説明

粉砕物を破砕又は粉砕するための装置

本発明は、破砕又は粉砕するための装置(1)であって、粉砕物を収容するための容器(2)と、該容器(2)内において加工中に回転する工具(5)と、該工具(5)のための駆動装置とが設けられている形式のものに関する。このような形式の装置において、本発明の構成では、容器(2)は工具(5)と一緒に解離可能に、駆動装置と連結可能であり、工具(5)を備えた容器(2)は、駆動装置と解離可能に連結可能であり、つまり工具(5)を備えた容器(2)は、粉砕過程後にクリーニングする必要がなく、新規の土曜な容器(2)と交換することができる。そのために容器(2)内における工具(5)は、駆動装置から解離された又は連結解除された位置において、又は相応な連結過程の前に、自由に回転可能であり、使用位置では連結装置によって駆動装置と相対回動不能に結合されかつセンタリングされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕物、特に硬質の又は脆性の又は脆化された粒子及び材料のような粉砕物を、破砕又は粉砕するための装置であって、粉砕物を収容するための容器と、該容器内において破砕又は粉砕中に回転する工具と、該工具のための駆動装置とが設けられている形式のものに関する。
【0002】
例えば摩砕機もしくは粉砕機(ミルとも呼ばれる)である、このような装置は、特に、分析を実施する分野において公知であり、分析過程用に特定の粉砕物を小さく砕くために働く。このような公知の装置又はミルでは、収容容器は、駆動装置用のハウジングと結合されていて、破砕過程又は粉砕過程の後で容器と、該容器内にある工具とを注意深くクリーニングできるようになっていなくてはならず、これによって容器及び工具を、次の粉砕又は破砕過程のために使用することができる。このことは特に、汚染された又は毒性のある材料の場合に、極めて手間がかかり、しかも場合によっては完全には上手くいかない。なぜならば特に、駆動装置から容器の内部を切り離すために、工具の領域に設けられたシール部材は、場合によっては前記材料の一部を受容しているか、又はこのような領域はクリーニングのために極めて接近しにくいからである。そして相応に大きな時間の損失が、相前後して実施される2つの破砕過程又は粉砕過程の間において特に前記クリーニングのために発生する。
【0003】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式の装置を改良して、粉砕過程を次々と短時間のうちに実施できるようにすることである。
【0004】
この課題を解決するために本発明の構成では、冒頭に述べた形式の装置において、容器は工具と一緒に解離可能に、駆動装置と連結可能であり、工具は容器内に、駆動装置から解離された又は連結解除された位置において配置されていて、かつ/又は自由に回転可能であり、使用位置では連結装置によって駆動装置と相対回動不能に結合されかつセンタリングされている。
【0005】
このような配置構成によって、容器と工具とを極めて安価に構成することができ、特に工具を容器に対して支承する必要がなくなる。工具のセンタリング及び容器のセンタリングは、工具との連結によって初めて達成されるので、この容器は工具と共に問題なく1回の使用の後で処分もしくは廃棄することができ、工具を備えた新たな容器と共に交換することができ、その結果クリーニングを省くことができる。時間の獲得はこの場合通常、廃棄可能な容器よりも重要であり、つまり廃棄可能な容器は、工具を備えた同様な容器と交換することができる。さらに本発明によって、クリーニングを省けるという利点が得られ、このような利点は、特に毒性のある又は汚染された材料を扱う場合には、使用者にとっても有利と見なすことができる。
【0006】
しかしながらまた、工具を備えた容器を1つの加工工程の後で解離して、直ちに他の同様な、工具を備えた容器と交換することも可能であり、このようにすると、使用済みの容器を、ゆっくりとクリーニングすることができる。つまり本発明では、工具を備えた容器を新たな容器と交換することも、又はクリーニングされた容器と交換することも、いずれもが可能である。
【0007】
本発明の別の有利な態様では、工具に係合する軸が、容器の底部又は壁を貫いて外方又は下方に向かって延びていて、連結延長部を有しているか又は保持しており、該連結延長部は、駆動装置に相対回動不能に配置された対応連結部材と、センタリングされて摩擦力結合式及び/又は形状結合式に差込み結合可能である。
【0008】
連結延長部と対応連結部材とは、少なくとも部分的に円筒形に形成され、かつこの円筒形領域に隣接して先細に又は円錐形に形成されていて、使用位置において外側円錐形領域と内側円錐形領域とが、かつ円筒形領域同士が、これらの領域の周囲の少なくとも一部にわたって互いに接触している。このように構成されていると、差込み結合された場合に、良好かつ確実なセンタリングが達成される。
【0009】
本発明の別の態様では、工具の軸に設けられた連結延長部は、工具とは反対側の端面において開放した中空円筒体として形成されていて、該中空円筒体は、軸に向かって先細になっており、対応連結部材は、連結延長部における先細部に適合する円錐形領域を有していて、該円錐形領域は円筒形領域に同軸的に配置されていて、該円筒形領域の横断面は、円錐形領域の最大横断面にほぼ相当している。差込み結合された状態において、円錐領域はセンタリングのために働き、円筒形領域は、後でさらに述べるように、安定化のみならず、保持力及び回転力を伝達するためにも働く。
【0010】
本発明の別の有利な態様では、連結延長部と対応連結部材とは、外方又は半径方向に突出する複数の突出部と、該突出部に適合し軸方向に開放していてアンダカット部を有する切欠きとを用いて、軸方向において係止可能であり、それぞれの突出部との係止のために設けられた切欠きは、連結装置の特定箇所において配置されていて、該特定箇所において連結延長部と対応連結部材とは、相互に作用する軸方向力下で結合されていて、連結延長部に隣接した、容器の底部又は壁領域が、軸を取り囲むシール部材に押し付けられている。つまりこのように構成されていると、アンダカット部と係止可能な突出部を用いて、トルクの伝達が可能になり、かつ係止過程によって軸方向において力が加えられ、この力によって、連結装置が互いに引き寄せられて結合され、かつ場合によってはシール部材が軸の領域において圧縮される。つまり簡単かつ迅速な差込み運動によって、必要なセンタリングとシールとが有効になり、次いで駆動装置はトルクを、今や緊締されかつ固定された工具に伝達することが可能になる。しかも解離を簡単に行うことができる。なぜならば、互いに連結された部分は、係止力を克服するだけで互いに引き離すことができ、そのためには必要とあらば、工具を用いることができるからである。
【0011】
別の有利な態様、特に連結領域の有利な態様では、対応連結部材は、有利には真円形横断面を備えていて半径方向に突出する少なくとも2つの突出部を有していて、連結延長部は、差込み方向において拡大するスリットを有していて、この拡大部は、突出部の寸法にほぼ相当する寸法を有していて、差込み方向において突出部の前に、係止作用を有しかつ克服可能な狭窄箇所が配置されている。つまり差込み結合時に狭窄箇所は、突出部を越えて、又は該突出部に対して移動されねばならず、この動作はある程度の押し退け又は弾性的な可撓性の下で可能であり、そしてこの動作は、各突出部が連結開口拡大部内に係止するまで行われる。この場合有利な配置構成では、突出部は対応連結部材に設けられているが、しかしながらまた逆に対応連結部材が係止スリットを有していて、連結延長部が突出部を有しているような配置形式も可能である。
【0012】
本発明の別の態様では、連結延長部に設けられた切欠きは、狭窄箇所に通じる進入傾斜部を有している。このように構成されていると、差込み結合がさらに簡単になる。なぜならば使用者は、突出部と、これらの突出部を受容するスリットとを完全に正確に合致させる必要がなく、進入傾斜部によって突出部は差込み結合時に相対的に適正な位置に方向付けられるからである。
【0013】
円錐部と先細になる内側開口を有する連結部分のために、半径方向に突出する2つの突出部が対応連結部材に、又は場合によっては連結延長部に設けられていてよい。このような構成は円錐形の接触領域と一緒に、連結装置の静的な確実性を生ぜしめる。
【0014】
本発明の別の態様では、連結延長部と対応連結部材とは、軸方向における作用長さ全体にわたって等しいままの横断面で互いに適合し、半径方向に突出する3つの突出部が、スリット及び開口と差込み結合時に係止可能である。このような構成によっても、静的な確実性を生ぜしめる。
【0015】
別の有利な態様では、駆動装置は、保護されてハウジング内に配置されていて、容器と該ハウジングとは解離可能に結合可能であり、この場合解離及び結合運動は、連結装置の解離又は結合のために働く。
【0016】
容器とハウジングとの結合運動は、第1の軸方向における差込み運動と、少なくともある程度の角度範囲にわたって行われる回転運動とから成っており、差込み運動は連結延長部と対応連結部材との差込み結合運動と同期していてよい。このように構成されていると、使用者は容器を単に駆動装置のハウジングと差込み結合するだけで、駆動装置と工具とを連結しかつ結合することができる。
【0017】
容器とハウジングとの結合のために、バヨネットジョイントが設けられていてよい。バヨネットジョイントでは、初めに閉鎖運動のための軸方向運動が必要であり、この軸方向運動は前記差込み運動であり、その後で相対的な部分回動が行われる。本発明の別の有利な態様では、容器には使用位置において下縁部に隣接して、半径方向に突出していてバヨネットジョイントの保持曲線に適合する少なくとも1つの突出部が配置されており、駆動装置のハウジングにおける保持曲線は、鉛直方向の入口と、周方向に特に斜めに延びる区分とを有している。より良好な固定のために、このような2つの突出部が、有利には周囲において互いに反対側に位置している2つの保持曲線と共働することができる。
【0018】
本発明の別の態様では、バヨネットジョイントの保持曲線の傾斜は、特定の周方向領域及び高さ領域にわたって延びていて、該高さ領域は、連結延長部の係止運動に少なくとも部分的に相当している。つまり差込み結合時に、軸と駆動装置との連結は少なくとも部分的に行うことができ、そしてバヨネットジョイントの回動によって完成させることができる。これによって同時に連結装置全体の不都合な解離も防止される。すなわちバヨネットジョイントの相応な構成によって、連結延長部と対応連結部材との連結及び係止を事実上自動的にバヨネットジョイントの操作によって行うことができる。
【0019】
本発明の別の態様では、工具のための軸の貫通部の領域に、シール部材として、該貫通部を負荷しかつ取り囲むシールリングが設けられており、該シールリングは、容器と駆動装置のハウジングとの結合時に、特に工具によって軸方向において負荷可能及び/又は圧縮可能ある。このように構成されていると、シールリングはこのポジションにおいて良好なシール作用をも有することになる。シールリングの相応な変形は、この場合事実上自動的に、連結延長部と対応連結部材との結合及びこの際に生じる軸方向力によって行われる。
【0020】
シールリングは少なくとも部分的に発泡材から成っていて、少なくとも1つの端面又は工具に向けられた端面に、例えばコーティング又は半光沢仕上げによって、低摩擦に形成されていてよい。このように構成されていると、回転する工具に対する相対運動は、可能な限り僅かしか損なわれない。
【0021】
さらに付言すれば、本発明の別の態様では、有利には交換可能な容器内において、粉砕物を収容しかつ工具を有している室の上に、容器の内室を画定しかつ出発位置において、粉砕物の上に位置している皿状部材が設けられている。このような皿状部材は、粉砕物の量に対する内室の適合を可能に又は容易にする。このような構成において、粉砕物の上方に位置する又は粉砕物に接触してその上に位置する皿状部材のために、該皿状部材の下方への降下を制限するストッパが設けられていると、皿状部材が工具と衝突することを阻止することができる。すなわち皿状部材は、粉砕過程中、及びこれと同時に生じる体積の減少中に自動的に粉砕室を小さくすることができる。
【0022】
本発明のさらに別の態様では、皿状部材の、粉砕物に向けられた側は、粉砕過程及び破砕過程を促進するための異形成形部又は粗面化部又はこれに類した変形部を有している。このように構成されていると、粉砕物を工具のみならず、皿状部材の荒い面によっても負荷することができ、有利である。
【0023】
特に、上に述べた特徴及び処置を複数組み合わせることによって得られる、破砕又は粉砕のための本発明による装置では、クリーニングのための手間もしくはコストを減じること又は完全に回避することができる。すなわちこの場合本発明による装置では、工具を備えた容器が駆動装置から切離し可能でかつ交換可能であることによって、容器を安価な使い捨て容器として加工後に廃棄すること、又は加工後に新規の容器又はクリーニングされた容器と交換して、完全に次の粉砕過程のための準備をすることができる。
【0024】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】駆動装置と解離可能に連結可能である、工具を備えた容器を有する、粉砕物を破砕又は粉砕するための本発明による装置を示す縦断面図である。
【図2】容器の取外し後又は容器の被せ嵌め及び連結前における、駆動装置と駆動装置ハウジングとの連結箇所を示す上から見た斜視図である。
【図3】解離可能に取付け可能な容器を示す側面図である。
【図4】図3のA−A線に沿った縦断面図であって、容器を、工具のための軸に配置された連結延長部と共に示す図である。
【図5】螺合によって取付け可能な又はバヨネットジョイントを用いて取付け可能なカバーを取り外した状態における容器を示す斜視図である。
【図6】図4に示した装置の連結延長部と、この連結延長部に適合する図1及び図2に示した連結対応部材とを示す斜視図である。
【図7】連結延長部と対応連結部材との別の実施形態を示す斜視図である。
【図8】図5に示した下側部分に適合する、容器の解離可能なカバーを示す縦断面図である。
【図9】容器と容器のカバーに適合しかつ下側面を粗面化された、粉砕室を画定する皿状部材を側方から見た斜視図である。
【0026】
全体を符号1で示された装置は、正確な分析への供給が望まれている、例えば硬質の又は脆性の又は脆化された粒子及び材料のような、粉砕物を破砕又は粉砕するために働く。
【0027】
装置1には、図1、図3及び図4に示された、粉砕物を収容するための容器2が設けられており、この容器2は、図5及び図8に示すように、使用位置では下側部分3と、該下側部分3に結合可能な又は結合されているフード状のカバー4とから成っている。
【0028】
容器2には、破砕又は粉砕中に回転する工具5が配置されており、この工具5の下には、図1及び図4に示した使用位置において、工具5を駆動装置と連結するための軸6が配置されている。
【0029】
特に図1、図2、図3及び図4を同時に見た場合に明らかなように、工具5を回転させるために、容器2は工具5と一緒に、後でさらに述べる駆動装置と連結可能であり、工具5は容器2内において、駆動装置から解離された又は遮断された状態において自由に回転可能であって、使用位置において初めて駆動装置との連結により該駆動装置と相対回動不能に結合されかつセンタリングされている。
【0030】
特に図4及び図5から明らかなように、工具5は容器2内において、駆動装置への結合がなされていない間は、自由に回転可能である。
【0031】
工具5に係合する軸6は、図示の実施形態では容器2の底部7を貫いて外方に向かって、かつ図示の実施形態では使用位置において下方に向かって延びている。しかしながらまた、軸が壁を貫いて外方に向かって延びているような配置形態も可能である。
【0032】
軸6は、全体を符号8で示した連結延長部を有しており、この連結延長部8は、駆動装置に相対回動不能に配置された対応連結部材9(図1、図2、図6及び図7参照)と、センタリングされてかつ摩擦力結合式(kraftschluessig)及び形状結合式(formschluessig)に差込み結合可能である。
【0033】
図6及び図7には、それぞれ幾分異なった形状を有する連結延長部8及び対応連結部材9が、差込み結合直前における状態で示されている。
【0034】
図1、図2、図4及び図6に示した実施形態では、連結延長部8及び対応連結部材9は部分的に円筒形であり、この円筒形領域に隣接した領域において円錐形に先細に形成されていて、図1に示した使用位置において外側円錐形領域と内側円錐形領域とが、かつ円筒形領域同士が互いに周囲において接触し、形状結合式の連結部を形成するようになっている。
【0035】
上記図面から分かるように、工具5の軸6に設けられた連結延長部8は、工具5とは反対側の端面において開放した中空円筒体として形成されており、この中空円筒体は、軸6に向かって先細になっていて、つまり軸6の領域に円錐形領域を有している。対応連結部材9は、連結延長部8における先細部に対して形状結合式に適合する円錐形領域9aを有しており、この円錐形領域9aは円筒形領域に同軸的に配置されていて、この円筒形領域の横断面は、円錐形領域9aの最大横断面に相当しているので、円筒形領域から円錐形領域9aへの段のない移行部が生ぜしめられている(図6参照)。同様に連結延長部8の内側面も段なしに形成されている。
【0036】
図6及び図7に示した両実施形態では、連結延長部8と対応連結部材9とは、外方又は半径方向に突出する複数の突出部10と、該突出部10に適合し軸方向に開放していてアンダカット部10aを有する切欠き11とを用いて、係止可能である。それぞれの突出部との係止のために設けられた切欠き11は、連結装置の特定箇所に配置されていて、この特定箇所において連結延長部8と対応連結部材9とは、相互に作用する軸方向力下で結合され、つまり連結ポジションにおいて押し合わせられていて、容器2の、軸6を取り囲むシール部材12を備えていて連結延長部8に隣接した底部7は、スリーブ延長部7aによって、駆動装置に押し付けられている。
【0037】
図6に示した実施形態では、対応連結部材9は、この実施形態では真円形の横断面を備えていて半径方向に突出する2つの突出部10を有しており、連結延長部8は切欠き11として、差込み方向において拡大するスリットを有しており、この場合拡大部は、突出部10の寸法にほぼ相当する寸法を有していて、差込み方向において突出部の前には、アンダカット部10aに基づいて、係止作用を有しかつ克服可能な狭窄箇所15が形成されている。連結延長部8における切欠き11はこの場合進入傾斜部16を有しており、これらの進入傾斜部16は狭窄箇所15に通じているので、これにより連結運動が容易になる。
【0038】
図6に示した実施形態では、円錐部と先細になる内側開口とを有する連結部分のために、半径方向に突出する2つの突出部10が対応連結部材9に設けられている。
【0039】
図7に示した実施形態では、連結延長部8と対応連結部材9とは、軸方向における作用長さ全体にわたって等しいままの横断面で互いに適合し、半径方向に突出する3つの突出部10は、相応な狭窄箇所15を備えた開口及びスリットとして形成された切欠き11と、差込み結合時に係止可能である。両方の解決策は、所望かつ必要な静的な確実性を生ぜしめる。
【0040】
例えば電動機である上に述べた駆動装置は、図示の実施形態ではハウジング17内に配置されていて、容器2とこのハウジング17とは互いに解離可能に結合することができるので、容器2は駆動装置から完全に切り離すことができる。
【0041】
容器2とハウジング17との結合は、軸方向において差込み運動と、少なくともある程度の角度範囲にわたって行われる回転運動とによって達成されるので、この差込み運動は、連結延長部8と対応連結部材9との差込み結合運動と同期させて行われる。この場合容器2とハウジング17との間における結合のためには、バヨネットジョイントが設けられており、このバヨネットジョイントの保持曲線18は図2に示されている。
【0042】
図3及び図5によれば、容器2には、該容器2のスリーブ延長部7aの、使用位置において下縁部19に隣接して、半径方向に突出していてバヨネットジョイントの保持曲線18に適合する2つの突出部20が配置されている。駆動装置のハウジング17における保持曲線18は、その上側に鉛直方向に延びる入口21と、周方向において斜めに延びる区分とを有しており、この斜めの区分は、保持曲線18の主要な部分を形成している。突出部20は入口21及び保持曲線18内に嵌入し、つまり容器2とハウジング17とは最初はほぼ鉛直方向で差込み結合され、これによって突出部20は入口21内に導入され、この導入過程は、突出部20が本来の保持曲線18の高さに位置するまで続き、その後で、相対回動によって突出部20は保持曲線18内へと導入され、これにより軸方向における固定が達成される。
【0043】
図2に示された、バヨネットジョイントの保持曲線18の傾斜部は、特定の周方向領域にわたって、かつ対応連結部材9における連結延長部8の係止運動に相当する高さ領域にわたって延びており、すなわち突出部20の差込み運動と、保持曲線18を用いた突出部20のさらなる軸方向運動とによって、同時に、連結延長部8と対応連結部材9との係止が達成され、堅固な連結結合部が生ぜしめられる。この場合係止は、多くの場合既に、入口21への突出部20の差込み運動によって達成されているので、回動及び保持曲線18の傾斜は付加的な軸方向の保持力を生ぜしめるものである。
【0044】
工具5のための軸6の貫通部の領域には、シール部材12として、該貫通部をシールするシールリングが設けられており、このシールリングは容器2とハウジング17との結合時に、又は既にその前に特に工具5によって、軸方向において負荷され、連結時には圧縮され、これにより必要なシール作用が生ぜしめられている。このシールリングは少なくとも部分的に発泡材から成っていてよく、少なくとも工具5に向けられかつ該工具5と接触している端面において、例えばコーティング又は半光沢仕上げによって低摩擦に、形成されていてよい。
【0045】
図1、図4及び図8からさらに分かるように、容器2内において、粉砕物を収容しかつ工具5を有している室の上に、容器2の内室を画定する又は減じる皿状部材22が設けられており、図9に単独で示されているこの皿状部材22は、出発位置において有利には粉砕物の上で停止している。粉砕物の上方に位置する又は粉砕物に接触してその上に位置するこの皿状部材22のために、容器内には、下方への皿状部材22の降下を制限するストッパが設けられていてよい。皿状部材22の、粉砕物に向けられた側は、図9に示すように、粉砕過程及び破砕過程を促進するための異形成形部又は粗面化部を有している。
【0046】
カバー4は容器2の下側部分3と解離可能に結合されているので、下側部分3を一度だけ使用し、工具5及びシール部材12のクリーニングなしに廃棄したい場合にも、カバー4を再使用することができる。
【0047】
破砕又は粉砕のための装置1は、粉砕物を収容するための容器2と、この容器2内において作業中に回転する工具5と、この工具5のための駆動装置とを有している。工具5を備えた容器2は、駆動装置と解離可能に連結することができ、つまり工具5を備えた容器2は、粉砕過程後にクリーニングする必要がなく、新たな容器2と交換することができる。そのために、容器2内における工具5は、駆動装置から解離又は連結解除された位置において、又は相応な連結動作の前には、自由に回転可能であり、使用位置においては連結装置によって駆動装置と相対回動不能に結合されかつセンタリングされている。
【符号の説明】
【0048】
1 装置、 2 容器、 3 下側部分、 4 カバー、 5 工具、 6 軸、 7 底部、 7a スリーブ延長部、 8 連結延長部、 9 対応連結部材、 9a 円錐形領域、 10 突出部、 10a アンダカット部、 11 切欠き、 12 シール部材、 15 狭窄箇所、 16 進入傾斜部、 17 ハウジング、 18 保持曲線、 19 下縁部、 20 突出部、 21 入口、 22 皿状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕物、特に硬質の又は脆性の又は脆化された粒子及び材料のような粉砕物を、破砕又は粉砕するための装置(1)であって、粉砕物を収容するための容器(2)と、該容器(2)内において破砕又は粉砕中に回転する工具(5)と、該工具(5)のための駆動装置とが設けられている形式のものにおいて、
容器(2)は工具(5)と一緒に解離可能に、駆動装置と連結可能であり、工具(5)は容器(2)内に、駆動装置から解離された又は連結解除された位置において配置されていて、かつ/又は自由に回転可能であり、使用位置では連結装置によって駆動装置と相対回動不能に結合されかつセンタリングされていることを特徴とする、粉砕物を破砕又は粉砕するための装置。
【請求項2】
工具(5)に係合する軸(6)が、容器(2)の底部又は壁を貫いて外方又は下方に向かって延びていて、連結延長部(8)を有しているか又は保持しており、該連結延長部(8)は、駆動装置に相対回動不能に配置された対応連結部材(9)と、センタリングされて摩擦力結合式及び/又は形状結合式に差込み結合可能である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
連結延長部(8)と対応連結部材(9)とは、少なくとも部分的に円筒形に形成され、かつこの円筒形領域に隣接して先細に又は円錐形に形成されていて、使用位置において外側円錐形領域と内側円錐形領域とが、かつ円筒形領域同士が、これらの領域の周囲の少なくとも一部にわたって互いに接触している、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
工具(5)の軸(6)に設けられた連結延長部(8)は、工具(5)とは反対側の端面において開放した中空円筒体として形成されていて、該中空円筒体は、軸(6)に向かって先細になっており、対応連結部材(9)は、連結延長部(8)における先細部に適合する円錐形領域(9a)を有していて、該円錐形領域(9a)は円筒形領域に同軸的に配置されていて、該円筒形領域の横断面は、円錐形領域(9a)の最大横断面にほぼ相当している、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
連結延長部(8)と対応連結部材(9)とは、外方又は半径方向に突出する複数の突出部(10)と、該突出部(10)に適合し軸方向に開放していてアンダカット部(10a)を有する切欠き(11)とを用いて、係止可能であり、それぞれの突出部との係止のために設けられた切欠き(11)は、連結装置の特定箇所において配置されていて、該特定箇所において連結延長部(8)と対応連結部材(9)とは、相互に作用する軸方向力下で結合されていて、連結延長部(8)に隣接した底部(7)又は軸(6)を取り囲むシール部材(12)が押し付けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
対応連結部材(9)は、有利には真円形横断面を備えていて半径方向に突出する少なくとも2つの突出部(13)を有していて、連結延長部(8)は、差込み方向において拡大するスリットを有していて、この拡大部(14)は、突出部(13)の寸法にほぼ相当する寸法を有していて、差込み方向において突出部の前に、係止作用を有しかつ克服可能な狭窄箇所(15)が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
連結延長部(8)に設けられた切欠き(11)は、狭窄箇所に通じる進入傾斜部を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
円錐部と先細になる内側開口を有する連結部分のために、半径方向に突出する2つの突出部(13)が対応連結部材(9)に設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
連結延長部(8)と対応連結部材(9)とは、軸方向における作用長さ全体にわたって等しいままの横断面で互いに適合し、半径方向に突出する3つの突出部(13)が、切欠き(11)と差込み結合時に係止可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
駆動装置はハウジング(17)内に配置されていて、容器(2)と該ハウジング(17)とは解離可能に結合可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
容器(2)とハウジング(7)との結合運動は、第1の軸方向における差込み運動と、少なくともある程度の角度範囲にわたって行われる回転運動とから成っており、差込み運動は連結延長部(8)と対応連結部材(9)との差込み結合運動と同期している、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
容器(2)とハウジング(17)との結合のために、バヨネットジョイントが設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
容器(2)には使用位置において下縁部(19)に隣接して、半径方向に突出していてバヨネットジョイントの保持曲線(18)に適合する少なくとも1つの突出部(20)が配置されており、駆動装置のハウジング(17)における保持曲線(18)は、鉛直方向の入口(21)と、周方向に特に斜めに延びる区分とを有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
バヨネットジョイントの保持曲線(18)の傾斜は、特定の周方向領域及び高さ領域にわたって延びていて、該高さ領域は、対応連結部材(9)における連結延長部(8)の係止運動に相当している、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
工具(5)のための軸(6)の貫通部の領域に、シール部材(12)として、該貫通部を負荷しかつ取り囲むシールリングが設けられており、該シールリングは、容器(2)と駆動装置のハウジング(17)との結合時に、特に工具(5)によって軸方向において負荷可能及び/又は圧縮可能ある、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
シールリングは少なくとも部分的に発泡材から成っていて、少なくとも1つの端面又は工具(5)に向けられた端面に、例えばコーティング又は半光沢仕上げによって、低摩擦に形成されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
容器(2)内において、粉砕物を収容しかつ工具(5)を有している室の上に、容器(2)の内室を画定しかつ出発位置において、有利には粉砕物の上に位置している皿状部材(22)が設けられている、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
粉砕物の上方に位置する又は粉砕物に接触してその上に位置する皿状部材(22)のために、該皿状部材(22)の下方への降下を制限するストッパが設けられている、請求項1から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
皿状部材(22)の、粉砕物に向けられた側は、粉砕過程及び破砕過程を促進するための異形成形部又は粗面化部又はこれに類した変形部を有している、請求項1から18までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−511375(P2013−511375A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539214(P2012−539214)
【出願日】平成22年10月30日(2010.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006650
【国際公開番号】WO2011/060882
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(594184816)イカーヴェルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】IKA−Werke GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Janke und Kunkel Strasse 10,D−79219 Staufen,Germany
【Fターム(参考)】