説明

粉粒体収容タンクコンテナ

【課題】 土質改良用粉末固化材を、製造工場等の発送基地から工事現場の土質改良機に、効率よく低コストで輸送する。
【解決手段】 粉粒体を収容するタンク部と、脱着ボディ車に着脱自在に係止される係止部と、タンク内の粉粒体を外部へ強制排出する排出装置と、接地部四隅部に設置された車輪またはクローラと、前記車輪またはクローラを駆動する原動機と、接地部四隅部に設置されたジャッキとから粉粒体収容タンクコンテナを構成する。この粉粒体収容タンクコンテナに土質改良用粉末固化材を詰め込み、脱着ボディ車に積載して建設または土木工事現場の土質改良機近傍へ輸送して積み降ろす。次いで、現場で空になった粉粒体収容タンクコンテナを脱着ボディ車に積載して発送基地へ持ち帰る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設、土木工事現場で排出された残土の土質を改良するために残土に混ぜられる粉末固化材を、工場等の発送基地から作業現場まで、効率よく輸送する粉粒体収容タンクコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設、土木工事現場で排出された残土は、そのままでは産業廃棄物として処分しなければならない。そこでその残土を、築堤盛土材や、埋め立て土とて再資源化するため、通常は、現場で、排出された残土にフライアッシュや製紙焼却灰等からなる土質改良用の粉末固化材を混ぜる処理をして搬出していた。そのため、現場には、残土に粉末固化材を混ぜる処理をする土質改良機が設置されていた。この土質改良機には、使用する粉末固化材を貯蔵するサイロが設置され、このサイロへ、工場等の発送基地から輸送されてきた粉末固化材が搬入されていた。従来、この粉末固化材を、現場まで運搬する方法として、土質改良機の規模が比較的小さい場合は、フレキシブル・コンテナ(通称:フレコン)に詰めたり、袋詰めしたりしてトラックにより運んでいた。土質改良機の規模が比較的大きい場合は、専用のタンク型の運搬車で運んでいた。そのための専用の運搬車として、特許文献1〜4に記載の粉粒体運搬車が知られている。
【特許文献1】特開2006−117422号公報
【特許文献2】特開2006−131368号公報
【特許文献3】特開2006−117095号公報
【特許文献4】特開平11−292293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したフレコンや袋による粉末固化材の運搬方法では、現場での移し替えのとき粉塵が発生して環境を悪化するという問題があった。また、フレコンや袋を使用した場合、空になったフレコン、袋の回収や廃棄処分の必要があった。さらに、フレコン、袋の保管には雨濡れ破損のおそれがあるため、保管時に注意が必要であり、リスク及びコストが大きいという問題があった。そこでこれらの問題を解消するために専用のタンク運搬車を用いた場合は、環境を悪化する等の前述した問題は解消できるものの、配車の管理を高精度に実施しないと、稼働ロスが発生し、運搬コストが高くなるという問題があった。具体的には、土質改良機の稼働中に、粉末固化材が切れることを避けるため、タンク運搬車による運搬は前倒し気味に、余裕をみて運んでいた。その結果、現場に、タンク運搬車が到着しても、土質改良機のサイロに空きが少なくて、運んできた粉末固化材の全量を1回に移し替えることができないことがあった。この場合は、サイロが空くまで、タンク運搬車は現場で待機しなければならず、タンク運搬車の稼働率を悪化させることになっていた。
そこで、本発明は、土質改良用粉末固化材を、製造工場等の発送基地から工事現場の土質改良機に、効率よく低コストで輸送することができる粉粒体収容タンクコンテナを提案することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の粉粒体収容タンクコンテナは、粉粒体を収容するタンク部と、脱着ボディ車に着脱自在に係止される係止部と、タンク内の粉粒体を外部へ強制排出する排出装置と、接地部四隅部に設置された車輪またはクローラと、接地部四隅部に設置されたジャッキとを備えて脱着ボディ車へ積載可能なことを特徴とする。また、前記粉粒体収容タンクコンテナには、前記車輪またはクローラを駆動する原動機を備えることも可能である。
【発明の効果】
【0005】
以上述べたように本発明の粉粒体収容タンクコンテナは、脱着ボディ車への積載が可能であるため、土質改良用粉末固化材の発送基地と土質改良用粉末固化材を使用する現場の間を、脱着ボディ車により輸送することが可能となる。すなわち、本発明の粉粒体収容タンクコンテナを複数用意して、土質改良用粉末固化材を発送基地で粉粒体収容タンクコンテナに積み込んだ後、脱着ボディ車に搭載して、発送基地と現場の土質改良機との間を、往復輸送することで、脱着ボディ車の運用が効率的となり、粉末固化材の輸送コストが低減する。また、粉粒体収容タンクから直接に土質改良機へ土質改良用粉末固化材を供給する場合は、土質改良機側に粉末固化材を貯蔵するためのサイロが不要となり、現場にサイロを設置するスペースがない場合に有用である。さらに、粉粒体収容タンクコンテナに自走装置を設けた場合は、現場で脱着ボディ車が不在のときでも、粉粒体収容タンクコンテナを移動させて、サイロ等への積み降ろしが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る粉粒体収容タンクコンテナの第1の実施形態を示す側面図である。図において、粉粒体収容タンクコンテナ1は、L型のフレーム2の上に略円筒状をしたタンク3が取り付けられている。タンク3の前部側面には梯子4が設置されている。フレーム2の前部および後部の左右にジャッキ5,6が装着されている。これらジャッキ5,6は油圧駆動または歯車駆動により昇降する。これらジャッキ5,6を下降させた状態で、コンテナ1はジャッキ5,6により四点支持される。
【0007】
ジャッキ5,6の前後方向外側には、4個の車輪7,8が取り付けられていて、ジャッキ5,6を上昇させた状態で、車輪7,8はコンテナ1を四点支持する。4個の車輪7,8のうち、前部または後部の2個、あるいは4個全てに旋回機能を備えて、コンテナ1の移動時に方向転換を可能にする。また、4個の車輪7,8のうち、前部または後部の2個あるいは4個全てに原動機を接続して、コンテナ1の自走を可能にする。車輪7,8は、クローラとすることも可能である。クローラとした場合は、現場の地盤が軟弱な場合でも自走が容易となる。
【0008】
フレーム2の前端立ち上がり部には、脱着ボディ車と連結するための係合部9,10が設けられている。なお、タンク3へは、上部のハッチ11,12から土質改良用粉末固化材を詰め込み、タンク3の後下部の排出管13から、圧縮空気とともに排出する。この排出時の圧縮空気は、コンテナ1にコンプレッサーまたはブロアーを搭載する場合と、外部から圧縮空気を供給する場合がある。
【0009】
図2は、図1の粉粒体収容タンクコンテナ1の配管系統図である。図中、COはコンプレッサーであり、タンク3内の粉末固化材を排出するときは、コンプレッサーCOで発生した圧縮空気を、逆止弁C1〜C3、弁V1〜V3を介して、タンク3内へ送り、タンク3内を加圧するとともに、粉末固化材を吹き上げる。加圧されたタンク3内で吹き上げられた粉末固化材は、排出管13内へ流れ込み、弁V7、V8を通過して、外部へ排出される。
【0010】
図3は、図1のコンテナ1を脱着ボディ車14へ搭載した状態を示す側面図である。脱着ボディ車14は、アーム、フック、ワイヤ等の脱着機構を備え、その脱着機構を使用してコンテナ1を引き寄せて車体上に搭載するとともに、再び積み降ろしできるものである。通常、コンテナ1は、土質改良用粉末固化材を詰め込む工場または倉庫等の発送基地に置かれて、土質改良用粉末固化材が詰め込まれる。土質改良用粉末固化材が詰め込まれた後、コンテナ1は脱着ボディ車14に搭載されて、建設または土木工事現場の土質改良機近傍へ輸送されてから積み降ろされる。現場で、コンテナ1の粉末固化材が排出管13により土質改良機へ移し替えられて空になると、再度、脱着ボディ車14へ搭載されて、発送基地に戻される。
【0011】
図4は、本発明に係る粉粒体収容タンクコンテナの第2の実施形態を示す側面図である。図において、粉粒体収容タンクコンテナ21は、L型のフレーム22の上に箱型をしたタンク23が取り付けられている。フレーム22の前部および後部の左右にジャッキ25,26が装着されている。これらジャッキ25,26は油圧駆動または歯車駆動により昇降する。これらジャッキ25,26を下降させた状態で、コンテナ21はジャッキ25,26により四点支持される。
【0012】
ジャッキ25,26の前後方向外側には、4個の車輪27,28が取り付けられていて、ジャッキ25,26を上昇させた状態で、車輪27,28はコンテナ21を四点支持する。4個の車輪27,28のうち、前部または後部の2個、あるいは4個全てに旋回機能を備えて、コンテナ21の移動時に方向転換を可能にする。また、4個の車輪27,28のうち、前部または後部の2個あるいは4個全てに原動機を接続して、コンテナ21の自走を可能にする。車輪27,28は、クローラとすることも可能である。クローラとした場合は、現場の地盤が軟弱な場合でも自走が容易となる。
【0013】
フレーム22の前端立ち上がり部には、脱着ボディ車と連結するための係合部29,30が設けられている。なお、タンク23へは、上部のハッチ31〜33から土質改良用粉末固化材を詰め込み、タンク23の下部に設置されているスクリュー内蔵の排出管24により排出する。このスクリューの動力源は、コンテナ21に搭載しておく場合と外部から供給する場合がある。
【0014】
図5は、図4のコンテナ21を脱着ボディ車34へ搭載した状態を示す側面図である。脱着ボディ車34は、アーム、フック、ワイヤ等の脱着機構を備え、その脱着機構を使用してコンテナ21を引き寄せて車体上に搭載するとともに、再び積み降ろしできるものである。通常、コンテナ21は、土質改良用粉末固化材を詰め込む工場または倉庫等の発送基地に置かれて、土質改良用粉末固化材が詰め込まれる。土質改良用粉末固化材が詰め込まれた後、コンテナ21は脱着ボディ車34に搭載されて、建設または土木工事現場の土質改良機近傍へ輸送されてから積み降ろされる。現場で、コンテナ21の粉末固化材が排出管24により土質改良機へ移し替えられて空になると、再度、脱着ボディ車34へ搭載されて、発送基地に戻される。
【0015】
次に、本発明に係る粉粒体収容タンクコンテナの使用方法について説明する。本発明では、例えば、図1で説明したように、自走可能な車輪やクローラを設けた粉粒体収容タンクコンテナ1を用意し、土質改良用粉末固化材の製造工場や保管倉庫等の発送基地において、土質改良用粉末固化材を積み込む。次に、粉末固化材が積み込まれたコンテナ1を脱着ボディ車14に搭載して、土質改良機が設置されている建設または土木工事現場へ運ぶ。
【0016】
現場へ到着した脱着ボディ車14は、コンテナ1を積み降ろす。ここで、現場において既に運ばれてきて空になっているコンテナがあれば、それを脱着ボディ車14へ搭載して、脱着ボディ車14は発送基地へ戻る。現場に置かれたコンテナ1は、現場で待機した後、その自走機能により自走して移動し、土質改良機のサイロへ、粉末固化材を排出する。サイロへ送られた粉末固化材は、土質改良機へ送られて、残土に一定比率で混ぜられて、残土の土質を改良する。なお、現場によっては、スペースの制限のためサイロが設置できない場合もあり、その場合は、コンテナから直接に土質改良機へ粉末固化材を使用分量だけ順次供給させることも可能である。現場で空になったコンテナは、次に、脱着ボディ車が、新しいコンテナを運んできたときに、再び、脱着ボディ車に搭載されて、発送基地へ戻され、粉末固化材が繰り返し積み込まれる。
【0017】
以上のようにして、脱着ボディ車は、発送基地と現場を往復するとき、往路は粉末固化材を積んだコンテナを、復路は空になったコンテナを運ぶように、脱着ボディ車の配車の管理を行う。このように1つの現場について、複数のコンテナを用意し、それらを1台の脱着ボディ車で運ぶことも可能であるが、これらコンテナと脱着ボディ車の必要数は、発送基地と現場との距離、粉末固化材の使用料、コンテナの容量等によって、変動するものである。いずれの場合も、脱着ボディ車に対して、複数のコンテナを用意することで、脱着ボディ車の稼働効率を高めることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の粉粒体収容タンクコンテナは、粉末固化材以外の粉粒体からなる建築資材や、飼料等を輸送する場合にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る粉粒体収容タンクコンテナの第1の実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の粉粒体収容タンクコンテナの配管系統図である。
【図3】図1のコンテナを脱着ボディ車へ搭載した状態を示す側面図である。
【図4】本発明に係る粉粒体収容タンクコンテナの第2の実施形態を示す側面図である。
【図5】図4のコンテナを脱着ボディ車へ搭載した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 粉粒体収容タンクコンテナ
2 フレーム
3 タンク
4 梯子
5,6 ジャッキ
7,8 車輪
9,10 係合部
11,12 ハッチ
13 排出管
14 脱着ボディ車
21 粉粒体収容タンクコンテナ
22 フレーム
23 タンク
24 排出管
25,26 ジャッキ
27,28 車輪
29,30 係合部
31〜33 ハッチ
34 脱着ボディ車
C1〜C4 逆止弁
CO コンプレッサー
V1〜V8 弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を収容するタンク部と、脱着ボディ車に着脱自在に係止される係止部と、タンク内の粉粒体を外部へ強制排出する排出装置と、接地部四隅部に設置された車輪またはクローラと、接地部四隅部に設置されたジャッキとを備えて脱着ボディ車へ積載可能なことを特徴とした粉粒体収容タンクコンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の粉粒体収容タンクコンテナにおいて、前記車輪またはクローラを駆動する原動機を備えたことを特徴とする粉粒体収容タンクコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−40485(P2009−40485A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209511(P2007−209511)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(500393055)株式会社大成 (2)
【Fターム(参考)】