管腔のライニング
拍動する動脈、蠕動器官、又は括約筋近くの腔のように、変動する内径を有する体腔中への挿入用の筒形状のライニング。このライニングは、腔の内径が変動するのに従って、ライニングを腔の形状に連続して一致させ得るように、腔によってライニングに加えられる径方向の力よりも小さい径方向の抵抗を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔中に挿入するための医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、腔の開存性を維持するために、体腔中に挿入されて拡大される管腔(endoluminal)用の装置である。例えば、動脈、尿道、又は胃腸器官の開存性を維持するためにステントを使用することは知られている。
【0003】
ステントは、本質的に、2つの形態で存在し得る筒形状の装置である。小径の形態では、ステントは、体内に挿入され、処理される腔へと送られる。腔中に正確に位置されると、ステントは、管腔の内壁へと径方向外方の力を加えて大径にさせることで配置される。このステントは、腔壁によってステントに加えられる径方向内方の全ての力に耐え得るように構成されている。この結果、ステントの直径は、腔に配置された後は変わらない。
【0004】
ステントは、例えば、大径の形態の時には、非緊張の弾性材料から形成されることができる。従って、このステントは、小径の形態にされるように機械的に構成されている。このステントは、制限スリーブ中へと挿入されることによって、小径の形態に構成されることができる。体内に位置させた後に、この制限スリーブは取り除かれる。ステントの弾性性質によって、ステントは、大径の形態へと自然に変形する。
【0005】
緊張されるとプラスチックになる材料でステントを形成することも知られている。このステントは、非緊張の小径の形態に形成されている。バルーンが、ステントの腔中に挿入される。そして、ステントは体内に位置され、バルーンは膨張される。これは、ステント材料をプラスチック変形させることによってステントを大径の形態に拡大させる。
【0006】
ニチロール(商標登録)のように、形状記憶合金からステントを形成することがさらに知られている。形状記憶合金は、2つの形態:超弾性の形態(オーステナイト形態)と柔軟な形態(マルテンサイト形態)で存在することができる。オーステナイト形態の合金は、大径の形態のステントに形成されることができる。従って、合金は、冷却又は緊張されて、マルテンサイト形態にされる。このマルテンサイト形態で、合金は、処理される腔へと送られるように小径の形態に変形される。位置された後に、合金は、加熱されることによってオーステナイト形態にされる。このオーステナイトの形態で、ステントは、合金の形状記憶性質により、大径の形態を取り戻す。
【0007】
生物適合、又は生物分解可能な弾性形状記憶ポリマーからステントを形成することはさらに知られている。これらポリマーの形状記憶機能は、これら材料で形成されたステントを、小さな開口部を通して挿入可能にし、そして、温度を上げることによって内腔を拡大可能である。ポリマーの形状記憶の効果は、非晶質ポリマーによって示される物理的性質であり、非晶質ポリマーのガラス転移温度は、室温よりもわずかに高く、非晶質ポリマーのガラスからゴムへの転移は特に急である。この場合、捻転エネルギーが、冷却に従う機械的な変形によって(例えば、ストレッチングによって)ポリマー中にストアされ得る。形状記憶の回復は、伸ばされたポリマー鎖を均一なコイル構造に戻し得るように、冷却された温度よりも高く材料を再加熱することで示される。
【0008】
内径が時間の経過と共に動的に変動する多くの体腔がある。このような体腔は、例えば、拍動する動脈、蠕動する消化器官、又は括約筋近くの腔の部分を含む。
【0009】
括約筋は、体腔の一部を囲む筋肉組織体である。この括約筋の構造は、括約筋の片側から他側へと、腔中への材料の通過を防止するように腔を塞ぐ。例えば、胃食道の括約筋は、食道と胃との間の結合部に位置されている。この括約筋が閉じられると、食道への胃の内容物の逆流は防止される。自発的な尿道口は、前立腺の下方に位置されており、膀胱からの尿流量をコントロールしている。
【0010】
内径が時間の経過と共に動的に変化する体腔中へとステントを位置させることがしばしば望ましい。例えば、括約筋近くの体腔の領域にステントを位置させることが望ましいかもしれない。かくして、自発的な尿道括約筋近くの尿道前立腺部にステントを位置させることが望ましいかもしれない。また、胃食道括約筋近くの十二指腸にステントを位置させるか、幽門括約筋近くの胆管にステントを位置させるか、又はオッディ括約筋近くの総胆管にステントを位置させることが望ましい。ステントによって括約筋近くの腔の内壁に与えられる径方向外方の力は、括約筋が収縮したときに、腔を完全に塞ぐことを防止することができる。
【0011】
拍動する血管は、体腔の他の例であり、この体腔の内径は、ステントを位置させることがしばしば望ましいように、時間の経過と共に動的に変化する。血管移植装置(Endovascular grafts)は、ステント、又は移植材料と一体的なステントのような足場(scaffolding)から構成されている。収縮期と弛緩期との間に、大動脈の直径への変更に動的に調整される不正確な移植片のサイズ、及び移植片の無機能が、血管壁と移植片(エンドリーク(endo-leaks))との間の動脈瘤に流路を生じさせ得る。これは、動脈瘤の拡大並びに破裂を招き得る。エンドリークは、ステントによる動脈循環から動脈瘤の不完全な除外によって引き起こされる。エンドリークは、一般的な合併症であり、腹部大動脈瘤(AAA)の治療のためにステント移植を受けている45%もの患者に起きている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
蠕動器官の腔は、体腔の更なる他の例であり、体腔の内径は、ステントが位置されることがしばしば望まれるように、時間の経過と共に動的に変化する。しかし、蠕動器官でのステントの存在は、蠕動波の伝達に干渉し得る。このような場合、蠕動波は、ステントを横切ることができず、かくして、ステントに対する下流への蠕動を阻止する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、内径が時間の経過と共に変化する体腔への挿入のための管腔用装置を提供する。上述したように、このような体腔は、拍動する動脈、蠕動器官、又は括約筋近くの腔を含んでいる。この明細書では“ライニング”として称されている装置は、ほぼ円筒形状であり、腔に位置されたとき腔壁の内側を覆う。本発明に従えば、このライニングは、弾性であり、ほぼ円筒形状であり、ライニングを腔の断面形状に一致させ得るような断面エリアを有している。かくして、例えば、このライニングは、用途の必要に応じて、円形、三角形、又は不規則な断面形状を有することができる。このライニングは、配置される体腔の最大内径よりもわずかに大きい非緊張の直径を有している。ライニングの直径は、腔が収縮したときに、径方向内方の力が装置に加えられると小さくなる。以下に詳細に説明されているように、ライニングは、直径が小さくなったときに崩壊されないように構成されている。ライニングの弾性の特徴により、径方向の力が取り除かれると、ライニングは、非緊張の直径に戻る。従って、本発明の装置が体腔中に挿入されると、この装置は、腔の内径が時間の経過と共に動的に変動するのに従って、腔の形状に連続して一致する。ライニングの表面は、例えば、可撓性の材料でライニングの弾性部材を埋め、又は可撓性の円筒シースで弾性部材を覆うことにより連続的であることができる。
【0014】
本発明のライニングは、ステントと結合して使用されることができる。例えば、ステントに隣接する本発明のライニングの使用が、ステントの両端部周辺の腔壁に別に存在する急な圧力勾配を排除する。急な圧力勾配の領域は、ステントの両端部で腔を部分的若しくは完全に塞いでいる、ステントの両端部で内方に延びた組織を誘発するように知られている。
【0015】
本発明のライニングは、括約筋近くの腔に位置されることができる。ライニングに隣接して、ステントは腔に位置されることができ、この結果、ライニングは、括約筋に近い一側とステントに近い他側とに位置される。ライニングとステントとは、単一ユニットとして組立てられるか、腔中に挿入される前に結合され、一体的な単一ユニットして一緒に挿入される別々の2つのユニットとして形成されることができる。若しくは、ライニングとステントとは、別々に挿入されることができる。ステントは、ライニングによって括約筋から分離されている、所定領域の腔の開存性を維持している。括約筋が収縮すると、括約筋近くの腔の内径は小さくなり、ライニングの直径も腔壁の形状に一致しながら小さくなる。かくして、ライニングは、括約筋の開閉の間に、括約筋近くの腔の形状に動的に一致する。
【0016】
括約筋近くの腔でステントと結合したライニングを使用することには、幾つかの利点がある。第1に、ステントを括約筋近くの腔に正確に位置させることができる。括約筋とステントを必要とする腔の領域との間の距離が測定され、本発明に従ったライニングは、この距離に等しい長さを有するようになっている。従って、ステントとライニングとは、上述したように位置される。また、括約筋近くのライニングの存在は、括約筋の変動を干渉することなく、括約筋近くの腔壁に支持を与える。
【0017】
ステント、又はステントを含む移植片が、大動脈のような拍動する動脈内に挿入されるとき、この移植片又はステントは、本発明の1つ以上のライニングと結合して使用される。ステント又は移植片は、本発明のライニングが片側又は両側に位置された動脈内に位置される。前記ライニングは、収縮期に生じる動脈の内径の増加の間に拡大され、弛緩期に生じる動脈の内径の減少の間に収縮する。血管壁の内径に動的に一致することによって、ステント又は移植片と血管壁との間の流体のフローが防止される。
【0018】
本発明に従ったライニングは、尿管、腸、又は食道のような蠕動器官の腔中で、2つのステントと結合して使用されることができる。このライニングは、各端部にステントが位置された腔中に位置される。使用されているステントは、腔を抑えるほど強く、一方、蠕動波の伝達を阻止しないように十分に柔軟である。ライニングの弾性性質により、ライニングは、蠕動波の伝達を干渉しない。
【0019】
かくして、本発明の第1の態様では、本発明は、変動する内径を有する体腔中へ挿入されるための円筒形状のライニングであって、腔の内径が変動するのに従って、ライニングを腔の形状に連続して一致させ得るように、腔によって加えられる径方向の力より小さな径方向の抵抗を有するライニングを提供している。
【0020】
本発明の第2の態様では、本発明は、腔の内径が変動するのに従って、ライニングを腔の形状に連続して一致させ得るように、腔によって加えられる径方向の力より小さい径方向の抵抗を有する円筒形状のライニングを腔中に挿入することを有する、体腔を処理するための方法を提供している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1Aは、本発明の一実施形態に従ったライニング(lining)を示している。10で一般的に示されているこのライニングは、波型の螺旋形状に構成された弾性フィラメント15から形成されている。このフィラメントは、ばね鋼、ニチノール(登録商標)のような超弾性形状記憶合金、又は形状記憶合金で形成されることができる。このライニングは、非緊張の形態で図1Aに示されている。径方向内方の力が、ライニング10に加えられると、ライニング10は、図1Bに示されているように、ほぼ円筒形状を維持しながら収縮する。ライニング10が収縮するのに従って、ライニング10の壁のフィラメント15の面密度は増える。フィラメント15の弾性によって、径方向内方の力がライニングから取り除かれると、ライニングは、図1Bに示されている小径の形状から、図1Aに示されている非緊張の大径に戻る。
【0022】
前記ライニング10は、このライニングが中に配置される体腔の最大径よりもわずかに大きい、非緊張の大径を有するようなディメンションである。径方向内方に加えられる力に対するライニングの抵抗は、ライニングが構成されている幾何学構造が組み込まれているフィラメント15のゲージと範囲とのようなファクターによって決定されている。かくして、ライニング10のために、所望の抵抗が、これらファクターの値の適切な選択によって与えられ得る。実際には、ライニング10の弾性抵抗は、腔が収縮したときに、ライニングが中に配置される腔壁によってライニングに加えられる径方向内方の力よりも小さいように決定されている。
【0023】
本発明のライニングを体腔中に配置するために、このライニングは、制限スリーブ中へとこのライニングを挿入することによって、小径に維持されることができる。従って、ライニングとスリーブとは、カテーテルによって配置場所へと送られる。ライニングの正確な位置付けの後に、前記制限スリーブは取り除かれ、ライニングの直径は、ライニングが中に配置された腔の内径と腔の形状とに一致するように大きくなる。腔の内径が、時間の経過と共に動的に変動するのに従って、ライニングは、この腔の内径と形状とに連続して一致する。
【0024】
図2Aは、ステント103と一体的な本発明のライニング110を示している。このステント103は、当業者に知られたステントであり得る。この好ましい実施形態では、ライニング110は、フィラメント105から構成され、ステント103は、フィラメント106から構成されている。これらフィラメント105,106は、図1を参照して上述されているように、ばね鋼、又は形状記憶合金のような弾性材料から形成さている。フィラメント105,106は、波型の螺旋形状に構成されている。フィラメント105とこれの幾何学構造とは、図1のライニングを参照して上述されたように、ライニングが時間の経過と共に動的に変動するのに従って、ライニングを腔の内径に一致可能にさせる径方向の抵抗を、ライニング110に与えるように選択されている。フィラメント106とこれの幾何学構造とは、ステントが、腔壁によってステントに働く径方向の力に耐えることを可能にする径方向の抵抗を、ステント103に与えるように選択されている。図2Aに示されている実施形態では、ライニング110とステント103との波型の螺旋形状は、同じ幾何学構造を有している。しかし、フィラメント105は、フィラメント106よりも小さなゲージを有している。例えば、フィラメント106は、直径が0.3mmの超弾性のニチノールワイヤーで形成されることができ、一方、エンドセグメント110は、0.2mmの直径を有した同じ合金のワイヤーで形成されることができる。
【0025】
図2Bは、ライニング120が、ステント123と一体的である本発明の他の実施形態を示している。このライニング120は、フィラメント125から構成され、ステント123は、フィラメント126から構成されている。これらフィラメント125,126は、図1を参照して上述されたように、ばね鋼、又は形状記憶合金のような弾性の材料から形成されている。また、フィラメント125,126は、波型の螺旋形状に構成されている。図2Aに示された実施形態のように、フィラメント125とこれの幾何学構造とは、図1のライニングを参照して上述されたように、ライニングが時間の経過と共に動的に変動するのに従って、ライニングを腔の内径に一致可能にさせる抵抗を、ライニング120に与えるように選択されている。フィラメント126とこれの幾何学構造とは、ステントが、腔壁によってステントに働く径方向の力に耐えることを可能にする径方向の抵抗を、ステント123に与えるように選択されている。図2Bに示された実施形態では、これらフィラメント125,126は、同じゲージを有している。しかし、フィラメント126は、フィラメント125の幾何学構造よりも、さらに複雑な幾何学構造に構成されている。
【0026】
図3は、本発明に従った図2Aの2つのライニング130a,130bを有している装置を示している。ライニング130bは、ステント133と一体的である。これらライニング130a,130bは、つなぎ網(tether)135によって互いに繋がれている。以下の図4Dに示されているように、図3に示された装置は、括約筋の両側のライニング130a,130bと一緒に、括約筋近くの腔中に位置される。
【0027】
図4Aは、括約筋210近くに閉塞組織(obstructing tissue)220を有した中空器官205の体腔200を示しており、図4Bは、腔200中への配置の後の装置100を示している。ステント103は、腔の開存性を維持するように、器官の壁面に径方向で適合する。ライニング110は、括約筋に最も近い。図4Bでは、括約筋210は、閉じられており、ライニング110は、腔を閉じるという括約筋の機能を干渉することなく、最大限可能な開存性の支持を与えるように、括約筋近くの腔の最小径面に一致している。図4Cは、ライニング110が、括約筋に最も近い腔の大径に従って拡大された開存性の括約筋210を示している。
【0028】
図4Dは、括約筋210近くの腔に位置された後の、図3の装置を示している。ライニング130a,130bは、括約筋210の両側にそれぞれ位置されている。つなぎ網135は、括約筋210を貫通している。ライニング130aは、括約筋の動作を干渉せず、一方、ライニング130bとステント133とが括約筋210から離れるのを防止する固定装置(anchor)として機能している。
【0029】
図5Aは、本発明の他の実施形態に従ったライニングを有する装置300を示している。この装置300は、大動脈のような脈管に配置されるようになっている。また、装置300は、ステント320と一体的で、このステントの両側にそれぞれ位置されている、本発明に従った2つのライニング310a,310bを有している。これら2つのライニング310a,310bは、腔の最大径よりもわずかに大きい非緊張の直径を有している。装置300では、フィラメントの部分間のスペースは、生体適応可能な重膜305で充填されている。図5Bと図5Cとは、大動脈、又は消化器のように、脈壁225を有する腔に配置された後の装置300を示している。図5Bでは、小径を有する腔が示されており、一方、図5Cでは、大径を有する腔が示されている。例えば、腔が動脈である場合、図5Bと図5Cは、弛緩期と収縮期とにそれぞれ対応しているだろう。図5Bと図5Cとに示されているように、ライニング310a,310bは、腔壁が拍動しても、腔壁225と接触したままである。収縮期間に、上流のライニング310aは、動脈壁自体にぴったりと適合するように、動脈の拡張と共に拡大される。膜305の存在は、血液のような流体が、ステント320と腔壁225との間に流れることを防止している。
【0030】
図6は、2つのステント615a,615bと一体的で本発明に従ったライニング610を有する装置600を示している。これら2つのステント615は、ライニング610の両側に位置するように、装置600の両端にそれぞれ位置されている。この装置610は、食道のような蠕動器官内に使用されることができる。ステント615は、蠕動波(peristaltic waves)の伝達を阻止しないように十分に短く設計されている。ライニング610は、蠕動波の伝達を阻止しないように十分柔軟であり、一方、腔に蠕動波を教えないように十分強く設計されている。
【0031】
図7Aは、ステント710と一体的なライニング705を有する装置700を示している。この装置700は、ライニングを、前に挿入したステントに加えるために使用されることができる。図7Bに示されているように、ステント710は、体腔720中の前に挿入されたステント715の腔内を拡大可能なようなディメンションである。ライニング705は、腔720の最大径よりもわずかに大きい非緊張の直径を有するように構成されている。上述されたように、ライニング705をステント715近くに位置付けることによって、ステントの両端周辺の腔720の壁面に以前存在した急な圧力勾配(sharp pressure gradient)は除去される。スチールの圧力勾配の領域は、ステントの両端で腔を部分的、又は完全に塞ぎ、かつステントの両端で内方に延びた組織を誘導するように知られている。ライニング705は、流体がステント715と腔壁720との間に流入するのを防止するように、可撓性の材料725によって囲まれることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】本発明の一実施形態に従ったライニングを示している。
【図1B】本発明の一実施形態に従ったライニングを示している。
【図2A】ステントと一体的なライニングを示している。
【図2B】ステントと一体的なライニングを示している。
【図3】本発明の2つのライニングを有する装置を示している。
【図4A】体腔中の図2の装置の配置を示している。
【図4B】体腔中の図2の装置の配置を示している。
【図4C】体腔中の図2の装置の配置を示している。
【図4D】体腔中の図2の装置の配置を示している。
【図5A】本発明の2つのライニングが両側に位置されたステントを有する装置を示している。
【図5B】本発明の2つのライニングが両側に位置されたステントを有する装置を示している。
【図5C】本発明の2つのライニングが両側に位置されたステントを有する装置を示している。
【図6】2つのステントが両側に位置された本発明のライニングを示している。
【図7A】ステントと一体的なライニングを示している。
【図7B】ステントと一体的なライニングを示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔中に挿入するための医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、腔の開存性を維持するために、体腔中に挿入されて拡大される管腔(endoluminal)用の装置である。例えば、動脈、尿道、又は胃腸器官の開存性を維持するためにステントを使用することは知られている。
【0003】
ステントは、本質的に、2つの形態で存在し得る筒形状の装置である。小径の形態では、ステントは、体内に挿入され、処理される腔へと送られる。腔中に正確に位置されると、ステントは、管腔の内壁へと径方向外方の力を加えて大径にさせることで配置される。このステントは、腔壁によってステントに加えられる径方向内方の全ての力に耐え得るように構成されている。この結果、ステントの直径は、腔に配置された後は変わらない。
【0004】
ステントは、例えば、大径の形態の時には、非緊張の弾性材料から形成されることができる。従って、このステントは、小径の形態にされるように機械的に構成されている。このステントは、制限スリーブ中へと挿入されることによって、小径の形態に構成されることができる。体内に位置させた後に、この制限スリーブは取り除かれる。ステントの弾性性質によって、ステントは、大径の形態へと自然に変形する。
【0005】
緊張されるとプラスチックになる材料でステントを形成することも知られている。このステントは、非緊張の小径の形態に形成されている。バルーンが、ステントの腔中に挿入される。そして、ステントは体内に位置され、バルーンは膨張される。これは、ステント材料をプラスチック変形させることによってステントを大径の形態に拡大させる。
【0006】
ニチロール(商標登録)のように、形状記憶合金からステントを形成することがさらに知られている。形状記憶合金は、2つの形態:超弾性の形態(オーステナイト形態)と柔軟な形態(マルテンサイト形態)で存在することができる。オーステナイト形態の合金は、大径の形態のステントに形成されることができる。従って、合金は、冷却又は緊張されて、マルテンサイト形態にされる。このマルテンサイト形態で、合金は、処理される腔へと送られるように小径の形態に変形される。位置された後に、合金は、加熱されることによってオーステナイト形態にされる。このオーステナイトの形態で、ステントは、合金の形状記憶性質により、大径の形態を取り戻す。
【0007】
生物適合、又は生物分解可能な弾性形状記憶ポリマーからステントを形成することはさらに知られている。これらポリマーの形状記憶機能は、これら材料で形成されたステントを、小さな開口部を通して挿入可能にし、そして、温度を上げることによって内腔を拡大可能である。ポリマーの形状記憶の効果は、非晶質ポリマーによって示される物理的性質であり、非晶質ポリマーのガラス転移温度は、室温よりもわずかに高く、非晶質ポリマーのガラスからゴムへの転移は特に急である。この場合、捻転エネルギーが、冷却に従う機械的な変形によって(例えば、ストレッチングによって)ポリマー中にストアされ得る。形状記憶の回復は、伸ばされたポリマー鎖を均一なコイル構造に戻し得るように、冷却された温度よりも高く材料を再加熱することで示される。
【0008】
内径が時間の経過と共に動的に変動する多くの体腔がある。このような体腔は、例えば、拍動する動脈、蠕動する消化器官、又は括約筋近くの腔の部分を含む。
【0009】
括約筋は、体腔の一部を囲む筋肉組織体である。この括約筋の構造は、括約筋の片側から他側へと、腔中への材料の通過を防止するように腔を塞ぐ。例えば、胃食道の括約筋は、食道と胃との間の結合部に位置されている。この括約筋が閉じられると、食道への胃の内容物の逆流は防止される。自発的な尿道口は、前立腺の下方に位置されており、膀胱からの尿流量をコントロールしている。
【0010】
内径が時間の経過と共に動的に変化する体腔中へとステントを位置させることがしばしば望ましい。例えば、括約筋近くの体腔の領域にステントを位置させることが望ましいかもしれない。かくして、自発的な尿道括約筋近くの尿道前立腺部にステントを位置させることが望ましいかもしれない。また、胃食道括約筋近くの十二指腸にステントを位置させるか、幽門括約筋近くの胆管にステントを位置させるか、又はオッディ括約筋近くの総胆管にステントを位置させることが望ましい。ステントによって括約筋近くの腔の内壁に与えられる径方向外方の力は、括約筋が収縮したときに、腔を完全に塞ぐことを防止することができる。
【0011】
拍動する血管は、体腔の他の例であり、この体腔の内径は、ステントを位置させることがしばしば望ましいように、時間の経過と共に動的に変化する。血管移植装置(Endovascular grafts)は、ステント、又は移植材料と一体的なステントのような足場(scaffolding)から構成されている。収縮期と弛緩期との間に、大動脈の直径への変更に動的に調整される不正確な移植片のサイズ、及び移植片の無機能が、血管壁と移植片(エンドリーク(endo-leaks))との間の動脈瘤に流路を生じさせ得る。これは、動脈瘤の拡大並びに破裂を招き得る。エンドリークは、ステントによる動脈循環から動脈瘤の不完全な除外によって引き起こされる。エンドリークは、一般的な合併症であり、腹部大動脈瘤(AAA)の治療のためにステント移植を受けている45%もの患者に起きている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
蠕動器官の腔は、体腔の更なる他の例であり、体腔の内径は、ステントが位置されることがしばしば望まれるように、時間の経過と共に動的に変化する。しかし、蠕動器官でのステントの存在は、蠕動波の伝達に干渉し得る。このような場合、蠕動波は、ステントを横切ることができず、かくして、ステントに対する下流への蠕動を阻止する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、内径が時間の経過と共に変化する体腔への挿入のための管腔用装置を提供する。上述したように、このような体腔は、拍動する動脈、蠕動器官、又は括約筋近くの腔を含んでいる。この明細書では“ライニング”として称されている装置は、ほぼ円筒形状であり、腔に位置されたとき腔壁の内側を覆う。本発明に従えば、このライニングは、弾性であり、ほぼ円筒形状であり、ライニングを腔の断面形状に一致させ得るような断面エリアを有している。かくして、例えば、このライニングは、用途の必要に応じて、円形、三角形、又は不規則な断面形状を有することができる。このライニングは、配置される体腔の最大内径よりもわずかに大きい非緊張の直径を有している。ライニングの直径は、腔が収縮したときに、径方向内方の力が装置に加えられると小さくなる。以下に詳細に説明されているように、ライニングは、直径が小さくなったときに崩壊されないように構成されている。ライニングの弾性の特徴により、径方向の力が取り除かれると、ライニングは、非緊張の直径に戻る。従って、本発明の装置が体腔中に挿入されると、この装置は、腔の内径が時間の経過と共に動的に変動するのに従って、腔の形状に連続して一致する。ライニングの表面は、例えば、可撓性の材料でライニングの弾性部材を埋め、又は可撓性の円筒シースで弾性部材を覆うことにより連続的であることができる。
【0014】
本発明のライニングは、ステントと結合して使用されることができる。例えば、ステントに隣接する本発明のライニングの使用が、ステントの両端部周辺の腔壁に別に存在する急な圧力勾配を排除する。急な圧力勾配の領域は、ステントの両端部で腔を部分的若しくは完全に塞いでいる、ステントの両端部で内方に延びた組織を誘発するように知られている。
【0015】
本発明のライニングは、括約筋近くの腔に位置されることができる。ライニングに隣接して、ステントは腔に位置されることができ、この結果、ライニングは、括約筋に近い一側とステントに近い他側とに位置される。ライニングとステントとは、単一ユニットとして組立てられるか、腔中に挿入される前に結合され、一体的な単一ユニットして一緒に挿入される別々の2つのユニットとして形成されることができる。若しくは、ライニングとステントとは、別々に挿入されることができる。ステントは、ライニングによって括約筋から分離されている、所定領域の腔の開存性を維持している。括約筋が収縮すると、括約筋近くの腔の内径は小さくなり、ライニングの直径も腔壁の形状に一致しながら小さくなる。かくして、ライニングは、括約筋の開閉の間に、括約筋近くの腔の形状に動的に一致する。
【0016】
括約筋近くの腔でステントと結合したライニングを使用することには、幾つかの利点がある。第1に、ステントを括約筋近くの腔に正確に位置させることができる。括約筋とステントを必要とする腔の領域との間の距離が測定され、本発明に従ったライニングは、この距離に等しい長さを有するようになっている。従って、ステントとライニングとは、上述したように位置される。また、括約筋近くのライニングの存在は、括約筋の変動を干渉することなく、括約筋近くの腔壁に支持を与える。
【0017】
ステント、又はステントを含む移植片が、大動脈のような拍動する動脈内に挿入されるとき、この移植片又はステントは、本発明の1つ以上のライニングと結合して使用される。ステント又は移植片は、本発明のライニングが片側又は両側に位置された動脈内に位置される。前記ライニングは、収縮期に生じる動脈の内径の増加の間に拡大され、弛緩期に生じる動脈の内径の減少の間に収縮する。血管壁の内径に動的に一致することによって、ステント又は移植片と血管壁との間の流体のフローが防止される。
【0018】
本発明に従ったライニングは、尿管、腸、又は食道のような蠕動器官の腔中で、2つのステントと結合して使用されることができる。このライニングは、各端部にステントが位置された腔中に位置される。使用されているステントは、腔を抑えるほど強く、一方、蠕動波の伝達を阻止しないように十分に柔軟である。ライニングの弾性性質により、ライニングは、蠕動波の伝達を干渉しない。
【0019】
かくして、本発明の第1の態様では、本発明は、変動する内径を有する体腔中へ挿入されるための円筒形状のライニングであって、腔の内径が変動するのに従って、ライニングを腔の形状に連続して一致させ得るように、腔によって加えられる径方向の力より小さな径方向の抵抗を有するライニングを提供している。
【0020】
本発明の第2の態様では、本発明は、腔の内径が変動するのに従って、ライニングを腔の形状に連続して一致させ得るように、腔によって加えられる径方向の力より小さい径方向の抵抗を有する円筒形状のライニングを腔中に挿入することを有する、体腔を処理するための方法を提供している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1Aは、本発明の一実施形態に従ったライニング(lining)を示している。10で一般的に示されているこのライニングは、波型の螺旋形状に構成された弾性フィラメント15から形成されている。このフィラメントは、ばね鋼、ニチノール(登録商標)のような超弾性形状記憶合金、又は形状記憶合金で形成されることができる。このライニングは、非緊張の形態で図1Aに示されている。径方向内方の力が、ライニング10に加えられると、ライニング10は、図1Bに示されているように、ほぼ円筒形状を維持しながら収縮する。ライニング10が収縮するのに従って、ライニング10の壁のフィラメント15の面密度は増える。フィラメント15の弾性によって、径方向内方の力がライニングから取り除かれると、ライニングは、図1Bに示されている小径の形状から、図1Aに示されている非緊張の大径に戻る。
【0022】
前記ライニング10は、このライニングが中に配置される体腔の最大径よりもわずかに大きい、非緊張の大径を有するようなディメンションである。径方向内方に加えられる力に対するライニングの抵抗は、ライニングが構成されている幾何学構造が組み込まれているフィラメント15のゲージと範囲とのようなファクターによって決定されている。かくして、ライニング10のために、所望の抵抗が、これらファクターの値の適切な選択によって与えられ得る。実際には、ライニング10の弾性抵抗は、腔が収縮したときに、ライニングが中に配置される腔壁によってライニングに加えられる径方向内方の力よりも小さいように決定されている。
【0023】
本発明のライニングを体腔中に配置するために、このライニングは、制限スリーブ中へとこのライニングを挿入することによって、小径に維持されることができる。従って、ライニングとスリーブとは、カテーテルによって配置場所へと送られる。ライニングの正確な位置付けの後に、前記制限スリーブは取り除かれ、ライニングの直径は、ライニングが中に配置された腔の内径と腔の形状とに一致するように大きくなる。腔の内径が、時間の経過と共に動的に変動するのに従って、ライニングは、この腔の内径と形状とに連続して一致する。
【0024】
図2Aは、ステント103と一体的な本発明のライニング110を示している。このステント103は、当業者に知られたステントであり得る。この好ましい実施形態では、ライニング110は、フィラメント105から構成され、ステント103は、フィラメント106から構成されている。これらフィラメント105,106は、図1を参照して上述されているように、ばね鋼、又は形状記憶合金のような弾性材料から形成さている。フィラメント105,106は、波型の螺旋形状に構成されている。フィラメント105とこれの幾何学構造とは、図1のライニングを参照して上述されたように、ライニングが時間の経過と共に動的に変動するのに従って、ライニングを腔の内径に一致可能にさせる径方向の抵抗を、ライニング110に与えるように選択されている。フィラメント106とこれの幾何学構造とは、ステントが、腔壁によってステントに働く径方向の力に耐えることを可能にする径方向の抵抗を、ステント103に与えるように選択されている。図2Aに示されている実施形態では、ライニング110とステント103との波型の螺旋形状は、同じ幾何学構造を有している。しかし、フィラメント105は、フィラメント106よりも小さなゲージを有している。例えば、フィラメント106は、直径が0.3mmの超弾性のニチノールワイヤーで形成されることができ、一方、エンドセグメント110は、0.2mmの直径を有した同じ合金のワイヤーで形成されることができる。
【0025】
図2Bは、ライニング120が、ステント123と一体的である本発明の他の実施形態を示している。このライニング120は、フィラメント125から構成され、ステント123は、フィラメント126から構成されている。これらフィラメント125,126は、図1を参照して上述されたように、ばね鋼、又は形状記憶合金のような弾性の材料から形成されている。また、フィラメント125,126は、波型の螺旋形状に構成されている。図2Aに示された実施形態のように、フィラメント125とこれの幾何学構造とは、図1のライニングを参照して上述されたように、ライニングが時間の経過と共に動的に変動するのに従って、ライニングを腔の内径に一致可能にさせる抵抗を、ライニング120に与えるように選択されている。フィラメント126とこれの幾何学構造とは、ステントが、腔壁によってステントに働く径方向の力に耐えることを可能にする径方向の抵抗を、ステント123に与えるように選択されている。図2Bに示された実施形態では、これらフィラメント125,126は、同じゲージを有している。しかし、フィラメント126は、フィラメント125の幾何学構造よりも、さらに複雑な幾何学構造に構成されている。
【0026】
図3は、本発明に従った図2Aの2つのライニング130a,130bを有している装置を示している。ライニング130bは、ステント133と一体的である。これらライニング130a,130bは、つなぎ網(tether)135によって互いに繋がれている。以下の図4Dに示されているように、図3に示された装置は、括約筋の両側のライニング130a,130bと一緒に、括約筋近くの腔中に位置される。
【0027】
図4Aは、括約筋210近くに閉塞組織(obstructing tissue)220を有した中空器官205の体腔200を示しており、図4Bは、腔200中への配置の後の装置100を示している。ステント103は、腔の開存性を維持するように、器官の壁面に径方向で適合する。ライニング110は、括約筋に最も近い。図4Bでは、括約筋210は、閉じられており、ライニング110は、腔を閉じるという括約筋の機能を干渉することなく、最大限可能な開存性の支持を与えるように、括約筋近くの腔の最小径面に一致している。図4Cは、ライニング110が、括約筋に最も近い腔の大径に従って拡大された開存性の括約筋210を示している。
【0028】
図4Dは、括約筋210近くの腔に位置された後の、図3の装置を示している。ライニング130a,130bは、括約筋210の両側にそれぞれ位置されている。つなぎ網135は、括約筋210を貫通している。ライニング130aは、括約筋の動作を干渉せず、一方、ライニング130bとステント133とが括約筋210から離れるのを防止する固定装置(anchor)として機能している。
【0029】
図5Aは、本発明の他の実施形態に従ったライニングを有する装置300を示している。この装置300は、大動脈のような脈管に配置されるようになっている。また、装置300は、ステント320と一体的で、このステントの両側にそれぞれ位置されている、本発明に従った2つのライニング310a,310bを有している。これら2つのライニング310a,310bは、腔の最大径よりもわずかに大きい非緊張の直径を有している。装置300では、フィラメントの部分間のスペースは、生体適応可能な重膜305で充填されている。図5Bと図5Cとは、大動脈、又は消化器のように、脈壁225を有する腔に配置された後の装置300を示している。図5Bでは、小径を有する腔が示されており、一方、図5Cでは、大径を有する腔が示されている。例えば、腔が動脈である場合、図5Bと図5Cは、弛緩期と収縮期とにそれぞれ対応しているだろう。図5Bと図5Cとに示されているように、ライニング310a,310bは、腔壁が拍動しても、腔壁225と接触したままである。収縮期間に、上流のライニング310aは、動脈壁自体にぴったりと適合するように、動脈の拡張と共に拡大される。膜305の存在は、血液のような流体が、ステント320と腔壁225との間に流れることを防止している。
【0030】
図6は、2つのステント615a,615bと一体的で本発明に従ったライニング610を有する装置600を示している。これら2つのステント615は、ライニング610の両側に位置するように、装置600の両端にそれぞれ位置されている。この装置610は、食道のような蠕動器官内に使用されることができる。ステント615は、蠕動波(peristaltic waves)の伝達を阻止しないように十分に短く設計されている。ライニング610は、蠕動波の伝達を阻止しないように十分柔軟であり、一方、腔に蠕動波を教えないように十分強く設計されている。
【0031】
図7Aは、ステント710と一体的なライニング705を有する装置700を示している。この装置700は、ライニングを、前に挿入したステントに加えるために使用されることができる。図7Bに示されているように、ステント710は、体腔720中の前に挿入されたステント715の腔内を拡大可能なようなディメンションである。ライニング705は、腔720の最大径よりもわずかに大きい非緊張の直径を有するように構成されている。上述されたように、ライニング705をステント715近くに位置付けることによって、ステントの両端周辺の腔720の壁面に以前存在した急な圧力勾配(sharp pressure gradient)は除去される。スチールの圧力勾配の領域は、ステントの両端で腔を部分的、又は完全に塞ぎ、かつステントの両端で内方に延びた組織を誘導するように知られている。ライニング705は、流体がステント715と腔壁720との間に流入するのを防止するように、可撓性の材料725によって囲まれることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】本発明の一実施形態に従ったライニングを示している。
【図1B】本発明の一実施形態に従ったライニングを示している。
【図2A】ステントと一体的なライニングを示している。
【図2B】ステントと一体的なライニングを示している。
【図3】本発明の2つのライニングを有する装置を示している。
【図4A】体腔中の図2の装置の配置を示している。
【図4B】体腔中の図2の装置の配置を示している。
【図4C】体腔中の図2の装置の配置を示している。
【図4D】体腔中の図2の装置の配置を示している。
【図5A】本発明の2つのライニングが両側に位置されたステントを有する装置を示している。
【図5B】本発明の2つのライニングが両側に位置されたステントを有する装置を示している。
【図5C】本発明の2つのライニングが両側に位置されたステントを有する装置を示している。
【図6】2つのステントが両側に位置された本発明のライニングを示している。
【図7A】ステントと一体的なライニングを示している。
【図7B】ステントと一体的なライニングを示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動する内径を有し、体腔中への挿入用の筒形状のライニングであって、このライニングを腔の形状に連続して一致させ得るように、腔の内径が変動するのに従って、腔によって加えられる径方向の力よりも小さい径方向の抵抗を具備するライニング。
【請求項2】
波型の螺旋形状に構成された弾性フィラメントにより形成された請求項1のライニング。
【請求項3】
請求項1に従った1つ以上のライニングと1つ以上のステントとを具備する、体腔中に挿入するための装置。
【請求項4】
前記ステントと一体的で請求項1に従ったライニングを具備する請求項3の装置。
【請求項5】
請求項1に従った2つのライニングが両側に位置されたステントを具備する請求項3の装置。
【請求項6】
2つのステントが両側に位置され、かつ請求項1に従ったライニングを具備する請求項3の装置。
【請求項7】
つなぎ網によって互いに結合され、かつ請求項1に従った2つのライニングを具備する装置。
【請求項8】
請求項1に従ったライニングを具備する血管移植装置。
【請求項9】
弾性部材が、可撓性の材料中に埋められ、又は囲まれている請求項1のライニング。
【請求項10】
請求項1に従ったライニングを腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項11】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項10の方法。
【請求項12】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項10の方法。
【請求項13】
請求項5に従ったライニングを腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項14】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項13の方法。
【請求項15】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項13の方法。
【請求項16】
請求項6に従ったライニングを腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項17】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項16の方法。
【請求項18】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項16方法。
【請求項19】
請求項4に従った装置を腔中に挿入することを具備し、ステントが中に挿入された体腔を処理するための方法であって、この装置のライニングが、腔の最大径よりも大きい非緊張の直径を有し、この装置のステントは、前に挿入された装置の腔中で拡大可能なように構成される方法。
【請求項20】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項19の方法。
【請求項21】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項19の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動する内径を有し、体腔中への挿入用の筒形状のライニングであって、腔の内径が変動するのに従って、前記ライニングを腔の形状に連続して一致させ得るように、腔によって加えられる径方向の力よりも小さい径方向の抵抗を有するライニング。
【請求項2】
波型の螺旋形状に構成された弾性フィラメントにより形成された請求項1のライニング。
【請求項3】
請求項1に従った1つ以上のライニングと1つ以上のステントとを具備する、体腔中に挿入するための装置。
【請求項4】
前記ステントと一体的で、かつ請求項1に従ったライニングを具備する請求項3の装置。
【請求項5】
請求項1に従った2つのライニングが両側に位置されたステントを具備する請求項3の装置。
【請求項6】
2つのステントが両側に位置され、かつ請求項1に従ったライニングを具備する請求項3の装置。
【請求項7】
つなぎ網によって互いに結合され、かつ請求項1に従った2つのライニングを具備する装置。
【請求項8】
請求項1に従ったライニングを具備する血管移植装置。
【請求項9】
弾性部材が、可撓性の材料中に埋められ、又は囲まれている請求項1のライニング。
【請求項10】
請求項1に従ったライニングを腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項11】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項10の方法。
【請求項12】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項10の方法。
【請求項13】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項12の方法。
【請求項14】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項12の方法。
【請求項15】
請求項5に従った装置を腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項16】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項15の方法。
【請求項17】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項15方法。
【請求項18】
請求項3に従った装置を腔中に挿入することを具備し、ステントが中に挿入された体腔を処理するための方法であって、この装置のライニングが、腔の最大径よりも大きい非緊張の直径を有し、この装置のステントは、前に挿入された装置の腔中で拡大可能なように構成される方法。
【請求項19】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項18の方法。
【請求項20】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項18の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動する内径を有する体腔中への挿入用装置であって、
(a)腔の内径が変動するのに従って、腔によって加えられる径方向の力より小さい径方向の抵抗を有し、腔中に挿入された時に、腔の形状に連続して一致する1つ以上の筒形状のライニングと、
(b)前記1つ以上のライニングと一体的で、腔の開存性を維持するための1つ以上のステントとを具備する装置。
【請求項2】
波型の螺旋形状に構成された弾性フィラメントにより形成された請求項1の装置。
【請求項3】
前記ステントと一体的で、かつ請求項1に従ったライニングを具備する請求項1の装置。
【請求項4】
2つのライニングが両側に位置されたステントを具備する請求項1の装置。
【請求項5】
2つのステントが両側に位置されたライニングを具備する請求項1の装置。
【請求項6】
つなぎ網によって互いに結合された2つのライニングを具備する請求項1ないし5のいずれか1の装置。
【請求項7】
前記請求項のいずれか1の装置を具備する血管移植装置。
【請求項8】
前記フィラメントは、可撓性の材料中に埋められ、又は囲まれている請求項2の装置。
【請求項9】
前記請求項のいずれか1に従った装置を腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項10】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項9の方法。
【請求項11】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項9の方法。
【請求項12】
請求項4に従った装置を腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項13】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項12の方法。
【請求項14】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項12の方法。
【請求項15】
請求項5に従った装置を腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項16】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項15の方法。
【請求項17】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項15方法。
【請求項18】
請求項3に従った装置を腔中に挿入することを具備し、ステントが中に挿入された体腔を処理するための方法であって、この装置のライニングが、腔の最大径よりも大きい非緊張の直径を有し、この装置のステントは、前に挿入された装置の腔中で拡大可能なように構成される方法。
【請求項19】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項18の方法。
【請求項20】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項18の方法。
【請求項1】
変動する内径を有し、体腔中への挿入用の筒形状のライニングであって、このライニングを腔の形状に連続して一致させ得るように、腔の内径が変動するのに従って、腔によって加えられる径方向の力よりも小さい径方向の抵抗を具備するライニング。
【請求項2】
波型の螺旋形状に構成された弾性フィラメントにより形成された請求項1のライニング。
【請求項3】
請求項1に従った1つ以上のライニングと1つ以上のステントとを具備する、体腔中に挿入するための装置。
【請求項4】
前記ステントと一体的で請求項1に従ったライニングを具備する請求項3の装置。
【請求項5】
請求項1に従った2つのライニングが両側に位置されたステントを具備する請求項3の装置。
【請求項6】
2つのステントが両側に位置され、かつ請求項1に従ったライニングを具備する請求項3の装置。
【請求項7】
つなぎ網によって互いに結合され、かつ請求項1に従った2つのライニングを具備する装置。
【請求項8】
請求項1に従ったライニングを具備する血管移植装置。
【請求項9】
弾性部材が、可撓性の材料中に埋められ、又は囲まれている請求項1のライニング。
【請求項10】
請求項1に従ったライニングを腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項11】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項10の方法。
【請求項12】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項10の方法。
【請求項13】
請求項5に従ったライニングを腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項14】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項13の方法。
【請求項15】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項13の方法。
【請求項16】
請求項6に従ったライニングを腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項17】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項16の方法。
【請求項18】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項16方法。
【請求項19】
請求項4に従った装置を腔中に挿入することを具備し、ステントが中に挿入された体腔を処理するための方法であって、この装置のライニングが、腔の最大径よりも大きい非緊張の直径を有し、この装置のステントは、前に挿入された装置の腔中で拡大可能なように構成される方法。
【請求項20】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項19の方法。
【請求項21】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項19の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動する内径を有し、体腔中への挿入用の筒形状のライニングであって、腔の内径が変動するのに従って、前記ライニングを腔の形状に連続して一致させ得るように、腔によって加えられる径方向の力よりも小さい径方向の抵抗を有するライニング。
【請求項2】
波型の螺旋形状に構成された弾性フィラメントにより形成された請求項1のライニング。
【請求項3】
請求項1に従った1つ以上のライニングと1つ以上のステントとを具備する、体腔中に挿入するための装置。
【請求項4】
前記ステントと一体的で、かつ請求項1に従ったライニングを具備する請求項3の装置。
【請求項5】
請求項1に従った2つのライニングが両側に位置されたステントを具備する請求項3の装置。
【請求項6】
2つのステントが両側に位置され、かつ請求項1に従ったライニングを具備する請求項3の装置。
【請求項7】
つなぎ網によって互いに結合され、かつ請求項1に従った2つのライニングを具備する装置。
【請求項8】
請求項1に従ったライニングを具備する血管移植装置。
【請求項9】
弾性部材が、可撓性の材料中に埋められ、又は囲まれている請求項1のライニング。
【請求項10】
請求項1に従ったライニングを腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項11】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項10の方法。
【請求項12】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項10の方法。
【請求項13】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項12の方法。
【請求項14】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項12の方法。
【請求項15】
請求項5に従った装置を腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項16】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項15の方法。
【請求項17】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項15方法。
【請求項18】
請求項3に従った装置を腔中に挿入することを具備し、ステントが中に挿入された体腔を処理するための方法であって、この装置のライニングが、腔の最大径よりも大きい非緊張の直径を有し、この装置のステントは、前に挿入された装置の腔中で拡大可能なように構成される方法。
【請求項19】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項18の方法。
【請求項20】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項18の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動する内径を有する体腔中への挿入用装置であって、
(a)腔の内径が変動するのに従って、腔によって加えられる径方向の力より小さい径方向の抵抗を有し、腔中に挿入された時に、腔の形状に連続して一致する1つ以上の筒形状のライニングと、
(b)前記1つ以上のライニングと一体的で、腔の開存性を維持するための1つ以上のステントとを具備する装置。
【請求項2】
波型の螺旋形状に構成された弾性フィラメントにより形成された請求項1の装置。
【請求項3】
前記ステントと一体的で、かつ請求項1に従ったライニングを具備する請求項1の装置。
【請求項4】
2つのライニングが両側に位置されたステントを具備する請求項1の装置。
【請求項5】
2つのステントが両側に位置されたライニングを具備する請求項1の装置。
【請求項6】
つなぎ網によって互いに結合された2つのライニングを具備する請求項1ないし5のいずれか1の装置。
【請求項7】
前記請求項のいずれか1の装置を具備する血管移植装置。
【請求項8】
前記フィラメントは、可撓性の材料中に埋められ、又は囲まれている請求項2の装置。
【請求項9】
前記請求項のいずれか1に従った装置を腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項10】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項9の方法。
【請求項11】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項9の方法。
【請求項12】
請求項4に従った装置を腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項13】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項12の方法。
【請求項14】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項12の方法。
【請求項15】
請求項5に従った装置を腔中に挿入することを具備する、体腔を処理するための方法。
【請求項16】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項15の方法。
【請求項17】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項15方法。
【請求項18】
請求項3に従った装置を腔中に挿入することを具備し、ステントが中に挿入された体腔を処理するための方法であって、この装置のライニングが、腔の最大径よりも大きい非緊張の直径を有し、この装置のステントは、前に挿入された装置の腔中で拡大可能なように構成される方法。
【請求項19】
前記腔は、括約筋の近くにある請求項18の方法。
【請求項20】
前記腔は、拍動する動脈、又は蠕動器官である請求項18の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2006−506118(P2006−506118A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551127(P2004−551127)
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000942
【国際公開番号】WO2004/043296
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(504430787)アリウム インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000942
【国際公開番号】WO2004/043296
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(504430787)アリウム インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]