説明

粉体入り容器の検査方法及び粉体入り容器の検査装置、並びに粉体入り容器の製造方法

【課題】従来の人手作業では検出できなかった粉体を収容した粉体入り容器の容器本体とキャップの接合部での粉体漏れと摺動性の両方を効率よく、確実に大量に検査することができる粉体入り容器の検査装置及び粉体入り容器の検査方法、並びに粉体入り容器の製造方法の提供。
【解決手段】粉体が入った容器本体と該容器の開口部を塞ぐキャップを有する粉体入り容器を検査装置内部に固定した状態で揺動させる揺動手段と、前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転させる回転手段と、前記容器本体と前記キャップの接合部における粉体の漏れを検出する粉体漏れ検出手段と、前記回転手段が前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転時に発生する摺動トルクを測定する摺動トルク測定手段とを少なくとも有する粉体入り容器の検査装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を収容した粉体入り容器の容器本体とキャップの接合部での粉体漏れと摺動性の両方を効率よく、確実に検査することができる粉体入り容器の検査方法及び粉体入り容器の検査装置、並びに粉体入り容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置は、感光体上に形成された静電潜像に現像装置から供給されるトナーの付着により可視像化されて、記録紙に転写され、定着工程で記録紙に定着され、記録物が得られる。したがってトナーは現像により消費されるので、画像形成装置本体に備えられたトナー補給装置により消費された分のトナーが補給されるようになっている。
このようなトナー補給装置には、トナーを収納したトナー収納容器(以下、「トナー入り容器」と称することもある)が着脱可能に設けられており、このトナー入り容器が空となると、予め用意されているトナー充填済みの新しいトナー入り容器と交換される。
【0003】
従来、ポリエチレン、ポリエチレンテフタレート等を材料とした所謂トナーボトルが多く用いられてきた。この態様では交換がトナーボトルのみであるため、コストが安いというメリットがある。しかし、トナーボトル交換の際はボトル口部が剥き出しのため、ユーザが触れたり、付着したトナーでオフィス等を汚してしまったり、画像形成装置が故障したり、色再現性が低下してしまうという問題があった。
そこで、トナーボトルのみではなくボトル先端にキャップを取り付け一体で交換するトナー入り容器方式が多く用いられている。例えば、特許文献1には、円筒形状のトナー容器本体と口部先端にキャップ形状を備えたトナー入り容器構成としている。このような構成をとることにより、ユーザが直接トナーボトルの排出口に触れるのを防ぐことができる。この方式では容器本体とキャップの接合部分に発泡ポリウレタンのシールを用いてトナーをシールしている。
【0004】
具体的には、樹脂成形された容器本体内に、体積平均粒径が3μm〜15μmのトナーを収容する。この容器本体が画像形成装置内部にてトナーを排出するために回転する際に、摺動可能なキャップで封をしたトナー入り容器における、重要な品質の1つとして、容器本体に収容したトナーが漏れないことがある。このため、まず、トナーを収容前の容器本体に圧力をかけて容器本体に孔などが開いていないか検査してから、容器本体にトナーを収容することが一般的に行われている。
このようなトナー入り容器の検査方法としては、例えば、特許文献2に示されるような加圧方式などが知られている。
また、トナー入り容器の容器本体にキャップをした状態で検査する方法として、例えば、特許文献3に示されるような減圧方式、特許文献4に示されるような加圧と減圧の両方を行う方式がある。
しかし、前記方式では、トナー入り容器の容器本体の密閉性は保証できるが、トナー入り容器における容器本体とキャップのシール部の密閉性は検出することができず、漏れない保証はできない。
また、前記特許文献3には、容器の漏れ検査をする目的で、ドラム缶等の容器に栓をしたままの状態で迅速に漏れ検査をすることができる漏れ検査装置の構成が開示されており、容器に蓋をした状態で検査することができる。しかし、この提案では、容器本体とキャップの接合部での密閉性と摺動性を一緒に効率よく検査することができず、前記課題を解決することはできない。
【0005】
また最近のトナー入り容器の容器本体は、収容されたトナーを安定に排出できるように、内側にスパイラルの突起を有し、容器本体を回転させてトナーを排出する機能を有している。
このようなトナー入り容器としては、例えば特許文献5には、少なくとも容器本体及びキャップを有するトナー入り容器において、キャップを固定し容器本体を回転させることで該容器本体の螺旋状溝によって容器本体内に収容されたトナーがキャップの排出口から安定に排出される。このときキャップと容器本体との接合部は摺動しながら回転しており、この接合部には弾性及び通気性のあるスポンジ状の材質が用いられている。
【0006】
このため、トナー入り容器における、もう一つの重要な品質として容器本体とキャップの接合部において容易に摺動可能であることがある。そのため、摺動性と密閉性という、相反する2つの品質を満足することが重要となる。
しかし、先行技術文献では、トナーを収容する容器本体とキャップの摺動性と密閉性という2つの品質を一緒に検査することはできなかった。そのため、従来は、人手作業によって、トナー漏れと摺動トルクの検査を行っており、大量のトナー入り容器を効率よく検査するのは困難であり、検査精度にばらつきが生じ、特にトナー漏れの発見が困難であるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、従来の人手作業では検出できなかった粉体を収容した粉体入り容器の容器本体とキャップの接合部での粉体漏れと摺動性の両方を効率よく、確実に検査することができる粉体入り容器の検査方法及び粉体入り容器の検査装置、並びに粉体入り容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、容器本体内に粉体が収容され、容器本体にキャップをした状態の粉体入り容器を固定し、揺動させることにより収容された粉体を流動化し、容器本体とキャップの接合部の密閉性が損なわれている場合には粉体漏れを起こさせて、漏れた粉体を検出することで粉体漏れの検査を効率よく、確実に行えることを知見した。また、粉体入り容器を画像形成装置に装着した時と同じ状態で、粉体入り容器のキャップを固定し、容器本体を回転させて、容器本体とキャップの接合部の摺動トルクを測定することで、摺動性を効率よく、確実に粉体入り容器を検査できることを知見した。
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 粉体が入った容器本体と該容器の開口部を塞ぐキャップを有する粉体入り容器を検査装置内部に固定した状態で揺動させる揺動手段と、
前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転させる回転手段と、
前記容器本体と前記キャップの接合部における粉体の漏れを検出する粉体漏れ検出手段と、
前記回転手段が前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転時に発生する摺動トルクを測定する摺動トルク測定手段と、
を少なくとも有することを特徴とする粉体入り容器の検査装置である。
該<1>に記載の粉体入り容器の検査装置は、揺動手段と、回転手段と、粉体漏れ検出手段と、摺動トルク測定手段とを少なくとも有している。前記揺動手段により、粉体が入った容器本体と該容器の開口部を塞ぐキャップを有する粉体入り容器を検査装置内部に固定した状態で揺動させる。前記回転手段により、前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転させる。前記粉体漏れ検出手段により、前記容器本体と前記キャップの接合部における粉体の漏れを検出する。前記摺動トルク測定手段により、前記回転手段が前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転時に発生する摺動トルクを測定する。その結果、従来の人手作業では検出できなかった粉体を収容した粉体入り容器の容器本体とキャップの接合部での粉体漏れと摺動性の両方を効率よく、確実に検査することができる。
<2> 粉体がトナーである前記<1>に記載の粉体入り容器の検査装置である。
<3> 水平状態に検査装置内に装着された粉体入り容器を該粉体入り容器のキャップ側部分を水平状態より重力方向に傾斜させる傾斜手段を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置である。
該<3>に記載の粉体入り容器の検査装置においては、粉体入り容器の揺動動作の前に粉体入り容器を該粉体入り容器のキャップ側を水平方向より重力方向に傾斜させる傾斜手段を有するので、粉体入り容器内の粉体をキャップ側に集めることができ、粉体漏れを発生しやすくすることができる。
<4> 水平状態の粉体入り容器、及び傾斜手段により粉体入り容器のキャップ側部分を水平状態より重力方向に傾斜させた状態の粉体入り容器のいずれかを揺動手段により揺動させる前記<1>から<3>のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置である。
<5> 揺動手段が、エアーシリンダ、ロボシリンダ、及びモーターとカム機構の組み合わせのいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置である。
<6> 粉体漏れ検出手段が、キャップと容器本体の接合部全周にわたって粉体漏れを検出する前記<1>から<5>のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置である。
<7> 粉体漏れ検出手段が、画像センサ、カラーセンサ、及び粉塵濃度計のいずれかである前記<1>から<6>のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置である。
該<7>に記載の粉体入り容器の検査装置においては、前記粉体漏れ検出手段として、画像センサを用い、検出範囲を狭くして、容器本体を動かしながら粉体入り容器全体を検査することで、画像センサの画素数N(万画素)、撮影範囲A(mm)のときに、A/10,000N(mm)の粉体汚れを検出することができる。
<8> 摺動トルク測定手段が、ひずみゲージ方式のトルク計である前記<1>から<7>のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置である。
<9> 粉体入り容器に衝撃を付与する衝撃付与手段を有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置である。
<10> 粉体漏れ及び摺動トルク不良の少なくともいずれかが検知された粉体入り容器を異常品として選別する選別手段を有する前記<1>から<9>のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置である。
<11> 粉体入り容器の外部に漏れた粉体を除去するためのクリーニング手段を有する前記<1>から<10>のいずれかに記載の粉体入り容器の検査方法である。
<12> クリーニング手段が粉体入り容器の外部に漏れた粉体を吸引する吸引手段であり、吸引された粉体が粉体漏れ検出手段により検出される前記<11>に記載の粉体入り容器の検査方法である。
<13> 粉体入り容器内に充填される粉体の体積平均粒径が、3μm〜15μmである前記<1>から<12>のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置である。
<14> 粉体が入った容器本体と該容器の開口部を塞ぐキャップを有する粉体入り容器を検査装置内部に固定した状態で揺動させる揺動工程と、
前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転させる回転工程と、
前記容器本体と前記キャップの接合部における粉体の漏れを検出する粉体漏れ検出工程と、
前記回転工程で前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転時に発生する摺動トルクを測定する摺動トルク測定工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする粉体入り容器の検査方法である。
該<14>に記載の粉体入り容器の検査方法においては、揺動工程と、回転工程と、トナー漏れ検出工程と、摺動トルク測定工程とを少なくとも含む。
前記揺動工程において、粉体が入った容器本体と該容器の開口部を塞ぐキャップを有する粉体入り容器を検査装置内部に固定した状態で揺動する。前記回転工程において、前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転させる。前記粉体漏れ検出工程において、前記容器本体と前記キャップの接合部における粉体の漏れを検出する。前記摺動トルク測定工程において、前記回転工程における、前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転時に発生する摺動トルクを測定する。その結果、従来の人手作業では検出できなかった粉体を収容した粉体入り容器の容器本体とキャップの接合部での粉体の漏れと摺動性の両方を効率よく、確実に検査することができる。
<15> 粉体を容器内に充填する充填工程と、
前記充填工程で得られた粉体入り容器を前記<14>に記載の粉体入り容器の検査方法により検査する検査工程と
を含むことを特徴とする粉体入り容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、従来の人手作業では検出できなかった粉体を収容した粉体入り容器の容器本体とキャップの接合部での粉体漏れと摺動性の両方を効率よく、確実に検査することができる粉体入り容器の検査方法及び粉体入り容器の検査装置、並びに粉体入り容器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、粉体入り容器としてのトナー入り容器の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、粉体入り容器としてのトナー入り容器の部分断面図である。
【図3】図3は、本発明の粉体入り容器の検査装置としてのトナー入り容器の検査装置による動作を示すフロー図である。
【図4】図4は、本発明の粉体入り容器の検査装置としてのトナー入り容器の検査装置の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の粉体入り容器の検査装置としてのトナー入り容器の検査装置の他の一例を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の粉体入り容器の検査装置としてのトナー入り容器の検査装置の他の一例を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明の粉体入り容器の検査装置としてのトナー入り容器の検査装置の他の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(粉体入り容器の検査装置及び粉体入り容器の検査方法)
本発明の粉体入り容器の検査装置は、揺動手段と、回転手段と、粉体漏れ検出手段と、摺動トルク測定手段とを少なくとも有してなり、必要に応じて傾斜手段、衝撃付与手段、選別手段、クリーニング手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明の粉体入り容器の検査方法は、揺動工程と、回転工程と、粉体漏れ検出工程と、摺動トルク測定工程とを少なくとも含み、必要に応じて傾斜工程、衝撃付与工程、選別工程、クリーニング工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0013】
本発明の粉体入り容器の検査方法は、本発明の粉体入り容器の検査装置により好適に実施することができ、前記揺動工程は前記揺動手段により行うことができ、前記回転工程は前記回転手段により行うことができ、前記粉体漏れ検出工程は前記粉体漏れ検出手段により行うことができ、前記摺動トルク測定工程は前記摺動トルク測定手段により行うことができ、前記傾斜工程は前記傾斜手段により行うことができ、前記衝撃付与工程は前記衝撃付与手段により行うことができ、前記選別工程は前記選別手段により行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0014】
<揺動工程及び揺動手段>
前記揺動工程は、粉体が入った容器本体と該容器の開口部を塞ぐキャップを有する粉体入り容器を検査装置内部に固定した状態で揺動させる工程であり、揺動手段により実施される。
【0015】
前記粉体入り容器を検査装置内部に固定する固定手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば粉体入り容器を画像形成装置内に固定する手段と同じものを用いることができ、具体的には、粉体入り容器の形状に合わせたケース状の台に載せたり、粉体入り容器のボトル胴体部をエアーシリンダで駆動するアームで保持する手段などが挙げられる。
水平状態の粉体入り容器、及び傾斜手段により粉体入り容器のキャップ側部分を水平状態より重力方向に傾斜させた状態の粉体入り容器のいずれかを揺動手段により揺動させることが、粉体入り容器内の粉体がボトルとキャップの接合部分を効率よく流動化された粉体で覆うことができ、粉体漏れを発生しやすくできる点で好ましい。
前記揺動手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばエアーシリンダ、ロボシリンダ、及びモーターとカム機構の組み合わせのいずれかであることが好ましい。
前記揺動手段による揺動回数、揺動速度などについては特に制限はなく、粉体入り容器内の粉体をより流動化しやすくすることで粉体入り容器の容量や粉体の品種などに応じて適宜調整することができる。
【0016】
−粉体入り容器−
前記粉体入り容器としては、容器本体とキャップとを有してなるものが好ましい。
前記容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状、袋状などが挙げられ、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物である粉体が排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、などが特に好ましい。
前記容器本体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、これらの中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが挙げられる。
【0017】
前記粉体入り容器は、画像形成装置内部に装着した状態で、前記粉体入り容器を回転させる際に、前記容器本体の先端開口部が摺動可能なキャップで封止される形態であることが、粉体を収容した粉体入り容器の容器本体とキャップの接合部での粉体漏れと摺動性の両方を効率よく、確実に検査できる必要がある点で好ましい。
前記粉体入り容器の容器本体は、収容された粉体を安定に排出できるように、内側にスパイラルの突起を有し、容器本体を回転させて粉体を排出する機能を有している。また、摺動可能なキャップに粉体排出口を設けることで、キャップを固定し容器本体を回転することで一定方向からトナーを安定に排出させることができる。
【0018】
ここで、図1は、本発明の粉体入り容器の一例としてのトナー入り容器の一例を示す概略図を示す。このトナー入り容器1は、トナー搬送用の螺旋状の溝2が設けられた円筒状の容器本体3と、該容器本体3と相対的に回転可能なホルダ4とで構成されている。図1中6はキャップである。21は、容器本体3と一体的に回転するギヤであり、該ギヤ21は画像形成装置本体のトナー収納部に設けられた駆動部の駆動ギヤと噛合して、容器本体3を、その回転軸を中心に回転駆動するためのものである。
容器本体3の外周面から内周面にかけて、螺旋状の突起2が設けられている。この螺旋状の突起2は、容器本体3を回転駆動して先端開口部からトナーを排出するためのものである。
【0019】
図2は、図1のトナー入り容器の部分断面図を示す。
ホルダ4は、カバー5と、キャップ6と、シャッタホルダ7とで構成されている。カバー5とキャップ6は接着又は溶着されている。
容器本体3とホルダ4は、カバー5に設けられた爪8にてパッチン止めされ、スラスト方向の抜け止めとなり、円周方向には相対的に回転可能となっている。キャップ6の円周面に取り付けられたシャッタホルダ7にはトナー排出口9が設けられており、トナー入り容器が機械にセットされていない状態ではシャッタ10及びシャッタシール11により外部と遮断されている。
一方、トナー入り容器が画像形成装置本体にセットされるとA方向から図示しないノズルによってシャッタが開かれ、画像形成装置本体と連通しトナーが排出可能となる。
【0020】
また、容器本体3とホルダ4の接合部Bには発泡ポリウレタン製のシール12が設けられている。このシール12は両面テープ等でキャップ6に保持されている。トナー入り容器が画像形成装置本体にセットされるとホルダ4は画像形成装置本体に保持され固定される。容器本体3に設けられたボトルギヤ13は画像形成装置本体に設けられた図示しない駆動ギヤにより駆動を伝達され容器本体3のみが回転され、容器本体内のトナーは排出口9より排出される。
【0021】
接合部Bはボトル口部先端(シール接触面)14がシール12に食い込むことにより外部へトナーが流出するのを防いでいる。しかし、容器本体3とホルダ4の取り付けガタや駆動ギヤ伝達の振動等により、容器本体3が円周方向へ偏心しながら回転することがある(矢印Xのようにホルダに対し中心がずれる)。容器本体3が偏心しながら回転するとシールへ負荷が大きくなり、その状態で摺動を繰り返すと、表面性の低下やシールのへたり等が発生することでシール性が低下し、接合部Bよりトナーが飛散するおそれがある。
【0022】
−粉体−
前記粉体入り容器内に収納される粉体としては、粉体入り容器の容器本体とキャップの接合部での粉体の漏れと摺動性を検査する必要があるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトナー、化粧品原料、医薬品原料、食品原料、化学薬品原料などが挙げられる。これらの中でも、トナーが特に好ましい。
前記トナーとしては、トナーの製造方法、体積平均粒径などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記粉体としてのトナーの体積平均粒径は、3μm〜15μmであることが好ましい。前記体積平均粒径が、3μm未満であると、画像形成装置内でのトナー搬送に悪影響を及ぼすことがあり、15μmを超えると、形成される画像の画質が荒くなってしまうことがある。
前記トナーの体積平均粒径は、例えばBECKMAN COLTER社製Multisizerにより測定することができる。
【0023】
<回転工程及び回転手段>
前記回転工程は、前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転させる工程であり、回転手段により実施される。
この場合、前記キャップを固定手段により固定して前記容器本体を回転させることが、粉体としてトナーを用いた場合には画像形成装置と同様の機構となり前記ボトル形状により粉体をキャップ側に搬送でき、粉体漏れを発生し易くできる点で好ましい。
前記回転手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば粉体としてトナーを用いた場合には画像形成装置と同様にトナー入り容器のギヤ形状を利用してギヤを連結駆動して回転させる手段、ボトル底部をエアーシリンダ等で保持し該保持した部分ごと回転する手段などが挙げられる。
検査時の粉体入り容器の回転速度は、粉体としてトナーを用いた場合には画像形成装置内にトナー入り容器を装着した際の回転速度と同じであり、20rpm〜60rpmであることが好ましい。
【0024】
<粉体漏れ検出工程及び粉体漏れ検出手段>
前記粉体漏れ検出工程は、前記容器本体と前記キャップの接合部における粉体の漏れを検出する工程であり、粉体漏れ検出手段により実施される。
前記粉体漏れ検出手段は、キャップと容器本体の接合部の全周にわたって粉体漏れを検出することが、容器口部の成形不良、容器パッキンの切れ、容器パッキンの欠けによる部分的な粉体漏れも検出できるという検出精度の点で好ましい。
前記粉体漏れ検出手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば画像センサ、カラーセンサ、粉塵濃度計などが挙げられる。
前記粉体漏れ検出手段として、画像センサを用い、検出範囲を狭くして、容器本体を動かしながら粉体入り容器全体を検査することで、画像センサの画素数N(万画素)、撮影範囲A(mm)のときにA/10,000N(mm)の粉体汚れを検出することができる。
前記粉体漏れ検出手段が、漏れた粉体を吸引する吸引手段を備えていることが好ましい。前記吸引手段を有することにより、粉体漏れの検出感度を更に向上させることができる。吸引手段としては、例えば除電エアーを吹き付けて吸引する手段、管状のもので接合部全周を吸引する手段などが挙げられる。
【0025】
<摺動トルク測定工程及び摺動トルク測定手段>
前記摺動トルク測定工程は、前記回転工程で前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転時に発生する摺動トルクを測定する工程であり、摺動トルク測定手段により実施される。
【0026】
前記摺動トルク測定工程は、前記粉体漏れ検出工程と一緒に行うことが、工程のタクトタイムが短縮でき生産性を確保できる点で好ましい。
この場合、前記キャップを固定して前記容器本体を回転させることが、粉体としてトナーを用いた場合には画像形成装置と同じ使用条件で検査できる点で好ましい。
前記摺動トルク測定手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばひずみゲージ方式のトルク計などが挙げられる。前記摺動トルク測定手段としてひずみゲージ方式のトルク計を用いると、ひずみ量を電圧のアナログ値として捉えられ、摺動トルク値が測定範囲において±1%の精度で測定できるので好ましい。
【0027】
<<傾斜工程及び傾斜手段>>
前記傾斜工程は、水平状態に装着された粉体入り容器を該粉体入り容器のキャップ側部分を水平状態より重力方向に傾斜させる工程であり、傾斜手段により実施される。これにより、粉体入り容器内の粉体をキャップ側に集めることができ、粉体漏れを発生しやすくすることができる。
前記傾斜手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばシリンダなどが挙げられる。
前記粉体入り容器のキャップ側部分の傾斜角度は、水平状態から重力方向に20°〜70°であることが好ましい。
【0028】
<<衝撃付与工程及び衝撃付与手段>>
前記衝撃付与工程は、揺動動作後に粉体入り容器に衝撃を付与する工程であり、衝撃付与手段により実施される。これにより、粉体に流動性を付与したり、キャップと容器本体の接合部分に歪みを発生させることで粉体漏れを促すことができ、より厳しい条件で検査することができる。
【0029】
前記衝撃としては、振動及び打撃の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記衝撃付与手段としては、粉体入り容器に衝撃を与え、粉体に流動性を付与したり、キャップと容器本体の接合部分に歪みを発生させることで粉体漏れを起こさせることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば振動付与手段、打撃付与手段、などが挙げられる。
前記振動付与手段としては、例えばエアーバイブレータ、モーターに偏荷重を取り付けて回転させる手段などが挙げられる。
前記打撃付与手段としては、例えばエアーシリンダ、エアノッカーなどが挙げられる。
【0030】
<<選別工程及び選別手段>>
前記選別工程は、粉体漏れ及び摺動トルク不良の少なくともいずれかが検知された粉体入り容器を異常品として選別する工程であり、選別手段により実施される。
【0031】
前記選別手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、予め設定している粉体漏れ及び摺動トルクの規格値を外れた場合、粉体入り容器の検査装置から異常を出力し、不良(NG)品として自動排出されるように構成されているものが好ましい。
前記粉体漏れの規格値としては、粉体漏れ検出手段に応じて異なり一概には規定できないが、例えば画像センサで測定した場合には、粉体漏れによる粉体付着量を面積換算し5mm未満を規格値とする。
前記摺動トルクの規格値としては、摺動トルク測定手段に応じて異なり一概には規定できないが、例えばトルク計で測定した場合には、摺動トルクが5Ncm〜40Ncmを規格値とする。
【0032】
<<クリーニング工程及びクリーニング手段>>
前記クリーニング手段は、粉体入り容器の外部に漏れた粉体を除去する手段であり、例えば粉体漏れが検出された場合には、吸引、エアー噴き付けなどを行い、粉体漏れが次の検査に影響しないように粉体を除去するための手段である。
なお、前記クリーニング手段は、粉体漏れ検出手段としても用いることができる。
前記クリーニン手段において、漏れ粉体を吸引し、配管中にパーティクルカウンターを設けたり、配管中にフィルターを介在させ、フィルターの色変化を検知することで粉体漏れを検出することができる。このような吸引手段を設けることにより、カメラでは検出できないわずかな漏れ、中身と外見の色が同じ場合、見た目では検出しにくい色であっても正確に検出することができる。
また、前記クリーニング手段が粉体入り容器の外部に漏れた粉体を吸引する吸引手段であり、吸引された粉体が粉体漏れ検出手段により検出されるように構成することもできる。
【0033】
−その他の工程及びその他の工程
前記その他の手段としては、例えば検査結果記録手段、内圧差により粉体漏れが生じやすい苛酷な環境を作るための加圧手段又は減圧手段、などが挙げられる。
【0034】
前記検査結果記録手段としては、例えば1ロット毎又は1本毎の粉体入り容器の検査条件及び検査結果などをすべて記録しておくことができ、その検査条件及び検査結果を粉体入り容器の製造工程にフィードバック制御することができる。
この場合、粉体入り容器の成形機と粉体入り容器の検査装置とを直結させておくことができ、成形された粉体入り容器を直ちに検査し、その検査結果を成形機にフィードバックさせて成形条件を調整することができる。
【0035】
ここで、図面を参照して、本発明の粉体入り容器の検査方法及び本発明の粉体入り容器の検査装置の具体的な実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の実施形態の説明では、本発明の「粉体」として「トナー」を用い、本発明の「粉体入り容器の検査装置」を「トナー入り容器の検査装置」に該当し、該「トナー入り容器の検査装置」を用いて行ったトナー入り容器の検査が、本発明の「トナー入り容器の検査方法」に該当する。
【0036】
<第1の実施形態>
ここで、図3は、第1の実施形態のトナー入り容器の検査装置の動作を示すフロー図である。
また、図4は、第1の実施形態のトナー入り容器の検査装置の一例を示す概略図である。
【0037】
−トナー入り容器のセット−
図4に示すトナー入り容器の検査装置30において、樹脂成形された容器本体3にトナーを収容し、キャップ6により封をしたトナー入り容器1を、トナー入り容器セット部23にセットする。トナー入り容器セット部23では、揺動動作の前にトナー入り容器1のキャップ6上部と容器本体3の底部をトナー入り容器固定部24,24で固定することにより、トナー入り容器1の揺動の際にトナー入り容器1をトナー入り容器の検査装置30に固定すると共に、揺動時の衝撃を確保する。
【0038】
−トナー入り容器の揺動−
次に、トナー入り容器の揺動手段26−1を作動させて、トナー入り容器1を揺動させることにより、容器本体3内に収容されたトナーを流動化させてトナー漏れが起きる状態とし、容器本体3とキャップ6との接合部の機密性に不具合があった場合にはトナー漏れを起こさせる。なお、容器本体3内に収容されるトナーの種類や量により揺動の距離、速度、回数を適宜調整することができる。
図4のトナー入り容器の検査装置30では、トナー入り容器の揺動手段26−1としては、エアーシリンダを用いており、トナー入り容器1の軸方向への揺動動作を行うことができる。
【0039】
−トナー入り容器の回転−
トナー入り容器1には、画像形成装置内で該トナー入り容器1を回転させるため容器本体3にはギヤや取手が取り付けられているため、これらを利用して回転させることができる。キャップ6を固定し、容器本体3のみをトナー入り容器の回転手段27,27により回転させる。ここで、前記回転手段としては、容器本体のギヤを利用してモーター駆動する手段を用いている。トナー入り容器の回転速度は20rpm〜60rpmであることが好ましい。
この状態で回転させることで、容器本体3とキャップ6のシール面のパッキン間に入り込んだトナーがある場合にはトナーを排出させてトナー漏れが起きる。また、画像形成装置にトナー入り容器に装着した際と同様の状態で摺動トルクを測定することができる。
【0040】
−トナー漏れ検出−
次に、容器本体3とキャップ6との接合部周辺をトナー漏れ検出手段29にて検査することによりトナー漏れを検出する。トナー漏れ検出手段29としては、例えば画像センサ、カラーセンサ、粉塵濃度計を用いることができる。
トナー漏れ検出手段29として、画像センサ、カラーセンサを用いたときに、キャップ6の形状によりシール部全体が見えない場合には、見える部分を見て容器本体3を回転させることで容器本体3とキャップ6との接合部の全周検査を行う。
【0041】
−摺動トルクの測定−
次に、キャップ6を固定し容器本体3を回転させた時の摺動トルクを測定する。
図4では、トナー入り容器の回転手段27,27に摺動トルク測定手段28を取り付けることによって摺動トルクを測定する。キャップ6を固定し容器本体3を回転させているため、容器本体3とキャップ6の接合部の摺動トルクを測定することができる。
前記摺動トルク測定手段としては、ひずみゲージ方式のトルク計を用いている。
【0042】
−判定−
以上のトナー漏れ検出、及び摺動トルク測定の結果、予め設定しているトナー漏れ及び摺動トルクの規格値を外れたものを不良(NG)品と判定する。そして、NG品は排出手段により選別される。
前記トナー漏れ及び摺動トルクの規格値については、粉体漏れ検出手段及び摺動トルク検出手段に応じて適宜選定することができる。
【0043】
<第2の実施形態>
第2の実施形態のトナー入り容器の検査装置は、図5に示すトナー入り容器の検査装置31を用いる以外は、図2に示す第1の実施形態のトナー入り容器の検査装置と同様であるので、共通する部分についてはその説明を省略する。
図5に示すトナー入り容器の検査装置31では、トナー入り容器の揺動手段26−1によるトナー入り容器1の揺動前にトナー入り容器1を傾斜可能な傾斜手段34を備えている。
この傾斜手段34の作動により、トナー入り容器1のキャップ6側を水平状態から更に下方向へ傾けることができ、トナー入り容器を揺動時の力に重力を付加することになり、容器本体3とキャップ6の接合部の機密性に不具合があった場合に、トナー漏れを起こさせる力を大きくすることが可能となる。
【0044】
<第3の実施形態>
第3の実施形態のトナー入り容器の検査装置は、図6に示すトナー入り容器の検査装置32を用いる以外は、図2に示す第1の実施形態のトナー入り容器の検査装置と同様であるので、共通する部分についてはその説明を省略する。
図6に示すトナー入り容器の検査装置32では、トナー入り容器1の揺動後にトナー入り容器へ打撃や振動を与える衝撃付与手段35をトナー入り容器1のキャップ6付近に備えている。
トナー入り容器1の揺動動作では該トナー入り容器1の軸方向の力によりトナー漏れを起こさせようとしているが、衝撃付与手段35では容器本体3の軸と直角方向からの力を与えることによって、容器本体3とキャップ6との接合部の機密性に不具合があった場合に、トナー漏れを起こさせる力を与えることが可能となる。
【0045】
<第4の実施形態>
第4の実施形態のトナー入り容器の検査装置は、図7に示すトナー入り容器の検査装置33を用いる以外は、図2に示す第1の実施形態のトナー入り容器の検査装置と同様であるので、共通する部分についてはその説明を省略する。
図7に示すトナー入り容器の検査装置32では、トナー入り容器の揺動手段として、モーターとカムを組み合わせた揺動手段26−2を備えている。これによって、揺動速度を任意で変化させることが容易となる。
なお、前記揺動速度は、トナー入り容器の検査装置においてトナー漏れ検査を行うトナー入り容器の大きさやトナーの収容量、つまりはトナー品種によって設定される。
【0046】
本発明の粉体入り容器の検査方法及び粉体入り容器の検査装置は、従来の人手作業では検出できなかった粉体を収容した粉体入り容器の容器本体とキャップの接合部での粉体漏れと摺動性の両方を効率よく、確実に大量に検査することができ、各種用途に用いることができるが、以下の本発明の粉体入り容器の製造方法に用いることが好適である。
【0047】
(粉体入り容器の製造方法)
本発明の粉体入り容器の製造方法は、充填工程と、検査工程とを含み、必要に応じて粉体の作製工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0048】
<<粉体の作製工程>>
前記粉体の作製工程は、粉体を作製する工程である。
前記粉体の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉体がトナーである場合には溶融粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、乳化分散法、などが挙げられる。
【0049】
<充填工程>
前記充填工程は、作製された粉体を粉体入り容器内に充填する工程であり、充填手段により実施される。
前記充填手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば(1)スクリューによる切り出し充填、(2)加圧タンク内で粉体を流動化しタンク内圧力を上昇させることで粉体を供給する加圧充填、(3)流動化した粉体をベローズポンプで供給するポンプ充填、(4)ホッパー内で流動化した粉体を自重により落下させて供給する充填手段などが挙げられる。
【0050】
<検査工程>
前記検査工程は、前記充填工程で得られた粉体入り容器を本発明の前記粉体入り容器の検査方法により検査する工程であり、本発明の粉体入り容器の検査方法は、上述したとおりである。
【0051】
以上、本発明の粉体入り容器の検査方法及び粉体入り容器の検査装置並びに粉体入り容器の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても差支えない。
【実施例】
【0052】
以下、本発明の実施例につき図面を用いて具体的に説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。なお、この実施例は、本発明の「粉体」として「トナー」を用い、本発明の「粉体入り容器の検査装置」を「トナー入り容器の検査装置」として使用する例であり、該「トナー入り容器の検査装置」を用いて行ったトナー入り容器の検査が、本発明の「粉体入り容器の検査方法」に該当する。
【0053】
(実施例1)
ポリエチレン樹脂によりブロー成形された直径115mm、全長620mmの容器本体に、体積平均粒径6μmのトナーを2kg収容した図1に示すようなトナー入り容器を用意した。
図4に示すトナー入り容器の検査装置30を用い、トナー入り容器1をロボット搬送によりトナー入り容器の検査装置に水平状態にセットし、揺動手段26−1としてのエアシリンダを作動させてトナー入り容器1を揺動させた。
揺動動作としては、振り幅25cm、振り速度0.5m/sec、往復回数5回行うことでトナー入り容器の容器本体3に収容されたトナーを流動化させることができた。
次に、トナー入り容器1を画像形成装置にセットした際のトナー入り容器の回転方法と同様にして、トナー入り容器1にあるギヤを利用してトナー入り容器の容器本体3を回転手段(ギア連結駆動)27,27の作動により回転(回転速度20rpm)させながら、トナー漏れが起こった場合に漏れたトナーが付着するトナー入り容器の容器本体のギヤ部上面のトナー漏れを30万画素の画像センサ(オムロン株式会社製、FZ−300)にて検出すると共に、容器本体の回転に要する摺動トルクをひずみゲージ方式のトルク計(共和電業株式会社製、TP−D/E)で測定した。
そして、予め設定しているトナー漏れ及び摺動トルクの規格値(トナーの付着面積5mm未満、摺動トルク5Ncm〜40Ncm)を外れた場合、トナー入り容器の検査装置から異常を出力し、不良(NG)品として自動排出されるように構成されている。
実際、図4に示すトナー入り容器の検査装置30を用い、上記のようにして1日に3,000本のトナー入り容器を検査したところ、不良(NG)品の検出は認められなかった。
【0054】
(実施例2)
図5に示すトナー入り容器の検査装置31を用いて、実施例1と同じトナー入り容器1を実施例1と同様にして、トナー入り容器の検査装置に水平状態にセットした。
次に、トナー入り容器傾斜手段34としての傾斜用のシリンダを作動させて、トナー入り容器のキャップ側を水平状態から重力方向に20度傾斜させて、揺動手段26−1としてのエアシリンダを作動させてトナー入り容器1を揺動させた。
揺動動作としては、振り幅25cm、振り速度0.5m/sec、往復回数5回行うことでトナー入り容器の容器本体3に収容されたトナーを流動化させることができた。
次に、トナー入り容器傾斜手段34を作動させて、トナー入り容器1の傾斜を元の水平状態に戻した。
次に、実施例1と同様にして、トナー漏れ及び摺動トルクを測定した。
そして、予め設定しているトナー漏れ及び摺動トルクの規格値(トナーの付着面積5mm、摺動トルク5Ncm〜40Ncm)を外れた場合、トナー入り容器の検査装置から異常を出力し、不良(NG)品として自動排出されるように構成されている。
実際、図5に示すトナー入り容器の検査装置31を用い、上記のようにして1日に3,000本のトナー入り容器を検査したところ、NG品の検出は認められなかった。
【0055】
(実施例3)
実施例1において、図6に示すトナー入り容器の検査装置32を用い、トナー入り容器の揺動動作後、容器本体3のキャップ6下側5cmの位置に10kgfの打撃を打撃手段35(エアーシリンダ)により2回加えた以外は、実施例1と同様にして、トナーの漏れ及び摺動トルクの検査を行った。
そして、予め設定しているトナー漏れ及び摺動トルクの規格値(トナーの付着面積5mm未満、摺動トルク5Ncm〜40Ncm)を外れた場合、トナー入り容器の検査装置から異常を出力し、不良(NG)品として自動排出されるように構成されている。
実際、図6に示すトナー入り容器の検査装置32を用い、上記のようにして1日に3,000本のトナー入り容器を検査したところ、NG品の検出は認められなかった。
【0056】
(実施例4)
ポリエチレン樹脂によりブロー成形された直径70mm、全長500mmの容器本体内に、体積平均粒径6μmのトナーを500g収容したトナー入り容器を用意した。
このトナー入り容器が前工程のトナー充填装置から搬送され、図7に示すトナー入り容器の検査装置33に、実施例1と同様にして水平状態でセットされる。
次に、図示を省略しているがトナー入り容器傾斜手段を作動させて、トナー入り容器のキャップ6側を水平状態から下方向に45度傾斜させて、モーターとカムを組み合わせた揺動手段26−2を作動させてトナー入り容器1を揺動させた。
揺動動作として振り幅15cm、振り速度0.25m/sec、往復回数2回行うことでトナー入り容器に収容されたトナーを流動化させることができた。
次に、図示を省略しているトナー入り容器傾斜手段を作動させて、トナー入り容器の傾斜を元の水平状態に戻した。
次に、実施例1と同様にして、トナー漏れ及び摺動トルクを測定した。
そして、予め設定しているトナー漏れ及び摺動トルクの規格値(トナーの付着面積5mm未満、摺動トルク5Ncm〜40Ncm)を外れた場合、トナー入り容器の検査装置から異常を出力し、不良(NG)品として自動排出されるように構成されている。
実際、図7に示すトナー入り容器の検査装置33を用い、上記のようにして1日に3,000本のトナー入り容器を検査したところ、NG品の検出は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の粉体入り容器の検査方法及び粉体入り容器の検査装置は、特に容器本体内に粉体を収容した粉体入り容器を画像形成装置内部に装着した状態で、粉体入り容器を回転させる際に、容器本体の先端開口部が摺動可能なキャップで封止される粉体入り容器の粉体漏れ及び摺動トルクの検査を効率よく確実に行うことができるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 トナー入り容器
2 螺旋状の溝
3 容器本体
4 ホルダ
5 カバー
6 キャップ
7 シャッタホルダ
8 爪
9 トナー排出口
10 シャッタ
11 シャッタシール
12 シール
13 ボトルギヤ
21 ギヤ
23 トナー入り容器セット部
24 トナー入り容器固定部
26−1 トナー入り容器の揺動手段
26−2 トナー入り容器の揺動手段
27 トナー入り容器の回転手段
28 摺動トルク測定手段
29 トナー漏れ検出手段
30、31、32、33 トナー入り容器の検査装置
34 傾斜手段
35 衝撃付与手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2000−310901号公報
【特許文献2】特開2004−205453号公報
【特許文献3】特開2000−55770号公報
【特許文献4】特開2003−65887号公報
【特許文献5】特開2006−308781号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が入った容器本体と該容器の開口部を塞ぐキャップを有する粉体入り容器を検査装置内部に固定した状態で揺動させる揺動手段と、
前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転させる回転手段と、
前記容器本体と前記キャップの接合部における粉体の漏れを検出する粉体漏れ検出手段と、
前記回転手段が前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転時に発生する摺動トルクを測定する摺動トルク測定手段と、
を少なくとも有することを特徴とする粉体入り容器の検査装置。
【請求項2】
粉体がトナーである請求項1に記載の粉体入り容器の検査装置。
【請求項3】
水平状態に検査装置内に装着された粉体入り容器を該粉体入り容器のキャップ側部分を水平状態より重力方向に傾斜させる傾斜手段を有する請求項1から2のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置。
【請求項4】
水平状態の粉体入り容器、及び傾斜手段により粉体入り容器のキャップ側部分を水平状態より重力方向に傾斜させた状態の粉体入り容器のいずれかを揺動手段により揺動させる請求項1から3のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置。
【請求項5】
揺動手段が、エアーシリンダ、ロボシリンダ、及びモーターとカム機構の組み合わせのいずれかである請求項1から4のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置。
【請求項6】
粉体漏れ検出手段が、キャップと容器本体の接合部全周にわたって粉体漏れを検出する請求項1から5のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置。
【請求項7】
粉体漏れ検出手段が、画像センサ、カラーセンサ、及び粉塵濃度計のいずれかである請求項1から6のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置。
【請求項8】
摺動トルク測定手段が、ひずみゲージ方式のトルク計である請求項1から7のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置。
【請求項9】
粉体入り容器に衝撃を付与する衝撃付与手段を有する請求項1から8のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置。
【請求項10】
粉体漏れ及び摺動トルク不良の少なくともいずれかが検知された粉体入り容器を異常品として選別する選別手段を有する請求項1から9のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置。
【請求項11】
粉体入り容器の外部に漏れた粉体を除去するためのクリーニング手段を有する請求項1から10のいずれかに記載の粉体入り容器の検査方法。
【請求項12】
クリーニング手段が粉体入り容器の外部に漏れた粉体を吸引する吸引手段であり、吸引された粉体が粉体漏れ検出手段により検出される請求項11に記載の粉体入り容器の検査方法。
【請求項13】
粉体入り容器内に充填される粉体の体積平均粒径が、3μm〜15μmである請求項1から12のいずれかに記載の粉体入り容器の検査装置。
【請求項14】
粉体が入った容器本体と該容器の開口部を塞ぐキャップを有する粉体入り容器を検査装置内部に固定した状態で揺動させる揺動工程と、
前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転させる回転工程と、
前記容器本体と前記キャップの接合部における粉体の漏れを検出する粉体漏れ検出工程と、
前記回転工程で前記容器本体及び前記キャップのいずれかを回転時に発生する摺動トルクを測定する摺動トルク測定工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする粉体入り容器の検査方法。
【請求項15】
粉体を容器内に充填する充填工程と、
前記充填工程で得られた粉体入り容器を請求項14に記載の粉体入り容器の検査方法により検査する検査工程と
を含むことを特徴とする粉体入り容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−149877(P2011−149877A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12516(P2010−12516)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】