説明

粉体搬送装置及び画像形成装置

【課題】ロックが発生しにくく、たとえロックが発生したとしても不具合の発生箇所を検知可能な粉体搬送装置を提供する。
【解決手段】粉体を搬送する搬送管35と、搬送管35内の粉体を所定方向に搬送する搬送部材とを有する粉体搬送装置において、搬送部材としてフレキシブルスクリュ36を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体搬送装置に関し、詳しくは複写装置や記録装置等の画像形成装置において作像機構部から排出される廃トナーを回収部に搬送する廃トナー搬送装置として好適な粒体を含む粉体を搬送する粉体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体と、トナーを供給して像担持体上に形成された静電潜像を顕像化する現像装置と、顕像化されたトナー像を転写材に転写させる転写装置と、転写後の像担持体表面から残留トナーを回収するクリーニング装置と、クリーニング装置により回収されたトナーを再び現像装置へと搬送する搬送装置とを有し、回収されたトナーを現像装置へと搬送して再利用可能な画像形成装置が知られている。この画像形成装置に用いられる搬送装置として、トナー等の粉体を好適に搬送することが可能なスクリュを有するものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したスクリュを有する搬送装置ではスクリュにトナーが固着してロックしてしまう場合があり、この場合にはロック検知機構によりスクリュのロックが検知されて搬送装置が緊急停止する構成が知られている。しかし、トナー搬送経路が長く搬送装置に長尺のスクリュが用いられている場合にはロックが発生している不具合箇所が複数予測され、復旧の際には複数箇所を一つずつ調査する必要があり作業性が悪いという問題点がある。
本発明は上述した問題を解決し、ロックが発生しにくく、たとえロックが発生したとしても不具合の発生箇所を検知可能な粉体搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、粉体を搬送する搬送管と、前記搬送管内の粉体を所定方向に搬送する搬送部材とを有する粉体搬送装置において、前記搬送部材としてフレキシブルスクリュが用いられることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の粉体搬送装置において、さらに前記フレキシブルスクリュにかかるトルクを検知して前記フレキシブルスクリュがロックしたことを検知するロック検知手段を有することを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の粉体搬送装置において、さらに前記フレキシブルスクリュがロックした際の前記フレキシブルスクリュの回転角度を検知する角度検知手段を有することを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の粉体搬送装置において、さらに前記角度検知手段の検知結果に基づいて前記フレキシブルスクリュのロック箇所を演算する演算手段を有することを特徴とする。
【0008】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の粉体搬送装置において、さらに前記演算手段による演算結果を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の粉体搬送装置を有する画像形成装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粉体搬送装置がフレキシブルスクリュを有していることにより、通常のスクリュに比して回転トルクに対する剛性が大幅に低くなって変形し易くなり、トナーのロックが発生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を採用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を採用した画像形成装置の概略背面図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられる粉体搬送装置を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態を採用した画像形成装置としてのカラーレーザプリンタを示している。同図において符号100は装置本体を示しており、装置本体100の内部にはそれぞれドラム状の感光体2Y,2M,2C,2Kを有する画像形成部1Y,1M,1C,1Kが配設されている。各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、図1に矢印で示す駆動方向順に帯電装置3Y,3M,3C,3K、現像装置7Y,7M,7C,7K、クリーニング装置5Y,5M,5C,5K等の周知の構成が配設されており、各画像形成部1Y,1M,1C,1Kの上方には露光装置4が、各画像形成部1Y,1M,1C,1Kの下方には中間転写ベルト10がそれぞれ配設されている。複数のローラによって張架された中間転写ベルト10はその上辺が各感光体2Y,2M,2C,2Kと接触する態様で配設されており、中間転写ベルト10を介して各感光体2Y,2M,2C,2Kと対向する位置には1次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kが配設されている。中間転写ベルト10の近傍には、中間転写ベルト10上に残存したトナーや紙粉等を除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が配設されている。
【0013】
装置本体100の下部には給紙装置43が配設されている。給紙装置43は、転写紙Pを貯容する2個の給紙トレイ44を有しており、各給紙トレイ44内に貯容された転写紙Pはそれぞれ給紙ローラ42及び分離ローラ対45によって分離給送され、複数のローラ対を経てレジストローラ対49へと送られる。レジストローラ対49の転写紙搬送方向下流側には、2次転写ローラ8、搬送コンベヤ9、定着装置25等の周知の構成が配設されている。装置本体100の上面には、各種情報を表示可能な表示手段としてのディスプレイ123が配設されている。
【0014】
上述した画像形成装置の動作を以下に説明する。各感光体2は図示しない駆動手段によってそれぞれ回転駆動され、各帯電装置3によってそれぞれ表面を帯電された後に露光装置4からのレーザ光によって表面に静電潜像を形成される。各感光体2上に形成された静電潜像は各現像装置7によって可視像化され、可視像化された各トナー像は各1次転写ローラ6の作動により中間転写ベルト10上に順次重畳転写される。一方、給紙装置43からは転写紙Pが分離給送され、分離給送された転写紙Pはレジストローラ対49において一時停止される。そして、中間転写ベルト10上に形成されたフルカラートナー像とタイミングを合わせてレジストローラ対49が回転駆動することにより、2次転写ローラ8と中間転写ベルト10との対向位置に転写紙Pが給送され、2次転写ローラ8が作動することで中間転写ベルト10上のフルカラートナー像が転写紙Pに2次転写される。画像が転写された転写紙Pは搬送コンベヤ9によって定着装置25へと運ばれ、熱と圧力とによって画像を定着された後に排出ローラ対56を介して排紙トレイ57上に排出される。
【0015】
画像形成動作後、各感光体2は各クリーニング装置5によってその表面をそれぞれクリーニングされて残留トナーを除去される。中間転写ベルト10も中間転写ベルトクリーニング装置17によってその表面をクリーニングされて残留トナーを除去される。各クリーニング装置5,17によって回収されたトナーは、各クリーニング装置5,17に接続された粉体搬送装置に送られ、この粉体搬送装置によってトナー溜め部に搬送される。
【0016】
図2は、図1に示した画像形成装置を背面側から見た図であり、図中の符号31は各クリーニング装置5から回収されたトナーを搬送する本発明の特徴部である粉体搬送装置を、符号32はクリーニング装置17から回収されたトナーを搬送する粉体搬送装置を、符号33は各粉体搬送装置31,32によって搬送されたトナーを搬送する本発明の特徴部である粉体搬送装置を、符号34はトナー溜め部を示している。
【0017】
図3は粉体搬送装置31の概略構成を示している。粉体搬送装置31は粉体を搬送する搬送管35と搬送部材としてのフレキシブルスクリュ36とを有しており、搬送管35は各クリーニング装置5にそれぞれ近接するように配置され、各クリーニング装置5から排出されるトナーを受け入れる図示しないトナー受入口と、各クリーニング装置5から受け入れたトナーを粉体搬送装置32に受け渡す図示しないトナー排出口を有している。フレキシブルスクリュ36は、ステンレスやピアノ線等の弾性変形可能な弾性体によって形成されており、搬送管35内に2本設けられている。各フレキシブルスクリュ36にはそれぞれ図示しない回転駆動手段が接続されており、互いに逆方向に回転して図2に示すようにトナーを搬送管35の中央に向けてそれぞれ搬送する。また、各フレキシブルスクリュ36には、それぞれロック検知手段としてのトルクリミッタ37と角度検知手段としてのエンコーダ38(一方のフレキシブルスクリュ36のみを示す)が接続されており、エンコーダ38には演算手段としてのマイクロコンピュータからなる演算部39が接続され、演算部39には演算結果を表示する表示手段としての演算結果表示部40が接続されている。演算部39及び演算結果表示部40は粉体搬送装置31と一体的に設けられており、演算結果表示部40はたとえば装置本体100の背面側ドアを開放した際に作業者が視認可能となる位置に配設されている。
【0018】
粉体搬送装置32は縦型の粉体搬送装置であり、重力により搬送が補助されるため粉体搬送装置31に比して搬送が容易であることから、通常の搬送スクリュを有する搬送装置が用いられている。なお、フレキシブルスクリュを用いてもよい。粉体搬送装置32には、粉体搬送装置31からトナーを受け入れる図示しない受入口と、粉体搬送装置33にトナーを受け渡す図示しないトナー排出口とが設けられている。粉体搬送装置33は粉体搬送装置31と同様に構成されており、フレキシブルスクリュ36を1本のみ有していて図2において左方から右方へとトナーを搬送する。粉体搬送装置33の搬送管35には粉体搬送装置32からトナーを受け入れる図示しない受入口と、トナー溜め部34にトナーを排出する図示しないトナー排出口とが設けられている。トナー溜め部34は、粉体搬送装置33からトナーを受け入れる図示しない受入口を有しており、回収されたトナーを貯容する。トナー溜め部34には図示しないトナー搬送装置が設けられており、貯容されたトナーは各現像装置7に再補給される。
【0019】
上述の構成により、粉体搬送装置31がフレキシブルスクリュ36を有していることにより、通常のスクリュに比して回転トルクに対する剛性が大幅に低くなって変形し易くなる。また、トルクリミッタ37を有しているので、ロック発生時にトルクリミッタ37の作動によりフレキシブルスクリュ36の回転を停止させることができ、フレキシブルスクリュ36の破損を防止することができる。
【0020】
上述の構成によれば、何等かの原因により搬送管35内でロックが発生した際に、トルクリミッタ37を作動させてフレキシブルスクリュ36の回転を停止させ、フレキシブルスクリュ36の停止をエンコーダ38からの信号により判断して画像形成装置を停止させた後、ロック箇所を推定することができる。先ず、停止時におけるエンコーダ38の信号を記録しておき、その後、フレキシブルスクリュ36に回転駆動を与える。これによりフレキシブルスクリュ36はある角度まで回転することとなり、この角度はロック発生箇所及びフレキシブルスクリュ36の剛性及びトルクリミッタ37の作動トルクから決定される。このときのエンコーダ38の信号と停止時における信号とからフレキシブルスクリュ36の回転角度を算出し、算出した角度とフレキシブルスクリュ36の剛性とからロック発生箇所を算出し、算出結果を演算結果表示部40に表示してロック箇所をユーザに報知する。演算結果は、演算結果表示部40と共にディスプレイ123に表示させてもよい。
【0021】
以下に、ロック箇所の推定方法を説明する。フレキシブルスクリュ36はねじりコイルばねと見なすことができ、ねじりコイルばねのばね定数Kは巻数nによって変化する。K=E・d/3667・D・n(kgf・m/deg)
ここで、E:縦弾性係数、d:コイル線径、D:コイル直径
上式において、E・d/3667・DをGとするとK=G/nとなり、トルクリミッタ37の制限トルクをτとし、たとえばn=3の箇所でロック発生したとすると、τ=G/3×θ、すなわちθ=3τ/Gとなり、n=20の箇所でロック発生したとすると、τ=G/20×θ、すなわちθ=20τ/Gとなり、ロック発生箇所を推定することができる。
【0022】
上述の構成によれば、フレキシブルスクリュ36の回転角度に基づいてロック発生箇所を演算により推定することができ、ユーザはロック発生後における復旧作業箇所をすぐに特定することができるので、復旧作業の作業性を大幅に向上することができる。
【0023】
上記実施形態では、画像形成装置としてカラーレーザプリンタを用いた例を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置はこれに限定されず、複写装置、プロッタ、ファクシミリ、これらの複合機等の他の画像形成装置にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0024】
35 搬送管
36 フレキシブルスクリュ
37 ロック検知手段(トルクリミッタ)
38 エンコーダ(角度検知手段)
39 演算手段(演算部)
40 表示手段(演算結果表示部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特許第3247966号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を搬送する搬送管と、前記搬送管内の粉体を所定方向に搬送する搬送部材とを有する粉体搬送装置において、
前記搬送部材としてフレキシブルスクリュが用いられることを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の粉体搬送装置において、
前記フレキシブルスクリュにかかるトルクを検知して前記フレキシブルスクリュがロックしたことを検知するロック検知手段を有することを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項3】
請求項2記載の粉体搬送装置において、
前記フレキシブルスクリュがロックした際の前記フレキシブルスクリュの回転角度を検知する角度検知手段を有することを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項4】
請求項3記載の粉体搬送装置において、
前記角度検知手段の検知結果に基づいて前記フレキシブルスクリュのロック箇所を演算する演算手段を有することを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項5】
請求項4記載の粉体搬送装置において、
前記演算手段による演算結果を表示する表示手段を有することを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の粉体搬送装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−59594(P2011−59594A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212048(P2009−212048)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】