説明

粉体供給装置および粉体供給方法

【課題】 周囲への粉体の飛散を防止しながら、固定された粉体処理設備から粉体を取り出して別の移動型の容器に移し替える場合、又は移動型容器から粉体を固定された粉体処理設備に投入する場合等に適する、粉体供給方法およびそれに用いられる粉体供給装置を提供する。
【解決手段】 一方の容器に収納された粉体を他方の容器へ供給するための粉体供給装置であって、
(A)該装置の上方壁を貫通して粉体導入管が設けられ、
(B)該装置の下方壁を貫通して設けられた粉体導出管が該粉体導入管と筒状部材(a)を介して該装置内部で接続され、かつ該装置外部で粉体導出管の開口部を覆う筒状部材(b)を設けるように粉体導出管が設けられ、
(C)該装置の側壁部に外部から該筒状部材(a)の着脱を可能とする操作部が設けられ、
(D)該筒状部材(a)と該粉体導入管及び該粉体導出管との間で、該操作部で操作して該装置の外部から着脱可能な接続手段が設けられた粉体供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密化学品、食品、原薬中間体、製薬などの製造分野において、周囲への粉体の飛散を防止しながら、一方の容器から粉体を他方の容器に供給するための装置およびその供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
精密化学品、製薬などの分野では製造現場で原料などとして粉体を取り扱うことがあるが、粉体の中には薬理活性の高い粉体を始めとして人体に有害なものもあり、この粉体を扱う作業者の安全を確保する必要がある。また、湿気によって溶解する粉体もあり、このような粉体が作業現場に飛散した場合には床が濡れてしまうなど作業環境が悪化する。さらに、酸素を嫌う性質を有する粉体もあり、この場合には大気に触れない状態で移送する必要がある。そのため、いわゆる封じ込め技術により粉体の飛散を防止することが広く行われている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
近年、封じ込め設備の設備コスト低減の一環として、プラスチック製(例えばポリエチレンなど)のフィルムで形成される筒状部材により、封じ込めをおこなう技術が提案されている。
特許文献2では、移送する粉体圧を受けるための金属製筒と、残留する筒状部材を処理するために該金属製筒の側部に開口を設け、同開口を筒状部材で覆い、粉体移送時に筒状部材が金属製筒から外れないようにするための押さえ金具を使用して粉体を移送する装置が提案されている。この場合は、粉体が金属製筒状箱の中を通る構造となっており、箱の内部に粉体が開放され内面に粉体が接触するため、筒内部の徹底した洗浄が必要である。また金属製筒の下部または上部に設けられた粉体通過用開口には筒状部材が取り付けられるが、その筒状部材を金属筒と密着させて、粉体の流れによって筒状部材が外れないようにするための固定リングが必要とされ、その固定リングが比較的大きく、装置周囲に操作のための空間を必要としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−327873号公報
【特許文献2】特開2008−143712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、周囲への粉体の飛散を防止しながら、固定された粉体処理設備から粉体を取り出して別の移動型の容器に移し替える場合、又は移動型容器から粉体を固定された粉体処理設備に投入する場合等に適する、粉体供給装置および粉体供給方法を提供することを課題とする。
具体的には、粉体の移送を筒状部材内部で行い、粉体が装置内部全体に飛散することを防止し、これにより装置内部の洗浄必要部分をできる限り少なくする粉体供給装置および粉体供給方法を提供することを課題とする。また筒状部材の着脱に複雑な方法を用いることのない粉体供給装置および粉体供給方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、粉体の導入部又は導出部に二重に筒状部材を用いるとともに、粉体供給装置に外部から該筒状部材の着脱を可能とする操作部を設け、該操作部で操作する特定の構造とし、粉体導入管と粉体導出管との間で該筒状部材を着脱すれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明はこの知見に基づきなされたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
<1>一方の容器に収納された粉体を他方の容器へ供給するための粉体供給装置であって、
(A)該装置の上方壁を貫通して粉体導入管が設けられ、
(B)該装置の下方壁を貫通して設けられた粉体導出管が該粉体導入管と筒状部材(a)を介して該装置内部で接続され、かつ該装置外部で粉体導出管の開口部を覆う筒状部材(b)を設けるように粉体導出管が設けられ、
(C)該装置の側壁部に外部から該筒状部材(a)の着脱を可能とする操作部が設けられ、
(D)該筒状部材(a)と該粉体導入管及び該粉体導出管との間で、該操作部で操作して該装置の外部から着脱可能な接続手段が設けられたことを特徴とする粉体供給装置、
<2>前記筒状部材(a)と粉体導入管及び粉体導出管との間に設けられた接続手段が、内側リングと外側リングが嵌合することにより該筒状部材(a)を該内側リングと外側リングの間に挟持することを特徴とする<1>記載の粉体供給装置、
<3>前記操作部と相対する側壁部に使用済みの前記筒状部材(b)を保管する保管部が設けられたことを特徴とする<1>又は<2>記載の粉体供給装置、
<4>一方の容器に収納された粉体を他方の容器へ供給するための粉体供給方法であって、
(E)<1>〜<3>のいずれか1項記載の粉体供給装置内部の粉体導入管の開口部と粉体導出管の開口部を覆うように筒状部材(a)を接続し、該粉体供給装置外部の粉体導出管の開口部又は粉体導入管の開口部を覆うように袋状部材の開口部を接続する工程、
(F1)前記袋状部材を覆うように該粉体供給装置外部の粉体導出管の開口部又は粉体導入管開口部と、他方の容器外部の粉体導入管開口部又は粉体導出管開口部とを筒状部材(b)で接続する工程、
(G)粉体導出管開口部及び/又は粉体導入管開口部に接続された筒状部材(a)の一端又は両端を取り外し、前記袋状部材を除去し、該袋状部材を保管部に保管する工程、
(H)前記取り外した筒状部材(a)の一端又は両端を前記粉体導出管開口部又は粉体導入管開口部に再度接続する工程、
(I)一方の容器に収納された粉体を粉体供給装置内で接続された筒状部材(a)を介して他方の容器へ粉体を供給する工程、
を含む粉体供給方法、及び
<5>一方の容器に収納された粉体を他方の袋状容器へ供給するための粉体供給方法であって、
(E)<1>〜<3>のいずれか1項記載の粉体供給装置内部の粉体導入管開口部と粉体導出管開口部を覆うように筒状部材(a)を接続し、該粉体供給装置外部の粉体導出管開口部又は粉体導入管の開口部を覆うように袋状部材の開口部を接続する工程、
(F2)前記袋状部材を覆うように該粉体供給装置外部の粉体導出管の開口部又は粉体導入管の開口部と、他方の袋状容器の開口部とを接続する工程、
(G)粉体導出管の開口部及び/又は粉体導入管の開口部に接続された筒状部材(a)の一端又は両端を取り外し、前記袋状部材を除去し、該袋状部材を保管部に保管する工程、
(H)前記取り外した筒状部材(a)の一端又は両端を前記粉体導出管の開口部又は粉体導入管の開口部に再度接続する工程、
(I)一方の容器に収納された粉体を粉体供給装置内で接続された筒状部材(a)を介して他方の袋状容器へ粉体を供給する工程、
を含む粉体供給方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粉体供給装置及び粉体供給方法によれば、粉体導入管と粉体導出管が筒状部材を介して該装置内部で接続され、その内部で粉体が移送されるので、粉体供給装置の内側全面を清掃する必要がない。
また筒状部材と粉体導入管又は粉体導出管との接続は外部から筒状部材の着脱を可能とする操作部で行われるため、操作性に優れる。
さらに、粉体供給装置外部に突き出た粉体導入管又は粉体導出管は、着脱が容易な手段により、別の筒状部材を介して他の容器と確実に接続されるため、粉体が装置外部に漏れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】粉体が収納された一方の容器が上部に直接接続された本発明の好ましい実施形態の粉体供給装置を示す断面図である。
【図2】図1の粉体供給装置を介して、粉体が収納された一方の容器から他方の容器に粉体を移送する粉体供給方法の好ましい一実施形態を示す断面図である。
【図3】図1の粉体供給装置を介して、粉体が収納された一方の容器から他方の容器に粉体を移送する粉体供給方法の好ましい一実施形態を示す断面図である。
【図4】図1の粉体供給装置を介して、粉体が収納された一方の容器から他方の容器に粉体を移送する粉体供給方法の好ましい一実施形態を示す断面図である。
【図5】図1の粉体供給装置を介して、粉体が収納された一方の容器から他方の容器に粉体を移送する粉体供給方法の好ましい一実施形態を示す断面図である。
【図6】図1の粉体供給装置を介して、粉体が収納された一方の容器から他方の容器に粉体を移送する粉体供給方法の好ましい一実施形態を示す断面図である。
【図7】図1の粉体供給装置を介して、粉体が収納された一方の容器から他方の容器に粉体を移送する粉体供給方法の好ましい一実施形態を示す断面図である。
【図8】図1の粉体供給装置を介して、粉体が収納された一方の容器から反応釜などに粉体を移送する粉体供給方法の好ましい一実施形態を示す断面図である。
【図9】図1の粉体供給装置を介して、粉体が収納された一方の容器から袋状容器に粉体を移送する粉体供給方法の好ましい一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図の説明において同じ要素には同じ符号を付す。図1は、本発明の粉体供給装置100にフランジ21aを介して、粉体が収納された一方の容器20が上部に直接接続された本発明の粉体供給装置を示す断面図である。粉体供給装置100は、一方の容器20に収納された粉体を他方の容器(図示せず)へ供給する。
粉体供給装置100は、外部との気密性を有し、粉体供給装置本体10を備える。粉体供給装置本体10は、上方壁12a、下方壁12b、側壁部12cで構成される。供給装置本体10を構成する材質としては、金属(ハードウォールタイプ)であってもよく、または可撓性があるプラスチックフィルム(ソフトウォールタイプ)であってもよい。粉体供給装置内における作業を目視できるように、上方壁12a又は側壁部12cは透明であることが好ましい。また部分的に透明な部材で構成されていてもよい。
粉体供給装置本体10の平面形状は、円形であっても多角形であってもよく、特に限定されない。粉体供給装置本体10の内部に粉体導入管21と粉体導出管22が上方壁12a、下方壁12bを貫いているので、強度を考慮すると粉体供給装置本体10は、円筒状又は矩形状であることが好ましい。
【0011】
粉体供給装置本体10の一方の側壁部12cには、筒状部材(a)30や後述する袋状部材15の着脱の操作を可能とする操作部11が設けられている。該操作部11には、外部から作業者が操作するために、例えば、手を差し込むためのグローブ11aが取り付けられている。その材質は、柔らかく、かつ、作業の際に破損しないような適当な強度を持つものが好ましく、例えばゴム等が挙げられる。グローブおよびその取付部は気密性を有するため、移送する粉体がグローブから外部に漏れることはない。
【0012】
また、粉体供給装置10の操作部11が設けられている側壁部と相対する側壁部には、保管部14が設けられている。保管部14では、後述する使用済みの袋状部材15を廃棄物として処理するまでの間、該袋状部材15が保管される。保管部14の端部は袋状部材15で覆われてOリングなどの締め付け部材16で固定されている。
粉体供給装置本体10には、粉体導入管21が粉体供給装置本体10の上方壁12aを貫通して設けられている。また、粉体供給装置本体10には、粉体導出管22が、粉体導入管21に対向して該粉体供給装置本体の下方壁12bを貫通して設けられている。
粉体導入管21及び粉体導出管22の断面は円形でも矩形でもよく特に制限されず、粉体のハンドリング上好ましい形状を選択することができる。
粉体導入管21及び粉体導出管22における粉体供給装置内側の端部はそれぞれ開口している。
これらの粉体導入管21及び粉体導出管22は、一方の容器から他方の容器へ粉体が通過するための通路の一部となり、粉体導入管および粉体導出管における粉体供給装置内側の両端部の間を、着脱可能な接続手段24、25を用いて筒状部材(a)30で接続することにより、筒状部材(a)30内部も粉体が通過するための通路となる。当該接続手段24、25は、操作部11で作業者が、例えば、グローブ11aに手を入れることにより行われる。
【0013】
筒状部材(a)30は可撓性のある筒状の部材であれば特に制限されることはないが、内側で粉体を通過させるため、この通過の際に破損することのないことが必要である。また筒状部材(a)30内側を通過する粉体には、化学的に不安定なものも含まれることがある。したがって筒状部材(a)30は、化学的に安定で、耐薬品性に優れた材料で構成されることが好ましい。さらに筒状部材(a)30は、粉体供給装置の外部から粉体の移送状況を確認できるような透明度を有することが好ましい。
これらの点から筒状部材(a)30について、適宜、材質の選択が行われる。この一例として、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチックを挙げることができる。このうち、強度、化学的安定性、透明性の点で、好ましく低密度ポリエチレンを使用することができる。
筒状部材の厚さは適宜選択して使用することができる。通常、0.1〜0.25mm程度のものを好ましく使用することができる。
また後述の筒状部材(b)31も、筒状部材(a)30と同様に、内側を粉体が通過するため、同様のものを使用することが好ましい。
さらに、袋状部材についても、可撓性の部材であることが望ましく、筒状部材30、31と同様なものを使用することが好ましい。
【0014】
接続手段24、25は、操作部11で外部から作業者が容易に筒状部材の着脱作業を行える手段であれば特に制限されないが、好ましくは、内側リングと外側リングを嵌合させることにより該筒状部材(a)30を該内側リングと外側リングの間に挟持する手段を挙げることができる。この方法に使用される継ぎ手としては、EziDock System Limited社製、商品名EziDockを挙げることができる。
内側リングと外側リングの嵌め合わせる部分の間隙は筒状部材(a)30の厚みに比して相対的に大きくすることにより、筒状部材(a)30を内側リングと外側リングの間に挟持しても筒状部材を破損することがない。また、前記接続手段の内側リングおよび外側リングの材質をともにポリプロピレンなどのプラスチックとすることにより、軽量化され、取扱いが容易とすることができる。また、内側リングと外側リングは嵌め合わせて用いる構造となっているので、筒状部材を挟持したのちは、強固な継ぎ手となり、確実な接続が可能となる。さらに、継ぎ手として一体化した接続手段を接続した後に固持する固定具も取扱い容易なものを装着することができる。
可撓性のある筒状部材および軽量な接続手段を用いることにより、グローブ11aを介して操作しても確実に、筒状部材(a)30と、粉体導入管端部及び粉体導出管端部を接続することができ、粉体が粉体供給装置本体10の内部全面に漏れ出ることはない。
【0015】
図1に示すように、粉体導入管21における粉体供給装置本体外側の端部には、容器や他の設備との接続が容易なようにフランジ21aを取り付けることが好ましい。また、待機時や搬送時には、フランジ21aに養生用に別途蓋板をつけてもよい。
図1では、上部に粉体が収納された一方の容器20を連結した場合を示しているが、この場合、その下部には締め切りのためのバルブを設置する必要がある。このバルブは一般的にフランジ無しの形式とすることが多いので、その取り付けのために容器の下端部にフランジ20aを設け、装置側のフランジ21aとで、同バルブを挟み込む構造とする。
粉体導出管22における粉体供給装置本体外側の端部は開口されており、袋状部材15がその開口を覆うようにして設けられ、Oリングなどの締め付け部材16で固定される。
【0016】
次に、本発明の粉体供給装置を用いた粉体の供給方法を、図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態として、粉体供給装置の上方に粉体が収納された容器20が接続されている図1に示す粉体供給装置100においては、装置下方に突出している粉体導出管22の開口部を覆うように袋状部材15を締め付け部材16で固定する。その後、操作部11からグローブ11aなどを介して手で、粉体導出管22の装置内側の端部に接続された筒状部材(a)30を取り外し、次いで粉体導出管22の装置外側の端部に設けられている袋状部材15をはずし、その後筒状部材(a)30と粉体導出管22を接続する。このようにして筒状部材の内部を通って、粉体の移送が可能となる。
【0017】
以下、詳細に工程ごとに図面をもって説明する。
(1)袋状部材15および筒状部材(b)31の固定
図1に示すように、本発明の粉体供給装置本体10の下方壁12bを貫通して装置下方に突出している粉体導出管22の開口部を覆うように、袋状部材15を固定する。その固定は袋状部材15の外側から粉体導出管を締め付けるように、締め付け部材16で固定する。後述の通り、袋状部材15は粉体移送前に粉体導出管22からはずされる。そのため締め付け部材16としては、着脱が容易なもの、例えば、ゴム弾性を利用した部材を使用することができる。その一例として、Oリングなどを挙げることができる。
粉体供給装置100を容器20に取り付けるに際しては、外部の塵埃などが入り込まないように管理するのが好ましく、この目的のために、粉体導入管21の端部のフランジ21aには養生用蓋板を設けておき、取り付け作業の直前に取り外すのが望ましい。これと同様に、袋状部材15は、粉体供給装置100を粉体が収納された一方の容器20にフランジ21aを介して接続する前に、袋状部材15を粉体導出管22に取り付けておくのが好ましい。
【0018】
その後、図2に示すように、前記袋状部材15と粉体導出管22の上部まで覆うように、筒状部材(b)31の一端を、粉体導出管22の上部で、前記締め付け部材16とは別の締め付け部材17で固定する。同時に、筒状部材(b)31の他端を粉体が移送される他方の容器40の上方に突出している粉体導入管32に取り付ける。該筒状部材(b)31を取り付ける手段としては、前記の袋状部材15および筒状部材(b)31の一端側の固定と同様、Oリングなどのゴム弾性を利用した部材を使用してもよいが、より確実に固定するために、前記のEziDockのような継ぎ手を使用する接続手段27によることが好ましい。
【0019】
(2)筒状部材(a)30と袋状部材15の取り外し
図3に示すように、操作部11で外部からグローブ等に手を差し入れて、粉体供給装置本体10の内側で接続された筒状部材(a)30を粉体導出管22の開口部からはずす。図3では、筒状部材(a)30を粉体導出管22からはずした場合が示されているが、粉体導入管21の開口部からはずしてもよい。後述の通り、袋状部材15をはずす必要があるため、操作性を考慮すれば、筒状部材(a)30を粉体導出管22の開口部からはずすことが好ましい。状況によっては、粉体導入管21の開口部および導出管22の開口部の2箇所を同時に取り外してもよい。一方の容器20と他方の容器40の間は、外部の空間と遮断されているので、外部からの影響を受けることはない。
次いで操作部11で外部からグローブ等に手を差し入れれば、図4に示されるように、(1)で固定した袋状部材15および締め付け部材16をはずすことができる。はずされた袋状部材15および締め付け部材16は、保管部14に保管される。保管部14に保管された袋状部材15および締め付け部材16は、すべての粉体の移送が終了した後に処分される。
【0020】
(3)筒状部材(a)30の接続
図5に示すように、粉体供給装置本体10内部の粉体導入管の開口部及び又は粉体導出管の開口部を連結するように、接続手段24及び/又は25で筒状部材(a)30と、粉体導入管の開口部及び/又は粉体導出管の開口部を接続する。この操作はすべて、操作部11で外部からグローブ等を介して行われる。接続手段24、25としては、前記のEziDockのような継ぎ手を使用すれば、容易に作業ができる。
【0021】
(4)粉体の移送
図5に示すように、粉体供給装置本体10の下方に突出している粉体導出管22の開口部付近において、筒状部材(b)31の外側から、例えば半割りの固定治具41で筒状部材(b)31を締め付け固定する。締め付け固定することにより、筒状部材(b)31を粉体移送時の粉圧によりばたつかせることなく、また筒状部材(b)31内側と粉体導出管22外表面の間に粉体が飛散侵入することなく、粉体の移送を行うことができる。上記の工程により、容器20、粉体導入管21、筒状部材(a)30、粉体導出管22、及び筒状部材(b)31が切れ目なく接続される。したがって粉体の移送はこれらの部材内で行われ、粉体供給装置本体10の内部全面に粉体が漏れることはない(図6)。
【0022】
(5)粉体移送後の処理
図7に示すように、粉体が一方の容器20から他方の容器40に移送された後は、導出管22の端部と他方の容器40の接続手段27との間にある筒状部材(b)31の2箇所を結束バンド43などの手段を用いることにより結束し、その中間部を切断する。切断した後は、粉体導出管22の開口を覆う状態となる。固定治具41を取外し、上部にあるOリングなどの締め付け部材17をずり下ろしてくることにより、開口を覆っている残った筒状部材(b)31を固定する。このような筒状部材の2箇所を結束バンドなどで結束し、その中間部を切断する方法は、バッグイン−バッグアウト方式として、広く医薬分野などで利用されている。
【0023】
次に、第二の実施形態について、図8を参照して説明する。図8では、粉体供給装置の上方に筒状部材(b)31が接続され、装置下方に反応釜などのような粉体移送先の容器50が直接接続されている。
粉体供給装置10の粉体導出管22は、直接、反応釜などの容器50と接続されている。この場合には、粉体供給装置10の上方に突出した粉体導入管21の開口部を覆うように袋状部材15を固定する。その固定は、好ましくはOリングなどの締め付け部材16で行う。次いで筒状部材(b)31により、粉体供給装置本体10と粉体保管容器20をつなぐ。筒状部材(b)31を粉体導入管21に取り付けるため、締め付け部材17で固定する。締め付け部材17としては、着脱が容易なもの、例えば、ゴム弾性を利用した部材を使用することができる。その一例として、Oリングなどを挙げることができる。
その後は第一の実施形態の場合と同様に、粉体供給装置内側の粉体導出管22との接続に用いられた筒状部材(a)30をはずし、次いで袋状部材15および袋状部材を固定している締め付け手段16をはずす。そして粉体供給装置本体10の内部の粉体導入管21と粉体導出管22との接続に用いられた筒状部材(a)30を接続する。以上より、容器20、筒状部材(b)31、粉体導入管21、筒状部材(a)30、粉体導出管22、及び反応釜などの容器50が切れ目なく接続される。したがって粉体の移送はこれらの部材内で行われ、粉体供給装置本体10の内部全面に粉体が漏れることはない。粉体が容器に移送された後は筒状部材(b)31の上下2箇所を結束バンドなどの手段を用いることにより結束し、その中間部を切断する。
【0024】
次に、第三の実施形態について、図9を参照して説明する。図9では、粉体供給装置の上方に粉体が収納された一方の容器20が直接接続され、装置下方に袋状容器60が直接接続されている。
粉体供給装置本体10の下方に突出している粉体導出管22の開口部を覆うように、袋状部材15を固定する。その袋状部材15を覆うように、粉体を収納する予定の袋状容器60を直接、取り付ける。その固定は、好ましくはOリングなどの締め付け部材17で行われる。袋状容器60の開口部が筒状部材(b)と同様の働きをするものであればよい。したがって袋状容器60は好ましくは、可撓性を持つプラスチックフィルム、例えば低密度ポリエチレンのような粉体収納用の袋を使用することが好ましい。
その後、粉体供給装置内側の粉体導入管21と粉体導出管22との接続に用いられた筒状部材(a)30をはずし、次いで袋状部材15をはずす。
その後、粉体が収納された一方の容器20から、粉体導入管21、筒状部材(a)30、粉体導出管22を経て、粉体を収納する袋状容器60に、粉体の移送が行われる。粉体を収納する袋状容器60に粉体が移送された後は、粉体を収納する袋状容器60の上部余剰部2箇所を結束バンドなどの手段を用いることにより結束し、その中間部を切断する。
【符号の説明】
【0025】
100 粉体供給装置
10 粉体供給装置本体
11 操作部
11a グローブ
12a 上方壁
12b 下方壁
12c 側壁部
14 保管庫
15 袋状部材
16 締め付け部材
17 締め付け部材
20 粉体が収納された一方の容器
20a、21a フランジ
21 粉体導入管
22 粉体導出管
24、25、27 接続手段
30 筒状部材(a)
31 筒状部材(b)
32 他方の容器の粉体導入管
40 他方の容器
41 固定治具
42 移送された粉体
43 結束部材
50 反応釜などの容器
60 粉体を収納する予定の袋状容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の容器に収納された粉体を他方の容器へ供給するための粉体供給装置であって、
(A)該装置の上方壁を貫通して粉体導入管が設けられ、
(B)該装置の下方壁を貫通して設けられた粉体導出管が該粉体導入管と筒状部材(a)を介して該装置内部で接続され、かつ該装置外部で粉体導出管の開口部を覆う筒状部材(b)を設けるように粉体導出管が設けられ、
(C)該装置の側壁部に外部から該筒状部材(a)の着脱を可能とする操作部が設けられ、
(D)該筒状部材(a)と該粉体導入管及び該粉体導出管との間で、該操作部で操作して該装置の外部から着脱可能な接続手段が設けられたことを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記筒状部材(a)と粉体導入管及び粉体導出管との間に設けられた接続手段が、内側リングと外側リングが嵌合することにより該筒状部材(a)を該内側リングと外側リングの間に挟持することを特徴とする請求項1記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記操作部と相対する側壁部に使用済みの前記筒状部材(b)を保管する保管部が設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の粉体供給装置。
【請求項4】
一方の容器に収納された粉体を他方の容器へ供給するための粉体供給方法であって、
(E)請求項1〜3のいずれか1項記載の粉体供給装置内部の粉体導入管の開口部と粉体導出管の開口部を覆うように筒状部材(a)を接続し、該粉体供給装置外部の粉体導出管の開口部又は粉体導入管の開口部を覆うように袋状部材の開口部を接続する工程、
(F1)前記袋状部材を覆うように該粉体供給装置外部の粉体導出管の開口部又は粉体導入管の開口部と、他方の容器外部の粉体導入管の開口部又は粉体導出管の開口部とを筒状部材(b)で接続する工程、
(G)粉体導出管の開口部及び/又は粉体導入管の開口部に接続された筒状部材(a)の一端又は両端を取り外し、前記袋状部材を除去し、該袋状部材を保管部に保管する工程、
(H)前記取り外した筒状部材(a)の一端又は両端を前記粉体導出管の開口部又は粉体導入管の開口部に再度接続する工程、
(I)一方の容器に収納された粉体を粉体供給装置内で接続された筒状部材(a)を介して他方の容器へ粉体を供給する工程、
を含む粉体供給方法。
【請求項5】
一方の容器に収納された粉体を他方の袋状容器へ供給するための粉体供給方法であって、
(E)請求項1〜3のいずれか1項記載の粉体供給装置内部の粉体導入管の開口部と粉体導出管の開口部を覆うように筒状部材(a)を接続し、該粉体供給装置外部の粉体導出管の開口部又は粉体導入管の開口部を覆うように袋状部材の開口部を接続する工程、
(F2)前記袋状部材を覆うように該粉体供給装置外部の粉体導出管の開口部又は粉体導入管の開口部と、他方の袋状容器の開口部とを接続する工程、
(G)粉体導出管の開口部及び/又は粉体導入管の開口部に接続された筒状部材(a)の一端又は両端を取り外し、前記袋状部材を除去し、該袋状部材を保管部に保管する工程、
(H)前記取り外した筒状部材(a)の一端又は両端を前記粉体導出管の開口部又は粉体導入管の開口部に再度接続する工程、
(I)一方の容器に収納された粉体を粉体供給装置内で接続された筒状部材(a)を介して他方の袋状容器へ粉体を供給する工程、
を含む粉体供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−84333(P2011−84333A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240911(P2009−240911)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000222174)東洋エンジニアリング株式会社 (69)
【Fターム(参考)】