管継手及びこれを用いた配管システム
【課題】簡単な構成で雄筒部の外周に設けたOリングを保護し、Oリングの損傷による流体漏れを確実に防止できる。簡単な嵌め込み作業で軸方向の抜け止めと共に嵌め込み接続部分のがたつきを防止できる。狭い場所であっても嵌め込み接続部分を納めることができる。
【解決手段】 管継手1を雄継手部材2と雌継手部材3と抜け止め兼カバー部材4とで構成する。割り筒部11の一端部側を雄継手部材2の大径筒部6に被嵌して第1係止部12を第1被係止部5に係止した状態で、割り筒部11の軸方向の略中間部分で外周にOリング7を設けた雄筒部8を隙間14を介して覆い且つ割り筒部11の軸方向の他端部を雄筒部8の先端よりも軸方向に突出させる。雌筒部10と雄筒部8とを嵌め込むと共に第2係止部13を第2被係止部9に係止して割り筒部11で雄筒部8と雌筒部10との嵌め込み接続部分を覆う。
【解決手段】 管継手1を雄継手部材2と雌継手部材3と抜け止め兼カバー部材4とで構成する。割り筒部11の一端部側を雄継手部材2の大径筒部6に被嵌して第1係止部12を第1被係止部5に係止した状態で、割り筒部11の軸方向の略中間部分で外周にOリング7を設けた雄筒部8を隙間14を介して覆い且つ割り筒部11の軸方向の他端部を雄筒部8の先端よりも軸方向に突出させる。雌筒部10と雄筒部8とを嵌め込むと共に第2係止部13を第2被係止部9に係止して割り筒部11で雄筒部8と雌筒部10との嵌め込み接続部分を覆う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手及びこれを用いた配管システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から雄継手部材と、雌継手部材と、抜け止め具とで構成した管継手が特許文献1により知られている。
【0003】
上記特許文献1に示された従来例は、図15に示されるように、雄継手部材50に、鍔部51と、鍔部51から突設した鍔部51よりも小径で且つ外周にOリング52を有する雄筒部53と、鍔部51の上記雄筒部53と反対側に係合部54とを設け、雌継手部材56に雌筒部57を設けると共に雌筒部57の先端に鍔部57aを設けてある。また、抜け止め具58は、基部61と、基部61から一体に分岐する一対の脚部59と、これら一対の脚部59と一体に設けられた互いに対向する円弧部60とで本体部を構成し、円弧部60の先端間に開口部62を設け、円弧部60の内側に係合突起63を設け、更に、一対の円弧部60の一部には軸方向に突出する一対の脚部64を突設し、一対の脚部64の先端に爪65が形成してある。
【0004】
そして、本体部の一対の円弧部60を鍔部51に弾性的に被嵌して係合突起63を係合部54に係合し、更に、雌筒部57を外周にOリング52を有する雄筒部53に被嵌し、爪65を雌筒部57の先端に設けた鍔部51の裏側に係止することで、雄継手部材50と雌継手部材56を嵌め込み接続すると共に、抜け止め具58により雄筒部53と雌筒部57とが軸方向に抜けないようになっている。
【0005】
しかしながら、上記の従来例にあっては、雌筒部57と雄筒部53とを嵌め込み接続するには、雄筒部53の先端に雌筒部57の先端を軸方向に位置合わせして雌筒部57、雄筒部53をそれぞれ軸方向に移動して嵌め込み作業を行う嵌め込み作業を行い始める際に、同時に一対の巾の狭い脚部64の先端に設けた爪65を押し広げるように雌筒部57、雄筒部53をそれぞれ軸方向に移動して雌筒部57と雄筒部53とを嵌め込む作業を行わなければならない。
【0006】
つまり、雄筒部53の先端に雌筒部57の先端を軸方向に位置合わせして嵌め込み作業を開始する際、同時に一対の巾の狭い脚部64の先端に設けた爪65を押し広げる作業を行うため、未だ十分に嵌めこまれていない状態で弾性を有する一対の巾の狭い脚部64を押し広げる際に鍔部51にかかる弾性力により雌筒部57が雄筒部53に対して軸方向に傾きやすくてスムーズな嵌め込みがし難くいものであり、また、嵌め込み時に雄筒部53の軸方向に対して雌筒部57の軸方向が斜めに傾いた状態で無理に嵌め込まれるため、Oリング52が損傷するおそれがあり、嵌め込み接続部分から液体漏れ(例えば水漏れ)が生じるおそれがある。
【0007】
また、雄筒部53の外周にOリング52が設けてあるが、一対の巾の狭い脚部64はこのOリング52の周方向の大部分を覆って保護する機能などはなく、したがって、嵌め込み接続するまでの間、雄筒部53の外周に設けたOリング52が外部に露出している状態となり、傷付いたり、異物が付着したりし易い。ところが、このようにOリング52が傷付いたり、異物が付着していると、外周にOリング52を設けた雄筒部53と雌筒部57とを嵌め込み接続しても、嵌め込み接続部分から流体漏れ(例えば水漏れ)が生じるおそれがある。
【0008】
また、従来にあっては、嵌め込み接続部分を外側からカバーして保護してないので、Oリング52を介して雄筒部53と雌筒部57を嵌め込み接続した後において、雄継手部材50又は雌継手部材56の一方に外力が作用した場合、Oリング52の周方向の一部を局部的に強く押圧してがたつきが生じたりし、この場合も流体漏れ(例えば水漏れ)が生じるおそれがある。
【0009】
また、上記従来例にあっては、基部61と、基部61から一体に分岐する一対の脚部59と、これら一対の脚部59と一体に設けられた互いに対向する円弧部60とで本体部を構成してあるので、基部61と一対の脚部59が一対の円弧部60から周方向に突出した形状となり、このため、雄継手部材50と雌継手部材56とを接続した状態で、接続部分の周方向に基部61と一対の脚部59が大きく突出することになる。したがって、基部61と一対の脚部59が邪魔になって、抜け止め具58で抜け止めした雄継手部材50と雌継手部材56との接続部分を狭い溝などに納めることができない。
【特許文献1】特開2002−39472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、簡単な構成で雄筒部の外周に設けたOリングを保護してOリングが傷付いたり、異物が付着したりするのを防止してOリングの損傷による流体漏れを確実に防止でき、また、簡単な嵌め込み作業で軸方向の抜け止めと共に嵌め込み接続部分のがたつきを防止でき、また、狭い場所であっても嵌め込み接続部分を納めることができる管継手及びこれを用いた配管システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る管継手は、管継手1を雄継手部材2と雌継手部材3と抜け止め兼カバー部材4とで構成し、雄継手部材2に、第1被係止部5を設けた大径筒部6と、大径筒部6の軸方向の端部から一体に突設した大径筒部6よりも小径で且つ外周にOリング7を有する雄筒部8とを設け、雌継手部材3に第2被係止部9を設けた雌筒部10を設け、抜け止め兼カバー部材4の主体を構成する一側部が側部開口11aとなった割り筒部11の軸方向の一端部側に第1係止部12を設けると共に他端部に第2係止部13を設け、割り筒部11の一端部側を雄継手部材2の大径筒部6に被嵌して第1係止部12を第1被係止部5に係止した状態で、割り筒部11の軸方向の略中間部分で外周にOリング7を設けた雄筒部8を隙間14を介して覆い且つ割り筒部11の軸方向の他端部を雄筒部8の先端よりも軸方向に突出させ、雌筒部10と雄筒部8とを嵌め込むと共に第2係止部13を第2被係止部9に係止して割り筒部11で雄筒部8と雌筒部10との嵌め込み接続部分を覆って成ることを特徴とするものである。
【0012】
このような構成とすることで、雄筒部8と雌筒部10とを嵌め込み接続する前までの間は、割り筒部11の一端部側を雄継手部材2の大径筒部6に被嵌して第1係止部12を第1被係止部5に係止しておくことで、割り筒部11の軸方向の略中間部分で外周にOリング7を設けた雄筒部8を隙間14を介して覆うことができ、これにより嵌め込み接続するまでOリング7が傷付いたり、異物が付着したりしないようにできて、Oリング7の損傷による流体漏れを確実に防止でき、また、割り筒部11の軸方向の他端部を雄筒部8の先端よりも軸方向に突出させてあるので、嵌め込み接続に当って、まず、割り筒部11の軸方向の他端部の突出部分に雌筒部10を嵌め込んで雌筒部10の軸方向を雄筒部8の軸方向に合わせて位置決めでき、この位置決めした状態で雌筒部10、雄筒部8を軸方向に移動することで、割り筒部11をガイドとして雌筒部10がOリング7を有する雄筒部8に簡単且つOリング7を傷付けないようにスムーズに嵌め込まれ、嵌め込み接続作業が簡単且つ確実に行える。しかも、この嵌め込み接続状態で、第1係止部12と第1被係止部5との係止、及び、第2係止部13と第2被係止部9との係止により軸方向の抜け止めがなされると共に、割り筒部11で雄筒部8と雌筒部10との嵌め込み接続部分を覆うことで、割り筒部11により嵌め込み接続部を外側から保護すると共に嵌め込み接続強度を向上させ、外力が作用した場合でも嵌め込み接続部ががたつかないようにできる。
【0013】
また、抜け止め兼カバー部材4が弾性を有する金属製であって、該抜け止め兼カバー部材4の主体を構成する割り筒部11が断面略C字状をし、第1係止部12を第1被係止部5に弾性係止すると共に第2係止部13を第2被係止部9に弾性係止することが好ましい。
【0014】
このような構成とすることで、第1係止部12の第1被係止部5への係止、第2係止部13の第2被係止部9への係止が弾性を利用して簡単にできる。また、抜け止め兼カバー部材4が金属製であるため、嵌め込み接続部を覆った状態での外側からの保護強度が強く、また、金属製であるため、熱伝導性が良好で、例えば、床暖房パネルにおける配管を接続する管継手として用いた場合など、配管接続部における熱伝導性が向上して床暖房効果が向上する。また、抜け止め兼カバー部材4の主体を構成する割り筒部11が断面略C字状をしているため、抜け止め兼カバー部材4で雄継手部材2と雌継手部材3との嵌め込み接続部分を覆っているといえども、抜け止め兼カバー部材4は嵌め込み接続部分の外径と殆ど変わらず、嵌め込み接続部分から抜け止め兼カバー部材4が外方に大きく突出することがなく、例えば、抜け止め兼カバー部材4で覆った嵌め込み接続部分を床暖房パネルなどの設備部材の凹溝などに収納するような場合であっても狭い凹溝であっても収納できる。
【0015】
また、大径筒部6に環状の第1被係止部5を周設し、雌筒部10に環状の第2被係止部9を周設し、第1係止部12を第1被係止部5に回動自在に係止すると共に割り筒部11の一端部側を雄継手部材2の大径筒部6に回動自在に被嵌して第1係止部12を第1被係止部5に回動自在に係止し、雌筒部10と雄筒部8とを嵌め込むと共に第2係止部13を第2被係止部9に回動自在に係止することが好ましい。
【0016】
このような構成とすることで、嵌め込み接続前にOリング7を設けた雄筒部8を床暖房パネルなどの設備部材の凹溝などに収納した状態で搬送したり、設備部材の施工などを行う際、Oリング7の外部に露出する部分に合わせて割り筒部11を回動することで、割り筒部11における側部開口11aが外部に露出することなく確実にOリング7が外部に露出しないように覆ってOリング7が傷付いたり、Oリング7に異物が付着するのを防止することができる。
【0017】
また、抜け止め兼カバー部材4の主体を構成する断面略C字状をした割り筒部11の側部開口11aの両開口縁にそれぞれ受け片15を突設して両受け片15間の距離が受け片15の突出基部間ほど狭く且つ受け片15の先端間ほど広くなるように形成してあることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることで、一対の受け片15をガイドとして断面略C字状をした割り筒部11を側部開口11aから雄継手部材2の大径筒部6に被嵌して第1係止部12を第1被係止部5に簡単に係止することができる。
【0019】
また、上記のような管継手1を用いて配管システムを構成することが好ましいものであり、これにより、管の接続が簡単な構成で流体漏れがない状態で確実にできる配管システムを提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、割り筒部の一端部側を雄継手部材の大径筒部に被嵌して第1係止部を第1被係止部に係止した状態で、割り筒部の軸方向の略中間部分で外周にOリングを設けた雄筒部を隙間を介して覆うので、嵌め込み接続までの間、簡単な構成の抜け止め兼カバー部材の取付けによりOリングを保護でき、Oリングの損傷による流体漏れを確実に防止できる。また、割り筒部の軸方向の他端部を雄筒部の先端よりも軸方向に突出させてあるので、上記突出部分に雌筒部を嵌め込んで軸方向の位置決め及び仮保持ができ、この軸方向位置決め仮保持状態で、割り筒部をガイドとして嵌め込み作業ができ、Oリングを傷付けないで嵌め込み接続作業を簡単且つ確実にできる。また、第1係止部と第1被係止部との係止及び第2係止部と第2被係止部との係止により軸方向の抜け止めができると共に、割り筒部により嵌め込み接続部分が覆われ、割り筒部により嵌め込み接続部を外側から保護して嵌め込み接続強度を向上させ、外力が作用した場合でも嵌め込み接続部ががたつかず、この点でも嵌め込み接続部からの流体漏れを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0022】
本発明の管継手1は図1に示すように、雄継手部材2と雌継手部材3と抜け止め兼カバー部材4とで構成してある。
【0023】
雄継手部材2は例えば金属製で、図5に示すように円筒状をした大径筒部6の軸方向の一端部から大径筒部6よりも小径の円筒状をした雄筒部8を一体に突設すると共に、大径筒部6の軸方向の他端部から大径筒部6よりも小径の円筒状をした配管接続部16を一体に突設して主体が構成してある。大径筒部6には周方向にわたって第1被係止部5が設けてあり、添付図面に示す実施形態では大径筒部6の外周に周方向にわたって環状溝5aを形成して該環状溝5aを第1被係止部5としてある。雄筒部8の外周には環状をしたOリング嵌め込み溝16が軸方向に複数設けてあって、該複数のOリング嵌め込み溝16にそれぞれOリング7が嵌め込んである。配管接続部16は合成樹脂製、金属製等の各種配管17の端部を接続する部分である。
【0024】
雌継手部材3は例えば金属製で、図6に示すように雌継手部材3の一端部が円筒状をした雌筒部10となっており、雌筒部10には周方向にわたって第2被係止部9が設けてあり、添付図面に示す実施形態では雄筒部8の外周に周方向にわたって環状溝9aを形成して該環状溝9aを第2被係止部9としてある。雌筒部10の外径は上記大径筒部6の外径と同じ径となっている。雌継手部材3の他端部には配管接続部18が設けてあり、この配管接続部18は合成樹脂製、金属製等の各種配管17の端部を接続する部分である。なお、図6に示す実施形態において雌継手部材3はL状をしているが、これにのみ限定されず、直管状であってもよいのは勿論である。
【0025】
抜け止め兼カバー部材4は、図7に示すように、弾性を有する金属板を断面略C字状に屈曲して抜け止め兼カバー部材4の主体を構成する一側部が軸方向にわたって開口する側部開口11aとなった割り筒部11が形成してある。断面略C字状の割り筒部11は軸方向に3つの部位に区分けされ、軸方向の一端部が第1被嵌部20となり、軸方向の中間部が中間被嵌部21となり、軸方向の他端部が第2被嵌部22となっている。第1被嵌部20、中間被嵌部21、第2被嵌部22はそれぞれ同一内径となっており、更に、前述の雌筒部10、大径筒部6の外径と同じ径となっている。
【0026】
割り筒部11の軸方向の一端部の第1被嵌部20に第1係止部12を設けると共に他端部の第2被嵌部22に第2係止部13を設けてある。添付図面に示す実施形態においては、第1被嵌部20の両側面部の一部をそれぞれ切起こして2個の切り起こし片12aを形成し、該切り起こし片12aを第1係止部12としてある。ここで、上記切り起こし片12aは断面略C字状の割り筒部11の中心軸に対して直角となるように割り筒部11内に向けて突出するように切り起こしてある。
【0027】
第2被嵌部22の両側面部の一部をそれぞれ切り起こして2個の切り起こし片13aを形成し、該切り起こし片13aを第2係止部13としてある。切り起こし片13aは、断面略C字状の割り筒部11の中心軸に対して傾斜するように割り筒部11内に向けて切り起こしてあり、その傾斜の向きは、先端側ほど割り筒部11の軸方向の他端から離れ且つ先端側ほど割り筒部11の内面から離れるように傾斜している。
【0028】
断面略C字状の割り筒部11の側部開口11aの両開口縁にそれぞれ受け片15を略ハ字状となるように突設して両受け片15間の距離が受け片15の突出基部間ほど狭く且つ受け片15の先端間ほど広くなっている。また、側部開口11a間の開口巾は断面略C字状の割り筒部11の径(直径)よりも小さくなっている。
【0029】
図2に示すように、抜け止め兼カバー部材4はあらかじめ雄継手部材2に取付けられる。雄継手部材2への抜け止め兼カバー部材4の取付けに当たっては次のようにして行う。
【0030】
すなわち、抜け止め兼カバー部材4の側部開口11aを弾性的に押し開いて割り筒部11を側部開口11aから雄継手部材2に被嵌する。この場合、側部開口11aに一対の受け片15をハ字状に設けてあるので、一対の受け片15をガイドとして断面略C字状をした割り筒部11の側部開口11aから雄継手部材2の大径筒部6に簡単に被嵌して取付けることができる。上記のようにして割り筒部11の第1被嵌部20を大径筒部6に回転可能に当接状態で被嵌すると共に第1係止部12を構成する切り起こし片12aを第1被係止部5を構成する環状溝5aに対して周方向に移動自在に係止し、また、中間被嵌部21が外周にOリング7を設けた雄筒部8を隙間14を介して覆い、更に、第2被嵌部22を雄筒部8の先端よりも軸方向に突出するように抜け止め兼カバー部材4が雄継手部材2に対して取付ける。このようにして雄継手部材2に取付けられた抜け止め兼カバー部材4は、雄継手部材2に対して回転自在であるが、第1係止部12が第1被係止部5に係止することで軸方向には移動しないように取付けられる。
【0031】
上記のように雄継手部材2に抜け止め兼カバー部材4を取付けることで、外周にOリング7を設けた雄筒部8の周方向の大部分が断面略C字状をした割り筒部11の中間被嵌部21により覆われて保護されることになり、雄継手部材2に雌継手部材3を嵌め込み接続するまでの間、運搬や各種作業中にOリング7が傷付いたり、異物が付着するのを防止することができるようになっている。このように、雄継手部材2と雌継手部材3との嵌め込み接続作業を行う前の段階で、雄筒部8の外周に設けたOリング7に傷が付いたり、異物が付着したりしないように保護するので、後述のように雄筒部8と雌筒部10とを嵌め込み接続した場合に、Oリング7による止水効果を低下させることなく、嵌め込み接続部分における流体漏れ(例えば水漏れ)を事前に防止することができることになる。
【0032】
抜け止め兼カバー部材4を取付けてOリング7を保護している雄継手部材2と雌継手部材3とを接続するには以下のようにして行う。
【0033】
まず、図3に示すように、割り筒部11の軸方向の他端部の雄筒部8の先端から突出している突出部分である第2被嵌部22に雌継手部材3の雌筒部10を嵌め込んで雌筒部10の軸方向を雄筒部8の軸方向に合わせて位置決めすると同時に、軸方向の位置決めをした状態で第2被嵌部22により雌筒部10を仮保持する。この場合、第2被嵌部22は側部開口11aの開口巾が直径よりも小さい略C字状をしているので、軸方向の位置決め状態が確実に保持される。また、第2被嵌部22の両側に傾斜した弾性を有する切り起こし片13aが設けてあるので、切り起こし片13aが第2被嵌部22に嵌め込んで軸方向の位置合わせをした雌筒部10の両側面に弾接して位置合わせ状態をより確実に保持できるようになっている。ここで、切り起こし片13aの傾斜の向きが、先端側ほど割り筒部11の軸方向の他端から離れ且つ先端側ほど割り筒部11の内面から離れるように傾斜しているので、傾斜に沿って雌筒部10を差し込むことができて、第2被嵌部22への雌筒部10の嵌め込みに当って切り起こし片13aが障害とならない。
【0034】
上記のようにして第2被嵌部22に雌筒部10を嵌め込んで軸方向の位置合わせをして仮保持した状態で、雄継手部材2、雌継手部材3を互いに近づく方向に移動して図4に示すように雌筒部10と雄筒部8とを嵌め込み接続する。
【0035】
この場合、雌筒部10は上記のように第2被嵌部22により軸方向の位置決め保持がなされて第2被嵌部22にガイドされながら雄筒部8に嵌め込まれるのであるが、雌筒部10は雄筒部8と中間被嵌部21との間の隙間14に嵌め込まれるので、中間被嵌部21においてもガイドされ、雌筒部10の中心軸と雄筒部8の中心軸とが一致するように軸方向の位置決めがなされたまま軸方向に誘導されながら嵌め込み作業ができるようになっており、この結果、Oリング7を有する雄筒部8に雌筒部10を簡単且つOリング7を傷付けないようにスムーズに嵌め込むことができる。このように嵌め込み作業中において雄筒部8に対して雌筒部10は軸方向にガイドされながら嵌め込まれることになって、雌筒部10が雄筒部8に対して斜めに被嵌されてOリング7が噛み込まれて損傷するというような事態が生じることがなく、この点でも、Oリング7による止水効果を低下させることなく、嵌め込み接続部分における流体漏れ(例えば水漏れ)を事前に防止することができることになる。
【0036】
Oリング7を外周に設けた雄筒部8と雌筒部10を完全に嵌め込むと、ちょうど雌筒部10の先端が大径筒部6の端面に当たり、且つ、この状態で第2係止部13となる切り起こし片13aが第2被係止部9となる環状溝9aに位置して弾性的に係止する。
【0037】
上記のようにして雄筒部8と雌筒部10との嵌め込みというワンタッチの作業で雄継手部材2と雌継手部材3とを嵌め込み接続できる。
【0038】
雄継手部材2と雌継手部材3とが上記のようにして嵌め込み接続された状態で、第1係止部12と第1被係止部5との係止、及び、第2係止部13と第2被係止部9との係止により軸方向の抜け止めがなされることになり、嵌め込みというワンタッチの作業で接続できるようにしたにもかかわらず、簡単な構成で軸方向の抜け止めができることになる。また、割り筒部11により雄筒部8と雌筒部10との嵌め込み接続部分が覆われるので、割り筒部11により嵌め込み接続部を外側から保護すると共に嵌め込み接続強度を向上させることができ、この結果、雄継手部材2又は雌継手部材3に外力が作用した場合でも嵌め込み接続部ががたつかないようにでき、この点でもOリング7の周方向の一部に無理な力が集中して嵌め込み接続部分からの流体漏れ(例えば水漏れ)を防止することができる。
【0039】
図8乃至図13には本発明の管継手1を用いた配管システムの一例として、床暖房における配管システムの例が示してある。
【0040】
図中23は床パネルであって、床基材23aの表面に表面化粧材23bを積層して床パネル23が構成してある。床基材23aの下面側には下方に開口した配管溝19が形成してあり、の配管溝19は、図9に示すように、一端が引出し口25に連通し他端が引込み口26に連通した一筆書き形状をしている。本例では配管溝19は床パネル23の全体に行き渡るような蛇行状に形成してある。
【0041】
図8(a)に示すように、床パネル23の幅方向Aの一側面29aに引出し口25が形成されると共に、引出し口25近傍の配管溝19部分が引出し溝部24とされており、この引出し溝部24は引出し口25が開口する床パネル23の一側面29aに対して鋭角(図11(a)のθ)で傾斜している。一方、床パネル23の幅方向Aの他側面29bには上記引出し口25と相対する位置に引込み口26が形成され、引込み口26近傍の配管溝19部分が引込み溝部28とされており、この引込み溝部28は引込み口26が開口する床パネル23の他側面29bに対して鋭角(図11(b)のθ´(=θ))で傾斜している。そして、一方の床パネル23Aの引出し口25と他方の床パネル23Bの引込み口26とを互いに対向させた状態で、一方の床パネル23Aの引出し溝部24と他方の床パネル23Bの引込み溝部28とが略直線状に連通するように構成されている。
【0042】
さらに、上記引出し溝部24には、可撓性の配管17の余長配管17cを吸収するための凹み部30が形成されている。この凹み部30は、図11に示すように、くびれ部31よりも奥部を引出し溝部24の傾斜方向(図11(a)のX方向)に対して略直交方向(本例では床パネル23の一側面29aに近接する方向)に向かって凹んだアール形状の内面40aを有する第1の凹み部30aと、くびれ部31よりも手前部を第1の凹み部30aの凹み方向と反対方向(本例では床パネル23の一側面29aから遠ざかる方向)に向かって凹んだアール形状の内面40bを有する第2の凹み部30bとからなる。これら各凹み部30a,30bはそれぞれ引出し溝部24と連通しており、搬送時及び配管接続後にそれぞれ可撓性の配管17の余長配管17cを吸収して配管17を納まり良く収納する働きをする。
【0043】
さらに、図10(a)、図11(a)に示すように、上記引出し溝部24からは、配管17の一方の端部に接続した雄継手部材2を引出し口25よりも内側に入り込んだ位置に仮収容するための仮収容溝32が分岐形成されている。仮収容溝32の一端はくびれ部31を介して第1の凹み部30aに連通している。本例では第1の凹み部30aのアール形状の内面40aの延長線上に沿わせて仮収容溝32が延設されており、床パネル23の搬送時に、図11(a)のWで示すように、配管17の一方の端部に接続した雄継手部材2を仮収容溝32に収納した状態で配管17が第1の凹み部30aに向かって折り曲げられてアール形状の内面40aに押し付けられた状態で保持されるものである。
【0044】
上記配管溝19内には、図9に示すように熱媒循環用の配管17が収納される。配管17は、例えば弾性を有する合成樹脂、或いはゴムホースのような可撓性パイプ類で構成されている。なお、引出し溝部24を除いた配管溝19に収納される配管本体を硬質配管とし、引出し溝部24に収納或いは引出し溝部24から引き出される配管端部のみを可撓性の配管17としてもよい。配管17の一端部には本発明の管継手1における雄継手部材2の配管接続部16を嵌め込んで締結バンドなどで締結してあると共に、他端部には雌継手部材3の配管接続部18を嵌め込んで締結バンドなどで締結してある。また、雄継手部材2には前述のようにして抜け止め兼カバー部材4が取付けてある。なお図8中の39は配管押さえ具であって、配管溝19内に収納した配管17を部分的に押えて床基材23aに取付ける役目をしている。
【0045】
ここで、雄継手部材2を接続した方の可撓性を有する配管17の一端部側は引出し口25から引き出し可能とされ、雌継手部材3を接続した方の可撓性を有する配管17の他端部側は引込み溝部28内部に配置される。
【0046】
床パネル23の下面には配管溝19及び引出し溝部24を覆うようにアルミ箔からなる均熱板23cが取着される。均熱板23cは、配管17から床パネル23表面への熱伝導の均一化を図る働きをする。なお、床パネル23の下面のうち、図8(a)、図10(a)、図11(a)に示すように、床パネル23の引出し口25付近から仮収容溝32に至る下面領域E、及び図8(a)、図10(b)、図11(b)の引込み口26から引込み溝部28に至る下面領域Fは、それぞれ、均熱板23cで覆われない領域となっている。
【0047】
そして、配管接続を行うまでの間(保管時、搬送時、及び、現場における接続作業までの取扱い作業時)は、図11(a)の破線Wで示すように、配管17の一方の端部に接続した抜け止め兼カバー部材4を取付けた雄継手部材2を仮収容溝32に仮収容することにより、配管17が第1の凹み部30aの内面40aに押し付けられて保持されるようになる。このようにして、配管17の余長配管17cが第1の凹み部30aの内面40aに押し付けられて保持された状態となって配管17の一方の先端に接続した雄継手部材2が外部に飛び出さないようになっている。この場合、雄継手部材2に取付けた抜け止め兼カバー部材4は断面略C字状の割り筒部11の側部開口11aが仮収容溝32の溝底側を向いて一対の受け片15の先端が仮収容溝32の溝底に当接するように仮収容溝32内に収容するようになっている。
【0048】
これにより仮収容溝32の下面開口からOリング7を有する雄筒部8が露出しないように割り筒部11により覆ってカバーすることができ、出荷から配管作業を行うまでの間、Oリング7部分に他の物が当って傷付いたり、あるいは、異物が付着するのを防止するようになっている。
【0049】
また、配管17接続時には、図11(a)の1点鎖線Xで示すように、配管17を略直線状に伸ばして引出し溝部24の溝壁面24b,24cに沿わせて配管17の一方の端部に接続した雄継手部材2を引出し口25から引出して配管接続できる状態とするものであり、さらに、配管接続後には、図11(a)の2点鎖線Yで示すように、配管17が凹み部30a,30bに向かって略S字状に折り曲げられた状態となるように構成されている。
【0050】
次に現場において床パネル23を敷設して幅方向Aに隣合う床パネル23の配管接続を行なうことについて説明する。
【0051】
まず、下地板34から立ち上げた立ち上げケーブル(図示せず)の端部に抜け止め兼カバー部材4を取付けた雄継手部材2を接続し、この雄継手部材2を最初に敷設しようとする一方の床パネル23Aの配管17の他端の雌継手部材3に前述と同様にして嵌め込み接続して嵌め込み接続部分を一方の床パネル23Aの引き込み溝部28内に収納すると共に、配管17の他端部に接続した抜け止め兼カバー部材4を取付けた雄継手部材2を仮収容溝32から取り出して配管17の余長部分と共に外に引出し口25から引き出す。
【0052】
この状態で、一方の床パネル23Aの下面の均熱板23cで覆ってない床パネル23Aの引出し口25付近から仮収容溝32に至る下面領域E、及び引込み口26から引込み溝部28に至る下面領域Fを覆うように、それぞれアルミ箔のような均熱シート35a、35bを貼着する。
【0053】
その後、最初に敷設しようとする床パネル23Aの下面を下地板34上に接着剤による接着、その他の手段で固着する。
【0054】
次に、上記下地板34上に敷設した一方の床パネル23Aの上に、他方の床パネル23Bを上下逆にして重ね、他方の床パネル23の引込み溝部28内に配置している配管17の他端部に接続した雌継手部材3を可撓性を有する配管17部分を曲げるようにして起こすことで引き込み溝部28から出し、該他方の床パネル23の雌継手部材3と、上記一方の床パネル23Aの引出し口25から引き出した抜け止め兼カバー部材4を取付けた雄継手部材2とを嵌め込み接続する。雌継手部材3と雄継手部材2との接続は、雌筒部10とOリング7を有する雄筒部8との嵌め込みにより接続するものであり、この雌筒部10とOリング7を有する雄筒部8との嵌め込み接続に当って、雄継手部材2に取付けている抜け止め兼カバー部材4が前述のように嵌め込みに際しての軸方向の位置決め、仮保持、嵌め込みの際のガイドをおこない、また、嵌め込み接続が完了すると、前述のように第1係止部12と第1被係止部5との係止及び第2係止部13と第2被係止部9との係止により軸方向の抜け止めがなされる割り筒部11で雄筒部8と雌筒部10との嵌め込み接続部分を覆うことで、嵌め込み接続強度を向上させ、外力が作用した場合でも嵌め込み接続部ががたつかないようになる。
【0055】
嵌め込み接続が終了すると、接続部分が抜け止め兼カバー部材4で覆われた雌継手部材3と雄継手部材2が他方の床パネル23Bの引込み溝部28内に配置される。この場合、抜け止め兼カバー部材4の割り筒部11の側部開口11aが引込み溝部28の溝底側を向いて一対の受け片15の先端が引込み溝部28の溝底に当接するように仮収容溝32内に収容する。また、他方の床パネル23Bの配管17の他端部に接続した抜け止め兼カバー部材4を取付けた雄継手部材2を仮収容溝32から取り出して配管17の余長部分と共に引出し口25から外に引き出す。
【0056】
この状態で、他方の床パネル23Bの下面の均熱板23cで覆ってない床パネル23Bの引出し口25付近から仮収容溝32に至る下面領域E、及び引込み口26から引込み溝部28に至る下面領域Fを覆うように、それぞれアルミ箔のような均熱シート35a、35bを貼着する(図14参照)。
【0057】
次に、他方の床パネル23Bを均熱板23cが下となるように図12の矢印イのように上下反転して下地板34上に載置し、矢印ロ方向に移動させると共にハ方向に移動させることで一方の床パネル23Aの配管17の外に引き出していた余長部分を引出し口25から内部に押し込み、余長部分を第2の凹み部30bの内面40b、第1の凹み部30aの内面40aに沿って押し当てて収納する。
【0058】
上記他方の床パネル23Bは接着剤45やその他の固着手段で下地板34に固着する。この場合、床パネル23の側端面に雄実や雌実を設けて実結合を併用するようにしてもよい。
【0059】
次に、3番目以降の床パネル23を同様にして雄継手部材2、雌継手部材3を嵌め込み接続すると共に下地板34に固着して敷設する。このようにして床パネル23に設けた配管17同士を本発明の管継手1を用いて接続すると共に、床パネル23を敷設することで、床暖房の配管システムを施工するのである。
【0060】
このような床暖房の配管システムにおいて、配管17を内装した床パネル23を工場で生産して、出荷から現場において床パネル23同士の配管17を接続するまでの間、配管17の一端部に接続している雄継手部材2に設けたOリング7が傷付いたり、異物が付着したりしないように抜け止め兼カバー部材4で保護してあるので、雄筒部8と雌筒部10とは傷付いたり、異物が付着していないOリング7を介して嵌め込み接続されることになり、嵌め込み接続部分における配管17内を流れる熱媒である流体漏れが生じないようにできる。
【0061】
また、接続が完了して引込み溝部28内に配置された雌継手部材3と雄継手部材2は、抜け止め兼カバー部材4により接続部分が覆われており、しかも引込み口26から引込み溝部28に至る下面領域Fを覆う均熱シート35bに断面略C字状の割り筒部11の外周面が接触するので、金属製の割り筒部11を介して雌継手部材3と雄継手部材2との接続部分の熱を効果的に均熱シート35bに伝え、床パネル23表面に効果的に熱伝導するようになっている。
【0062】
また、下面領域E部分においてもこの下面領域Eを覆う均熱シート35aを介して配管17の熱を床パネル23表面に効果的に熱伝導することができるようにしてある。
【0063】
上記実施形態においては、本発明の管継手1を床暖房における配管システムに用いた例を示したが、本発明の管継手1は上記のような床暖房における配管システムに用いるものにのみ限定されず、他の種々の配管システムに本発明の管継手1を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の管継手の分解斜視図である。
【図2】(a)は同上の雄継手部材に抜け止め兼カバー部材を取付けた状態の一側面側から見た斜視図であり、(b)は反対側の側面から見た斜視図であり、(c)は断面図である。
【図3】(a)は同上の抜け止め兼カバー部材を取付けた雄継手部材と雌継手部材との嵌め込み接続に当って、雌筒部を割り筒部の軸方向の他端部の突出部分に嵌め込んで位置合わせした状態を示す斜視図であり、(b)は断面図である。
【図4】(a)は同上の抜け止め兼カバー部材を取付けた雄継手部材と雌継手部材との嵌め込み接続した状態を示す斜視図であり、(b)は断面図である。
【図5】雄継手部材の一部破断した側面図である。
【図6】雌継手部材の一部破断した側面図である。
【図7】抜け止め兼カバー部材を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は下面図である。
【図8】同上の管継手を用いた配管システムにおける床パネルを示し、(a)は一部省略下面図であり、(b)は断面図である。
【図9】同上の均熱板を貼る前の床パネルの下面図である。
【図10】(a)は同上の引出し溝部付近の下面図であり、(b)は引込み溝部付近の下面図である。
【図11】(a)は同上の引出し口及び仮収容溝が下方に露出している状態を説明する下面図であり、(b)は引込み口及び引込み溝が下方に露出している状態を説明する下面図である。
【図12】同上の施工の途中の状態を示す説明図である。
【図13】同上の雄継手部材と雌継手部材との接続部分を引込み溝に収納している状態を説明する下面図である。
【図14】同上の下面領域E及びFにそれぞれ均熱シートを貼り付けた状態の下面図である。
【図15】従来例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 管継手
2 雄継手部材
3 雌継手部材
4 抜け止め兼カバー部材
5 第1被係止部
6 大径筒部
7 Oリング
8 雄筒部
9 第2被係止部
10 雌筒部
11 割り筒部
12 第1係止部
13 第2係止部
14 隙間
15 受け片
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手及びこれを用いた配管システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から雄継手部材と、雌継手部材と、抜け止め具とで構成した管継手が特許文献1により知られている。
【0003】
上記特許文献1に示された従来例は、図15に示されるように、雄継手部材50に、鍔部51と、鍔部51から突設した鍔部51よりも小径で且つ外周にOリング52を有する雄筒部53と、鍔部51の上記雄筒部53と反対側に係合部54とを設け、雌継手部材56に雌筒部57を設けると共に雌筒部57の先端に鍔部57aを設けてある。また、抜け止め具58は、基部61と、基部61から一体に分岐する一対の脚部59と、これら一対の脚部59と一体に設けられた互いに対向する円弧部60とで本体部を構成し、円弧部60の先端間に開口部62を設け、円弧部60の内側に係合突起63を設け、更に、一対の円弧部60の一部には軸方向に突出する一対の脚部64を突設し、一対の脚部64の先端に爪65が形成してある。
【0004】
そして、本体部の一対の円弧部60を鍔部51に弾性的に被嵌して係合突起63を係合部54に係合し、更に、雌筒部57を外周にOリング52を有する雄筒部53に被嵌し、爪65を雌筒部57の先端に設けた鍔部51の裏側に係止することで、雄継手部材50と雌継手部材56を嵌め込み接続すると共に、抜け止め具58により雄筒部53と雌筒部57とが軸方向に抜けないようになっている。
【0005】
しかしながら、上記の従来例にあっては、雌筒部57と雄筒部53とを嵌め込み接続するには、雄筒部53の先端に雌筒部57の先端を軸方向に位置合わせして雌筒部57、雄筒部53をそれぞれ軸方向に移動して嵌め込み作業を行う嵌め込み作業を行い始める際に、同時に一対の巾の狭い脚部64の先端に設けた爪65を押し広げるように雌筒部57、雄筒部53をそれぞれ軸方向に移動して雌筒部57と雄筒部53とを嵌め込む作業を行わなければならない。
【0006】
つまり、雄筒部53の先端に雌筒部57の先端を軸方向に位置合わせして嵌め込み作業を開始する際、同時に一対の巾の狭い脚部64の先端に設けた爪65を押し広げる作業を行うため、未だ十分に嵌めこまれていない状態で弾性を有する一対の巾の狭い脚部64を押し広げる際に鍔部51にかかる弾性力により雌筒部57が雄筒部53に対して軸方向に傾きやすくてスムーズな嵌め込みがし難くいものであり、また、嵌め込み時に雄筒部53の軸方向に対して雌筒部57の軸方向が斜めに傾いた状態で無理に嵌め込まれるため、Oリング52が損傷するおそれがあり、嵌め込み接続部分から液体漏れ(例えば水漏れ)が生じるおそれがある。
【0007】
また、雄筒部53の外周にOリング52が設けてあるが、一対の巾の狭い脚部64はこのOリング52の周方向の大部分を覆って保護する機能などはなく、したがって、嵌め込み接続するまでの間、雄筒部53の外周に設けたOリング52が外部に露出している状態となり、傷付いたり、異物が付着したりし易い。ところが、このようにOリング52が傷付いたり、異物が付着していると、外周にOリング52を設けた雄筒部53と雌筒部57とを嵌め込み接続しても、嵌め込み接続部分から流体漏れ(例えば水漏れ)が生じるおそれがある。
【0008】
また、従来にあっては、嵌め込み接続部分を外側からカバーして保護してないので、Oリング52を介して雄筒部53と雌筒部57を嵌め込み接続した後において、雄継手部材50又は雌継手部材56の一方に外力が作用した場合、Oリング52の周方向の一部を局部的に強く押圧してがたつきが生じたりし、この場合も流体漏れ(例えば水漏れ)が生じるおそれがある。
【0009】
また、上記従来例にあっては、基部61と、基部61から一体に分岐する一対の脚部59と、これら一対の脚部59と一体に設けられた互いに対向する円弧部60とで本体部を構成してあるので、基部61と一対の脚部59が一対の円弧部60から周方向に突出した形状となり、このため、雄継手部材50と雌継手部材56とを接続した状態で、接続部分の周方向に基部61と一対の脚部59が大きく突出することになる。したがって、基部61と一対の脚部59が邪魔になって、抜け止め具58で抜け止めした雄継手部材50と雌継手部材56との接続部分を狭い溝などに納めることができない。
【特許文献1】特開2002−39472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、簡単な構成で雄筒部の外周に設けたOリングを保護してOリングが傷付いたり、異物が付着したりするのを防止してOリングの損傷による流体漏れを確実に防止でき、また、簡単な嵌め込み作業で軸方向の抜け止めと共に嵌め込み接続部分のがたつきを防止でき、また、狭い場所であっても嵌め込み接続部分を納めることができる管継手及びこれを用いた配管システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る管継手は、管継手1を雄継手部材2と雌継手部材3と抜け止め兼カバー部材4とで構成し、雄継手部材2に、第1被係止部5を設けた大径筒部6と、大径筒部6の軸方向の端部から一体に突設した大径筒部6よりも小径で且つ外周にOリング7を有する雄筒部8とを設け、雌継手部材3に第2被係止部9を設けた雌筒部10を設け、抜け止め兼カバー部材4の主体を構成する一側部が側部開口11aとなった割り筒部11の軸方向の一端部側に第1係止部12を設けると共に他端部に第2係止部13を設け、割り筒部11の一端部側を雄継手部材2の大径筒部6に被嵌して第1係止部12を第1被係止部5に係止した状態で、割り筒部11の軸方向の略中間部分で外周にOリング7を設けた雄筒部8を隙間14を介して覆い且つ割り筒部11の軸方向の他端部を雄筒部8の先端よりも軸方向に突出させ、雌筒部10と雄筒部8とを嵌め込むと共に第2係止部13を第2被係止部9に係止して割り筒部11で雄筒部8と雌筒部10との嵌め込み接続部分を覆って成ることを特徴とするものである。
【0012】
このような構成とすることで、雄筒部8と雌筒部10とを嵌め込み接続する前までの間は、割り筒部11の一端部側を雄継手部材2の大径筒部6に被嵌して第1係止部12を第1被係止部5に係止しておくことで、割り筒部11の軸方向の略中間部分で外周にOリング7を設けた雄筒部8を隙間14を介して覆うことができ、これにより嵌め込み接続するまでOリング7が傷付いたり、異物が付着したりしないようにできて、Oリング7の損傷による流体漏れを確実に防止でき、また、割り筒部11の軸方向の他端部を雄筒部8の先端よりも軸方向に突出させてあるので、嵌め込み接続に当って、まず、割り筒部11の軸方向の他端部の突出部分に雌筒部10を嵌め込んで雌筒部10の軸方向を雄筒部8の軸方向に合わせて位置決めでき、この位置決めした状態で雌筒部10、雄筒部8を軸方向に移動することで、割り筒部11をガイドとして雌筒部10がOリング7を有する雄筒部8に簡単且つOリング7を傷付けないようにスムーズに嵌め込まれ、嵌め込み接続作業が簡単且つ確実に行える。しかも、この嵌め込み接続状態で、第1係止部12と第1被係止部5との係止、及び、第2係止部13と第2被係止部9との係止により軸方向の抜け止めがなされると共に、割り筒部11で雄筒部8と雌筒部10との嵌め込み接続部分を覆うことで、割り筒部11により嵌め込み接続部を外側から保護すると共に嵌め込み接続強度を向上させ、外力が作用した場合でも嵌め込み接続部ががたつかないようにできる。
【0013】
また、抜け止め兼カバー部材4が弾性を有する金属製であって、該抜け止め兼カバー部材4の主体を構成する割り筒部11が断面略C字状をし、第1係止部12を第1被係止部5に弾性係止すると共に第2係止部13を第2被係止部9に弾性係止することが好ましい。
【0014】
このような構成とすることで、第1係止部12の第1被係止部5への係止、第2係止部13の第2被係止部9への係止が弾性を利用して簡単にできる。また、抜け止め兼カバー部材4が金属製であるため、嵌め込み接続部を覆った状態での外側からの保護強度が強く、また、金属製であるため、熱伝導性が良好で、例えば、床暖房パネルにおける配管を接続する管継手として用いた場合など、配管接続部における熱伝導性が向上して床暖房効果が向上する。また、抜け止め兼カバー部材4の主体を構成する割り筒部11が断面略C字状をしているため、抜け止め兼カバー部材4で雄継手部材2と雌継手部材3との嵌め込み接続部分を覆っているといえども、抜け止め兼カバー部材4は嵌め込み接続部分の外径と殆ど変わらず、嵌め込み接続部分から抜け止め兼カバー部材4が外方に大きく突出することがなく、例えば、抜け止め兼カバー部材4で覆った嵌め込み接続部分を床暖房パネルなどの設備部材の凹溝などに収納するような場合であっても狭い凹溝であっても収納できる。
【0015】
また、大径筒部6に環状の第1被係止部5を周設し、雌筒部10に環状の第2被係止部9を周設し、第1係止部12を第1被係止部5に回動自在に係止すると共に割り筒部11の一端部側を雄継手部材2の大径筒部6に回動自在に被嵌して第1係止部12を第1被係止部5に回動自在に係止し、雌筒部10と雄筒部8とを嵌め込むと共に第2係止部13を第2被係止部9に回動自在に係止することが好ましい。
【0016】
このような構成とすることで、嵌め込み接続前にOリング7を設けた雄筒部8を床暖房パネルなどの設備部材の凹溝などに収納した状態で搬送したり、設備部材の施工などを行う際、Oリング7の外部に露出する部分に合わせて割り筒部11を回動することで、割り筒部11における側部開口11aが外部に露出することなく確実にOリング7が外部に露出しないように覆ってOリング7が傷付いたり、Oリング7に異物が付着するのを防止することができる。
【0017】
また、抜け止め兼カバー部材4の主体を構成する断面略C字状をした割り筒部11の側部開口11aの両開口縁にそれぞれ受け片15を突設して両受け片15間の距離が受け片15の突出基部間ほど狭く且つ受け片15の先端間ほど広くなるように形成してあることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることで、一対の受け片15をガイドとして断面略C字状をした割り筒部11を側部開口11aから雄継手部材2の大径筒部6に被嵌して第1係止部12を第1被係止部5に簡単に係止することができる。
【0019】
また、上記のような管継手1を用いて配管システムを構成することが好ましいものであり、これにより、管の接続が簡単な構成で流体漏れがない状態で確実にできる配管システムを提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、割り筒部の一端部側を雄継手部材の大径筒部に被嵌して第1係止部を第1被係止部に係止した状態で、割り筒部の軸方向の略中間部分で外周にOリングを設けた雄筒部を隙間を介して覆うので、嵌め込み接続までの間、簡単な構成の抜け止め兼カバー部材の取付けによりOリングを保護でき、Oリングの損傷による流体漏れを確実に防止できる。また、割り筒部の軸方向の他端部を雄筒部の先端よりも軸方向に突出させてあるので、上記突出部分に雌筒部を嵌め込んで軸方向の位置決め及び仮保持ができ、この軸方向位置決め仮保持状態で、割り筒部をガイドとして嵌め込み作業ができ、Oリングを傷付けないで嵌め込み接続作業を簡単且つ確実にできる。また、第1係止部と第1被係止部との係止及び第2係止部と第2被係止部との係止により軸方向の抜け止めができると共に、割り筒部により嵌め込み接続部分が覆われ、割り筒部により嵌め込み接続部を外側から保護して嵌め込み接続強度を向上させ、外力が作用した場合でも嵌め込み接続部ががたつかず、この点でも嵌め込み接続部からの流体漏れを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0022】
本発明の管継手1は図1に示すように、雄継手部材2と雌継手部材3と抜け止め兼カバー部材4とで構成してある。
【0023】
雄継手部材2は例えば金属製で、図5に示すように円筒状をした大径筒部6の軸方向の一端部から大径筒部6よりも小径の円筒状をした雄筒部8を一体に突設すると共に、大径筒部6の軸方向の他端部から大径筒部6よりも小径の円筒状をした配管接続部16を一体に突設して主体が構成してある。大径筒部6には周方向にわたって第1被係止部5が設けてあり、添付図面に示す実施形態では大径筒部6の外周に周方向にわたって環状溝5aを形成して該環状溝5aを第1被係止部5としてある。雄筒部8の外周には環状をしたOリング嵌め込み溝16が軸方向に複数設けてあって、該複数のOリング嵌め込み溝16にそれぞれOリング7が嵌め込んである。配管接続部16は合成樹脂製、金属製等の各種配管17の端部を接続する部分である。
【0024】
雌継手部材3は例えば金属製で、図6に示すように雌継手部材3の一端部が円筒状をした雌筒部10となっており、雌筒部10には周方向にわたって第2被係止部9が設けてあり、添付図面に示す実施形態では雄筒部8の外周に周方向にわたって環状溝9aを形成して該環状溝9aを第2被係止部9としてある。雌筒部10の外径は上記大径筒部6の外径と同じ径となっている。雌継手部材3の他端部には配管接続部18が設けてあり、この配管接続部18は合成樹脂製、金属製等の各種配管17の端部を接続する部分である。なお、図6に示す実施形態において雌継手部材3はL状をしているが、これにのみ限定されず、直管状であってもよいのは勿論である。
【0025】
抜け止め兼カバー部材4は、図7に示すように、弾性を有する金属板を断面略C字状に屈曲して抜け止め兼カバー部材4の主体を構成する一側部が軸方向にわたって開口する側部開口11aとなった割り筒部11が形成してある。断面略C字状の割り筒部11は軸方向に3つの部位に区分けされ、軸方向の一端部が第1被嵌部20となり、軸方向の中間部が中間被嵌部21となり、軸方向の他端部が第2被嵌部22となっている。第1被嵌部20、中間被嵌部21、第2被嵌部22はそれぞれ同一内径となっており、更に、前述の雌筒部10、大径筒部6の外径と同じ径となっている。
【0026】
割り筒部11の軸方向の一端部の第1被嵌部20に第1係止部12を設けると共に他端部の第2被嵌部22に第2係止部13を設けてある。添付図面に示す実施形態においては、第1被嵌部20の両側面部の一部をそれぞれ切起こして2個の切り起こし片12aを形成し、該切り起こし片12aを第1係止部12としてある。ここで、上記切り起こし片12aは断面略C字状の割り筒部11の中心軸に対して直角となるように割り筒部11内に向けて突出するように切り起こしてある。
【0027】
第2被嵌部22の両側面部の一部をそれぞれ切り起こして2個の切り起こし片13aを形成し、該切り起こし片13aを第2係止部13としてある。切り起こし片13aは、断面略C字状の割り筒部11の中心軸に対して傾斜するように割り筒部11内に向けて切り起こしてあり、その傾斜の向きは、先端側ほど割り筒部11の軸方向の他端から離れ且つ先端側ほど割り筒部11の内面から離れるように傾斜している。
【0028】
断面略C字状の割り筒部11の側部開口11aの両開口縁にそれぞれ受け片15を略ハ字状となるように突設して両受け片15間の距離が受け片15の突出基部間ほど狭く且つ受け片15の先端間ほど広くなっている。また、側部開口11a間の開口巾は断面略C字状の割り筒部11の径(直径)よりも小さくなっている。
【0029】
図2に示すように、抜け止め兼カバー部材4はあらかじめ雄継手部材2に取付けられる。雄継手部材2への抜け止め兼カバー部材4の取付けに当たっては次のようにして行う。
【0030】
すなわち、抜け止め兼カバー部材4の側部開口11aを弾性的に押し開いて割り筒部11を側部開口11aから雄継手部材2に被嵌する。この場合、側部開口11aに一対の受け片15をハ字状に設けてあるので、一対の受け片15をガイドとして断面略C字状をした割り筒部11の側部開口11aから雄継手部材2の大径筒部6に簡単に被嵌して取付けることができる。上記のようにして割り筒部11の第1被嵌部20を大径筒部6に回転可能に当接状態で被嵌すると共に第1係止部12を構成する切り起こし片12aを第1被係止部5を構成する環状溝5aに対して周方向に移動自在に係止し、また、中間被嵌部21が外周にOリング7を設けた雄筒部8を隙間14を介して覆い、更に、第2被嵌部22を雄筒部8の先端よりも軸方向に突出するように抜け止め兼カバー部材4が雄継手部材2に対して取付ける。このようにして雄継手部材2に取付けられた抜け止め兼カバー部材4は、雄継手部材2に対して回転自在であるが、第1係止部12が第1被係止部5に係止することで軸方向には移動しないように取付けられる。
【0031】
上記のように雄継手部材2に抜け止め兼カバー部材4を取付けることで、外周にOリング7を設けた雄筒部8の周方向の大部分が断面略C字状をした割り筒部11の中間被嵌部21により覆われて保護されることになり、雄継手部材2に雌継手部材3を嵌め込み接続するまでの間、運搬や各種作業中にOリング7が傷付いたり、異物が付着するのを防止することができるようになっている。このように、雄継手部材2と雌継手部材3との嵌め込み接続作業を行う前の段階で、雄筒部8の外周に設けたOリング7に傷が付いたり、異物が付着したりしないように保護するので、後述のように雄筒部8と雌筒部10とを嵌め込み接続した場合に、Oリング7による止水効果を低下させることなく、嵌め込み接続部分における流体漏れ(例えば水漏れ)を事前に防止することができることになる。
【0032】
抜け止め兼カバー部材4を取付けてOリング7を保護している雄継手部材2と雌継手部材3とを接続するには以下のようにして行う。
【0033】
まず、図3に示すように、割り筒部11の軸方向の他端部の雄筒部8の先端から突出している突出部分である第2被嵌部22に雌継手部材3の雌筒部10を嵌め込んで雌筒部10の軸方向を雄筒部8の軸方向に合わせて位置決めすると同時に、軸方向の位置決めをした状態で第2被嵌部22により雌筒部10を仮保持する。この場合、第2被嵌部22は側部開口11aの開口巾が直径よりも小さい略C字状をしているので、軸方向の位置決め状態が確実に保持される。また、第2被嵌部22の両側に傾斜した弾性を有する切り起こし片13aが設けてあるので、切り起こし片13aが第2被嵌部22に嵌め込んで軸方向の位置合わせをした雌筒部10の両側面に弾接して位置合わせ状態をより確実に保持できるようになっている。ここで、切り起こし片13aの傾斜の向きが、先端側ほど割り筒部11の軸方向の他端から離れ且つ先端側ほど割り筒部11の内面から離れるように傾斜しているので、傾斜に沿って雌筒部10を差し込むことができて、第2被嵌部22への雌筒部10の嵌め込みに当って切り起こし片13aが障害とならない。
【0034】
上記のようにして第2被嵌部22に雌筒部10を嵌め込んで軸方向の位置合わせをして仮保持した状態で、雄継手部材2、雌継手部材3を互いに近づく方向に移動して図4に示すように雌筒部10と雄筒部8とを嵌め込み接続する。
【0035】
この場合、雌筒部10は上記のように第2被嵌部22により軸方向の位置決め保持がなされて第2被嵌部22にガイドされながら雄筒部8に嵌め込まれるのであるが、雌筒部10は雄筒部8と中間被嵌部21との間の隙間14に嵌め込まれるので、中間被嵌部21においてもガイドされ、雌筒部10の中心軸と雄筒部8の中心軸とが一致するように軸方向の位置決めがなされたまま軸方向に誘導されながら嵌め込み作業ができるようになっており、この結果、Oリング7を有する雄筒部8に雌筒部10を簡単且つOリング7を傷付けないようにスムーズに嵌め込むことができる。このように嵌め込み作業中において雄筒部8に対して雌筒部10は軸方向にガイドされながら嵌め込まれることになって、雌筒部10が雄筒部8に対して斜めに被嵌されてOリング7が噛み込まれて損傷するというような事態が生じることがなく、この点でも、Oリング7による止水効果を低下させることなく、嵌め込み接続部分における流体漏れ(例えば水漏れ)を事前に防止することができることになる。
【0036】
Oリング7を外周に設けた雄筒部8と雌筒部10を完全に嵌め込むと、ちょうど雌筒部10の先端が大径筒部6の端面に当たり、且つ、この状態で第2係止部13となる切り起こし片13aが第2被係止部9となる環状溝9aに位置して弾性的に係止する。
【0037】
上記のようにして雄筒部8と雌筒部10との嵌め込みというワンタッチの作業で雄継手部材2と雌継手部材3とを嵌め込み接続できる。
【0038】
雄継手部材2と雌継手部材3とが上記のようにして嵌め込み接続された状態で、第1係止部12と第1被係止部5との係止、及び、第2係止部13と第2被係止部9との係止により軸方向の抜け止めがなされることになり、嵌め込みというワンタッチの作業で接続できるようにしたにもかかわらず、簡単な構成で軸方向の抜け止めができることになる。また、割り筒部11により雄筒部8と雌筒部10との嵌め込み接続部分が覆われるので、割り筒部11により嵌め込み接続部を外側から保護すると共に嵌め込み接続強度を向上させることができ、この結果、雄継手部材2又は雌継手部材3に外力が作用した場合でも嵌め込み接続部ががたつかないようにでき、この点でもOリング7の周方向の一部に無理な力が集中して嵌め込み接続部分からの流体漏れ(例えば水漏れ)を防止することができる。
【0039】
図8乃至図13には本発明の管継手1を用いた配管システムの一例として、床暖房における配管システムの例が示してある。
【0040】
図中23は床パネルであって、床基材23aの表面に表面化粧材23bを積層して床パネル23が構成してある。床基材23aの下面側には下方に開口した配管溝19が形成してあり、の配管溝19は、図9に示すように、一端が引出し口25に連通し他端が引込み口26に連通した一筆書き形状をしている。本例では配管溝19は床パネル23の全体に行き渡るような蛇行状に形成してある。
【0041】
図8(a)に示すように、床パネル23の幅方向Aの一側面29aに引出し口25が形成されると共に、引出し口25近傍の配管溝19部分が引出し溝部24とされており、この引出し溝部24は引出し口25が開口する床パネル23の一側面29aに対して鋭角(図11(a)のθ)で傾斜している。一方、床パネル23の幅方向Aの他側面29bには上記引出し口25と相対する位置に引込み口26が形成され、引込み口26近傍の配管溝19部分が引込み溝部28とされており、この引込み溝部28は引込み口26が開口する床パネル23の他側面29bに対して鋭角(図11(b)のθ´(=θ))で傾斜している。そして、一方の床パネル23Aの引出し口25と他方の床パネル23Bの引込み口26とを互いに対向させた状態で、一方の床パネル23Aの引出し溝部24と他方の床パネル23Bの引込み溝部28とが略直線状に連通するように構成されている。
【0042】
さらに、上記引出し溝部24には、可撓性の配管17の余長配管17cを吸収するための凹み部30が形成されている。この凹み部30は、図11に示すように、くびれ部31よりも奥部を引出し溝部24の傾斜方向(図11(a)のX方向)に対して略直交方向(本例では床パネル23の一側面29aに近接する方向)に向かって凹んだアール形状の内面40aを有する第1の凹み部30aと、くびれ部31よりも手前部を第1の凹み部30aの凹み方向と反対方向(本例では床パネル23の一側面29aから遠ざかる方向)に向かって凹んだアール形状の内面40bを有する第2の凹み部30bとからなる。これら各凹み部30a,30bはそれぞれ引出し溝部24と連通しており、搬送時及び配管接続後にそれぞれ可撓性の配管17の余長配管17cを吸収して配管17を納まり良く収納する働きをする。
【0043】
さらに、図10(a)、図11(a)に示すように、上記引出し溝部24からは、配管17の一方の端部に接続した雄継手部材2を引出し口25よりも内側に入り込んだ位置に仮収容するための仮収容溝32が分岐形成されている。仮収容溝32の一端はくびれ部31を介して第1の凹み部30aに連通している。本例では第1の凹み部30aのアール形状の内面40aの延長線上に沿わせて仮収容溝32が延設されており、床パネル23の搬送時に、図11(a)のWで示すように、配管17の一方の端部に接続した雄継手部材2を仮収容溝32に収納した状態で配管17が第1の凹み部30aに向かって折り曲げられてアール形状の内面40aに押し付けられた状態で保持されるものである。
【0044】
上記配管溝19内には、図9に示すように熱媒循環用の配管17が収納される。配管17は、例えば弾性を有する合成樹脂、或いはゴムホースのような可撓性パイプ類で構成されている。なお、引出し溝部24を除いた配管溝19に収納される配管本体を硬質配管とし、引出し溝部24に収納或いは引出し溝部24から引き出される配管端部のみを可撓性の配管17としてもよい。配管17の一端部には本発明の管継手1における雄継手部材2の配管接続部16を嵌め込んで締結バンドなどで締結してあると共に、他端部には雌継手部材3の配管接続部18を嵌め込んで締結バンドなどで締結してある。また、雄継手部材2には前述のようにして抜け止め兼カバー部材4が取付けてある。なお図8中の39は配管押さえ具であって、配管溝19内に収納した配管17を部分的に押えて床基材23aに取付ける役目をしている。
【0045】
ここで、雄継手部材2を接続した方の可撓性を有する配管17の一端部側は引出し口25から引き出し可能とされ、雌継手部材3を接続した方の可撓性を有する配管17の他端部側は引込み溝部28内部に配置される。
【0046】
床パネル23の下面には配管溝19及び引出し溝部24を覆うようにアルミ箔からなる均熱板23cが取着される。均熱板23cは、配管17から床パネル23表面への熱伝導の均一化を図る働きをする。なお、床パネル23の下面のうち、図8(a)、図10(a)、図11(a)に示すように、床パネル23の引出し口25付近から仮収容溝32に至る下面領域E、及び図8(a)、図10(b)、図11(b)の引込み口26から引込み溝部28に至る下面領域Fは、それぞれ、均熱板23cで覆われない領域となっている。
【0047】
そして、配管接続を行うまでの間(保管時、搬送時、及び、現場における接続作業までの取扱い作業時)は、図11(a)の破線Wで示すように、配管17の一方の端部に接続した抜け止め兼カバー部材4を取付けた雄継手部材2を仮収容溝32に仮収容することにより、配管17が第1の凹み部30aの内面40aに押し付けられて保持されるようになる。このようにして、配管17の余長配管17cが第1の凹み部30aの内面40aに押し付けられて保持された状態となって配管17の一方の先端に接続した雄継手部材2が外部に飛び出さないようになっている。この場合、雄継手部材2に取付けた抜け止め兼カバー部材4は断面略C字状の割り筒部11の側部開口11aが仮収容溝32の溝底側を向いて一対の受け片15の先端が仮収容溝32の溝底に当接するように仮収容溝32内に収容するようになっている。
【0048】
これにより仮収容溝32の下面開口からOリング7を有する雄筒部8が露出しないように割り筒部11により覆ってカバーすることができ、出荷から配管作業を行うまでの間、Oリング7部分に他の物が当って傷付いたり、あるいは、異物が付着するのを防止するようになっている。
【0049】
また、配管17接続時には、図11(a)の1点鎖線Xで示すように、配管17を略直線状に伸ばして引出し溝部24の溝壁面24b,24cに沿わせて配管17の一方の端部に接続した雄継手部材2を引出し口25から引出して配管接続できる状態とするものであり、さらに、配管接続後には、図11(a)の2点鎖線Yで示すように、配管17が凹み部30a,30bに向かって略S字状に折り曲げられた状態となるように構成されている。
【0050】
次に現場において床パネル23を敷設して幅方向Aに隣合う床パネル23の配管接続を行なうことについて説明する。
【0051】
まず、下地板34から立ち上げた立ち上げケーブル(図示せず)の端部に抜け止め兼カバー部材4を取付けた雄継手部材2を接続し、この雄継手部材2を最初に敷設しようとする一方の床パネル23Aの配管17の他端の雌継手部材3に前述と同様にして嵌め込み接続して嵌め込み接続部分を一方の床パネル23Aの引き込み溝部28内に収納すると共に、配管17の他端部に接続した抜け止め兼カバー部材4を取付けた雄継手部材2を仮収容溝32から取り出して配管17の余長部分と共に外に引出し口25から引き出す。
【0052】
この状態で、一方の床パネル23Aの下面の均熱板23cで覆ってない床パネル23Aの引出し口25付近から仮収容溝32に至る下面領域E、及び引込み口26から引込み溝部28に至る下面領域Fを覆うように、それぞれアルミ箔のような均熱シート35a、35bを貼着する。
【0053】
その後、最初に敷設しようとする床パネル23Aの下面を下地板34上に接着剤による接着、その他の手段で固着する。
【0054】
次に、上記下地板34上に敷設した一方の床パネル23Aの上に、他方の床パネル23Bを上下逆にして重ね、他方の床パネル23の引込み溝部28内に配置している配管17の他端部に接続した雌継手部材3を可撓性を有する配管17部分を曲げるようにして起こすことで引き込み溝部28から出し、該他方の床パネル23の雌継手部材3と、上記一方の床パネル23Aの引出し口25から引き出した抜け止め兼カバー部材4を取付けた雄継手部材2とを嵌め込み接続する。雌継手部材3と雄継手部材2との接続は、雌筒部10とOリング7を有する雄筒部8との嵌め込みにより接続するものであり、この雌筒部10とOリング7を有する雄筒部8との嵌め込み接続に当って、雄継手部材2に取付けている抜け止め兼カバー部材4が前述のように嵌め込みに際しての軸方向の位置決め、仮保持、嵌め込みの際のガイドをおこない、また、嵌め込み接続が完了すると、前述のように第1係止部12と第1被係止部5との係止及び第2係止部13と第2被係止部9との係止により軸方向の抜け止めがなされる割り筒部11で雄筒部8と雌筒部10との嵌め込み接続部分を覆うことで、嵌め込み接続強度を向上させ、外力が作用した場合でも嵌め込み接続部ががたつかないようになる。
【0055】
嵌め込み接続が終了すると、接続部分が抜け止め兼カバー部材4で覆われた雌継手部材3と雄継手部材2が他方の床パネル23Bの引込み溝部28内に配置される。この場合、抜け止め兼カバー部材4の割り筒部11の側部開口11aが引込み溝部28の溝底側を向いて一対の受け片15の先端が引込み溝部28の溝底に当接するように仮収容溝32内に収容する。また、他方の床パネル23Bの配管17の他端部に接続した抜け止め兼カバー部材4を取付けた雄継手部材2を仮収容溝32から取り出して配管17の余長部分と共に引出し口25から外に引き出す。
【0056】
この状態で、他方の床パネル23Bの下面の均熱板23cで覆ってない床パネル23Bの引出し口25付近から仮収容溝32に至る下面領域E、及び引込み口26から引込み溝部28に至る下面領域Fを覆うように、それぞれアルミ箔のような均熱シート35a、35bを貼着する(図14参照)。
【0057】
次に、他方の床パネル23Bを均熱板23cが下となるように図12の矢印イのように上下反転して下地板34上に載置し、矢印ロ方向に移動させると共にハ方向に移動させることで一方の床パネル23Aの配管17の外に引き出していた余長部分を引出し口25から内部に押し込み、余長部分を第2の凹み部30bの内面40b、第1の凹み部30aの内面40aに沿って押し当てて収納する。
【0058】
上記他方の床パネル23Bは接着剤45やその他の固着手段で下地板34に固着する。この場合、床パネル23の側端面に雄実や雌実を設けて実結合を併用するようにしてもよい。
【0059】
次に、3番目以降の床パネル23を同様にして雄継手部材2、雌継手部材3を嵌め込み接続すると共に下地板34に固着して敷設する。このようにして床パネル23に設けた配管17同士を本発明の管継手1を用いて接続すると共に、床パネル23を敷設することで、床暖房の配管システムを施工するのである。
【0060】
このような床暖房の配管システムにおいて、配管17を内装した床パネル23を工場で生産して、出荷から現場において床パネル23同士の配管17を接続するまでの間、配管17の一端部に接続している雄継手部材2に設けたOリング7が傷付いたり、異物が付着したりしないように抜け止め兼カバー部材4で保護してあるので、雄筒部8と雌筒部10とは傷付いたり、異物が付着していないOリング7を介して嵌め込み接続されることになり、嵌め込み接続部分における配管17内を流れる熱媒である流体漏れが生じないようにできる。
【0061】
また、接続が完了して引込み溝部28内に配置された雌継手部材3と雄継手部材2は、抜け止め兼カバー部材4により接続部分が覆われており、しかも引込み口26から引込み溝部28に至る下面領域Fを覆う均熱シート35bに断面略C字状の割り筒部11の外周面が接触するので、金属製の割り筒部11を介して雌継手部材3と雄継手部材2との接続部分の熱を効果的に均熱シート35bに伝え、床パネル23表面に効果的に熱伝導するようになっている。
【0062】
また、下面領域E部分においてもこの下面領域Eを覆う均熱シート35aを介して配管17の熱を床パネル23表面に効果的に熱伝導することができるようにしてある。
【0063】
上記実施形態においては、本発明の管継手1を床暖房における配管システムに用いた例を示したが、本発明の管継手1は上記のような床暖房における配管システムに用いるものにのみ限定されず、他の種々の配管システムに本発明の管継手1を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の管継手の分解斜視図である。
【図2】(a)は同上の雄継手部材に抜け止め兼カバー部材を取付けた状態の一側面側から見た斜視図であり、(b)は反対側の側面から見た斜視図であり、(c)は断面図である。
【図3】(a)は同上の抜け止め兼カバー部材を取付けた雄継手部材と雌継手部材との嵌め込み接続に当って、雌筒部を割り筒部の軸方向の他端部の突出部分に嵌め込んで位置合わせした状態を示す斜視図であり、(b)は断面図である。
【図4】(a)は同上の抜け止め兼カバー部材を取付けた雄継手部材と雌継手部材との嵌め込み接続した状態を示す斜視図であり、(b)は断面図である。
【図5】雄継手部材の一部破断した側面図である。
【図6】雌継手部材の一部破断した側面図である。
【図7】抜け止め兼カバー部材を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は下面図である。
【図8】同上の管継手を用いた配管システムにおける床パネルを示し、(a)は一部省略下面図であり、(b)は断面図である。
【図9】同上の均熱板を貼る前の床パネルの下面図である。
【図10】(a)は同上の引出し溝部付近の下面図であり、(b)は引込み溝部付近の下面図である。
【図11】(a)は同上の引出し口及び仮収容溝が下方に露出している状態を説明する下面図であり、(b)は引込み口及び引込み溝が下方に露出している状態を説明する下面図である。
【図12】同上の施工の途中の状態を示す説明図である。
【図13】同上の雄継手部材と雌継手部材との接続部分を引込み溝に収納している状態を説明する下面図である。
【図14】同上の下面領域E及びFにそれぞれ均熱シートを貼り付けた状態の下面図である。
【図15】従来例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 管継手
2 雄継手部材
3 雌継手部材
4 抜け止め兼カバー部材
5 第1被係止部
6 大径筒部
7 Oリング
8 雄筒部
9 第2被係止部
10 雌筒部
11 割り筒部
12 第1係止部
13 第2係止部
14 隙間
15 受け片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管継手を雄継手部材と雌継手部材と抜け止め兼カバー部材とで構成し、雄継手部材に、第1被係止部を設けた大径筒部と、大径筒部の軸方向の端部から一体に突設した大径筒部よりも小径で且つ外周にOリングを有する雄筒部とを設け、雌継手部材に第2被係止部を設けた雌筒部を設け、抜け止め兼カバー部材の主体を構成する一側部が側部開口となった割り筒部の軸方向の一端部側に第1係止部を設けると共に他端部に第2係止部を設け、割り筒部の一端部側を雄継手部材の大径筒部に被嵌して第1係止部を第1被係止部に係止した状態で、割り筒部の軸方向の略中間部分で外周にOリングを設けた雄筒部を隙間を介して覆い且つ割り筒部の軸方向の他端部を雄筒部の先端よりも軸方向に突出させ、雌筒部と雄筒部とを嵌め込むと共に第2係止部を第2被係止部に係止して割り筒部で雄筒部と雌筒部との嵌め込み接続部分を覆って成ることを特徴とする管継手。
【請求項2】
抜け止め兼カバー部材が弾性を有する金属製であって、該抜け止め兼カバー部材の主体を構成する割り筒部が断面略C字状をし、第1係止部を第1被係止部に弾性係止すると共に第2係止部を第2被係止部に弾性係止して成ることを特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項3】
大径筒部に環状の第1被係止部を周設し、雌筒部に環状の第2被係止部を周設し、第1係止部を第1被係止部に回動自在に係止すると共に割り筒部の一端部側を雄継手部材の大径筒部に回動自在に被嵌して第1係止部を第1被係止部に回動自在に係止し、雌筒部と雄筒部とを嵌め込むと共に第2係止部を第2被係止部に回動自在に係止して成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の管継手。
【請求項4】
抜け止め兼カバー部材の主体を構成する断面略C字状をした割り筒部の側部開口の両開口縁にそれぞれ受け片を突設して両受け片間の距離が受け片の突出基部間ほど狭く且つ受け片の先端間ほど広くなるように形成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項5】
上記請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の管継手を用いた配管システム。
【請求項1】
管継手を雄継手部材と雌継手部材と抜け止め兼カバー部材とで構成し、雄継手部材に、第1被係止部を設けた大径筒部と、大径筒部の軸方向の端部から一体に突設した大径筒部よりも小径で且つ外周にOリングを有する雄筒部とを設け、雌継手部材に第2被係止部を設けた雌筒部を設け、抜け止め兼カバー部材の主体を構成する一側部が側部開口となった割り筒部の軸方向の一端部側に第1係止部を設けると共に他端部に第2係止部を設け、割り筒部の一端部側を雄継手部材の大径筒部に被嵌して第1係止部を第1被係止部に係止した状態で、割り筒部の軸方向の略中間部分で外周にOリングを設けた雄筒部を隙間を介して覆い且つ割り筒部の軸方向の他端部を雄筒部の先端よりも軸方向に突出させ、雌筒部と雄筒部とを嵌め込むと共に第2係止部を第2被係止部に係止して割り筒部で雄筒部と雌筒部との嵌め込み接続部分を覆って成ることを特徴とする管継手。
【請求項2】
抜け止め兼カバー部材が弾性を有する金属製であって、該抜け止め兼カバー部材の主体を構成する割り筒部が断面略C字状をし、第1係止部を第1被係止部に弾性係止すると共に第2係止部を第2被係止部に弾性係止して成ることを特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項3】
大径筒部に環状の第1被係止部を周設し、雌筒部に環状の第2被係止部を周設し、第1係止部を第1被係止部に回動自在に係止すると共に割り筒部の一端部側を雄継手部材の大径筒部に回動自在に被嵌して第1係止部を第1被係止部に回動自在に係止し、雌筒部と雄筒部とを嵌め込むと共に第2係止部を第2被係止部に回動自在に係止して成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の管継手。
【請求項4】
抜け止め兼カバー部材の主体を構成する断面略C字状をした割り筒部の側部開口の両開口縁にそれぞれ受け片を突設して両受け片間の距離が受け片の突出基部間ほど狭く且つ受け片の先端間ほど広くなるように形成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項5】
上記請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の管継手を用いた配管システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−82405(P2008−82405A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261297(P2006−261297)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000183071)住商メタレックス株式会社 (27)
【出願人】(591226771)株式会社千代田製作所 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000183071)住商メタレックス株式会社 (27)
【出願人】(591226771)株式会社千代田製作所 (7)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]