説明

箱体組立用段ボール板及び段ボール箱

【課題】段ボール板を折り曲げて組立てた段ボール箱の取っ手の強度を高める。
【解決手段】左端及び右から2番目の壁部4に連続して設けられた蓋部7には第1の取っ手部10を連続して形成し、左から2番目の壁部4及び右端の壁部4に連続して設けられた蓋部7には第2の取っ手部11を連続して形成し、段ボール板2を折り曲げて段ボール箱1を組立てたとき、重ね合わせた第1の取っ手部10と第2の取っ手部11の矢印で示すフルート方向が交差することで、本構成を有しない場合に比べて、取っ手穴14似て指を通して取っ手9をもった場合でも、取っ手9が破れにくく、段ボールが剥がれにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱体組立用段ボール板及び段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、段ボール箱は、展開図状に連続した段ボール板を折り曲げて組立てられている。下記特許文献1では、段ボール板を折り曲げて組立てた段ボール箱の取っ手穴に、段ボール板と別体の高強度取っ手部材を嵌め込んで使用することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3142798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、段ボールを折り曲げて組立てた段ボール箱の取っ手部の強度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、箱体の側壁となる複数の壁部と、前記箱体の底板となり前記複数の壁部の少なくとも1つの壁部に連続する底部と、前記複数の壁部のうちの少なくとも1つの壁部に設けられた又は当該少なくとも1つの壁部に連続して設けられた第1の取っ手部と、前記少なくとも1つの壁部と異なる壁部に連続して設けられ前記第1の取っ手部と重ね合わせたとき当該第1の取っ手部のフルート方向とフルート方向が交差する第2の取っ手部と、を備えた箱体組立用段ボール板である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記第2の取っ手部が連続して設けられた壁部は前記第1の取っ手部が設けられた又は当該第1の取っ手部が連続して設けられた壁部に隣合う壁部であることを特徴とする請求項1に記載の箱体組立用段ボール板である。
請求項3に記載の発明は、前記第2の取っ手部と当該第2の取っ手部が連続して設けられた壁部との間に蓋部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の箱体組立用段ボール板である。
【0007】
請求項4に記載の発明は、前記第1の取っ手部が前記少なくとも1つの壁部に連続して設けられている場合、当該第1の取っ手部と当該第1の取っ手部が連続して設けられている壁部との間に蓋部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の箱体組立用段ボール板である。
請求項5に記載の発明は、前記請求項1乃至4の何れか一項に記載の箱体組立用段ボール板の壁部、底部、第1の取っ手部、第2の取っ手部を折り曲げて組立てた段ボール箱である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、段ボール板を折り曲げて組立てた箱体の取っ手部の強度が高い。
請求項2に記載の発明によれば、重ね合わせた第1の取っ手部のフルート方向と第2の取っ手部のフルート方向とが交差する。
請求項3に記載の発明によれば、第1の取っ手部と第2の取っ手部を重ね合わせると壁部に蓋部を被せることができる。
【0009】
請求項4に記載の発明によれば、第1の取っ手部と第2の取っ手部を重ね合わせると壁部に蓋部を被せることができる。
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、段ボール板を折り曲げて組立てた段ボール箱の取っ手部の強度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の箱体組立用段ボール板及び段ボール箱の第1実施形態を示す段ボール板の正面図(展開図)である。
【図2】図1の段ボール板を折り曲げて組立てた段ボール箱の斜視図である。
【図3】図2の段ボール箱の取っ手部の詳細図である。
【図4】段ボール板の説明図である。
【図5】本発明の箱体組立用段ボール板及び段ボール箱の第2実施形態を示す段ボール板の正面図(展開図)である。
【図6】図5の段ボール板を折り曲げて組立てた段ボール箱の斜視図である。
【図7】従来の段ボール箱の一例を示す斜視図である。
【図8】図7の段ボール箱を展開した段ボール板の正面図(展開図)である。
【図9】図7の段ボール箱の取っ手部の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の箱体組立用段ボール板及び段ボール箱の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の箱体組立用段ボール板及び段ボール箱の第1実施形態を示す段ボール板2の正面図であり、図2は、図1の段ボール板を折り曲げて組立てた段ボール箱の斜視図である。図1は、図2の段ボール箱を段ボール板に展開した展開図と同等である。図2の段ボール箱1は直方体であるので、段ボール板2は、当該直方体の段ボール箱1の4つの側壁3を構成する4つの壁部4を有する。また、前記4つの壁部4の夫々には、段ボール箱1の図示しない底板を構成する底部5が図1の下方に連続して設けられている。また、前記4つの壁部4の夫々には、段ボール箱1の蓋板6を構成する蓋部7が図1の上方に連続して設けられている。これらの壁部4、底部5、蓋部7を、図1に示す破線で山折りに折り曲げることで図2の段ボール箱1が組立てられる。なお、図1の右端の壁部4の右方には、同図の左端の壁部4に接続するためののりしろ8が連続して設けられている。
【0012】
前記4つの壁部4の夫々に連続する4つの蓋部7の夫々には、図2の段ボール箱1の取っ手9を構成する取っ手部10、11が連続して設けられているが、本実施形態では、例えば図1の左端の壁部4及び蓋部7に連続する取っ手部10を第1の取っ手部10、左から2番目の壁部4及び蓋部7に連続する取っ手部11を第2の取っ手部11、右から2番目の壁部4及び蓋部7に連続する取っ手部10を第1の取っ手部10、右端の壁部4及び蓋部7に連続する取っ手部11を第2の取っ手部11とする。取っ手部10、11は、全て図1の破線を谷折りに折り曲げて段ボール箱1の取っ手9を組立てる。取っ手部10、11には、手指を通る取っ手穴14が形成されている。
【0013】
図3は、このようにして組立てられた段ボール箱1の取っ手9のうち、例えば図1の左端の壁部4及び蓋部7に連続して設けられた第1の取っ手部10と、図1の左から2番目の壁部4及び蓋部7に連続して設けられた第2の取っ手部11とを重ね合わせた状態の詳細図である。段ボール板2は、例えば図4に示すように、ライナーと呼ばれる表裏面の平坦な外側紙12と、2枚の外側紙12の間で波打つように湾曲されているフルートと呼ばれる中芯13とを積層して構成される。この中芯13の波の進行方向(位相方向)と直交方向をフルート方向(図4の紙面垂直方向)と定義すると、段ボール板2は、フルート方向に応力が作用すると破れやすく、フルート方向と直交方向に応力が作用すると外側紙12と中芯13が剥がれやすい、という特性がある。
【0014】
図7は、図2に示す本実施形態の段ボール箱1と同形状の従来の段ボール箱1の斜視図であり、図8は、図7の従来の段ボール箱1を展開した段ボール板2の正面図である。なお、本実施形態の段ボール箱及び段ボール板と同等の構成には同等の符号を付す。例えば、図8の左端の壁部4のフルート方向及び右から2番目の壁部4のフルート方向が図に矢印で示す方向である場合、当該左端の壁部4に連続して設けられた取っ手部10のフルート方向も右から2番目の壁部4に連続して設けられた取っ手部10のフルート方向も図8に矢印で示す方向となる。従って、この段ボール板2を折り曲げて組立てられた図7の段ボール箱1の二つの取っ手部10のフルート方向は、図7又は図9の取っ手詳細図に矢印で示すように同じ方向となる。
【0015】
この場合、取っ手9には取っ手穴14が設けられているので、この取っ手穴14に手指を通して取っ手9を持つと、取っ手9を構成する段ボール板2にはフルート方向への応力が作用する。従って、この場合は、取っ手9が破れやすい。取っ手9の構成上、取っ手9を持ったときに、取っ手9を構成する段ボール板2にフルート方向と直交する方向に応力が作用すると、段ボール板2が剥がれやすい。また、前記特許文献1に記載される段ボール箱では、取っ手穴に個別の高強度取っ手部材を取付けて使用するため、強度的には優れるものの、個別の高強度部材を必要とする。
【0016】
これに対し、本実施形態の段ボール箱1では、図3に示すように、重ね合わせた第1の取っ手部10と第2の取っ手部11のフルート方向が平行でない、即ち交差する方向(直交方向)になる。このように重ね合わせた第1の取っ手部10のフルート方向と第2の取っ手部11のフルート方向を交差させるには、第1の取っ手部10を設ける壁部4と第2の取っ手部11を設ける壁部4が隣り合っているとよい。
【0017】
図5は、本発明の箱体組立用段ボール板及び段ボール箱の第2実施形態を示す段ボール板2の正面図であり、図6は、図5の段ボール板2を折り曲げて組立てた段ボール箱1の斜視図である。図5は、図6の段ボール箱1を段ボール板2に展開した展開図と同等である。本実施形態の段ボール箱1も、前記第2実施形態の段ボール箱1と同様に直方体であるので、段ボール板2は、当該直方体の段ボール箱1の4つの側壁3を構成する4つの壁部4を有する。また、前記4つの壁部4の夫々には、前記第1実施形態と同様に、段ボール箱1の図示しない底板を構成する底部5が図1の下方に連続して設けられている。また、本実施形態では、右から2番目の壁部4にのみ、図6の段ボール箱1の蓋板6を構成する蓋部7が図5の上方に連続して設けられている。これらの壁部4、底部5、蓋部7を、図5に示す破線で山折りに折り曲げることで図6の段ボール箱1が組立てられる。なお、図5の右端の壁部4の右方には、前記第1実施形態と同様に、同図の左端の壁部4に接続するためののりしろ8が連続して設けられている。また、蓋部7の図5の上端縁には、図5の左端の壁部4の段ボール箱内側に差し込む差し込み部15が上方に連続して設けられている。
【0018】
本実施形態では、直方体の段ボール箱1の長手方向両側の壁部4、つまり図5の左から2番目の壁部4及び右端の壁部4の上端部に取っ手穴14を形成することにより、各壁部4に第1の取っ手部10が設けられている。また、蓋部7の図5の左右両端部に第2の取っ手部11が当該蓋部7に連続して設けられている。これら第2の取っ手部11では、蓋部7に連続して設けられ且つ図5の左から2番目の壁部4及び右端の壁部4の段ボール箱内側に差し込まれる差し込み部に取っ手穴14が形成されている。第2の取っ手部11が連続して設けられている図5の右から2番目の壁部4は、第1の取っ手部10が設けられている図5の左から2番目の壁部4及び右端の壁部4に隣り合っている。
【0019】
従って、図5の段ボール板2を折り曲げて図6の段ボール箱1を組立てると、第2の取っ手部11の差し込み部は図5の左から2番目の壁部4及び右端の壁部4の段ボール箱内側に差し込まれ、当該第2の取っ手部11と第1の取っ手部10が重ね合わされて取っ手穴14が連続する。このとき、例えば図5の壁部4のフルート方向が図の矢印方向である場合、組立てられた段ボール箱1の第1の取っ手部10と第2の取っ手部11のフルート方向は図6の矢印方向となり、重ね合わせた第1の取っ手部10と第2の取っ手部11のフルート方向が平行でない、即ち交差する方向(直交方向)となる。
【0020】
なお、前記各実施形態では、直方体の段ボール箱1及び当該直方体の段ボール箱1を展開した段ボール板2のついてのみ詳述したが、段ボール箱の形態は、これに限定されるものではない。また、組立てられる段ボール箱の形態に応じて段ボール板の展開状態も変更される。例えば、組立てられる段ボール箱が三角柱状である場合には、壁部の数は3つとなる。
また、段ボール箱に形成される取っ手の形状も前記実施形態に限定されるものではない。取っ手の形状がどのようなものであった場合でも、重ね合わせた第1の取っ手部のフルート方向と第2の取っ手部のフルート方向が交差するようにすればよい。
【符号の説明】
【0021】
1 段ボール箱(箱体)
2 段ボール板
3 側壁
4 壁部
5 底部
6 蓋板
7 蓋部
8 のりしろ
9 取っ手
10 第1の取っ手部
11 第2の取っ手部
12 外側紙
13 中芯
14 取っ手穴
15 差し込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の側壁となる複数の壁部と、
前記箱体の底板となり前記複数の壁部の少なくとも1つの壁部に連続する底部と、
前記複数の壁部のうちの少なくとも1つの壁部に設けられた又は当該少なくとも1つの壁部に連続して設けられた第1の取っ手部と、
前記少なくとも1つの壁部と異なる壁部に連続して設けられ前記第1の取っ手部と重ね合わせたとき当該第1の取っ手部のフルート方向とフルート方向が交差する第2の取っ手部と、
を備えた箱体組立用段ボール板。
【請求項2】
前記第2の取っ手部が連続して設けられた壁部は前記第1の取っ手部が設けられた又は当該第1の取っ手部が連続して設けられた壁部に隣合う壁部であることを特徴とする請求項1に記載の箱体組立用段ボール板。
【請求項3】
前記第2の取っ手部と当該第2の取っ手部が連続して設けられた壁部との間に蓋部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の箱体組立用段ボール板。
【請求項4】
前記第1の取っ手部が前記少なくとも1つの壁部に連続して設けられている場合、当該第1の取っ手部と当該第1の取っ手部が連続して設けられている壁部との間に蓋部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の箱体組立用段ボール板。
【請求項5】
前記請求項1乃至4の何れか一項に記載の箱体組立用段ボール板の壁部、底部、第1の取っ手部、第2の取っ手部を折り曲げて組立てた段ボール箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−188144(P2012−188144A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53719(P2011−53719)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】