説明

粉粒体注入装置、粉粒体移送装置、水処理設備

【課題】水位が変動してもロータを粉粒体を注入するのに適正な水深に維持でき、効率よく粉粒体の注入ができる粉粒体注入機構を備えた粉粒体注入装置、該粉粒体注入装置を利用した粉粒体移送装置、及び該粉粒体移送装置を備えた水処理設備を提供すること。
【解決手段】水中に配置したロータ132を回転させることにより、水の旋回流を発生させ、シャフト131の外周を取り囲むように配置したステータチューブ133に設けた吸込口135から粉粒体と気体の混合流体を吸込み、該混合流体を水中に注入するように構成された粉粒体注入機構104を備えた粉粒体注入装置であって、粉粒体注入機構104を支持する可動架台150に浮力体160を取り付け、浮力体160によりロータ132及びステータ134が水位WLの変動にかかわらず常に所定の水深に位置するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理設備の沈砂池或いは着水井等の水中に活性炭(ドライ炭)や消石灰等の粉粒体を注入する粉粒体注入装置、これら粉粒体を沈砂池或いは着水井等に配置された粉粒体注入装置まで移送する粉粒体移送装置、該粉粒体注入装置や粉粒体移送装置を備えた水処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は水処理設備の構成例を示す図である。水処理設備は取水施設102を備え、該取水施設102で取水された水は着水井103に流入する。該着水井103には図3に示すような構成の粉粒状の活性炭を注入する粉粒体注入機構104が設けられており、該粉粒体注入機構104により、粉粒体移送機構101からの粉粒状の活性炭と空気の混合体を吸込んで水中に該混合体を注入することにより、活性炭を水中に注入する。活性炭の注入された水は混和池105に流入し、該混和池105からフロック形成池106、薬品沈殿池107、急速濾過池108、浄水池109、配水池110を通って処理水111となって配水される。
【0003】
図2は粉粒体移送機構101の概略構成例を示す図である。粉粒体移送機構101は図示するように、粉粒体貯留槽121の下部に混合槽122を配置している。混合槽122は下端側壁に空気流入口123、壁面に複数個(図では2個)の混合体流出口124、125が設けられている。空気流入口123には空気管126が接続され、混合体流出口124、125にはそれぞれ移送管127、127が接続されている。粉粒体貯留槽121と混合槽122の間には粉粒体切出機129が配置されている。また、空気流入口123、混合体流出口124、125にはそれぞれ断面積を小さくした収縮部123a、124a、125aが設けられている。
【0004】
混合槽122内に空気管126を通して空気Aが空気流入口123から吸引方式で流入する。該空気は混合槽122内で矢印Bに示すように渦巻状に旋回する。即ち、矢印Bに示すように空気流入口123から流入した空気Aは、混合槽122の底面に沿って移動しながら上昇し天井面で反転し、反対側内壁面に沿って下降するように移動し混合槽122内で上下方向に旋回空気流を形成して旋回する。一方、粉粒体貯留槽121から粉粒体切出機129で切出された粉粒体Cは混合槽122の頂部から流入し、該混合槽122内で空気Aと混合し、混合体流出口124、125から移送管127、127内に流出する。
【0005】
混合槽122の空気流入口123には上記のように収縮部123aが設けられており、空気管126内の空気Aの流速(例えば10m/s)は該収縮部123aを通ることにより、速められ(例えば20〜30m/s)、噴流となって混合槽122内に流入するから、混合槽122内では空気と粉粒体Cは均一に混合される。また、混合体流出口124、125にもそれぞれ収縮部124a、125aが設けられており、空気Aと粉粒体Cの混合体Dは該収縮部124a、125aから流速の速い(例えば20〜30m/s)の噴流となって移送管127、127内に排出される。
【0006】
図3は粉粒体注入機構104の構成例を示す図である。粉粒体注入機構104は図示するように、駆動手段としてのモータMを具備し、該モータMにより回転するシャフト131の先端にロータ132が取り付けられ、該シャフト131の外周を取り囲むようにステータチューブ133が配置されている。該ステータチューブ133にはロータ132の外周を囲むように配置するステータ134が取り付けられている。ステータ134は上下端部が開口した円筒状で上端開口面積が下端開口面積より大きくなっている。ステータチューブ133には吸込口135が設けられ、該吸込口135に粉粒体移送機構101の移送管127の先端、即ち混合体流出口が接続されている。また、ステータ134の下端外周にはカバーリング136が設けられている。
【0007】
粉粒体注入機構104のモータMを起動することにより、ロータ132が回転し、水がステータ134の上部開口から矢印Eに示すように流れ込み、その下端から矢印Fに示すように流出してステータ134の周り旋回流を形成する。これによりステータチューブ133を通って移送管127内に空気吸引力が作用する。この状態で図4のバルブ137、138を開くと、空気管126を通って混合槽122内に空気が流入すると共に、該空気と粉粒体貯留槽121から粉粒体切出機129で切出されたドライ活性炭が混合され、移送管127を通って粉粒体注入機構104のステータチューブ133に送られ、その先端から水中に注入される。なお、図4は粉粒体を粉粒体移送機構101から着水井に配置された粉粒体注入機構104まで移送するための粉粒体移送装置の構成を示す。
【特許文献1】特許第3420140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図3に示す粉粒体注入機構104において、例えば粉粒状の活性炭を水中に適正に注入するためにはロータ132を水面下の適正な位置、即ち水深に位置させる必要がある。一般的には水深1mが適正な水深である。ところが図5に示すように、河川140から取水する取水施設の沈砂池141においては、河川140の水位WLが高水位HWL〜低水位LWLと大きな水位範囲L1で変動する。そのため粉粒体注入機構104をこのように水位が変動する沈砂池141に定置式で設置した場合、ロータ132の位置が活性炭の注入に適性な水深範囲L2を逸脱してしまうという問題がある。即ち、高水位HWLではロータ132の水深位置が大きすぎ粉粒状の活性炭を注入するのに不適切となり、低水位LWLではロータ132が水面より上に位置し、水の旋回流を発生させることができない。なお、沈砂池141の水はポンプ142により配管143を通して水処理設備の他の池に送られる。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、粉粒体注入機構を設置する池の水位が変動してもロータを粉粒体を注入するのに適正な水深に維持でき、効率よく粉粒体の注入ができる粉粒体注入機構を備えた粉粒体注入装置、該粉粒体注入装置を利用した粉粒体移送装置、及びこの粉粒体移送装置を備えた水処理設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、駆動手段で回転するシャフトの先端にロータを取り付けると共に、該シャフトの外周を取り囲むようにステータチューブを配置し、該ステータチューブに粉粒体と気体の混合流体を吸込口を設け、前記ステータチューブに前記ロータの外周を囲むように上下端が開口した筒状体のステータを取り付け、該ステータ及び該ロータを水中に配置し、前記駆動手段で前記シャフトを回転させ前記ロータを回転させることにより前記ステータの上部開口から下部開口に流れる水の旋回流を発生させ、該旋回流により前記吸込口から粉粒体と気体の混合流体を吸込み、該混合流体を水中に注入するように構成した粉粒体注入機構を備え、前記粉粒体注入機構を支持する支持体に水中で浮力を発生する浮力体を取り付け、該浮力体により前記ロータ及び前記ステータを水面下の所定位置に維持するように構成したことを特徴とする粉粒体注入装置にある。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粉粒体注入装置において、前記浮力体の前記支持体への上下方向の取り付け位置を調整できる取付位置調整機構を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の粉粒体注入装置において、前記粉粒体注入機構及び前記浮力体の少なくとも水中に位置する部分の外周を覆うスクリーンを設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、粉粒体を貯留する粉粒体貯留槽の下端に、頂部に該粉粒体貯留槽から切出機で切り出した粉粒体が投入される粉粒体投入口、下端側壁面に空気流入口、壁面に混合体流出口を設けた混合槽を配備し、該混合槽の混合体流出口に接続された移送管を配備し、前記移送管を通して空気を吸引することにより、前記空気流入口から吸込まれた空気は前記混合槽の底面に沿って流入し、該混合槽内で上下方向に旋回空気流を形成し、前記粉粒体投入口から投入された粉粒体は前記旋回空気流に混合され、該空気と粉粒体の混合体を前記混合体流出口から前記移送管を通して移送するように構成した粉粒体移送装置において、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉粒体注入装置を備え、該粉粒体注入装置の前記ステータチューブに設けた吸込口に前記移送管の混合体流出口を接続したことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の粉粒体移送装置において、前記移送管の前記吸込口に接続した前記混合体流出口が少なくとも所定の範囲を前記粉粒体注入装置の粉粒体注入機構の上下動に追従できる構成としたことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の粉粒体移送装置において、前記空気流入口及び前記混合体流出口に断面積の小さい収縮部を設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の粉粒体移送装置において、前記混合槽には複数個の混合体流出口が設けられ、該複数の混合体流出口のそれぞれに移送管を接続したことを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、粉粒体を所定の場所から所定の場所へ移送する粉粒体移送装置を備えた水処理設備において、前記粉粒体移送装置に請求項4乃至7のいずれか1項に記載の粉粒体移送装置を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、粉粒体注入機構を支持する支持体に浮力体を取り付け、該浮力体によりロータ及びステータが水面下の所定位置(所定の水深位置)に維持するように構成したので、水位が変動してもロータ及びステータを粉粒体を水中に注入する最適な水深位置に維持でき、効率のよい粉粒体の水中への注入が実現できる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、浮力体の枠体への取り付け位置を調整できる取付位置調整機構を設けたので、ロータ及びステータの水深を粉粒体の注入に最適な位置に調整することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、粉粒体注入機構及び浮力体の少なくとも水中に位置する部分の外周を覆うようにスクリーンを設けたので、この部分に異物が侵入することを防止できる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉粒体注入装置を備え、該粉粒体注入装置のステータチューブの吸込口に、粉粒体移送装置の移送管の混合体流出口を接続したので、水位の変動があっても、粉粒体注入に適正な水深に位置するロータの回転により、ステータの上端開口から下端開口に流れ旋回流が発生し、この旋回流による適正な吸引力が移送管に作用するから、粉粒体貯留槽から切出された粉粒体は混合槽内で空気と均一に混合され、粉粒体の目詰まりを発生させることなく、移送管を通ってスムーズに粉粒体注入装置まで移送され、水中に注入される。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、移送管の吸込口に接続した混合体流出口から少なくとも所定の範囲を粉粒体注入装置の粉粒体注入機構の上下動に追従できる構成としたので、移送管に無理な力が加わることない。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、空気流入口及び混合体流出口に断面積の小さい収縮部を設けたので、混合槽内に流入する空気の流速を速めることができ、混合槽内に流速の速い旋回流が発生し、混合槽内に流入した粉粒体は空気と均一に混合し、混合体は混合体流出口の収縮部を通って高速で粉粒体移送管内に噴出されるから、粉粒体を目詰まりさせることなく粉粒体注入装置まで移送し、水中に注入することができる。しかもこの効果は粉粒体注入機構の吸引力が水位の変動に左右されることなく、一定であるので水位の変動に関係なく実現される。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、混合槽には複数個の混合体流出口が設けられ、該複数の混合体流出口のそれぞれに移送管を接続したので、一度に複数の粉粒体注入装置に粉粒体を移送することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、水処理設備の粉粒体移送装置に請求項4乃至7のいずれか1項に記載の粉粒体移送装置を用いるので、効率よく活性炭、消石灰等の粉粒体を所定の場所に設置した粉粒体注入装置に移送し、水中に注入させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基いて説明する。図6乃至び図8は本発明に係る粉粒体注入装置の構成例を示す図であり、図6は粉粒体注入装置の全体を示す正面図、図7は図6のA−A平断面図、図8は図6のB−B断面図である。本粉粒体注入装置は粉粒体注入機構104を具備する。この粉粒体注入機構104は、駆動手段としてのモータM、該モータMにより回転するシャフト131、該シャフト131の先端に取り付けたロータ132、該シャフト131の外周を取り囲むよう配置されたステータチューブ133、ロータ132の外周を囲むように取り付けたステータ134を備える点、及びステータチューブ133には吸込口135が設けられ、該吸込口135に粉粒体移送機構の移送管127の混合体流出口が接続されている点は、図3に示す粉粒体注入機構104と略同一構成であるのでその説明は省略する。
【0027】
粉粒体注入機構104は可動架台150に取り付けられている。該可動架台150は平面矩形状の上部に位置する枠体151、中間に位置する枠体152、下部に位置する枠体153を具備し、該3個の枠体151、152、153はそれぞれの四隅を4本のアングル部材で互いに並行に配置し、一体化的に結合している。また、可動架台150の四隅にはブラケット155を介して4本の円柱状のポール156が各枠体151、152、153の水平面に垂直に取り付けられている。該4本のポール156はそれぞれガイドパイプ157を貫通しており、該4個のガイドパイプ157を貫通するポール156が該ガイドパイプ157に案内され上下動することにより、可動架台150が上下動できるようになっている。4個のガイドパイプ157はそれぞれ粉粒体注入装置が設置される池の所定位置に設置された固定架台159に固定されている。
【0028】
可動架台150の中間に位置する枠体152の各辺の中央部か外側に延伸して浮上体取付用ブラケット158が取り付けられている。また、下部に位置する枠体153の各辺の中央部にもL字状の浮上体取付用ブラケット171が垂直下方に延伸し更に外側に延伸して取付けられている。可動架台150の枠体152と枠体152の各辺に取り付けられた浮上体取付用ブラケット158と浮上体取付用ブラケット171の間には、それぞれ浮上体160が取り付けられ、粉粒体注入機構104が取り付けられた可動架台150がこの4個の浮上体160で浮上支持されるようになっている。
【0029】
各浮上体160は図9に示すように、水中で浮力を発生する(比重が1より小さい)円柱又は円筒状の浮上体本体161を有し、該浮上体本体161の中心部に例えばSUS製のパイプ163が貫通し、該パイプ163の両端には円板状の押え板164、165を取り付けた構成である。各浮上体160のパイプ163内にボルト162を貫通させ、該ボルト162の両端を浮上体取付用ブラケット158と浮上体取付用ブラケット171にナット166、167で固定する。浮上体160のボルト162の取り付け位置はナット168で浮上体160の底部を設定し、該浮上体160の上部をダブルナット169で締め付け固定することにより、各浮上体160をボルト162の所定位置に取り付けるようになっている。即ち各浮上体160はナット168とダブルナット169でその取付け位置を調整することにより、浮上体取付用ブラケット158と浮上体取付用ブラケット171の間の間隔Lの所定位置に調整して取り付けることができるようになっている。
【0030】
上記のように粉粒体注入機構104を可動架台150に取り付け、該可動架台150を4個の浮上体160で支持することにより、粉粒体注入機構104は本粉粒体注入装置が設置される池(例えば沈砂池、着水井等)の水位WLの変動に応じて、粉粒体注入機構がそれに応じて上下動するから、ロータ132やステータ134を水面下の所定の位置(所定の水深)、即ち粉粒体を効率よく移送できる吸引力で、且つ効率よく水中に注入できる水深位置に維持することができる。また、粉粒体注入機構104のロータ132の位置は水深0.3〜2.0mが適切であり、好ましくは0.7m〜1.5mが適切である。0.3mより浅ければ粉粒体の吸い込みが悪くなり、2.0mより深ければ粉粒体の吸い込みのための動力が大きくなるからである。ここでは図9に示すように、ナット168、ダブルナット169で浮上体160の取付け位置を浮上体取付用ブラケット158と浮上体取付用ブラケット171の間隔Lの所定位置に設定することにより、ロータ132の位置を水深0.3〜2.0mになるように調整することは容易にできる。
【0031】
また、本粉粒体注入装置の粉粒体注入機構104を池の水位WLの変動により、上下動するので、粉粒体注入機構104の吸込口135に接続する移送管127は、少なくとも接続部(混合体流出口)から所定の範囲、例えば図6の吸込口135から固定の移送管127の端部が接続されている継ぎ手128までを、粉粒体注入機構104の上下動に追従できる構成、例えばフレキシブル管で構成する。
【0032】
また、ロータ132の回転により旋回流が発生し、この旋回流により池内の異物が可動架台150内やステータ134等に侵入し、例えばロータ132等を破損させるおそれがある。この異物の浸入を防ぐため、図10に示すように可動架台150や浮上体160の水中にある部分を覆うように、スクリーン170を設けるとよい。なお、該スクリーンは可動架台150の上下動によって上下動するように可動架台150を構成する部材、例えば151、152、153に直接、又は部材を介して間接的に取り付けるとよい。
【0033】
図6乃至図10に示す構成の粉粒体注入装置を図4に示す構成の粉粒体移送装置の着水井103に設置し、その吸込口135に移送管127を接続すると、粉粒体注入機構104のロータ132やステータ134は水位が変動しても、適正な水深に位置するから、活性炭等の粉粒体を効率よく水中に注入できると共に、水位の変動にもかかわらず常に適正な吸引力を発生するから、粉粒体と空気の混合体を移送管127を通してスムーズに着水井103の粉粒体注入装置に移送できる。
【0034】
図2に示すように、粉粒体移送機構101の混合槽122に複数個の混合体流出口が設けられ、各混合体流出口に移送管127が接続された粉粒体移送機構101において、複数の例えば沈砂池に設置された、図6乃至図10に示す構成の粉粒体注入装置の粉粒体注入機構104の吸込口135に移送管127を接続することにより、同時に複数の沈砂池に設置された粉粒体注入装置に水位の変動に関係なく略一定の吸引力で活性炭等の粉粒体と空気の混合体を移送でき、効率よく水中に該粉粒体を注入できる。
【0035】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記例では沈砂池や着水井に本発明に係る粉粒体注入装置を設置する例を示したが、これに限定されるものではなく、水中又は液中に粉粒体を注入する場所に遠隔場所から粉粒体を移送し、水中に注入する場合に本発明に係る粉粒体注入装置を設置し、粉粒体を送り出す場所に図2に示すような粉粒体移送機構101を設置することにより、粉粒体を効率よく移送し、水中に注入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】水処理設備の構成例を示す図である。
【図2】従来の粉粒体移送機構の概略構成例を示す図である。
【図3】従来の粉粒体注入装置の概略構成例を示す図である。
【図4】従来の粉粒体移送機構の概略構成例を示す図である。
【図5】取水施設の河川水位と沈砂池の水位の変動例を示す図である。
【図6】本発明に係る粉粒体注入機構の概略構成例を示す正面図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】図6のB−B断面図である。
【図9】本発明に係る粉粒体注入機構の浮上体の取り付け状態を示す図である。
【図10】本発明に係る粉粒体注入機構の概略構成例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0037】
101 粉粒体移送機構
102 取水施設
103 着水井
104 粉粒体注入機構
105 混和池
106 フロック形成池
107 薬品沈殿池
108 急速濾過池
109 浄水池
110 配水池
111 処理水
121 粉粒体貯留槽
122 混合槽
123 空気流入口
124 混合体流出口
125 混合体流出口
126 空気管
127 移送管
128 継ぎ手
131 シャフト
132 ロータ
133 ステータチューブ
134 ステータ
135 吸込口
136 カバーリング
137 バルブ
138 バルブ
140 河川
141 沈砂池
142 ポンプ
143 配管
150 可動架台
151 枠体
152 枠体
153 枠体
154 アングル部材
155 ブラケット
156 ポール
157 ガイドパイプ
158 浮上体取付用ブラケット
159 固定架台
160 浮上体
161 浮上体本体
162 ボルト
163 パイプ
164 押え板
165 押え板
166 ナット
167 ナット
168 ナット
169 ダブルナット
170 スクリーン
171 浮上体取付用ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段で回転するシャフトの先端にロータを取り付けると共に、該シャフトの外周を取り囲むようにステータチューブを配置し、該ステータチューブに粉粒体と気体の混合流体を吸込口を設け、前記ステータチューブに前記ロータの外周を囲むように上下端が開口した筒状体のステータを取り付け、該ステータ及び該ロータを水中に配置し、前記駆動手段で前記シャフトを回転させ前記ロータを回転させることにより前記ステータの上部開口から下部開口に流れる水の旋回流を発生させ、該旋回流により前記吸込口から粉粒体と気体の混合流体を吸込み、該混合流体を水中に注入するように構成した粉粒体注入機構を備え、
前記粉粒体注入機構を支持する支持体に水中で浮力を発生する浮力体を取り付け、該浮力体により前記ロータ及び前記ステータを水面下の所定位置に維持するように構成したことを特徴とする粉粒体注入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉粒体注入装置において、
前記浮力体の前記支持体への上下方向の取り付け位置を調整できる取付位置調整機構を設けたことを特徴とする粉粒体注入装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粉粒体注入装置において、
前記粉粒体注入機構及び前記浮力体の少なくとも水中に位置する部分の外周を覆うスクリーンを設けたことを特徴とする粉粒体注入装置。
【請求項4】
粉粒体を貯留する粉粒体貯留槽の下端に、頂部に該粉粒体貯留槽から切出機で切り出した粉粒体が投入される粉粒体投入口、下端側壁面に空気流入口、壁面に混合体流出口を設けた混合槽を配備し、該混合槽の混合体流出口に接続された移送管を配備し、
前記移送管を通して空気を吸引することにより、前記空気流入口から吸込まれた空気は前記混合槽の底面に沿って流入し、該混合槽内で上下方向に旋回空気流を形成し、前記粉粒体投入口から投入された粉粒体は前記旋回空気流に混合され、該空気と粉粒体の混合体を前記混合体流出口から前記移送管を通して移送するように構成した粉粒体移送装置において、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉粒体注入装置を備え、該粉粒体注入装置の前記ステータチューブに設けた吸込口に前記移送管の混合体流出口を接続したことを特徴とする粉粒体移送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の粉粒体移送装置において、
前記移送管の前記吸込口に接続した前記混合体流出口が少なくとも所定の範囲を前記粉粒体注入装置の粉粒体注入機構の上下動に追従できる構成としたことを特徴とする粉粒体注入装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の粉粒体移送装置において、
前記空気流入口及び前記混合体流出口に断面積の小さい収縮部を設けたことを特徴とする粉粒体移送装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の粉粒体移送装置において、
前記混合槽には複数個の混合体流出口が設けられ、該複数の混合体流出口のそれぞれに移送管を接続したことを特徴とする粉粒体移送装置。
【請求項8】
粉粒体を所定の場所から所定の場所へ移送する粉粒体移送装置を備えた水処理設備において、
前記粉粒体移送装置に請求項4乃至7のいずれか1項に記載の粉粒体移送装置を用いることを特徴とする水処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−69180(P2007−69180A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262180(P2005−262180)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】