説明

粉砕機

【課題】 被粉砕物を破砕する切断刃が通過するカバーのケーシングへの着脱が容易で、清掃がし易い粉砕機の提供。
【解決手段】 下ケーシング15および、その上部に開閉可能に重ね合わされる上ケーシング17を有するケーシング1と、このケーシング1に回転可能に設けられる軸3と、この軸3に一体回転可能に設けられる回転刃7および切断刃11を有する。下ケーシング15には、縦断面半円形状で中空容器状のカバー13が着脱可能に設けられる。この際、カバー13は、その周壁に設けられた溝部を下ケーシング15に設けられたガイド51,53の凸部にはめ込まれて、周方向にスライドされることで下ケーシング15に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製品の製作時に発生するスプル・ランナーや、不要になったプラスチック製品などを細かく粉砕し、リサイクルに使用するペレットを作る粉砕機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場においてプラスチック製品を射出成形する場合、一般的に製品と共にスプル・ランナーが形成される。近年、このスプル・ランナーをバージン材に混入して再び射出成形に使用することがあり、そのために、バージン材に近い形状に加工する必要がある。
その手段として図21に示すような粉砕機が利用されている。
【0003】
図21に示す粉砕機は、ケーシング401に回転可能に保持された軸403に、切断刃405と回転刃407の二種類の刃が設けられている。切断刃405は、ケーシング401に固定された刃409,410との間で、大きいスプル・ランナーなどを粗く切断し、回転刃407は、ケーシング401に固定された刃409との間で、スプル・ランナーを細かく粉砕する。そして、粉砕されたものは、ケーシング401の下方へ落下して回収され、再び射出成形に使用される。
【0004】
また、ケーシング401には、切断刃405により切断され、まだ細かく粉砕しきれていない処理物などがケーシング401の下方へ落下するのを防止するために、溝411が形成されており、この溝411に入り込んだものは切断刃405により再びケーシング401の上方へ戻される。
【特許文献1】特許第3936268号公報
【特許文献2】特許第3966892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、大きなスプル・ランナーなどを粉砕するには、切断刃を大きくする必要があり、図21に示すような従来の粉砕機では、切断刃405が通過する前記溝411も大きくする必要がある。
しかしながら、従来の粉砕機では、鋳造品であるケーシング401に形成される溝411の領域が多い。そして、溝411の形成には、サイドカッター等が使用されるが、溝411を大きくするのに、大きなサイドカッターを使用すると溝411の領域が多いためにサイドカッターがビビり、うまく加工ができないおそれがあった。
【0006】
また、リサイクル目的でスプル・ランナーなどを粉砕する場合、頻繁に粉砕機を清掃する必要がある。特に、プラスチックの材質や色を変更する場合には、粉砕機を丁寧に清掃し、清掃前の材質や色の異なる粉砕物が混ざらないようにする必要がある。
【0007】
しかしながら、従来の粉砕機の場合、前記溝411の奥に溜まったものを取り出すことは困難であり、清掃に時間と手間を要した。
【0008】
また、特許文献1や特許文献2に開示されるように、ケーシング(3)の前後の側壁(11,11)を開閉可能な構成とし、切断刃(23)が通過する溝の一部をケーシング(3)と別体の中間部材(40b)として、ケーシング(3)に着脱可能に設ける粉砕機もある。しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示される粉砕機の場合でも、ケーシング(3)にサイドカッターで形成される溝(40a,40c)の領域が大きく、サイドカッターにビビりが生じて加工が困難である。
【0009】
さらに、特許文献1や特許文献2に開示される粉砕機の場合、開閉される側壁(11)に前記中間部材(40b)を支承する支承部材(42)が設けられると共に、中間部材(40b)の左右方向の移動を阻止するホルダー(43)が設けられている。
そのため、側壁(11)の構成が複雑となり、切断刃(23)を大きくするために、中間部材(40b)を大きくしようとしても、側壁(11)を形成することが困難であった。
【0010】
また、特許文献1や特許文献2に開示される粉砕機の場合、側壁(11)を徐々に閉めながら中間部材(40b)を位置決めする構成であり、中間部材(40b)を適正な位置で固定されているかを確認することが困難である。たとえば、支承部材(42)やホルダー(43)の内部に物が詰まっていて、中間部材(40b)が適正に位置決めされないおそれもある。
【0011】
さらに、特許文献1や特許文献2に開示される粉砕機の場合、側壁(11)に設けられた支承部材(42)やホルダー(43)に中間部材(40b)をはめ込んだ状態で、側壁(11)を徐々に閉じて中間部材(40b)を位置決め固定する。また、中間部材(40b)を取り外す場合には、側壁(11)を徐々に開けて支承部材(42)やホルダー(43)から中間部材(40b)を取り外す構成とされる。
このような構成の場合、大きな中間部材(40b)を取り付けると、側壁(11)の開閉が困難であると共に、中間部材(40b)の取り付けおよび取り外しが困難である。また、側壁(11)に中間部材(40b)を強固に取り付け難い。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、被粉砕物を破砕する切断刃が通過するカバーのケーシングへの着脱が容易な粉砕機を提供することにある。また、清掃がし易い粉砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、第一ケーシングに第二ケーシングが開閉可能に保持され、被粉砕物が投入されるケーシングと、このケーシングに回転可能に設けられる回転軸と、この回転軸に設けられ、前記ケーシングの固定刃との間で被粉砕物を破砕する切断刃と、前記回転軸に設けられ、前記ケーシングの固定刃との間で被粉砕物を粉砕する回転刃と、縦断面が略半円形状の中空容器状とされ、前記第一ケーシングに設けられたガイドに周壁が支持されて前記第一ケーシングに着脱可能に設けられ、前記第一ケーシングに対して前記第二ケーシングが閉じられることで、前記第一ケーシングおよび前記第二ケーシングに対して移動が規制され、この移動が規制された状態で、前記周壁の内面に沿って前記切断刃が回転されるカバーとを備えることを特徴とする粉砕機である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記カバーの周壁の外面には、周方向に沿って溝部または突部が設けられており、前記ガイドには、前記カバーの溝部または突部がはめ込まれる凸部または凹部が設けられており、前記カバーは、その溝部または突部を、前記ガイドの前記凸部または凹部にはめ込むように周方向にスライドされて第一ケーシングに装着されることを特徴とする請求項1に記載の粉砕機である。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記カバーは、平行に配置された一対の略半円形状の金属板の周縁が、略半円弧状の金属材で塞がれることで形成されており、前記金属材に、前記溝部または突部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の粉砕機である。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記ガイドは、前記第一ケーシングに前記回転軸と平行に設けられる棒材とされ、その外周面に前記凸部または凹部が形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の粉砕機である。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記ガイドは、前記カバーの周壁に対応した曲面を有し、この曲面に前記凸部または凹部が形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の粉砕機である。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記第一ケーシングは、上下に開口する箱状とされ、前記第二ケーシングは、ホッパー状の開口部を有すると共に、前記固定刃が取り付けられており、前記第一ケーシングに対し枢軸まわりに回転可能で、前記第一ケーシング上に載置されることで、前記ケーシングに対する前記カバーの移動を規制することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の粉砕機である。
【0019】
請求項7に記載の発明は、前記第二ケーシングは、前記第一ケーシングの前端部まわりに開閉可能に設けられる前ケーシングと、前記第一ケーシングの後端部まわりに開閉可能に設けられる後ケーシングとからなり、前記前ケーシングまたは前記後ケーシングの一方に前記固定刃が設けられ、前記第二ケーシングの前記前ケーシングと前記後ケーシングが、前記第一ケーシングに対して閉じられることで、前記ホッパー状の開口部が形成されることを特徴とする請求項6に記載の粉砕機である。
【0020】
請求項8に記載の発明は、前記第二ケーシングの左右壁と前記固定刃との間には、隙間が形成されており、この隙間を埋めるように板片が出し入れ可能に設けられていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の粉砕機である。
【0021】
請求項9に記載の発明は、前記前ケーシングは、前記第二ケーシングの前壁および左右壁を構成する一方、前記後ケーシングは、前記第二ケーシングの後壁を構成し、前記後ケーシングに前記固定刃が設けられ、前記前ケーシングの左右壁間に、前記後ケーシングがはめ込まれ、前記固定刃の側面が前記前ケーシングの左右壁と当接または近接することを特徴とする請求項7に記載の粉砕機である。
【0022】
さらに、請求項10に記載の発明は、前記第一ケーシングは、左右に離間して配置され、前記回転軸を保持する左ケーシングおよび右ケーシングと、この左右ケーシング間の前方を塞ぐ前ケーシングとからなり、前記第二ケーシングは、前記左右ケーシング間の後方を塞ぐように、前記左右ケーシングに開閉可能に設けられると共に、前記固定刃が設けられており、前記第一ケーシングに対して前記第二ケーシングが閉じられた状態において、前記固定刃の側面が前記左右ケーシングと当接または近接し、前記第一ケーシングに対して前記第二ケーシングが閉じられた状態において、前記ケーシングの上部がホッパー状とされると共に、その下部に前記カバーが前記ケーシングに対して移動が規制されて配置されることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の粉砕機である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の粉砕機によれば、被粉砕物を破砕する切断刃が通過するカバーのケーシングへの着脱が容易とされ、清掃がし易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の粉砕機の一実施例について、図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
図1から図5は、本発明の粉砕機の一実施例を示す図であり、図1は平面図、図2は図1のII−II概略断面図、図3は、図1のIII−III断面図である。
また、図4は、上ケーシングを取り外した状態の平面図であり、図5は、上ケーシングを開けた状態の斜視図である。
【0026】
本実施例の粉砕機は、スプル・ランナー等の被粉砕物が投入されるケーシング1と、このケーシング1に回転可能に保持される回転軸3と、この回転軸3に設けられ、前記ケーシング1に設けられた第一固定刃5との間で被粉砕物を粉砕する回転刃7と、前記回転軸3に設けられ、前記ケーシング1に設けられた第一固定刃5および第二固定刃9との間で被粉砕物を破砕する切断刃11と、前記ケーシング1に着脱可能に設けられ、前記切断刃11による破砕物の下方への脱落を防止するカバー13とを主要部に備える。
【0027】
ケーシング1は、上下に開口する矩形筒状の下ケーシング15と、この下ケーシング15に開閉可能に載せ置かれる上ケーシング17とを有する。
本実施例では、ケーシング1は、図5に示すように、枠状の台19に載置され、床面や地面との間に空間が形成される。
【0028】
図2および図5に示すように、下ケーシング15の左右壁21,23には、その上端部の前後方向中央部に、略半円形状の凹所21a,23aが、回転軸3を保持するために形成されている。
【0029】
回転軸3は、ケーシング1に左右方向に沿って設けられる。
本実施例では、回転軸3は、下ケーシング15と上ケーシング17との境界部に、左右方向に沿って配置される。そして、この回転軸3に、回転刃7および切断刃11が一体回転可能に設けられる。本実施例では、回転軸3に、3つの回転刃7と、2つの切断刃11が設けられる。この際、各回転刃7は、回転軸3の軸方向に等間隔に配置され、隣接する回転刃7,7間に切断刃11が挟み込まれて設けられる。
【0030】
図2、図3および図5に示すように、回転刃7は、回転軸3が通される円筒状部7aと、この円筒状部7aの外周面に形成された刃部7bとを有する。
具体的には、回転刃7は、円筒状部7aの外周面に軸方向等間隔に離間して、櫛状に径方向外側へ突出して複数の刃部7bが設けられ、各刃部7bは周方向にも等間隔に順次設けられている。このように、回転刃7には、軸方向および周方向に刃部7bが配列されている。
【0031】
切断刃11は、中央に丸穴を有する板材から形成され、この丸穴が形成された円板状の中央部11aと、この中央部11aの径方向両端部から径方向外側へ鎌状に突出する刃部11bとを有する。この各刃部11bは、径方向外側へ行くに従って周方向一方へ傾斜する傾斜辺11cを有する。
【0032】
本実施例では、回転刃7,7間に切断刃11が配置されるように、回転刃7の円筒状部7aおよび切断刃11の中央部11aに回転軸3が通される。この際、回転刃7および切断刃11は、キーKにより回転軸3に対して相対回転不能に設けられる。
【0033】
そして、図2に示すように、下ケーシング15の左右壁21,23には、それぞれベアリング29が、ベアリングケース33を介して保持されている。
ベアリング29は、その外輪29aがベアリングケース33にはめ込まれ、内輪29bに回転軸3の各端部がはめ込まれている。
なお、本実施例では、ベアリングケース33は、その一端面に形成された円筒状のボス部33aの下半分が、下ケーシング15の左右壁21,23の凹所21a,23aにはめ込まれて下ケーシング15に固定される。
このようにして、回転軸3は、その左右両端部の軸受で下ケーシング15に回転可能に保持される。
【0034】
また、本実施例では、粉砕物などがベアリング29側へ進入するのを防止するために、回転軸3の左右両端部に、円板状のシールフランジ27,27がはめ込まれて、下ケーシング15の左右壁21,23の凹所21a,23aに配置されている。
【0035】
また、図示例では、回転軸3の右端部に、浅い丸穴が形成された円板状のキャップ35がはめ込まれて回転軸3に固定されており、さらに、このキャップ35を覆うようにベアリング押え37が設けられて、ベアリングケース33に固定されている。
【0036】
そして、本実施例では、回転軸3は、ベアリングケース33から延出する左端部において、モータMから駆動力が与えられる。
【0037】
図6は、カバーを示す斜視図である。
【0038】
本実施例では、下ケーシング15に、切断刃11が通過するカバー13が着脱可能に設けられている。本実施例では、カバー13は、縦断面略半円形状とされ、切断刃11の回転軌道の下半分を覆うように設けられる。
【0039】
具体的には、カバー13は、一対の半円形状の側板43,43と、各側板43の周縁同士を連結する半円弧状の連結材45とを有する。
側板43は、その直線部の中央部に半円形状の凹部43aが形成されている。
この側板43の凹部43aの直径は、回転刃7の直径より僅かに大きい寸法とされる。
【0040】
連結材45は、その外周面の中央部に、径方向外側へ開口する矩形状の溝45aが周方向に沿って連続して形成されている。これにより、連結材45は、径方向外側へ開口する断面略コ字形状とされる。
また、連結材45は、その内周面の幅方向両端部が矩形状に周方向に沿って切り欠かれており、幅方向両側に段部45b,45bが形成されている。
【0041】
側板43の周縁が連結材45の段部45bに当接されて固定されることで、連結材45と各側板43が一体化されている。これによりカバー13は、略半円形状の中空部を有する容器状とされる。また、一対の側板43,43の間隔は、切断刃11の厚みより若干大きく形成されている。
本実施例では、側板43は金属板とされ、金属製の連結材45が製缶溶接構造により一体化されてカバー13が構成されており、鋳造による場合に比べて軽量化が図られている。
【0042】
また、本実施例では、カバー13の側板43,43には、凹部43aを挟んだ両端部に、側板43に垂直に丸棒状のハンドル47が固定されている。
【0043】
本実施例では、カバー13は、下ケーシング15に設けられる複数のガイド51,53に支持されてケーシング1に設けられる。
図7は、下ケーシング15に設けられる第一ガイド51および第二ガイド53と、カバー13の連結材45の溝45aとの関係を示す概略斜視図である。
【0044】
この図7や図3および図4に示すように、本実施例では、下ケーシング15に、カバー13を支持する第一ガイド51および第二ガイド53が設けられている。
第一ガイド51は、ブロック体とされ、その一端面が、下ケーシング15の前壁55および後壁57の上端部内面に当接されてボルト59により固定されている。
【0045】
一対の第一ガイド51,51は、下ケーシング15の前壁55および後壁57の内面に対面して固定され、かつ、第一ガイド51は左右に離間して2箇所に設けられる。
この際、前後一対の第一ガイド51,51は、切断刃11と対応した位置に配置されて、下ケーシング15の前壁55および後壁57に固定される。
【0046】
また、第一ガイド51の他端面(下ケーシング15の前後方向内側へ向く面)は、その幅方向中央部が矩形状にケーシングの内側へ突出している。この突部51aは、カバー13の連結材45の溝45aにはめ込まれる大きさとされる。
さらに、前後一対の第一ガイド51,51の他端面は、同一の円周上に配置され、それぞれ下方へ行くに従ってケーシングの内側へ延出する円弧状面に形成されている。
具体的には、下ケーシング15の前壁55および後壁57に固定される一対の第一ガイド51,51の他端面は、回転軸3を中心とする円弧状面に形成されている。
【0047】
第二ガイド53は、丸棒状とされ、下ケーシング15の下端部の前後方向中央部に、左右壁21,23を架け渡すように左右方向に沿って設けられる。つまり、第二ガイド53は、回転軸3のほぼ真下に平行に配置される。
本実施例では、第二ガイド53は、その両端部が、下ケーシング15の左右壁21,23に形成された貫通穴にはめ込まれて下ケーシング15に固定されている。
【0048】
第二ガイド53には、軸方向に離間して2箇所に、カバー13の連結材45の溝45aがはめ込まれる案内部53aが形成されている。
本実施例では、各案内部53aは、第二ガイド53に、軸方向に離間して一対の環状溝53b,53bが形成されることで設けられる。
この一対の環状溝53b,53b間に配置される案内部53aは、カバー13の連結材45の溝45aにはめ込まれる幅とされる。
【0049】
第二ガイド53の各案内部53aは、切断刃11の下方に配置され、前後一対の第一ガイド51,51および第二ガイド53の案内部53aは、回転軸3を中心とする同一円周上に配置される。
【0050】
カバー13は、第一ガイド51および第二ガイド53に支持されて、下ケーシング15に設けられる。
具体的には、カバー13は、その連結材45の溝45aに、第一ガイド51の突部51aおよび第二ガイド53の案内部53aがはめ込まれて、周方向3箇所において各ガイド51,53に支持される。本実施例では、カバー13は、各ガイド51,53に支持された状態において、その周壁を構成する連結材45が回転軸3と同心円状に配置される。つまり、カバー13は、各ガイド51,53に支持された状態において、その連結材45の中心が、回転軸3の中心と同一とされる。
【0051】
下ケーシング15にカバー13が設けられた状態において、回転軸3が回転して切断刃11が回転すると、切断刃11は、カバー13の中空部を通過し、切断刃11の刃部11bの先端部はカバー13の内周面に沿って移動する。
【0052】
上ケーシング17は、その下面が下ケーシング15の上面と対応した矩形状とされ、下ケーシング15の上面に対し開閉可能に設けられる。
【0053】
本実施例では、図1および図3に示すように、上ケーシング17の後壁73の左右両端部に、後方へ突出して矩形板状の第一接続片61が設けられている。また、下ケーシング15の後壁57の左右両端部に、後方へ突出し、さらに上方へ延出する板状の第二接続片63が設けられている。上ケーシング17と下ケーシング15は、その各接続片61,63が重ね合わされて、接続片61,63同士を左右方向に沿って架け渡される軸65により連結される。
これにより、上ケーシング17は、軸65まわりに回転可能に下ケーシング15に保持され、下ケーシング15の開口部を開閉可能とされる。
【0054】
なお、本実施例では、上ケーシング17の前壁71に、一対の略L字形のハンドル67,67が左右に離間して取り付けられている。
また、本実施例では、上ケーシング17が下ケーシング15に重ね合わされた際、トグルクランプ69など従来公知の方法により下ケーシング15と上ケーシング17とを固定する。
【0055】
図8は、本実施例の粉砕機の上部を示す概略斜視図である。
【0056】
図3および図8に示すように、上ケーシング17の中央部には、下方へ行くに従って前後の幅が狭くなるホッパー状の開口部17aが形成されている。
具体的には、図3に示すように、上ケーシング17の前壁71の内面は、上端部が垂直面71aとされ、その垂直面71aの下端部からケーシング1の内側へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜面71bが形成されており、さらに下方へ延出している。
また、上ケーシング17の前壁71の下面は水平面とされる。
【0057】
上ケーシング17の後壁73の上端部は、前壁71より下方へ凹んだ水平面73aに形成されている。そして、後壁73の内面は、その水平面73aの前端部からケーシング1の内側へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜面73bに形成され、さらに下方へ延出している。
また、上ケーシング17の後壁73の下面は水平面とされる。
このような構成により、上ケーシング17の前壁71と後壁73との間は、上下に開口している。
【0058】
なお、後壁73の上端部は、その後端部が後方へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜面73cに形成されている。
また、図5に示すように、上ケーシング17の左右壁75,77には、その下端部の前後方向中央部に、半円形状の凹所75a,77aが形成されており、回転軸3に設けられたシールフランジ27およびベアリングケース33のボス部33aの各上半分を覆う。
【0059】
上ケーシング17の前壁71および後壁73の各傾斜面71b,73bには、切断刃11が通過する溝79,81が形成されている。
具体的には、上ケーシング17の前壁71の傾斜面71bには、左右に離隔して、2つの矩形状の溝79,79が上下方向に沿って形成されている。
また、上ケーシング17の後壁73の傾斜面73bには、左右に離隔して、2つの溝81,81が上下方向に沿って形成されており、この後壁73の各溝81,81と前壁71の各溝79,79は、前後に対応した位置に形成されている。
さらに、後壁73の溝81は、その後端部が後方へ突出する円弧面に形成されており、図3に示すように、側面視において扇形状に形成されている。具体的には、本実施例では、後壁73の溝81は、回転軸3を中心とする円弧状に形成されている。
【0060】
上ケーシング17の後壁73の傾斜面73bには、第一固定刃5が載置されて、取付ボルト83により後壁73に固定されている。第一固定刃5は、矩形板状とされ、その前端辺に複数の矩形状の刃部5aが左右に等間隔に離隔して形成されている。なお、第一固定刃5は、その側部も刃部として作用する。
【0061】
本実施例では、後壁73の傾斜面73bに、溝81を挟んで3つの第一固定刃5A,5B,5Cが取り付けられている。つまり、各第一固定刃5A,5B,5Cは、溝81,81により分けられた傾斜面73bの三つの領域にそれぞれ設けられている。
【0062】
この際、各第一固定刃5は、その櫛状の刃部5aが後壁73の傾斜面73bよりケーシング1の内側へはみ出すように後壁73に固定されている。
また、本実施例では、後壁73の傾斜面73bに、第一固定刃5A,5B,5Cが取り付けられた状態において、左右両側の第一固定刃5A,5Cと、上ケーシング17の左右壁75,77との間に、若干の隙間S1が形成されている。
【0063】
後壁73の傾斜面73bには、第一固定刃5より上方に、第一固定刃5に当接して第二固定刃9が載置されて、取付ボルト85により後壁73に固定されている。第二固定刃9は、左右方向に細長い四角形状とされ、その上面下端縁が刃部とされている。
本実施例では、後壁73の傾斜面73bに第二固定刃9が取り付けられた状態において、第二固定刃9と、上ケーシング17の左右壁75,77との間に、若干の隙間S2が形成されている。この第二固定刃9と左右壁75,77の隙間S2は、左右両側の第一固定刃5A,5Cと左右壁75,77の隙間S1と同じ幅とされ、隙間S1と連続している。
【0064】
さらに、上ケーシング17の後壁73には、隙間閉塞部材87が設けられている。
隙間閉塞部材87は、後壁73の上面73aに、左右方向に沿って配置される柱状の支持具89と、この支持具89の左右両端部に設けられる細長い長方形状の板片91,91とを有する。板片91,91は、上ケーシング17の左右壁75,77と、各固定刃5,9との隙間S1,S2に適合した厚みとされている。
本実施例では、支持具89の両端部に板片91,91が当接されて、ネジ(不図示)により板片91が支持具89に固定されている。
【0065】
隙間閉塞部材87は、その支持具89の左右両端部が、それぞれ左右方向に沿って設けられるピン93,93により、上ケーシング17の左右壁75,77に回転可能に保持される。
そして、図3に示すように、支持具89の下面89aが、後壁73の上面に当接した状態において、板片91,91が、上ケーシング17の左右壁75,77と、第一固定刃5および第二固定刃9との隙間S1,S2にはめ込まれている。
なお、本実施例では、前記隙間S1,S2に板片91がはめ込まれた状態において、板片91は第一固定刃5および第二固定刃9より上方へ突出している。
【0066】
図3に示すように、各板片91が各固定刃5,9と上ケーシング17の左右壁75,77との隙間S1,S2にはめ込まれた状態において、支持具89は、その下面89aが後壁73の上面に当接しており、この下面89aの後端部から上方へ延出する側面89bと、側面89bの上端部から前方へ水平に延出する上面89cと、上面89cの前端部から前方へ行くに従って下方へ延出する傾斜面89dとを有する。
また、支持具89は、その下面89aと傾斜面89dとが上方へ行くに従ってケーシングの内側へ傾斜する傾斜面89eにより連接されている。
さらに、本実施例では、支持具89の下面89aと側面89bとの境界部は、面取りされて後方へ行くに従って上方へ傾斜する傾斜面89fに形成されている。
【0067】
支持具89の側面89bの左右方向中央部には、六角形の穴89gが形成されており、この穴89gに、略L字形のハンドルHをはめ込み、支持具89をピン93まわりに、図3において時計方向に回転させることで、板片91が上方へ移動して、左右壁75,77と各固定刃5,9との隙間S1,S2が露出する。
【0068】
本実施例では、支持具89を三つの位置で位置決め可能とされる。
具体的には、上ケーシング17の後壁73の上端部には、その左右方向中央部に、上方へ開口する穴が形成されており、この穴にはコイルバネ95が収容されている。また、このコイルバネ95の上端部には、略円柱形状の当接具97が設けられている。なお、当接具97は、ピン93の軸線上のほぼ真下に配置されている。
【0069】
本実施例では、当接具97が支持具89を付勢して支持具89の回転を防止し、位置決めする。
つまり、支持具89の下面89aが、後壁73の上面73aに当接して板片91が隙間S1,S2にはめ込まれた初期状態、この初期状態から支持具89を回転させて角部89fが当接具97により付勢されて、板片91が略水平に配置される状態、および、支持具89をさらに回転させて側面89bが当接具97により付勢された状態の3つの状態で位置決めが可能とされる。
【0070】
このように、本実施例では、当接具97が支持具89の各面89a,89f,89bを付勢することで、支持具89が各位置において安定して位置決めされる。
【0071】
また、上ケーシング17の前壁71の下部には、スクレーパ99が設けられている。スクレーパ99は、矩形板状とされ、その後端辺に複数の矩形状の突部99aが、左右に等間隔に離間して形成されている。本実施例では、前壁71の下面に、溝79を挟んで3つのスクレーパ99が取り付けられる。つまり、各スクレーパ99は、溝79により分けられた前壁71の三つの領域にそれぞれ設けられる。
【0072】
この際、各スクレーパ99は、その櫛状の複数の突部99aが前壁71の傾斜面71bより、ケーシング1の前後方向内側へはみ出すように前壁71に固定されている。なお、本実施例では、前壁71の下面に凹所が形成され、この凹所にスクレーパ99が配置されて固定されている。
【0073】
本実施例では、上ケーシング17が下ケーシング15に重ね合わされると、上ケーシング17の下面が、カバー13の上面に当接してカバー13の揺動が規制され、カバー13はケーシング1に固定される。この際、カバー13の上面は略水平に配置される。
なお、図示例では、上ケーシング17の後壁73の下面に、合成ゴムなどの弾性材からなる薄い円板状の緩衝材111が設けられており、この緩衝材111がカバー13の後端部上面に当接する。
【0074】
また、下ケーシング15に上ケーシング17が重ね合わされた状態では、上ケーシング17の前壁71および後壁73の各溝79,81が、カバー13の内周面と連続することで、切断刃11の案内溝が形成される。
【0075】
さらに、下ケーシング15に上ケーシング17が重ね合わされた状態では、上ケーシング17の前後壁71,73間に回転刃7が配置される。
【0076】
図9は、本実施例の粉砕機にホッパーが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0077】
本実施例の粉砕機は、粉砕処理を行う際、図9に示すように、上ケーシング17に矩形筒状のホッパー113が取り付けられる。
また、下ケーシング15の下方に、粉砕物が貯留される容器などが配置される。
そして、ホッパー113を介して上ケーシング17の開口部17aにスプル・ランナーなどの被粉砕物が投入されて、粉砕される。
【0078】
本実施例では、図3において、回転軸3が時計方向に回転し、回転刃7および切断刃11も回転軸3と共に時計方向に回転する。
そして、回転刃7の刃部7bは、第一固定刃5の刃部5aと噛み合いながら回転すると共に、スクレーパ99の突部99aと噛み合いながら回転する。
また、切断刃11は、その刃部11bが上ケーシング17の後壁73の溝81、カバー13の中空部、および上ケーシング17の前壁71の溝79を順次通過しながら回転する。
【0079】
被粉砕物が小さい場合には、回転刃7の刃部7bと、上ケーシング17の第一固定刃5の刃部5aとにより細かく粉砕され、下ケーシング15を介して下方へ排出されて容器に貯留される。
【0080】
また、被粉砕物が大きい場合には、切断刃11の刃部11bと、第一固定刃5および第二固定刃9とにより、一旦小さく切断され、さらに、回転刃7と第一固定刃5により粉砕されて下ケーシング15の下方へ排出される。
【0081】
本実施例では、上ケーシング17の溝79,81を介して下方へ落下した被粉砕物は、カバー13によりそれ以上の落下が防止され、切断刃11の刃部11bにより再び上ケーシング17の開口部17aに戻されて粉砕される。
【0082】
粉砕作業が終了し、粉砕機を清掃する際には、上ケーシング17を開け、カバー13のハンドル47を把持してカバー13を周方向にスライドさせて下ケーシング15から取り外せばよい。そして、ケーシング1の内部や、カバー13の内部を清掃すればよい。
【0083】
また、隙間閉塞部材87の支持具89を回転させて、板片91,91を上方へ移動させ、各固定刃5,9と上ケーシング17の左右壁75,77との隙間S1,S2を露出させて、隙間S1,S2に挟まったものを除去し、板片91,91を戻せばよい。
【0084】
下ケーシング15にカバー13を取り付ける場合には、図10に示すように、カバー13の開口を下に向け、図11に示すように、カバー13の中空部に切断刃11を配して、カバー13の側板43の凹部43aを回転刃7の周側面に当接させる。
そして、カバー13を回転刃7に沿って周方向に回転させて、カバー13の連結材45の溝45aに、一方の第一ガイド51の突部51aをはめ込み、さらに周方向に沿ってスライドさせて、第二ガイド53の案内部53aおよびもう一方の第一ガイド51の突部51aにはめ込んで装着すればよい。
【0085】
このようにして、カバー13が下ケーシング15に揺動可能に取り付けられ、上ケーシング17を閉じることで、位置決めされて回転不能にケーシング1に保持される。
【0086】
このように、本実施例では、不動状態の下ケーシング15に予め位置決めされて設けられたガイド51,53の突部51aや案内部53aに、カバー13の溝45aをはめ込むように、カバー13を周方向に沿ってスライドさせて下ケーシング15に装着する。そして、上ケーシング17を閉じてケーシング1に対するカバー13の揺動を規制する構成とされることで、カバー13の取り付けおよび取り外しが容易とされる。
【0087】
また、本実施例では、切断刃11の回転軌道の略半分をカバー13により覆っている。これにより、サイドカッターなどにより形成される上ケーシング17の溝の領域を少なくすることができ、溝の加工が容易である。しかも、カバー13も溝加工することなく形成できる。
【0088】
また、本実施例では、カバーは、ステンレス鋼などの板と連結材とにより形成されていることで、カバーを大きくすることが容易である。
【0089】
次に、本発明の粉砕機の変形例1について説明する。
図12〜図14は、本発明の粉砕機の変形例1を示す図であり、図12は平面図、図13はそのX−X断面図であり、上ケーシングが開放した状態を示しており、図14はケーシングの概略構成図である。
【0090】
本変形例1の粉砕機は、基本的には、上記実施例の粉砕機と同様の構成であり、以下においては、異なる部分を中心に説明し、同等の部材には同一の符号を付して説明する。
【0091】
本変形例1の粉砕機は、上記実施例の粉砕機とケーシング1の構成が異なり、特に、上ケーシング17の構成が異なる。本変形例1では、上ケーシング17が前後に二分割されている。
【0092】
具体的には、本変形例1の上ケーシング17は、上記実施例における上ケーシング17の前後方向中央部において二分割された構成とされ、前ケーシング201と後ケーシング203とを有する。
前ケーシング201には、上記実施例と同様に、前壁71の傾斜面71bに切断刃11が通過する溝79,79が形成されている。また、後ケーシング203には、上記実施例と同様に、後壁73の傾斜面73bに溝81,81が形成されると共に、第一固定刃5および第二固定刃9が取り付けられている。
【0093】
本変形例1では、前ケーシング201は、その前壁71の左右両端部に、前方へ突出して矩形板状の第三接続片207,207が設けられている。
また、下ケーシング15の前壁55の左右両端部には、前方へ突出し、さらに上方へ延出する板状の第四接続片209,209が設けられている。
そして、前ケーシング201の第三接続片207と、下ケーシング15の第四接続片209がそれぞれ重ね合わされ、左右方向に沿って軸211が架け渡されて、前ケーシング201と下ケーシング15とが連結される。
これにより、前ケーシング201は、下ケーシング15に軸211まわりに回転可能に保持される。
【0094】
また、後ケーシング203は、上記実施例と同様に、下ケーシング15に軸65まわりに回転可能に保持されている。
このように、本変形例1では、前ケーシング201および後ケーシング203が、下ケーシング15に対してそれぞれ前後に展開可能とされる。
【0095】
前ケーシング201と後ケーシング203は、閉じた状態において、係止棒213により互いに固定される。
具体的には、後ケーシング203の左右壁215,217には、それぞれ左右方向外側へ突出してブロック状の突出部219,219が形成されている。
また、前ケーシング201の左右壁221,223には、それぞれ左右方向外側へ突出してブロック状の突出部225,225が形成されている。
【0096】
そして、後ケーシング203の各突出部219には、上下方向中央部に前後方向に沿って溝219aが形成されている。また、前ケーシング201の各突出部225にも、上下方向中央部に前後方向に沿って溝225aが形成されている。
【0097】
係止棒213は、細長い丸棒材とされ、その一端部213aは円板状に形成されると共に、上下方向に沿って貫通穴が形成されている。
また、係止棒213の他端213bには、ネジが形成されている。
【0098】
係止棒213は、その一端部213aが、後ケーシング203の各突出部219の溝219aにはめ込まれ、上下方向に沿って軸227がはめ込まれ、軸227まわりに回転可能に後ケーシング203に保持される。
【0099】
前ケーシング201および後ケーシング203が下ケーシング15に対して閉じられた状態において、係止棒213の他端部が、前ケーシング201の突出部225の溝225aにはめ込まれる。そして、係止棒213の他端213bにナット229がねじ込まれることで、前ケーシング201と後ケーシング203とが連結されて、互いに固定される。
【0100】
本変形例1では、上記実施例と同様に、前ケーシング201および後ケーシング203を開けて、カバー13の取り付けおよび取り外しを行うことができる。
また、前ケーシング201および後ケーシング203が閉じられることで、前ケーシング201の下面および後ケーシング203の下面がカバー13の上面に当接してカバー13がケーシング1に対して移動不能に設けられる。
【0101】
次に、本発明の粉砕機の変形例2について説明する。
図15〜図17は、本発明の粉砕機の変形例2を示す図であり、図15は平面図、図16はそのY−Y断面図であり、上ケーシングが開放した状態を示しており、図17は前ケーシングが開いた状態を後方から見た概略斜視図である。
【0102】
本変形例2の粉砕機は、基本的には、上記実施例の粉砕機と同様の構成であり、以下においては、異なる部分を中心に説明し、同等の部材には同一の符号を付して説明する。
【0103】
本変形例2の粉砕機は、上記実施例の粉砕機とケーシング1の構成が異なり、特に、上ケーシング17の構成が異なる。
【0104】
本変形例2では、上ケーシング17は、前ケーシング241と後ケーシング243とを有し、下ケーシング15に対して前後に展開する構成とされる。
【0105】
具体的には、前ケーシング241は、上記実施例における上ケーシング17の前壁71と左右壁75,77とを有する形状とされ、前ケーシング241には、上記実施例と同様に、傾斜面71bに切断刃11が通過する溝79,79が形成されている。
また、本変形例2では、前ケーシング241の左右壁75,77の後端部の上端部同士を連結するように、左右方向に沿って矩形柱状の接続材245が設けられている。
【0106】
後ケーシング243は、上記実施例における上ケーシング17の後壁73を有する形状とされ、上記実施例と同様に、傾斜面73bに溝81,81が形成されると共に、第一固定刃5および第二固定刃9が取り付けられている。
但し、本変形例2では、隙間閉塞部材87は設けられない。
また、傾斜面73bに固定された第二固定刃9の上方の端面9aは、後ケーシング243の上面と面一とされている。
【0107】
本変形例2では、前ケーシング241は、その前壁71の左右両端部に、前方へ突出して矩形板状の第五接続片247,247が設けられている。
また、下ケーシング15の前壁55の左右両端部には、前方へ突出し、さらに上方へ延出する板状の第六接続片249,249が設けられている。
そして、前ケーシング241の各第五接続片247と、下ケーシング15の各第六接続片249が重ね合わされ、左右方向に沿って軸251が架け渡されて、前ケーシング241と下ケーシング15とが連結される。
これにより、前ケーシング241は、下ケーシング15に軸251まわりに回転可能に保持される。
【0108】
また、後ケーシング243は、上記実施例と同様に、下ケーシング15に軸65まわりに回転可能に保持されている。
このように、本変形例2では、前ケーシング241および後ケーシング243が、下ケーシング15に対してそれぞれ前後に展開可能とされる。
【0109】
本変形例2では、下ケーシング15に対して、後ケーシング243が閉じられた後に、前ケーシング241が閉じられる。
前ケーシング241および後ケーシング243が閉じた状態では、前ケーシング241の接続材245が後ケーシング243の上端部に載置される。
【0110】
また、接続材245は、その前端部245aがケーシング1の内側へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜面に形成されており、後ケーシング243に載置された際、各固定刃5,9の上面と連続して配置される。
【0111】
また、下ケーシング15に対して前ケーシング241および後ケーシング243が閉じた状態では、前ケーシング241の左右壁75,77が、後ケーシング243を挟み込んでおり、両端の第一固定刃5A,5Cの側面および第二固定刃9の両端部が前ケーシング241の左右壁75,77に当接または近接している。
【0112】
前ケーシング241と後ケーシング243は、下ケーシング15に対して閉じた状態において、係止棒253により下ケーシング15に固定される。
具体的には、下ケーシング15の後壁57の上端部には、左右方向中央部に後方へ突出してブロック状の突出部255が形成されている。また、前ケーシング241の接続材245には、左右方向中央部に後方へ突出してブロック状の突出部257が形成されている。そして、下ケーシング15の突出部255には、左右方向中央部に上下方向に沿って溝255aが形成されている。また、前ケーシング241の突出部257にも、左右方向中央部に上下方向に沿って溝257aが形成されている。
【0113】
係止棒253は、細長い丸棒材とされ、その一端部253aは円板状に形成されると共に、左右方向に沿って貫通穴が形成されている。
また、係止棒253の他端253bには、ネジが形成されている。
【0114】
係止棒253は、その一端部253aが、後ケーシング243の突出部255の溝255aにはめ込まれ、左右方向に沿って軸259がはめ込まれ、軸259まわりに回転可能に下ケーシング15に保持される。
【0115】
前ケーシング241および後ケーシング243が下ケーシング15に対して閉じられた状態において、係止棒253の他端部が、前ケーシング241の突出部257の溝257aにはめ込まれる。そして、係止棒253の他端253bにナット261がねじ込まれることで、前ケーシング241と下ケーシング15とが連結されて、前ケーシング241と後ケーシング243が下ケーシング15に固定される。
【0116】
本変形例2では、上記実施例と同様に、前ケーシング241および後ケーシング243を開けて、カバー13の取り付けおよび取り外しを行うことができる。
また、前ケーシング241および後ケーシング243が閉じられることで、前ケーシング241の下面および後ケーシング243の下面がカバー13の上面に当接してカバー13が移動不能にケーシング1に設けられる。
【0117】
さらに、本変形例2では、後ケーシング243の左右両端部に配置される第一固定刃5A,5Cおよび第二固定刃9は、前ケーシング241の左右壁75,77に当接または近接して配置され、前ケーシング241および後ケーシング243を開放することで、第一固定刃5A,5Cおよび第二固定刃9と左右壁75,77との間に挟まった被粉砕物などを除去することが可能である。
【0118】
次に、本発明の粉砕機の変形例3について説明する。
図18〜図20は、本発明の粉砕機の変形例3を示す図であり、図18は平面図、図19はそのZ−Z断面図であり、後ケーシングが開いた状態を示しており、図20は後方から見た概略斜視図である。
【0119】
本変形例3も、基本的には上記実施例と同様の構成であり、以下においては、上記実施例と異なる部分を中心に説明し、同等の部材には同一の符号を付して説明する。
【0120】
本変形例3の粉砕機は、上記実施例の粉砕機とケーシング1の構成が異なる。
具体的には、本変形例3のケーシング1は、左右に離間して配置される矩形板状の左右ケーシング301,303および、この左右ケーシング301,303の前方を閉塞する前ケーシング305を有する第一ケーシング307と、左右ケーシング301,303の後方に開閉可能に設けられる第二ケーシング309とを有する。
【0121】
本変形例3では、第一ケーシング307の左右ケーシング301,303の中央部間を架け渡すように、左右方向に沿って回転軸3が回転可能に保持されている。
【0122】
第一ケーシング307の前ケーシング305は、その下部305aが垂直面とされ、上部305bが、上記実施例における上ケーシング17の前壁71と同様の構成とされ、傾斜面71bに切断刃11が通過する溝79,79が形成されている。そして、前ケーシング305は、左右ケーシング301,303の前端部にボルト311により固定される。
【0123】
第二ケーシング309は、その下部309aが垂直面とされ、上部309bが、上記実施例における上ケーシング17の後壁73と同様の構成とされ、傾斜面73bに溝81,81が形成されている。また、傾斜面73bには、第一固定刃5および第二固定刃9が設けられている。
なお、本変形例3では、隙間閉塞部材87が設けられておらず、第二ケーシング309の上端部は第一ケーシング307の左右ケーシング301,303の上端部位置まで傾斜面状に上方へ延出した後、水平に形成されている。
【0124】
第二ケーシング309は、第一ケーシング307の左右ケーシング301,303の後端部間に配置され、その下端部が左右方向に沿ってはめ込まれるピン313,313により、左右ケーシング301,303に回転可能に保持される。
そして、第二ケーシング309が閉じられた状態では、左右両端の第一固定刃5A,5Cおよび第二固定刃9は、第一ケーシング307の左右ケーシング301,303の内面に近接または当接している。
【0125】
第二ケーシング309は、第一ケーシング307の左右ケーシング301,303に係止棒315により固定される。
具体的には、第二ケーシング309の上端部には、後方へ突出し、さらに左右方向外側へ延出して突出部317が形成されている。
また、第一ケーシング307の左右ケーシング301,303の後方上端部には、左右方向外側へ突出してブロック状の突出部319,319が形成されている。
【0126】
そして、第二ケーシング309の突出部317の左右両端部には、上下方向中央部に前後方向に沿って溝317aがそれぞれ形成されている。また、第一ケーシング307の左右ケーシング301,303の各突出部319にも、上下方向中央部に前後方向に沿って溝319aが形成されている。
【0127】
係止棒315は、丸棒材とされ、その一端部315aは円板状に形成されると共に、上下方向に沿って貫通穴が形成されている。また、係止棒315の他端315bには、ネジが形成されている。
【0128】
係止棒315は、その一端部315aが第一ケーシング307の左右ケーシング301,303の各突出部319の溝319aにはめ込まれ、上下方向に沿って軸321がはめ込まれ、軸321まわりに回転可能に左右ケーシング301,303に保持される。
【0129】
第二ケーシング309が閉じられた状態において、各係止棒315の他端部が、第二ケーシング309の突出部317の溝317aにはめ込まれて、他端315bにナット323がねじ込まれることで、第二ケーシング309が第一ケーシング307の左右ケーシング301,303に連結されて固定される。
【0130】
また、本変形例3では、カバー13が、3つの第二ガイド53,53,53により揺動可能に第一ケーシング307に保持される。
本変形例3では、3つの第二ガイド53,53,53は、回転軸3を中心とする円周上に配置されている。
具体的には、上記実施例と同様に、第一ケーシング307の左右ケーシング301,303の下端部間を架け渡すように、左右ケーシング301,303の前後方向中央部に、第二ガイド53(53A)が一つ設けられている。また、この第二ガイド53Aを挟んで前後にそれぞれ第二ガイド53(53B),53(53C)が設けられており、これらの第二ガイド53B,53Cは、前記第二ガイド53Aより上方へ配置されている。
【0131】
本変形例3では、上記実施例と同様に、第二ケーシング309を開けた状態で、カバー13の取り付けおよび取り外しを行うことができる。
つまり、カバー13を周方向にスライドさせて、カバー13の連結材45の溝45aに、各第二ガイド53の案内部53aを順次はめ込んでいくことで、ケーシング1に揺動可能に、カバー13を取り付けることができる。
本変形例3では、カバー13は、前壁305の上部305bの下面に当接することで位置決めがなされ、第一ケーシング307に対して第二ケーシング309を閉じることでカバー13の移動が規制される。
【0132】
本変形例3の第一ケーシング307は、その左右ケーシング301,303の前方を前ケーシング305により固定し、さらに、左右ケーシング301,303間を3つの第二ガイド53により架け渡すことで剛性が高められている。
【0133】
なお、本変形例3では、第二ケーシング309を第一ケーシング307の左右ケーシング301,303に対して開閉可能に設けたが、第一ケーシングの前ケーシング305を左右ケーシング301,303に対して開閉可能な構成としてもよい。
【0134】
なお、本発明の粉砕機は、上記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。
たとえば、上記実施例では、3個の回転刃7と、2個の切断刃11を回転軸3に設けたが、その個数や形状は適宜変更可能であり、切断刃11の数に応じてカバー13を取り付ければよい。
【0135】
また、上記実施例では、カバー13の溝45aと、第一ガイド51および第二ガイド53の凸状の突部51aや案内部53aとをはめ込んで、カバー13をスライドさせたが、カバー13の周壁に突部を形成し、各ガイド側に凹部を設けるようにしてもよい。
また、下ケーシング15や第一ケーシング307に設けられるガイド51,53の個数や形状は適宜変更可能である。
さらに、前ケーシング201,241と後ケーシング203,243の固定方法、および第一ケーシング307と第二ケーシング309との固定方法も適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の粉砕機の一実施例を示す平面図である。
【図2】図1のII−II概略断面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】図1の粉砕機の上ケーシングを取り外した状態の平面図である。
【図5】図1の粉砕機の上ケーシングを開けた状態を示す斜視図である。
【図6】図1の粉砕機のカバーを示す斜視図である。
【図7】図1の粉砕機の下ケーシングに設けられる第一ガイドおよび第二ガイドと、カバーの連結材の溝との関係を示す概略斜視図である。
【図8】図1の粉砕機の上部を示す概略斜視図である。
【図9】図1の粉砕機にホッパーが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図10】カバーの取り付け方法を示す概略断面図である。
【図11】図10の状態からカバーを第一ガイドにはめ込んだ状態を示す図である。
【図12】本発明の粉砕機の変形例1を示す平面図である。
【図13】図12のX−X断面図であり、上ケーシングが開放した状態を示す。
【図14】図12の粉砕機のケーシングの概略構成図である。
【図15】本発明の粉砕機の変形例2を示す平面図である。
【図16】図15のY−Y断面図であり、上ケーシングが開放した状態を示している。
【図17】図15の粉砕機の前ケーシングが開いた状態を後方から見た概略斜視図である。
【図18】本発明の粉砕機の変形例3を示す平面図である。
【図19】図18のZ−Z断面図であり、第二ケーシングが開いた状態を示す。
【図20】図18の粉砕機を後方から見た概略斜視図である。
【図21】従来の粉砕機を示す図である。
【符号の説明】
【0137】
1 ケーシング
3 回転軸
5 第一固定刃
7 回転刃
9 第二固定刃
11 切断刃
13 カバー
15 下ケーシング(第一ケーシング)
17 上ケーシング(第二ケーシング)
51 第一ガイド
51a 突部(凸部)
53 第二ガイド
53a 案内部(凸部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ケーシングに第二ケーシングが開閉可能に保持され、被粉砕物が投入されるケーシングと、
このケーシングに回転可能に設けられる回転軸と、
この回転軸に設けられ、前記ケーシングの固定刃との間で被粉砕物を破砕する切断刃と、
前記回転軸に設けられ、前記ケーシングの固定刃との間で被粉砕物を粉砕する回転刃と、
縦断面が略半円形状の中空容器状とされ、前記第一ケーシングに設けられたガイドに周壁が支持されて前記第一ケーシングに着脱可能に設けられ、前記第一ケーシングに対して前記第二ケーシングが閉じられることで、前記第一ケーシングおよび前記第二ケーシングに対して移動が規制され、この移動が規制された状態で、前記周壁の内面に沿って前記切断刃が回転されるカバーと
を備えることを特徴とする粉砕機。
【請求項2】
前記カバーの周壁の外面には、周方向に沿って溝部または突部が設けられており、
前記ガイドには、前記カバーの溝部または突部がはめ込まれる凸部または凹部が設けられており、
前記カバーは、その溝部または突部を、前記ガイドの前記凸部または凹部にはめ込むように周方向にスライドされて第一ケーシングに装着される
ことを特徴とする請求項1に記載の粉砕機。
【請求項3】
前記カバーは、平行に配置された一対の略半円形状の金属板の周縁が、略半円弧状の金属材で塞がれることで形成されており、
前記金属材に、前記溝部または突部が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の粉砕機。
【請求項4】
前記ガイドは、前記第一ケーシングに前記回転軸と平行に設けられる棒材とされ、その外周面に前記凸部または凹部が形成されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の粉砕機。
【請求項5】
前記ガイドは、前記カバーの周壁に対応した曲面を有し、この曲面に前記凸部または凹部が形成されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の粉砕機。
【請求項6】
前記第一ケーシングは、上下に開口する箱状とされ、
前記第二ケーシングは、ホッパー状の開口部を有すると共に、前記固定刃が取り付けられており、前記第一ケーシングに対し枢軸まわりに回転可能で、前記第一ケーシング上に載置されることで、前記ケーシングに対する前記カバーの移動を規制する
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の粉砕機。
【請求項7】
前記第二ケーシングは、
前記第一ケーシングの前端部まわりに開閉可能に設けられる前ケーシングと、
前記第一ケーシングの後端部まわりに開閉可能に設けられる後ケーシングとからなり、
前記前ケーシングまたは前記後ケーシングの一方に前記固定刃が設けられ、
前記第二ケーシングの前記前ケーシングと前記後ケーシングが、前記第一ケーシングに対して閉じられることで、前記ホッパー状の開口部が形成される
ことを特徴とする請求項6に記載の粉砕機。
【請求項8】
前記第二ケーシングの左右壁と前記固定刃との間には、隙間が形成されており、
この隙間を埋めるように板片が出し入れ可能に設けられている
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の粉砕機。
【請求項9】
前記前ケーシングは、前記第二ケーシングの前壁および左右壁を構成する一方、前記後ケーシングは、前記第二ケーシングの後壁を構成し、
前記後ケーシングに前記固定刃が設けられ、
前記前ケーシングの左右壁間に、前記後ケーシングがはめ込まれ、前記固定刃の側面が前記前ケーシングの左右壁と当接または近接する
ことを特徴とする請求項7に記載の粉砕機。
【請求項10】
前記第一ケーシングは、左右に離間して配置され、前記回転軸を保持する左ケーシングおよび右ケーシングと、この左右ケーシング間の前方を塞ぐ前ケーシングとからなり、
前記第二ケーシングは、前記左右ケーシング間の後方を塞ぐように、前記左右ケーシングに開閉可能に設けられると共に、前記固定刃が設けられており、
前記第一ケーシングに対して前記第二ケーシングが閉じられた状態において、前記固定刃の側面が前記左右ケーシングと当接または近接し、
前記第一ケーシングに対して前記第二ケーシングが閉じられた状態において、前記ケーシングの上部がホッパー状とされると共に、その下部に前記カバーが前記ケーシングに対して移動が規制されて配置される
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の粉砕機。

【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図12】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−88976(P2010−88976A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259022(P2008−259022)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【特許番号】特許第4298785号(P4298785)
【特許公報発行日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(392011611)株式会社渡部製鋼所 (1)
【Fターム(参考)】