説明

粒子の洗浄システムおよび粒子の洗浄方法

【課題】フィルタープレス方式の粒子の洗浄における洗浄液の使用量が削減される粒子の洗浄システムを提供する。
【解決手段】複数のフィルタープレス方式の濾過装置に用いる複数の濾過室と、前記複数の濾過室を連結して前記濾過室の一つから排出される濾液を他の濾過室に送液する送液機構と、を備える粒子の洗浄システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の洗浄システムおよび粒子の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により像保持体上に静電潜像を形成し(潜像形成工程)、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶ場合がある。)を含む静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」と呼ぶ場合がある。)で静電潜像を現像し(現像工程)、転写工程、定着工程を経て可視化される。ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがある。
【0003】
近年、トナーの形状および表面構造などの制御を意図的に行うことが可能な手段として、乳化凝集法などの湿式製法によるトナーの製造方法が提案されている。乳化凝集法は、一般に乳化重合、転相乳化などにより樹脂粒子分散液を作製し、一方、溶媒に着色剤を分散させた着色剤分散液、溶媒に離型剤を分散させた離型剤分散液等を作製した後、これらを混合し、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成し、加熱することによって融合(合一)させてトナーとする製造方法である。融合して得られたトナー粒子は、通常、濾過後に、水等の洗浄液を用いて洗浄され、その後乾燥される。この濾過、洗浄工程において、例えば、フィルタープレス方式の濾過装置を用いてトナー粒子の濾過、洗浄が行われる。
【0004】
例えば、特許文献1には、少なくとも樹脂微粒子を水系媒体中で塩析/融着して着色粒子を形成させ、水系媒体中より濾過、乾燥する重合法トナーの製造方法において、水系媒体中より着色粒子を濾過する工程に、フィルタープレス方式の濾過装置を用いる重合法トナーの製造方法が記載されている。
【0005】
トナーの製造工程以外にも、粒子の濾過、洗浄工程において、フィルタープレス方式の濾過装置を用いて粒子の濾過、洗浄が行われることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−221823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、フィルタープレス方式の粒子の洗浄における洗浄液の使用量が削減される粒子の洗浄システムおよび粒子の洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、複数のフィルタープレス方式の濾過装置に用いる複数の濾過室と、前記複数の濾過室を連結して前記濾過室の一つから排出される濾液を他の濾過室に送液する送液機構と、を備える粒子の洗浄システムである。
【0009】
請求項2に係る発明は、各濾過室への洗浄液の流入路を接続する接続流路と、各濾過室から排出される濾液の流出路に設置された洗浄度測定手段と、を備える、請求項1に記載の粒子の洗浄システムである。
【0010】
請求項3に係る発明は、複数のフィルタープレス方式の濾過装置に用いる複数の濾過室を連結して前記濾過室の一つから排出される濾液を他の濾過室に送液する粒子の洗浄方法である。
【0011】
請求項4に係る発明は、各濾過室への洗浄液の流入路を接続流路により接続し、各濾過室から排出される濾液の洗浄度を測定して、前記測定した洗浄度に基づいて前記流入路および前記接続流路の開閉を制御する、請求項3に記載の粒子の洗浄方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によると、フィルタープレス方式の粒子の洗浄における洗浄液の使用量が削減される粒子の洗浄システムが提供される。
【0013】
請求項2に係る発明によると、フィルタープレス方式の粒子の洗浄における洗浄液の使用量がより削減される粒子の洗浄システムが提供される。
【0014】
請求項3に係る発明によると、フィルタープレス方式の粒子の洗浄における洗浄液の使用量が削減される粒子の洗浄方法が提供される。
【0015】
請求項4に係る発明によると、フィルタープレス方式の粒子の洗浄における洗浄液の使用量がより削減される粒子の洗浄方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る粒子洗浄システムの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る粒子洗浄方法の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例1における水使用量(質量部)と導電率(μS/cm)の関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例2における水使用量(質量部)と導電率(μS/cm)の関係を示す図である。
【図5】本発明の比較例1における水使用量(質量部)と導電率(μS/cm)の関係を示す図である。
【図6】本発明の比較例1で用いた粒子洗浄システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0018】
本発明の実施形態に係る粒子洗浄システムの一例の概略構成を図1に示し、その構成について説明する。粒子洗浄システム1は、フィルタープレス方式の濾過室10a〜10dと、送液機構として洗浄液配管12、入口配管16a〜16dおよび濾液配管18a〜18dと、入口バルブ22a〜22dと、出口バルブ24a〜24dと、洗浄液バルブ28a〜28dとを備える。粒子洗浄システム1は、気体配管14と、気体配管側配管20a〜20dと、気体配管側バルブ26a〜26dと、洗浄度測定手段として導電率計30a〜30dとを備えていてもよい。
【0019】
図1の粒子洗浄システム1において、洗浄液配管12と濾過室10aの一次側とが入口バルブ22aを介して入口配管16aにより接続され、濾過室10aの二次側と洗浄液配管12の入口配管16aの接続点の後流側とがバルブ24aを介して濾液配管18aにより接続されている。洗浄液配管12の濾液配管18aの接続点の後流側と濾過室10bの一次側とが入口バルブ22bを介して入口配管16bにより接続され、濾過室10bの二次側と洗浄液配管12の入口配管16bの接続点の後流側とがバルブ24bを介して濾液配管18bにより接続されている。洗浄液配管12の濾液配管18bの接続点の後流側と濾過室10cの一次側とが入口バルブ22cを介して入口配管16cにより接続され、濾過室10cの二次側と洗浄液配管12の入口配管16cの接続点の後流側とがバルブ24cを介して濾液配管18cにより接続されている。洗浄液配管12の濾液配管18cの接続点の後流側と濾過室10dの一次側とが入口バルブ22dを介して入口配管16dにより接続され、濾過室10dの二次側と洗浄液配管12の入口配管16dの接続点の後流側とがバルブ24dを介して濾液配管18dにより接続されている。洗浄液配管12は、各濾過室10a〜10dへの洗浄液の流入路を接続する接続流路としても機能する。洗浄液配管12の入口配管16aの接続点と濾液配管18aの接続点との間、入口配管16bの接続点と濾液配管18bの接続点との間、入口配管16cの接続点と濾液配管18cの接続点との間、入口配管16dの接続点と濾液配管18dの接続点との間には、それぞれ洗浄液バルブ28a〜28dが設置されている。濾液配管18a〜18dの途中にはそれぞれ導電率計30a〜30dが設置されている。一端側が閉鎖された気体配管14と濾液配管18aとが、気体配管側バルブ26aを介して気体配管側配管20aにより接続され、気体配管14の気体配管側配管20aの接続点の後流側と濾液配管18bとが、気体配管側バルブ26bを介して気体配管側配管20bにより接続され、気体配管14の気体配管側配管20bの接続点の後流側と濾液配管18cとが、気体配管側バルブ26cを介して気体配管側配管20cにより接続され、気体配管14の気体配管側配管20cの接続点の後流側と濾液配管18dとが、気体配管側バルブ26dを介して気体配管側配管20dにより接続されている。
【0020】
本実施形態に係る粒子洗浄方法および粒子洗浄システム1の動作について説明する。
【0021】
ここでは、粒子および溶媒を含む懸濁液を、図1のような4室のフィルタープレス方式の濾過室10a〜10dを有する粒子洗浄システム1により処理を行う例について説明する。まず、粒子および溶媒を含む懸濁液を4室のフィルタープレス方式の濾過室10a〜10dにそれぞれに注入し、固液分離、圧搾する。続いて、洗浄液供給部より洗浄液として洗浄水を、洗浄液配管12を通して注入する。このとき気体配管側バルブ26a〜26dは全て閉状態、洗浄液バルブ28a〜28dは全て閉状態、各濾過室10a〜10dの入口バルブ22a〜22dおよび出口バルブ24a〜24dは開状態として運転を開始する。これにより洗浄水は、入口配管16aおよび濾液配管18a、入口配管16bおよび濾液配管18b、入口配管16cおよび濾液配管18c、入口配管16dおよび濾液配管18dを通って、濾過室10aの一次側から二次側、濾過室10bの一次側から二次側、濾過室10cの一次側から二次側、濾過室10dの一次側から二次側へと順次流れて粒子の洗浄が行われる(図2(a))。濾液配管18dに設置した導電率計30dにより測定された濾過室10dからの濾液の導電率値が予め定めた基準値以下になったら、洗浄終了と判断すればよい。このように、本方法では、4つのフィルタープレス方式の濾過室10a〜10dの各濾過室を連結して、各濾過室から排出される濾液を次の濾過室に送液して、粒子の洗浄を行う。
【0022】
ここで、濾過室10a〜10dの各濾過室から排出される濾液の洗浄度を測定して、測定した洗浄度に基づいて、入口バルブ22a〜22dおよび洗浄液バルブ28a〜28dの開閉を制御してもよい。例えば、濾液配管18aに設置した導電率計30aにより測定された濾過室10aからの濾液の導電率値が予め定めた基準値以下になったら、濾過室10aから濾過室10bへ向かう洗浄液バルブ28aを開状態とし、濾過室10aの入口バルブ22aおよび出口バルブ24aを閉状態とする。これにより洗浄水は、濾過室10aを通らずに、濾過室10bから濾過室10c、濾過室10dへと流れる(図2(b))。以下同様にして、各濾過室からの濾液配管に設置した導電率計により測定された濾液の導電率値が予め定めた基準値以下になったら、バルブの開閉制御を行う。最終的に、濾液配管18dに設置した導電率計30dにより測定された濾液の導電率値が予め定めた基準値以下になったら洗浄終了と判断すればよい(図2(c))。
【0023】
洗浄工程が終了したら、必要に応じて、気体配管側バルブ26a〜26dは全て開状態、各濾過室10a〜10dの入口バルブ22a〜22dは全て開状態、出口バルブ24a〜24dは全て閉状態、洗浄液バルブ28a〜28cは開状態、洗浄液バルブ28dは閉状態として、洗浄液配管12および入口配管16a〜16dを通して空気等の気体を各濾過室10a〜10dの一次側からそれぞれ供給し、各濾過室10a〜10dの二次側から気体配管側配管20a〜20d、気体配管14を通してそれぞれ排出して、エアブローによる湿潤粒子の予備乾燥処理が行われてもよい(予備乾燥工程、図2(d))。
【0024】
このように、本実施形態に係る粒子洗浄システム1において、4つのフィルタープレス方式の濾過室10a〜10dの各濾過室を連結して各濾過室から排出される濾液を次の濾過室に送液することにより、洗浄液の使用量が削減される。また、濾過室10a〜10dの各濾過室から排出される濾液の洗浄度を測定して、測定した洗浄度に基づいて流入路および接続流路の開閉を制御することにより、洗浄液の使用量がより削減される。具体的には、例えば、各濾過室から得られる濾液の導電率等を測定して洗浄度を判断し、バルブの開閉制御を組み合わせて、各々の濾過室中の粒子の洗浄を進めてゆく。
【0025】
従来の粒子洗浄システムの概略構成を図6に示す。従来の粒子洗浄システム3において、各濾過室50a〜50dを並列に接続して、洗浄液供給部より洗浄液配管52を通して各濾過室50a〜50dへ洗浄液を供給し、濾液配管54を通して各濾過室50a〜50dからの濾液を排出して、粒子の洗浄を行っていた。この方法は効率的ではあるが一方で、汚れを多く含まない洗浄液が流れ出ていることで、無駄があった。
【0026】
本実施形態に係る粒子洗浄システムおよび粒子洗浄方法では、品質の同等以上を前提に各濾過室からの濾液を再利用して、従来の粒子洗浄システムおよび粒子洗浄方法に比べて、水使用量が削減される。さらに洗浄液の使用量削減による効率化と環境負荷の低減が達成される。また、洗浄に要する処理時間が短縮される。
【0027】
洗浄液としては、粒子の洗浄を行うものであればよく、特に制限はない。例えば、水の他に、エタノール等のアルコール類、アセトン、エーテル等の有機溶媒が挙げられ、洗浄対象の粒子の性状、粒子に含まれる不純物の性状等に応じて選択すればよい。1種類の洗浄液を用いても、2種類以上の洗浄液を混合または切り替えて用いてもよい。
【0028】
予備乾燥工程で用いる気体としては、粒子の乾燥を行うものであればよく、特に制限はない。例えば、空気の他に、窒素、アルゴン等の不活性気体等が挙げられ、洗浄対象の粒子の性状、用いる洗浄液の性状等に応じて選択すればよい。1種類の気体を用いても、2種類以上の気体を混合または切り替えて用いてもよい。
【0029】
濾過室としては、フィルタープレス方式の濾過洗浄を行うものであればどのような構造のものを用いてもよい。濾過室の数は複数であればよく、特に制限はない。複数の濾過室の設置方向は、図1のように略水平方向に設置してもよく、略垂直方向に設置してもよい。トナー等の比重が比較的小さい粒子の場合は、図1のように略水平方向に設置することが好ましく、砂等の比重が比較的大きい粒子の場合は、略垂直方向に設置することが好ましい。
【0030】
洗浄の終了を判断するための洗浄度の基準となるパラメータとしては、導電率以外にも、例えば、pH、表面張力、着色度、濁度、透明度、ナトリウム量等が用いられる。洗浄度測定手段としては、導電率計の他に、pHメータ、表面張力計、分光光度計、濁度計、イオンメータ等が用いられる。
【0031】
本実施形態に係る粒子洗浄システムおよび粒子洗浄方法は、粒子の洗浄に用いられ、粒子としては、例えば、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用キャリア、顔料、土砂、シリカ等が挙げられる。特に表面に吸着する界面活性剤を効果的に取り除く等の点から、界面活性剤を用いる乳化凝集法などの湿式製法により製造したトナーの洗浄に好適に用いられる。以下、静電荷像現像用トナーの製造方法の一例について説明する。
【0032】
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
トナーは、例えば、乳化凝集法(凝集・合一法)などの湿式製法で製造される。
【0033】
静電荷像現像用トナーの製造方法は、例えば、樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液と、着色剤を分散した着色剤分散液と、離型剤を分散した離型剤分散液とを混合し、樹脂粒子、離型剤および着色剤を含む凝集粒子を形成する凝集工程と、凝集系内のpHを調整して凝集粒子の凝集の成長を停止させる停止工程と、凝集粒子を樹脂粒子の融点またはガラス転移温度以上の温度に加熱して、融合させる融合工程と、融合して得られたトナー粒子を少なくとも水を用いて洗浄する洗浄工程と、を含む方法である。トナー粒子を乾燥する乾燥工程をさらに有していてもよい。また、必要に応じて、凝集工程の後に、同じまたは異なる樹脂粒子を添加し、凝集粒子の表面に付着させるシェル層形成工程を有してもよい。
【0034】
以下、静電荷像現像用トナーの製造方法の一例における各工程について詳細に説明する。なお、トナーの製造方法はこれに限定されるものではない。
【0035】
[分散液調製工程]
分散液調製工程においては、樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液などを準備する。
【0036】
樹脂粒子分散液は、公知の転相乳化方法を用いるか、あるいは樹脂のガラス転移温度以上に加熱して機械的せん断力によって乳化させる方法などを用いて調製すればよい。この際、イオン性界面活性剤を添加してもよい。
【0037】
着色剤分散液は、例えば、イオン性界面活性剤を用いて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック等の所望の色の着色剤粒子を溶媒中に分散させることにより調製すればよい。
【0038】
離型剤分散液は、例えば、離型剤を、水中に高分子電解質(例えば、イオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基など)とともに分散し、離型剤の融点以上に加熱するとともに、強い剪断をかけられるホモジナイザや圧力吐出型分散機により粒子化することにより調製すればよい。
【0039】
用いられる界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤または非イオン系界面活性剤を使用すればよく、一般的にはアニオン系界面活性剤が、分散力が強く、樹脂粒子の分散に優れているため、好ましく用いられる。非イオン系界面活性剤は、前記アニオン系界面活性剤またはカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
【0040】
[凝集工程]
凝集工程においては、樹脂粒子分散液と着色剤分散液と離型剤分散液とを混合し、樹脂粒子と離型剤と必要に応じて着色剤とをヘテロ凝集させ、所望のトナー径にほぼ近い径を持つ凝集粒子(コア凝集粒子)を形成する。
【0041】
[シェル層形成工程]
シェル層形成工程においては、コア凝集粒子の表面に、樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液を用いて樹脂粒子を付着させ、所望の厚みの被覆層(シェル層)を形成することにより、コア凝集粒子表面にシェル層が形成されたコア/シェル構造を持つ凝集粒子(コア/シェル凝集粒子)を得る。
【0042】
なお、凝集工程、シェル層形成工程は、段階的に複数回に分けて繰り返し実施したものであってもよい。
【0043】
ここで、凝集工程およびシェル層形成工程において用いられる、樹脂粒子、着色剤、離型剤の体積平均粒径は、トナー径および粒度分布を所望の値に調整するのを容易とするために、1μm以下であることが好ましく、100nm以上300nm以下の範囲であることがより好ましい。
【0044】
体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定する。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mLにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分間待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とする。
【0045】
[停止工程]
停止工程においては、凝集系内のpHを調整することにより、凝集粒子の凝集成長を停止させる。例えば、凝集系内のpHを6以上9以下の範囲に調整することにより、凝集粒子の成長を停止させる。
【0046】
[融合工程]
融合工程(融合・合一工程)においては、まず、凝集工程および必要に応じて行われたシェル形成工程を経て得られた凝集粒子を含有する溶液中にて、凝集粒子中に含まれる樹脂粒子の融点あるいはガラス転移温度以上の温度に加熱して、融合・合一することによりトナー粒子を得る。
【0047】
[洗浄工程]
洗浄工程においては、上記粒子洗浄システムおよび粒子洗浄方法を用いて、融合工程にて得られたトナー粒子の分散液にイオン交換水等の洗浄液による置換洗浄を少なくとも施し、固液分離を行う。必要に応じて、洗浄後に空気等の気体によるエアブローを行い、予備乾燥してもよい。
【0048】
[乾燥工程]
乾燥工程においては、固液分離された固形分を乾燥し、トナー粒子を得る。乾燥方法には特に制限はないが、生産性などの点から、凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
<実施例1>
4,000質量部のトナー粒子、150質量部の界面活性剤および30,000質量部の溶媒(水)を含んだ懸濁液について、図1に示すような、4室のフィルタープレス方式の濾過室10a〜10dを有するフィルタープレスシステムを用いて、固液分離処理、圧搾処理を行った。続いて、洗浄液供給部より洗浄液として洗浄水を洗浄液配管12を通して注入した。このとき気体配管側バルブ26a〜26dは全て閉状態、洗浄液バルブ28a〜28dは全て閉状態、各濾過室10a〜10dの入口バルブ22a〜22dおよび出口バルブ24a〜24dは開状態として運転を開始した。これにより洗浄水は、入口配管16aおよび濾液配管18a、入口配管16bおよび濾液配管18b、入口配管16cおよび濾液配管18c、入口配管16dおよび濾液配管18dを通って、濾過室10aの一次側から二次側、濾過室10bの一次側から二次側、濾過室10cの一次側から二次側、濾過室10dの一次側から二次側へと順次流れて粒子の洗浄が行われた。濾過室10dからの濾液配管18dに設置した導電率計30dにより測定された濾過室10dからの濾液の導電率値が10μS/cm以下になったら、洗浄終了と判断した。用いた洗浄水量は、合計で17,000質量部であった。結果を図3に示す。図3において、横軸は水使用量(質量部)、縦軸は導電率(μS/cm)を示す。
【0051】
<実施例2>
4,000質量部のトナー粒子、150質量部の界面活性剤および30,000質量部の溶媒(水)を含んだ懸濁液について、図1に示すような、4室のフィルタープレス方式の濾過室10a〜10dを有するフィルタープレスシステムを用いて、固液分離処理、圧搾処理を行った。続いて、洗浄液供給部より洗浄液として洗浄水を洗浄液配管12を通して注入した。このとき気体配管側バルブ26a〜26dは全て閉状態、洗浄液バルブ28a〜28dは全て閉状態、各濾過室10a〜10dの入口バルブ22a〜22dおよび出口バルブ24a〜24dは開状態として運転を開始した。これにより洗浄水は、入口配管16aおよび濾液配管18a、入口配管16bおよび濾液配管18b、入口配管16cおよび濾液配管18c、入口配管16dおよび濾液配管18dを通って、濾過室10aの一次側から二次側、濾過室10bの一次側から二次側、濾過室10cの一次側から二次側、濾過室10dの一次側から二次側へと順次流れて粒子の洗浄が行われた。
【0052】
濾過室10aからの濾液配管18aに設置した導電率計30aにより測定された濾過室10aからの濾液の導電率値が10μS/cm以下になったら、濾過室10aから濾過室10bへ向かう洗浄液バルブ28aを開状態とし、濾過室10aの入口バルブ22aおよび出口バルブ24aを閉状態とした。これにより洗浄水は、濾過室10bから濾過室10c、濾過室10dへと流れた。以下同様にして、各濾過室からの濾液配管に設置した導電率計により測定された濾液の導電率値が10μS/cm以下になったら、バルブの開閉制御を行った。最終的に、濾過室10dの濾液配管18dに設置した導電率計30dにより測定された濾液の導電率値が10μS/cm以下になったら洗浄終了と判断した。用いた洗浄水量は、合計で16,000質量部であった。結果を図4に示す。図4において、横軸は水使用量(質量部)、縦軸は導電率(μS/cm)を示す。
【0053】
<比較例1>
実施例1と同じ4,000質量部のトナー粒子、150質量部の界面活性剤および30,000質量部の溶媒(水)を含んだ懸濁液を、図6に示すような、4室のフィルタープレス方式の濾過室50a〜50dを有するフィルタープレスシステムを用いて、固液分離処理、圧搾処理を行った。続いて、洗浄液供給部より洗浄液配管52を通して各濾過室50a〜50dへ洗浄水を注入し、濾液配管54を通して各濾過室50a〜50dからの濾液を排出して、粒子の洗浄を行った。濾液配管54に設置した導電率計56により測定された濾液の値が10μS/cm以下になったら洗浄終了と判断した。用いた洗浄水量は、合計で36,000質量部であった。結果を図5に示す。
【0054】
このように実施例1,2の粒子洗浄システムでは、比較例1の粒子洗浄システムに比べて、粒子の洗浄における洗浄液の使用量が削減された。
【符号の説明】
【0055】
1,3 粒子洗浄システム、10a〜10d,50a〜50d 濾過室、12,52 洗浄液配管、14 気体配管、16a〜16d 入口配管、18a〜18d,54 濾液配管、20a〜20d 気体配管側配管、22a〜22d 入口バルブ、24a〜24d 出口バルブ、26a〜26d 気体配管側バルブ、28a〜28d 洗浄液バルブ、30a〜30d 導電率計。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィルタープレス方式の濾過装置に用いる複数の濾過室と、
前記複数の濾過室を連結して前記濾過室の一つから排出される濾液を他の濾過室に送液する送液機構と、
を備えることを特徴とする粒子の洗浄システム。
【請求項2】
各濾過室への洗浄液の流入路を接続する接続流路と、
各濾過室から排出される濾液の流出路に設置された洗浄度測定手段と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の粒子の洗浄システム。
【請求項3】
複数のフィルタープレス方式の濾過装置に用いる複数の濾過室を連結して前記濾過室の一つから排出される濾液を他の濾過室に送液することを特徴とする粒子の洗浄方法。
【請求項4】
各濾過室への洗浄液の流入路を接続流路により接続し、各濾過室から排出される濾液の洗浄度を測定して、前記測定した洗浄度に基づいて前記流入路および前記接続流路の開閉を制御することを特徴とする、請求項3に記載の粒子の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−200684(P2012−200684A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68560(P2011−68560)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】