説明

管継手

【課題】開閉弁の開閉動作を安定して行い、開閉弁の閉弁時における流体漏れを確実に防止する。
【解決手段】管継手は、ソケット1及びプラグ2を備える。ソケット1は、ソケット本体3、開閉弁40、弁操作手段60、接続操作手段21を備える。開閉弁40は、ソケット本体3の流体通路30の内部に配置され、弁軸43に取り付けられたシールリング41と、接続口体20の内部に配置された円環弁体42とからなる。開閉弁40が閉鎖されている場合、シールリング41は作動ばね65の作用により後退移動し、円環弁体42は弁ばね45の作用により前進移動して接触する。開閉弁40が開放されている場合、円環弁体42はプラグ本体4の先端部と当接することにより移動が規制され、シールリング41が円環弁体42から離間する。作動ばね65は、弁ばね45よりも大きなばね力を持って弁軸43を後側に向かって押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体などの流体を通流させる配管同士を接続し、互いに結合されるソケットとプラグとを有する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば冷媒などの流体を通流させる配管(管路)同士を接続するための管継手として、互いに結合されるソケットとプラグとを備えたものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この管継手においては、これらソケット及びプラグの各本体の内部に流体を流す流体通路が設けられると共に、この流体通路の内部には、流体通路の開閉を行うための開閉弁が設けられている。
【0003】
そして、ソケット本体における流体通路の内部には、回転可能ノブの操作に伴って軸方向に移動する作動軸と、この作動軸に取り付けられたシールリングとが設けられている。また、このシールリングと接触する円錐弁座を有するスリーブ弁と、このスリーブ弁に対して注入口に向かう方向に力を加える圧縮ばねとが設けられている。
【0004】
このような構成により、特許文献1の管継手では、ソケット本体にプラグが接続されていない状態で回転可能ノブを、作動軸がシールリングの開放方向に移動するように閉めていっても、圧縮ばねの作用により作動軸のシールリングにスリーブ弁の円錐弁座が接触し続ける構造を実現している。このため、プラグが接続されていない場合に流体通路が開放されることはなく、このような場合の不用意な流体の漏れを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2781463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている従来の管継手では、一つの圧縮ばねでスリーブ弁を一方向にのみ押し付けて円錐弁座をシールリングに接触する構造である。このため、例えばプラグとソケットとを接続していない状態で、回転可能ノブを閉めていって圧縮ばねの力が弱くなった場合、作動軸の軸方向のバックラッシュの存在により、管継手に作用する外部振動や衝撃、或いは流体通路内の流体の圧力変動に対して、円錐弁座とシールリングとの接触状態を安定して維持できないおそれがある。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、開閉弁の開閉動作を安定して行うことができると共に、開閉弁の閉弁時における流体漏れを確実に防止することができる管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る管継手は、互いに結合するソケット及びプラグを有する管継手において、前記ソケットは、前記プラグが挿入嵌合される一方の端部を開放した筒状をなすソケット本体と、前記ソケット本体の内部に装着される開閉弁と、前記開閉弁を開閉操作するための弁操作手段と、前記ソケットと前記プラグとの接続又は離脱を操作するための接続操作手段とを備え、前記ソケット本体は、前記一方の端部に設けられて前記プラグが内側に挿入される接続口と、前記接続口から前記ソケット本体の軸方向に沿って形成された流体通路と、前記流体通路と前記ソケット本体の径方向に沿って連通する流体流通孔が形成された配管接続手段とを有し、前記開閉弁は、前記流体通路の内部において開弁位置と閉弁位置との間を前記軸方向に沿って進退可能に設けられた棒状をなす弁軸と、前記弁軸の前記接続口側の周壁に取り付けられて前記弁軸と共に前記軸方向に沿って進退移動する第1の弁体と、前記流体通路の内部において前記第1の弁体に対して接触又は離間して前記流体通路を閉鎖又は開放可能に前記軸方向に沿って進退自在に設けられ、且つ前記プラグが前記接続口に完全挿入されたときに前記プラグの先端部に当接して前記第1の弁体に接触する向きの移動が阻止される第2の弁体と、前記第2の弁体に対して前記第1の弁体に接触する向きの力を付与する第1の弾性部材とを有し、前記弁操作手段は、前記ソケット本体の他方の端部に設けられて、前記弁軸を前記軸方向に沿って前記開弁位置と前記閉弁位置との間で進退移動させるように変位可能な弁操作部材と、前記弁軸に対して前記弁操作部材に当接する向きで、且つ前記第1の弁体が前記第2の弁体に接触する向きに前記第1の弾性部材に比して大きな力を付与する第2の弾性部材とを有し、前記接続操作手段は、前記接続口の周壁に設けられ、前記接続口に挿入された前記プラグに対して係脱可能に係合する状態で前記ソケット本体に支持される係合体と、前記接続口の周壁の外周側に設けられ、前記係合体を前記プラグに係合した状態で押さえる接続保持位置と、前記係合体を前記プラグとの係合状態から外す接続解放位置との間で変位する円環状をなす接続操作部材とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の一つの実施形態においては、前記弁操作部材が、前記ソケット本体に前記弁軸の中心軸と直交する方向に設けられた回転軸と、この回転軸に装着されて前記弁軸の後端に当接するカム状の当接部と、この当接部を前記回転軸を中心として回転操作するための操作レバーとを有し、前記操作レバーは、前記ソケット及びプラグの結合時に、前記当接部で前記弁軸を前記開弁位置に移動させたときに、先端部が前記接続操作部材の前記接続保持位置から前記接続解放位置への移動を規制する位置に配置される。
【0010】
本発明の他の実施形態においては、前記弁操作部材が、前記ソケット本体に前記軸方向に沿って螺合軸を有する状態で螺合配置されると共に前記弁軸に当接する当接部を有する円板状の操作ダイアルであり、前記当接部が前記弁軸を前記開弁位置と前記閉弁位置との間で移動させる動作に伴って前記螺合軸を中心として回転変位させ、前記操作ダイアルは、前記ソケット及びプラグの結合時に、前記当接部で前記弁軸を前記開弁位置に移動させたときに、先端部が前記接続操作部材の前記接続保持位置から前記接続解放位置への移動を規制する位置に配置される。
【0011】
本発明の更に他の実施形態においては、前記弁操作部材及び前記接続操作部材が、前記プラグが前記接続口に完全挿入されると共に前記接続操作部材が前記接続保持位置に移動され、且つ前記弁軸が前記開弁位置に移動されたときに、両者の端部同士が前記接続操作部材の前記接続保持位置から前記接続解放位置への変位量よりも短い距離で近接して前記接続操作部材の前記接続解放位置への変位を阻止し、前記プラグの接続状態をロックする接続ロック手段を構成する。
【0012】
本発明の更に他の実施形態においては、前記係合体が、前記接続口の周壁に外周側から前記径方向内側に向かって狭まるように形成された支持孔内に前記径方向に沿って移動可能に支持されると共に、前記プラグに形成された溝状の係合部に係脱可能に係合される球状体であり、前記接続操作部材が、前記球状体を前記ソケット本体の先端側の前記接続保持位置にて外周側から前記径方向内側に向かって突出するように押さえると共に、前記ソケット本体の後端側の前記接続解放位置にてその突出がなくなるように押さえる状態で変位可能であり、且つ第3の弾性部材によって前記接続保持位置への向きの力が付与されている。
【0013】
本発明の更に他の実施形態においては、前記配管接続手段が、前記流体流通孔の流体導入側に接続されたスイベル継手を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開閉弁の開閉動作を安定して行うことができると共に、開閉弁の閉弁時における流体漏れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る管継手におけるソケット及びプラグの分離時の様子を一部を断面で示す側面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】同管継手におけるソケット及びプラグの分離時の様子を一部を断面で示す側面図である。
【図4】同管継手におけるソケット及びプラグの接続時の様子を一部を断面で示す側面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る管継手におけるソケット及びプラグの接続時の様子を一部を断面で示す側面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る管継手におけるソケット及びプラグの接続時の様子を一部を断面で示す側面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る管継手におけるソケット及びプラグの接続時の様子を一部を断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して、この発明に係る管継手の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る管継手におけるソケット及びプラグの分離時の様子を一部を断面で示す側面図である。図2は、図1のA矢視図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る管継手は、筒状のソケット1と、このソケット1に着脱可能に挿入結合される筒状のプラグ2とを備えて構成されている。
【0018】
この管継手は、例えば自動車用エアコンや給湯用ヒートポンプなどの加熱冷却用機器に用いられる冷媒などの流体を流通する管路と、この加熱冷却用機器に冷媒を供給したり回収したりする冷媒供給回収源とを接続するために用いられる。プラグ2は、例えば加熱冷却用機器側のサービスポート(図示せず)などに接続されている。ソケット1は、ソケット本体3と、このソケット本体3の内部に設けられた開閉弁40とを備えて構成されている。
【0019】
ソケット1は、例えば主体(第1の筒体)10と接続口体(第2の筒体)20とを軸方向に結合して構成されている。ソケット本体3は、一方の端部(プラグ2側の端部)を開放した筒体をなすと共に内部に流体が流通する流体通路30を有する。開閉弁40は、ソケット本体3の流体通路30内に設けられている。
【0020】
また、ソケット1は、開閉弁40を開閉操作するための弁操作手段60と、接続口体20の内部に挿入されるプラグ2のソケット1への接続又はプラグ2のソケット1からの離脱を操作するための接続操作手段21とを備えて構成されている。更に、ソケット1のソケット本体3には、主体10の軸方向と交差する径方向に延びる配管接続部(配管接続手段)12が形成されている。
【0021】
配管接続部12は、例えば図示しない冷媒供給回収源からの配管(管路)をソケット本体3に接続するものであり、内部に主体10の流体通路30とソケット本体3の径方向に連通する流体流通孔11が形成されている。
【0022】
ソケット本体3の主体10は、接続口体20側の前端部が開放された円筒体をなす。主体10の前端部の開放された接続孔13内には、後述する開閉弁40の環状弁体(第2の弁体)42が挿入されている。また、主体10の後端部(弁操作手段60側)の挿入孔14は、後述する弁軸支承体44及びこれに支持された弁軸43により塞がれている。
【0023】
ソケット本体3の接続口体20は、両端が開放され、主体10よりも大径の円筒体をなすもので、後端側が主体10の前端部の外周面と螺合されている。また、接続口体20の前端側には、主体10の流体通路30に連通すると共に、プラグ2が挿入される接続口22が設けられている。
【0024】
開閉弁40は、ソケット本体3の流体通路30において、流体通路30を開閉する。開閉弁40は、流体通路30の内部において、弁が開放される開弁位置と弁が閉鎖される閉弁位置との間を、ソケット本体3の軸方向に沿って進退可能に設けられた弁軸43を備える。
【0025】
また、開閉弁40は、弁軸43の接続口体20側の周壁に取り付けられて弁軸43と共に軸方向に沿って進退移動するシールリング(第1の弁体)41を備える。更に、開閉弁40は、流体通路30の内部において、シールリング41に対して接触又は離間して流体通路30を閉鎖又は開放可能に軸方向に沿って進退自在に設けられ、且つプラグ2が接続口22に完全挿入されたときにプラグ2のプラグ本体4の先端部に当接してシールリング41接触する向きの移動が阻止される円環弁体(第2の弁体)42を備える。
【0026】
また、開閉弁40は、円環弁体42に対してシールリング41に接触する向きの力を付与する弁ばね(第1の弾性部材)45を備える。弁軸43は、主体10の流体通路30よりも軸方向に長い棒状部材からなり、流体通路30の内部において中心軸上に配置されている。
【0027】
そして、弁軸43は、後端部に装着された弁軸支承体44を介して主体10の挿入孔14に支持され、弁操作手段60の動作及び作用によって軸方向に沿って進退自在に移動し、先端部が接続口体20の内部まで延びるように形成されている。この弁軸43のシールリング41の取付箇所よりも後端側の周壁には、例えば軸方向に延びる一対の切欠凹部46が形成されている。
【0028】
これら一対の切欠凹部46は、上述したような開弁位置において、円環弁体42の前端側の内周面42aとの間で流体通路30と繋がる隙間を形成するものである。シールリング41は、ゴムなどのシール材を円環状に成形したもので、弁軸43の一対の切欠凹部46よりも前端側に配置され、弁軸43の外周面に形成された環状溝41aに嵌合固定されている。
【0029】
また、シールリング41は、環状溝41aの軸方向前側に形成された突条部41bによりその前端面が押さえられると共に、弁軸43に先端側から嵌められて取り付けられた環状のシール固定体41cによりその外周面が押さえられている。従って、シールリング41は、弁軸43と一体となってソケット本体3の軸方向に進退移動する。なお、シールリング41の後端面は、環状弁体42の前部の内周面と後部の内周面との間の段差面と接触し、管継手における流体通路30を遮断して閉鎖する面を構成する。
【0030】
環状弁体42は、弁軸43及びシールリング41の外周側を囲む円筒形をなすもので、ソケット本体3における主体10と接続口体20との内部にわたって軸方向に進退移動自在に配置されている。環状弁体42の後部は、主体10の接続孔13内に、その外周面が主体10の接続孔13の内周面と摺動自在となるように挿入される。また、環状弁体42の後部の内周面は、弁軸43の一対の切欠凹部46を含む部分と摺動自在となるように構成されている。
【0031】
環状弁体42の前部は、外周面が後部の外周面よりも大径となっており、前部と後部の間に、径方向に沿う段差面42bが形成されている。円環弁体42の前部の外周面は、接続口体20の内部に位置して後述する接続操作手段21のボール受け環状体23の内周面と摺接するように組み合わされる。
【0032】
また、環状弁体42の前部は、内部にシールリング41及びシール固定体41cを収容する。そして、環状弁体42の段差面42bが、主体10の先端面に当接することにより、環状弁体42の後退移動が規制される構造となっている。このような開閉弁40において、シールリング41と環状弁体42とが、一対の切欠凹部46よりも前側の位置で接触することによって、閉弁位置における流体通路30が遮断される。
【0033】
更に、環状弁体42の先端面は、後述するようにプラグ2が接続口22内に完全挿入された際に、弁軸43の先端側への移動によってプラグ本体4の先端面と当接する位置(例えば、図4参照)に配置されるように寸法が設定されている。なお、環状弁体42の後部の外周面には、シールリング42cが取り付けられ、主体10の接続孔13との間の流体通路30の内周面側におけるシールが図られている。
【0034】
弁軸支承体44は、上述したように主体10の流体通路30の後部に移動自在に設けられた円筒体からなり、その中心に弁軸43の後端部が挿通支持された構造からなる。この弁軸支承体44は、後部側に形成された押さえ片44cで、弁軸43の後部外周面に形成された凹部43aに嵌められたストッパボール47を係合している。そして、弁軸支承体44は、その後端側から嵌められたキャップ48によりストッパボール47が押さえられることにより、弁軸43と一体的に結合されている。
【0035】
なお、弁軸支承体44の内周面及び外周面には、シールリング44a,44bがそれぞれ配置され、弁軸43の後部の外周面との間及び主体10の挿入孔14の内周面との間における流体通路30の内周面側のシールが図られている。
【0036】
弁ばね45は、例えば圧縮コイルばねからなり、円環弁体42の後部側に配置されている。この弁ばね45は、円環弁体42の後端凹面と、主体10の流体通路30の内周面にて挿入孔14よりも前部側に形成されたばね受け環突条部15の前端面とで支持されている。
【0037】
弁ばね45は、弁軸43の軸方向に沿って円環弁体42に対してシールリング41に接触する向きの力(すなわち、ソケット本体3の前端側に向かう力)を付与している。これにより、円環弁体42を前進移動させてシールリング41に当接させている。このため、シールリング41と円環弁体42とが接触して開閉弁40が閉弁し、ソケット本体3の流体通路30が前側と後側に仕切られて閉鎖される。
【0038】
一方、図1及び図2に示すように、弁操作手段60は、ソケット本体3の主体10の挿入孔14よりも後端側に設けられ、開閉弁40を開放及び閉鎖する操作を行うためのものである。弁操作手段60は、弁軸43を軸方向に沿って開弁位置と閉弁位置との間で進退移動させるように変位可能な操作レバー(弁操作部材)61を備える。
【0039】
操作レバー61は、その基端部が、主体10の後端部の側面に対向配置された一対の取付片63を主体10の軸方向と直交する方向に貫通する回転軸64に固定され、回転軸64を中心として回転可能に設けられている。
【0040】
これら一対の取付片63は、それぞれ対向する内側面が軸方向に沿う平面をなし、この内側面に対して直交する直径線上に軸孔64aが形成されている。回転軸64は、この軸孔64aに回転自在に取り付けられている。また、一対の取付片63の間には、操作レバー61の動作に伴って弁軸43の後端部に当接するカム部(当接部)62が配置されている。従って、操作レバー61は、その長手方向が上記内側面と平行な面に沿って回転軸64を中心として回動可能となるように配置されている。
【0041】
そして、この操作レバー61は、管継手のオペレータが手で操作する部分であり、操作レバー61が操作されて動作することに伴って、回転軸64を介して連結されたカム部62が弁軸43と当接する。これにより、弁軸43を開弁位置と閉弁位置とに軸方向に移動させることができる。
【0042】
カム部62には、外周部に低部面62aと高部面62bとが円弧角部を介して面直角に交差するカム面が形成されている。低部面62aは、軸孔64a中心からの距離が、弁軸43が閉弁位置に後退移動可能な長さに設定され、高部面62bは、軸孔64a中心からの距離が、弁軸43の後端面を押圧して弁軸43を開弁位置まで前進移動可能な長さに設定されている。
【0043】
操作レバー61が、図1及び図2に示すように、その長手方向がソケット本体3の軸方向と交差するように立直位置にあるときには、カム部62は低部面62aが弁軸43の後端面に近接する状態で対向する。一方、この立直位置から、図3に示すように、操作レバー61をその先端がソケット本体3の前方を向くように倒していくと、カム面の円弧角部が弁軸43の後端面と摺接し、弁軸43を徐々に前進移動させる。
【0044】
そして、図4に示すように、操作レバー61を、その長手方向がソケット本体3の軸方向と平行位置となるように倒すと、カム部62は高部面62bが弁軸43の後端面及びキャップ48と当接する。これにより、弁軸43を前側に押圧する。すなわち、操作レバー61が上記立直位置にあるときは、弁軸43の後退を許容して開閉弁40を閉鎖する閉弁位置となる。また、操作レバー61が上記平行位置にあるときは、弁軸43が最前部に前進して開閉弁40を開放する開弁位置となる。
【0045】
また、主体10の流体通路30には、作動ばね(第2の弾性部材)65が弁軸支承体44の前部側にて弁軸43を囲むように配置されている。作動ばね65は、例えば圧縮コイルばねからなり、弁軸支承体44の前端周縁段部とばね受け環突状部15の後端面とで支持されている。
【0046】
この作動ばね65は、弁軸支承体44に対して後退方向(後側)に向かう力を付与しているので、弁軸支承体44に支持された弁軸43は、作動ばね65によって常時後退方向に向かう力を受けていることとなる。なお、作動ばね65のばね力は、上記弁ばね45のばね力よりも大きく設定されている。
【0047】
接続操作手段21は、例えば一般的なボールロック機構と呼ばれる機構を採用し、本実施形態においては、プラグ2をソケット本体3に挿入する1回の操作で接続を行うことができるワンタッチ方式が採用されている。接続操作手段21は、接続口体20の接続口22を構成する周壁に設けられ、接続口22に挿入されたプラグ2と係合可能にソケット本体3に支持される複数のボール(係合体)51を備える。
【0048】
また、接続操作手段21は、接続口体20の接続口22を構成する周壁の外周側に設けられ、ボール51をプラグ2に係合した状態で押さえる接続保持位置と、ボール51をプラグ2との係合状態から外す接続解放位置との間で進退する円環状の操作スリーブ(接続操作部材)53を備える。
【0049】
各ボール51は、接続口体20の前端側の周壁に外周側から径方向内側に向かって狭まるように、且つ周方向に所定間隔で形成された複数のボール支持孔50内に、径方向に沿って移動可能に支持されている。各ボール支持孔50の内周側開口はボール51の直径よりも小さく、外周側開口はボール51の直径よりも大きく形成され、これによりボール51はボール支持孔50の両側開口から一部が突出して接続口体20の径方向に移動自在に支持される。
【0050】
操作スリーブ53は、接続口体20の外周側にて軸方向に移動自在に装着されている。操作スリーブ53の前部内周面はボール押さえ面53aを構成し、この押さえ面53aに連続する前端内側周縁部にはボール逃し溝53bが形成されている。操作スリーブ53は、ボール押さえ面53aが各ボール支持孔50内のボール51を接続口体20の外周側に突出しないように押さえるボール押さえ位置である接続保持位置と、各ボール支持孔50から接続口体20の外周側に突出するボール51をボール逃し溝53bに逃してボール51が外周側へ突出移動することを許容するボール逃し位置である接続解放位置との間を前進、後退移動可能に配置されている。
【0051】
この操作スリーブ53は、ボール押さえ面53aから後端側に続く段差部と、接続口体20の外周側に形成された段差部との間に設けられた圧縮コイルばねからなるスリーブばね54により、接続口体20の前方側に向けて力が加えられている。これにより、操作スリーブ53は、スリーブばね54に押されて前端部がボール支持孔50を超えて接続保持位置に向けて前進移動可能であり、接続口体20の前端部外周側に取り付けられたストッパリング55により接続保持位置以上の前進移動が規制されるようになっている。
【0052】
また、接続口体20の接続口22の内部には、上述したボール受け環状体23が配置されており、このボール受け環状体23は、接続口体20と主体10との間で軸方向移動自在に支持されている。ボール受け環状体23の先端部には、ボール受け突部23aが前方に向けて突出形成されている。
【0053】
ボール受け環状体23は、その後端側の段差部と主体10の先端側の段差部との間に配置された圧縮コイルばねからなる環状体用ばね24により、常時前端側に向かって力が加えられている。このボール受け環状体23は、接続口体20のボール支持孔50の後側に形成された段差部からなるストッパに、ボール受け突部23aから連続する外周側の段差部が当接することで、前進移動が規制されるようになっている。
【0054】
そして、上記ストッパにボール受け環状体23が当接した状態で、ボール受け突部23aの外周面が各ボール支持孔50の内周側開口と対向する箇所(ボール受け位置)に位置する。すなわち、ボール受け環状体23は、上記ボール受け位置と、これよりも後側のボール待機位置との間を進退移動自在に設けられている。
【0055】
ボール受け環状体23がボール受け位置にあるときに、各ボール支持孔50内に支持されたボール51は、内周側開口から突出する部分がボール受け突部23の外周面により受け止められる。これにより、ボール51の内周側開口からの突出が阻止され、ボール51は接続口体20の径方向外側へ移動してボール支持孔50の外周側開口から突出する状態となる。
【0056】
この状態のとき、操作スリーブ53は、前端内側周縁部に形成されたボール逃し溝53bがボール支持孔50から突出したボール51を受けて当接し、前進移動が阻止されて接続保持位置よりも後側の接続解放位置で停止する構造となっている。すなわち、操作スリーブ53は、ボール逃し溝53bによりボール支持孔50から径方向外側へ突出する各ボール51を逃す構造を備えている。
【0057】
このように構成された接続操作手段21は、図1及び図3に示すように、ソケット1にプラグ2を接続していない(すなわち、ソケット本体3の接続口体20の接続口22内にプラグ2を完全挿入していない)非接続状態の場合には、ボール受け環状体23が前進してボール受け位置に移動し、操作スリーブ53が後退して接続解放位置に移動するように動作する。
【0058】
また、図4に示すように、ソケット1にプラグ2を接続した(すなわち、ソケット本体3の接続口体20の接続口22内にプラグ2を完全挿入した)接続状態の場合には、ボール受け環状体23がプラグ2に押されて後退してボール待機位置に移動し、操作スリーブ53が前進して接続保持位置に移動するように動作する。そして、ボール受け環状体23の内周部には、ボール受け環状体23の内側に挿入されたプラグ2との間のシールを行うシールリング25,26が設けられている。
【0059】
なお、本実施形態の管継手は、上記操作レバー61と操作スリーブ53とが、プラグ2のソケット1への接続状態をロックする接続ロック手段を構成している。接続ロック手段は、プラグ2がソケット本体3に完全挿入されると共に操作スリーブ53が接続保持位置に移動され、且つ弁軸43が開弁位置に移動されて開閉弁40が開放されたときに、操作スリーブ53の接続解放位置への変位を阻止するものである。
【0060】
すなわち、接続ロック手段は、図4に示すように、操作スリーブ53の後端部と操作レバー61の先端部とが、操作スリーブ53の接続保持位置から接続解放位置への変位量よりも短い距離で近接することにより実現される。具体的には、プラグ2をソケット本体3に完全挿入した状態では、接続操作手段21の操作スリーブ53が前進移動してストッパリング55に当接し接続保持位置に停止する。
【0061】
このとき、接続口体20のボール支持孔50に支持された各ボール51が、操作スリーブ53のボール押さえ面53aにより外周側から内周側に押される。そして、内周側開口から突出し、プラグ2の外周部に形成された係合溝2aに係合して、挿入されたプラグ2が接続口体20に接続される。
【0062】
一方、弁操作手段60においては、操作レバー61が立直位置から平行位置に回動して倒される。これにより、操作レバー61は、ソケット本体3において操作スリーブ53に対して軸方向後側に位置し、同一軸線上に並んだ状態となる。このとき、開閉弁40は開放される。この状態で、操作レバー61の先端面及び操作スリーブ53の後端面は、それぞれ平面で軸方向に対して直角になり、これら両平面が互いに対向して近接した状態となる。
【0063】
この状態においては、上述したように操作スリーブ53の後端部(後端面)と操作レバー61の先端部(先端面)とが、操作スリーブ53の接続保持位置から接続解放位置への変位量よりも短い距離で近接している。従って、接続保持位置にある操作スリーブ53に対して何らかの事情により後側に向けた力が加わり、操作スリーブ53が後退移動しようとしても、操作スリーブ53の後端面が操作レバー61の先端面に直ぐに当接して後退移動が阻止され、接続解放位置まで移動することはできない。すなわち、操作スリーブ53によるプラグ2の接続を解放する操作を行うことができなくなる。
【0064】
このため、この接続ロック手段により、開閉弁40が開放されて流体通路30内に流体が流通しているときに、プラグ2がソケット本体3から離脱し、流体が外部へ漏れ出るという事故等の発生を確実に防止することができ、高い安全性を備えることができる。
【0065】
ソケット本体3からプラグ2を離脱させるには、操作レバー61を平行位置から立直位置に移動させて開閉弁40を閉鎖する。そして、操作スリーブ53を接続保持位置から接続解放位置まで後退移動させることで、プラグ2をソケット本体3から離脱させることができる。
【0066】
すなわち、操作レバー61を操作して開閉弁40を閉鎖した後に、初めてプラグ2をソケット本体3から外すことが可能となる。このため、開閉弁40が開放されている状態でソケット本体3からプラグ2が外れて、流体が外部へ漏れ出るという事故等の発生を確実に防止することができる。
【0067】
このように構成される接続ロック手段は、別途用意した専用品などにより実現されるのではなく、本実施形態の管継手の構成である操作レバー61や操作スリーブ53をそのまま利用することで実現可能であるので、部品点数を少なくして安価に構成することができる。なお、接続ロック手段の上記構成及び作用を実現するために、ソケット本体3の主体10及び接続口体20の寸法や、接続操作手段21の操作スリーブ53及び弁操作手段60の操作レバー61の寸法などは、適宜設定されている。
【0068】
一方、プラグ2は、上述したような加熱冷却用機器に冷媒などの流体を供給したり回収したりするために、両端が開放された筒体をなすプラグ本体4を備える。プラグ本体4の先端側には、円環弁体42の先端部と当接し、流体通路30と連結される入口連結部4aが形成されている。
【0069】
また、プラグ2は、プラグ本体4の内部の流体通路30に設けられた可動弁70を備える。プラグ本体4は、前端部外周がボール受け環状体23の内部に挿入可能な大きさの直径を有し、その後側の外周部がボール受け環状体23のボール受け突部23aの外径と同じ大きさで、接続口体20に挿入可能な大きさの外径を有する突条部5を構成する。そして、プラグ本体4の突条部5の後側には、上述した係合溝2aが形成されている。
【0070】
可動弁70は、例えば公知の虫バルブやバルブコアと呼ばれるもので構成され、詳しい図示は省略するが、プラグ本体4に固定された固定弁体、この固定弁体に対して切り離し可能に接続され流体通路30を開閉する可動弁体71、及びこの可動弁体71に対して固定弁体に接触する向きに力を加える弁ばねを備えて構成される。
【0071】
このように構成された管継手の作用としては、まず、ソケット1において、プラグ2が非接続状態で且つ開閉弁40が閉鎖されている場合における弁操作手段60は、操作レバー61が立直位置にあり、カム部62の低部面62aが弁軸43及び弁軸支承体44の後端面と対向するように位置する。
【0072】
これにより、弁軸43の後退移動が許容され、弁軸支承体44が作動ばね65に押されて弁軸43と共に後退移動し、弁軸43及び弁軸支承体44の後端面が、主体10の挿入孔14の開口から後側に突出する。このとき、主体10の流体通路30内に配管接続部12の流体流通孔11から流体が流入していない場合には、弁軸43及び弁軸支承体44の後端面は、カム部62の低部面62aと接触せずに所定の隙間が形成された状態で対向する。これは、次に述べる理由によるものである。
【0073】
すなわち、主体10の流体通路30内に流体が流入している場合には、流体の圧力を受けて、弁軸43及び弁軸支承体44は軸方向後側に向けて移動しようとする。また、円環弁体42は軸方向前側に向けて移動しようとする。この場合、弁軸43及び弁軸支承体44は、上記所定の隙間を狭めるように後側へ変位し、円環弁体42はシールリング41を圧縮して前側へ変位するので、シールリング41と円環弁体42は閉弁状態を維持する。
【0074】
仮に弁軸43及び弁軸支承体44の後端面とカム部62の低部面62aとの間に所定の隙間がなく両者が接触している場合でも、特に問題はないが、流体の圧力を受けた弁軸43及び弁軸支承体44がカム部62の低部面62aからの反作用を受けて前側に移動して円環弁体42から離れることも考えられるので、弁軸43及び弁軸支承体44の後端面とカム部62の低部面62aとの間には、所定の隙間を形成しておいた方がより好ましい。
【0075】
次に、開閉弁40において、シールリング41は作動ばね65のばね力により後側に向けて力が加えられており、弁軸43の後退移動に伴って一体的に移動するので、円環弁体42の段差面に接触する。円環弁体42は、弁ばね45のばね力により前側に向けて押されているので、シールリング41が受ける力とは反対側の向きの力を受けてシールリング41に接触する。このため、本実施形態によれば、両ばねのばね力を組み合わせた力からなる接触圧力を持ってシールリング41と円環弁体42とが接触する。
【0076】
ここで、作動ばね65は弁ばね45と比較して大きなばね力を有するように構成されているので、弁ばね45が弁軸43を前側に移動させようとする力よりも作動ばね65が弁軸43を後側に移動させようとする力の方が勝っている。このため、本実施形態に係る管継手のソケット1では、開閉弁40の開閉時において弁軸43が操作レバー61の動作に追従するカム部62と確実且つ安定して当接する。
【0077】
これにより、弁軸43の移動、シールリング41と円環弁体42との接触や離間などの動作を安定して行うことができると共に、開閉弁40は流体圧力の変動や外部振動、衝撃などの要因に対して安定した状態で確実に接触し閉弁状態を維持できるので、高い信頼性を確保することができる。
【0078】
なお、弁操作手段60の操作レバー61は、例えば開弁位置においては、作動ばね65により後側に向かって圧力が加えられた弁軸43及び弁軸支承体44の後端面により、カム部62の高部面62bが押されることで安定して確実に開弁位置に静止保持される。また、開閉弁40が閉弁状態であるときは、ソケット本体3における流体通路30は、主体10側と接続口体20側とが開閉弁40によって確実に遮断される。
【0079】
接続操作手段21においては、操作スリーブ53が接続解放位置にある場合(すなわち、プラグ2をソケット本体3に挿入していない場合)は、ボール受け環状体23がボール受け位置にあってボール51が接続口体20の外周側へ突出している。従って、操作スリーブ53はボール51により前進移動が阻止されて接続解放位置に止まる。
【0080】
そして、このようにプラグ2が非接続状態であるときに、開閉弁40を開放させようと操作レバー61を操作しても、開閉弁40を開放させることはできない構造となっている。すなわち、図3に示すように、操作レバー61を立直位置から平行位置に向けて回動させると、操作レバー61の先端外周部が操作スリーブ53の後端外周部に当接してその回動が停止し、弁軸43を開弁位置まで移動させことがないからである。
【0081】
なお、操作レバー61が図3に示すような状態で操作された場合、シールリング41はカム部62に押されて作動ばね65のばね力に抗して前進移動する弁軸43と共に前側に移動する。このとき、円環弁体42は弁ばね45に押されてシールリング41に接触しながら追従して前進移動する。すなわち、操作レバー61の回動が停止する位置まで操作レバー61を操作しても、シールリング41と円環弁体42は互いに離れることなく接触したまま前進移動するので、開閉弁40が閉鎖した状態を維持することができる。
【0082】
このように、本実施形態に係る管継手では、プラグ2の非接続状態において操作レバー61を操作して開閉弁40を開放しようとしても、開閉弁40を開放することはできないので、ソケット本体3の流体通路30内にある流体が外部へ漏れ出すというようなことはなく、高い安全性を確保することができる。
【0083】
プラグ2をソケット1に接続する場合、まず、プラグ本体4の前端部をソケット本体3の接続口体20の接続口22の内部に挿入し、そのままその前端部が円環弁体42の前端面に当接する位置まで挿入する。このとき、まず、プラグ本体4の前端部が接続口体20の接続口22から各ボール支持孔50を後側に向かって通過し、ボール受け位置にあるボール受け環状体23の内部に挿入される。
【0084】
そして、プラグ本体4の突条部5の前側面がボール受け環状体23のボール受け突部23aの内側面に当接する。更にプラグ本体4を挿入していくと、突条部5がボール受け環状体23を環状体用ばね24のばね力に抗して後退移動させる。そして、プラグ本体4の挿入につれて、突条部5がボール支持孔50を通過して係合溝2aがボール支持孔50の内周側開口の位置に達し、プラグ本体4の前端面が円環弁体42の前端面に当接して停止する。
【0085】
これにより、円環弁体42は前進移動が阻止され、プラグ本体4の前端面が当接した位置で停止する。また、円環弁体42は、段差面42bが主体10の前端面に当接すると共に、圧縮された弁ばね45により後退移動が規制される。また、ボール受け環状体23は、ボール受け突部23aがボール支持孔50から外れるようにボール待機位置まで後退する。
【0086】
このとき、ボール支持孔50に支持されているボール51は、接続口体20の内周側からの押さえが解除されるので、内周側開口から突出するように移動する。従って、接続解放位置にある操作スリーブ53は、スリーブばね54に押されて接続保持位置まで前進移動する。
【0087】
ボール支持孔50のボール51は、プラグ本体4の係合溝2aに係合し、操作スリーブ53のボール押さえ面53aにより外周側から押さえられた状態で固定される。これにより、プラグ本体4はソケット本体3に接続固定される。この場合、開閉弁40においては、円環弁体42は、その前端面がプラグ本体4の前端面に当接しているため、前進移動が阻止された状態となっている。
【0088】
また、ソケット本体3の流体通路30は、円環弁体42とシールリング41とが接触しているため閉鎖されている。このとき、接続操作手段21の操作スリーブ53は接続保持位置にあるため、操作レバー61を立直位置から平行位置まで変位させ、開閉弁40を開放させることが可能となる。
【0089】
操作レバー61を立直位置から倒していくと、上述したようにカム部62の作用により弁軸43及び弁軸支承体44が作動ばね65のばね力に抗して前進移動し、弁軸43と共にシールリング41も前進移動するが、円環弁体42はプラグ本体4により押さえられているため、前進移動することはない。
【0090】
このため、シールリング41が弁軸43と共に前進移動するのに伴い円環弁体42と離間する。従って、両者の間に間隙が生じ開閉弁40が開放される。そして、弁軸43の一対の切欠凹部46が、離間したシールリング41と円環弁体42との間の間隙に臨む位置に配置されるので、流体通路30が開放される。
【0091】
このように、本実施形態に係る管継手では、プラグ2とソケット1とを接続した状態でのみ弁操作手段60の操作レバー61を操作して開閉弁40を開放することができる。換言すれば、プラグ2をソケット1に接続しないと開閉弁40を開放することができないので、両者の非接続時に流体通路30にある液体が外部に漏れ出すなどの事故の発生を確実に防止することができる。
【0092】
なお、流体通路30が開放されることにより、流体流通孔11を通ってソケット本体3の内部に導入された流体は、ばね受け環突条部15と弁軸43との間から切欠凹部46を通ってシールリング41と円環弁体42との間を順次通る。そして、プラグ本体4の入口連結部4aから流体通路30を通って加熱冷却用機器へ導入される。
【0093】
また、開閉弁40を開放した状態においては、上述した接続ロック手段の作用によりプラグ2をソケット1から外すことはできないので、流体通路30に流体が流れている状態でプラグ2がソケット1から外れて流体が外部に漏れ出すという事故の発生も確実に防止することができる。
【0094】
従って、プラグ2をソケット1から外す場合は、まず、開閉弁40を閉鎖しなければならない。すなわち、このためには操作レバー61を平行位置から立直位置に変位させる。このようにすると、弁軸43及び弁軸支承体44の後端面に当接していたカム部62の高部面62bが外れるので、弁軸支承体44が作動ばね65に押されて後退移動させられ、弁軸43及びシールリング41も後退移動して円環弁体42に接触する。これにより、開閉弁40が閉じられる。
【0095】
そうすると、ソケット本体3における操作スリーブ53の操作レバー61による後退移動の規制が解除されるので、操作スリーブ53を接続保持位置から接続解放位置へと移動させることができるようになる。すなわち、操作スリーブ53を、スリーブばね54に抗してボール押さえ位置から、ボール逃し溝53bがボール51の中心より後側に位置してボール51が接続口体20の外周側へ移動可能となる位置まで後退移動させる。
【0096】
これにより、接続口体20に挿入されているプラグ本体4の係合溝2aとボール51との係合状態が緩くなり、ボール受け環状体23が環状体用ばね24に押されて前進移動し、プラグ本体4を前側に向けて後退させる。プラグ本体4が後退移動することにより、係合溝2aに係合していたボール51が突条部5に押されて外周側に移動し、これらの係合状態が解除される。従って、プラグ本体4のソケット本体3への接続が解除され、プラグ本体4はボール受け環状体23に押されて接続口体20の接続口22から外側へ押し出される。
【0097】
その後、ボール受け環状体23は更に前進移動してボール受け位置に達し、接続口体20の外周側へ突出したボール51をボール受け突部23aで内周側から受け止めてこの状態を維持する。そして、操作スリーブ53を後退移動させることを停止すると、操作スリーブ53はスリーブばね54に押されて前進移動し、ボール逃し溝53bがボール51の突出部分に当接してボール逃し位置で停止する。
【0098】
このように、第1の実施形態に係る管継手は、開閉弁40の開閉動作を操作レバー61を操作することで簡単且つ安定して行うことができる構造を実現している。また、第1の実施形態に係る管継手は、開閉弁40の閉弁時における流体漏れを確実に防止することができる構造を実現している。
【0099】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る管継手におけるソケット及びプラグの接続時の様子を一部を断面で示す側面図である。第2の実施形態に係る管継手は、ソケット1のソケット本体3における弁操作手段の構成が、第1の実施形態に係る管継手と相違している。
【0100】
すなわち、図5に示すように、本実施形態の弁操作手段60Aは、ソケット本体3の主体10の後端側に螺合配置された円板状の操作ダイアル61Aと、この操作ダイアル61Aの中心に嵌着された弁軸43と当接すると共に、この弁軸43を支持する弁軸支承体44と当接する当接部62Aとを備えて構成されている。これら操作ダイアル61A及び当接部62Aは、第1の実施形態における操作レバー61及びカム部62の代わりとなるものである。
【0101】
このように構成された弁操作手段60Aでは、操作ダイアル61Aを回転移動させて弁軸43及び弁軸支承体44を当接部62Aで前進及び後退移動させる。その他の構成や作用効果は、第1の実施形態の管継手と同様である。なお、接続ロック手段は、操作スリーブ63を操作ダイアル61A側に延びる形状とすることで構成している。
【0102】
接続ロック手段により、プラグ本体4をソケット本体3に接続して、操作ダイアル61Aを前進移動させて開閉弁40を開放させた状態において、操作スリーブ53の後端面と操作ダイアル61Aの前端面とが近接するので、操作スリーブ53の接続解放位置までの後退移動が阻止される。なお、この場合、操作スリーブ53と配管接続部12とが干渉しないように、操作スリーブ53にはスリット59が形成されている。
【0103】
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態に係る管継手におけるソケット及びプラグの接続時の様子を一部を断面で示す側面図である。第3の実施形態に係る管継手は、第1の実施形態に係る管継手の構成から、接続ロック手段を廃し、弁操作手段60の配置態様を変更したものである。
【0104】
すなわち、図6に示すように、ソケット本体3において、開閉弁40が開弁位置となるときに、操作レバー61がその長手方向が弁軸43と同軸配置されるように弁操作手段60が配置されている。操作レバー61は、図中矢印で示すいずれの位置にも変位可能に取り付けられ、カム部62が一体的に形成されている。
【0105】
このように構成された管継手では、接続ロック手段が廃されているが、開閉弁40はプラグ本体4及びソケット本体3が完全接続された場合にのみ開放することができる構造となっている点は相違しない。すなわち、プラグ2の非接続状態で操作レバー61を平行位置に変位させても、開閉弁40におけるシールリング41と円環弁体42は離間しないように各部の寸法等が設定されている。従って、本実施形態に係る管継手においても、第1の実施形態に係る管継手と同様の作用効果を有することができる。
【0106】
[第4の実施形態]
図7は、本発明の第4の実施形態に係る管継手におけるソケット及びプラグの接続時の様子を一部を断面で示す側面図である。第4の実施形態に係る管継手は、第1の実施形態に係る管継手の構成において、配管接続部12に公知のスイベル継手80が備えられている点が相違している。
【0107】
スイベル継手80は、配管接続部12に取り付けた受け止めナット部82に、冷媒供給回収源からのホース81の先端に取り付けたニップル部83を、配管接続部12の軸線を中心として回転自在に挿入取付したものである。この構成によれば、配管接続部12に直接冷媒供給回収源からのホースを取り付ける場合と比べて、ホース81を配管接続部12を中心として360°自在に回転させることができるので、管継手の設置自由度を高めることができ、利便性を向上させることができると共に使用上の制限事項を少なくすることが可能となる。その他の作用効果は、第1の実施形態に係る管継手と同様である。
【0108】
[その他の実施形態]
上述した実施形態においては、接続操作手段21として、ボール受け環状体23を用いて、プラグ本体4をソケット本体3に挿入する一度の操作で接続を行うことができるワンタッチ方式を採用しているが、これに限定されるものではなく、いわゆる2アクション方式を採用することもできる。
【0109】
2アクション方式は、ボール受け環状体23を設けずに、操作スリーブ53を接続保持位置から接続解放位置まで力を加えて後退移動させた状態にしてプラグ本体4をソケット本体3に挿入する。その後、操作スリーブ53に加えた力を抜き、スリーブばね54により操作スリーブ53を接続保持位置まで前進移動させるという2度の操作を必要とするものである。
【0110】
また、上述した実施形態においては、管継手を、加熱冷却用機器と冷媒供給回収源との間で流体を流通させるために用いるものとしたが、その他、液体や気体などの種々の流体を流通させるために用いてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 ソケット
2 プラグ
3 ソケット本体
4 プラグ本体
10 主体
20 接続口体
21 接続操作手段
30 流体通路
40 開閉弁
41 シールリング
42 円環弁体
43 弁軸
44 弁軸支承体
45 弁ばね
53 操作スリーブ
60 弁操作手段
61 操作レバー
62 カム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合するソケット及びプラグを有する管継手において、
前記ソケットは、
前記プラグが挿入嵌合される一方の端部を開放した筒状をなすソケット本体と、
前記ソケット本体の内部に装着される開閉弁と、
前記開閉弁を開閉操作するための弁操作手段と、
前記ソケットと前記プラグとの接続又は離脱を操作するための接続操作手段とを備え、
前記ソケット本体は、
前記一方の端部に設けられて前記プラグが内側に挿入される接続口と、
前記接続口から前記ソケット本体の軸方向に沿って形成された流体通路と、
前記流体通路と前記ソケット本体の径方向に沿って連通する流体流通孔が形成された配管接続手段とを有し、
前記開閉弁は、
前記流体通路の内部において開弁位置と閉弁位置との間を前記軸方向に沿って進退可能に設けられた棒状をなす弁軸と、
前記弁軸の前記接続口側の周壁に取り付けられて前記弁軸と共に前記軸方向に沿って進退移動する第1の弁体と、
前記流体通路の内部において前記第1の弁体に対して接触又は離間して前記流体通路を閉鎖又は開放可能に前記軸方向に沿って進退自在に設けられ、且つ前記プラグが前記接続口に完全挿入されたときに前記プラグの先端部に当接して前記第1の弁体に接触する向きの移動が阻止される第2の弁体と、
前記第2の弁体に対して前記第1の弁体に接触する向きの力を付与する第1の弾性部材とを有し、
前記弁操作手段は、
前記ソケット本体の他方の端部に設けられて、前記弁軸を前記軸方向に沿って前記開弁位置と前記閉弁位置との間で進退移動させるように変位可能な弁操作部材と、
前記弁軸に対して前記弁操作部材に当接する向きで、且つ前記第1の弁体が前記第2の弁体に接触する向きに前記第1の弾性部材に比して大きな力を付与する第2の弾性部材とを有し、
前記接続操作手段は、
前記接続口の周壁に設けられ、前記接続口に挿入された前記プラグに対して係脱可能に係合する状態で前記ソケット本体に支持される係合体と、
前記接続口の周壁の外周側に設けられ、前記係合体を前記プラグに係合した状態で押さえる接続保持位置と、前記係合体を前記プラグとの係合状態から外す接続解放位置との間で変位する円環状をなす接続操作部材とを有する
ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記弁操作部材は、前記ソケット本体に前記弁軸の中心軸と直交する方向に設けられた回転軸と、この回転軸に装着されて前記弁軸の後端に当接するカム状の当接部と、この当接部を前記回転軸を中心として回転操作するための操作レバーとを有し、前記操作レバーは、前記ソケット及びプラグの結合時に、前記当接部で前記弁軸を前記開弁位置に移動させたときに、先端部が前記接続操作部材の前記接続保持位置から前記接続解放位置への移動を規制する位置に配置されることを特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項3】
前記弁操作部材は、前記ソケット本体に前記軸方向に沿って螺合軸を有する状態で螺合配置されると共に前記弁軸に当接する当接部を有する円板状の操作ダイアルであり、前記当接部が前記弁軸を前記開弁位置と前記閉弁位置との間で移動させる動作に伴って前記螺合軸を中心として回転変位させ、前記操作ダイアルは、前記ソケット及びプラグの結合時に、前記当接部で前記弁軸を前記開弁位置に移動させたときに、先端部が前記接続操作部材の前記接続保持位置から前記接続解放位置への移動を規制する位置に配置されることを特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項4】
前記弁操作部材及び前記接続操作部材は、前記プラグが前記接続口に完全挿入されると共に前記接続操作部材が前記接続保持位置に移動され、且つ前記弁軸が前記開弁位置に移動されたときに、両者の端部同士が前記接続操作部材の前記接続保持位置から前記接続解放位置への変位量よりも短い距離で近接して前記接続操作部材の前記接続解放位置への変位を阻止し、前記プラグの接続状態をロックする接続ロック手段を構成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の管継手。
【請求項5】
前記係合体は、前記接続口の周壁に外周側から前記径方向内側に向かって狭まるように形成された支持孔内に前記径方向に沿って移動可能に支持されると共に、前記プラグに形成された溝状の係合部に係脱可能に係合される球状体であり、
前記接続操作部材は、前記球状体を前記ソケット本体の先端側の前記接続保持位置にて外周側から前記径方向内側に向かって突出するように押さえると共に、前記ソケット本体の後端側の前記接続解放位置にてその突出がなくなるように押さえる状態で変位可能であり、且つ第3の弾性部材によって前記接続保持位置への向きの力が付与されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の管継手。
【請求項6】
前記配管接続手段は、前記流体流通孔の流体導入側に接続されたスイベル継手を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−241792(P2012−241792A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112180(P2011−112180)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(391026379)株式会社ニューマシン (4)
【出願人】(305062457)プロステップ株式会社 (5)
【出願人】(511122318)株式会社レイズコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】