説明

粉粒体供給機

【課題】共通中心軸を有する直立内外円筒間の円筒間隔、外筒底板及び内筒下端と外筒底板によって形成される円形通路の底板に沿って上記中心軸にある回動軸に設けた回転羽根、回転リング及び等間隔回転爪によって形成される円形通路内に安息角を形成して上記内筒下端から自然に供給される「小球粒」「片状又は絡み易い廃プラ小片」等を上記円形通路に形成した排出口から脈動又は不均等落下を防止し、均等又は定量落下供給(排出)する粉粒体供給機の提供。
【解決手段】直立内筒の下端から直立外筒2の底板3に至る間隙から上記内筒と外筒2間に形成した円形通路4に連通し、該通路4の上記底板3に沿って回動する回転羽根5及び回転爪6によって上記通路4内の粉粒体7を上記通路4に沿って回動し、該通路4に粉粒体落下排出口8を開口し、該排出口8の始端縁8’に終端縁8”に向う複数の案内杆9,9’を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体供給機によって各種の粉粒体を排出口から定量供給する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内筒と外筒との間の円形材料通路に排出口を設けてなる粉粒体供給機では、上記円形材料通路に内筒下端の間隙から粉粒体が安息角を形成して一定量進入し、該通路内の粉粒体は、一定間隙毎に設けた回転羽根及び回転爪の回転によって押されて回動し、上記排出口から一定量ずつ落下し、コンベア等に供給される構成である。
【0003】
このような従来の粉粒体供給機は、上記排出口から粉粒体が急に落下排出されることによる脈動排出を防止すべく、排出口の幅を粉粒体の進行方向に徐々に広く形成したものがある(図5、例えば特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】実開平6−31829号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の粉粒体供給機の排出口は、微粉粒体の脈動排出を防止して定量供給を実現するには適しているが、例えば廃棄プラスチック等の片状や絡み易い材料(粉粒体)の場合は、上記排出口の狭いエリアにおいては落下せず、広いエリアに至って急に落下するという脈動排出が生ずる可能性がある。
【0006】
本発明は共通中心軸を有する直立内外円筒間の円筒間隔、外筒底板及び内筒下端と外筒底板によって形成される環状通路の底板に沿って上記中心軸にある回動軸に設けた回転羽根、回転リング及び等間隔回転爪によって形成される環状通路内に安息角を形成して上記内筒下端から自然に供給される「小球粒」「片状又は絡み易い廃プラ小片」等を上記環状通路に形成した排出口から脈動又は不均等落下を防止し、均等又は定量落下供給(排出)することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明は
第1に、底板に外筒を立設して粉粒体供給ケースとし、上記底板の上方に粉粒体排出間隙を介して内筒を同心に支持し、上記底板の中心に直立回転軸を設け、該回転軸に上記底板上に位置する複数のスポークを設けて回転体を形成し、該回転体の筒状外縁を外筒の内周に近接して内外筒間の環状通路を形成し、上記筒状外縁に上記環状通路方向の材料移送用スクレーパを複数設け、上記粉粒体排出間隙から所定の安息角にて上記環状通路に拡散した粉粒体を上記スクレーパにより粉粒体排出口に移送する粉粒体供給機において、上記排出口の始端縁に該排出口の終端縁に向う複数の案内杆を設けてなる粉粒体供給機により構成されるものである。
【0008】
第2に上記案内杆の長さが調節可能である上記第1記載の粉粒体供給機により構成されるものである。
【0009】
第3に複数の上記案内杆が長短平行に支持され、上記内筒側の案内杆が長く外筒側の案内杆が短い上記第1又は第2記載の粉粒体供給機により構成されるものである。
【0010】
従って直立内筒内に片状又は絡み易い粒体を投入すると該粒体は上記内筒の下端と上記外筒の底板との間隙θから上記環状通路内に安息角αを形成して排出される。
【0011】
この状態において上記回転羽根及び回転爪が上記環状通路の底板に沿って中心軸の回りに回動し、上記粒体を上記排出口の始端部から複数の案内杆に倣って排出口の終端部に向って摺動し、案内杆間の間隙から一定量宛落下し、均等落下することができる。このとき、複数の案内杆によって材料は上記間隙から分散して落下するので、例えば絡み合った材料を解しながら排出することができ、脈動排出を防止することができる。
【0012】
上記複数の案内杆の長さ及び間隙又は数は上記粒体の大小、形状及び物性等に適応するよう適宜選定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したので、片状や絡み易い粉粒体でも排出口からの落下を分散させることにより、脈動を防止し得て上記排出口から均等に落下供給し得る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
底板3に外筒2を立設して粉粒体供給ケースとし、上記底板3の上方に粉粒体排出間隙θを介して内筒1を同心に支持し、上記底板3の中心に直立回転軸10を設け、該回転軸10に上記底板3上に位置する複数のスポーク5を設けて回転体を形成し、該回転体の筒状外縁11を外筒2の内周に近接して内外筒間の環状通路4を形成し、上記筒状外縁11に上記環状通路方向の材料移送用スクレーパ6を複数設け、上記粉粒体排出間隙θから所定の安息角αにて上記環状通路4に拡散した粉粒体を上記スクレーパ6により粉粒体排出口8に移送するように粉粒体供給機を構成する(図1、図3参照)。
【0015】
即ち、直立共通中心軸c上に直立内外筒1,2を配置し、該内外筒1,2間に上記環状通路4を形成し、外筒2の底板3上方に内筒1の下端を材料通路間隙(粉粒体排出間隙)θを介して支持し、上記外筒2の底板3の中心部に突設した直立回動軸10の上端部に上記底板3に沿う複数の回転羽根(スポーク)5を設け、これらの回転羽根5の先端に上記外筒2の内周に沿う回転リング(筒状外縁)11を設け、該リング11に上記底板3に沿って複数の材料押爪(材料移送用スクレーパ)6を上記環状通路4内に設け、かつ上記環状通路4の上記底板3に粉粒体落下排出口8を開口することにより粉粒体供給機が構成される(図1、図3参照)。
【0016】
このような粉粒体供給機の上記粉粒体落下排出口8は図1、図2に示すように始端縁8’及び終端縁8”が平行対向縁であって該排出口8の中心を通る内外筒1,2の直径線Dと平行であり、かつ該排出口8の幅は環状通路4の幅tとほぼ同一幅であるが、図1、図2に示すように内筒1側に弧形フランジ8aを形成し上記幅tより多少小とする。
【0017】
上述のように形成した粉粒体落下排出口8の始端縁8’に終端縁8”に向う複数(2個)の案内杆9,9’を上記始端縁8’の中央部に間隔e,e’,e”を介して配置し、該案内杆9,9’のそれぞれ基端部を上記始端縁8’の下面に固定した上向溝12,12に摺動自在に水平に支持し、止めネジ13,13で締付けて上記案内杆9,9’を上記終端縁8”に向って外側案内杆9’を短く、内側案内杆9を長く支持することができる(図3参照)。
【0018】
上記案内杆9,9’の長短及び上記排出口8の環状通路4の方向の長さの調節は上記内筒1に投入した粉粒体7の物理的特性、大きさ、即ち片状や絡み性状等による特性及び上記間隙θから環状通路4への流出状態、安息角α等によって適宜調節することができるし、上記案内杆9,9’の長短及び長さ等の調節は内筒1への投入材料の一定の特性に応じて上記始端縁8’に予め固定して設けても良い。
【0019】
即ち、上記案内杆9,9’の長短は、各々上記止めネジ13,13を緩めて各案内杆9,9’を上記上向溝12,12に沿って摺動させることにより、調整することができる。
【0020】
従って、廃プラスチック微粒子、小片(約5mm程度)等の再生粒子、分別ごみ粒子、小片等の粉粒体7が上記内筒1の上端開部から供給されると、上記粉粒体7は上記間隙θから安息角αを形成して上記環状通路4内に円環状に排出される。
【0021】
そして、上記回転羽根5,5,5,5及びその先端に内筒1の内周に沿って設けた回転リング11に一定間隔毎に設けた上記押爪6,6・・・によって上記通路4内の粉粒体7は該通路4に沿って移動し、上記排出口8の始端縁8’から上記案内杆9,9’上を終端縁8”に向って移動すると同時に弧形フランジ8aと内側案内杆9との間隙e’、案内杆9,9’相互間隙e及び外側案内杆9と上記回転リング11との間隙e”から排出シュート8b(図3)を経て機外に設けた排出コンベア14(図3)上に落下する。
【0022】
このとき、上記排出口8の始端縁8’側は、上記案内杆9,9’によって3つの狭い間隙e,e’,e”に分割されているので、仮に廃棄プラスチック等の材料であって互いに絡まっている材料の場合、上記案内杆9,9’上に位置したときに、これら案内杆9,9’によって解されながら下方に落下していくため、絡み合った材料が一度に落下するということは起こり得ず、脈動排出を防止して定量供給を実現することができる。
【0023】
また、絡み合った材料を上記間隔e,e’,e”により分散して落下させることが可能であるため、同様に脈動を防止して、定量供給を実現し得る。
【0024】
また、案内杆9,9’の長さが異なるので、押爪6の回転方向に沿って材料を徐々に分散して排出することができ、即ち、材料の絡みを徐々に解しながら排出することができ、脈動防止効果をより高めることができる。
【0025】
又上記長短案内杆9,9’の先端から上記終端縁8”までの空間では、上記案内杆9,9’によって既に材料の絡みは解されているので、粉粒体7の大小片又は絡み性状に応じて上記シュート8bから搬出コンベア14上にほぼ均等に落下排出される。
【0026】
尚、上記実施形態では、上記案内杆を2本設けた実施形態を示したが、これに限定されず、上記案内杆を材料通路4の内周側から外周側に向けて3本、或いはそれ以上の本数を設けて良い。この場合、絡み合った材料を段階的に解していくという機能からすると、案内杆の長さは、最内周の案内杆を最も長く形成し、内周側から外周側に向けてその長さを徐々に短く構成することが好ましい。
【0027】
図中15は上記内外筒1,2の環状接続板、1’は上記内筒1の外周に設けた昇降円板で材料通路間隙θを調節する。図3中16は直立回動軸10の回動装置である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は上述のように構成したので廃プラスチック等の片状又は絡み易い粉粒体7の物性に応じて脈動又は片寄りなく均等排出し、次の工程に均等供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の粉粒体供給機の切欠平面図である。
【図2】図1の一部拡大平面図である。
【図3】図1のA−A線による縦断面図である。
【図4】図1B−B線による縦断面図である。
【図5】従来の粉粒体落下排出口の平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 直立内筒
2 直立外筒
3 底板
4 環状通路
θ 間隙
5 回転羽根
6 回転爪
7 粉粒体
8 粉粒体落下排出口
8’ 始端縁
8” 終端縁
9,9’ 案内杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板に外筒を立設して粉粒体供給ケースとし、上記底板の上方に粉粒体排出間隙を介して内筒を同心に支持し、上記底板の中心に直立回転軸を設け、該回転軸に上記底板上に位置する複数のスポークを設けて回転体を形成し、該回転体の筒状外縁を外筒の内周に近接して内外筒間の環状通路を形成し、上記筒状外縁に上記環状通路方向の材料移送用スクレーパを複数設け、上記粉粒体排出間隙から所定の安息角にて上記環状通路に拡散した粉粒体を上記スクレーパにより粉粒体排出口に移送する粉粒体供給機において、
上記排出口の始端縁に該排出口の終端縁に向う複数の案内杆を設けてなる粉粒体供給機。
【請求項2】
上記案内杆の長さが調節可能である請求項1記載の粉粒体供給機。
【請求項3】
複数の上記案内杆が長短平行に支持され、上記内筒側の案内杆が長く外筒側の案内杆が短い請求項1又は2記載の粉粒体供給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−263090(P2009−263090A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114950(P2008−114950)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(592096111)株式会社ヨシカワ (19)
【Fターム(参考)】