間の組織の元素と同様の低原子番号元素、即ち水素、炭素、窒素及び酸素から構成されている。人間の軟部組織は、比較的低い原子番号の水素、炭素及び酸素が比較的高い密度であるため、かなりの量のX線を散乱する。カルシウムが高原子番号であるため、主にカルシウムで構成される、人体表面近くの骨による散乱ははるかに少ない。隠し持たれた物体、特に金属は、背景となる人体組織と原子組成が顕著に相違するため、容易に画像中で視覚化することができる。
【0005】
更に、人体と同様の原子組成を有する物体は、衣服の下に隠れている場合或いは対象者の体の表面にある場合に、輪郭及び境界を示す傾向がある。特に、輪郭及び境界は、境界の一方の側で散乱を吸収し、境界の他方の側で散乱を増大させるため、輪郭及び境界の周囲ではX線散乱が減少する。
【0006】
従来のシステム、特にX線透過型システムでは、操作者は、人体内部の解剖学的構造を撮像して得られる雑然とした画像の中で、コントラストが非常に低い物体を見分ける必要がある。この作業は困難であるため、プラスチック又はセラミックなど、低原子番号元素から構成される様々な危険物を検出する能力に乏しいという結果となる。このような危険物は、人体を構成する低原子番号元素によって隠れることが多いためである。
【0007】
エッジ(境界)検出効果或いは輪郭効果は、低元素番号の隠れた物体の画像境界を自動的に且つ一様に強調して、その検出を容易にするのに用いられる。境界の強調を行うのと同時に、画像の判断において混乱を生じさせる内部の解剖学的構造の境界を抑制する。
【0008】
先行技術には、隠し持たれた物体を検出するための放射エネルギー撮像システムが開示されている。例えば、譲受人AS&E,Inc社の米国再発行特許第RE28544号(特許文献1)には、「X線放射エネルギーのペンシルビームの源と、該源と一定の関係にある曲線を規定する放射エネルギー検出手段と、該ペンシルビームを用いて該曲線に沿って該放射エネルギー検出手段を走査して、該検出手段に通じる経路に沿って該ペンシルビームが横断する領域において媒体の放射エネルギー反応を表す画像信号を提供する手段と、該領域と該源及び該検出手段を備える組立体とを相対的に変位させて、該源と該検出手段とを結ぶ直線を横断する方向に相対並進運動を行い、二次元で該領域の該放射エネルギー反応を表す一連の画像信号を生成する手段と、該画像信号に反応して該反応を表す画像を生成する手段とを備える放射エネルギー撮像装置」が開示されている。しかし、X線電位は最大150キロボルトまでに設定され、具体的には、X線が検査対象者を透過するように選択される。X線管を150キロボルトで動作させると、或いは100キロボルトであっても、後方散乱検出による撮像の利点、例えば少ない線量による走査という利点が失われてしまう。特に対象者が頻繁に走査される場合、例えば頻繁に空港を利用する人である場合には、この技術では、対象者を相当な放射線量にさらすことが要求される。
【0009】
同じく譲受人AS&E,Inc社の米国特許第4,839,913号(特許文献2)には、「選択された放射特性の目標構成要素を強調するように物体を検査する撮像に有用な装置であって、(a)物体に対して選択された透過放射源と、(b)該源から空間を直線に沿ってペンシルビーム放射を繰り返し走査する手段と、(c)空間で、撮像される該物体と該直線との間の相対運動を提供する手段と、(d)実質的に方向を変えずに該物体を透過しつつ該物体から現れる放射エネルギーに反応して、第一電気信号を生成するように位置する第一放射エネルギー検出手段と、(e)該物体の該目標構成要素から発せられる所定の蛍光放射線に反応して、第二電気信号を生成する第二放射エネルギー検出手段と、(f)該第一電気信号に反応して、該物体のX線写真画像を生成する表示手段と、(g)該第二電気信号に反応して、該所定の蛍光放射線の存在を示すものを生成する第一手段とを備える装置」が記載されている。しかしながら、蛍光放射線が物体を脱するのに十分なエネルギーを有するように、該源のエネルギーレベルは、選択された蛍光放射線を励起するのに十分なものでなければならない。よって、ある種の物質を検出するためには、物体を比較的強いX線エネルギーにさらす必要があり、これは対人検査システムに対しては許容されないだろう。
【0010】
さらに、同じく譲受人AS&E,Inc社の米国特許第4,799,247号(特許文献3)には、「低Z材料を強調して物体を検査する投射撮像システムであって、(a)透過放射源と、(b)所定断面のビームとなるように該源によって発せられる放射を形成するとともに、空間で直線を横切って該ビームを繰り返し通る手段と、(c)空間で該直線に垂直な方向に、該源に対して該被撮像物体を移動させる手段と、(d)実質的に方向を変えずに該物体を透過しつつ該物体から現れる放射エネルギーに反応して、第一電気信号を生成するように位置する第一放射エネルギー検出手段と、(e)該物体よりも該源から遠くに位置するとともに、該物体によって散乱される放射エネルギーに反応して第二電気信号を生成する第二放射エネルギー検出手段と、(f)該物体よりも該源の近くに位置するとともに、該物体によって散乱される放射エネルギーに反応して第三電気信号を生成する第三放射エネルギー検出手段と、(g)該電気信号の少なくとも一対に反応して、時間の関数として別個、独立且つ同時に電気信号の該一対を表示する表示手段とを備えるシステム」が開示されている。透過信号及び後方散乱信号の双方を提供するのに十分なエネルギーの入射ビームでは、上述した特許のものと同様に、X線エネルギーが比較的強くなければならず、対人検査には望ましくないシステムとなる。
【0011】
譲受人アジラント・テクノロジーズ(Agilent Technologies)の米国特許第6,965,340号(特許文献4)には、検査対象者が歩いて通り抜けることができる入口と、アンテナ素子の列を備える走査パネルであって、該アンテナ素子の各々は、該検査対象者上の目標に向かってマイクロ波照明のビームを向けるように、それぞれ位相遅延をもってプログラム制御され、更に該アンテナ素子は、該目標から反射された反射マイクロ波照明を受け取ることが可能な走査パネルと、該反射マイクロ波照明の強度を測定して、処理装置によって構成される該検査対象者の画像内の画素値を決定するように機能する該処理装置とを備えるセキュリティ検査システム」が開示されている。
【0012】
譲受人ラピスキャン・セキュリティ・プロダクツ(Rapiscan Security Products)の米国特許第5,181,234号(特許文献5)には、装置からある距離を置いて位置する人体によって或いは人体上に携帯される低原子番号物体を検出するためのX線撮像装置であって、該人体に向かうX線ペンシルビームを生成するX線源と、該人体を低放射線量にさらすのが十分に短い走査サイクルで、該人体の表面上の該ペンシルビームと該人体との交差領域を移動させる走査手段と、該走査手段によって走査された結果として該人体から散乱されるX線の強度を表す信号を提供する検出器組立体であって、該検出器組立体は該人体に関して該X線源と同じ側に設けられるとともに、該信号の10パーセント未満の変動係数となるように該散乱X線の相当部分を受け取るのに十分な大きさをもつ作動領域を有する検出器組立体と、操作者に対して該検出信号の特性を示す表示手段とを備え、該散乱X線は該検出器の全域に広がり、該低原子番号物体の境界を強調して検出を可能にするエッジ効果を生じさせるX線撮像装置が開示されている。この特許の内容は、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
【0013】
同じく譲受人ラピスキャン・セキュリティ・プロダクツ(Rapiscan Security Products)の米国特許第6,094,472号(特許文献6)には、装置に対して移動する身体によって或いは身体上に携帯される物体を検出するためのX線撮像装置であって、該装置は入口と出口とを有し、少なくとも該入口から該出口へ延びる通路と、該通路内の該身体へ向かうX線ペンシルビームを生成する手段を有する少なくとも一つのX線源であって、該ペンシルビームは、画素値を有する画素に対応する交差領域にて該身体と交差する少なくとも一つのX線源と、該少なくとも一つのX線源に隣接して設けられ、該ペンシルビームと該身体との該交差領域を該身体の表面上で移動させる走査手段と、該身体が該入口から該出口へ該装置に対して移動する際に、該走査手段に該身体を実質的に追跡させる追跡手段と、該第一走査手段によって走査された結果として該身体から散乱されるX線の強度を検出するとともに該散乱X線の強度を表す信号を生成する検出器組立体であって複数の検出器を備える検出器組立体と、操作者に対して該検出信号の特性を示す表示手段とを備えるX線撮像装置が記載されている。
【0014】
譲受人ジョン・ディー・ゴーマン(Gorman, John D.)その他の米国特許第6,967,612号(特許文献7)には、「監視下区域内で人間が携帯する爆発物(HCE)を遠隔で検出するためのシステムであって、レーダー送信器、レーダー受信機、少なくとも一つのレーダーアンテナ及び注視フィールドを有する能動的レーダーシステムと、該能動的レーダーシステムと物理的に協働するレーダー追跡制御システムであって、該能動的レーダーシステムの該注視フィールドは該監視下区域内で対象とされ、該監視下区域は該注視レーダーフィールドよりも大きいレーダー追跡制御システムと、ビデオ表示端末及びデータ入力手段を有するユーザーインターフェースと、該レーダーシステム、該レーダー追跡制御システム及び該ユーザーインターフェースと電気的に通信を行うコンピュータであって、該コンピュータは中央処理ユニット、メモリ、及び該メモリに記憶されたコンピュータ読取り可能なプログラムコードを有し、該コードは、該レーダーシステムを対象とするレーダー追跡指示手段と、人間が携帯する爆発装置を検出するHCE検出指示手段とを含むコンピュータとを備えるシステム」が開示されている。
【0015】
しかしながら、上述した従来のシステムは重大な欠点を有している。現存のシステムでは、検査対象者の身体及び検査対象者の衣服の下に隠れた物体があればその物体の特性によって、詳細な画像が生成される。その後、システム操作者は、隠れた物体の証拠を求めて各画像を詳しく調べる。従って、従来の画像を分析するシステム操作者及びセキュリティ担当者は、これらの人々の詳細な解剖学的構造を知ってしまうことになる。
【0016】
加えて、空港内の雑音、プライバシーの欠如、及び、画像分析者とシステム操作者との間にある多くの人々及び/又は機器の存在によって、システム操作者とセキュリティ担当者との意思疎通がしばしば妨害される。
【0017】
更に、検知された危険物の正確な位置を伝達する際に混乱を招く可能性がある。例えば、危険物が検査対象者の身体の左側にあるか右側にあるかを示す際に、共通の基準系で伝達することが困難となることが多い。よって、混乱及び誤伝達を防ぐため、画像分析者とシステム操作者とが、危険物が検知された位置を伝達するのに数分を費やすこともよくあり、これはしばしば信頼性に欠ける。加えて、危険物が検知された位置が初めから誤って指示され、もしそのような危険物が存在する場合には、セキュリティ担当者が危険物の実際の位置を見つけるために、どのみち全体のボディーチェックを行わなければならなくなる。
【0018】
よって、身体検査即ち「ボディーチェック」が検査対象者の身体の特定部分に必要である場合であっても、セキュリティ担当者は、通常、体全体のボディーチェックを行う。しかしながら、体全体のボディーチェックはしばしば、セキュリティ担当者及び検査対象者の双方にとって時間がかかり不快なものである。更に、体全体のボディーチェックを行うのに費やされる時間は処理量を低下させ、よって処理が遅くなり、セキュリティ検査の列に並んでいる他の検査対象者にとって不便である。
【0019】
従って、従来技術においては、「ボディーチェック」を特定の位置に対して行うことによって、検査対象者の快適さ及びプライバシーを十分なレベルに保ちつつ、セキュリティの最大化と検査能力という相矛盾するけれども等しく重要な原則の適切なバランスを達成するようなシステムは提供されていない。
【0020】
上記の欠点に鑑み、画像分析者とシステム操作者との間の情報伝達を向上させつつ、最大限の危険物検出能力を可能とすることにより、検査対象者に対する管理された身体検査及び最小限の「ボディーチェック」を可能とするX線検査システムが必要とされている。
【0021】
加えて、システム操作者と画像分析者との間の言葉及び視覚による情報伝達を強化すること並びに容易に使用できるようにすることによって、処理量の増加を可能とするX線検査システムが必要とされている。更に、処理量を高め、より高いセキュリティ並びにより低い全体の運用コストをもたらす対人検査システムが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国再発行特許第RE28544号公報
【特許文献2】米国特許第4,839,913号公報
【特許文献3】米国特許第4,799,247号公報
【特許文献4】米国特許第6,965,340号公報
【特許文献5】米国特許第5,181,234号公報
【特許文献6】米国特許第6,094,472号公報
【特許文献7】米国特許第6,967,612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
そこで本発明は、対象者のプライバシーを保護するとともに、検査プロセスの効率ひいては処理量を維持しつつ、セキュリティ検査場で対象者の検査を行うシステム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
一実施形態において、本発明は、近傍或いは遠隔に位置する検査・撮像システム操作者と画像分析者との間の言葉及び視覚による情報伝達を向上させつつ、最大の危険物検出能力を可能とし、それによって、検査対象者に対する正確で管理された身体検査及び最小限の「ボディーチェック」を可能とする改良されたX線検出システム及び方法を提供する。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、撮像・走査システム及び調査官ステーションを備え、調査官ステーションでは、画像分析者が、より具体的な危険物の位置を示す情報を有する画像に注釈を付けた後に、撮像システムにおける検査・撮像システム操作者へ伝達して、検査対象者に対する正確で管理された身体検査を行うことができる画像処理システムを提供する。
【0026】
より具体的には、一実施形態において、本発明は、人体検査用撮像システムにおける情報伝達の効率を向上させる方法であって、該撮像システムを用いて、該人体の少なくとも一つの第一画像を生成する工程と、第一表示器に、該人体の該少なくとも一つの第一画像を表示する工程と、更なる検査を必要とする該少なくとも一つの第一画像の少なくとも一つの重要領域を特定する工程と、少なくとも一つの第二画像を生成する工程であって、該少なくとも一つの第二画像は、更なる検査を必要とする該少なくとも一つの第一画像の該少なくとも一つの重要領域の視覚的表示である工程と、第二表示器に、該少なくとも一つの第二画像を表示する工程とを備える方法を提供する。一実施形態において、該少なくとも一つの第二画像は、修正された少なくとも一つの第一画像を含み、該少なくとも一つの第一画像は、検査効率を向上させるように、そして該人体のプライバシーを保護するように修正される。一実施形態において、該少なくとも一つの第一画像は、該人体の一般的な視覚的表示を含む。
【0027】
一実施形態において、該第一表示器は、画像分析者が視認するため調査官ステーションに位置し、該第二表示器は、検査システム操作者が視認するため該撮像システムに位置する。好ましくは、該画像分析者は、該第一表示器を用いて、該第二表示器に向かう該検査システム操作者に走査情報を伝達する。
【0028】
別の実施形態において、該画像分析者は、把握された重要な危険物領域を伝達するための適当な指標を用いて、該少なくとも一つの第一画像上の重要領域に注釈を付けることによって、把握された危険物情報を該検査システム操作者に伝達する。
【0029】
別の実施形態では、該少なくとも一つの第一画像上の該重要領域の該注釈は、ソフトウェア・アルゴリズムを用いることによって調整され、その後該少なくとも一つの第二画像上に表示されることが可能である。
【0030】
更に別の実施形態では、該少なくとも一つの第一画像上の該重要領域の該注釈は、該画像分析者によって手動で調整され、その後該少なくとも一つの第二画像上に表示されることが可能である。
【0031】
更に別の実施形態では、該少なくとも一つの第一画像は、該少なくとも一つの第二画像における実際の人体サイズと相関するように、サイズ変更、形状変更及び位置変更される。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、強化された視覚的情報伝達を行う人体検査用X線後方散乱撮像システムであって、撮像領域に向かってX線ペンシルビームを生成可能な放射線源と、該撮像領域に位置する物質と相互作用する結果として、該ペンシルビームから後方散乱されるX線を検出する検出器列と、調査官ステーションに位置する第一表示器と、該撮像システムに位置する第二表示器とを備え、該第一表示器は、該第二表示器を介してシステム操作者へ走査情報を伝達するために、画像分析者によって使用されるX線後方散乱撮像システムを提供する。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、人体検査用撮像システムにおける情報伝達の効率を向上させる方法であって、該人体の画像表現を生成する工程と、第一表示器にて該人体の該生成された画像表現を視認する工程と、第二表示器にて該人体の該生成された画像表現の視覚的に概略化したものを伝達する工程とを備える方法を提供する。
【0034】
別の実施形態において、本発明は、人体検査用撮像システムにおける情報伝達の効率を向上させる方法であって、撮像領域に該人体を位置させる工程と、該撮像領域に向かってX線ペンシルビームを生成するようにX線管を動作させる工程と、十分に速い速度で該撮像領域に該X線ペンシルビームを走査する工程であって、該ペンシルビームは十分に小さな線量である工程と、該撮像領域に位置する物質と相互作用する結果として、該ペンシルビームから後方散乱されるX線を検出する工程と、該撮像システムを用いて、該人体の少なくとも一つの第一画像を生成する工程と、第一表示器に、該人体の該少なくとも一つの第一画像を表示する工程と、更なる検査を必要とする該少なくとも一つの第一画像の少なくとも一つの領域を特定する工程と、少なくとも一つの第二画像を生成する工程であって、該少なくとも一つの第二画像は、更なる検査を必要とする該少なくとも一つの第一画像の該少なくとも一つの領域の視覚的表示である工程と、第二表示器に、該少なくとも一つの第二画像を表示する工程とを備える方法を提供する。
【0035】
更に別の実施形態において、本発明は、強化された視覚的情報伝達を行う人体検査用X線後方散乱撮像システムであって、撮像領域に向かってX線ペンシルビームを生成可能な放射線源と、該撮像領域に位置する物質と相互作用する結果として該ペンシルビームから後方散乱されるX線を検出する検出器列とを更に備える撮像システムと、画像分析者ステーションに位置する第一表示器と、該撮像システムに位置する第二表示器とを備え、該第一表示器は、該第二表示器を介して検査システム操作者へ走査情報を伝達するために、画像分析者によって使用されることを特徴とするX線後方散乱撮像システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態によるセキュリティシステムの配置を示す概略図。
【図2】本発明の一実施の形態による撮像システムにおいて使用される後方散乱検出システムの概略図。
【図3】本発明の一実施の形態において使用される後方散乱検出システムのX線走査ペンシルビームを生成するのに用いられる機械的手段を示す図。
【図4】本発明で使用される検出システムの概略斜視図。
【図5】本発明の検査システムで使用される典型的な検出器を示す図。
【図6A】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6B】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6C】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6D】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6E】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6F】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6G】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6H】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6I】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6J】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6K】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6L】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6M】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6N】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6O】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6P】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6Q】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6R】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6S】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6T】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図6U】本発明の実施形態による検査システムの動作ステップを示す図。
【図7】図6Aから図6Uを参照して説明される、本発明の検査システムの動作ステップを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、検査対象者のプライバシーを保護するとともに、検査プロセスの効率ひいては処理量を維持しつつ、セキュリティ検査場で対象者の検査を行うシステム及び方法に関する。
【0038】
また本発明は、近傍或いは遠隔に位置する検査・撮像システム操作者と画像分析者との間の言葉及び視覚による情報伝達を向上させつつ、最大の危険物検出能力を可能とし、それによって、検査対象者に対する正確で管理された身体検査及び最小限の「ボディーチェック」を可能とする改良されたX線検出システム及び方法に関する。
【0039】
また本発明は、撮像・走査システム及び調査官ステーションを備え、調査官ステーションでは、画像分析者が、より具体的な危険物の位置を示す情報を有する画像に注釈を付けた後に、撮像システムにおける検査・撮像システム操作者へ伝達して、検査対象者に対する正確で管理された身体検査を行うことができる画像処理システムに関する。
【0040】
別の実施形態において、本発明は、自動検出アルゴリズム及びルールベース推論エンジンを備えるコンピュータシステムを用いて、より具体的な危険物の位置を示す情報を有する画像に注釈を付けた後に、撮像システムにおける検査システム操作者へ伝達して、検査対象者に対する正確で管理された身体検査を行うことができる画像処理システムに関する。
【0041】
従って、一実施形態において、本発明は、強化された視覚通信機能を有する人体検査用検査システムであって、撮像領域に向かってX線のペンシルビームを生成可能な放射源と、該撮像領域に位置する物質と相互作用する結果としてペンシルビームから後方散乱されるX線を検出するための検出器列とを更に備える撮像システムと、画像分析者ステーションに位置する第一表示器と、撮像システムに位置する第二表示器とを備え、該第一表示器は、該第二表示器を介して検査システム操作者へ走査情報を伝達するために、画像分析者によって使用される検査システムに関する。
【0042】
また、本発明は、検査システム操作者と画像分析者との間の言葉及び視覚による情報伝達の向上を可能とし、よって、処理量が大きく、容易に使用でき、より少ない訓練で操作でき、全体の運用コストがより低く、セキュリティを高めたシステムを提供する、改良されたX線検出システム及び方法に関する。
【0043】
本発明は、複数の実施形態を有する。本明細書で用いられる文言は、どれか特定の実施形態の一般的な否定として、或いは請求の範囲で用いられる用語の意味を離れて請求の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【0044】
本発明の一実施形態では、調査官ステーションにおいて、対象者の画像表現が画像分析者によって視認される。本発明の一実施形態では、調査官ステーションは、撮像システムから離れた位置にある。画像分析者は対象者の画像を視認して、潜在的な危険物の位置を正確に指示したものを得る。一実施形態では、上述し以下で更に詳述するように、画像分析者は画像に注釈を付け、撮像システムにある表示器へ注釈付きの画像情報を送り、危険物が存在するかも知れない対象者の身体における特定位置に対して身体検査を行うように指示することが可能である。
【0045】
本発明の一実施形態では、調査官ステーションにおける画像分析者と撮像システムにおける検査システム操作者との間で、データが送信される。
【0046】
一実施形態では、送信データは検査対象者の画像表現を表す。別の実施形態では、送信データは検査対象者の画像表現を表すところ、画像分析者は、システム操作者による身体検査を要するかも知れない検査対象者の指示された領域を示す注釈付けを行う。別の実施形態では、送信データは、高度にプライバシー保護された、検査対象者の一般的概略的画像表現を表す。別の実施形態では、送信データは、高度にプライバシー保護された、検査対象者の一般的概略的画像表現を表すところ、画像分析者は、検査システム操作者による身体検査を要するかも知れない検査対象者の指示された領域を示す注釈付けを行う。本発明の幾つかの実施の形態について図6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、6I、6J、6K、6L、6M、6N、6O、6P、6Q、6R、6S、6T及び6Uに基づき、以下でより詳細に説明する。これらの図は、本発明のセキュリティ検査システムの動作ステップを示している。
【0047】
一実施形態において、本発明は、金属から構成されるか低Z材料から構成されるかに関わらず、低レベル放射線量を用いて武器及び危険物を検出する隠匿物検出システムに関する。撮像システムは、左側モジュール及び右側モジュールを備えるように構成され、これら二つのモジュールは、その間を人が歩行するのに十分な距離だけ離間している。ハウジングは天井を含んでもよく、左側モジュール及び右側モジュールをカバーして、門型の構造を形成する。更に、好ましい実施形態の門型構造は、その面積が比較的狭いため、金属探知機、麻薬・爆発物嗅覚性探知機及びビデオカメラを含む他の対人検査装置と組み合わせるのがより容易である。
【0048】
本発明の具体的な実施形態について説明する。本明細書で説明する実施形態は、どれか特定の実施形態の一般的な否定ではなく、或いは請求の範囲で用いられる用語の意味を離れて請求の範囲を限定するために用いられるものではない。
【0049】
図1は、本発明の一実施形態による対人検査セキュリティシステムの配置を示す概略図である。一実施形態では、セキュリティシステム100は、撮像システム105及び調査官ステーション110を備える。一実施形態では、ただしそのような実施形態に限定されるものではないが、本発明で用いる撮像システムは、検査又は調査対象者の身体表面上にX線ペンシルビームを走査する隠匿物検出システムである。しかしながら、他の実施形態では、X線画像は、以下に限られるものではないが、X線散乱、X線透過、赤外線撮像、ミリメートル波撮像、RF撮像、レーダー撮像、ホログラフィック撮像、CT撮像及びMRIなど、任意の利用可能な「人体撮像」用放射線撮像技術を用いて形成することができる。当業者に周知のように、身体を詳細に表示する能力のある任意の「人体撮像」システムが利用できる。本発明のシステム及び装置によれば、最小限のプライバシー侵害で検査がなされることが保証される。
【0050】
一実施形態において、本発明で用いる撮像システムは、これに限られるものではないが、米国特許第5,181,234号に記載される人体検査システムのような任意の検査システムとすることができる。この特許を、参照することにより本明細書に援用する。従って、本発明は、X線ペンシルビームを検査又は調査対象者の身体表面上に走査する隠匿物検出システムにおける使用法に関して説明されるが、本発明はそのような使用法に限定されず、本明細書における説明は典型例として意図されたものである。
【0051】
動作時には、身体表面上を走査されるX線ペンシルビームから生じ、対象者の身体から散乱又は反射されたX線は、例えばシンチレータと光電子増倍管との組合せのような検出器によって検出される。この散乱X線検出器によって生成された信号は、その後、対象者そして対象者によって携帯される隠匿物があればその隠匿物の画像表現を生成するのに用いられる。本システムは、操作者が、ダイナマイト及びC−4などの爆発物だけでなくセラミック、グラファイト繊維、プラスチック容器、プラスチック武器、ガラス小瓶、注射器、包みに入った麻薬、紙幣の束、そして木製の物体さえも撮像により危険物を検出することを可能とする。
【0052】
加えて、当業者であれば、本アプリケーションで説明する特徴が、以下に限られないが、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、サーバ、DSPチップ或いは特殊撮像装置を含む任意のコンピュータプラットフォームで動作可能であることを認識するだろう。更に、プログラムコードは、単独のコンピュータ上で実行される単独のアプリケーションにコンパイル(事前にコンパイルされてもよいし、或いは「ジャストインタイム」でコンパイルされてもよい)することも可能であるし、或いは、互いにローカル又は遠隔で動作する異なる複数のコンピュータに分配することも可能である。
【0053】
本発明の一実施形態では、撮像システム105は更に、モニタ又は表示器106及び検査区域107を有する。検査システム操作者(図示せず)は、好ましくはモニタ106の前に位置して、検査対象者に指示を行い、システム上にある走査開始ボタン又は他の手段(図示せず)を用いて走査プロセスを開始し、そして、モニタ106上のグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)による指令を読み取る。一実施形態において、モニタ106上のGUI(図示せず)は、ステータスインジケータ及び画像表現ディスプレイを含み、これらは、検査システム操作者に要求される操作又は許される操作が僅かであるか全くない。
【0054】
選択的な実施形態では、モニタ106は更にタッチスクリーンを備える。この実施形態では、タッチスクリーンによって、検査システム操作者が、完全に機能的なGUIを使用することが可能となる。
【0055】
一実施形態では、GUIを用いて、走査モニタ106上に、画像分析者から検査システム操作者に対するメッセージを表示することが可能である。本発明の一実施形態によるセキュリティシステムの動作、ひいては典型的なGUIにより提供される機能を、図6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、6I、6J、6K、6L、6M、6N、6O、6P、6Q、6R、6S、6T及び6Uを参照して以下でより詳細に説明する。
【0056】
一実施形態による検査セキュリティシステム100において、調査官ステーション110はモニタ又は表示器111を備え、更にモニタ又は表示器111は、結果として得られる検査対象者の画像表現を表示するGUI(図示せず)を備える。一実施形態では、GUIを用いて、表示器又はモニタ106を介して、画像分析者から検査システム操作者への情報伝達が可能となる。本発明の一実施形態によるセキュリティシステムの動作、ひいては典型的なGUIにより提供される機能を、図6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、6I、6J、6K、6L、6M、6N、6O、6P、6Q、6R、6S、6T及び6Uを参照して以下でより詳細に説明する。
【0057】
ここで留意すべきであり当業者によって理解されるべき点は、以下に限られるものではないが、マウス、タッチスクリーン又はキーボードを含む任意の種類の入力装置を用いて、画像分析者及び検査システム操作者の双方が、本発明のGUI及び撮像システムを制御するコンピュータシステムにコマンドを入力することができるという点である。
【0058】
本発明の一実施形態では、調査官ステーション110が、撮像システム105から離れた場所に位置している。本発明の一実施形態では、調査官ステーション110は、撮像システム105が設置されているのと同じ建物内に設置されている。本発明の別の実施形態では、遠隔位置の調査官ステーション110が、検査撮像システム105から離れた別の第一位置に設置され、検査撮像システム105は第二位置に位置する。
【0059】
本発明の一実施形態では、撮像システム105へデータが送信されてモニタ106に表示され、そして遠隔位置の調査官ステーション110へ送信されてモニタ111に表示される。遠隔位置の調査官ステーション110における画像分析者と、撮像システム105における検査システム操作者との間でデータが交換される。一実施形態では、送信されたデータは、検査対象者の画像表現を表す。一実施形態では、対象者の輪郭又は画像データ表現が、撮像システム105の一部である撮像システムによって生成される。一実施形態では、図2を参照して以下でより詳細に説明するように、対象者の輪郭又は画像データ表現が、後方散乱撮像システムによって生成される。
【0060】
本発明の別の実施形態において、送信データは、身体検査を要するかも知れない検査対象者の領域に対する注釈を更に含む。一実施形態では、遠隔の調査官ステーション110に位置する画像分析者は、モニタ111上で、身体検査を要するかも知れない検査対象者の画像表現に注釈付けを行う。一実施形態では、そして以下で更に詳細に説明するように、注釈は、把握された危険物領域を示す長方形又は円形の形状を取っていてもよい。別の実施形態では、注釈は、更なる検査を要するかも知れない把握された危険物領域を伝達するための任意の適当な指標を含んでもよい。別の実施形態では、注釈は、重要な領域又は非常に詳細な画像情報を含んでもよい。非常に詳細な画像情報とは、対象者を検査して得られた生画像の一部であってもよいし、或いは、把握された危険物領域の代替画像であってもよい。
【0061】
本発明の一実施形態では、注釈付きデータが、有線接続によって、調査官ステーション110から撮像ステーション105へ送信される。本発明の別の実施形態では、注釈付きデータは、標準的な無線通信プロトコルを用いた無線接続によって、調査官ステーション110から撮像ステーション105へ送信される。本発明の別の実施形態において、無線通信プロトコルは、ブルートゥース(Bluetooth)、HomeRF、IrDA、IEEE802.11及びWAP(Wireless Application Protocol)仕様の何れであってもよい。
【0062】
図2は、本発明の一実施の形態による撮像システムにおいて使用される後方散乱検出システムの概略図である。後方散乱検出システム200は、検査又は調査対象者の身体212に向けてX線ペンシルビーム211を供給する。X線走査ペンシルビームを生成する機械システムの詳細については、図3を参照して以下でより詳しく説明する。
【0063】
X線ペンシルビーム211は、検査対象者の身体212上を水平移動にて走査される。検査対象者の身体212から散乱又は反射された散乱又は反射X線216が、X線感知検出器217によって検出される。X線感知検出器217は、検査対象者と水平方向に対向して面しており、X線ペンシルビーム源230と同じ側に位置している。一実施形態において、検出器パネル217はX線源230と同一平面上であるが、X線源230の上側と下側とに位置している。X線検出器217は、入射するX線ビームの全面において、実質的に一様なX線検出を行うように位置している。X線検出器217から発生された電気信号220と、X線ペンシルビーム源230から受信された同期信号212とが、デジタルコンピュータ224へ伝送される。
【0064】
デジタルコンピュータ224はモニタ226上で画像表示225を生じさせる。ここで、表示内の各点での強度が、検出された散乱X線の相対強度に対応する。本発明の一実施形態では、そして以下でより詳細に説明するように、撮像システムのモニタと調査官ステーションのモニタとの両方において、多数のグラフィカル・ユーザー・インターフェース画面が表示され、これにより、二つのステーション間の効率的な情報伝達と検査対象者の効率的な検査及び走査とが可能になる。
【0065】
図3は、X線走査ペンシルビームを生成するための機械システムをより詳細に示す。機械システム300は、検査対象者の身体にX線を走査するX線ペンシルビーム源330を備える。この機械システムは、協働してX線ペンシルビーム源330を構成するX線管318、機械的チョッパーホイール314及びスリット315を更に備える。
【0066】
図4は、本発明の一実施形態で使用される検出システムの概略斜視図であり、指定領域の画像要素を明確にするために、ペンシルビーム411と対象者412の身体との交差部分を詳細に示している。機械的コリメータ414によって、X線ビームが水平移動で走査される。この水平走査移動と同時に垂直走査移動もなされ、これは、一回の水平方向走査の完了に要する時間で、上方又は下方へX線ビームを垂直方向に移動させる。ここで、X線ビームの移動は任意に選択されるか或いは前もってプログラムされてもよい。結果として得られる画像取得領域又はウインドウは、大抵の物体、より具体的には大抵の人の体全体の検査を行えるくらい十分に大きい。本装置の走査サイクルは、画像内の各画素にX線ペンシルビームを走査して、走査ウインドウ内に位置する対象者及び物体の完全な画像を生成するのに要する時間として定義される。
【0067】
走査プロセスの間、X線ビームは最初は対象者の身体のみに当たる。X線の多くは、身体内へ数センチメートル透過し、コンプトン散乱によって相互作用し、そして、入射したのと同じ表面を通って身体を出る。X線感知検出器は、以下で図5を参照して説明するように、散乱されたX線を検出してX線反射率の電気信号特性が得られるように、入射X線ペンシルビームの周りに置かれる。
【0068】
図5は、本発明のセキュリティシステムで使用される典型的な検出器を示す図である。図5により詳細に示されるように、各検出器517は、光反射面から構成される内部壁541を有する光非透過性の外側エンクロージャ540を備える。この例に限られないが、例えば、内部壁541を白色に塗装することによって、光反射面を設けてもよい。X線増大スクリーン542が、エンクロージャ540の前側カバー又は前側壁を形成する。スクリーン542は、好ましくは、X線フィルムの照射線量率を増加させるためにX線撮影で使用されるタイプのものである。大面積光電子増倍管543が、エンクロージャ540内部の反対側端部に取り付けられる。X線光子516がX線増大スクリーン542に当たることにより、光非透過性の外側エンクロージャ540の内部で光量子547を生じさせる。光量子547の一部が白色或いは別の高反射性のエンクロージャ内部壁541で反射され、光電子増倍管543によって検出される。よって、光電子増倍管543の出力信号は、入射X線束に直線的に相関している。
【0069】
動作としては、本発明の一実施形態による走査ひいては画像処理技術を開始するには、シングルビュー走査モードを用いる。このモードでは、対象者の前面を走査し、その後背面を走査して、デジタル画像表現を得る。別の実施形態では、他の幾つかの走査モードを用いてもよい。これらのモードには、一回の走査によって検査対象者の前面及び背面の画像を得るデュアルビュー走査モードが含まれるが、これに限られるものではない。元画像はその後コンピュータシステムによって処理され、その元画像の表現が、図1で説明したように遠隔位置の調査官ステーションに位置するディスプレイ又はモニタ上に表示される。
【0070】
遠隔位置の調査官ステーションにおけるディスプレイ又はモニタに位置する検査対象者の画像表現は、画像分析者によって更に分析される。詳細な画像に変換する必要のある身体領域を更に特定するため、自動検出アルゴリズム又は手動の操作者を備えるコンピュータシステムを用いてもよい。それらの身体領域は、隠匿された危険物が存在するという証拠を含むからである。
【0071】
潜在的な禁止物が存在することを判断するために、危険物が所定の密度及び面積を有するという特性を用いる。本システムは、危険物として小さなスナップボタンは切り捨てる一方、ナイフが存在する場合には警告を発するように学習されている点で、「インテリジェント」であるように構成されている。従って、検出アルゴリズムを用いて金属製物体が存在することを判断するには、まず検出された物体の陰影情報を、次いでその面積、密度及び大きさの情報を、拳銃、キーリング又はボタンを含む(これらの例の既知物体に限られない)既存既知の物体の組と比較する。
【0072】
選択的に、危険物があるかも知れない具体的領域を示すために、対象者の画像表現に注釈を付ける。結果として得られる注釈付き画像をその後撮像システムへ送信し、そこで、検査システム操作者が、検査対象者の身体検査又は限定され、管理された「ボディーチェック」を行ってもよい。
【0073】
図6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、6I、6J、6K、6L、6M、6N、6O、6P、6Q、6R、6S及び6Tは、本発明の種々の実施形態による検出システムの動作ステップを示す。図7は、本発明のセキュリティ・検査システムの動作ステップを示すフローチャートである。また、本発明の撮像システムの構成要素及び機能的な走査ステップに言及する際に、図1及び7をそれぞれ参照する。
【0074】
ここで図6A及び図1に示されるように、本発明の一実施形態において、撮像システム105(図1に示す)のモニタ106(図1に示す)のGUI600は、ステータスバー602上に少なくとも一つのステータスメッセージ601を表示する。一実施形態では、該少なくとも一つのステータスメッセージ601は、a)次の走査に対する準備ができています、b)次の人に対する準備ができています、c)走査中です(進行中です)、d)追加走査が進行中です、e)検査を行ってください、f)分析中です、G)調査官を待っています、h)ロックされました、及びi)起動中です...というメッセージのうち一つを含んでよいが、これらに限られない。
【0075】
一実施形態では、ステータスメッセージ601は、画像分析者の動作を検査システム操作者へ伝達する。別の実施形態では、ステータスメッセージは、システムのステータスの指標である。例えば、図6Aに示されるように、ステップ701でシステムが電源オンされた後、ステータスメッセージ601は、モニタ106(図1に示す)のGUI600に表示される「起動中です...」というメッセージである。
【0076】
更に、システムが起動した後、画像分析者はシステム(図示せず)にログオンするように指示される。ステップ703で画像分析者がシステムにログオンすると、図6Bに示されるメッセージ601は「ログインを待っています」というメッセージとなり、モニタ106(図1に示す)へ伝達されて表示される。
【0077】
次に図6Cに示されるように、一実施形態では、画像分析者モニタ111(図1に示す)のGUI605は、画像表示部606及び調査ツールバー607を含む。一実施形態において、検査対象者の画像表現が画像表示部606に表示される。一実施形態において、調査ツールバー607は、少なくとも一つの調査オプションボタンを画像分析者に対して表示するのに用いられる。
【0078】
例えば、調査ツールバー607は、「走査」ボタン608、「追加走査」ボタン609、「再生」ボタン610、「前へ」ボタン611、「次へ」ボタン612、「クリア」ボタン613、「検査」ボタン614、「監督者呼出」ボタン615、「切替」ボタン616、及び「ログオフ」ボタン617を含んでもよいが、これらに限られない。加えて、調査ツールバー607は、調査のニーズ及びシステムの方式によって、選択的に、この実施形態に示されない他のボタンを含んでもよい。例えば、使用者がシステムにログオンしていないとき、「ログオフ」ボタン617は「ログイン」ボタン(図示せず)となる。本発明の一実施形態では、上記ボタンのうち何れかが押されると、所定の動作が実行される。
【0079】
別の実施形態では、GUI605は更にオプションツールバー620を含む。以下でより詳細に説明するように、一実施形態において、オプションツールバー620は、画像分析者が本発明の撮像システムの動作モードを変更して、種々の画像タイプを得るのに使用される。
【0080】
ここで本発明の表示モニタに表示されるGUIについては、任意の構成又は配置を用いてもよい点に留意すべきである。画像分析者と検査システム操作者の双方が、マウス、タッチスクリーン又はキーボードを含むがこれらに限られない任意の種類の入力装置を使用して、本発明のGUI及び撮像システムを制御するコンピュータシステムに対してコマンドを入力可能である点は、留意すべきであり当業者に理解されるべきである。
【0081】
一実施形態では、走査ボタン608は、検査システム操作者に対して、撮像位置105における対象者の位置決め及び走査を開始するように伝達するのに使用される。図6Dに示されるように、システムのログインが完了して、ステップ705で画像分析者が走査ボタン608を押すと、一実施形態において「次の人に対する準備ができています」というメッセージとなっているステータスメッセージ601が、モニタ106(図1に示す)へ伝達され表示される。加えて、ステータスメッセージ601は、システムが次の走査に対する準備ができていることを検査システム操作者に伝達するために、「次の走査に対する準備ができています」というメッセージを示してもよい。
【0082】
検査対象者が入口にて走査の位置につくと、ステップ707で、検査システム操作者によって走査動作が開始される。走査動作開始手段については、図1を参照して既に説明した。その後、図6Dに示されるように、システムが使用中であることを示すために、メッセージ601は「走査が進行中です...」というメッセージとなる。
【0083】
一実施形態では、図6Eに示されるように、走査動作によって対象者の画像表現が生成され、この画像表現はその後、画像分析者モニタ111 (図1に示す)の画像表示部606内に表示される。選択的な実施形態では、対象者の画像表現は撮像モニタ106上にも表示される。図6Eに更に詳しく示される別の実施形態では、対象者のより全体的な検査を行うため、対象者の前面及び背面の両方の画像が画像表示部上に描画される。一実施形態では、ステップ709で対象者の前面を走査して、検査対象者の前面画像図640を得る。一実施形態では、ステップ711にて対象者は検査システム操作者に向きを変えるように指示され、検査対象者の背面画像図を得る。本発明の一実施形態では、対象者の前面画像と背面画像とに関して混同が生じるのを防ぐために、画面606の左側に前面画像641aを描画する一方、画面606の右側に背面画像641bを描画してもよい。選択的に、危険物がないことが明らかになるまで、対象者に対して幾つか異なる姿勢をとるように指示してもよく、ここで後続の各走査は、前回の走査の右側に表示される。よって、一実施形態では、走査がなされた順に画面に表示される。
【0084】
図6Fに示されるように、ステップ713で画像分析者が画像分析者モニタ111上で画像を調査している間、画像分析者が画像分析者モニタ111上で画像を調査している途中であることを検査システム操作者に伝達するため、撮像モニタ106(図1に示す)上のステータスメッセージ601は「分析中です...」となる。
【0085】
一実施形態では、ステップ715で、検査対象者上に危険物又は重要な領域が存在しない場合、図6Gの画像分析者に対するGUI690上で画像分析者が分かると、画像分析者はクリアボタン613を押す。その後、対象者は、更なる検査を行うことなく検査システム操作者によって前進させられ、検査区域107を出る。図6Hに示されるように、画像分析者が次の対象者に備えてコンピュータシステムをクリアすると、モニタ106(図1に示す)は、「次の人に対する準備ができています...」というステータスメッセージ601を表示する。
【0086】
代替的な実施形態では、ステップ715にて、もし危険物領域があり、検査対象者に重要な領域があり、或いは画像に不明な領域がある場合は、画像分析者は、追加走査ボタン609を押すことにより、選択的に追加の走査を要求する。追加走査が要求された場合、このことはステータスメッセージ601の形で検査システム操作者へ伝達され、ステップ716にて検査システム操作者は検査対象者の追加走査を実行する。
【0087】
しかしながら、選択的に、もし潜在的な危険物の存在によって検査対象者が通過できない場合は、画像分析者はステップ717にて、検査システム操作者が検査対象者の手検査を行うように要求する。一実施形態では、画像分析者は、口頭で或いはコマンドによって、検査システム操作者が検査対象者の手検査を行うように要求する。
【0088】
別の実施形態では、画像分析者は、図6Iに示されるような検査ボタン614によって、検査システム操作者が検査対象者の手検査を行うように要求する。一実施形態では、図6Jに示されるように、検査ボタン614が押されると、「検査を行ってください...」と表示されるステータスメッセージ601として、手による検査要求が検査システム操作者へ伝達される。
【0089】
別の実施形態では、図6Kに示されるように、検査ボタン614を押すと、ステップ719にて画像分析者が画像表現に図形を描いたり注釈を付けたりして検査システム操作者に対して、視覚的或いは絵による表現を伝達することが選択的に可能となる。この視覚的或いは絵による表現は、危険物の存在を特定するために、対象者の身体上の具体的位置を検査するように検査システム操作者に指示するものである。一実施形態では、この図形は、長方形、正方形、円、又は他の任意の適当な形状又は指標であり、危険物又は重要な領域があるかも知れない対象者の身体上の指示された領域を特定する。この例に限られないが、例えば、図6Kに示されるように、対象者の身体上の潜在的な危険物領域651を示すために長方形650が使用されており、よって、この領域が、正確で管理された身体検査を受ける。画像分析者は任意の画像上に幾つでも注釈を付けてよいという点は、当業者が理解すべきところである。
【0090】
結果として得られる伝達情報が図6Lに示されており、ステータスメッセージ601と注釈付き画像表現640との双方がモニタ106(図1に示す)上で検査システム操作者に示される。走査された画像表現640は、検査対象者前面の限定された詳細な人体全体を表す画像であって、また注釈用長方形650をも示しており、管理された身体検査を行うために対象者身体上の潜在的な危険物領域651を目立たせている。
【0091】
図6Mに示されるように、一実施形態において、本発明は、より正確に危険物を見つけるために、人体全体を表す画像ではなく、プライバシー性の高い対象者の輪郭695を少なくとも一つ用いる。本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/024,320号は、画像処理方法の詳細に関する幾つかの実施形態について説明しており、これを参照することにより本明細書に援用する。
【0092】
図6Nに示されるように、画像分析者が、長方形650を用いて検査対象者身体の一部に注釈を付ける際に、時折、この注釈がモニタ106上に正確に表現されないことがある。図6Oに示されるように、注釈用長方形650がわずかに目標から外れている。これはシステム間で画像描画を行うことと、画像分析者モニタ111とモニタ106とで大きさが異なる画像間で注釈の変換を行うことによる。これは、概して、一般的に表現した人体は、様々なタイプの人体に効果的に対応しないためである。従って、別の実施形態では、図6Pに示されるように、画像分析者は、任意の注釈用長方形即ち検査ボックス650を位置変更できるように、画像分析者モニタ111上に、検査対象者の詳細な画像表現と一般的に表現した人体との両方の図を有する。結果的に修正されたものを図6Qに示す。
【0093】
更に別の実施形態では、本発明のセキュリティ・検査システムは、人の身体の特徴を測定して、その情報を画像分析者ステーションへ伝達することが可能である。図6Rに示されるように画像分析者に示される人体走査画像690は、検査システム操作者に示される一般的な画像表現695と大きさが異なっている。画像分析者の操作なしで大きさの違いを補正するため、一実施形態では、本発明の撮像システム部は、少なくとも一つの高さ点、少なくとも一つの左位置点、及び少なくとも一つの右位置点を測定し、これらの測定値に依存する比率を用いて、更に、正しい領域に注釈を位置変更することが可能である。従って、注釈ボックス696は、単一サイズの一般的画像表現に適切に関連づけられ、そして図6Rに示されるように、一般的画像表現の適切な位置に表示される。
【0094】
別の実施形態では、本発明のセキュリティ・検査システムは、複数の高さ点、複数の左位置点、及び複数の右位置点を測定し、これらの測定値に依存する比率を用いて、更に、正しい領域に注釈を位置変更して輪郭マップを生成することが可能である。
【0095】
一実施形態では、アルゴリズムを用いて、人体走査画像690の解剖学的構造と一般的な画像表現695の解剖学的構造とを関連付ける計算を実行する。
【0096】
更に別の選択的な実施形態では、画像分析者は、検査対象者の身体的特徴によって、その検査対象者に「適合する」身体タイプを選択することができる。
【0097】
図6Eを参照して上述したように、対象者のより完全な検査を行うため、対象者の前面及び背面の両方の画像が画像表示部に描画される。本発明の一実施形態では、対象者の前面画像と背面画像とに関して混同が生じるのを防ぐために、画面606の左側に前面画像を描画する一方、画面606の右側に背面画像を描画してもよい。選択的に、危険物がないことが明らかになるまで、対象者に対して幾つか異なる姿勢をとるように指示してもよく、ここで後続の各走査は、前回の走査の右側に表示される。よって、一実施形態では、走査がなされた順に画面に表示される。
【0098】
撮像システムのモニタ106で受信された注釈付きデータによって、潜在的な危険物の位置を迅速に視覚的に連想することが可能となる。従って、検査システム操作者はより管理された身体検査を行って、実際に危険物が存在するかを確定することができる。
【0099】
本発明の一実施形態では、画像に関連する注釈付き情報が検査システム操作者へ伝達される。更に別の本発明の更に別の実施形態では、調査官ステーション担当者又は画像分析者は図6Cに示される監督者呼出ボタン615を押して、注釈付きデータ及び危険物情報の詳細を検査システム操作者に対して口頭で伝えてもよい。
【0100】
選択的に、ステップ721では、検査システム操作者は、検査対象者の注釈付き画像表現に基づき、調査官ステーション担当者によって伝えられた身体の所望の部分において検査容疑者の身体検査を実行する。
【0101】
本発明の一実施形態では、より正確に管理された身体検査により、遠隔に位置する調査官ステーションとの間の潜在的な危険物の位置を伝達する時間の削減と、検査対象者の身体検査を行う時間の削減とによって、処理量及び運用コスト削減という点において顕著な向上が可能となる。
【0102】
図6Sに示されるように、調査が完了すると、ステップ723にて、画像分析者は、「検査完了」ボタン614(当初は「検査」ボタン614であった)を選択し、撮像システムは次の人に対する準備ができている。この操作があると、図6Tに示されるように、モニタ106は、「次の人に対する準備ができています...」というステータスメッセージ601を表示する。
【0103】
図6Uに示されるように、一実施形態では、プライバシー設定を用いる際に、画像分析者はズーム機能を使用して、より小型の物体について解決したり、詳細部分が小さくなることを回避することができる。
【0104】
一実施形態において、ステップ725では、ログオフボタン617によって、セキュリティ担当者は、セキュリティシステムのグラフィカル・ユーザー・インターフェースから出て、走査・調査システムを停止することができる。
【0105】
本発明は空港、鉄道の駅で乗客を検査したり、ショッピングモールで使用したり、更には医療への適用も可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
走査プロセスにおいて、立った姿勢にある対象者について具体的に説明したが、テーブルに横たわっている人に対して水平に走査することも同様に可能である。
【0107】
上述した例は、本発明のシステムによる多くの応用例を単に例示したものに過ぎない。本明細書では本発明の幾つかの実施形態についてのみ説明したが、本発明の要旨又は範囲から逸脱することなく他の多くの具体的形式として具体化することが可能である。従って、本例及び本実施形態は例示的であって非限定的と解されるべきであり、本発明によるシステム及び方法は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【符号の説明】
【0108】
100:セキュリティシステム、 105:撮像システム、 106:モニタ、 107:検査区域、 110:調査官ステーション、 111:モニタ、 111:画像分析者モニタ、 200:後方散乱検出システム、 217:X線検出器、 224:デジタルコンピュータ、 226:モニタ、 230:X線ペンシルビーム源、 300:機械システム、 314:機械的チョッパーホイール、 315:スリット、 318:X線管、 330:X線ペンシルビーム源、 411:ペンシルビーム、 414:機械的コリメータ、 516:X線光子、 517:検出器、 540:外側エンクロージャ、 541:内部壁、 542:X線増大スクリーン、 543:光電子増倍管、 601:ステータスメッセージ、 602:ステータスバー、 606:画像表示部、 607:ツールバー、 608〜617:ボタン、 620 オプションツールバー、 640:前面画像図、 641a:前面画像、 641b:背面画像、 650:注釈用長方形、 651:危険物領域、 690:人体走査画像、 696 注釈ボックス。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体検査用撮像システムにおける情報伝達の効率を向上させる方法であって、
該撮像システムを用いて、該人体の少なくとも一つの第一画像を生成する工程と、
第一表示器に、該人体の該少なくとも一つの第一画像を表示する工程と、
更なる検査を必要とする該少なくとも一つの第一画像の少なくとも一つの重要領域を特定する工程と、
少なくとも一つの第二画像を生成する工程であって、該少なくとも一つの第二画像は、更なる検査を必要とする該少なくとも一つの第一画像の該少なくとも一つの重要領域の視覚的表示である工程と、
第二表示器に、該少なくとも一つの第二画像を表示する工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
該少なくとも一つの第二画像は、修正された少なくとも一つの第一画像を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
該少なくとも一つの第一画像は、検査効率を向上させるように修正されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
該少なくとも一つの第一画像は、該人体のプライバシーを保護するように修正されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
該少なくとも一つの第一画像は、該人体の一般的な視覚的表示を含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項6】
該第一表示器は、画像分析者が視認するため調査官ステーションに位置し、
該第二表示器は、検査システム操作者が視認するため該撮像システムに位置することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
該画像分析者は、該第一表示器を用いて、該第二表示器に向かう該検査システム操作者に走査情報を伝達することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
該画像分析者は、該少なくとも一つの第一画像上の重要領域に注釈を付けることによって、把握された危険物情報を該検査システム操作者に伝達することを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
該注釈は、把握された重要な危険物領域を伝達するための適当な指標を含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
該少なくとも一つの第一画像上の該重要領域の該注釈は、ソフトウェア・アルゴリズムを用いることによって調整され、その後該少なくとも一つの第二画像上に表示されることが可能であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
該少なくとも一つの第一画像上の該重要領域の該注釈は、該画像分析者によって手動で調整され、その後該少なくとも一つの第二画像上に表示されることが可能であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
該少なくとも一つの第一画像は、該第一表示器で利用可能な走査情報を強化するように修正されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
該少なくとも一つの第一画像は、該少なくとも一つの第二画像における実際の人体サイズと相関するように、サイズ変更、形状変更及び位置変更されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
強化された視覚的情報伝達を行う人体検査用X線後方散乱撮像システムであって、
撮像領域に向かってX線ペンシルビームを生成可能な放射線源と、
該撮像領域に位置する物質と相互作用する結果として、該ペンシルビームから後方散乱されるX線を検出する検出器列と、
調査官ステーションに位置する第一表示器と、
該撮像システムに位置する第二表示器とを備え、
該第一表示器は、該第二表示器を介してシステム操作者へ走査情報を伝達するために、画像分析者によって使用されることを特徴とするX線後方散乱撮像システム。
【請求項15】
人体検査用撮像システムにおける情報伝達の効率を向上させる方法であって、
撮像領域に該人体を位置させる工程と、
該撮像領域に向かってX線ペンシルビームを生成するようにX線管を動作させる工程と、
十分に速い速度で該撮像領域に該X線ペンシルビームを走査する工程であって、該ペンシルビームは十分に小さな線量である工程と、
該撮像領域に位置する物質と相互作用する結果として、該ペンシルビームから後方散乱されるX線を検出する工程と、
該撮像システムを用いて、該人体の少なくとも一つの第一画像を生成する工程と、
第一表示器に、該人体の該少なくとも一つの第一画像を表示する工程と、
更なる検査を必要とする該少なくとも一つの第一画像の少なくとも一つの領域を特定する工程と、
少なくとも一つの第二画像を生成する工程であって、該少なくとも一つの第二画像は、更なる検査を必要とする該少なくとも一つの第一画像の該少なくとも一つの領域の視覚的表示である工程と、
第二表示器に、該少なくとも一つの第二画像を表示する工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項16】
強化された視覚的情報伝達を行う人体検査用X線後方散乱撮像システムであって、
撮像領域に向かってX線ペンシルビームを生成可能な放射線源と、該撮像領域に位置する物質と相互作用する結果として該ペンシルビームから後方散乱されるX線を検出する検出器列とを更に備える撮像システムと、
画像分析者ステーションに位置する第一表示器と、
該撮像システムに位置する第二表示器とを備え、該第一表示器は、該第二表示器を介して検査システム操作者へ走査情報を伝達するために、画像分析者によって使用されることを特徴とするX線後方散乱撮像システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図6K】
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【図6L】
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【図6M】
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【図6N】
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【図6O】
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【図6P】
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【図6Q】
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【図6R】
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【図6S】
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【図6T】
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【図6U】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−530977(P2010−530977A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513430(P2010−513430)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/067619
【国際公開番号】WO2009/006044
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(509347538)ラピスカン セキュリティー プロダクツ、インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】