説明

米を主原料とした清涼飲料水及びその製造方法

【課題】 米を主原料とした清涼飲料水の提供。
【解決手段】 重量比で麹(2)と蒸し米(1.5)に水(12.6)を加えて50℃〜60℃の保温室で14時間以上保温して糖度18°とし、この糖化液をろ過し、この糖化ろ過液10リットル当りに梅果実を搾った酸度50前後の果汁600ミリリットルを加えて滴定酸度3.0以上でpH4.0未満とし、そして適量の食塩を調合して65℃以上で5分〜15分間加熱処理し、そして、この液1リットル当りにコポロック306ミリリットルを入れて24時間〜30時間経った後で沈殿物をろ過し、その後、80℃〜85℃で加熱処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米を主原料として作られる清涼飲料水(ジュース)及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、市販されている飲料水の種類は非常に多く、大別すれば硬水、軟水、ミネラルウォーター、海洋深層水、清涼飲料水となる。本発明が対象とする飲料水は清涼飲料水であり、この中には炭酸飲料とジュースが存在している。清涼飲料水とは、アルコール成分を含まない(アルコール分1%未満)飲用の液体物で、味や香りがついている水である。
【0003】
本発明に係る清涼飲料水はその主原料として米を使用するが、米を主原料とした食品はご飯、米菓子、米パンなど数多く知られているが、飲料としては日本酒が代表的である。従って、酒類を除けば米を主原料としている飲料は少なく、ジュース的な飲料としては殆ど存在しない。
【0004】
特開2005−270084号に係る「米入り混合飲料水」は、ビタミンやミネラル、繊維質を豊富に含むと共に、従来にない独特の風味と味覚を有する健康・美容補助飲料である。
すなわち、白米 または玄米 、発芽玄米 、籾米 に、麦類、豆類、コーン等の雑穀類を加えて、炊くか、蒸すか、または焙煎するか、発酵させるかした主原料に対して、果実類や草木花根菜類、野菜類、茶類、魚介類、海草類、藻類、卵類、肉類、乳類、炭酸ソーダー、ドライフーズ食品等の副材料を混入し、これに適量の天然水を添加してミキサーにかけて混合粉砕すると共に、これを抽出・濾過機にて抽出・濾過し、且つ殺菌装置によって殺菌処理して作られる。
【0005】
特開昭63−248376号弐係る「ゆず甘酒の製造方法」は、でんぷん質原料を、米麹、あるいは酵素で糖化して、甘酒を製造する工程において、糖化直後の糖化液に、糖化後のPHを4.0以下にし得る量のゆず果汁を添加し、70℃で少なくとも10分間殺菌される。
従って、この製造方法では、製造直後の甘酒の味及び色調が長期間変化せず、甘酒がゆず特有の高い芳香を有し、しかも甘酒を工業的に容易に生産することが出来る。
【特許文献1】特開2005−270084号に係る「米入り混合飲料水」
【特許文献2】特開昭63−248376号弐係る「ゆず甘酒の製造方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、米を主原料とした飲料は主としてアルコール類が多く、多くの児童や酒を飲むことが出来ない人が健康飲料として利用できるものは極少ない。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、米を主原料とし、健康増進をもたらし、又防腐剤を使用しないでも腐敗防止が図られる甘すっぱい味の清涼飲料水を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る清涼飲料水は米を主原料とし、麹と蒸し米に水を加えて保温室に入れ、所定時間保つならば糖化する。これを、温かいうちに圧搾するならば、乳白色のろ液が出来る。このろ液にはアルコール成分は含まれないように、すなわち上記糖分がアルコールに変化しないうちに保温室から取り出して圧搾する。本発明に係る製造方法の大きな特徴である。
【0008】
そして、このろ液に梅果実を搾った果汁を加え、酸度3.0以上、pH4.0未満とし、これに適量の食塩を添加して攪拌した後で沈殿させる。すなわちコポロックを入れて所定の時間放置するならば、沈殿物が出来る為にこれをろ過する。この場合、ろ過された液は黄色を呈している。その後、加熱して殺菌されるが、時間が経過すれば薄赤色となる。ここで、上記食塩と共に適量の砂糖を加えることもある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る飲料水は米を主成分としているが、アルコール成分を含まない為に清涼飲料水であり、児童や酒を飲むことが出来ない人でも飲むことが出来るジュースである。そして、該清涼飲料水は梅果実を搾った果汁が含まれている為に、梅のクエン酸によって腐敗が防止される。
【0010】
すなわち、昔からの梅干に備わっている効果を有すジュースであり、梅干の嫌いな人にとってもこのジュースは飲み易い。一方、梅果実の果汁を加えて攪拌し、コポロックを入れて放置することで沈殿した液をろ過し、このろ過液を加熱して放置するならばこの清涼飲料水の色が薄赤色に変化する。すなわち、黄色が薄赤色に変化する。従って、品質はこの薄赤色に変化した状態を確認することで保証される。
【実施例】
【0011】
本発明に係る清涼飲料水は一種のジュースであり、多少の酸味を持った甘い飲み物である。ところで、このジュースの作り方は、麹と蒸し米に水を加えて50℃〜60℃で14時間以上保温する。すると糖化するが、しかしアルコール成分は出ないように時間調整がなされる。この場合、麹と蒸し米と水の重量比は2:1.5:12.6とするが、勿論、上記麹、蒸し米、水の比率は約1割程度の増減は許容される。
【0012】
糖化した麹と蒸し米及び水の混合物は、その糖度が18°前後となり、こ糖化液を保温室から取り出して圧搾する。すなわち、ろ過するならば、乳白色のろ液が得られる。この糖化ろ液に梅果汁を加える。該梅果汁は梅果実を搾ったものであり、その酸度は50とし、上記ろ液10リットルに対して600ミリリットルの割合で混合し、混合した液は酸度3.0以上、pHが4.0未満となる。梅果汁の酸度のバラツキに応じて糖化ろ液に加えられる量は変化するが、最終的に酸度3.0以上、pH4.0未満となればよい。
【0013】
そして、これに砂糖及び食塩を調合し、加熱処理が行われる。この加熱処理の条件は65℃以上で約10分間行われる。その後、1リットル当り306ミリリットルの割合でコポロックを加えることで沈殿させるが、その為に24時間〜30時間放置する。そうすると、乳黄色の液は澄んで底には沈殿物が溜まる。この場合、澄んだ液は黄色に成っている。ここで、上記砂糖は必要に応じて調合され、時には使用しないこともある。
【0014】
その後、殺菌の為に80℃〜85℃に加熱し、1日経過すると次第に色が変化し、薄赤色を帯びてくる。品質によっては薄赤色に変化しない場合もあり、変化するものと区別する。薄赤色に変化したものを品質的に満足したものとして出荷される。
【0015】
ところで、梅は一般に凍結して保存され、使用する際に解凍される。該梅は青梅が使用されるが、種を取除いて搾り、絞り粕には0.2〜0.5倍量の水を加える。ただし、黄化梅を使用する際には水を加えないが、上記搾り汁と合わされる。そして、上記麹と蒸し米に水を加えて搾った糖化ろ液に梅果汁を加え、この場合の梅果汁の酸度50に調整される。
【0016】
図1は本発明に係る米を主原料とした清涼飲料水の製造工程を表している。ここで、上記糖化温度は50℃以上であり、50℃以下では雑菌が増殖して本発明の清涼飲料水とはならない。又、梅果汁を加えた状態での酸度3.0以上も重要なファクターである。
【0017】
図2は梅果汁の作り方を示し、又図3は本発明の米を主成分とした清涼飲料水の標準的な配合・成分である。
本発明の清涼飲料水は麹と蒸し米に水を加えて搾り出したろ過液は糖化して腐敗し易いが、この糖化ろ過液に梅果汁を加えることで腐敗が防止され、甘すっぱい飲料水となる。しかし、アルコール成分はない為に児童や酒が飲めない人に最適である。
【0018】
そして、最終工程である加熱殺菌を行って完成した清涼飲料水は、1日ほど経過すると黄色が薄赤色に変化する。この薄赤色の変化によって、清涼飲料水の品質が保証されるために、薄赤色のみを正規の商品として出荷できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る清涼飲料水の製造工程。
【図2】梅果汁を作る工程。
【図3】本発明の清涼飲料水の標準的な配合・成分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
麹と蒸し米に水を加えて50℃〜60℃の保温室で14時間以上保温して糖度18°前後とし、この糖化液をろ過し、この糖化ろ過液に梅果実を搾った果汁を加えて滴定酸度3.0以上でpH4.0未満とし、そして適量の食塩を調合して65℃以上で5分〜15分間加熱処理し、そして、この液にコポロックを入れて24時間〜30時間経った後で沈殿物をろ過し、その後、80℃〜85℃で加熱処理することを特徴とする米を主成分とする清涼飲料水の製造方法。
【請求項2】
重量比で麹(2)と蒸し米(1.5)に水(12.6)を加えて50℃〜60℃の保温室で14時間以上保温して糖度18°とし、この糖化液をろ過し、この糖化ろ過液10リットル当りに梅果実を搾った酸度50前後の果汁600ミリリットルを加えて滴定酸度3.0以上でpH4.0未満とし、そして適量の食塩を調合して65℃以上で5分〜15分間加熱処理し、そして、この液1リットル当りにコポロック306ミリリットルを入れて24時間〜30時間経った後で沈殿物をろ過し、その後、80℃〜85℃で加熱処理することを特徴とする米を主成分とする清涼飲料水の製造方法。
【請求項3】
上記食塩と共に適量の砂糖を加えて65℃以上で5分〜15分間加熱処理した請求項1、又は請求項2記載の米を主成分とする清涼飲料水の製造方法。
【請求項4】
麹と蒸し米に水を加えて50℃〜60℃の温度で所定時間保温することで糖化すると共にろ過したろ液に梅果汁を加えて酸度3.0以上でpH4.0未満とし、これに食塩を調合し、加熱処理後にコポロックを入れて沈殿させた液をろ過し、80℃〜85℃で加熱殺菌して放置することで薄赤を帯びたことを特徴とする米を主成分とする清涼飲料水。
【請求項5】
上記食塩と共に適量の砂糖を加えた請求項4記載の米を主成分とする清涼飲料水。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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