説明

粉末洗剤用香料組成物

【課題】粘土鉱物を配合した粉末洗剤に使用される香料組成物であって、洗剤容器の箱口の香りが経時的に変化したり弱くなるのを抑制し、かつ衣類への残香性にも優れることを同時に実現した香料組成物、及びそれを含有する洗剤組成物の提供。
【解決手段】感覚強度が4以上かつClogPが3以上の香料素材を40質量%以上含有する、粘土鉱物配合粉末洗剤用の香料組成物、並びに、当該香料組成物及び粘土鉱物を含有する粉末洗剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘土鉱物配合粉末洗剤に用いられる香料組成物、及びその香料組成物を含有する粘土鉱物配合粉末洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、消費者の要求に伴って、香りを訴求した衣料用洗剤が上市されている。一方、特許文献1において、ベントナイトを配合した粉末洗剤で洗濯物を洗浄すれば、洗濯物に対し洗浄効果以外に、柔軟効果を賦与できることが知られているが、ベントナイトを用いた場合、粉末洗剤への賦香効果が全く表れなかったり、経時的に香りが変化ないし希薄化し、香料成分が容易に変質して安定な賦香効果が得られないという問題があったと述べられている。この問題を解決するために、特許文献1においてベントナイトを配合した洗剤組成物に特定の香料群より選ばれた少なくとも1種以上の香料を組み合わせることが提案されている。
【0003】
また、特許文献2において、ベントナイトを配合した洗剤組成物に1気圧で沸点が150℃以下の香料の1種以上を組み合わせることにより、洗濯物に対し爽やかな残香性が得られることが提案されている。
【0004】
しかしながら、いずれの発明によっても、ベントナイトを配合した粉末洗剤を充填した容器の箱口の香り立ちの経時的変化を抑制するという点、及び洗濯物へ充分な残香を残すという点を同時に実現できているとは言えなかった。
【0005】
【特許文献1】特開昭58-117294号公報
【特許文献2】特開平3-35100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、柔軟性能を賦与する粘土鉱物を配合した粉末洗剤に使用される香料組成物であって、洗剤容器の箱口の香りが経時的に変化したり弱くなるのを抑制し、かつ衣類への残香性にも優れることを同時に実現した香料組成物、及びそれを含有する洗剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、感覚強度が4以上かつClogPが3以上の香料素材(以下、香料素材ABという)を40質量%以上含有する、粘土鉱物配合粉末洗剤用の香料組成物を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記香料組成物及び粘土鉱物を含有する粉末洗剤組成物を提供する。
【0009】
ここで、「感覚強度」とは、Physical Foundations in Perfumery(American Perfumer and Cosmetics, 1970年12月発行)中、第5章、Absolute Intensity of 0dor, 0lfactory Equilibrium、第43〜47頁に記載の方法により求められる匂いの感覚強度である。
【0010】
感覚強度はWeber-Fechner則に従うものであって、シトラールを標準香料として物質の匂いの感覚強度を評価するものであり、シトラールの100質量%の匂いの感覚強度を「5」とする。
【0011】
即ち、シトラールの100質量%と、例えば、物質(イ)の100質量%が同じ強さであった場合、その感覚強度は「5」である。次に、感覚強度4、3、2、1、0のサンプルを得るため、シトラールを無臭溶剤であるフタル酸ジエチルで希釈して、シトラールの40質量%、16質量%、6.3質量%、2.5質量及び1質量%の各希釈液(以下、シトラールの標準希釈液という)を調製する。例えば、物質(ロ)の100質量%と、シトラールの40質量%標準希釈液が同じ強さであった場合、その感覚強度は「4」で、物質(ハ)の100質量%と、シトラールの16質量%標準希釈液が同じ強さであった場合、その感覚強度は「3」である。
【0012】
感覚強度が6以上の強い物質の強さを決めるには匂い物質の40質量%、16質量%、6.3質量、2.5質量%等の希釈液を用意して、シトラールの100質量%と比較する必要がある。例えば、物質(ニ)の40質量%希釈液がシトラールの100質量%の強さと同じであった場合、その感覚強度は「6」であり、物質(ホ)の16質量%希釈液がシトラールの100質量%の強さと同じであった場合、その感覚強度は「7」であり、物質(ヘ)の6.3質量%希釈液がシトラールの100質量%の強さと同じであった場合、その感覚強度は「8」であり、物質(ト)の2.5質量%希釈液がシトラールの100質量%の強さと同じであった場合、その感覚強度は「9」である。
【0013】
前記文献"Physical Foundations in Perfumery"には、感覚強度1の化合物の例としてローズフェノン(Rosacetol,Rose crystal)、感覚強度2の化合物の例として酢酸ベンジル、フェニルエチルアルコール等が挙げられている。
【0014】
次に、「ClogP」とは、有機化合物の水と1-オクタノールに対する親和性を示す係数である。Daylight Chemical Information System, Inc.から入手できるプログラム"CLOGP"で計算される。このプログラムは、実測のLogP値がある場合にはそれと共に、Hansch, Leoのフラグメントアプローチにより算出される"計算LogP"の値である。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している(cf. A. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch, P. G. Sammnens, J. B. Taylor and C. A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990)。本発明では、プログラムCLOGP v4.01により計算したClogP値を用いた。
【発明の効果】
【0015】
本発明の香料組成物は、粘土鉱物を配合した粉末洗剤に使用した場合、洗剤容器の箱口における香りの経時的変化や希薄化が抑制され、かつ衣類への残香性にも優れ、洗濯物の香りを設計したとおりに発現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に使用される香料素材ABとして、香料素材A群及び/又は香料素材B群より選ばれる1種以上が例示される。
【0017】
〔香料素材A群〕
香料素材A群に属する香料素材は、感覚強度が4であって、かつClogPが3以上である化合物である。具体例として、アセチルセドレン(A1)、α-ダマスコン(A2)、1-デカナールとアンスラニル酸メチルとのシッフベース(A3)、アミルシンナミックアルデヒド(A4)、サリチル酸アミル(A5)、β-ダマスコン(A6)、シクラメンアルデヒド(A7)、ダマセノン(A8)、δ-ダマスコン(A9)、ゲラニルニトリル(A10)、α-ヨノン(A11)、β-ヨノン(A12)、メチルシクロオクチルカーボネート(A13)、リリアール(A14)、リリアールとアンスラニル酸メチルとのシッフベース(A15)、リモネン(A16)、酢酸リナリル(A17)、リラールとアンスラニル酸メチルとのシッフベース(A18)、酢酸ジヒドロテルピニル(A19)、エチレンドデカンジオエート(A20)、マイラックアルデヒド(A21)、ネロリドール(A22)、フェニル酢酸 p-クレジル(A23)、3-メチル-5-フェニルペンタン-1-オール(A24)、イソカンフィルシクロヘキサノール(A25)、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(A26)、6-アセチル-1,1,2,4,4,7-ヘキサメチル-テトラリン(A27)及び酢酸テルピニル(A28)が例示される。
【0018】
〔香料素材B群〕
香料素材B群に属する香料素材は、感覚強度5以上であって、かつClogPが3以上である化合物である。具体例として、シトラール(B1)、シクロペンタデカノン(B2)、ジフェニルメタン(B3)、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-イルカーボキシレート(B4)、p-イソプロピルシクロヘキシルメタノール(B5)、エチル-2-シクロヘキシルプロピオネート(B6)、サンタロール(B7)、ジメチルオクタノール(B8)、テトラヒドロリナロール(B9)、ベチベロール(B10)、酢酸ベチベリル(B11)、アリルヨノン(B12)、アンブレットリド(B13)、オーランチオール(B14)、サリチル酸 cis-3-ヘキセニル(B15)、ギ酸シトロネリル(B16)、エストラゴール(B17)、エチレンブラシレート(B18)、ギ酸ゲラニル(B19)、β-ナフトールメチルエーテル(B20)、シクロヘキシルプロピオン酸アリル(B21)、シトロネラール(B22)、1-(3,3-ジメチル-6-シクロヘキセン-1-イル)-ペンタ-4-エン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-ペンタ-4-エン-1-オンの混合物(B23)、エチルデハイドロシクロゲラネート(B24)、l-メントール(B25)、シクロペンタデカノリド(B26)、チモール(B27)、4-メチル-3-デセン-5-オール(B28)、デカノール(B29)、1-ノナノール(B30)、デカナール(B31)、ウンデカナール(B32)、ドデカナール(B33)、2-メチルウンデカナール(B34)、γ-ウンデカラクトン(B35)、酪酸イソアミル(B36)、酢酸ノニル(B37)、ウンデセナール(B38)、n-ノナナール(B39)、ヘプタン酸アリル(B40)及びシトロネリルオキシアセトアルデヒド(B41)が例示される。
【0019】
この中でも、好ましい香料素材ABとして、安定性や、少量の配合でも分かりやすい香りが創作できるという観点より、アセチルセドレン(A1)、α-ダマスコン(A2)、アミルシンナミックアルデヒド(A4)、サリチル酸アミル(A5)、シクラメンアルデヒド(A7)、ダマセノン(A8)、δ-ダマスコン(A9)、ゲラニルニトリル(A10)、β-ヨノン(A12)、メチルシクロオクチルカーボネート(A13)、リリアール(A14)、リモネン(A16)、酢酸リナリル(A17)、マイラックアルデヒド(A21)、3-メチル-5-フェニルペンタン-1-オール(A24)、イソカンフィルシクロヘキサノール(A25)、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(A26)、6-アセチル-1,1,2,4,4,7-ヘキサメチル-テトラリン(A27)、酢酸テルピニル(A28)、シクロペンタデカノン(B2)、p-イソプロピルシクロヘキシルメタノール(B5)、サリチル酸 cis-3-ヘキセニル(B15)、デカナール(B31)、2-メチルウンデカナール(B34)及びヘプタン酸アリル(B40)が例示される。
【0020】
本発明において香料素材ABの合計含有量は、香料組成物中40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。香料素材ABの合計含有量が40質量%未満の場合には、製品の箱口の香りが弱まったり、洗濯物への充分な残香を残せないという問題が生じる。
【0021】
本発明の香料組成物は、感覚強度が5以上かつClogPが3以上の香料素材を、香料組成物中10質量%以上含むことが好ましく、更には15質量%以上、特に20質量%以上含むことが好ましい。感覚強度が5以上かつClogPが3以上の香料素材として、前述の香料素材B群として挙げたものが例示される。この中でも香りの経時安定性や少量の配合でも分かりやすい香りが創作できるという観点より、シトラール(B1)、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-イルカーボキシレート(B4)、エチル-2-シクロヘキシルプロピオネート(B6)、テトラヒドロリナロール(B9)、オーランチオール(B14)、エチレンブラシレート(B18)、β-ナフトールメチルエーテル(B20)、シクロヘキシルプロピオン酸アリル(B21)、シトロネラール(B22)、1-(3,3-ジメチル-6-シクロヘキセン-1-イル)-ペンタ-4-エン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-ペンタ-4-エン-1-オンの混合物(B23)、シクロペンタデカノリド(B26)、4-メチル-3-デセン-5-オール(B28)、ドデカナール(B33)、γ-ウンデカラクトン(B35)及びウンデセナール(B38)が好ましいものとして例示される。
【0022】
〔その他の香料素材〕
本発明の香料組成物中、香料素材AB以外に使用してもよい香料として、フェニルエチルアルコール、酢酸ベンジル、ゲラニオール、ネロール、酢酸ベンジル、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、ヘリオトロピン、リラール等が例示される。
【0023】
〔粉末洗剤組成物〕
本発明の粉末洗剤組成物は、陰イオン界面活性剤及び/又は非イオン界面活性剤を好ましくは0.1〜20質量%、粘土鉱物を好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは4〜18質量%、更に好ましくは5〜16質量%、更に好ましくは6〜15質量%、特に好ましくは7〜14質量%、本発明の香料組成物を0.05質量%以上、更に好ましくは0.1〜0.7質量%含有する。ここで、粘土鉱物は、特に天然の場合、クォーツ、クリストバライト、カルサイト、長石等の不純物を含有するため、粘土鉱物の含有量はこれらの不純物も含んだものである。
【0024】
この場合において、陰イオン界面活性剤としては、高級アルコール又はそのエトキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩又はそのエステル塩、脂肪酸塩が挙げられる。特に、アルキル鎖の炭素数が10〜18(好ましくは12〜14)の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数が10〜20のα-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が好ましい。塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0025】
非イオン界面活性剤としては、高級アルコールのエチレンオキシド(以下「EO」という)付加物、若しくはEO/プロピレンオキシド(以下「PO」という)付加物、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド等が挙げられる。特に炭素数が10〜16のアルコールのEO1〜10モル付加物が皮脂汚れの除去、耐硬水性、生分解性の点、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩との相性の点で好ましい。
【0026】
また、本発明の粉末洗剤組成物は必須成分として粘土鉱物を含有する。粘土鉱物としては、タルク、パイロフィライト、スメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等)、バーミキュライト、雲母(金雲母、黒雲母、チンワルド雲母、白雲母、パラゴナイト、セラドナイト、海緑石等)、緑泥石(クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、ペナンタイト、スドーアイト、ドンバサイト等)、脆雲母(クリントナイト、マーガライト等)、スーライト、蛇紋石鉱物(アンチゴライト、リザーダイト、クリソタイル、アメサイト、クロンステダイト、バーチェリン、グリーナライト、ガーニエライト等)、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト等)等が挙げられる。中でも、柔軟性能の点で、タルク、スメクタイト、膨潤性雲母、バーミキュライト、クリソタイル、カオリン鉱物等が好ましく、スメクタイトがより好ましく、モンモリロナイトが更に好ましい。これらは単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、粘土鉱物として、耐ケーキング性、仕上がり感の点で、式(1)で表される粘土鉱物が好ましい。
【0028】
[Si8(MgaAlb)O20(OH)4]X-・X/n[Me]n+ (1)
【0029】
〔式中、0<a≦6、0<b≦4、X=12−2a−3bであり(0.2≦X≦1.2)、MeはNa、K、Li、Ca、Mg及びNH4の1種以上を表す。ここで、nはMeの価数を表わす〕
【0030】
式(1)で表される粘土鉱物の例としては、その形態がパウダーであっても造粒物であってもよいが、ズード・ケミ社製の「ラウンドロジルDGA212」、「ラウンドロジルPR414」、「ラウンドロジルDG214」、「ラウンドロジルDGAパウダー」、「フラソフト−1パウダー」、ラヴィオッサ社製の「デタソフトGIS」、「デタソフトGIB」、「デタソフトGISW」、CSM社製のピュアベントナイト、スタンダードベントナイト、プレミアムベントナイト等が挙げられる。また、これらを粉砕してパウダーにしたものを用いてもよい。
【実施例】
【0031】
〔粘土鉱物(I)の製造〕
容量2LのヘンシェルミキサーにNa/Ca比率が0.6、水分25質量%のベントナイト、ラウンドロジルDGA212(ズード・ケミ社製)100質量部と炭酸ナトリウム4質量部を投入して回転数1600rpmにて3分間混合する。次に、この混合物を80℃の乾燥機にて水分8質量%まで乾燥させたものを乳鉢にて125μmの篩を通過するまで粉砕する。この粉砕物100質量部をヘンシェルミキサーに投入し、回転数1600rpmにて混合中に水を25質量部添加し30秒間混合する。この混合物を80℃の乾燥機にて水分12.5質量%まで乾燥させたものをオーバーサイズ(1410μm以上)とアンダーサイズ(180μm以下)をカットして粘土鉱物(I)を得る。
【0032】
〔粘土鉱物配合粉末洗剤1の製造〕
攪拌翼を有した混合槽に水を加え、水温が55℃に達した後に、塩化ナトリウム(やき塩、日本精塩(株)製)、硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムを添加した。これを15分間攪拌した後に、炭酸ナトリウムを添加し、添加終了後に40質量%のポリアクリル酸ナトリウム水溶液(平均分子量1.5万、花王(株)製)を添加した。これを更に15分間攪拌した後に、ゼオライト(4A型ゼオライト、東ソー(株)製)を添加した。これを30分間攪拌してスラリーを得た。このスラリーの最終温度は60℃であった。このスラリーを噴霧乾燥塔に供給し、噴霧圧力25kg/cm2で塔頂より噴霧を行うことにより、粉末洗剤ベース顆粒を調製した。得られたベース顆粒1の組成は次のとおりである。
【0033】
塩化ナトリウム3質量%、ポリアクリル酸ナトリウム6質量%、炭酸ナトリウム26質量%、硫酸ナトリウム23質量%、亜硫酸ナトリウム1質量%、ゼオライト37質量%、水4質量%。
【0034】
次いで、非イオン界面活性剤(40質量%)、陰イオン界面活性剤(48質量%)、ポリエチレングリコール(2質量%)及び水(10質量%)からなる70℃の界面活性剤混合液1を調製し、上記のベース顆粒1に界面活性剤等を添加することにより粉末洗剤粒子1を得た。即ち、レディゲミキサー(松阪技研(株)製、容量20L、ジャケット付き)に上記のベース顆粒1を100質量部投入し、主軸(100rpm)の攪拌を開始した。そこに、上記の界面活性剤混合液1の45質量部を3分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更に、このミキサーにパルミチン酸(ルナックP-95、花王製)2質量部を30秒間で添加し、その後3分間攪拌を行った。更にこのミキサーに結晶性シリケート2質量部とゼオライト15質量部を投入し、表面被覆を行った。
【0035】
なお、非イオン界面活性剤は、炭素数12〜16、平均EO付加モル数6.0のポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いた。陰イオン界面活性剤はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた。ポリエチレングリコールは平均分子量8500のものを用いた。結晶性シリケートはプリフィード顆粒品(株式会社トクヤマシルテック製)を用いた。
【0036】
次いで、目開き1180μmの篩を用いて洗剤粒子群を分級し、1180μm未満の粒径の粉末洗剤粒子を得た。
【0037】
この洗剤粒子の87.5質量部に、粘土鉱物(I)12質量部、及び酵素0.5質量部(「セルラーゼK」(特開昭63-264699号公報記載)、「カンナーゼ24TK」(ノボ社製)及び「サビナーゼ6.0T」(ノボ社製)を3:1:2の質量比で使用)を混合し粘土鉱物配合粉末洗剤1を得た。
【0038】
〔香りの評価〕
粘土鉱物配合粉末洗剤1の99.65質量部に、表1に記載の香料組成物0.35質量部を噴霧により混合し、箱口の香りの経時安定性、及び脱水布と乾燥布の香り立ちの評価を行った。
【0039】
【表1】

【0040】
(1)箱口の香りの経時安定性
賦香した粘土鉱物配合洗剤1kgを市販洗剤アタック(花王(株)製)の未使用空箱にとり封緘し、50℃と5℃(コントロール)の温度下に保管する。保管後、2週間経過後と4週間経過後に、50℃で保管した粘土鉱物配合洗剤の香りの強さと質を、5℃で保管した粘土鉱物配合洗剤と比較することにより、10人の専門パネラーが官能評価した。香りの強さと質に関する官能評価は次の3段階で行った。評価結果は専門パネラー10名の平均値を表2に示した。
【0041】
1:全く違った匂いである。
2:匂いが変化している。
3:ごく僅かな匂いの変化が見られるが問題となるレベルではない。
【0042】
(2)脱水布の香り立ち評価
市販の木綿タオル2kg、アクリルジャージ1kgを3.5°DH硬水にて市販洗剤アタック(花王(株)製)にて5回繰り返し洗濯(30L洗濯機)をし、繊維についた繊維処理剤を除去した衣類を使用。表2に示した粘土鉱物配合洗剤を20g投入し1回洗濯した。洗濯はお任せコース[洗い10分、注水1回、脱水(高)4分、トータル35分、水35L、タオル10枚(約700g)、アクリルジャージ(約300g)]で行った。
この方法で処理した布の香り立ちの評価を10人のパネラーで行った。香りの強さに関する官能評価は次の6段階で行い、平均値を表2に示した。
【0043】
0: 匂わない
1: かすかに匂う
2: 匂う
3: 明らかに匂う
4: 強く匂う
5: 非常に強く匂う
【0044】
(3)乾燥布の香り立ち評価
脱水布の香り立ち評価を行った後、室内で風乾後、25℃、65%RHの恒温恒湿室で24時間放置した。これらの布を専門パネラー10人により、脱水布の香り立ち評価と同じ基準に従って、残香性の評価を行い、平均値を表2に示した。
【0045】
〔評価結果〕
表2に示すように、本発明品(香料組成物1〜5)は、香りの安定性が優れている。また非常に高い残香性もある。一方、比較品(比較香料組成物1〜4)においては香りの安定性が満足できる結果ではなく、製造直後と比べて香りが弱くなってしまうなどの問題点が生じる。また残香性も満足できる結果ではない。
【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
感覚強度が4以上かつClogPが3以上の香料素材(以下、香料素材ABという)を40質量%以上含有する、粘土鉱物配合粉末洗剤用の香料組成物。
【請求項2】
香料素材ABが、香料素材A群及び/又は香料素材B群より選ばれる1種以上である請求項1記載の香料組成物。
〔香料素材A群〕
アセチルセドレン、α-ダマスコン、1-デカナールとアンスラニル酸メチルとのシッフベース、アミルシンナミックアルデヒド、サリチル酸アミル、β-ダマスコン、シクラメンアルデヒド、ダマセノン、δ-ダマスコン、ゲラニルニトリル、α-ヨノン、β-ヨノン、メチルシクロオクチルカーボネート、リリアール、リリアールとアンスラニル酸メチルとのシッフベース、リモネン、酢酸リナリル、リラールとアンスラニル酸メチルとのシッフベース、酢酸ジヒドロテルピニル、エチレンドデカンジオエート、マイラックアルデヒド、ネロリドール、フェニル酢酸 p-クレジル、3-メチル-5-フェニルペンタン-1-オール、イソカンフィルシクロヘキサノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、6-アセチル-1,1,2,4,4,7-ヘキサメチル-テトラリン及び酢酸テルピニル。
〔香料素材B群〕
シトラール、シクロペンタデカノン、ジフェニルメタン、エチルトリシクロ[5.2.1.
02,6]デカン-2-イルカーボキシレート、p-イソプロピルシクロヘキシルメタノール、エチル-2-シクロヘキシルプロピオネート、サンタロール、ジメチルオクタノール、テトラヒドロリナロール、ベチベロール、酢酸ベチベリル、アリルヨノン、アンブレットリド、オーランチオール、サリチル酸 cis-3-ヘキセニル、ギ酸シトロネリル、エストラゴール、エチレンブラシレート、ギ酸ゲラニル、β-ナフトールメチルエーテル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シトロネラール、1-(3,3-ジメチル-6-シクロヘキセン-1-イル)-ペンタ-4-エン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-ペンタ-4-エン-1-オンの混合物、エチルデハイドロシクロゲラネート、l-メントール、シクロペンタデカノリド、チモール、4-メチル-3-デセン-5-オール、1-デカノール、1-ノナノール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、2-メチルウンデカナール、γ-ウンデカラクトン、酪酸イソアミル、酢酸ノニル、ウンデセナール、n-ノナナール、ヘプタン酸アリル及びシトロネリルオキシアセトアルデヒド。
【請求項3】
感覚強度が5以上かつClogPが3以上の香料素材を10質量%以上含む請求項1又は2に記載の香料組成物。
【請求項4】
感覚強度が5以上かつClogPが3以上の香料素材が、香料素材B群から選ばれる1種以上である請求項3に記載の香料組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の香料組成物及び粘土鉱物を含有する粉末洗剤組成物。

【公開番号】特開2007−45964(P2007−45964A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233206(P2005−233206)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】