説明

粉粒体加熱装置

【課題】熱交換の効率と、加熱の均一性とを向上させた粉粒体加熱装置を提供すること。
【解決手段】粉粒体加熱装置は、粉粒体を収容するホッパーと、ホッパーから粉粒体が導入される第1加熱室と、反射板を有する第2加熱室と、第1加熱室に接続され第1加熱室へ熱風を供給する熱風供給部と、第1加熱室に接続され第1加熱室から粉粒体を排出する排出部とを備え、第1および第2加熱室は気流に抵抗を与えるエアダンパーを介して連通し、粉粒体は第1加熱室から第2加熱室へ熱風により吹き上げられエアダンパーにより速度制御され反射板に反射されて撹拌・加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は粉粒体加熱装置に関し、とくに、鋳型成型用原料としての砂やレジンコーテッドサンドのような粉粒体を乾燥加熱する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこのような装置としては、温水や冷水のような熱冷媒を貫流させる螺旋状に形成した中空管からなる熱交換器と、原料鋳物砂を流動させる気体を供給する流動用気体分配管とを、原料鋳物砂の貯留槽内に設置した温度調節装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3355325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鋳型成型用原料として用いられる砂やレジンコーテッドサンドは、次のような目的のために予め加熱され乾燥される。
(1)金型への原料の充填性を向上させ、充填不良を削減する。
(2)充填した原料の金型における焼成時間を冬場を含め年間を通じて一定にする。
【0005】
しかしながら、従来の上記装置には、次のような課題が見られる。
(1)熱冷媒が中空管を介して、加熱対象物と間接的に熱交換を行うので、熱冷媒が加熱対象物に直接接触する装置に比べて熱交換効率が低い。
(2)貯留槽内に螺旋状に設けられた中空管により加熱対象物の流動撹拌動作が妨げられるので、貯留槽内の加熱対象物全体を均一な温度に加熱することが難しい。
【0006】
この発明はこのような事情を考慮してなされたもので、熱冷媒と加熱対象物とを直接接触させ、かつ、熱冷媒自体によって加熱対象物を充分に流動撹拌させることにより、熱交換の効率と、加熱の均一性とを向上させた粉粒体加熱装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、粉粒体を収容するホッパーと、ホッパーから粉粒体が導入される第1加熱室と、反射板を有する第2加熱室と、第1加熱室に接続され第1加熱室へ熱風を供給する熱風供給部と、第1加熱室に接続され第1加熱室から粉粒体を排出する排出部とを備え、第1および第2加熱室は気流に抵抗を与えるエアダンパーを介して連通し、粉粒体は第1加熱室から第2加熱室へ熱風により吹き上げられエアダンパーにより速度制御され反射板に反射されて撹拌・加熱されることを特徴とする粉粒体加熱装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、粉粒体に直接熱風が接触して粉粒体を加熱するので、熱交換効率が向上すると共に、熱風により吹き上げられた粉粒体がエアダンパーにより速度制御され反射板により反射されながら第1および第2加熱室内で撹拌されるので加熱の均一化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施形態に係る粉粒体加熱装置の上面図である。
【図2】図1に示される粉粒体加熱装置のA−A矢視断面図である。
【図3】図2のB−B矢視断面図である。
【図4】図2のC−C矢視断面図である。
【図5】図2に示される粉粒体加熱装置のホッパーの縦断面図である。
【図6】図2に示される粉粒体加熱装置の上部加熱室に設けられる反射板の平面図である。
【図7】フィルタ部の変形例を示す図4対応図である。
【図8】図7に示されるフィルタ部の側面図である。
【図9】図7のD−D断面図である。
【図10】この発明の実施形態に係る粉粒体加熱装置の制御系を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施形態に係る粉粒体加熱装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明による粉粒体加熱装置は、粉粒体を収容するホッパーと、ホッパーから粉粒体が導入される第1加熱室と、反射板を有する第2加熱室と、第1加熱室に接続され第1加熱室へ熱風を供給する熱風供給部と、第1加熱室に接続され第1加熱室から粉粒体を排出する排出部とを備え、第1および第2加熱室は気流に抵抗を与えるエアダンパーを介して連通し、粉粒体は第1加熱室から第2加熱室へ熱風により吹き上げられエアダンパーにより速度制御され反射板に反射されて撹拌・加熱されることを特徴とする。
【0011】
この発明による粉粒体加熱装置において、粉粒体には、鋳型を作製する際に原料として用いられる鋳物砂が含まれる。ここで鋳物砂は、砂の表面をフェノール樹脂などの樹脂で被覆したレジンコーテッドサンド(resin coated sand)を含む。
ホッパーとは、粉粒体を収容する容器である。
第1加熱室および第2加熱室とは、エアダンパーを介して連通しホッパーから導入された粉粒体を熱風により撹拌して加熱する部屋である。第1加熱室は熱風供給部へ接続され、第2加熱室は熱風により吹き上げられてきた粉粒体を反射して第1加熱室へ戻す反射板を備える。
ここで、エアダンパーとは、第1および第2加熱室内で流動する熱風と粉粒体に抵抗を与える抵抗体である。
【0012】
熱風供給部とは、第1加熱室へ熱風を供給するための機構であり、例えば、ブロア、ヒータ、送風用配管およびその制御機器などから構成される。ここで熱風とは常温よりも高い温度、例えば、100〜190℃の温度を有する気体の流れのことである。
排出部とは、ホッパーから第1加熱室へ導入された粉粒体を外部の例えば鋳型成形器へ排出するための機構であり、例えば、排出用配管、シャッタ、シャッタ制御機器などから構成される。
【0013】
この発明による粉粒体加熱装置において、ホッパーは粉粒体を第1加熱室へ導入する導入口を有する底部を備え、第1加熱室は前記底部に接続され、粉粒体は前記導入口を介してホッパーから第1加熱室へ自重で導入されることが好ましい。
このような構成によれば、加熱された粉粒体が排出部によって第1加熱室から外部に排出されると、それに引き続いてホッパーから粉粒体が自動的に第1加熱室へ導入される。
このため、粉粒体を第1加熱室に容易に繰り返し導入することができる。
【0014】
また、第2加熱室がホッパー内に位置する構成とすることにより、粉粒体加熱装置を小型化でき、粉粒体加熱装置の設置が容易になる。
【0015】
また、第1加熱室が熱風供給部から供給された熱風を通し粉粒体を通さないフィルタ部を有する底部を備えることにより、粉粒体が第1加熱室から流出することを防止でき、第1加熱室に導入された所定量の粉粒体を無駄なく加熱できる。
【0016】
また、第1加熱室がフィルタ部を有する底部を備える上記構成において、フィルタ部が粉粒体を通さない大きさのメッシュを有する網を備えることにより、熱風をスムーズに第1加熱室へ供給でき、またフィルタ部の構成を簡易なものとすることができる。
【0017】
また、第1加熱室がフィルタ部を有する底部を備える上記構成において、フィルタ部がプレートと、前記プレートを貫通し熱風を下端から導入する導入管とからなり、導入管は上端が塞がれると共に周壁に熱風を噴出する貫通孔が形成されてなる構成とすることにより、プレートを第1加熱室の底部とすることができ、フィルタ部の耐久性を高めることができる。
【0018】
また、第1加熱室が排出管を有する底部を備え、排出部が前記排出管を介して第1加熱室内の粉粒体を排出することにより、粉粒体をその自重によって排出口から排出でき、排出部の構成を簡易なものとすることができる。
【0019】
また、第2加熱室が排気口を有する天井部を備え、反射板は熱風を前記天井部へ通過させる開口を有し、前記開口を通過した熱風が前記排気口を介して外部に排気されることにより、定量加熱室で粉粒体に対して熱交換を行った熱風を効率よく排気できる。これにより熱風の供給効率も向上する。
【0020】
この発明による粉粒体加熱装置は、熱風供給部と排出部とを制御する制御部をさらに備え、制御部はホッパーから第1加熱室に粉粒体が供給されると、熱風供給部に所定時間だけ第1加熱室へ熱風を供給させた後、排出部に第1加熱室から加熱済みの粉粒体のみを排出させるように制御することが好ましい。
このような構成によれば、粉粒体がホッパーから第1加熱室へ導入され、粉粒体の加熱が済むと、排出部によって自動的に第1加熱室から加熱済みの粉粒体が排出される。
これにより、粉粒体の加熱供給を自動的に繰り返し行うことができる。
【0021】
以下、この発明の実施形態に係る粉粒体加熱装置について図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
粉粒体加熱装置の構成
図1は本発明の実施形態に係る粉粒体加熱装置の上面図、図2は図1のA−A断面図でありホッパーおよび定量加熱室に鋳物砂が収容された状態を示している。図3は図2のB−B断面図、図4は図2のC−C断面図、図5は図2に示される粉粒体加熱装置のホッパーの縦断面図であり、これらの断面図において鋳物砂の図示は省略されている。図6は図2に示される粉粒体加熱装置の天井室に設けられる反射板の平面図である。
【0023】
図1および図2に示されるように、本発明の実施形態に係る粉粒体加熱装置100は、粉粒体としての原料鋳物砂又はレジンコーテッドサンド(以下、砂という)Sを収容するホッパー1と、一部がホッパー1内に設けられ一定量の砂Sをホッパー1から導入する定量加熱室2と、定量加熱室2へ熱風を供給して砂Sを加熱する熱風供給部3と、加熱された砂Sを定量加熱室2から排出する排出部4と、定量加熱室2の排気を行う排気部5を備える。
【0024】
図2に示されるように、ホッパー1は収容した砂Sが定量加熱室2の方へ集中して流動するように、下部が漏斗状の形状を有している。ホッパー1は収容した砂Sの下限量を計測するためのレベルセンサ32を備えている。
また、定量加熱室2は、上部加熱室(第2加熱室)6と下部加熱室(第1加熱室)7と天井室(天井部)8とから構成されている。
図5に示されるように、ホッパー1の底部1aは上方へ向かって突出し、この突出した底部1aの側壁の周囲にホッパー1と下部加熱室7とを連通させる8つの導入孔1bが形成されている。また、底部1aの上面には2つの長方形の貫通窓1cが形成されている。
【0025】
図2および図3に示されるように、上部加熱室6の底部6aにもホッパー1の底部1aに形成された2つの貫通窓1cに対応した長方形の2つの貫通窓6bが形成され、上部加熱室6と下部加熱室7とが貫通窓1c,6bを介して連通している。
すなわち、ホッパー1の底部1aは、上部加熱室6と下部加熱室7との境界に介在する構造になっている。
【0026】
このような構成により、ホッパー1内に砂Sが収容されると、砂Sはその自重によりホッパー1の底部1aの側壁に形成された導入孔1bから下部加熱室7へ導入され、砂Sは下部加熱室7に充満する。
つまり、下部加熱室7では導入孔1bより下の容積によって砂Sの定量が行われる。本実施形態においては15kgの砂Sが定量されるようになっている。
【0027】
ホッパー1から下部加熱室7内に導入された砂Sは、熱風供給部3から供給される熱風によって加熱される。
図2に示すように、熱風供給部3はブロア24とヒータ25を備え、発生した熱風を下部加熱室7の底部に設けられた熱風入口ベース10の熱風供給口10aを介して下部加熱室7に供給する。
熱風供給口10aには熱風供給部3から供給される熱風の温度を測定する温度センサ33が設けられている。
【0028】
図2および図4に示されるように、熱風入口ベース10は、熱風供給口10aから供給された熱風を上向きに反射して吹き上げるために円錐台状の吹き上げ板10bを備えている。
そして、熱風入口ベース10と下部加熱室7との間には砂を通過させない大きさのメッシュを有する網状のフィルタ部11が挟まれ支持されている。
これにより、熱風供給口10aから供給されて吹き上げ板10bで反射され、上方へ向かって吹き上げられた熱風はフィルタ部11を通って下部加熱室7内へ流入する。一方、下部加熱室7内の砂Sはフィルタ部11に受け止められるので、熱風入口ベース10内へ落下することはない。
【0029】
また、図2および図4に示されるように、熱風入口ベース10の中心には、下部加熱室7内で加熱された砂Sを排出部4へ導く排出管12が設けられている。排出管12は、上端が下部加熱室7内に僅かに突出し、下端が排出部4に至るように、吹き上げ板10bおよびフィルタ部11の中心を貫通するように設けられている。すなわち、排出管12の下端は定量加熱室2の排出口となっている。
【0030】
排出管12は外気で冷却されるように吹き上げ板10bに対して間隔を備え、熱風が直接排出管12に当たることがない構成となっている。
このため、排出管12が過度の加熱状態となることはなく、砂Sが排出管12内で固化することを防止している。
【0031】
図2に示されるように、排出部4は、シャッタ13と、シャッタ13を移動させて排出管12を開閉するエアシリンダ14と、砂出口15を備える。
シャッタ13には、シャッタ13が移動した際に排出管12の下端と砂出口15を連通させ、下部加熱室7内の砂Sが外部に排出されるように貫通孔13aが形成されている。
【0032】
図2に示されるように、熱風供給部3から熱風入口ベース10の熱風供給口10aへ熱風が供給されると、前述のように、供給された熱風は吹き上げ板10bで反射され、上方へ向かって吹き上げられ下部加熱室7内に流入する。
熱風が下部加熱室7内に流入すると、下部加熱室7内の砂Sが上部加熱室6へ向かって吹き上げられ、主に導入孔1bよりも上の上部加熱室6内で撹拌が行われる。
この際、図2および図3に示されるように、上部加熱室6の底部6a(図3)と、ホッパー1の底部1a(図5)にそれぞれ形成された2組の貫通窓6b,1cは、吹き上げられる砂Sの流れに適当な抵抗を与えるエアダンパーとして作用し、撹拌速度を制御して、熱風から砂Sへの熱交換効率を向上させるようになっている。
【0033】
また、図2に示されるように、天井室8と上部加熱室6との間には図6に示される反射板16が設けられており、上部加熱室6内で上方に吹き上げられた砂Sは反射板16の反射部16aによって下方に反射される。これにより、熱風によって吹き上げられた砂Sが、効率よく撹拌される。
天井室8はその最上部に排気口8a有しており、反射部16aの周囲に形成された開口16bを通過して天井室8へ流入した熱風は排気口8aに接続されたフレキシブルホース17に案内されてホッパー1内に突き出た排気管18へ導かれ、外部へ排気される。なお、排気管18は必要に応じて図示しない排気ポンプに接続される。
【0034】
フィルタ部の変形例
図7はフィルタ部11の変形例を示す図4対応図、図8は図7に示されるフィルタ部の側面図、図9は図7のD−D断面図である。
図7〜9に示されるように、変形例に係るフィルタ部20は、一対の平行なプレート21,22と、プレート21,22を貫通する4本の導入管23と、上側のプレート21上で各導入管23に被さるキャップ24とから構成されている。
一対の平行なプレート21,22の中心には排出管12を貫通させるための貫通孔が形成され、その貫通孔の周囲には4本の導入管23をそれぞれ貫通させるための貫通孔が形成されている。
【0035】
図8および図9に示されるように各導入管23は、一対の平行なプレート21,22に形成された上記の貫通孔に挿入されたうえでプレート21,22に対して溶接により固定されている。
各導入管23の上端と下端はプレート21,22から突出し、上側のプレート21から突出した部分に円筒形のキャップ24が被せられ溶接により上側プレート21に固定されている。
【0036】
各キャップ24は、各導入管23の上端および外周と各キャップ24の内面との間に隙間が形成されるように各導入管23に被せられ、各キャップ24の側壁には複数の貫通孔24aが形成されている。
各導入管23は熱風供給部3から熱風入口ベース10(図2参照)内に供給され、吹き上げ板10bで反射され吹き上げられた熱風を各キャップ24内へ導く。
各キャップ24内へ導かれた熱風は各キャップ24の側壁に形成された貫通孔24aから噴出し、下部加熱室7内へ流入する。
【0037】
図7に示されるように、上側プレート21は下部加熱室7内に露出するため、下部加熱室7内に砂Sが導入されると各キャップ24は砂Sに埋まった状態となる。
しかし、各キャップ24の貫通孔24aは水平方向に向かって貫通しているため、熱風が供給されていない状態であっても、砂Sが各キャップ24の貫通孔24aを介して各キャップ24内に流入しようとする力は弱く、各キャップ24内に砂Sが流入することはない。つまり、フィルタ部20は、熱風を通すが砂Sを通さないという図4に示すフィルタ部11と同等の機能を有するようになっている。
【0038】
また、下部加熱室7内に露出するプレート21が熱風によって加熱され、熱くなり過ぎるとプレート21近傍の砂Sが過度に加熱され、砂Sが固化する恐れがある。
このため、一対の平行なプレート21,22の間には隙間が設けられ、一対のプレート21,22の間に外気を通してプレート21の熱を放散させることにより、プレート21が熱くなり過ぎることを防止している。
【0039】
粉粒体加熱装置の制御系
図10は本発明の実施形態に係る粉粒体加熱装置の制御系を示すブロック図である。
同図に示すように、この制御系は、制御部30を備え、制御部30は、起動スイッチ31と、レベルセンサ32と、温度センサ33からの出力を受けてブロア34、ヒータ35、電磁弁36、警報器37を駆動制御するようになっている。
ここで起動スイッチ31は使用者が手動操作するスイッチであってもよいし、他の治具の動作に連動して作動するスイッチであってもよい。
【0040】
また、電磁弁36は図2に示すシャッタ13開閉用のエアシリンダ14を駆動するために設けられている。
警報器37はホッパー1内の砂Sの量が下限量に達し、レベルセンサ32がそれを検知したときに作動するもので、これには警報ランプやブザーを用いることができる。
また、制御部30は、CPU、ROM、RAMからなるマイクロコンピュータや、ブロア34、ヒータ35、電磁弁36、警報器37を駆動する電力を供給するドライバ回路などを備える。
【0041】
粉粒体加熱装置の動作
次に、粉粒体加熱装置100の動作の一例を図11に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明で引用される粉粒体加熱装置100の各部については図1〜9を、制御系の各部については図10を適宜参照されたい。
【0042】
まず、作業者又は治具によって起動スイッチ31がオンされると(ステップS1)、ホッパー1に下限量より多くの砂Sがあるか否かがレベルセンサ32によって確認される(ステップS2)。
砂Sがない場合には警報器37がオンになる(ステップS3)。砂Sがある場合にはブロア34とヒータ35とが駆動される(ステップS4)。
温度センサ33によって検出される熱風の温度が所定温度100℃〜190℃(例えば、150℃)になり(ステップS5)、その後、その所定温度が維持された状態で所定時間T1だけ砂Sの加熱が行われる。その時点で、砂Sの加熱工程は終了し(ステップS6)、ブロア34とヒータ35が停止される(ステップS7)。
【0043】
次に、シャッタ13が開放され(ステップS8)、所定時間T2が経過して下部加熱室7から所定量だけの砂Sが排出される(ステップS9)。同時に、シャッタ13が閉鎖される(ステップS10)。
これによって1回分の砂Sの加熱工程が終了し、ルーチンはステップS1に戻り、必要に応じて上記工程が順次くり返される。
このようにして、毎回、必定量だけの砂Sが加熱されて鋳型成型装置の金型に供給される。
【0044】
本実施形態に係る粉粒体加熱装置100を用いることにより、外気温と同じ温度の砂Sを任意の温度(例えば45℃)まで加熱して保持でき、鋳型成型装置の金型に例えば90秒間隔で順次連続供給できる。
このように砂Sが加熱され乾燥されて鋳型成型装置に供給されることにより砂Sの金型への充填性が向上し、鋳型成型の不良率が減少する。
また、砂Sの金型における焼成時に砂Sが任意に設定した温度まで加熱されているため、その焼成時間は短縮され、かつ、年間を通じて一定となる。
また、粉粒体加熱装置100の稼働直後における砂Sの初期昇温時間も短時間(約5分程度)で済み、迅速に定常運転を行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ホッパー
1a,6a 底部
1b 導入孔
1c,6b 貫通窓
2 定量加熱室
3 熱風供給部
4 排出部
5 排気部
6 上部加熱室(第2加熱室)
7 下部加熱室(第1加熱室)
8 天井室(天井部)
8a 排気口
10 熱風入口ベース
10a 熱風供給口
10b 吹き上げ板
11,20 フィルタ部
12 排出管
13 シャッタ
13a,24a 貫通孔
14 エアシリンダ
15 砂出口
16 反射板
17 フレキシブルホース
18 排気管
21,22 プレート
23 導入管
24 キャップ
30 制御部
31 起動スイッチ
32 レベルセンサ
33 温度センサ
34 ブロア
35 ヒータ
36 電磁弁
37 警報器
100 粉粒体加熱装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を収容するホッパーと、ホッパーから粉粒体が導入される第1加熱室と、反射板を有する第2加熱室と、第1加熱室に接続され第1加熱室へ熱風を供給する熱風供給部と、第1加熱室に接続され第1加熱室から粉粒体を排出する排出部とを備え、第1および第2加熱室は気流に抵抗を与えるエアダンパーを介して連通し、粉粒体は第1加熱室から第2加熱室へ熱風により吹き上げられエアダンパーにより速度制御され反射板に反射されて撹拌・加熱されることを特徴とする粉粒体加熱装置。
【請求項2】
ホッパーは粉粒体を第1加熱室へ導入する導入口を有する底部を備え、第1加熱室は前記底部に接続され、粉粒体は前記導入口を介してホッパーから第1加熱室へ自重で導入される請求項1記載の粉粒体加熱装置。
【請求項3】
第2加熱室はホッパー内に位置する請求項1記載の粉粒体加熱装置。
【請求項4】
第1加熱室は熱風供給部から供給された熱風を通し粉粒体を通さないフィルタ部を有する底部を備える請求項1記載の粉粒体加熱装置。
【請求項5】
フィルタ部は粉粒体を通さない大きさのメッシュを有する網を備える請求項4記載の粉粒体加熱装置。
【請求項6】
フィルタ部はプレートと、前記プレートを貫通し熱風を下端から導入する導入管とからなり、導入管は上端が塞がれると共に周壁に熱風を噴出する貫通孔が形成されてなる請求項4記載の粉粒体加熱装置。
【請求項7】
第1加熱室は排出管を有する底部を備え、排出部は前記排出管を介して第1加熱室内の粉粒体を排出する請求項1記載の粉粒体加熱装置。
【請求項8】
第2加熱室は排気口を有する天井部を備え、反射板は熱風を前記天井部へ通過させる開口を有し、前記開口を通過した熱風は前記排気口を介して外部に排気される請求項1記載の粉粒体加熱装置。
【請求項9】
熱風供給部と排出部とを制御する制御部をさらに備え、制御部はホッパーから第1加熱室に粉粒体が供給されると、熱風供給部に所定時間だけ第1加熱室へ熱風を供給させた後、排出部に第1加熱室から加熱済みの粉粒体のみを排出させる請求項1記載の粉粒体加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−190544(P2010−190544A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38047(P2009−38047)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(391062333)山川産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】