説明

粒子の被覆方法

本発明は、二重非対称遠心力を使用して一次粒子を二次粒子で被覆する方法であって、前記一次粒子が、(a)少なくとも一種の金属、または(b)少なくとも一種のセラミックを含み、前記二次粒子が、少なくとも一種の金属またはその塩を含み、前記二次粒子が前記一次粒子よりも可鍛性である、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆された粒子の製造方法、特に二重非対称遠心力を使用する、被覆された粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に広範囲な合金が様々な用途に使用されており、各合金は、強度、延性、クリープ耐性、耐食性、疲労耐性及び鋳造性を包含する特性の特別な組合せを提供する。合金は、最終用途の必要条件に応じて、多くの物理的形態及び純度で市販されている。ほとんどの大型最終用途向けの金属及び合金は、シート、ロッド及びバーの形態で提供できるが、粉末冶金製法用の高品質粉末の形態で入手できる製品も増加している。これらの製法により、例えば複雑な幾何学的構造を有する部品の製造が可能になり、過剰の機械加工を回避し、従って、高価なバルク合金の浪費を回避することができる。粉末冶金製法により、大きな工業規模で一般的に使用されているよりも、多種多様な合金で部品を製造することもできる。
【0003】
チタン工業を一例にとると、世界的なチタン製造は比較的小さく、現在製造されているチタンの大部分は、航空宇宙産業で、主として、チタン及びチタン合金の一般的に認められているASTM「等級」からの非常に限られた精選品として使用されている。しかし、他の産業は、必要とするチタン合金の入手困難に直面しており、多くの供給者及び製造業者は、様々なチタン合金の大量在庫を維持することを望まず、その結果チタンの価格が高くなる。チタン供給の不足及びTi6Al4Vが標準的な「主力製品」の合金として支配的に使用されていることは、代替合金処方物の商業化及び標準的に受け入れられる合金等級の使用さえも不可能であることを意味している。
【0004】
例えば、純粋なチタンは腐食に対する耐性が高いが、その耐食性は、例えばパラジウム及び/またはルテニウムのような貴金属で合金を形成することにより、改善することができる。同様に、Ti−6Al−4Vの耐食性も、パラジウムまたはルテニウムを添加することにより、改善することができる。これらの貴金属で変性された合金は、他の多くの合金と共に、一般的に受け入れられているチタン合金のASTM等級に挙げられている。これらの合金は、入手可能性が低く、また貴金属の追加費用のこともあり、限られた用途のみで使用されている。標準的な合金形態を複雑な幾何学的構造に機械加工すること、及び結果的に生じる廃棄材料により、経費がさらに増加する。粉末冶金製法の改善、及び特に貴金属を配合する融通性のある方法により、経費を最少に抑えながら、部品を製造し、有益な合金特性を引き出すことができる。
【0005】
サーメットは、セラミック及び金属成分の両方の特性を示すように設計されている。これに関して、セラミック成分は、高温耐性及び硬度に寄与するのに対し、金属成分は、塑性変形に寄与することができる。サーメットは、電子工業(抵抗及びコンデンサの製造に)、セラミックと金属の接合及びシール、ならびに例えば歯科のような医療用途に使用されている。
【発明の概要】
【0006】
主要な金属またはセラミック及び少なくとも一種の二次的な金属またはその塩を含む所望の組成物を迅速に製造することにより、製造業者は、在庫量を少なくし、ある範囲の合金またはセラミック、ならびにそこから製造される製品を迅速に製造することができる。本発明者らは、必要とされる特性を備えた、目的に合わせて調整された組成物を製造できれば、これらの組成物の使用が容易になると考えている。さらに、その後のこれらの合金からの製品の製造は、鍛錬用合金(wrought alloy)またはサーメットを購入する時間を短縮するか、または無くすことさえできるので、容易となるであろう。
【0007】
そこで、本発明は、二重非対称遠心力を使用して一次粒子を二次粒子で被覆する方法であって、前記一次粒子が、(a)少なくとも一種の金属、または(b)少なくとも一種のセラミックを含み、前記二次粒子が、少なくとも一種の金属またはその塩を含み、前記二次粒子が前記一次粒子よりも可鍛性である、方法を提供する。
【0008】
本発明では、「可鍛性」は、永久的に別の形状に圧縮成形することを意味する。
【0009】
二重非対称遠心力を用いて、一次粒子を二次粒子で被覆する。「二重非対称遠心力」とは、2種類の遠心力が、互いにある角度で、同時に粒子に作用することを意味する。効果的な混合環境を創出するために、遠心力は、反対方向に回転するのが好ましい。ハウスチャイルド(Hauschild)(http://www.speedmixer.co.uk/index.php)製のスピードミキサ(Speedmixer:商標)は、この二重回転方法を使用し、その際、スピードミキサのモータは混合装置のベースプレートを時計方向に回転させ(図1A参照)、バスケットを反時計方向に回転させる(図1B及び1C参照)。理論に捕らわれたくはないが、本発明者らは、この被覆工程が一次及び二次粒子に物理的変化を引き起こし、それによって、粒子同士が物理的に結合すると考えている。
【0010】
一次粒子が少なくとも一種の金属を含む場合、その少なくとも一種の金属は、周期律表のIVB族、VB族、VIB族、VIIB族及びVIII族からなる群、より好ましくはIVB族、VIB族及び/またはVIII族からなる群から選択される。最も好ましくは、一次粒子はチタン、モリブデン、タングステン、ニッケルまたは鉄の少なくとも一種を含む。
【0011】
一次粒子は、単一の金属、金属の混合物、合金またはそれらの組合せを含むことができる。一次粒子が単一の金属を含む場合、チタン(例えば市販のチタン)が好ましい。一次粒子が合金を含む場合、チタン合金(例えばTi−6Al−4V)または鉄合金(例えば鋼及び、特にステンレス鋼)が好ましい。
【0012】
一次粒子がセラミックである場合、それらの粒子は、好ましくはケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、イットリウム、セリウムまたはチタンの少なくとも一種を含む。より好ましくは、一次粒子は、セラミック酸化物またはセラミック炭化物である。さらに好ましくは、一次粒子は、少なくとも一種の酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化セリウム、炭化ケイ素及び炭化タングステンからなる群から選択される。
【0013】
一次粒子は、実質的に球形、不規則形状またはそれらの組合せとすることができる。
【0014】
一実施態様では、一次粒子は、実質的に球形である。この場合、実質的に球形である粒子のサイズは、いずれかの好適なサイズでよい。しかし、一実施態様では、一次粒子は、好ましくは平均直径が約2000μm以下、より好ましくは約1500μm以下、さらに好ましくは約1000μm以下である。別の実施態様では、粒子は、特に一次粒子がチタンを含む場合、約1μm〜約45μmの特に好ましい平均直径を有する。
【0015】
別の実施態様では、一次粒子が不規則である。本発明では、「不規則」とは、実質的に球形ではない粒子を意味する。不規則粒子のサイズは、いずれかの好適なサイズでよく、いずれかの好適なパラメータにより規定することができる(例えばそれぞれここにその全文を、全ての目的で参考として含める、www.malvern.comから入手可能なRawle、「粒子径解析の基本原理(Basic Principles of Particle Size Analysis)」、及びBrittain, 「粒子径分布 第一部:粒子形状、サイズ及び分布の説明(Representaions of Particle Shape, Size and Distribution)」、Pharmaceutical Technology, December 2001参照)。
【0016】
本発明者らは、一次粒子の形状(実質的に球形及び/または不規則であっても)は、被覆の際に実質的に変化しないことを見出した。これは、二重非対称遠心力の作用が高エネルギー製法であるので、驚くべきことである。実質的に球形である一次粒子の場合、被覆された粒子の流動性が改善され、下流の処理が容易になるので、実質的に球形の被覆された粒子の製造が有利である。
【0017】
二次粒子は、好ましくは単一金属、金属の混合物、金属塩、合金またはそれらの組合せを含む。一実施態様では、二次粒子は、周期律表のVIII族、IB族及びIIIA族からなる群から選択される。
【0018】
好ましくは、二次粒子は、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、銀、金、コバルト、銅、ニッケル、鉄またはアルミニウムの少なくとも一種を含む。
【0019】
二次粒子が単一金属を含む場合、その金属は好ましくはパラジウムまたはルテニウムである。
【0020】
別の実施態様では、二次粒子が金属の混合物、好ましくはパラジウム及びルテニウムの混合物を含むことができる。
【0021】
さらに別の実施態様では、二次粒子が合金を含む場合、好ましい合金はパラジウム及びルテニウムの合金である。
【0022】
二次粒子が一種以上の金属塩を含む場合、その塩が可燃性でも、爆発性でもない限り、その塩は限定されない。好ましくは、金属塩はパラジウムまたはルテニウム塩、より好ましくはパラジウム塩(例えば炭酸水素テトラミンパラジウムまたはヘキサキス(アセト)トリパラジウム(II))である。所望により、被覆された粒子を、熱的または化学的手段により、さらに処理することができる。一実施態様では、一次粒子を被覆する少なくとも一種の金属塩を還元することができる。還元は、適宜、高温で、水素を含む雰囲気下で、好適な時間(例えば少なくとも30分間)行うことができる。より好ましくは、還元は、約300℃以上で行う。あるいは、一次粒子を被覆する少なくとも一種の金属塩を酸化することができる。この場合、酸化は、適宜、高温で、酸素を含む雰囲気(例えば空気)下で、好適な時間(例えば少なくとも30分間)行うことができる。より好ましくは、酸化は、約500℃以上で行う。
【0023】
被覆工程は、この工程を行う回転速度、処理時間の長さ、混合容器を満たすレベル、粉砕媒体の使用及び/または粉砕ポット中にある成分の温度制御を包含する様々なパラメータにより制御することができる。
【0024】
二重非対称遠心力は、連続的な時間で適用させることができる。「連続的」とは、中断が無い時間を意味する。好ましくは、この時間は、約1秒間〜約10分間、より好ましくは約5秒間〜約5分間、最も好ましくは約10秒間〜約200秒間である。
【0025】
あるいは、二重非対称遠心力を集合的な時間適用することができる。「集合的」とは、二つ以上の時間の総計または合計を意味する。遠心力を段階的に適用させる利点は、粒子の過熱を回避できることにある。二重非対称遠心力は、好ましくは約1秒間〜約10分間、より好ましくは約5秒間〜約5分間、最も好ましくは約10秒間〜約150秒間の集合的な時間適用させる。二重非対称遠心力を適用させる回数(例えば2、3、4、5回以上)は、一次及び二次粒子の性質によって異なる。例えば、一次粒子がチタンを含む場合、遠心力の段階的な適用により、粒子の加熱が最少に抑えられ、酸化及び/または燃焼の危険性が最少に抑えられる。特に好ましい実施態様では、二重非対称遠心力を、間に冷却期間を入れながら、段階的に適用させる。別の特に好ましい実施態様では、二重非対称遠心力を、一種類以上の異なった速度で段階的に適用させる。
【0026】
好ましくは、二重非対称遠心力の速度は、約200rpm〜約3000rpmである。一実施態様では、この速度は、約300rpm〜約2500rpmである。別の実施態様では、この速度は、約500rpm〜約2000rpmである。
【0027】
混合容器を満たすレベルは、当業者には明らかな様々な要因により決定される。これらの要因としては、一次及び二次粒子のかさ密度、混合容器の容積及びミキサー自体に課せられる重量制限が挙げられる。
【0028】
粉砕を酸素の存在下で行う場合、酸素に対する強い親和力を有する特定の金属または合金は過剰の表面酸化物成長を受ける。特に、被覆された粒子が、酸素含有量に関して認められた規格に適合する必要がある最終的な圧縮製品の製造に使用される場合、酸素欠乏雰囲気の使用が必要とされる場合もある。その上、二次粒子が、空気に対して敏感な少なくとも一種の金属塩を含む場合、酸素欠乏雰囲気が好適である場合がある。従って、本発明の被覆工程は、その工程時間の少なくとも一部、好ましい実施態様では実質的に全工程にわたって、不活性雰囲気下で行うことができる。本発明では、不活性雰囲気は、一次及び/または二次粒子と反応する能力が限られているか、または全く無い雰囲気である。好ましくは、不活性雰囲気は、アルゴン、窒素またはそれらの混合物を含む。
【0029】
粉砕媒体は、一次粒子の二次粒子による被覆を支援するのに使用される。一次粒子自体が粉砕媒体として作用することができる。しかし、別の硬い、非汚染性の媒体を配合することにより、例えば製造工程の結果として、または輸送の際に、凝集が起きている所で二次粒子をさらに容易に破壊することができる。そのような凝集物の破壊により、一次粒子に対する二次粒子の被覆をさらに向上させることができる。粉砕媒体の使用は、粉末処理の分野では良く知られており、安定化されたジルコニアのような材料及び他のセラミックが、十分に硬いのであれば、好適である。
【0030】
好ましくは、二次粒子は、単一結晶または多くの微結晶の凝集物、例えば白金族金属ブラックであってもよい。
【0031】
一次粒子上にある二次粒子の被覆は、被膜の形態または個別粒子の形態にあることができる。被覆率は、二次粒子の可鍛性、被覆工程に許容される時間の長さ及び/または存在する二次粒子の量を包含する要因によって異なる。一次粒子を被覆する例えばパラジウムのような二次粒子をチタン合金に、ASTM/SMEのTi等級7、11、16、17、24及び25で添加レベルとして認められている約0.05〜約0.25%の比率で添加できる限り、二次粒子は、どのような好適な量ででも存在できる。二次粒子の量は、形成される所望の合金またはサーメットの一つ以上の特性にも影響を及ぼすことができる。例えば、Pd/Ti合金中でPdの量が増加すると、(例えば塩水のような)塩化物含有溶液に対する合金の耐食性が改善される。
【0032】
本発明の方法は、
(a)被覆された粒子を圧縮する工程、及び
(b)そこから合金またはサーメットを形成する工程
をさらに含む。
【0033】
被覆された金属性粒子または被覆されたセラミック粒子を圧縮するための好適な方法としては、熱間等方圧加圧(HIP)、冷間等方圧加圧(CIP)及び金属射出成形(MIM)がある。被覆された金属性粒子は、例えば直接レーザー加工(DLF)のような高エネルギー線加工方法、及び電子線融解を使用して圧縮することもできる。被覆されたセラミック粒子は、スリップキャスティングを使用して圧縮することもできる。
【0034】
圧縮後に製造される製品は、二次粒子から金属が不均質に分布しているが、本発明者らは、特許権請求する方法により形成される合金の耐食性は、粒子の圧縮に使用した方法に依存せず、市販合金を使用して製造した製品の耐食性と等しいことを見出した。従って、合金から製造すべき製品に最も適したいずれかの技術を使用することができる。
【0035】
しかし、特許請求の範囲に規定された方法により形成される合金またはサーメットの機械的特性は、粒子を圧縮するのに使用した方法に依存するので、圧縮技術は、製造すべき最終製品に必要な機械的特性に応じて慎重に選択される必要がある。
【0036】
別の態様で、本発明は、特許請求の範囲に規定された方法により形成される合金またはサーメット、及びそのような合金またはサーメットから形成された製品を提供する。
【0037】
別の態様で、本発明は、一次粒子が二次粒子により被覆されている、被覆された粒子を提供する。一次及び二次粒子は、上に記載した通りである。
【0038】
ここで本発明を下記の、本発明を制限しない例により、下記の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A−図1Cは、スピードミキサ(商標)中にある粒子に遠心力がどのように適用されるかを例示する。
【図1A】図1Aは、ベースプレート及びバスケットを示す上から見た図である。ベースプレートは、時計方向に回転する。
【図1B】図1Bは、ベースプレート及びバスケットの側面図である。
【図1C】図1Cは、図1Bの線Aに沿って上から見た図である。バスケットは、反時計方向に回転する。
【図2】図2は、0.2重量%パラジウムで被覆された実質的に球形のチタン粉末(45μm未満)の後方散乱電子像である。
【図3】図3は、0.2重量%パラジウムで被覆された実質的に球形のチタン粉末(45μm未満)の後方散乱電子像である。
【図4】図4は、不規則チタン粒子の表面上に分散したパラジウムのSEM画像である。
【図5】図5は、実質的に球形であるジルコニアビーズの表面上に分散したパラジウムのSEM画像である。
【図6】図6は、実質的に球形であるチタン粉末の表面上に分散したルテニウムのSEM画像である。
【図7】図7は、(a)本発明により製造したHIP加工された粉末及び(b)市販等級7Ti−Pd合金に対する、腐食電位(開路電位)と時間の関係を比較したグラフである。
【実施例】
【0040】
例1
実質的に球形のチタン粉末(45μm未満、Advanced Powders and Coatings, Raymor Industries)10gを秤量し、スピードミキサ(商標)モデル DAC150FVZ用の好適なポットの中に入れた。パラジウムブラック(Johnson Matthey)0.02gを加え、ポットを密封し、内容物を混合した。二重非対称遠心力を1000rpmで20秒間及び2000rpmで20秒間適用した。
【0041】
被覆された粒子の、後方散乱電子像形成により得た画像を図2に示す。被覆された粒子の実質的に球形である形状が明らかに現れている。
【0042】
例2
実質的に球形のチタン粉末(45μm未満、Advanced Powders and Coatings, Raymor Industries)150gを秤量し、スピードミキサ(商標)モデル DAC600用の好適なポットの中に入れた。パラジウムブラック(Johnson Matthey)0.3gを加え、ポットを密封し、内容物を2000rpmで3×20秒間混合した。
【0043】
被覆された粒子の、後方散乱電子像形成により得た画像を図3に示す。
【0044】
例3
不規則HDHチタン粉末(45μm未満、Chemical Industries)25gを秤量し、スピードミキサ(商標)モデル DAC150FVZに好適なスピードミキサ(商標)ポットの中に入れ、パラジウムブラック0.05gを加えた。ポットを密封し、3×20秒間の混合時間によるサイクルを使用して混合した。不規則一次Ti粒子の表面上に分散したパラジウムのSEM画像を図4に示す。
【0045】
例4
十分に緻密な実質的に球形の酸化ジルコニウムビーズ(YTZ Grinding Media、Tosoh Corp.)30g及びパラジウムブラック0.06gを秤量し、スピードミキサ(商標)モデル DAC150FVZに好適なスピードミキサ(商標)ポットの中に入れた。ポットを密封し、3×20秒間混合した。
【0046】
図5のSEM画像は、実質的に球形のジルコニアビーズの表面上に分散したパラジウムを示す。
【0047】
例5
実質的に球形のチタン粉末(例1に詳細に説明)30g及びルテニウムブラック粉末(Johnson Matthey)0.06gを秤量し、スピードミキサ(商標)モデル DAC150FVZに好適なスピードミキサ(商標)ポットの中に入れた。ポットを密封し、二重非対称遠心力を3000rpmで合計180秒間適用するサイクルを使用して混合した。
【0048】
図6のSEM画像は、実質的に球形のチタン粉末の表面上に分散したルテニウム粉末を示す。
【0049】
例6
実質的に球形のチタン粉末(45ミクロン未満、AP&C、Raymor Industries, Quebec)25gを秤量し、スピードミキサ(商標)ポットの中に入れ、炭酸水素テトラミンパラジウム乾燥粉末(Johnson Matthey)0.139gを加えた。ポットを密封し、モデル DAC150FVZ上で3×20秒間混合した。得られた材料の試料5gを、N中5%Hの50ml/分の流れで、300℃で30分間加熱した。
【0050】
標準的な一酸化炭素吸着技術を使用して測定した、チタン粉末表面上にあるパラジウムの分散は、約3%であることが分かった。
【0051】
例7
実質的に球形のチタン粉末(45ミクロン未満、AP&C、Raymor Industries, Quebec)25gを秤量し、スピードミキサ(商標)ポットの中に入れ、ヘキサキス(アセト)トリパラジウム(II)Pd-111乾燥粉末(Johnson Matthey)0.106gを加えた。ポットを密封し、モデル DAC150FVZ上で60秒間混合した。得られた材料の試料5gを、N中5%Hの50ml/分の流れで、300℃で30分間加熱した。
【0052】
標準的な一酸化炭素吸着技術を使用して測定した、チタン粉末表面上にあるパラジウムの分散は、約3.5%であることが分かった。
【0053】
例8
1mmアルミナビーズ(SASOL, Product Code 1.0/160)12gを秤量し、DAC 150FVZ モデル スピードミキサ(商標)に好適なポットの中に入れた。最終的な被覆された材料上の0.2重量%Pdに相当する0.067gの炭酸水素テトラミンパラジウム乾燥粉末(Johnson Matthey)を加えた。ポットを密封し、60秒間混合した。得られた組成物を、空気雰囲気中、500℃で2時間加熱し、この間にパラジウム塩が分解した。
【0054】
標準的な一酸化炭素吸着技術を使用して測定した、アルミナビーズ上にあるパラジウムの分散は、約4%であることが分かった。
【0055】
例9
固体CPTi(AP&C、45ミクロン未満粉末)+0.2重量%Pd合金を、二重非対称遠心力を使用して提供されたPd被覆された球形CPTi粉末の熱間等方圧加圧により調製した。熱間等方圧加圧は、930℃、100MPaで4時間行われた。
【0056】
上記合金の腐食挙動を、鍛造されたチタン等級(ASTM等級7Ti-Pd合金−Timet UK Ltd.)のそれと比較した。分極曲線を、1200gritに粉砕し、脱イオン水で洗浄し、エタノールですすぎ、次いで乾燥させた表面に対して測定した。試験は、表面洗浄の直後に、2M HClの150ml中で、37℃で行われた。
【0057】
図7に示す分極曲線は、30分間浸漬した後に開路電位で測定した。走査は、開路電位に対して-200mV〜+700mVで、1mV/秒間で行った。試験は、参照電極として飽和カロメル電極(SCE)及び対電極としてPtワイヤを使用して行われた。本発明により製造した合金の耐食性は、市販合金のそれと実質的に等しいことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重非対称遠心力を使用して一次粒子を二次粒子で被覆する方法であって、
前記一次粒子が、(a)少なくとも一種の金属、または(b)少なくとも一種のセラミックを含み、
前記二次粒子が、少なくとも一種の金属またはその塩を含み、
前記二次粒子が前記一次粒子よりも可鍛性である、方法。
【請求項2】
(a)に関して、前記少なくとも一種の金属が、単一の金属、金属の混合物、合金またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(b)に関して、前記少なくとも一種の金属が、周期律表のIVB族、VB族、VIB族、VIIB族及びVIII族からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
(a)に関して、前記少なくとも一種の金属が、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケルまたは鉄を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(b)に関して、前記少なくとも一種のセラミックが、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、イットリウム、セリウムまたはチタンの少なくとも一種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記一次粒子が、実質的に球形、不規則形状またはそれらの組合せである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記一次粒子が、実質的に球形である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記一次粒子が、実質的に球形であり、約2000μm以下の平均直径を有する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記一次粒子の形状が、被覆の際に実質的に変化しない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記二次粒子が、単一金属、金属の混合物、合金、金属塩及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記二次粒子が、周期律表のVIII族、IB族及びIIIA族からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記二次粒子が、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、銀、金、コバルト、銅、ニッケル、鉄またはアルミニウムの少なくとも一種を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記一次粒子上にある前記二次粒子の前記被覆が、被膜の形態または個別粒子の形態にある、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
粉砕媒体が、前記一次粒子の前記二次粒子による前記被覆を支援する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記二重非対称遠心力が、約1秒間〜約10分間、連続的な、または集合的な時間適用される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記二重非対称遠心力の速度が、約200rpm〜約3000rpmである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記二次粒子が、少なくとも一種の金属塩を含み、前記被覆された粒子が、熱的及び/または化学的手段によりさらに処理される、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
(a)前記被覆された粒子を圧縮する工程、及び
(b)前記圧縮された粒子から合金またはサーメットを形成する工程
をさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法により形成された、被覆された粒子。
【請求項20】
請求項18に記載の方法により得られる合金。
【請求項21】
請求項18に記載の方法により得られるサーメット。
【請求項22】
請求項20または21に記載の合金またはサーメットから得られる製品。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−509405(P2012−509405A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536953(P2011−536953)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051581
【国際公開番号】WO2010/058223
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】