説明

粉粒状製品用容器

【課題】粉粒状製品収納用容器において、容器内部に計量スプーンを収納するための収納部を設けることにより計量スプーンが内容物に埋もれてしまうことを確実に防止し、かつ計量スプーンの持ち手部分に内容物が付着し汚損することを防止し、また、収納部にすりきり部を並設して計量作業を良好化できる粉粒状製品用容器を提供する。
【解決手段】粉粒状製品用容器10は、粉粒状の内容物を収容するため上方が開口(10a)され底部が閉じた概略角筒状の容器10であり、ブロー成形により形成されており、かつ、前記容器10幅方向一側面10bから他側面10cに筒状の貫通部12を形成して該貫通部12により後方の部分に把手部14を有し、前記容器10の内部が、粉粒状の内容物を収納するための内容物収納部16と、計量スプーン18を収納するためのスプーン収納部20の二つの区画に区分されており、上記区分が前記貫通部12によって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒状製品用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒状の内容物を計量して使用する衣料用洗濯洗剤や自動食洗機用洗剤等を収納する代表的な容器としては、箱状の容器と計量スプーンをセットした形態が挙げられる。
【0003】
この形態の容器の使用方法は、箱状容器の蓋を開けて、容器内に入っている計量スプーンを取り出して、粉粒状の内容物を計量スプーンで掬い取って計量し、量りとった内容物を洗濯機や自動食洗機等に投入する。
【0004】
この容器の欠点として、計量スプーンを容器内に入れて保管するので、繰り返して使用を続けるうちにスプーンの持ち手部分が内容物で汚れて、使用時に手に内容物が付くようになることが挙げられる。
【0005】
これに対して、実開平4−73333号(特許文献1)や実用新案登録第3016931号(特許文献2)では、粉末洗剤と一緒に収納されるスプーンを外部収納または内部収納する着脱式の収納具が提案されている。
【0006】
これらによれば、計量スプーンは内容物を収納する空間から隔離して収納可能なため、スプーンが内容物に埋もれてしまったり、持ち手部分が汚れたりすることが起こり難い。
【0007】
しかしながら、これらの提案ではスプーンの収納具が容器本体とは別体で構成されているため、振動や落下等の外部からの衝撃により上記収納具が容器本体から脱落する虞があり、また、収納具自体が一つの箱状の容器体の形状を有するため、樹脂使用量の増加分が大きく、環境やコストへ与える影響が大きいという問題点がある。
【0008】
なお、収納容器の計量スプーンに関する先行技術として、実開平1−164131号(特許文献3)では、計量スプーンの掬った調味料を一定にすりきるすりきり板を箱内にはめ込んだ調味料入れが示されている。この調味料入れの場合、すりきり板には、一部に丸みをもたせている。
【0009】
また、特許第4226727号(特許文献4)では、スプーンを容器本体内に収納するのに、すりきり部でのスプーン設置箇所を支点として、スプーン先端が上方へ回動するのをフランジ部で規制する調味料収納容器が開示されている。
【0010】
これら特許文献3〜4開示の技術では、計量スプーン専用の収納部が設けられていないものである。
【0011】
一方、計量スプーンを保持する構造に関し、出願人は、既に特開2005−193908号(特許文献5)、特開2006−335378号(特許文献6)、特許第3756508号(特許文献7)によって提案している。これらいずれの提案も計量スプーンが内容物に埋没することを防止できるが、一層確実に樹脂使用量を少なくして計量スプーンの埋没および汚れ防止を図る技術の提案が要請されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実開平4−73333号公報
【特許文献2】実用新案登録第3016931号公報
【特許文献3】実開平1−164131号公報
【特許文献4】特許第4226727号公報
【特許文献5】特開2005−193908号公報
【特許文献6】特開2006−335378号公報
【特許文献7】特許第3756508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の実情に鑑み、粉粒状製品を収納するための容器において、容器内部に計量スプーンを収納するための収納部を設けることにより計量スプーンが内容物に埋もれてしまうことを確実に防止し、かつ計量スプーンの持ち手部分に内容物が付着し汚損することを防止し、また、収納部にすりきり部を並設して計量作業を良好化できる粉粒状製品用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は粉粒状製品用容器にかかるものである。
【0015】
本発明は、粉粒状の内容物を収容する上方が開口された容器において、
前記容器は、ブロー成形により形成されており、かつ、前記容器幅方向一側面から他側面に筒状の貫通部を形成して該貫通部より後方の部分に把手部を有し、
前記容器の内部が、粉粒状の内容物を収納するための内容物収納部と、計量スプーンを収納するためのスプーン収納部の二つの区画に区分されており、
上記区分が前記貫通部によって形成されていることを特徴とする粉粒状製品用容器である。
【0016】
本発明においては、前記容器の開口上端部に、当該開口上端部の断面形状を保形規制するための容器口元枠が係合されており、
前記容器口元枠には前記容器幅方向左右の枠部分を繋いで前記開口上端部を横断するようにしてすり切り部が設けられており、
前記すり切り部の下辺が直線形状又は下方向に凸形状の少なくとも一方が形成されていることが好適である。
【0017】
また、本発明においては、前記貫通部の後方の把手部内空間が前記スプーン収納部になっていることが好適である。
【0018】
また、本発明においては、前記内容物収納部とスプーン収納部の各区画は、貫通部の下方で連通していることが好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の粉粒状製品用容器によれば、前記容器は、ブロー成形により形成しており、かつ、前記容器幅方向一側面から他側面に筒状の貫通部を形成して該貫通部より後方の部分に把手部を有したものであり、前記容器の内部が、粉粒状の内容物を収納するための内容物収納部と、計量スプーンを収納するためのスプーン収納部の二つの区画に区分されており、上記区分が前記貫通部によって形成されているので、前記容器が二つの区画に区分されていることから、内容物が内容物収納部からスプーン収納部に入り込まず、または入り込み難く計量スプーンの持ち手が粉粒状の内容物で汚れることがない。
【0020】
また、ブロー成形の際に把手部を成形すると区分が形成されるので1パーツで区分を含めて容器全体を成形可能であり、製造手順が少なくて済む。
【0021】
本発明において、前記容器の開口上端部に、当該開口上端部の断面形状を保形規制するための容器口元枠が係合されて、前記容器口元枠には前記容器幅方向左右の枠部分を繋いで前記開口上端部を横断するようにしてすり切り部を設けられており、前記すり切り部の下辺が直線形状又は下方向に凸形状の少なくとも一方に形成されているものにできる。これにより、上記容器口元枠で容器断面形状を保形規制できることから容器口元に蓋をするときに密閉性を確実にすることができる。また、すり切り部によって計量スプーンをすり切れるので計量性を向上できる。
【0022】
また、本発明において、前記貫通部の後方の把手部内空間を前記スプーン収納部にできる。これによって、前記貫通部を形成することによってそのまま前記スプーン収納部を形成でき一体成形が容易である。また、把手部側であるから使用者の手元側になり計量スプーンを取り易く便利である。
【0023】
また、本発明において、前記内容物収納部とスプーン収納部の各区画は、貫通部の下方で連通しているものにできる。このようにすれば、計量スプーンを使用した際に計量スプーンに付いて前記スプーン収納部内に落ちたり溜まったりした粉粒状内容物が貫通部の下方の連通箇所から前記内容物収納部内に入り込ませることができるので、粉粒状内容物でスプーン収納部が汚れず、また、該内容物を最後まで使い切ることができ、無駄が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る粉粒状製品用容器の全体説明図である。(a)は側方から見た外観図、(b)は上方からみた外観図である。
【図2】(a)は、図1の粉粒状製品用容器の上方からの外観図、(b)は同縦断面図である。
【図3】変形例1に係る粉粒状製品用容器の側方から見た外観図である。
【図4】変形例2に係る粉粒状製品用容器の構成説明図であって、(a)は上方から見た図、(b)は側面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1〜図2は、実施形態に係る粉粒状製品容器の全体説明図である。図3は実施形態の変形例1に係る粉粒状製品用容器の外観図である。図4は実施形態の変形例2に係る粉粒状製品用容器の説明図である。
【0027】
図1〜2に示すように、実施形態に係る粉粒状製品用容器10は、粉粒状の内容物(洗剤や、調味料等各種粉粒状製品等)を収容するための上方が開口(開口上端部10a)され底部が閉じた概略角筒状の容器10である。前記容器10は、ブロー成形により形成されており、かつ、前記容器10幅方向一側面10bから他側面10cに筒状の貫通部12を形成して該貫通部12より後方の部分に把手部14を有している。
【0028】
そして、前記容器10の内部が、粉粒状の内容物を収納するための内容物収納部16と、計量スプーン18を収納するためのスプーン収納部20の二つの区画に区分されており、上記区分が前記貫通部12によって形成されている。
【0029】
具体的には、図1に示すように、特に(b)で上方視するように、前記容器10は、上方の開口10aから下方の底面までほぼ同一横断面形状に形成されている。
【0030】
これによって、内容物収納部16から内容物を計量スプーン18によって掬い取るときに底部まで当該計量スプーン18を届かせて無駄なく内容部物を使用しきれるようにできる。容器10の上端開口は図示しない蓋で開閉するようになっている。
【0031】
また、前記容器10は、上方視するように、幅W方向に直角方向の長さ方向の前方部に内容物収納部16が形成され、後方部に、前記内容物収納部16の幅W1よりも狭い幅W2に把手部14が形成されている。この把手部14は使用者が手によって掴んで保持できる幅W2に形成されている。
【0032】
そして、前記容器10は、上下方向中央部に掛け渡すように、幅W方向の一側面10bから他側面10cに渡って中空筒状の貫通部12が一体成形されている。貫通部12は、粉粒状製品用容器10の使用者が把手部14を掴んだ際に、手指を挿入して、確実かつしっかりと前記把手部14を掴めるようにするためのものである。
【0033】
そのため、図2(b)に断面視するように、貫通部12は、長円形または楕円形の外周および内周の断面形状の概略中空筒状に形成されたものである。また、貫通部12は、前記容器10の上下方向のほぼ中央部に形成されており、したがって、前記内容物収納部16とスプーン収納部20の各区画は、貫通部12の下方で連通している。連通路を符号22で示す。
【0034】
前記計量スプーン18は、使用者が摘む柄18aと内容物を掬い取るための椀状の凹みが形成された計量部18bとで一体形成されており、樹脂製でも紙製でも材質は種々に選択使用できる。
【0035】
前記スプーン収納部20は、前記把手部14内部と貫通部12の後方に形成される空間が該当し、当該スプーン収納部20の内部形状や寸法は少なくとも計量スプーン18の計量部18bを下方にして差し込んでも底部に達するものに形成されている。
【0036】
前記容器10は、ブロー成形によって形成されるものであって、左右割のブロー金型が好ましい。前記容器10の材質はポリエチレン、ポリプロピレンなどを使用することができる。
【0037】
上記実施形態の粉粒状製品用容器の他に、図3に示す変形例1のように、前記容器10の開口上端部10aに、当該開口上端部10aの断面形状を保形規制するための容器口元枠24が係合する構成にできる。
【0038】
前記容器口元枠24には、前記容器10幅方向左右の枠部分24aを繋いで前記開口上端部10aを横断するようにしてすり切り部24bがブリッジ状に設けられている。
【0039】
前記容器口元枠24は、その横断面が下開きのコの字形状を呈し、下開きの箇所を容器10の上端部10aの縁部を挟むようにして嵌合させる構造である。もちろん他の形状でも容器10上端部10aに固定できる。例えば平坦にして接着や溶着で固定できる。
【0040】
前記すり切り部24bの下辺は、直線形状箇所24b1と下方向に凸形状箇所24b2が形成されているものである。
【0041】
前記容器口元枠24の材質は、容器10と同じでも異なっても良く、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを使用することができる。
【0042】
前記実施形態の粉粒状製品用容器10によれば、容器10は、ブロー成形により形成しており、かつ、前記容器10幅方向一側面10bから他側面10cに筒状の貫通部12を形成して該貫通部12より後方の部分に把手部14を有したものであり、前記容器10の内部が、粉粒状の内容物を収納するための内容物収納部16と、計量スプーン18を収納するためのスプーン収納部20の二つの区画に区分されており、上記区分が前記貫通部12より形成されているので、前記容器10が二つの区画に区分されていることから、内容物が内容物収納部16からスプーン収納部20に入り込まず、または入り込み難く計量スプーン18が粉粒状の内容物で汚れることがない。
【0043】
また、ブロー成形の際に把手部14を成形するだけで区分が形成されるので1パーツで区分を含めて容器10全体を成形可能であり、工作手順が少なくて済む。
【0044】
実施形態の容器において、前記容器10の開口上端部10aに、当該開口上端部10aの断面形状を保形規制するための容器口元枠24が係合されて、前記容器口元枠24には前記容器10幅方向左右の枠部分を繋いで前記開口上端部10aを横断するようにしてすり切り部を設けられており、前記すり切り部の下辺が直線形状又は下方向に凸形状の少なくとも一方に形成されているものにできる。これにより、上記容器口元枠24で容器10断面形状を保形規制できることから容器10口元に蓋をするときに密閉性を確実にすることができる。
【0045】
また、容器口元枠24のすり切り部24bによって計量スプーン18をすり切れるので計量性を向上できる。
【0046】
また、実施形態においては、前記貫通部12の後方の把手部14内空間が前記スプーン収納部20にできる。これによって、前記貫通部12を形成することによってそのまま前記スプーン収納部20を形成でき一体成形が容易である。また、把手部14側であるから使用者の手元側になり計量スプーン18を取り易く便利である。
【0047】
また、前記内容物収納部16とスプーン収納部20の各区画は、貫通部12の下方で連通しているものしている。この構成により、計量スプーン18を使用した際に計量スプーン18に付いて前記スプーン収納部20内に落ちたり溜まったりした粉粒状内容物が貫通部12の下方の連通路(連通箇所)22から前記内容物収納部16内に入り込ませることができるので、粉粒状内容物でスプーン収納部20が汚れず、また、該内容物を最後まで使い切ることができ、無駄が生じない。
【0048】
なお、上記実施形態では、容器10の形状を概略角筒形状に限られず、概略円筒形状にするなど種々に形成できる。また、貫通部12は左右側面に露出する部分に緩やかに面取りするなどの種々に形成できる。
【0049】
例えば図4の実施形態の変形例2に係る粉粒状製品用容器は横断面形状が略楕円形状であって、貫通部12が左右の広がった鼓状に形成されているように構成しているものも本発明の範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の粉粒状製品用容器は、粉粒状の内容物として、衣料用洗濯洗剤や自動食洗機用洗剤等の洗剤や、塩、砂糖、合成や化学調味料等の食品の粉粒状製品を収納する箱状の容器に計量スプーンを併せて収納する容器として利便性良く利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 容器
10a 開口上端部
10b 容器の一側面
10c 容器の他側面
12 貫通部
14 把手部
16 内容物収納部
18 計量スプーン
18a 計量スプーンの柄
18b 計量スプーンの計量部
20 スプーン収納部
22 連通路
24 容器口元枠
24a 容器幅方向左右の枠部分
24b すり切り部
24b1 すり切り部の直線形状箇所
24b2 すり切り部の凸形状箇所
W1 容器の内容物収納部の幅
W2 容器のスプーン収納部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒状の内容物を収容する、上方が開口された容器において、
前記容器は、ブロー成形により形成されており、かつ、前記容器幅方向一側面から他側面に筒状の貫通部を形成して該貫通部より後方の部分に把手部を有し、
前記容器の内部が、粉粒状の内容物を収納するための内容物収納部と、計量スプーンを収納するためのスプーン収納部の二つの区画に区分されており、
上記区分が前記貫通部によって形成されていることを特徴とする粉粒状製品用容器。
【請求項2】
前記容器の開口上端部に、当該開口上端部の断面形状を保形規制するための容器口元枠が係合されており、
前記容器口元枠には前記容器幅方向左右の枠部分を繋いで前記開口上端部を横断するようにしてすり切り部が設けられており、
前記すり切り部の下辺が直線形状又は下方向に凸形状の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の粉粒状製品用容器。
【請求項3】
前記貫通部の後方の把手部内空間が前記スプーン収納部になっていることを特徴とする請求項1または2に記載の粉粒状製品用容器。
【請求項4】
前記内容物収納部とスプーン収納部の各区画は、貫通部の下方で連通していることを特徴とする請求項1ないし3うちの一項に記載の粉粒状製品用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−105374(P2011−105374A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265365(P2009−265365)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】