説明

簡易型消火栓装置

【課題】小型且つ軽量で、設置が容易にでき、又構造が簡易な簡易型のトンネル用の消火栓装置を得る。
【解決手段】トンネル内の壁に箱状に形成された凹部6内に設けられる消火栓装置1であって、該凹部6内に設置され、給水源に消火栓弁2を介し接続された消火用ホース3及び消火用ノズル4等を備えた消火栓部分5と、該凹部6内に該消火栓部分5とは別に設置され、該消火栓部分5側方に配置されると共に、該凹部6内壁に固定される箱体によって画定され、非常通報装置等を備えた通報装置部分7とを含み、該凹部6内における該通報装置部分7下方のスペースを消火器が置かれる消火器部分8として更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トンネル用の消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路のトンネルにおける防災設備として消火栓装置が用いられている。
【0003】
トンネル用の消火栓装置は、一般に、先端にノズルを有し、消火栓弁を介して給水源に接続される消火用ホースが収納される消火栓部分と、消火器が収納される消火器部分と、非常通報用の装置が集約して収納される通報装置部分とを一つの筐体内に備え、その筐体がトンネルの壁面に形成された凹部に収納されて設置されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2008−55024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の様に、トンネル用の消火栓装置は、消火栓装置が備える前記の構成部分の全てが一つの筐体内に収納されることから、筐体が大きく且つ頑丈なものとなっており、又、排気ガスや粉塵が蔓延する場所に設置されることから、筐体前面の開口には化粧枠が設けられると共に前記各部分ごとの扉が設けられている。
【0005】
即ち、従来のトンネル用の消火栓装置は、大型且つ大重量で、設置に際し、運搬等が困難で、手間が掛かるものとなっており、又構造も複雑なものとなっている。
【0006】
この発明は、前記の事情に鑑み、小型且つ軽量で、設置が容易にでき、又構造が簡易な簡易型のトンネル用の消火栓装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、トンネル内の壁に箱状に形成された凹部内に設けられる消火栓装置であって、該凹部内に設置され、給水源に消火栓弁を介し接続された消火用ホース及び消火用ノズル等を備えた消火栓部分と、該凹部内に該消火栓部分とは別に設置され、該消火栓部分側方に配置されると共に、該凹部内壁に固定される箱体によって画定され、非常通報装置等を備えた通報装置部分とを含み、該凹部内における該通報装置部分下方のスペースを消火器が置かれる消火器部分として更に含むことを特徴とする簡易型消火栓装置である。
【0008】
又、この発明は、該簡易型消火栓装置であって、該消火器部分は該凹部内壁底面上又は該底面上に設けられた台の上に該消火器が載置されるものであることを特徴とする簡易型消火栓装置である。
【0009】
又、この発明は、該簡易型消火栓装置であって、該通報装置箱は、その前面に非常通報用の押し釦を有すると共に、表示灯、保守用電源及び電話の差込口の何れか又はそれらの組み合わせを有するものであることを特徴とする簡易型消火栓装置である。
【0010】
又、この発明は、該簡易型消火栓装置であって、該消火栓部分は消火栓箱によって画定されることを特徴とする簡易型消火栓装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、消火栓装置全体を収納する頑丈な筐体を不要にすることができると共に、消火栓部分と通報装置部分とを別々に設置することができ、更に、消火栓部分と通報装置部分を所定位置に設置することで、消火器が置かれる消火器部分を確保することができる。
【0012】
従って、この発明によれば、消火栓装置全体を収納する頑丈な筐体を不要にすることができるので、消火栓装置の小型化と軽量化をすることができ、従来例に比して、運搬等、扱いが容易で、設置を容易にすることができ、又、構造を簡易なものとすることができる。
【0013】
更に、この発明によれば、通報装置部分を画定する箱の中に電気機器を集約して内蔵することで、配線作業を容易にすることができると共に、電気機器への防水性も得ることができる。
【0014】
更に、この発明によれば、消火器部分において、消火器載置部を凹部底面上に設けた台の上とすることで、消火器を凹部底面より浮かした状態で設置ができるので、凹部内に水が浸入したとしても、その水に消火器が浸かるのを防ぐことができ、又、塵埃の消火器への付着の量も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の実施の形態を図1及び図2に基づき説明する。尚、図1は、この発明の消火栓装置を示した正面図であり、図2は同上の平面図である。
【0016】
図1及び2において、消火栓装置1は、トンネル内壁に箱状に形成された凹部の一例である箱抜き6内に設置されるものであり、図示しない給水源から伸びる配管に消火栓弁2を介し接続された消火用ホース3及び消火用ノズル4等を備えた消火栓部分5と、表示灯13及び非常通報用の押釦式通報装置14等の電気機器を備えた通報装置部分7と、図示しない消火器が置かれる消火器部分8とから構成されている。
【0017】
消火栓部分5は、具体的には、消火栓キャビネット9によって画定されており、そのキャビネット9の内部に消火用ホース3、消火用ノズル4及び消火栓弁2等が収納されている。ここで、本実施の形態において、消火用ホース3は、キャビネット9内において、その内壁の上面9a、下面9b及び背面9cと、2本の棒状体10a、10aと2枚の帯板10b、10bからなるホースバケット10からなるホース収納部11内に内巻きに巻き付けられて収納されるものとなっている。消火用ノズル4は内巻きに巻き付けられた消火ホース3の中心部分に収納され、火災時には利用者が棒状体10a、10aの間から手を入れて取り出せるようになっているが、巻き付けられた消火ホース3の中心のキャビネット背面9cやホースバケット10の前面部にノズルホルダを設け、消火用ノズル4を固定してもよい。
【0018】
尚、9dは、箱抜き6内において消火栓部分5が載置される架台である。消火栓部分5は、箱抜き底面6a上に直接設置してもよいが、本実施の形態の様に、底面6a上にアンカーを打ち込んで設けた架台9d上に載置してボルト締め等で固定して設置することとすれば、箱抜き6内に浸水があったとしても、架台9dによって消火栓部分6が底面6aから浮いてる分、消火栓部分5への浸水を防ぐことができ、又消火栓部分5への塵埃の付着量を低減することもできる。
【0019】
通報装置部分7は、具体的には、横長の通報装置箱12によって画定されており、その内部に表示灯13及び押釦式通報装置14等の電気機器が集約して収納されると共に、応答ランプ15、電話差込口16、図示しない保守用の電源差込口等を備えている。ここで、通報装置部分7は、電気機器のみを集約する大きさで済むので、大きく頑丈な筐体を用いることなく、気密性や防水機構を確保し易い。
【0020】
そして、箱抜き6内において、通報装置部分7は、それを画定する通報装置箱12が、消火栓部分5の側方であって、通報装置部分7の下方に消火器よりも高い高さのスペースを形成できる高さの位置に配置されて、箱抜き6の内壁背面6bに通報装置箱12の脚部12aにアンカー打ちによって固定されることで設置されている。
【0021】
前記の消火栓部分5と通報装置部分7の配置構成によって、通報装置部分7の下方に形成されるスペースを消火器が置かれる消火器部分8として箱抜き6内に確保することができる様になっている。尚、本実施の形態は、消火器部分8において、箱抜き底面6a上に直接、消火器が置かれるものとなっているが、底面6a上に架台を設け、その架台の上に消火器が置かれる様にしてもよく、その様にするれば、箱抜き6内に浸水があったとしても、架台によって消火器が底面6aから浮く分、消火器への浸水を防ぐことができ様になるし、又消火器への塵埃の付着量も低減することができる様になる。
【0022】
消火栓装置1は、前記の様に構成され、消火栓部分5と通報装置部分7とをそれぞれ箱抜き6内に設置することができるものとなっており、又、消火栓部分5と通報装置部分7とを箱抜き6内の所定位置に設置することで、消火器が置かれる消火器部分8を確保することができるものとなっている。
【0023】
従って、消火栓装置1によれば、消火栓装置1全体を収納する頑丈な筐体が不要にすることができるので、消火栓装置の小型化と軽量化をすることができ、従来例に比して、運搬等、扱いが容易で、設置を容易にすることができ、又構造も簡易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の消火栓装置の実施の形態を示し、トンネル内壁の箱抜き内に設置された状態における正面図である。
【図2】同上を示し、同上の状態における平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 消火栓装置
2 消火栓弁
3 消火用ホース
4 消火用ノズル
5 消火栓部分
6 箱抜き(凹部)
6a 底面
6b 背面
7 通報装置部分
8 消火器部分
9 消火栓キャビネット
10 ホースバケット
11 ホース収納部
12 通報装置箱
13 表示灯
14 押釦式通報装置
15 応答ランプ
16 電話差込口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内の壁に箱状に形成された凹部内に設けられる消火栓装置であって、
該凹部内に設置され、給水源に消火栓弁を介し接続された消火用ホース及び消火用ノズル等を備えた消火栓部分と、該凹部内に該消火栓部分とは別に設置され、該消火栓部分側方に配置されると共に、該凹部内壁に固定される箱体によって画定され、非常通報装置等を備えた通報装置部分とを含み、
該凹部内における該通報装置部分下方のスペースを消火器が置かれる消火器部分として更に含むことを特徴とする簡易型消火栓装置
【請求項2】
該消火器部分は該凹部内壁底面上又は該底面上に設けられた台の上に該消火器が載置されるものでることを特徴とする請求項1記載の簡易型消火栓装置。
【請求項3】
該通報装置箱は、その前面に非常通報用の押し釦を有すると共に、表示灯、保守用電源及び電話の差込口の何れか又はそれらの組み合わせを有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の簡易型消火栓装置。
【請求項4】
該消火栓部分は消火栓箱によって画定されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の簡易型消火栓装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−115320(P2010−115320A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290240(P2008−290240)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】