説明

粉体接着剤塗布方法

【課題】具体的な材料処方から成る実用性のある粉体接着剤を作製してその実用的かつ具体的な塗布方法を提供する。
【解決手段】軟化点120℃のポリエステル樹脂を100質量%、帯電制御剤を1質量%、ポリエチレンワックスを3質量%を用意し、混合、溶融混練、冷却、粗砕、粉砕、分級して平均体積粒径9μmの粉体粒子とし、この粉体粒子を100質量%と外添剤の微粒シリカを1質量%とを混合し篩別して粉体接着剤を得る。プリンタのモノクロ印字が可能な画像形成ユニットの感光体ドラムに代えて誘電体ローラ34を配設し、光書き込みヘッドを除去し、現像ユニット9に粉体接着剤を収容するように改装する。帯電ローラ8で帯電させた誘電体ローラ34に、現像ローラ11により粉体接着剤をベタ現像する。これを用紙18に転写し、定着ユニット26で定着して、粉体接着剤の用紙18への塗布が完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体接着剤塗布方法に係わり、更に詳しくはトナー状の粉体接着剤を紙面に塗布する粉体接着剤塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の個人のみへ文字情報を伝達するために、一般に、文字記載物を封書の形態にし、開封後に始めて当該個人が文字情報を確認できるようにしていた。
近年、個人情報保護が厳しく問われるようにもなり、各種事業所等では、例えば、個人の各種データ、成績表、給与明細書等の個人情報は、これを文字記載物の内部の印字箇所に記録して、印字箇所の周縁部もしくは文字記載物の全面を接着や圧着により封筒状やカード状にして配布したりしている。
【0003】
このうち、はがきサイズのカード状のものは圧着はがきと呼ばれており、通常の郵便はがきと同じ料金で利用できることから、情報提供者側の利便性が高い印字(印刷)情報秘匿システムとして、広告宣伝のダイレクトメール等にも汎用されている。
【0004】
このような圧着はがき等による印字情報秘匿システムを利用するには、従来、専門の製造業者に委託するか、高価な圧着はがき等製造・印刷装置を導入するかして秘匿情報を作成していた。
【0005】
これらの圧着はがき等製造・印刷装置を用いて秘匿情報を作成するには、接着剤を情報印字の後に塗布する方法や、情報印字の前に塗布する方法等があるが、いずれにしても秘匿情報を大量に作成するという前提が必須であり高価であった。
【0006】
また、そのような製造業者への委託は、個人情報の流出の問題も潜在的に存在しており好ましい秘匿情報の作成方法とはいえない。
ところで、近年、パソコンやプリンタの発達と相侯って、小規模事業所や個人でも利用できるように、少量単位でも簡易に圧着はがきを作成できるようにしたものも提案されている。
【0007】
例えば、感圧接着剤を予め塗布した剥離紙付きはがき用紙が販売されている。これは、2つ折り内部の印字面に所定の文字情報等を印字後に、感圧接着剤部分を圧着して投函用の圧着はがきを完成させるものである。
【0008】
また、例えば、粘着フイルムとはがき用紙を一組にしたものが販売されている。これは、2つ折り内部の印字面に所定の文字情報等を印字後に、2つ折り内部に粘着フイルムを挟むようにして圧着して、投函用の圧着はがきを作成できるようにしたものである。
【0009】
しかしながら、これでもコスト高は避けられず、取り扱いが煩雑であり、個人的に数枚の圧着はがきを作成するのなら良いが、ある程度の枚数単位で、安価で、迅速に、且つ対需要即応体制で作成できるものではない。
【0010】
そこで、粘着剤を内包したマイクロカプセルから成るトナー状粘着剤を静電印刷法により基材の表面に転写してフラッシュ定着させ、接着時には圧力によりマイクロカプセルを破壊しカプセル内の粘着剤を浸出させるようにして、圧着はがきを容易に作成できるとする提案がなされている。また、この提案では、粘着剤を溶融、混練、粉砕した粉砕トナーも示唆されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、事務用プリンタや複写機の交換用の印字用カートリッジに圧着用物質を入れて、それら事務用プリンタ又は複写機による印字作業と同様の操作で圧着用物質を官製はがきや封筒に塗布し、その後、圧着専用機にかけるようにし、圧着専用機にかけるところまでを1台のプリンタ又は複写機で出来るとする提案がなされている。また、この提案では、二つ折りの片面、三つ折の中央両面に圧着用物質を塗布することが示唆されている。(例えば、特許文献2参照。)
また、感熱接着剤を含むトナーを用い、電子写真方式により画像を対需要即応式で作成する方法が提案されている。この提案では、感熱接着剤の軟化温度は電子写真方式用のトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高くなるように構成し、また、感熱接着剤の電子写真方式用トナーに占める割合を5〜60重量%とし、また、感熱接着剤の組成は熱接着性樹脂、ホットメルト及びワックス類からなる群より選ばれる1種類以上を含むようにすることが提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
【特許文献1】特開平09−104849号公報(段落0005、0014、図1、図3、図6)
【特許文献2】特開2000−006553号公報(要約、図なし)
【特許文献3】特開2004−126231号公報(段落0085〜0087、図なし)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の技術は、マイクロカプセル式のトナーについては構成及び組成について記載されてはいるが、粉砕トナーについては単なる思い付き程度に示唆されているのみであり、具体的な組成、製法、及び用法についての記載がなく、これでは、この分野の当業者といえども有用な粉砕トナーを作成することは勿論、試作することさえ出来ない。
【0012】
また、特許文献2の技術は、圧着専用機にかける前までの官製はがきや封筒による印字情報秘匿書類を作成するものであり、投函用に完成するには圧着専用機にかけなければならない点で利便性と経済性に欠けるものであり、また対需要即応性には程遠いものと言わざるを得ない。
【0013】
また、特許文献3の技術では、単に感熱接着剤の軟化温度が電子写真方式用のトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高く設定されているというのみで、感熱接着剤を含むトナーの詳細な処方等の説明はない。
【0014】
ところで、対需要即応性のある圧着はがきの作成方法としては、個人的にも使用できる小型の電子写真式プリンタのトナーカートリッジに収容して使用可能な粉体接着剤を具体的に実現し、その粉体接着剤を現像、転写及び定着によって同プリンタで可変情報を印字(又は印刷、以下同様)した紙面に塗布できればよいと考えられる。
【0015】
但し、そのように印字後の用紙に対する接着剤の塗布を電子写真式プリンタを用いて行うものとすると、粉体接着剤は通常のトナーとほぼ同様の形態のものでないと、接着剤として塗布(現像、転写、及び定着)は出来ないと考えられる。
【0016】
しかしながら、トナー状の圧着はがき用粉体接着剤は、従来の提案技術である上記の各特許文献には思い付き程度に示唆されてはいるものの、既に述べたように具体的な材料処方も具体的な用法も開示されていない。
【0017】
また、そのようなトナー状の圧着はがき用粉体接着剤は今日まで市場に流通もしていない。流通している圧着はがき用粉体接着剤は液状または粘着シート状のものだけである。
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、具体的な材料処方から成る実用性のある粉体接着剤を作製してその実用的かつ具体的な塗布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
先ず、第1の発明の粉体接着剤塗布方法は、トナー状の粉体接着剤を用紙に塗布する粉体接着剤塗布方法であって、静電気により誘電体上に静電潜像を生成し、該静電潜像を上記粉体接着剤にて現像し、該現像された粉体接着剤像を用紙に転写し、該転写した粉体接着剤像を定着器により用紙に定着させる上記各工程を少なくとも含んで成るように構成される。
【0019】
この粉体接着剤塗布方法において、例えば、上記静電気による静電潜像の上記誘電体上への生成には帯電ローラを用い、上記静電潜像の現像には現像ローラを用いて上記誘電体上に対して行われ、上記粉体接着剤像の上記用紙への転写は、転写印加電圧極性を正逆両方向に制御しながら行われる。
【0020】
この場合、例えば、上記誘電体ローラは上記用紙の両側端部に対応する二分割ローラと、上記用紙の全幅又は両側端部を除く中央部分の幅に対応するローラの2つのローラから成るように構成してもよい。
【0021】
また、例えば、上記転写印加電圧極性の制御は、転写部に搬送される上記用紙の被転写部分が上記転写部に在るときは上記粉体接着剤の静電気極性と反対極性の電圧極性に制御され、上記転写部に搬送される上記用紙の被転写部が上記転写部に無いときは上記粉体接着剤の静電気極性と同一極性の電圧極性に制御されることが好ましい。
【0022】
この粉体接着剤塗布方法において、例えば、上記静電気による静電潜像の上記誘電体上への生成は、コロナ放電発生器とグリッド板を用い、グリッド板に印加する電圧を複数個所に分割して印加制御することによって行われるようにしてもよい。
【0023】
次に、第2の発明の粉体接着剤塗布方法は、カラートナーと黒トナーを用いてフルカラーモードの印字とモノクロモードの印字とを選択的に切り替えて印字処理が可能なプリンタを用い、該プリンタのモノクロモード印字が可能な画像形成部において、光書き込みヘッドを取り除き、感光体ドラムに代えて誘電体ローラを配置し、現像部に粉体接着剤を収容し、静電気により上記誘電体ローラに静電潜像を生成し、該静電潜像を上記現像部にて上記粉体接着剤により現像し、該現像された上記粉体接着剤を転写部にて用紙の所定の圧着領域に転写し、該転写された上記粉体接着剤を定着部にて上記用紙に定着するように構成される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、静電気により誘電体上に生成された静電潜像を粉体接着剤にて現像し、その現像された粉体接着剤像を用紙に転写して定着器により定着させるので、用紙への塗布が容易な実用的かつ具体的な粉体接着剤の塗布方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
先ず、トナー状の熱可塑性樹脂粉体からなる粉体接着剤の材料処方及び具体的な作製方法について説明する。
【0026】
結着樹脂として軟化点120℃のポリエステル樹脂を100質量%、帯電制御剤として日本カーリット社製の帯電制御剤LR−147を1質量%、ワックスとして三井化学製のポリエチレンワックスNP−056を3質量%を用意する。
【0027】
これらをケミカルミキサーで混合し、その混合物を二軸押出機によって溶融混練してから冷却し、粗砕した。更に、その粗砕物をI式ジェットミルによって粉砕し、その粉砕物を分級して、平均体積粒径9μmの粉体粒子を得る。
【0028】
そして、この粉体粒子を100質量%と、流動性改良剤としての外添剤である日本アエロジル社製の微粒シリカRY−50を1質量%とを、へンシェルミキサーによって混合し、その混合物を篩別して、トナー状の粉体接着剤を得た。
【0029】
次に、上記の粉体接着剤を塗布する装置について説明する。
図1は、粉体接着剤塗布装置としての電子写真式画像形成装置(以下、塗布兼用プリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0030】
同図に示すように、塗布兼用プリンタ1は、画像形成部2、両面印刷用搬送ユニット3、及び給紙部4で構成されている。上記の画像形成部2は、4個の画像形成ユニット5(5−1、5−2、5−3、5−4)を多段式に並設した構成からなる。
【0031】
上記4個の画像形成ユニット5のうち用紙搬送方向上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット5−1、5−2及び5−3は、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、これら3色を用紙に塗り重ねてフルカラーの画像を形成する。
【0032】
用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット5−4は、本来は、文字やカラー画像の暗黒部分等のクロ(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。但し、黒の画像はMCYの3色をベタ塗りで塗り重ねても得られるので、本例では、クロ(K)トナーを用いずに、画像形成ユニット5−4を、粉体接着剤の塗布専用に改装している。これについて詳しくは後述する。
【0033】
上記の各画像形成ユニット5−1、5−2、及び5−3は、現像ユニットに収容された現像剤(の色)を除き同じ構成である。したがって、以下、画像形成ユニット5−3を例にしてその構成を説明する。
【0034】
画像形成ユニット5は、感光体ドラム6と、この感光体ドラム6の周面に沿って配設されたクリーナ7、帯電ローラ8、現像ユニット9、この現像ユニット9の下部側面の開口部に組み付けられている現像ローラ11を備えている。
【0035】
感光体ドラム6の帯電ローラ8と現像ユニット9の間に位置する上面に近接して、本体装置側の光書き込みヘッド12が配置され、感光体ドラム6の下面に近接して搬送ベルト13が配設されている。そして、この搬送ベルト13を間に挟んで転写器14が感光体ドラム6の下面に向けて押圧されている。
【0036】
搬送ベルト13は、駆動ローラ15と従動ローラ16に掛け渡されて、駆動ローラ15により駆動され、図の反時計回り方向に循環移動する。
尚、この塗布兼用プリンタ1は、上記の改装の有無とは係わり無く、フルカラー印字モードのときには、搬送ベルト13の上循環移動部が4つの画像形成ユニット5の感光体ドラム6(本例では画像形成ユニット5−4では、感光体ドラム6に代わって誘電体ローラ34が配設されている)に当接している。
【0037】
そして、モノクロ印字モードのときには、搬送ベルト13の上循環移動部が上流側の3つの画像形成ユニット5−1、5−2、及び5−3の感光体ドラム6から離れるように下方に移動し、黒トナーの画像形成を受け持つ画像形成ユニット5−4の感光体ドラム6(本例では粉体接着剤の塗布を受け持つ画像形成ユニット5−4の誘電体ローラ34)のみに当接するように構成されている。
【0038】
上記の感光体ドラム6は、図の時計回り方向に回転する。そして先ず帯電ローラ8からの電荷付与により、感光体ドラム6の周面が一様に帯電して初期化される。次に、印字情報に基づく光書き込みヘッド12からの光書き込みにより、感光体ドラム6の周面に静電潜像が形成される。
【0039】
そして、この静電潜像は、現像ローラ11による現像処理によって、現像ユニット9に収納したトナーによりトナー像化(現像)される。
このようにして感光体ドラム6の周面に現像されるトナー像は、感光体ドラム6の回転に伴われて、感光体ドラム6と転写器14とが対向する転写部に到達する。
【0040】
他方、給紙部4の給紙カセット17には多枚数のカット状の用紙18が収容されている。用紙18は、給紙コロ19の一回転によって給紙カセット17から搬出され、搬送案内路21を通って待機ローラ対22に給送される。あるいは、開成された装着部23に装着されたMPFトレイ24上から給紙コロ25によって待機ローラ対22に給送される。
【0041】
待機ローラ対22は、用紙18の印字開始位置が紙搬送方向最上流の画像形成ユニット5−1の感光体ドラム6のトナー像の先端に一致するタイミングで搬送ベルト13上に給送する。
【0042】
用紙18は、この循環移動する搬送ベルト13の上面に静電的に吸着されて搬送され、感光体ドラム6の直下を用紙搬送方向上流側から下流側へ搬送ベルト13と共に移動する。
【0043】
そして、用紙18は、画像形成ユニット5−1の転写部で最初の色のトナー像を転写され、画像形成ユニット5−2の転写部で次に色のトナー像を転写され、画像形成ユニット5−3の転写部で3番目のトナー像を転写される。
【0044】
尚、本例における上記のフルカラー印字モードにおける印字処理では、画像形成ユニット5−1、5−2、及び5−3が印字状態に設定され、画像形成ユニット5−4は、非印字状態に設定される。
【0045】
上記のように3色のトナー像を重ねて転写された用紙18は、定着ユニット26に搬入される。定着ユニット26は、熱ローラ26a、押圧ローラ26b、及びクリーナ26cで構成され、用紙18を上述の熱ローラ26aと押圧ローラ26b間に挟持して搬送しながら、トナー像を溶融し紙面に圧着して定着する。また、クリーナ26cは熱ローラ26aに残留するトナーを除去する。
【0046】
このように、定着ユニット26によってトナー像を定着された用紙18は、切換板27が上に回動しているときは、搬出ローラ28によって画像形成面を上にして機外に排出され、切換板27が下に回動しているときは、搬送ローラ29により上に案内され排紙ローラ31によって画像形成面を下にして排紙部32に排出される。
【0047】
また、両面印刷用搬送ユニット3は、装置本体に対して着脱自在に構成され、本例の塗布兼用プリンタ1によって両面印刷を行う際に装着されるユニットである。この両面印刷用搬送ユニット3は、内部に複数の搬送ローラ33a〜33eが配設されている。
【0048】
両面印刷の場合には、上記切換板27によって一旦上方に用紙18が送られ、例えば用紙18の後端が搬送ローラ29に達した時、用紙18の搬送を停止し、更に用紙18を逆方向に搬送する。
【0049】
この制御によって、用紙18は点線で示す位置に設定された切換板27の左側を下方に搬送され、両面印刷用搬送ユニット3の用紙搬送路に搬入され、搬送ローラ33a〜33eによって用紙が返送される。
【0050】
返送された用紙18は、再び搬送案内路21を通って待機ローラ対22に達し、前述と同様トナー像と一致するタイミングで転写部に送られ、トナー像が用紙の裏面に転写される。
【0051】
そして、粉体接着剤の塗布では、モノクロ印字モードが設定され、搬送ベルト13が、粉体接着剤の塗布を受け持つ画像形成ユニット5−4の誘電体ローラ34のみに当接する。
【0052】
このような各構成部の動作を制御するための制御装置を搭載した回路基板が、両面印刷用搬送ユニット3と給紙部4との間の電装部35に装着されている。
制御装置は、特には図示しないが、プリンタコントローラとエンジンコントローラから成る。プリンタコントローラは、マイクロプロセッサ等からなるCPU(中央演算処理装置)と、そのCPUに接続するプログラムROM(Read Only Memory)、ページバッファ、画像メモリ、ビデオ転送回路、I/F(インターフェース)コントローラ等で構成される。
【0053】
上記のビデオ転送回路は外部回路であるプリンタエンジンに接続され、I/Fコントローラはホストコンピユータ等に接続される。
プログラムROMは、制御装置をホストコンピユータと連係して動作させるためのプログラムを格納し、CPUは、そのプログラムに基づいて、ホストコンピユータから送信される印字情報に基づく印字処理の制御を実行する。
【0054】
I/Fコントローラは、ホストコンピユータから送信される印字情報を入力する。ページバッファは、ホストコンピユータから入力する複数ページ分の印字情報をページ単位で一時的に記憶し、画像メモリは、用紙一枚分(1ページ分)のビットイメージを展開する。
【0055】
ビデオ転送回路は、画像メモリに展開されたビットイメージデータを線順次にエンジンコントローラに転送し、1ライン転送毎に、インタラプト信号をCPUに出力する。これにより、CPUは、画像メモリの転送済み領域を認識して、後続ページのイメージデータを展開する。
【0056】
また、CPUは、粉体接着剤の塗布処理のときは、処理方式を後述する処理に変更する。
他方、エンジンコントローラも、特には図示しないが、CPUとプログラムROMを備えている。このエンジンコントローラのCPUには、上記プリンタコントローラのCPUから画像形成実行命令が入力される。
【0057】
エンジンコントローラのCPUは、画像形成実行命令を受け取ると、図1には図示を省略したモータのエンジン(駆動ドライバ)を制御してモータを回転駆動する。
モータの動力は、不図示のギア系を介して給紙コロ19又は25、感光体ドラム6又は誘電体ローラ34、現像ユニット9の各部(現像ローラ11、供給ローラ、撹拌部材等)、定着ユニット26の熱ローラ26aと押圧ローラ26b、搬出ローラ28、搬送ローラ29等に伝達される。これにより、上述した画像形成工程の駆動が開始される。
【0058】
図2は、上述した用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット5−4及びその近傍の構成を模式的に示す図である。尚、図2には、図1と同一構成又は同一機能の部分には図1と同一の番号を付与して示している。また、図2には、図1では説明を省略したクリーナ7のクリーニングブレード36、現像ユニット9内のドクターブレード37、供給ローラ38も示している。また、転写器14を転写ローラ14´として示している。
【0059】
図2に示すように、画像形成ユニット5−4及びその近傍の構成では、感光体ドラム6に代えて誘電体ローラ34が配設され、帯電ローラ8と現像ユニット9の間に配置されていた光書き込みヘッド12が除去されている。
【0060】
この現像ユニット9の中には、前述した粉体接着剤が収容されている。この粉体接着剤は、供給ローラ38によって現像ローラ11に供給され、この現像ローラ11に供給された粉体接着剤は、ドクターブレード37によって一定の層厚に規制される。
【0061】
この構成において、誘電体ローラ34は、帯電ローラ8から印加される電荷によって所定の電位パターンが形成される。この電位パターンは、現像ローラ11により粉体接着剤の像が現像される。
【0062】
この現像された粉体接着剤像は、転写ローラ14´により用紙18に転写される。この用紙18への粉体接着剤の転写では、転写ローラ14´に印加される転写印加電圧の極性は、転写部(誘電体ローラ34と転写ローラ14´との対向部)に搬送される用紙18の被転写部分が転写部に在るときは、粉体接着剤の静電気極性と反対極性の電圧極性に制御される。
【0063】
そして、上記転写部に搬送される用紙18の被転写部が転写部に無いときは、粉体接着剤の静電気極性と同一極性の電圧極性に制御される。
このように、転写ローラ14´への印加電圧極性を変えることにより、粉体接着剤の用紙18への転写を適切に行うことができ、用紙18が無いときに搬送ベルト13に粉体接着剤が転写される不具合を防止することができる。
【0064】
また、3枚折り圧着はがきを作成する際には、圧着はがきの両面に、粉体接着剤が塗布される部分と塗布されない部分を形成する必要があるが、そのような場合にも、3枚折り圧着はがきの折り目を搬送方向に直角に設定し、転写ローラ14´への印加電圧極性を変えることにより対応することができる。
【0065】
上記のようにして用紙18に転写された粉体接着剤像は、定着ユニット26に送り込まれて定着される。この定着では、用紙18に転写された粉体接着剤が熱ローラ26aからの加熱により溶融して用紙18に定着される。
【0066】
粉体接着剤像を定着された用紙18は、機外に排出される。すなわち、粉体接着剤の塗布が完了する。
転写されずに誘電体ローラ34上に残留した粉体接着剤は、クリーナ7のクリーニングブレード36によって誘電体ローラ34上から除去される。
【0067】
(実施形態2)
図3は、実施形態2としての画像形成ユニット5−4及びその近傍の構成を模式的に示す図である。尚、図3には、説明に必要な部分及び図2と異なる構成部分にのみ番号を付与して示し、その他の構成部分には番号の図示は省略している。
【0068】
図3に示すように、本例では、誘電体ローラ34に当接する帯電ローラが帯電ローラ8aと帯電ローラ8bとに分かれている。
また、本例では、クリーニングブレード36によって誘電体ローラ34上から除去した粉体接着剤を、搬送スクリュウを内蔵したパイプから成る回収搬送機構39によって、クリーナ7から現像ユニット9へと回収するようにしている。
【0069】
図4は、上記2つに分けられている帯電ローラ8aと帯電ローラ8bの斜視図である。本例では、帯電ローラ8aは接地電位となるように設定され、帯電ローラ8bには+600Vの電圧が印加されている。そして、図3に示した現像ローラ11には、+100Vの現像バイアスが印加されている。
【0070】
これにより、帯電ローラ8aが接触している誘電体ローラ34の中央部分は、現像ローラ11の現像バイアスに対してマイナス電位となり、帯電ローラ8bが接触している誘電体ローラ34の両側端部分は、現像ローラ11の現像バイアスに対してプラス電位となる。
【0071】
本例において、粉体接着剤は、その帯電極性が帯電制御剤によってマイナスになるように構成されているので、粉体接着剤は、誘電体ローラ34の帯電ローラ8bに対応する両側端部分に現像される。
【0072】
この誘電体ローラ34の両側端部分に現像された粉体接着剤は、+500Vの転写バイアスが印加されている転写ローラ14によって、用紙18の両側端部分に転写される。
図5は、用紙18の両側端部分に転写された粉体接着剤41を示している。この用紙18に転写された粉体接着剤41は、定着ユニット26により、用紙18に定着される。
【0073】
この用紙18を中央部分aで二つに折り曲げて粉体接着剤41の部分を圧着すれば紙袋の容器が出来上がる。
なお、上記実施の形態では、帯電ローラ8a、8bを用いて誘電体ローラ34に電荷を与えているが、誘電体ローラ34に電荷を与える方法は帯電ローラ8a、8bに限ることなく、例えば、コロトロン、スコロトロンを用いてもよい。
【0074】
また、用紙18の両側端部に粉体接着剤を塗布するように、帯電ローラ8aを接地電位、帯電ローラ8bに+600Vの電圧を印加して、粉体接着剤の塗布パターンを誘電体ローラ34に形成しているが、これに限ることなく、例えば、両帯電ローラへの電圧印加タイミングを変えて、それぞれ+600Vの電圧を印加するようにしてもよい。
【0075】
これにより、粉体接着剤の塗布パターンを変えることができる。これを実施形態3として以下に説明する。
(実施形態3)
図6は、2つに分けられている帯電ローラ8aと帯電ローラ8bに印加される帯電電位の他の例を示す図である。図6は上に帯電ローラ8aに印加する電荷の印加タイミングをH(+600V)とL(接地電位)で示し、下に帯電ローラ8bに印加する電荷の印加タイミングを同じくH(+600V)とL(接地電位)で示している。
【0076】
同図の上に示すように、帯電ローラ8aには、用紙18の先端部分の狭い範囲の部分に対応する時間t1〜時間t2の間と、用紙18の後端部分の狭い範囲の部分に対応する時間t3〜時間t4の間だけ、H(+600V)の帯電電荷が印加される。
【0077】
これに対して、帯電ローラ8bには、実施形態2の場合と同様に、用紙18の両側端部の用紙先端から後端まで全域にわたる範囲に対応する時間t1〜時間t4の間、H(+600V)の帯電電荷が印加される。
【0078】
図7は、上記の方法により用紙18に転写された粉体接着剤41の転写状態を示している。図7に示すように、粉体接着剤41は、用紙18の先端部分と後端部分の狭い範囲の部分と両側端部分の狭い範囲の部分、つまり用紙18の周囲に転写されている。
【0079】
この用紙18に転写された粉体接着剤41は、定着ユニット26により、用紙18に定着される。
この用紙18を中央部分aで二つに折り曲げて粉体接着剤41の部分を圧着すれば周囲全てが封印された封筒が出来上がる。
【0080】
上記の用紙18の4辺それぞれの粉体接着剤41が転写される部分の内側に、予めミシン目42を入れておくと、この封筒の受取人は、圧着部分を容易に切り取って除去することができ、中に記載された自分用だけの秘匿情報を読むことができる。
【0081】
(実施形態4)
上記の実施形態ではいずれも誘電体ローラ34を帯電ローラによって帯電させているが、これに限ることなく、例えば、コロナ放電ワイヤとグリッド板で帯電器を構成してもよい。
【0082】
図8(a) は、コロナ放電ワイヤとグリッド板で構成された帯電器と、この帯電器により帯電電荷を形成された誘電体ローラから粉体接着剤を転写された3枚折り圧着はがきを示す図であり、同図(b) は、帯電器への印加電圧の例を示す図である。
【0083】
図2の帯電ローラ8に代わって誘電体ローラ34の周面に近接して配置される図8(a) に示す帯電器43のグリッド板44は、複数個所の領域(本例では、分割領域44−1〜44−5の5つ)に分割され、それぞれに印加される電圧が個別に制御される。
【0084】
図8(a) に示すように、3枚折り圧着はがき45の切手を貼って宛名書きを記載する面45−1を有する表面は、三つ折りにする際に内側となる面45−2に粉体接着剤41を塗布することになる。そして、この場合は、グリッド板44の分割領域44−3と44−4に、図8(b) に示すようなパルス状の帯電電圧が印加される。
【0085】
このパルス状の帯電電圧の印加により、誘電体ローラ34には用紙搬送方向に見て左側2/3の周面に網点状の静電潜像が形成される。そして、その網点状の静電潜像が粉体接着剤41により現像され、この現像された網点状の粉体接着剤像が3枚折り圧着はがき45に、図8(a) に示すように転写され、定着される。
【0086】
続いて、3枚折り圧着はがき45の非秘匿情報を記載する面45−3を有する裏面は、三つ折りにする際に内側となる面45−4に粉体接着剤41を塗布することになる。そして、この場合は、グリッド板44の分割領域44−2と44−3に、図8(b) に示すようなパルス状の帯電電圧が印加される。
【0087】
このパルス状の帯電電圧の印加により、誘電体ローラ34には用紙搬送方向に見て右側2/3の周面に網点状の静電潜像が形成される。そして、その網点状の静電潜像が粉体接着剤41により現像され、この現像された網点状の粉体接着剤像が3枚折り圧着はがき45に、図8(a) に示すように転写され、定着される。
【0088】
上記のグリッド板44の孔の大きさを変えることにより、誘電体ローラ34に形成される静電潜像の網点の大きさと密度を容易に変えることができ、これにより、粉体接着剤の接着力と剥離力を調整することができる。
【0089】
(実施形態5)
図9(a) は、図1に示した塗布兼用プリンタ1の用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット5−4及びその近傍の構成を変更(改装)せずにそのまま粉体接着剤41の塗布に使用する場合を模式的に示す図であり、図9(b) は、図2の構成を更に圧着はがき専用に構成した図である。
【0090】
尚、図9(a) は、図1に示した画像形成ユニット5−1〜5−3と同一の構成部分には図1と同一の番号を付与して示している。また、現像ユニット9をトナーホッパ9−1と現像部9−2に分けて示し、用紙搬送方向を矢印bで示している。トナーホッパ9−1には黒トナーに代えて粉体接着剤41が収容されている。
【0091】
この場合は、光書き込みヘッド12により、感光体ドラム6上に網点画像の静電潜像が形成され、その網点画像が現像ローラ11により現像され、その現像された網点の粉体接着剤41が用紙18に転写されて、定着される。
【0092】
図9(b) に示す構成は、圧着はがき45の折り目を用紙搬送方向に直角になるように設定し、そのときの圧着はがき45の送り幅に合わせて、図2に示した構成の現像ローラ11と誘電体ローラ34及び帯電ローラ8の幅を狭く構成したものである。尚、図9(b) には帯電ローラ8の図示を省略している。用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット5−4を圧着はがき45の塗布専用に改装するときは、このような構成にすると部材が小型化されて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施形態1における粉体接着剤塗布装置としての塗布兼用プリンタの内部構成を説明する断面図である。
【図2】実施形態1における塗布兼用プリンタの用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット及びその近傍の構成を模式的に示す図である。
【図3】実施形態2としての用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット及びその近傍の構成を模式的に示す図である。
【図4】実施形態2における用紙搬送方向最下流の画像形成ユニットの2つに分けられている帯電ローラの斜視図である。
【図5】実施形態2における用紙搬送方向最下流の画像形成ユニットにおいて用紙の両側端部分に転写された粉体接着剤を示す図である。
【図6】実施形態3における用紙搬送方向最下流の画像形成ユニットにおいて2つに分けられている帯電ローラに印加される帯電電位の他の例を示す図である。
【図7】実施形態3における帯電ローラへの帯電電位印加方法により用紙に転写された粉体接着剤の転写状態を示す図である。
【図8】(a) はコロナ放電ワイヤとグリッド板で構成された帯電器とこの帯電器により帯電電荷を形成された誘電体ローラから粉体接着剤を転写された3枚折圧着はがきを示す図、(b) は帯電器への印加電圧の例を示す図である。
【図9】(a) は図1の塗布兼用プリンタの用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット及びその近傍の構成を変更(改装)せずにそのまま粉体接着剤の塗布に使用する場合を模式的に示す図、(b) は図2の構成を更に圧着はがき専用に構成した図である。
【符号の説明】
【0094】
1 塗布兼用プリンタ
2 画像形成部
3 両面印刷用搬送ユニット
4 給紙部
5(5−1、5−2、5−3、5−4) 画像形成ユニット
6 感光体ドラム
7 クリーナ
8、8a、8b 帯電ローラ
9 現像ユニット
11 現像ローラ
12 光書き込みヘッド
13 搬送ベルト
14 転写器
14´ 転写ローラ
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
17 給紙カセット
18 用紙
19 給紙コロ
21 搬送案内路
22 待機ローラ対
23 装着部
24 MPFトレイ
25 給紙コロ
26 定着ユニット
26a 熱ローラ
26b 押圧ローラ
26c クリーナ
27 切換板
28 搬出ローラ
29 搬送ローラ
31 排紙ローラ
32 排紙部
33a〜33e 搬送ローラ
34 誘電体ローラ
35 電装部
36 クリーニングブレード
37 ドクターブレード
38 供給ローラ
39 回収搬送機構
41 粉体接着剤
42 ミシン目
43 帯電器
44 グリッド板
45 3枚折り圧着はがき

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー状の粉体接着剤を用紙に塗布する粉体接着剤塗布方法であって
静電気により誘電体上に静電潜像を生成し、
該静電潜像を前記粉体接着剤にて現像し、
該現像された粉体接着剤像を用紙に転写し、
該転写した粉体接着剤像を定着器により用紙に定着させる、
上記各工程を少なくとも含んで成ることを特徴とする粉体接着剤塗布方法。
【請求項2】
前記静電気による静電潜像の前記誘電体上への生成には帯電ローラを用い、前記静電潜像の現像には現像ローラを用いて前記誘電体上に対して行われ、
前記粉体接着剤像の前記用紙への転写は、転写印加電圧極性を正逆両方向に制御しながら行われる、
ことを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項3】
前記帯電ローラは前記用紙の両側端部に対応する二分割ローラと、前記用紙の全幅又は両側端部を除く中央部分の幅に対応するローラの2つのローラから成る、ことを特徴とする請求項2記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項4】
前記転写印加電圧極性の制御は、
転写部に搬送される前記用紙の被転写部分が前記転写部に在るときは前記粉体接着剤の静電気極性と反対極性の電圧極性に制御され、
前記転写部に搬送される前記用紙の被転写部が前記転写部に無いときは前記粉体接着剤の静電気極性と同一極性の電圧極性に制御される、
ことを特徴とする請求項2又は3記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項5】
前記静電気による静電潜像の前記誘電体上への生成は、コロナ放電発生器とグリッド板を用い、グリッド板に印加する電圧を複数個所に分割して印加制御することによって行われる、ことを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項6】
カラートナーと黒トナーを用いてフルカラーモードの印字とモノクロモードの印字とを選択的に切り替えて印字処理が可能なプリンタを用い、
該プリンタのモノクロモード印字が可能な画像形成部において、光書き込みヘッドを取り除き、感光体ドラムに代えて誘電体ローラを配置し、現像部に粉体接着剤を収容し、
静電気により前記誘電体ローラに静電潜像を生成し、
該静電潜像を前記現像部にて前記粉体接着剤により現像し、
該現像された前記粉体接着剤を転写部にて用紙の所定の圧着領域に転写し、
該転写された前記粉体接着剤を定着部にて前記用紙に定着する、
ことを特徴とする粉体接着剤塗布方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−38142(P2007−38142A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225535(P2005−225535)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】