説明

管理システム

【課題】ユーザに対して、電気機器の使用時間が寿命関連時間になるまでは電気機器の寿命推定情報をすぐに知らせ、電気機器の使用時間が寿命関連時間に到達した場合にはその旨を知らせる。
【解決手段】表示器117の要求確認ボタンが押下されると、宅内サーバ116は、直流機器102ごとに寿命までの残存時間を算出し、使用時間、寿命時期及び残存時間並びに直流機器102の寿命末期の現象を示す情報である寿命末期現象情報を直流機器102ごとに表示器117に送信する。表示器117は、直流機器102ごとに使用時間、寿命時期、残存時間及び寿命末期現象情報を取得し、直流機器102ごとに使用時間、寿命時期、残存時間及び寿命末期の現象を表示画面に表示し、スピーカから音声出力する。また、宅内サーバ116で第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命関連時間に到達したと判定された場合、表示器117は判定結果を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の寿命を管理する管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器の寿命を管理する従来の管理システムとして、特許文献1には、複数の電気機器と、各電気機器の使用状況(機器使用状況)を表示する状況表示装置と、各電気機器の機器使用状況の確認要求を行うための状況確認/制御入力装置とを備える電流使用量検知アダプタ応用システムが開示されている。特許文献1の電流使用量検知アダプタ応用システムでは、状況確認/制御入力装置から機器使用状況の確認要求を送信することによって、各電気機器が異常発生なしである旨を状況表示装置に表示させるとともに、各電気機器の総利用時間を算出し、算出した総利用時間も状況表示装置に表示させることができる。
【特許文献1】特開平9−145743号公報(段落0028,0049及び図9,11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の電流使用量検知アダプタ応用システムには、電気機器の総利用時間を算出することができるものの、電気機器が寿命であるか否かをユーザに知らせることができないという問題があった。したがって、ユーザは、電気機器の予め許容された総利用時間の限界値である寿命時間を知っていなければ、電気機器の総利用時間のみからでは、電気機器が寿命であるか否かを判断することができなかった。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的は、ユーザに対して、電気機器の使用時間が寿命関連時間になるまでは電気機器の寿命推定情報をすぐに知らせることができ、電気機器の使用時間が寿命関連時間に到達した場合にはその旨を知らせることができる管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、電気機器の寿命を管理する管理システムであって、前記電気機器の使用時間を計測し、当該計測した使用時間を用いて、前記電気機器の寿命を推定させるための寿命推定情報を取得する計測手段と、前記電気機器の寿命に関連する寿命関連時間を記憶する記憶手段と、前記計測手段で計測された前記使用時間が前記記憶手段に記憶されている前記寿命関連時間に到達したか否かを判定する判定手段と、前記電気機器の使用状態の確認要求を入力するための確認要求手段と、前記確認要求手段から前記確認要求が入力された場合、前記計測手段で取得された前記寿命推定情報を前記電気機器の使用状態として提示し、前記判定手段で前記使用時間が前記寿命関連時間に到達したと判定された場合、前記判定手段の判定結果を提示する提示手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記寿命関連時間は、前記電気機器の予め許容された使用時間の限界値である寿命時間と、前記寿命時間より短い時間であって前記電気機器が寿命末期となる時間である寿命間近時間とを含み、前記提示手段は、前記使用時間が前記寿命時間に近づくにつれて、前記判定手段の判定結果を段階的に変化させて提示することを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記使用時間が前記寿命間近時間に到達した場合の前記判定手段の判定結果に対する提示頻度より、前記使用時間が前記寿命時間に到達した場合の前記判定手段の判定結果に対する提示頻度が多いことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記寿命関連時間は、前記電気機器の予め許容された使用時間の限界値である寿命時間を含み、前記計測手段は、前記使用時間の計測開始時期と前記記憶手段に記憶されている前記電気機器の寿命時間とを用いて前記電気機器の寿命時期を前記寿命推定情報として計測し、前記提示手段は、前記確認要求手段から前記確認要求が入力された場合、前記計測手段で計測された前記電気機器の寿命時期を前記寿命推定情報として提示することを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1又は2の発明において、前記寿命関連時間は、前記電気機器の予め許容された使用時間の限界値である寿命時間を含み、前記計測手段は、前記使用時間と前記記憶手段に記憶されている前記電気機器の寿命時間との差分である前記電気機器の寿命までの残存時間を前記寿命推定情報として計測し、前記提示手段は、前記確認要求手段から前記確認要求が入力された場合、前記計測手段で計測された前記残存時間を前記寿命推定情報として提示することを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項の発明において、前記電気機器の寿命末期の現象を記憶する現象記憶手段を備え、前記提示手段は、前記確認要求手段から前記確認要求が入力された場合、前記現象記憶手段に記憶されている前記電気機器の寿命末期の現象を前記電気機器の使用状態として提示することを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1項の発明において、前記確認要求手段及び前記提示手段を有する端末装置と、前記電気機器の使用状態を取得するとともに前記記憶手段及び前記判定手段を有し前記端末装置と通信を行うサーバとを備え、前記端末装置は、前記確認要求手段から前記確認要求が入力された場合、前記サーバにアクセスして前記電気機器の使用状態を取得し、当該取得した電気機器の使用状態を前記提示手段で提示し、前記判定手段で前記使用時間が前記寿命関連時間に到達したと判定された場合、前記判定手段の判定結果を前記提示手段で提示することを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れか1項の発明において、前記電気機器に直流電力を供給する直流電力供給手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ユーザが確認要求手段から確認要求を入力することによって、ユーザに対して、電気機器の使用時間が寿命関連時間になるまでは電気機器の寿命推定情報をすぐに知らせることができ、電気機器の使用時間が寿命関連時間に到達した場合にはその旨を知らせることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、電気機器が寿命末期前であること、電気機器が寿命末期であること及び電気機器が寿命であることを区別して提示することができるので、ユーザに対して電気機器がどの状態であるのかを知らせることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、ユーザに対して、電気機器が寿命であることを、より緊急度の高い情報として知らせることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、ユーザが確認要求手段から確認要求を入力することによって、ユーザに対して、電気機器がいつ寿命になるのかを容易に知ることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、ユーザが確認要求手段から確認要求を入力することによって、ユーザに対して、電気機器があとどれくらいで寿命になるのかを容易に知ることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、ユーザに対して、電気機器が寿命になる前に電気機器の寿命時の状態を知らせることができるので、電気機器が実際に寿命に到達したときにその旨をすぐに判断させることができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、ユーザに対して、例えば携帯電話やパーソナルコンピュータなどの端末装置からも、電気機器の使用状態を知らせることができる。
【0020】
請求項8の発明によれば、電気機器に直流電力が供給されることによって、交流電力が供給される場合のように交流電力から直流電力への変換を行う必要がないため、電力変換に伴う損失が発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
まず、本発明に係る実施形態の配電システム(管理システム)の構成について図1〜5を用いて説明する。以下に説明する実施形態は、本発明を適用する建物として戸建て住宅の家屋を想定して説明するが、本発明の技術思想を集合住宅に適用することを妨げるものではない。家屋Hには、図1に示すように、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される負荷としての直流機器(電気機器)102とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流供給線路Wdcを通して直流機器102に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器102との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流供給線路Wdc上で直流電力供給部101から直流機器102への給電の制限や遮断を行う直流ブレーカ114が設けられる。
【0022】
直流供給線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流供給線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
【0023】
上記のように直流電力の給電路と通信路が兼用されていると、機器間の通信を行うために給電路とは別体の通信路を家屋Hに引き回して設ける必要がないため、機器間の通信を容易に実現することができる。
【0024】
直流供給線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下「宅内網」という。)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器102が構築するサブシステムなどと通信を行う。
【0025】
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器102からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器102からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器102からなるインターホンシステムK103(図示はしないが、玄関に限らず、窓開閉・窓破壊を監視する侵入監視の防犯系システムとの間の定期監視情報・通報情報の送受信も可能とする)、火災感知器のような警報系の直流機器102からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
【0026】
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102及びインターホンシステムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて4個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流供給線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102とインターホンシステムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
【0027】
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で家屋Hに先行配置(家屋Hの建築時に施工)される直流コンセント131に接続される直流機器102からなる情報機器システムK101が設けられる。
【0028】
照明システムK102、K105としては、家屋Hに先行配置される照明器具(直流機器102)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング132に接続する照明器具(直流機器102)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング132には、家屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、又は家人自身が照明器具を取り付ける。
【0029】
照明システムK102を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流供給線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器102とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器102あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
【0030】
上述した直流コンセント131、引掛シーリング132には、任意の直流機器102を接続することができ、接続された直流機器102に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント131、引掛シーリング132を区別する必要がない場合には「コンセント部」と呼ぶ。
【0031】
これらのコンセント部は、直流機器102に直接設けた接触子(プラグ)(図示せず)又は接続線を介して設けた接触子(プラグ)(図示せず)が差し込まれる差込式の接続口が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受けが器体に保持された構造を有している。すなわち、コンセント部は接触式で給電を行う。コンセント部に接続された直流機器102が通信機能を有する場合には、直流供給線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器102だけではなくコンセント部にも通信機能が設けられている。なお、直流機器102に直接設けた接触子(プラグ)又は接続線を介して設けた接触子(プラグ)には、直流コンセント131に着脱自在に接続可能なものだけではなく、引掛シーリング132に着脱自在に接続可能なものも含まれる。
【0032】
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
【0033】
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器102であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ202、インターネットTV、携帯電話(移動体電話機)201などのブラウザ機能を備える通信端末を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
【0034】
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
【0035】
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末(例えば携帯電話201やパーソナルコンピュータ202など)からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
【0036】
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的なポーリング監視に対応可能に構成されており、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
【0037】
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
【0038】
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式や操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視や制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。この表示器117を用いた直流機器102の使用時間の確認要求については後述する。
【0039】
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
【0040】
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、例えば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
【0041】
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
【0042】
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(例えば商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
【0043】
分散電源のうち太陽電池161や燃料電池163は必ずしも設けなくてもよいが、二次電池162は設けるのが望ましい。二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源及び分散電源から直流機器102への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。なお、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163の出力を交流電力に変換し、AC/DCコンバータ112の入力電力として用いる構成を採用してもよい。
【0044】
直流機器102の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源及び分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(又は1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器102)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流供給線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
【0045】
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
【0046】
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源及び分散電源や直流機器102を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器102に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
【0047】
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
【0048】
この場合、家屋Hの各階や各部屋を単位として直流電力供給部101を設けることができるから、直流電力供給部101を系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器102との間の直流供給線路Wdcの距離が小さくなるから、直流供給線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111及び分岐ブレーカを分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
【0049】
続いて、直流機器102の構成について図2を用いて説明する。直流機器102は、機器種別を識別する機器識別情報(機器ID)を個別に有し、直流供給線路Wdcに直接に接続されるか又はコンセント部(直流コンセント131、引掛シーリング132)に接続されて、直流電力供給部101から直流供給線路Wdcを介して直流電力が供給されて駆動されるものであり、自己の機器識別情報を記憶する記憶部30と、自己の機器識別情報を接続先のコンセント部又は宅内サーバ116に送信する通信部32と、表示画面330及びスピーカ331を有する報知部33と、各部30,32,33を制御する処理部34とを備えている。
【0050】
処理部34は、記憶部30に記憶されている自己の機器識別情報を、直流供給線路Wdcに直接に接続されている場合は宅内サーバ116に送信するように、コンセント部に接続されている場合はコンセント部に送信するように通信部32を制御する。
【0051】
続いて、コンセント部(直流コンセント131、引掛シーリング132)の構成について図3を用いて説明する。直流コンセント131(引掛シーリング132)は、直流機器102が接続されるものであり、直流機器102のプラグ(図示せず)と着脱自在に接続する機器接続部40と、宅内サーバ116との間で通信を行う通信部43と、記憶部44と、各部40,43,44を制御する処理部45とを備えている。
【0052】
処理部45は、機器接続部40に接続されている直流機器102の機器識別情報を取得し、取得した機器識別情報を記憶部44に記憶させる。また、通信部43に対して、処理部45は、取得した機器識別情報を宅内サーバ116に送信するように制御する。
【0053】
続いて、宅内サーバ116の構成について図4を用いて説明する。宅内サーバ116は、宅内網単位で直流機器102を管理するものであり、直流供給線路Wdcを介して各直流機器102及びコンセント部(直流コンセント131、引掛シーリング132)との間で通信を行う通信部50と、広域網NTを介してセンタサーバ200との間で通信を行う通信部51と、記憶部(記憶手段、現象記憶手段)52と、タイマ部53と、各部50〜53を制御する処理部54とを備えている。
【0054】
通信部50は、直流機器102及びコンセント部から直流機器102の機器識別情報を受信する。通信部51は、処理部54の制御によって、通信部50で受信された機器識別情報に対応し直流機器102の寿命に関連する寿命関連時間や、直流機器102の寿命末期の現象を示す情報(以下「寿命末期現象情報」という。)をセンタサーバ200から受信する。センタサーバ200には、直流機器102の機器識別情報ごとに寿命関連時間及び寿命末期現象情報が格納されている。通信部51で受信された寿命関連時間及び寿命末期現象情報は、処理部54の制御によって、機器識別情報に対応付けられて記憶部52に記憶される。
【0055】
寿命関連時間としては、直流機器102の予め許容された使用時間の限界値である寿命時間や、この寿命時間より短い時間であって、もうすぐ寿命であることつまり寿命末期であることを知らせるための寿命間近時間などがある。
【0056】
直流機器102の寿命末期の現象とは、ユーザの五感によって認識可能な現象をいい、例えば直流機器102が照明負荷の場合、照度が低下することなどをいう。この場合、記憶部52には、例えば「機器1 照度が落ちます」という情報が寿命末期現象情報として記憶されている。上記の他にも、直流機器102の寿命末期の現象として、直流機器102が扇風機の場合、モータの回転音が寿命末期前に比べて大きくなることがあり、さらに他にも直流機器102に異常音が発生すること、直流機器102のケースが寿命末期前に比べて高温になること、停電した後に復電しても動作しない場合が発生することなどがある。
【0057】
なお、寿命関連時間及び寿命末期現象情報は、使用頻度が高い直流機器102の場合、宅内サーバ116の製造時に記憶部52に予め記憶させておくこともできる。このようにすると、宅内サーバ116は、直流機器102が接続する度に、寿命関連情報及び寿命末期現象情報を取得するための通信をセンタサーバ200との間で行う必要がない。
【0058】
タイマ部53は、通信部50で受信された機器識別情報に対応する直流機器102の使用時間を計測する計測手段である。
【0059】
ところで、上記使用時間としては、直流機器102が製造された時からの経過時間(以下「製造時からの経過時間」という。)や、直流機器102が宅内網(直流供給線路Wdc又はコンセント部)に接続された時からの経過時間(以下「接続時からの経過時間」という。)、直流機器102が最初に通電した時(直流機器102が最初にオン状態になった時)からの経過時間(以下「使用開始時からの経過時間」という。)、使用開始時からの通電時間の累積時間(以下「累積通電時間」という。)などがある。
【0060】
使用開始時からの経過時間を使用時間とする場合、直流機器102の通電の有無に関係なく直流機器102の経年劣化に基づく寿命を判定することができる。特に、安全性を高める必要がある直流機器102の場合に使用時間として用いられる。直流機器102の経年劣化としては、例えば、電流機器102に用いられている部品の材料やパッキンなどの電気的部分ではない部分の劣化が考えられる。
【0061】
接続時からの経過時間を使用時間とする場合、直流機器102の接続時から使用開始時までの時間を使用時間に含めることができるので、使用開始時からの経過時間を使用時間とした場合に比べて、直流機器102の経年劣化に基づく寿命を精度よく判定することができる。
【0062】
製造時からの経過時間を使用時間とする場合、直流機器102の製造時から使用開始時までの時間を使用時間に含めることができるので、使用開始時からの経過時間を使用時間とした場合に比べて、直流機器102の経年劣化に基づく寿命をより精度よく判定することができる。なお、製造時からの経過時間を使用時間とする場合、宅内サーバ116は直流機器102の製造日を例えばセンタサーバ200などから取得する必要がある。
【0063】
一方、累積通電時間を使用時間とする場合、通電によって発生する直流機器102の性能劣化(例えば照明負荷の照度低下)に基づく寿命を判定することができる。つまり、電流が流れることによって劣化する電気的部分の劣化に基づく寿命を判定することができる。累積通電時間を使用時間とする場合は、もともと直流機器102の安全性が高く、直流機器102を違和感なくできるだけ長期間使用したい場合に使用時間として用いられる。
【0064】
なお、安全性と機器特性の両方を満たすようにするには、製造時からの経過時間、接続時からの経過時間及び使用開始時からの経過時間の少なくとも1つの経過時間と累積通電時間の両方を使用時間とすることが望ましい。もちろん、使用時間として3つ以上の時間を用いてもよい。したがって、本実施形態では、タイマ部53は、製造時からの経過時間を第1の使用時間として計測するとともに、累積通電時間を第2の使用時間として計測する。記憶部52には、寿命関連時間として、第1の使用時間と比較するための第1の寿命関連時間と、第2の使用時間と比較するための第2の寿命関連時間とが記憶されている。
【0065】
また、第1の使用時間と第2の使用時間の最適な組み合わせは、製品ごとに異なる場合もあるため、上記組み合わせは製品ごとに異なるものであってもよい。一例として、照明器具の場合は使用開始時からの経過時間と累積通電時間を用い、テレビの場合は製造時からの経過時間と累積通電時間を用いる。
【0066】
タイマ部53は、製造時からの経過時間の計測を開始する場合、直流機器102の製造日から現在までの経過時間を算出するために、現在時刻を必要とする。また、製造時からの経過時間、接続時からの経過時間及び使用開始時からの経過時間のうち少なくとも1つの経過時間を計測しているときに停電が発生した場合、タイマ部53は復旧後に現在時刻がわからないため、このままでは上記経過時間の計測を再開することができない。
【0067】
このため、タイマ部53は、処理部54の制御によって、予め決められたタイミングで(通常状態では一定時間ごと、停電復旧時では直ちに)、広域網NTに接続されている例えばNTP(Network Time Protocol)サーバなどの外部サーバ(図示せず)に接続し、現在時刻を校正する。これにより、製造時からの経過時間の計測を開始する場合、タイマ部53は、直流機器102の製造日から現在までの経過時間を算出することができ、製造時からの経過時間の計測を精度よく行うことができる。また、製造時からの経過時間、接続時からの経過時間及び使用開始時からの経過時間のうち少なくとも1つの経過時間を計測しているときに停電が発生した場合、タイマ部53は、停電復旧後に上記経過時間の計測を再開することができる。
【0068】
処理部54は、直流機器102ごとに、タイマ部53で計測された第1,2の使用時間と、機器識別情報に対応付けられて記憶部52に記憶されている第1,2の寿命関連時間とを比較し、第1,2の使用時間が第1,2の寿命関連時間に到達するか否かを判定する判定手段である。この処理部54は、第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命間近時間に到達したと判定した場合、直流機器102が寿命間近である旨の寿命判定結果を報知させるための寿命間近報知信号を表示器117に出力するとともに、上記寿命間近報知信号を直流機器102に送信するように通信部50を制御し、センタサーバ200に送信するように通信部51を制御する。一方、第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命時間に到達したと判定した場合、処理部54は、直流機器102が寿命である旨の判定結果を報知させるための寿命報知信号を表示器117に出力するとともに、上記寿命報知信号を直流機器102に送信するように通信部50を制御し、センタサーバ200に送信するように通信部51を制御する。
【0069】
また、処理部54は、後述の確認要求ボタン35,60から確認要求が入力された場合、表示器117から後述の確認要求信号を受信し、直流機器102ごとに、第1,2の使用時間を用いて、直流機器102の寿命を推定させるための寿命推定情報を取得する。寿命推定情報とは、直流機器102の使用時間や、寿命までの残存時間、寿命時期などをいう。具体的な動作として、処理部54は、後述の確認要求ボタン35,60から確認要求が入力された場合、表示器117から後述の確認要求信号を受信し、直流機器102ごとに、記憶部52に記憶されている寿命時間とタイマ部53で計測されている現在の使用時間との差分である寿命までの残存時間を算出する。また、処理部54は、確認要求ボタン35,60から確認要求が入力された場合、第1,2の使用時間のうち何れかの計測開始時期と記憶部52に記憶されている直流機器102の寿命時間とを用いて、直流機器102の寿命時期を計測する。
【0070】
そして、確認要求信号を受信した処理部54は、直流機器102ごとに、タイマ部53で計測されている現在の使用時間と、記憶部52に記憶されている寿命末期現象情報と、寿命時期と、寿命時間と現在の使用時間との差分である残存時間とを表示器117に送信する。
【0071】
続いて、表示器117の構成について図5を用いて説明する。表示器117は、図5(a)に示すように、ユーザの操作により直流機器102の使用状態の確認要求を入力するための確認要求ボタン(確認要求手段)60と、確認要求ボタン60から確認要求が入力された場合、直流機器102ごとに使用状態を提示したり、宅内サーバ116での判定結果を提示したりする表示画面61及びスピーカ(図示せず)(提示手段)とを備えている。
【0072】
表示器117は、確認要求ボタン60から確認要求が入力された場合、確認要求信号を宅内サーバ116に送信し、直流機器102ごとに、現在の使用時間と、寿命時期と、残存時間と、寿命末期現象情報とを取得する。これらの信号や情報を取得した表示器117は、図5(b)に示すように、直流機器102ごとに現在の使用時間及び寿命時期を直流機器102の使用状態として表示画面61に表示し、上記現在の使用時間及び寿命時期をスピーカから音声出力する。表示画面61には、直流機器102ごとに現在の使用時間が例えば緑色のバー610(図5(b)の斜線部分)として表示され、寿命時期が領域611に表示され、機器名称又は機器番号が領域612に表示されている。ユーザは、各直流機器102のバー610の長さを見て、各直流機器102の現在の使用時間を知ることができる。
【0073】
直流機器102の現在の使用時間及び寿命時期を表示している表示器117に対して、ユーザが表示画面61上の機器名称の領域612をタッチパネル操作すると、表示器117は、図5(c)に示すように、直流機器102の残存時間を機器名称又は機器番号とともに表示画面61に表示し、上記残存時間をスピーカから音声出力する。さらに、直流機器102の残存時間を表示している表示器117に対して、ユーザが表示画面61上の機器名称の領域613をタッチパネル操作すると、表示器117は、直流機器102の寿命末期の現象を表示画面61に表示し、上記寿命末期の現象をスピーカから音声出力する。例えば直流機器102が照明負荷の場合、表示画面61には、図5(d)に示すように「機器1 照度が落ちます」と表示され、スピーカからは、「機器1 照度が落ちます」と音声出力される。
【0074】
また、表示器117は、宅内サーバ116の処理部54で第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命関連時間に到達したと判定された場合、処理部54の判定結果を報知する。具体的には、表示器117は、宅内サーバ116の処理部54で第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命間近時間に到達したと判定された場合、処理部54から寿命間近報知信号を受信し、図5(b)に示すように、直流機器102が寿命間近である旨を判定結果として表示画面61のバー610を例えば緑色から黄色に変えて表示し、スピーカ(図示せず)から音声出力する。これに対して、宅内サーバ116の処理部54で第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命時間に到達したと判定された場合、処理部54から寿命報知信号を受信し、直流機器102が寿命である旨を判定結果として表示画面61のバー610を例えば緑色又は黄色から赤色に変えて表示し、スピーカから音声出力する。上記より、直流機器102が寿命間近又は寿命であることを、表示器117の近くにいる人に知らせることができる。このとき、第1,2の使用時間の何れもが寿命間近時間に到達する前、第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命間近時間に到達したと判定された場合、第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命時間に到達したと判定された場合の順に、音声出力の音量が大きくなる。なお、音声出力に代えて報知音であってもよい。また、第1,2の使用時間の何れもが寿命間近時間に到達する前、第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命間近時間に到達したと判定された場合、第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命時間に到達したと判定された場合で、異なる報知メロディを出力するものであってもよい。
【0075】
続いて、図1に示す携帯電話201及びパーソナルコンピュータ202からの確認要求について説明する。携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)は、確認要求ボタン(確認要求手段)、表示画面及びスピーカ(提示手段)を表示器117と同様に備え、確認要求ボタンから確認要求が入力された場合、広域網NTを介してセンタサーバ200に確認要求信号を送信する。
【0076】
センタサーバ200は、携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)からの確認要求を記憶し、宅内サーバ116は、センタサーバ200に対して定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)の確認要求を取得する。確認要求を取得した宅内サーバ116では、図4に示す処理部54が、直流機器102ごとに、タイマ部53で計測されている現在の使用時間と、記憶部52に記憶されている寿命末期現象情報と、寿命時期と、寿命時間と現在の使用時間との差分である残存時間とをセンタサーバ200に送信する。センタサーバ200は、受信した上記時間や情報を、確認要求信号を送信した携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)に送信する。
【0077】
センタサーバ200に確認要求信号を送信した携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)は、直流機器102ごとに、現在の使用時間と、寿命時期と、残存時間と、寿命末期現象情報とを取得する。これらの信号や情報を取得した携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)は、直流機器102ごとに、現在の使用時間、寿命時期、残存時間及び寿命末期の現象を直流機器102の使用状態として表示画面に表示し、スピーカから音声出力する。なお、これらの時間及び現象の表示方法及び音声出力方法は、表示器117と同様であってもよいし、異なる方法であってもよい。
【0078】
また、センタサーバ200は、宅内サーバ116から寿命間近報知信号や寿命報知信号を受信すると、予め登録されている携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)に判定結果を電子メールで送信する。携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)は、上記電子メールをセンタサーバ200から受信し、直流機器102が寿命間近又は寿命である旨を表示する。つまり、携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)は、宅内サーバ116の処理部54で使用時間が寿命関連時間に到達したと判定された場合、処理部54の判定結果を報知する。上記より、直流機器102が寿命間近又は寿命であることを、例えば外出中の携帯者や別の場所にいる人などに知らせることができる。
【0079】
続いて、直流機器102からの確認要求について図2を用いて説明する。直流機器102は、自己及び他の直流機器102の使用状態の確認要求を入力するための確認要求ボタン(確認要求手段)35を備え、確認要求ボタン35から確認要求が入力された場合、処理部34が、確認要求信号を、直流供給線路Wdcに直接接続されている場合は宅内サーバ116に、コンセント部(直流コンセント131、引掛シーリング132)に接続されている場合はコンセント部に送信するように通信部32を制御する。コンセント部では、直流機器102からの確認要求信号を宅内サーバ116に送信する。
【0080】
確認要求信号を受信した宅内サーバ116では、処理部54が、直流機器102ごとに、タイマ部53で計測されている現在の使用時間と、記憶部52に記憶されている寿命末期現象情報と、寿命時期と、寿命時間と現在の使用時間との差分である残存時間とを直接又はコンセント部を介して直流機器102に送信する。
【0081】
確認要求信号を送信した直流機器102は、直流機器102ごとに、現在の使用時間と、寿命時期と、残存時間と、寿命末期現象情報とを取得する。これらの信号や情報を取得した直流機器102は、直流機器102ごとに、現在の使用時間、寿命時期、残存時間及び寿命末期の現象を直流機器102の使用状態として報知部33の表示画面330に表示し、スピーカ331から音声出力する。なお、これらの時間及び現象の表示方法及び音声出力方法は、表示器117と同様であってもよいし、異なる方法であってもよい。
【0082】
また、直流機器102は、表示器117と同様に、宅内サーバ116の処理部54で第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命関連時間に到達したと判定された場合、処理部54の判定結果を報知する。具体的には、直流機器102は、宅内サーバ116の処理部54で第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命間近時間に到達したと判定された場合、通信部32が宅内サーバ116から寿命間近報知信号を受信し、直流機器102が寿命間近である旨を判定結果として報知部33の表示画面330に表示し、スピーカ331から音声出力する。これに対して、宅内サーバ116の処理部54で第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命時間に到達したと判定された場合、通信部32が宅内サーバ116から寿命報知信号を受信し、直流機器102が寿命である旨を判定結果として報知部33の表示画面330に表示したり、スピーカ331から音声出力したりする。上記より、直流機器102が寿命間近又は寿命であることを、直流機器102の近くにいる人に知らせることができる。
【0083】
ところで、宅内サーバ116の通信部51は、直流機器102の寿命前に使用をやめさせるための警告情報をセンタサーバ200から入力する機能を有し、表示器117、直流機器102の報知部33及び携帯電話201は、宅内サーバ116の通信部51で警告情報が入力された場合、警告情報を報知する。以下、具体的に説明する。
【0084】
製造者側は、例えば直流機器102に不具合が発生した場合、直流機器102の寿命前に使用をやめさせるための警告情報をセンタサーバ200に記憶させる。センタサーバ200は、上記警告情報を宅内サーバ116に送信する。
【0085】
一方、宅内サーバ116では、通信部51がセンタサーバ200からの警告情報を受信すると、直流機器102の使用時間が寿命間近時間又は寿命時間に到達したか否かに関わらず、処理部54が、警告情報を報知させるための警告報知信号を表示器117に出力するとともに、上記警告報知信号を直流機器102に送信するように通信部50を制御する。
【0086】
表示器117は、宅内サーバ116の処理部54から警告報知信号を受信すると、直流機器102に関する警告情報を表示画面61(図5(a)参照)に表示し、スピーカ(図示せず)から音声出力する。上記より、直流機器102に関する警告情報を、表示器117の近くにいる人に知らせることができる。
【0087】
また、警告情報が発生した直流機器102も、通信部32で宅内サーバ116からの警告報知信号を受信すると、処理部34の制御によって自己の直流機器102が寿命間近又は寿命である旨を報知部33の表示画面330に表示させ、スピーカ331から音声出力させる。上記より、自己の直流機器102の寿命前に使用をやめさせるための警告情報を、直流機器102の近くにいる人に知らせることができる。
【0088】
さらに、宅内サーバ116からの制御又はセンタサーバ200による制御によって、携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)にも、直流機器102の寿命前に使用をやめさせるための警告情報を電子メールで送信する。携帯電話201(パーソナルコンピュータ202)では、上記電子メールを受信すると、直流機器102の寿命前に使用をやめさせるための警告情報を表示する。これにより、外出中の携帯者や別の場所にいる人などにも、直流機器102の寿命前に使用をやめさせるための警告情報を知らせることができる。
【0089】
次に、本実施形態の管理システムにおいて各直流機器102の使用状態の提示について図6を用いて説明する。まず、ユーザが表示器117の要求確認ボタン60(図5(a)参照)を押下すると、表示器117から宅内サーバ116に要求確認信号が送信される(図6のS1)。宅内サーバ116では、直流機器102ごとに寿命までの残存時間を算出し(S2)、使用時間、寿命時期、残存時間及び寿命末期現象情報を直流機器102ごとに表示器117に送信し、表示器117では、直流機器102ごとに、使用時間、寿命時期、残存時間及び寿命末期現象情報を取得する(S3)。その後、表示器117は、直流機器102ごとに使用時間及び寿命時期を表示画面61に表示し(図5(b)参照)、スピーカから音声出力する(S4)。ここで、ユーザが表示画面61上の機器名称の領域612(図5(b)参照)をタッチパネル操作すると(S5)、直流機器102の残存時間を表示画面61に表示し(図5(c)参照)、スピーカから音声出力する(S6)。さらに、ユーザが表示画面61上の機器名称の領域613(図5(c)参照)をタッチパネル操作すると(S7)、直流機器102の寿命末期の現象を表示画面61に表示し(図5(d)参照)、スピーカから音声出力する(S8)。
【0090】
以上、本実施形態によれば、ユーザが表示器117や端末装置(携帯電話201、パーソナルコンピュータ202)、直流機器102の確認要求ボタン(確認要求手段)35,60から確認要求を入力することによって、ユーザに対して、直流機器102の使用時間が寿命関連時間になるまでは直流機器102の現在の使用時間をすぐに知らせることができ、直流機器102がいつ寿命になるのかを容易に知らせることができるとともに、直流機器102の使用時間が寿命関連時間に到達した場合にはその旨を知らせることができる。
【0091】
また、ユーザが表示器117や端末装置、直流機器102の確認要求ボタン35,60から確認要求を入力し、表示画面61へのタッチパネル操作を行うことによって、ユーザに対して、直流機器102があとどれくらいで寿命になるのかを容易に知らせることができる。そして、ユーザに対して、直流機器102が寿命になる前に直流機器102の寿命末期の現象を知らせることができるので、直流機器102が実際に寿命に到達したときにその旨をすぐに判断させることができる。
【0092】
さらに、本実施形態によれば、直流機器102に直流電力が供給されることによって、交流電力が供給される場合のように交流電力から直流電力への変換を行う必要がないため、電力変換に伴う損失が発生しない。
【0093】
なお、本実施形態の変形例として、直流機器102の第1,2の使用時間の計測、及び計測した第1,2の使用時間が寿命関連時間(寿命間近時間、寿命時間)に到達したか否かの判定を、宅内サーバ116が行うのではなく、センタサーバ200が行う配電システムであってもよい。このような配電システムでは、宅内サーバ116の負荷を軽くすることができる。センタサーバ200は、一般的に大きな負荷にも耐えられるものであるから、上記判定を行ったとしても問題ない。
【0094】
また、本実施形態の他の変形例として、直流機器102の使用状態の確認要求を入力するための確認要求手段を、表示器117や携帯電話201、パーソナルコンピュータ202、直流機器102の確認要求ボタンではなく、これらの機器に対して音声入力によるものであってもよい。このようにすれば、確認要求を容易に行うことができる。
【0095】
さらに、本実施形態の他の変形例として、直流機器102が接続されているコンセント部(直流コンセント131、引掛シーリング132)又は直流機器102自身が直流機器102の第1,2の使用時間の計測を行い、各コンセント部又は各直流機器102で計測された第1,2の使用時間が宅内サーバ116に送信される配電システムであってもよい。このような管理システムでは、宅内サーバ116の負荷を軽くすることができる。
【0096】
さらに、本実施形態の他の変形例として、表示器117は、第1,2の使用時間の何れもが寿命間近時間に到達する前、第1,2の使用時間の少なくとも一方が寿命間近時間に到達した場合、第1,2の使用時間が寿命時間に到達した場合の順に提示頻度を多くなるようなものであってもよい。このようにすると、ユーザに対して、直流機器102が寿命であることを、より緊急度の高い情報として知らせることができる。
【0097】
なお、上述の実施形態の記載において、直流供給線路Wdcを経由して直流電力を受電するとともに当該直流電力に重畳した通信を行う負荷として直流機器102を挙げているが、本発明はこのような直流電力駆動(および直流媒体通信)式に限るものではなく、直流機器を、交流電源を受けて駆動する交流駆動タイプの機器として、これら交流駆動タイプの機器との間を直流供給線路ではなく旧来どおりの交流電力路とし、電力線搬送通信を用いた通信によって、本願発明の意図を実現することも可能である。なお、このとき、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114とを、交流対応型のものに置き換える必要があり、このとき、場合によってはAC/DCコンバータ112を不要として主幹ブレーカ111から協調制御部113と宅内サーバ116(および/または表示器117)との間を交流接続したトポロジーであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施形態の配電システムの構成図である。
【図2】同上の直流機器の構成を示すブロック図である。
【図3】同上の直流コンセント及び引掛シーリングの構成を示すブロック図である。
【図4】同上の宅内サーバの構成を示すブロック図である。
【図5】同上の表示器の正面図である。
【図6】同上の配電システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
101 直流電力供給部
102 直流機器
116 宅内サーバ
117 表示器
201 携帯電話
202 パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の寿命を管理する管理システムであって、
前記電気機器の使用時間を計測し、当該計測した使用時間を用いて、前記電気機器の寿命を推定させるための寿命推定情報を取得する計測手段と、
前記電気機器の寿命に関連する寿命関連時間を記憶する記憶手段と、
前記計測手段で計測された前記使用時間が前記記憶手段に記憶されている前記寿命関連時間に到達したか否かを判定する判定手段と、
前記電気機器の使用状態の確認要求を入力するための確認要求手段と、
前記確認要求手段から前記確認要求が入力された場合、前記計測手段で取得された前記寿命推定情報を前記電気機器の使用状態として提示し、前記判定手段で前記使用時間が前記寿命関連時間に到達したと判定された場合、前記判定手段の判定結果を提示する提示手段と
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記寿命関連時間は、前記電気機器の予め許容された使用時間の限界値である寿命時間と、前記寿命時間より短い時間であって前記電気機器が寿命末期となる時間である寿命間近時間とを含み、
前記提示手段は、前記使用時間が前記寿命時間に近づくにつれて、前記判定手段の判定結果を段階的に変化させて提示する
ことを特徴とする請求項1記載の管理システム。
【請求項3】
前記使用時間が前記寿命間近時間に到達した場合の前記判定手段の判定結果に対する提示頻度より、前記使用時間が前記寿命時間に到達した場合の前記判定手段の判定結果に対する提示頻度が多いことを特徴とする請求項2記載の管理システム。
【請求項4】
前記寿命関連時間は、前記電気機器の予め許容された使用時間の限界値である寿命時間を含み、
前記計測手段は、前記使用時間の計測開始時期と前記記憶手段に記憶されている前記電気機器の寿命時間とを用いて前記電気機器の寿命時期を前記寿命推定情報として計測し、
前記提示手段は、前記確認要求手段から前記確認要求が入力された場合、前記計測手段で計測された前記電気機器の寿命時期を前記寿命推定情報として提示する
ことを特徴とする請求項1記載の管理システム。
【請求項5】
前記寿命関連時間は、前記電気機器の予め許容された使用時間の限界値である寿命時間を含み、
前記計測手段は、前記使用時間と前記記憶手段に記憶されている前記電気機器の寿命時間との差分である前記電気機器の寿命までの残存時間を前記寿命推定情報として計測し、
前記提示手段は、前記確認要求手段から前記確認要求が入力された場合、前記計測手段で計測された前記残存時間を前記寿命推定情報として提示する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の管理システム。
【請求項6】
前記電気機器の寿命末期の現象を記憶する現象記憶手段を備え、
前記提示手段は、前記確認要求手段から前記確認要求が入力された場合、前記現象記憶手段に記憶されている前記電気機器の寿命末期の現象を前記電気機器の使用状態として提示する
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項7】
前記確認要求手段及び前記提示手段を有する端末装置と、前記電気機器の使用状態を取得するとともに前記記憶手段及び前記判定手段を有し前記端末装置と通信を行うサーバとを備え、
前記端末装置は、前記確認要求手段から前記確認要求が入力された場合、前記サーバにアクセスして前記電気機器の使用状態を取得し、当該取得した電気機器の使用状態を前記提示手段で提示し、前記判定手段で前記使用時間が前記寿命関連時間に到達したと判定された場合、前記判定手段の判定結果を前記提示手段で提示する
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項8】
前記電気機器に直流電力を供給する直流電力供給手段を備えることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−156639(P2009−156639A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332836(P2007−332836)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】